JP5126357B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の操舵装置に関し、特に、運転者による操舵ハンドルの操作に応じて転舵輪を目標転舵量まで転舵させる車両の操舵装置に関する。
従来から、車両の旋回時における方向安定性や応答性を改善する装置は盛んに提案されている。例えば、特開平4−193684号公報には、前輪操舵時に理想とする過渡応答特性を実現する車両用四輪操舵装置が示されている。この従来の車両用四輪操舵装置は、車両の走行状態に応じて前輪と後輪の転舵角をそれぞれ制御する前輪転舵角制御手段と後輪転舵角制御手段とを備えている。そして、この従来の車両用四輪操舵装置においては、前輪転舵角制御手段が前輪操舵入力のラプラス変換値に対する前輪転舵角のラプラス変換値を表す制御伝達関数で与えられる前輪転舵角が得られるように前輪の転舵角を制御し、後輪転舵角制御手段が前輪操舵入力のラプラス変換値に対する後輪転舵角のラプラス変換値を表す制御伝達関数で与えられる後輪転舵角が得られるように後輪の転舵角を制御するようになっている。
また、例えば、実開昭62−145884号公報には、車両用実舵角制御装置が示されている。この従来の車両用実舵角制御装置は、車両の操舵時の運動状態量の目標値を決定するために設定された伝達特性を、車両の操舵特性を調整するための入力に従って可変設定する伝達特性可変手段を備えている。そして、この従来の車両用実舵角制御装置においては、運転者が伝達特性可変手段によって伝達特性を可変設定することにより、車両の運動状態量の目標値が変更され、この目標値を実現するように車輪の実舵角を制御するとともに車両の操舵特性を変更できるようになっている。
さらに、例えば、特開2008−189200号公報には、操舵操作に対する車両の挙動の応答性と収束性とを向上させる車両用操舵装置が示されている。この従来の車両用操舵装置は、操舵角度に比例する比例項と操舵角速度に比例する微分項との和に基づいて目標舵角を設定するようになっている。そして、この従来の車両用操舵装置においては、操舵角速度が負である場合には、操舵角速度が正である場合よりも、微分項を小さな値に補正するようになっている。
ところで、車両旋回時に車両に発生する運動状態量(例えば、ヨーレートや横加速度など)は、その周波数応答特性が車両の車速に応じて変化することが知られている。そして、車速に応じて周波数応答特性の変化が生じることにより、車両の旋回時の方向安定性および応答性に影響を与える。
この点に関し、上記特開平4−193684号公報に示された車両用四輪操舵装置および実開昭62−145884号公報に示された車両用実舵角制御装置においては、単に、運動状態量の応答として、遅れ(1次遅れ)を生じさせるのみである。また、上記特開2008−189200号公報に示された車両用操舵装置においては、方向安定性が損なわれやすい操舵ハンドルの切り返し時に、単に、操舵角速度に比例する微分項の大きさを小さくするのみである。このため、例えば、車両の車速によっては、車両の運動状態量の周波数応答特性の変化に起因して、車両の方向安定性が損なわれたり敏感または鈍感な応答性を知覚したりして、運転者が違和感を覚える場合がある。
したがって、車両の旋回時における方向安定性および応答性に関し、運転者が違和感を覚えないようにするためには、車両に発生する運動状態量の周波数応答特性を考慮する必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両に発生する運動状態量の周波数応答特性を考慮して、車両旋回時における良好な方向安定性および応答性が得られる車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、この操舵ハンドルの操作に応じて転舵輪を転舵させる転舵手段とを備えた車両の操舵装置において、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、前記操舵ハンドルに対する操作入力値と予め設定された関係にある前記転舵輪の目標転舵量を、前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値を用いて演算する目標転舵量演算手段と、車両の諸元に基づいて決定されて前記転舵輪の転舵量を入力とし前記転舵輪の転舵により車両に発生する運動状態量を出力とする第1伝達関数を用いて、前記目標転舵量演算手段によって演算された目標転舵量の時間変化を表す目標転舵速度を入力としこの目標転舵速度で転舵する前記転舵輪の転舵量を出力とする第2伝達関数を設定する伝達関数設定手段と、前記伝達関数設定手段によって設定された第2伝達関数と前記目標転舵速度とを用いて、前記目標転舵量演算手段によって演算された目標転舵量で前記転舵輪が転舵するときに車両に発生する運動状態量の変化を補正する補正転舵量を演算する補正転舵量演算手段と、前記目標転舵量演算手段によって演算された目標転舵量に対して前記補正転舵量演算手段によって演算された補正転舵量を加算して最終目標転舵量を演算する最終目標転舵量演算手段と、前記最終目標転舵量演算手段によって演算された最終目標転舵量に応じて前記転舵輪を転舵させる転舵制御手段とを備えたことにある。
これによれば、伝達関数設定手段は、車両の諸元(車両モデル)に基づいて決定されて転舵輪の転舵量を入力とし車両に発生する運動状態量を出力とする第1伝達関数を用いて、目標転舵速度を入力としこの目標転舵速度で転舵する転舵輪の転舵量を出力とする第2伝達関数を設定することができる。また、補正転舵量演算手段は、この設定された第2伝達関数と目標転舵速度とを用いて(より具体的には、互いに乗算して)補正転舵量を演算することができる。これにより、補正転舵量は、転舵輪の転舵に伴って車両に発生する運動状態量の変化、すなわち、周波数応答特性を反映して(考慮して)演算される。そして、最終目標転舵量演算手段は目標転舵量に対して補正転舵量を加算して最終目標転舵量を演算し、転舵制御手段は転舵輪を最終目標転舵量に転舵させることができる。
これにより、補正転舵量によって適切に補正された目標転舵量、すなわち、最終目標転舵量により転舵輪が転舵されて旋回する車両においては、車両に発生する運動状態量の周波数応答特性の変化に伴う方向安定性および応答性への影響を小さくすることができる。したがって、車両旋回時における良好な方向安定性および応答性が得られるとともに、車両に発生する運動状態量の変化に関し、運転者が覚える違和感を大幅に抑制することができる。
また、この場合、前記伝達関数設定手段は、前記第1伝達関数の周波数応答特性のうちの定常成分を目標周波数応答特性として設定し、前記第2伝達関数を、前記設定した目標周波数応答特性と前記第1伝達関数の周波数応答特性との差分を用いて設定するとよい。そして、この場合には、より具体的に、前記第1伝達関数の周波数応答特性は、例えば、前記転舵輪の転舵量の周波数変化に対して前記車両に発生する運動状態量のゲインの応答特性であるとよい。
これらによれば、伝達関数設定手段は、第1伝達関数の周波数応答特性、より具体的には、転舵輪の転舵量の周波数変化に対して車両に発生する運動状態量のゲインの応答特性のうちの定常成分を目標周波数応答特性として設定することができ、第2伝達関数を、設定した目標周波数応答特性と第1伝達関数の周波数応答特性との差分を用いて設定することができる。これにより、第2伝達関数は、第1伝達関数の非定常成分すなわち車両の方向安定性および応答性に影響を与える成分を反映して設定されるため、この第2伝達関数を用いて演算される補正転舵量は、車両の方向安定性および応答性に影響を与える成分を効果的に補正するものとして演算される。
これにより、この補正転舵量によって目標転舵量を補正することにより、車両に発生する運動状態量の周波数応答特性の変化、具体的には、車両に発生する運動状態量のゲインの応答特性の変化を大幅に抑制することができる。すなわち、この場合には、車両に発生する運動状態量の周波数応答特性をほぼ一定とすることができ、方向安定性および応答性極めて良好に確保することができる。したがって、車両旋回時におけるより良好な方向安定性および応答性が得られるとともに、車両に発生する運動状態量の変化に関し、運転者が覚える違和感をより大幅に抑制することができる。
また、この場合、車両の車速を検出する車速検出手段を備え、前記伝達関数設定手段は、前記車速検出手段によって検出された車速を用いて、前記第2伝達関数を設定するとよい。
これによれば、伝達関数設定手段は、車速に応じて変化する車両の運動状態量の周波数応答特性をも考慮して、第2伝達関数を設定することができるため、この第2伝達関数を用いて演算される補正転舵量は、車速に応じて変化する車両の方向安定性および応答性を適切に補正するものとして演算される。したがって、車両旋回時におけるより良好な方向安定性および応答性が得られるとともに、車両に発生する運動状態量の変化に関し、運転者が覚える違和感をより大幅に抑制することができる。
また、この場合、前記車両に発生する運動状態量は、車両のヨーレートまたは車両の横加速度であるとよく、この場合、車両の車速を検出する車速検出手段と備えていて、前記伝達関数設定手段は、前記車速検出手段によって検出された車速に応じて、前記車両の運動状態量を車両のヨーレートまたは車両の横加速度に変更して前記第1伝達関数を決定するとよい。そして、この場合には、前記伝達関数設定手段は、例えば、前記車速検出手段によって検出された車速が小さな低速域で車両が走行しているときに前記車両の運動状態量を車両の横加速度に決定し、前記車速検出手段によって検出された車速が大きな高速域で車両が走行しているときに前記車両の運動状態量を車両のヨーレートに決定するとよい。
これらによれば、車両に発生する運動状態量として、車両旋回時に運転者が知覚しやすいヨーレートまたは横加速度を用いることができ、伝達関数設定手段は、第1伝達関数を、車両の諸元(車両モデル)に基づいて決定されて転舵輪の転舵量を入力とし車両に発生するヨーレートまたは横加速度を出力とする第1伝達関数を用いて、目標転舵速度を入力としこの目標転舵速度で転舵する転舵輪の転舵量を出力とする第2伝達関数を設定することができる。そして、補正転舵量演算手段は、この設定される第2伝達関数を用いて補正転舵量を演算することができる。したがって、ヨーレートまたは横加速度の周波数応答特性の変化を反映(考慮)することができ、車両旋回時におけるより良好な方向安定性および応答性が得られるとともに、運転者が覚えやすいヨーレートまたは横加速度の変化に伴う違和感をより大幅に抑制することができる。
また、伝達関数設定手段は、車速に応じて、より具体的には、低速域で車両が走行しているときに車両の横加速度を出力とする第1伝達関数を用いて第2伝達関数を設定し、高速域で車両が走行しているときに車両のヨーレートを出力とする第1伝達関数を用いて第2伝達関数を設定することができる。これにより、補正転舵量演算部は、車速域に応じて運転者が違和感として覚えやすい横加速度またはヨーレートの周波数応答特性の変化を反映して(考慮して)補正転舵量を演算することができる。したがって、車両旋回時におけるより良好な方向安定性および応答性が得られるとともに、運転者が覚えやすいヨーレートまたは横加速度の変化に伴う違和感をより適切に抑制することができる。
さらに、この場合、車両の操舵装置として、例えば、前記操舵ハンドルと前記転舵手段との機械的な連結が解除されたステアリングバイワイヤ方式を採用し、前記転舵制御手段は、前記転舵手段を作動させるためのアクチュエータを駆動制御して、前記転舵輪を前記最終目標転舵量に転舵させるとよい。また、車両の操舵装置として、例えば、前記操舵ハンドルと前記転舵手段とが、前記操舵ハンドルへの操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量の比を可変する可変手段によって連結された可変ギア比方式を採用し、前記転舵制御手段は、前記可変手段を作動制御して、前記転舵輪を前記最終目標転舵量に転舵させるとよい。
そして、これらの方式を採用した場合には、車両の車速を検出する車速検出手段を備えていて、前記目標転舵量演算手段は、前記車速検出手段によって検出された車速が小さな低速域で車両が走行しているときに前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量の比が大きくなる目標転舵量を演算し、前記車速検出手段によって検出された車速が大きな高速域で車両が走行しているときに前記検出された操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量の比が小さくなる目標転舵量を演算するとよい。
これらによれば、目標転舵量演算手段は、車両の操舵装置として、ステアリングバイワイヤ方式またはギア比可変方式を採用することによって、運転者による操舵ハンドルへの操作入力値に対する転舵輪の目標転舵量を、車速に応じて変更することができる。これにより、例えば、低速域での走行において転舵輪の転舵量を大きくすることにより、運転者が操舵ハンドルを操作するときの操作負担を低減することができ、高速域での走行において転舵輪の転舵量を小さくすることにより、車両の直進安定性を良好に確保することができる。
図1は、本発明の第1および第2実施形態に共通する車両の操舵装置を示す概略図である。
図2は、図1の電子制御ユニットによって実行される制御処理を表すブロック図である。
図3は、操舵角と目標転舵角との関係を示すグラフである。
図4A,Bは、本発明の第1実施形態に係り、転舵角の周波数変化に対して車両に発生するヨーレートの周波数応答特性を示すグラフである。
図5は、本発明の第1および第2実施形態に共通して、図2における補正転舵角演算部によって実行される補正転舵角演算プログラムを示すフローチャートである。
図6A,Bは、本発明の第1実施形態に係り、目標転舵速度を入力とし目標転舵角を出力とする伝達関数の周波数応答特性を示すグラフである。
図7は、本発明の第1実施形態に係り、目標転舵速度を入力とし目標転舵角を出力とする伝達関数のステップ応答特性を示すグラフである。
図8は、本発明の第1実施形態に係り、転舵角の周波数変化に対して車両に発生するヨーレートの周波数応答特性における定常成分(目標周波数応答特性)を説明するための図である。
図9A,Bは、補正転舵角により目標転舵角を補正した場合における車両に発生するヨーレートの周波数応答特性の変化を説明するための図である。
図10A,Bは、本発明の第2実施形態に係り、転舵角の周波数変化に対して車両に発生する横加速度の周波数応答特性を示すグラフである。
図11A,Bは、本発明の第2実施形態に係り、目標転舵速度を入力とし目標転舵角を出力とする伝達関数の周波数応答特性を示すグラフである。
図12は、本発明の第2実施形態に係り、目標転舵速度を入力とし目標転舵角を出力とする伝達関数のステップ応答特性を示すグラフである。
図13は、本発明の第2実施形態に係り、転舵角の周波数変化に対して車両に発生する横加速度の周波数応答特性における定常成分(目標周波数応答特性)を説明するための図である。
図14A,Bは、補正転舵角により目標転舵角を補正した場合における車両に発生する横加速度の周波数応答特性の変化を説明するための図である。
図15は、本発明の第3実施形態に係る車両の操舵装置を示す概略図である。
a.第1実施形態
以下、本発明の実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1および第2実施形態に共通の車両の操舵装置を概略的に示している。
この車両の操舵装置は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を転舵するために、運転者によって回動操作される操作部としての操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は操舵入力軸12の上端に固定され、操舵入力軸12の下端は電動モータおよび減速機構からなる反力アクチュエータ13に接続されている。反力アクチュエータ13は、運転者の操舵ハンドル11の回動操作に対して反力を付与する。
また、この車両の操舵装置は、電動モータおよび減速機構からなる転舵アクチュエータ21を備えている。この転舵アクチュエータ21による転舵力は、転舵出力軸22、ピニオンギア23およびラックバー24を介して左右前輪FW1,FW2に伝達される。この構成により、転舵アクチュエータ21からの回転力は転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達され、ピニオンギア23の回転によりラックバー24が軸線方向に変位して、このラックバー24の軸線方向の変位により、左右前輪FW1,FW2は左右に転舵される。
次に、これらの反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21の回転駆動を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、操舵角センサ31、転舵角センサ32および車速センサ33を備えている。
操舵角センサ31は、操舵入力軸12に組み付けられて、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角を検出して操舵角θを表す信号を出力する。転舵角センサ32は、転舵出力軸22に組み付けられて、転舵出力軸22の中立位置からの回転角を検出して実転舵角δ(左右前輪FW1,FW2の転舵角に対応)を表す信号を出力する。なお、操舵角θおよび実転舵角δは、中立位置を「0」とし、例えば、左方向の回転角を正の値で表すとともに、右方向の回転角を正の値でそれぞれ表す。また、本明細書においては、方向を区別せずに検出値の大小関係について論じる場合には、その絶対値の大きさについて論じることとする。車速センサ33は、車速を検出して車速Vを表す信号を出力する。
これらセンサ31〜33は、電子制御ユニット34に接続されている。電子制御ユニット34は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、プログラムの実行により反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21の作動をそれぞれ制御する。電子制御ユニット34の出力側には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21を駆動するための駆動回路35,36がそれぞれ接続されている。駆動回路35,36内には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21内の電動モータに流れる駆動電流を検出するための電流検出器35a,36aが設けられている。電流検出器35a,36aによって検出された駆動電流は、それぞれの電動モータの駆動を制御するために、電子制御ユニット34にフィードバックされている。
次に、上記のように構成した第1実施形態の動作について、電子制御ユニット34内にてコンピュータプログラム処理により実現される機能を表す図2の機能ブロック図を用いて説明する。第1実施形態における電子制御ユニット34は、操舵ハンドル11への反力付与を制御するための反力制御部40と、左右前輪FW1,FW2の転舵を制御するための転舵制御部50とからなる。なお、反力制御部40の動作については、本発明と直接関係しないため、以下に簡単に説明しておく。
運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると操舵角センサ31によって操舵ハンドル11の回転角である操舵角θが検出され、車両が走行を開始すると車速センサ33によって車速Vが検出され、これらの検出された操舵角θおよび車速Vを表す信号は反力制御部40および転舵制御部50にそれぞれ出力される。反力制御部40においては、目標反力トルク演算部41が、入力した操舵角θおよび車速Vに基づいて、目標反力トルクTzを計算する。なお、目標反力トルクTzの計算にあたっては、例えば、操舵角θ(または車両に発生する横加速度やヨーレートなど)に比例するバネ反力トルク成分と、操舵角θを時間で微分した操舵速度の大きさに比例する摩擦反力トルク成分および粘性反力トルク成分とをそれぞれ計算し、各トルク成分を合算することにより求めることができる。
また、目標反力トルクTzの大きさに関しては、車速センサ33によって検出された車速Vに応じて変更されるとよく、例えば、検出車速Vが小さいときには目標反力トルクTzが小さくなるように計算され、検出車速Vが大きいときには目標反力トルクTzが大きくなるように計算されるとよい。これにより、低速域においては運転者が軽快に操舵ハンドル11を回動操作することができ、中・高速域においては運転者がしっかりとした反力トルクを知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができて、良好な操舵操作性を確保することができる。
このように計算された目標反力トルクTzは、駆動制御部42に供給される。駆動制御部42は、供給された目標反力トルクTzに応じた制御信号(例えば、PWM制御信号)を駆動回路35に出力することで、電流検出器35aによる検出値に基づき、目標反力トルクTzに応じた駆動電流を反力アクチュエータ13内の電動モータに流す。これにより、目標反力トルクTzに等しい反力が操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に付与される。したがって、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に対して適切な反力が付与され、運転者は、この反力を知覚しながら操舵ハンドル11を快適に回動操作することができる。
一方、転舵制御部50においては、目標転舵角演算部51が、図3に示す参照マップを参照して、操舵角センサ31および車速センサ33からそれぞれ入力した操舵角θおよび車速Vに基づいて目標転舵角δを計算する。ここで、目標転舵角δは、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に対して左右前輪FW1,FW2を転舵させる転舵量の目標値である。そして、目標転舵角演算部51は、計算した目標転舵角δを補正転舵角演算部52に供給するとともに、最終目標転舵角演算部53に供給する。
なお、一般的に、車両の特性として、車速Vが大きくなると、左右前輪FW1,FW2の転舵角δに対して車両のヨーや横加速度が大きく発生する傾向がある。このため、目標転舵角演算部51が計算する目標転舵角δは、図3に示したように、操舵角θの増加に伴って増加するものの、車速Vの増加に伴って操舵角θに対する変化量が相対的に小さくなる変化特性を有する。
ここで、本実施形態においては、参照マップを用いて目標転舵角δを計算するようにした。この場合、参照マップを参照することに代えて、操舵角θおよび車速Vに応じて変化する目標転舵角δを定義した関数を記憶しておき、この関数を用いて目標転舵角δを計算するようにしてもよい。また、本実施形態においては、操舵角θに対して線形的に変化する関係にある目標転舵角δを計算するようにした。この場合、例えば、操舵角θに対して非線形的に変化する関係にある目標転舵角δを計算するようにしてもよい。
ところで、一般的な車両では、運転者が操舵ハンドル11を回動操作して左右前輪FW1,FW2を転舵させて車両を旋回させる場合、主に車速Vが大きな高速域においてはヨーイング運動による向きの変化が大きくて(発散して)車両の方向が不安定になりやすく、車速Vが小さな低速域においては車両のヨーイング運動による向きの変化に遅れが生じて軽快感が損なわれやすい傾向を有する。すなわち、このような傾向は、図4Aおよび図4Bに概略的に示すように、車速Vによって変化し、操舵角θの周期的な変化、言い換えれば、操舵角θの変化に伴って変化する実転舵角δの周期的な変化(周波数変化)に対して運動状態量として車両に発生するヨーレートの過渡応答特性に起因するものである。
具体的に説明すると、一般的な車両においては、図4Aに示すように、操舵角θすなわち実転舵角δの周波数変化に対するヨーレートのゲイン(振幅比)は、周波数が小さいときにはほぼ一定となり、周波数が大きくなると車両の固有振動数に一致する周波数すなわち共振周波数でピークを示し、それ以上の周波数では低下する傾向を有する。そして、共振周波数におけるピークは、車速Vの増大に伴って上昇する傾向にあり、言い換えれば、車速Vの増大に伴って減衰比が悪化する傾向にある。この傾向により、主に、高速域において、ヨーの過剰な発生により車両の方向安定性が悪化する。
また、一般的な車両においては、図4Bに示すように、操舵角θすなわち実転舵角δの周波数変化に対するヨーレートの位相角は、周波数が小さいときにはほぼ「0」となり、周波数が大きく、かつ、車速Vが増大すると位相遅れが大きくなる傾向を有する。そして、主に、低速域においては、上述したようにヨーレートのゲインが相対的に小さくなる傾向を有し、また、位相遅れが生じる傾向を有することにより、応答遅れが顕著となって軽快感が損なわれやすい。
このため、目標転舵角演算部51により操舵角θおよび車速Vに基づいて計算される目標転舵角δまで単に左右前輪FW1,FW2を転舵させて車両を旋回させる場合には、上述した傾向を有して車両が旋回することになる。したがって、車速Vに応じて変化する操舵角θすなわち転舵角δに対するヨーレートの過渡応答特性の変化を考慮して、目標転舵角δを補正することが必要である。
このため、補正転舵角演算部52は、上述した特に高速域におけるヨーの過剰な発生を抑制するとともに低速域における応答遅れを改善するために、目標転舵角δを補正する補正転舵角δを計算する。以下、この補正転舵角演算部52による補正転舵角δの計算を詳細に説明する。
補正転舵角演算部52は、図5示す補正転舵角演算プログラムを実行することにより、補正転舵角δcを計算する。すなわち、補正転舵角演算部52は、補正転舵角演算プログラムの実行をステップS10にて開始し、ステップS11にて、車速センサ33によって検出された車速Vを入力する。そして、補正転舵角演算部52は、ステップS12にて、補正転舵角δcを計算するための伝達関数K(s)を計算する。以下、この第2伝達関数としての伝達関数K(s)を具体的に説明する。
左右前輪FW1,FW2を転舵角δに転舵させて車両が旋回を開始すると、車両にヨーレートγが発生する。したがって、転舵角δを入力としヨーレートγを出力とすると、後述するように車両の諸元(車両モデル)に基づいて決定される第1伝達関数としての伝達関数G(s)は、下記式1により表される。なお、下記式1中のsはラプラス演算子を表す。
Figure 0005126357
ここで、伝達関数G(s)は、図4Aおよび図4Bに示した周波数応答特性を有するものであり、ヨーレートγの過渡応答特性を表すものである。このため、上述した高速域におけるヨーの過剰な発生を抑制するとともに低速域における応答遅れを改善する補正転舵角δcは、過渡応答特性を表す伝達関数G(s)とこの伝達関数G(s)の定常成分すなわち目標周波数応答特性G(0)との差分を用いた下記式2により表すことができる。
Figure 0005126357
なお、前記式2中のδは目標転舵角演算部51によって計算された目標転舵角を表す。
ところで、一般的に、車両2輪モデルにおける車両の運動方程式は、下記式3〜5で示すことができる。
Figure 0005126357
ただし、前記式3中のmは車両の慣性質量を表す。また、前記式3,4中のK,Kは車両の前輪コーナリングパワー,車両の後輪コーナリングパワーを表し、L,Lは車両重心点と前輪車軸間距離,車両の重心点と後輪車軸間距離を表し、δは左右前輪FW1,FW2の実転舵角を表す。また、前記式4中のIは車両のヨーイング慣性モーメントを表す。また、前記式3,4,5中のVは車速を表し、βは車両重心点における横すべり角を表し、γは車両のヨーレートを表す。さらに、前記式5中のagyは車両の横加速度を表す。
そして、前記式3,4,5をそれぞれラプラス変換して連立方程式を解き、さらに、実転舵角δで整理して前記式1を用いると、下記式6が得られる。
Figure 0005126357
なお、前記式6から明らかなように、伝達関数G(s)は、車両の諸元として予め決定されている慣性質量m、車両の前輪コーナリングパワーK,車両の後輪コーナリングパワーK、車両重心点と前輪車軸間距離L,車両の重心点と後輪車軸間距離Lに基づいて決定される。そして、このように得られる前記式6を前記式2に適用して整理すると、補正転舵角δcは下記式7により表される。
Figure 0005126357
ただし、前記式7中のδ’は、目標転舵角δの時間微分値(=dδ/dt)である目標転舵速度を表す。また、前記式7中の第2伝達関数としての伝達関数K(s)は下記式8により表される。
Figure 0005126357
ここで、前記式8により表される伝達関数K(s)は、前記式7からも明らかなように、入力を目標転舵速度δ’とし、補正転舵角δc(すなわち、目標転舵速度δ’で転舵する左右前輪FW1,FW2の転舵量)を出力とする伝達関数である。この伝達関数K(s)について、図6Aおよび図6Bに周波数応答特性を示し、図7にステップ応答特性を示す。伝達関数K(s)によれば、目標転舵速度δ’の周波数変化に対して補正転舵角δcのゲイン(振幅比)は、図6Aに示すように、全車速域(低速域、中速域および高速域)において、周波数の増大に伴って増加する変化特性となり、特に、高周波域にてゲインが最大となる変化特性となる。これにより、補正転舵角δcは、左右前輪FW1,FW2の目標転舵速度δ’の周波数変化、言い換えれば、操舵角θの周波数変化に応じて応答性良く変化し、特に、高周波域でゲインが大きくなることにより、上述したヨーレートのゲインの高周波域における減少を改善することができる。
また、伝達関数K(s)によれば、目標転舵速度δ’の周波数変化に対して補正転舵角δcの位相角は、図6Bに示すように、全車速域において、位相を進める変化特性となる。これにより、補正転舵角δcは、左右前輪FW1,FW2の目標転舵速度δ’の周波数変化、言い換えれば、操舵角θの周波数変化に応じて応答性良く変化し、特に、低速域で位相角をほぼ「0」とすることにより、上述した低速域における応答遅れを改善することができる。
また、伝達関数K(s)によれば、図7に示すように、全車速域において、ゲインが時間変化に対して非振動的に減衰されるステップ応答特性となる。そして、このステップ応答特性によれば、低・中速域においては転舵方向に切り増しするゲインが得られるものの、高速域においては初期段階で切り増しするゲインとなりその後切り戻すゲインが得られる。すなわち、特に高速域において、時間の経過に伴って切り戻すゲインが得られることにより、図4Aに示したように、共振周波数におけるヨーレートのゲイン増加を抑制することができ、過剰なヨーの発生を抑制することができる。
そして、補正転舵角演算部52は、前記式8に従い、車速センサ33によって検出された車速Vを用いて、このような特性を有する伝達関数K(s)を決定する。続いて、補正転舵角演算部52は、ステップS13にて、目標転舵角演算部51にて計算された目標転舵角δを時間微分して目標転舵速度δ’を計算する。
続くステップS14においては、補正転舵角演算部52は、前記式7に従い、前記ステップS12にて決定した伝達関数K(s)と前記ステップS13にて計算した目標転舵速度δ’とを乗算し、補正転舵角δcを計算する。そして、補正転舵角演算部52は、補正転舵角δcを計算すると、ステップS15にて補正転舵角演算プログラムの実行を一旦終了し、所定の短い時間の経過後、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
ふたたび、図2に戻り、補正転舵角演算部52は、補正転舵角δcを計算すると、この補正転舵角δcを最終目標転舵角演算部53に供給する。最終目標転舵角演算部53においては、目標転舵角演算部51によって計算された目標転舵角δを入力するとともに、補正転舵角演算部52によって計算された補正転舵角δcを入力し、これら目標転舵角δと補正転舵角δcとを加算して最終目標転舵角δdを計算する。そして、最終目標転舵角演算部53は、計算した最終目標転舵角δdを駆動制御部54に供給する。
駆動制御部54においては、供給された最終目標転舵角δdを入力するとともに、転舵角センサ32から実転舵角δを入力し、最終目標転舵角δdと実転舵角δとの偏差Δδ(=δd−δ)を計算する。そして、駆動制御部54は、偏差Δδに比例する目標電流iを計算し、目標電流iと、電流検出器36aにより検出した転舵アクチュエータ21内の電動モータに流れる実際の電流iとを入力し、両者の偏差Δi(=i−i)を算出する。
さらに、駆動制御部54は、計算した偏差Δiに比例した比例項と偏差Δiを積分した積分項とを加算し、偏差Δiがゼロになるように、転舵アクチュエータ21内の電動モータを駆動するための目標電圧vを計算する。そして、駆動制御部54は、目標電圧vに対応したPWM制御電圧信号を駆動回路36に出力する。駆動回路36は、PWM制御電圧信号に対応したデューティ比でスイッチング素子をオンオフして、目標電圧vを転舵アクチュエータ21内の電動モータに印加する。これにより左右前輪FW1,FW2は、転舵アクチュエータ21内の電動モータの駆動力により最終目標転舵角δdまで転舵される。
ここで、左右前輪FW1,FW2が最終目標転舵角δdまで転舵されて旋回する車両に発生するヨーレートγについて説明する。前記式1において、転舵角δとして最終目標転舵角δdすなわちδ+δcを代入とともにこの式1を前記式2を用いて目標転舵角δで整理すると、ヨーレートγは、下記式9により表すことができる。
Figure 0005126357
前記式9によれば、補正転舵角δcが付与されて旋回する車両に発生するヨーレートγは、目標転舵角δに対して伝達関数G(s)の定常成分G(0)を乗算したものとなる。言い換えれば、図4Aに対応して図8に示すように、低速域、中速域および高速域で異なる周波数応答特性を有する伝達関数G(s)の定常成分G(0)を目標周波数応答特性とすることにより、ヨーレートγは、目標転舵角δに対して目標周波数応答特性G(0)を適用した特性を有することになる。
このように、目標周波数応答特性G(0)を適用した場合には、図8からも明らかなように、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δの周波数変化に対してヨーレートγのゲイン変化が抑えられ、また、車速Vが変化してもゲインの変化特性が同一傾向にある。これにより、図4Aに対応して図9Aに実線により示すように、補正転舵角δcを付与して目標転舵角δを補正する場合には、破線により示す目標転舵角δを補正しない場合に比して、共振周波数における過剰なヨーの発生が抑制されるとともに、高周波域におけるゲインの減少が抑制されて初期応答特性を向上させることができる。また、図4Bに対応して図9Bに実線により示すように、補正転舵角δcを付与して目標転舵角δを補正する場合には、破線により示す目標転舵角δを補正しない場合に比して、高周波域における位相遅れが抑制されて応答遅れを改善することができる。
以上の説明からも理解できるように、この第1実施形態によれば、補正転舵角演算部52は、第1伝達関数としての伝達関数G(s)を用い、その周波数応答特性、より具体的には、実転舵角δの周波数変化に対して車両に発生するヨーレートγのゲインの応答特性のうちの定常成分G(0)を目標周波数応答特性として設定することができ、第2伝達関数としての伝達関数K(s)を、設定した目標周波数応答特性G(0)と伝達関数G(s)との差分を用いて設定することができる。これにより、伝達関数K(s)は、伝達関数G(s)の非定常成分すなわち車両の方向安定性および応答性に影響を与える成分を反映して設定されるため、この伝達関数K(s)を用いて演算される補正転舵角δcは、車両の方向安定性および応答性に影響を与える成分を効果的に補正するものとして演算される。
これにより、この補正転舵角δcによって目標転舵量δを補正することにより、車両に発生するヨーレートγの周波数応答特性の変化、具体的には、ヨーレートγのゲインの応答特性の変化を大幅に抑制することができる。すなわち、この場合には、車両に発生するヨーレートγの周波数応答特性をほぼ一定とすることができ、方向安定性および応答性極めて良好に確保することができる。したがって、車両旋回時におけるより良好な方向安定性および応答性が得られるとともに、車両に発生するヨーレートγの変化に関し、運転者が覚える違和感をより大幅に抑制することができる。
また、補正転舵角演算部52は、車速Vに応じて変化する車両のヨーレートγの周波数応答特性をも考慮して、伝達関数K(s)を設定することができるため、この伝達関数K(s)を用いて演算される補正転舵角δcは、高速域における過剰なヨーの発生を抑制して車両の方向安定性確保し、低速域における応答性を適切に補正するものとして演算される。したがって、車速Vに応じて、より良好な方向安定性および応答性が得られる。
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、補正転舵角演算部52が転舵角δを入力としヨーレートγを出力として過渡応答特性を表す伝達関数G(s)とこの伝達関数G(s)の定常成分G(0)との差分を用いて、目標転舵速度δ’を入力とし補正転舵角δcを出力とする伝達関数K(s)を決定した。そして、この伝達関数K(s)を用いて目標転舵速度δ’に応じた補正転舵角δcを計算するように実施した。これにより、ヨーレートγの周波数応答特性の変化を抑制することができ、高速域における車両の方向安定性を確保するとともに低速域における応答遅れを改善するようにした。
ところで、一般的な車両においては、図10Aに示すように、操舵角θすなわち実転舵角δの周波数変化に対する横加速度のゲイン(振幅比)は、周波数が小さいときにはほぼ一定となり、中・高速域においては周波数が大きくなると減少する傾向を有するのに対して、低速域においては周波数が大きくなると増大する傾向を有する。また、一般的な車両においては、図10Bに示すように、操舵角θすなわち実転舵角δの周波数変化に対する横加速度の位相角は、中・高速域においては周波数が大きくなるのに伴って一旦位相の遅れが大きくなってその後ほぼ「0」となる傾向を有するのに対して、低速域においては周波数が大きくなるのに伴って一旦位相の進みが大きくなってその後ほぼ「0」となる傾向を有する。
このような周波数応答特性により、主に、低速域においては、高周波域におけるゲインの増大および位相の進みによって車両が運転者の意図した軌道よりも内側を通る傾向にあり、運転者は操舵ハンドル11の回動操作に伴って車両が急激に巻き込むような違和感を覚える。また、主に、高速域においては、ゲインが大きく減少するとともに位相の遅れが大きくなる傾向にあり、運転者は、運転者は操舵ハンドル11の回動操作に伴って横加速度の発生が遅れて違和感を覚える。
このため、この第2実施形態においては、補正転舵角演算部52が車速Vに応じて変化する操舵角θすなわち転舵角δに対する横加速度の過渡応答特性の変化を考慮して、目標転舵角δを補正する補正転舵角δcを計算する。なお、以下、この第2実施形態を詳細に説明するが、上記第1実施形態と同一部分に関しては同一の符号を付し、その説明を省略する。
この第2実施形態においても、補正転舵角演算部52は、上記第1実施形態と同様に、図5に示した補正転舵角演算プログラムを実行する。ただし、この補正転舵角演算プログラムにおけるステップS12における処理のみが異なる。すなわち、上述したように、この第2実施形態においては、横加速度の過渡応答特性の変化を考慮して補正転舵角δcを計算する。したがって、補正転舵角演算部52は、ステップS12において、上記第1実施形態における伝達関数K(s)に代えて、補正転舵角δcを計算するための伝達関数Kgy(s)を計算する。以下、この第2伝達関数としての伝達関数Kgy(s)を具体的に説明する。
左右前輪FW1,FW2を転舵角δに転舵させて車両が旋回を開始すると、車両に横加速度agyが発生する。したがって、転舵角δを入力とし横加速度agyを出力とすると、後述するように車両の諸元に基づいて決定される第1伝達関数としての伝達関数Ggy(s)は下記式10により表される。なお、下記式1中のsはラプラス演算子を表す。
Figure 0005126357
ここで、伝達関数Ggy(s)は、図10Aおよび図10Bに示した周波数応答特性を有するものであり、横加速度agyの過渡応答特性を表すものである。このため、上述した低速域における巻き込むような違和感を抑制するとともに高速域における横加速度agyの発生遅れを改善する補正転舵角δcは、過渡応答特性を表す伝達関数Ggy(s)とこの伝達関数Ggy(s)の定常成分すなわち目標周波数応答特性Ggy(0)との差分を用いた下記式11により表すことができる。
Figure 0005126357
なお、前記式11中のδは目標転舵角演算部51によって計算された目標転舵角を表す。
ところで、一般的に、車両2輪モデルにおける車両の運動方程式は、上述したように、前記式3〜5で示すことができる。そして、前記式3,4,5をそれぞれラプラス変換して連立方程式を解き、さらに、実転舵角δで整理して前記式10を用いると、下記式12が得られる。
Figure 0005126357
なお、前記式12から明らかなように、伝達関数Ggy(s)も、車両の諸元として予め決定されている慣性質量m、車両の前輪コーナリングパワーK,車両の後輪コーナリングパワーK、車両重心点と前輪車軸間距離L,車両の重心点と後輪車軸間距離Lに基づいて決定される。そして、このように得られる前記式12を前記式11に適用して整理すると、補正転舵角δcは下記式13により表される。
Figure 0005126357
ただし、前記式13中のδ’は、目標転舵角δの時間微分値(=dδ/dt)である目標転舵速度を表す。また、前記式13中の第2伝達関数としての伝達関数Kgy(s)は下記式14により表される。
Figure 0005126357
ここで、前記式14により表される伝達関数Kgy(s)は、前記式13からも明らかなように、入力を目標転舵速度δ’とし、補正転舵角δc(すなわち、目標転舵速度δ’で転舵する左右前輪FW1,FW2の転舵量)を出力とする伝達関数である。この伝達関数Kgy(s)について、図11Aおよび図11Bに周波数応答特性を示し、図12にステップ応答特性を示す。伝達関数Kgy(s)によれば、目標転舵速度δ’の周波数変化に対して補正転舵角δcのゲイン(振幅比)は、図11Aに示すように、全車速域において、ほぼ周波数の増大に伴って減少する変化特性となり、特に、低速域において周波数の増大に伴ってゲインが一様に減少する変化特性となる。これにより、特に、低速域において、補正転舵角δcは、左右前輪FW1,FW2の目標転舵速度δ’の周波数、言い換えれば、操舵角θの周波数が高周波域であるときのゲインが小さくなることにより、上述した巻き込むような違和感を改善することができる。
また、伝達関数Kgy(s)によれば、目標転舵速度δ’の周波数変化に対して補正転舵角δcの位相角は、図11Bに示すように、中・高速域において、周波数の増大に伴う遅れが小さな変化特性となる。これにより、補正転舵角δcは、左右前輪FW1,FW2の目標転舵速度δ’の周波数変化、言い換えれば、操舵角θの周波数変化に応じて応答性良く変化し、特に、中・高速域で位相遅れが小さくなることにより、上述した高速域における横加速度agyの発生遅れを改善することができる。
また、伝達関数Kgy(s)によれば、図12に示すように、中・高速域においてゲインが時間変化に対して振動的に減衰されるステップ応答特性となり、低速域においてゲインが時間変化に対して非振動的に減衰されるステップ応答特性となる。そして、このステップ応答特性によれば、中・高速域においてはより応答性を良くするために転舵方向に切り増しするゲインが得られるものの、低速域においては切り戻すゲインが得られる。すなわち、低速域において、時間の経過に伴って切り戻すゲインが得られることにより、図10Aに示したように、横加速度のゲイン増加を抑制することができ、巻き込むような違和感を改善することができる。
そして、補正転舵角演算部52は、前記式14に従い、上記第1実施形態と同様に、車速センサ33によって検出された車速Vを用いて、このような特性を有する伝達関数Kgy(s)を決定する。続いて、補正転舵角演算部52は、上記第1実施形態と同様に、ステップS13以降の各ステップ処理を実行する。
ここで、上記第1実施形態と同様に、左右前輪FW1,FW2が最終目標転舵角δdまで転舵されて旋回する車両に発生する横加速度agyについて説明する。前記式10において、転舵角δとして最終目標転舵角δdすなわちδ+δcを代入とともにこの式10を前記式11を用いて目標転舵角δで整理すると、横加速度agyは、下記式15により表すことができる。
Figure 0005126357
前記式15によれば、補正転舵角δcが付与されて旋回する車両に発生する横加速度agyは、目標転舵角δに対して伝達関数Ggy(s)の定常成分Ggy(0)を乗算したものとなる。言い換えれば、図10Aに対応して図13に示すように、低速域、中速域および高速域で異なる周波数応答特性を有する伝達関数Ggy(s)の定常成分Ggy(0)を目標周波数応答特性とすることにより、横加速度agyは、目標転舵角δに対して目標周波数応答特性Ggy(0)を適用した特性を有することになる。
このように、目標周波数応答特性Ggy(0)を適用した場合には、図13からも明らかなように、周波数変化に対して横加速度agyのゲイン変化が抑えられ、また、車速Vが変化してもゲインの変化特性が同一傾向にある。これにより、図10Aに対応して図14Aに実線により示すように、低速域において補正転舵角δcを付与して目標転舵角δを補正する場合には、破線により示す目標転舵角δを補正しない場合に比して、高周波域におけるゲインの増加が抑制されて運転者が知覚する巻き込むような違和感を改善することができる。また、図10Bに対応して図14Bに実線により示すように、高速域において補正転舵角δcを付与して目標転舵角δを補正する場合には、破線により示す目標転舵角δを補正しない場合に比して、高周波域における位相遅れが抑制されて横加速度agyの発生が遅れることに起因して運転者が知覚する違和感を改善することができる。
以上の説明からも理解できるように、この第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、補正転舵角演算部52は、第1伝達関数としての伝達関数Ggy(s)を用い、その周波数応答特性、より具体的には、実転舵角δの周波数変化に対して車両に発生する横加速度agyのゲインの応答特性のうちの定常成分Ggy(0)を目標周波数応答特性として設定することができ、第2伝達関数としての伝達関数Kgy(s)を、設定した目標周波数応答特性Ggy(0)と伝達関数Ggy(s)との差分を用いて設定することができる。これにより、伝達関数Kgy(s)は、伝達関数Ggy(s)の非定常成分すなわち車両の方向安定性および応答性に影響を与える成分を反映して設定されるため、この伝達関数Kgy(s)を用いて演算される補正転舵角δcは、車両の方向安定性および応答性に影響を与える成分を効果的に補正するものとして演算される。
これにより、この補正転舵角δcによって目標転舵量δを補正することにより、車両に発生する横加速度agyの周波数応答特性の変化、具体的には、横加速度agyのゲインの応答特性の変化を大幅に抑制することができる。すなわち、この場合には、車両に発生する横加速度agyの周波数応答特性をほぼ一定とすることができ、方向安定性および応答性極めて良好に確保することができる。したがって、車両旋回時におけるより良好な方向安定性および応答性が得られるとともに、車両に発生する横加速度agyの変化に関し、運転者が覚える違和感をより大幅に抑制することができる。
また、補正転舵角演算部52は、車速Vに応じて変化する車両の横加速度agyの周波数応答特性をも考慮して、伝達関数Kgy(s)を設定することができるため、この伝達関数Kgy(s)を用いて演算される補正転舵角δcは、低速域における巻き込むような違和感を抑制して車両の方向安定性確保し、高速域における応答性を適切に補正するものとして演算される。したがって、車速Vに応じて、より良好な方向安定性および応答性が得られて、運転者が知覚する違和感を大幅に低減することができる。
c.第3実施形態
上記第1および第2実施形態においては、車両の操舵装置として、操舵ハンドル11と左右前輪FW1,FW2との機械的な連結を解除したステアリングバイワイヤ方式を採用して実施した。この場合、図15に示すように、ステアリングギア比(伝達比)を自在に調整可能なギア比可変操舵装置を採用して実施することもできる。以下、この第3実施形態を詳細に説明するが、上記第1および第2実施形態と同一部分に同一の符号を付し、その説明を省略する。
この第3実施形態における車両の操舵装置は、上記第1および第2実施形態における反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21が省略され、操舵入力軸12と転舵出力軸22とが可変ギア比アクチュエータ60によって連結されている。可変ギア比アクチュエータ60は、電動モータ61および減速機62を備えており、操舵入力軸12の回転量(または回転角)に対して、減速機62に接続された転舵出力軸22の回転量(または回転角)を適宜変更するものである。
電動モータ61は、そのモータハウジングが操舵入力軸12と一体的に接続されており、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に従って一体的に回転するようになっている。また、電動モータ61の駆動シャフト61aは減速機62に接続されており、電動モータ61の回転力が駆動シャフト61aを介して減速機62に伝達されるようになっている。減速機62は、所定のギア機構(例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)機構や遊星ギア機構など)によって構成されており、転舵出力軸22はこのギア機構に接続されている。これにより、減速機62は、電動モータ61の回転力が駆動シャフト61aを介して伝達されると、所定のギア機構によって駆動シャフト61aの回転を適宜減速して転舵出力軸22に回転を伝達することができる。したがって、可変ギア比アクチュエータ60は、電動モータ61の駆動シャフト61aを介して、操舵入力軸12と転舵出力軸22とを相対回転可能に連結しており、減速機62によって操舵入力軸12の回転量(または回転角)に対する転舵出力軸22の回転量(または回転角)の比、すなわち、操舵入力軸12から転舵出力軸22への回転のステアリングギア比(伝達比)を適宜変更することができる。
また、この第3実施形態においては、反力アクチュエータ13の省略に伴い、運転者によって操舵ハンドル11に入力される操作力(操舵トルク)を軽減するための電動モータ25が設けられている。そして、電動モータ25が発生するトルク(アシストトルク)はラックバー24に伝達されるようになっている。これにより、転舵出力軸22の回転力がピニオンギア23を介してラックバー24に伝達されるとともに、電動モータ25のアシストトルクがラックバー24に伝達される。このように、電動モータ25によるアシストトルクが付与されることにより、運転者が操舵ハンドル11に入力する操舵トルクを軽減することができる。
また、この第3実施形態においては、電気制御装置が操舵トルクセンサ37を備えている。操舵トルクセンサ37は、例えば、トーションバーとともに回転するレゾルバロータとレゾルバロータと向かい合って車体側に固定されるレゾルバステータとを備えており、転舵出力軸22に組み付けられて運転者が操舵ハンドル11を介して転舵出力軸22に入力する操舵トルクTを検出する。なお、操舵トルクセンサ37は、操舵ハンドル11が右方向に回動操作されたときの操舵トルクTを正の値として出力し、操舵ハンドル11が左方向に回動操作されたときの操舵トルクTを負の値として出力する。
さらに、この第3実施形態においては、電子制御ユニット34に接続される駆動回路35が電動モータ25を駆動し、駆動回路36が可変ギア比アクチュエータ60の電動モータ61を駆動するように変更される。なお、この第3実施形態においても、駆動回路35,36内には電動モータ25および電動モータ61に流れる駆動電流を検出するための電流検出器35a,36aが設けられている。そして、電流検出器35a,36aによって検出された駆動電流は、それぞれ、電子制御ユニット34にフィードバックされている。
このように構成した第3実施形態においても、電子制御ユニット34は、図2に示すように、上記第1および第2実施形態と同様に反力制御部40および転舵制御部50とからなる。なお、この第3実施形態においても、反力制御部40の動作については、本発明と直接関係しないため、以下に簡単に説明しておく。
目標反力トルク演算部41は、操舵角センサ31から操舵角θと、車速センサ33から車速Vと、操舵トルクセンサ37から操舵トルクTを入力する。そして、目標反力トルク演算部41は、これら入力した操舵角θ、車速Vおよび操舵トルクTの大きさに応じて、目標反力トルクTz、すなわち、操舵トルクTを軽減して目標反力トルクTzとするためのアシストトルクを決定する。
このように計算された目標反力トルクTz、言い換えれば、アシストトルクは、駆動制御部42に供給される。そして、駆動制御部42は、供給されたアシストトルクに応じた制御信号(例えば、PWM制御信号)を駆動回路35に出力することで、アシストトルクに応じた駆動電流を電動モータ25に流す。これにより、電動モータ25がラックバー24に対してアシストトルクを付与し、その結果、目標反力トルクTzに等しい反力が操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に付与される。したがって、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に対して適切な反力が付与され、運転者は、この反力を知覚しながら操舵ハンドル11を快適に回動操作することができる。
一方、転舵制御部50においては、目標転舵角演算部51、補正転舵角演算部52および最終目標転舵角演算部53が上記第1または第2実施形態と同様に動作する。ただし、この第3実施形態においては、駆動制御部54が可変ギア比アクチュエータ60の電動モータ61を駆動制御する点で異なる。すなわち、駆動制御部54は、供給された最終目標転舵角δdを入力するとともに、転舵角センサ32から実転舵角δを入力し、最終目標転舵角δdと実転舵角δとの偏差Δδ(=δd−δ)を計算する。そして、駆動制御部54は、偏差Δδに比例する目標電流iを計算し、目標電流iと、電流検出器36aにより検出した可変ギア比アクチュエータ60内の電動モータ61に流れる実際の電流iとを入力し、両者の偏差Δi(=i−i)を算出する。
さらに、駆動制御部54は、計算した偏差Δiに比例した比例項と偏差Δiを積分した積分項とを加算し、偏差Δiがゼロになるように、電動モータ61を駆動するための目標電圧vを計算する。そして、駆動制御部54は、目標電圧vに対応したPWM制御電圧信号を駆動回路36に出力する。駆動回路36は、PWM制御電圧信号に対応したデューティ比でスイッチング素子をオンオフして、目標電圧vを電動モータ61に印加する。これにより左右前輪FW1,FW2は、電動モータ61の駆動力により最終目標転舵角δdまで転舵される。
このように、第3実施形態においても、目標転舵角δを補正転舵角δcによって補正し、この補正した最終目標転舵角δdまで左右前輪FW1,FW2を転舵させることができる。したがって、上記第1または第2実施形態と同様の効果が得られる。
d.変形例
上記第1実施形態においては、ヨーレートγの過渡応答特性の変化を抑制して、特に、高速域における車両の方向安定性を良好に確保するようにした。一方、上記第2実施形態においては、横加速度agyの過渡応答特性の変化を抑制して、特に、低速域で運転者が知覚する巻き込むような違和感を良好に抑制するようにした。このため、車速Vの大きさすなわち車速域に応じて、ヨーレートγの過渡応答特性の変化を抑制することと、横加速度agyの過渡応答特性の変化を抑制することとを切り替えて実施することも可能である。
具体的に説明すると、転舵角を補正しない車両において、ヨーレートγの過渡応答特性の変化すなわち周波数変化に対するゲインおよび位相の変化は、図4Aに示したように、中速域における変化が比較的小さい。また、転舵角を補正しない車両において、横加速度agyの過渡応答特性の変化すなわち周波数変化に対するゲインおよび位相の変化も、図10Aに示したように、中速域における変化が比較的小さい。
したがって、電子制御ユニット34は、例えば、車速センサ33から入力した車速Vが小さな低速域においては、上記第2実施形態と同様に、補正転舵角演算部52により転舵角δを入力とし横加速度agyを出力する伝達関数Ggy(s)とこの伝達関数Ggy(s)の定常成分Ggy(0)との差分を用いて、目標転舵速度δ’を入力とし補正転舵角δcを出力とする伝達関数Kgy(s)を決定する。そして、この伝達関数K(s)を用いて目標転舵速度δ’に応じた補正転舵角δcを計算する。これにより、横加速度agyの過渡応答特性の変化を抑制することができ、低速域で運転者が知覚する巻き込むような違和感を効果的に抑制する。
そして、電子制御ユニット34は、車速センサ33から入力した車速Vが比較的大きな中速域において、横加速度agyの過渡応答特性の変化を抑制することからヨーレートγの過渡応答特性の変化を抑制することに切り替える。これにより、電子制御ユニット34は、中・高速域においては、上記第1実施形態と同様に、補正転舵角演算部52により転舵角δを入力としヨーレートγを出力として過渡応答特性を表す伝達関数G(s)とこの伝達関数G(s)の定常成分G(0)との差分を用いて、目標転舵速度δ’を入力とし補正転舵角δcを出力とする伝達関数K(s)を決定する。そして、この伝達関数K(s)を用いて目標転舵速度δ’に応じた補正転舵角δcを計算する。これにより、ヨーレートγの過渡応答特性の変化を抑制することができ、高速域における車両の方向安定性を良好に確保する。
このように、検出された車速Vに応じて、ヨーレートγの過渡応答特性の変化を抑制することと、横加速度agyの過渡応答特性の変化を抑制することとを切り替えて補正転舵角δcを計算し、目標転舵角δを補正することにより、車速Vによって異なる運転者が知覚する違和感を効果的に低減することができて、好適である。
本発明の実施にあたっては、上記第1ないし第3実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上記第1および第2実施形態においては、転舵アクチュエータ21が転舵出力軸22を介して左右前輪FW1,FW2を最終目標転舵角δdまで転舵するように実施した。また、上記第3実施形態においては、可変ギア比アクチュエータ60が転舵出力軸22を介して左右前輪FW1,FW2を最終目標転舵角δdまで転舵するように実施した。
ところで、例えば、図15に示したように、電動モータ25と操舵トルクセンサ37とを備えている車両の操舵装置であれば、転舵アクチュエータ21または可変ギア比アクチュエータ60を用いなくても、左右前輪FW1,FW2の転舵角δを補正転舵角δcにより補正することが可能となる。
すなわち、上述したように、操舵トルクセンサ37はトーションバーを備えているため、若干量ではあるが捩じることが可能である。このため、例えば、電動モータ25を駆動させてトーションバーを捩じることが可能な範囲内であれば、補正転舵角δcにより左右前輪FW1,FW2の転舵角δを補正することが可能である。ただし、この場合、一般的にトーションバーの捩じり量が増大すると操舵トルクTが大きく検出されることになり、その結果、上記第3実施形態で説明したように、電動モータ25によるアシストトルクが増大することになる。このため、電子制御ユニット34は、トーションバーの捩じりを利用して転舵角δを補正するときには、例えば、電動モータ25によるアシストトルクの発生を一時的に中止させて、誤ったアシストトルクが付与されないようにするとよい。これにより、上記第1ないし第3実施形態の場合に比して、その効果が若干劣るものの、左右前輪FW1,FW2の転舵角δを補正することができて、運転者が知覚する違和感を抑制することができる。
また、上記第1ないし第3実施形態および変形例においては、車両を操舵するために回動操作される操舵ハンドル11を用いるようにした。しかし、これに代えて、例えば、直線的に変位するジョイスティックタイプの操舵ハンドルを用いてもよいし、その他、運転者によって操作されるとともに車両に対する操舵を指示できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
さらに、上記第1および第2実施形態においては、転舵アクチュエータ21を用いて転舵出力軸22を回転させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵させるようにした。しかし、これに代えて、転舵アクチュエータ21を用いてラックバー24を直接的にリニアに変位させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵させるようにしてもよい。

Claims (10)

  1. 車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、この操舵ハンドルの操作に応じて転舵輪を転舵させる転舵手段とを備えた車両の操舵装置において、
    前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、
    前記操舵ハンドルに対する操作入力値と予め設定された関係にある前記転舵輪の目標転舵量を、前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値を用いて演算する目標転舵量演算手段と、
    車両の諸元に基づいて決定されて前記転舵輪の転舵量を入力とし前記転舵輪の転舵により車両に発生する運動状態量を出力とする第1伝達関数を用いて、前記目標転舵量演算手段によって演算された目標転舵量の時間変化を表す目標転舵速度を入力としこの目標転舵速度で転舵する前記転舵輪の転舵量を出力とする第2伝達関数を設定する伝達関数設定手段と、
    前記伝達関数設定手段によって設定された第2伝達関数と前記目標転舵速度とを用いて、前記目標転舵量演算手段によって演算された目標転舵量で前記転舵輪が転舵するときに車両に発生する運動状態量の変化を補正する補正転舵量を演算する補正転舵量演算手段と、
    前記目標転舵量演算手段によって演算された目標転舵量に対して前記補正転舵量演算手段によって演算された補正転舵量を加算して最終目標転舵量を演算する最終目標転舵量演算手段と、
    前記最終目標転舵量演算手段によって演算された最終目標転舵量に応じて前記転舵輪を転舵させる転舵制御手段とを備えた車両の操舵装置。
  2. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記伝達関数設定手段は、
    前記第1伝達関数の周波数応答特性のうちの定常成分を目標周波数応答特性として設定し、
    前記第2伝達関数を、前記設定した目標周波数応答特性と前記第1伝達関数の周波数応答特性との差分を用いて設定することを特徴とする車両の操舵装置。
  3. 請求項2に記載した車両の操舵装置において、
    前記第1伝達関数の周波数応答特性は、
    前記転舵輪の転舵量の周波数変化に対して前記車両に発生する運動状態量のゲインの応答特性であることを特徴とする車両の操舵装置。
  4. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、さらに、
    車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記伝達関数設定手段は、
    前記車速検出手段によって検出された車速を用いて、前記第2伝達関数を設定することを特徴とする車両の操舵装置。
  5. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記車両に発生する運動状態量は、
    車両のヨーレートまたは車両の横加速度であることを特徴とする車両の操舵装置。
  6. 請求項5に記載した車両の操舵装置において、さらに、
    車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記伝達関数設定手段は、
    前記車速検出手段によって検出された車速に応じて、前記車両の運動状態量を車両のヨーレートまたは車両の横加速度に変更して前記第1伝達関数を決定することを特徴とする車両の操舵装置。
  7. 請求項6に記載した車両の操舵装置において、
    前記伝達関数設定手段は、
    前記車速検出手段によって検出された車速が小さな低速域で車両が走行しているときに前記車両の運動状態量を車両の横加速度に決定し、前記車速検出手段によって検出された車速が大きな高速域で車両が走行しているときに前記車両の運動状態量を車両のヨーレートに決定することを特徴とする車両の操舵装置。
  8. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記操舵ハンドルと前記転舵手段との機械的な連結が解除されており、
    前記転舵制御手段は、
    前記転舵手段を作動させるためのアクチュエータを駆動制御して、前記転舵輪を前記最終目標転舵量に転舵させることを特徴とする車両の操舵装置。
  9. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記操舵ハンドルと前記転舵手段とが、前記操舵ハンドルへの操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量の比を可変する可変手段によって連結されており、
    前記転舵制御手段は、
    前記可変手段を作動制御して、前記転舵輪を前記最終目標転舵量に転舵させることを特徴とする車両の操舵装置。
  10. 請求項8または請求項9に記載した車両の操舵装置において、さらに、
    車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記目標転舵量演算手段は、
    前記車速検出手段によって検出された車速が小さな低速域で車両が走行しているときに前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量の比が大きくなる目標転舵量を演算し、前記車速検出手段によって検出された車速が大きな高速域で車両が走行しているときに前記検出された操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量の比が小さくなる目標転舵量を演算することを特徴とする車両の操舵装置。
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