JP5796326B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
絵柄印刷層の上に熱可塑性樹脂層が形成された化粧シートは、高い荷重がかかっても絵柄消失がないため、好適に用いられている。しかしながら、上記化粧シートに高い荷重をかけると、熱可塑性樹脂層が抉れて、白化傷が生じるという問題がある。そこで、熱可塑性樹脂層の上に、2液硬化型のトップコート層、電離放射線硬化型のトップコート層等を設けることが提案されている。
特開2006−123512号公報
しかしながら、2液硬化型のトップコート層を有する化粧シートは、擦り傷が発生しやすいという問題がある。また、電離放射線硬化型のトップコート層を有する化粧シートは、擦り傷には強いものの、高い荷重がかかる場合、熱可塑性樹脂層の凹み(弾性変形)に起因して抉れ傷、白化傷及び凹み傷が発生するという問題がある。
従って、本発明の目的は、高荷重下においても柄消失がなく、抉れ傷、白化傷、擦り傷及び凹み傷が付き難く、耐割れ性に優れた化粧シート並びに化粧材を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂層及びトップコート層としてそれぞれ特定のものを使用する場合には、化粧シートが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートに関する。
1.少なくとも熱可塑性樹脂層及びトップコート層を順に有する化粧シートであって、
(1)前記トップコート層は複数の層からなり、電離放射線硬化型樹脂を含む最表層及び当該最表層の裏面側に2液硬化型ウレタン系樹脂を含有する下層を有し、
(2)前記トップコート層の厚みが20μm以上であり、
(3)前記熱可塑性樹脂層の厚みが40〜120μmであり、
(4)前記熱可塑性樹脂層の厚みに対するトップコート層の厚みの比率が20%以上である、
ことを特徴とする、化粧シート。
2.前記熱可塑性樹脂層のJIS K7161の規定に従って測定した引張弾性率が400〜1200MPaである、上記項1に記載の化粧シート。
3.前記熱可塑性樹脂層がオレフィン系樹脂である、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4.基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、熱可塑性樹脂層、及びトップコート層を順に有する、上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記最表層のマルテンス硬さが40〜140N/mmである、上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シートを木質基材に貼着してなる、化粧材。

以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。
化粧シート
本発明の化粧シートは、少なくとも熱可塑性樹脂層及びトップコート層を順に有する化粧シートであって、
(1)前記トップコート層は、電離放射線硬化型樹脂を含む最表層を有し、
(2)前記トップコート層の厚みが20μm以上であり、
(3)前記熱可塑性樹脂層の厚みが40〜120μmであり、
(4)前記熱可塑性樹脂層の厚みに対するトップコート層の厚みの比率が20%以上であることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂層及びトップコート層がそれぞれ上記特定の条件を満たすため、高荷重下においても柄消失がなく、抉れ傷、白化傷、凹み傷及び擦り傷が付き難く、耐割れ性(耐衝撃性)に優れる。
本発明の化粧シートの構成は限定的ではなく、少なくとも熱可塑性樹脂層及びトップコート層を順に有する化粧シートであればよい。例えば、基材シート上に着色隠蔽層、絵柄模様層、接着剤層、熱可塑性樹脂層、及びトップコート層が順に積層された化粧シート等が挙げられる。以下、上記化粧シートの構成を代表例として、構成する各層について説明する。
(基材シート)
基材シートとしては、特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、1)薄紙、上質紙、クラフト紙、和紙、チタン紙、樹脂含浸紙、紙間強化紙等の紙、2)木質繊維、ガラス繊維、石綿、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)熱可塑性樹脂 等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、アイオノマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂などを使用することができる。これら樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合、上記のような熱可塑性樹脂等に対して着色剤(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色剤としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料を使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色剤の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20〜300μmが好ましい。
基材シートが熱可塑性樹脂である場合、その片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、基材シート表面の表面張力が30dyn/cm以上、好ましくは40dyn/cm以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
本発明の化粧シートは、必要に応じて、基材シートの裏面側に、プライマー層(裏面プライマー層)を設けても良い。また、図示はしないが、本発明の化粧シートは基材シートの裏面プライマー層側に後述する接着剤層の接着剤を介してポリエステル系バッカー材をドライラミネート方式で積層してもよい。裏面プライマー層を設けない場合には、基材シートの裏面側に硬質ポリオレフィン系バッカー材を溶融押出しラミネート方式等で積層し、バッカー材の裏面側に裏面プライマー層を設けてもよい。
基材シートの裏面側に裏面プライマー層を設ける場合、その材質(添加剤も含む)、塗工方法、塗布量、厚み等は、後述するプライマー層と同様である。
(絵柄模様層)
基材シートの上には、必要に応じて、絵柄模様層を形成することができる。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点から、水性組成物を使用することもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等をさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を主成分とする共重合体を使用することもできる。なお、これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
(着色隠蔽層)
基材シートと絵柄模様層との間には、必要に応じて、更に着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、化粧シートのおもて面から被着材の地色を隠蔽したい場合に設けられる。本発明では、隠蔽性を安定させるために着色隠蔽層を更に形成しても良い。
着色隠蔽層を形成するインクとしては、隠蔽着色が可能な公知のインクを使用できる。
着色隠蔽層の形成方法は、基材シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
着色隠蔽層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は0.2〜10μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜5μm程度である。
(接着剤層)
後記する熱可塑性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、意匠性を損なわせないものであれば、特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては、特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シート分野における公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を主成分とする共重合体を使用することもできる。なお、これら接着剤は1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層の形成には、公知の印刷法を採用することができる。例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
(熱可塑性樹脂層)
本発明の化粧シートでは、熱可塑性樹脂層が形成される。上記熱可塑性樹脂層は、例えば、基材シート、絵柄模様層、接着剤層等の上に形成することができる。
熱可塑性樹脂層の厚みは、40〜120μmである。より好ましくは、60〜100μmである。厚みが40μm未満であると、抉れ傷、白化傷が生じ易く、120μmを超えると、白化傷及び凹み傷が生じ易い。
熱可塑性樹脂層の引張弾性率は、400〜1200MPaであることが好ましく、800〜1100MPaがより好ましい。熱可塑性樹脂層の引張弾性率が上記範囲内であれば、耐割れ性(耐衝撃性)等に特に優れる。なお、引張弾性率は、1)異なる引張弾性率を有する2種以上の上記樹脂を混合する、2)上記樹脂にエラストマーを混合する、等によって適宜設定することができる。
本明細書における引張弾性率は、JIS K7161の規定に従って測定した値である。具体的には、引張試験機(テンシロン万能試験機RTC−1250A)を用いて、図1に示す形状に打ち抜かれた試験サンプル(熱可塑性樹脂層)の両端(図1のA及びB)を、50mm/min.の速度で引っ張った場合の引張弾性率(MPa)を測定することにより求めた値である。
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体又はプロピレンを主成分とする共重合体を使用することができる。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂が挙げられる。ポリプロピレンは市販品(例えば、プライムポリマー株式会社製(プライムTPO「J−5900」、プライムポリプロ「F219DA」)等)を使用することができる。
上記樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱可塑性樹脂層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
熱可塑性樹脂層の形成方法は限定的でなく、例えば予め形成されたシート又はフィルムを隣接する層にラミネートする方法、熱可塑性樹脂層を形成し得る樹脂組成物を溶融押出し、隣接する層と一緒にラミネートする方法等がある。予め形成されたシート又はフィルムをラミネートする方法としては、例えばドライラミネート方式によるラミネート方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂層は、前述の基材シートと同様、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。コロナ放電処理の条件については、前述の基材シートにおける条件と同様である。
(トップコート層)
本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂層の上にトップコート層を有する。
トップコート層は、少なくとも電離放射線硬化型樹脂を含有する最表層を有する層であり、熱可塑性樹脂層の上に形成された全ての層を指すものとする。具体的には、最表層の単層からなるトップコート層、複数の層からなるトップコート層(例えば、後述するプライマー層及び最表層からなる2層のトップコート層;プライマー層、後述する下層及び最表層からなる3層のトップコート層)等を挙げることができる。トップコート層における最表層が電離放射線硬化型樹脂を含まない場合、擦り傷が生じてしまう。
トップコート層の厚み(厚さ)は、20μm以上である。好ましくは20〜50μmであり、さらに好ましくは25〜35μmである。一方、上記厚みが20μm未満である場合、熱可塑性樹脂層の凹み変形を抑えきれず、白化傷が生じ易い。
熱可塑性樹脂層の厚みに対するトップコート層の厚みの比率(=(トップコート層の厚み/熱可塑性樹脂層の厚み)×100)は、20%以上である。好ましくは、20〜50%である。一方、上記比率が20%未満である場合、トップコート層の厚みが20μm未満である場合と同様に熱可塑性樹脂層の凹み変形を抑えきれず、白化傷が生じ易い。
以下、トップコート層を形成する各層について、詳細に説明する。
〔最表層〕
本発明の化粧シートの最表面には、最表層が形成されている。
最表層は、樹脂成分として少なくとも電離放射線硬化型樹脂を含有する。実質的には、電離放射線硬化型樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能な官能基を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。例えば、ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーがウレタン(メタ)アクリレートである場合、ポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリカプロラクトンジオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)を反応させて得られる末端イソシアネート基を有する化合物に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、または2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)等の(メタ)アクリレート基を反応させることで、末端に(メタ)アクリロイル基を有する単官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物として得られるものである。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
最表層には、樹脂成分として、電離放射線硬化型樹脂の他、各種樹脂を併用することもできる。上記併用できる樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
最表層は、電離放射線を照射することにより硬化させることができる。電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常190〜380nmが好ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。その中でも、特に100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射できるものが好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましく、2〜5Mradがより好ましい。
また、最表層は、必要に応じて、耐候剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、艶消し材、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料等の着色剤、溶剤等の各種添加剤を含んでもよい。
最表層は、例えば、熱可塑性樹脂層(トップコート層がプライマー層、下層等を有する場合は、当該層)の上に、電離放射線硬化型樹脂を含む樹脂組成物をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、電離放射線を照射して樹脂を硬化させることにより形成できる。
最表層の厚みは、トップコート層の厚みが20μm以上となるようにすれば特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、3〜30μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
最表層の硬さは特に限定されないが、マルテンス硬さが40〜140N/mm2であることが好ましい。マルテンス硬さが上記範囲内であることによって、抉れ傷及び白化傷がより付き難くなる。
なお、本明細書におけるマルテンス硬さは、表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM-500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて測定される値であり、具体的な測定方法は次の通りである。この測定方法では、図2(a)に示されるダイヤモンド圧子(ビッカーズ圧子)を用いて、図2(b)に示すように測定試料にダイヤモンド圧子を押し込み、表面にできたピラミッド形のくぼみの対角線の長さからその表面積A(mm2)を計算し、試験荷重F(N)を割ることにより硬さを求める。押し込み条件は、室温(実験室環境温度)において、図2(c)に示される通り、先ず0〜5mNまでの負荷を10秒間で加え、次に5mNの負荷で5秒間保持し、最後に5〜0 mNまでの除荷を10秒間で行う。そして、表面積A、試験荷重Fに基づきF/Aにより求められる硬度が前記マルテンス硬さである。なお、本明細書では、最表層以外の層の硬度の影響を回避するために最表層の断面のマルテンス硬さを測定した。これに際し、化粧シートを樹脂(冷間硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂)で埋包し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを機械研磨して最表層の断面を露出させ、当該断面に(充填材等の微粒子が最表層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置に)ダイヤモンド圧子を押し込むことにより断面のマルテンス硬さを測定した。
マルテンス硬さは、電離放射線硬化型樹脂を適宜配合することによって設定することができる。例えば、電離放射線硬化型樹脂としてウレタンアクリレートを使用する場合、2官能ウレタンアクリレートと6官能ウレタンアクリレートを適宜配合したり、または分子量1500程度の3官能ウレタンアクリレートのみを使用する等により、所望のマルテンス硬さを得ることができる。なお、ここで2官能ウレタンアクリレートとは1分子中にラジカル重合性のアクリロイル基を2つ有するウレタンアクリレートを意味する。3官能ウレタンアクリレートと6官能ウレタンアクリレートについても同様に、1分子中にラジカル重合性のアクリロイル基をそれぞれ3つ、6つ有するウレタンアクリレートを意味する。
〔下層〕
本発明の化粧シートは、最表層の裏面側に、必要に応じて下層を設けることができる。
前記下層は、単層の場合だけでなく、2層以上の複数層であってもよい。
下層は、樹脂成分として特に限定されないが、電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましく、2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することがより好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、例えば、前記最表層で例示された電離放射線硬化型樹脂と同様の樹脂を使用することができる。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
下層には、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂の他、前述の最表層で併用できる樹脂と同様のものを使用することができる。
下層を構成する樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含む場合、電離放射線の照射によって上記電離放射線硬化型樹脂が硬化される。そのため、耐傷性、耐衝撃性等に優れた化粧シートが得られる。
電離放射線の種類・条件等については、前述の最表層における電離放射線と同様である。
下層は、必要に応じて、耐候剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、艶消し材、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料等の着色剤、溶剤等の各種添加剤を含んでもよい。
下層は、例えば、熱可塑性樹脂層(トップコート層がプライマー層を有する場合は、当該プライマー層)の上に、下層を形成する樹脂組成物をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、適宜樹脂を硬化させることにより形成できる。
下層の厚みは、トップコート層の厚みが20μm以上となるようにすれば特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、1〜30μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。
〔プライマー層〕
熱可塑性樹脂層と最表層(トップコート層に下層を設ける場合は、下層)との間には、必要に応じて、プライマー層を形成することができる。前記プライマー層を形成することにより、熱可塑性樹脂層と最表層(又は下層)の密着性を向上させることができる。
プライマー層は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(イソシアネート硬化剤と各種ポリオールからなる2液硬化型)、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、ポリカーボネート系樹脂などの溶液を塗工することにより形成される。また、これらの樹脂を主成分とする共重合体を使用することもできる。例えば、ポリウレタン−アクリル(ポリオール)共重合体、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル(ポリオール)共重合体等を使用できる。
なお、プライマー層を構成する上記樹脂は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
プライマー層には上記樹脂以外に、シリカ微粉末などの充填剤、紫外線吸収材、光安定剤等の添加剤を添加しても良い。プライマー層は、これらの組成物を、塗工し、必要に応じて乾燥、硬化させることで形成される。具体的にはプライマー組成物をグラビアコート、ロールコート等の方法で塗工して乾燥(硬化)させて形成される。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは1〜4μm程度である。
プライマー層の上には、必要に応じてパターン状低艶印刷層を設けても良い。最表層を施した後、この低艶印刷層を設けた領域がこれ以外の領域に比べて低艶となり、目の錯覚によりその領域が凹部であるかのように認識される意匠となる。
(その他の形態)
以上、基材シート上に着色隠蔽層、絵柄模様層、接着剤層、熱可塑性樹脂層、及びトップコート層が順に積層された化粧シート(いわゆるダブリングシート)を代表例として述べたが、その他の形態であってもよい。例えば、本発明の化粧シートが、着色隠蔽層、絵柄模様層、熱可塑性樹脂層、及びトップコート層が順に積層された化粧シート(いわゆるバックプリントシート)であっても、ダブリングシートの場合と同様の効果が奏される。
化粧シートの製造方法
本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂層の上に最表層を有するトップコート層を形成することにより得られる。例えば、基材シート上に、絵柄模様層(及び着色隠蔽層)、接着剤層、熱可塑性樹脂層、プライマー層及び下層を積層した後、電離放射線硬化型樹脂を含む最表層を形成することにより得られる。
下層が電離放射線硬化型樹脂を含む場合、下層及び最表層を全て積層した後、1回の電離放射線照射によって下層及び最表層の硬化を行うことができる。また、下層を形成した後に電離放射線を照射し、その後、当該硬化した下層の上に最表層を積層し、再度電離放射線を照射して最表層を硬化することもできる。
また、化粧シートのエンボス加工を施す場合は、最表層を形成した後でも形成する前でもよい。例えば、具体的な態様として、1)基材シート上に絵柄模様層、熱可塑性樹脂層、プライマー層、下層及び最表層を形成し、最後にエンボス加工を施してもよい。また、別の態様として、2)基材シート上に絵柄模様層、熱可塑性樹脂層、プライマー層及び下層を順に形成した後、エンボス加工を施し、最後に最表層を形成してもよい。また、さらに別の具体的態様として、3)基材シート上に絵柄模様層、熱可塑性樹脂層を順に形成し、次いでエンボス加工を施した後、下層を設け、最後に最表層を形成してもよい。
エンボス加工は、公知のエンボス版を使用し、例えば、シート温度120℃〜160℃、10〜40kgf/cm2の圧力にて化粧シートの絵柄印刷面側に凹凸パターンを転写す
ればよい。
またワイピング加工を施す場合は、特公昭58−14312号公報などに記載されているように、凹凸模様上に着色インキを塗布した後、ワイピング処理し、凹凸模様の凹部内に着色インキを充填することにより行う。
化粧材
本発明の化粧シートを各種被着材と接合することにより、化粧材とすることができる。被着材の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。
具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(ガラス繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス材料などが挙げられる。
金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料(金属鋼板)が挙げられる。
木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、インシュレーションボード等の繊維板、集成材等が挙げられる。
プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
本発明の化粧シートと前記各種被着材との接合について、特に限定されないが、例えば、接着剤を介して接合することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
接着剤は、本発明の効果に影響を及ぼさない程度に着色剤を含有しても良い。着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニンリンブラック等の有機顔料(染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。着色剤の含有量は着色の濃淡等に応じて適宜設定できるが、接着剤中に1〜20重量%程度が好ましい。
接着剤の厚みは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
このようにして製造された化粧材は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。
本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂層及びトップコート層がそれぞれ特定の条件を満たすため、高荷重下においても柄消失がなく、抉れ傷、白化傷、凹み傷及び擦り傷が付き難く、耐割れ性(耐衝撃性)に優れる。
本明細書において試料の引張弾性率を測定する際の形状を示す模式図(上面図)である。図中、R60は湾曲の程度を指す。 本明細書におけるマルテンス硬さの測定に用いるダイヤモンド圧子(a)、押し込み操作の模式図(b)及び押し込み荷重と変位の一例(c)を示す図である。 本発明の化粧シート(ダブリングシート)の層構成を例示する模式図である。 本発明の化粧シート(バックプリントシート)の層構成を例示する模式図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの裏面にプライマー層(裏面プライマー層)を設けた。次いで、基材シートのおもて面に絵柄模様層を印刷により形成し、印刷フィルムを得た。一方、厚さ40μm、引張弾性率1000MPaの透明性ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層)を用意し、当該フィルムにポリエステルウレタン系接着剤を15g/m(硬化時)用いて均一に塗布し、当該接着剤と前記印刷フィルムの絵柄模様層が接するように、前記印刷フィルムをドライラミネート方式によって積層した。
上記熱可塑性樹脂層のおもて面に対してコロナ放電処理を施し、ウレタンアクリル系プライマーを2g/m(硬化時)用いて均一に塗布してプライマー層(層の厚み:2μm)を形成した後、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)からなる樹脂組成物を塗工・乾燥して未硬化の塗膜を形成した。その後、酸素濃度200ppm以下の環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧200keV、3Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて最表層(電離放射線硬化型樹脂層、層の厚み:18μm)を形成し、化粧シートを作製した。
さらに、厚さ2.7mm、平均比重0.7のMDFと厚さ9mmの合板を貼り合わせた被着材を用意し、当該被着材にエマルジョン系接着剤を塗布し、当該接着剤と前記化粧シートの裏面プライマー層が接するように、前記化粧シートを積層し、化粧材を得た。
実施例2〜7、9〜12及び比較例1〜6
各物性(最表層の厚み、熱可塑性樹脂層の厚み、熱可塑性樹脂層の引張弾性率等)を適宜変更する以外は、実施例1と同様にして、下記表1〜3に示される通りの化粧シート、及び化粧材を作製した。
実施例8
厚さ120μm、引張弾性率1000MPaの透明性ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層)の裏面に対してコロナ放電処理を施した後、絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄模様層の裏面に酸化チタンを含む着色隠蔽層を形成した。
上記熱可塑性樹脂層のおもて面にエンボス加工及びコロナ放電処理を施した後、ウレタンアクリル系プライマーを2g/m(硬化時)用いて均一に塗布してプライマー層(層の厚み:2μm)を形成した。次いで、上記プライマー層上に、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)からなる樹脂組成物を塗工・乾燥して未硬化の塗膜を形成した。その後、実施例1と同様の条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて最表層(電離放射線硬化型樹脂層、層の厚み:30μm)を形成し、化粧シートを作製した。
さらに、実施例1と同様の方法によって被着材上に前記化粧シートを積層し、化粧材を得た。
実施例13
実施例1と同様に、裏面プライマー層、基材シート、絵柄模様層、接着剤層及び熱可塑性樹脂層からなる積層体を得た後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗布して下層(層の厚み:10μm)を形成した。次いで、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)からなる樹脂組成物を塗工・乾燥して未硬化の塗膜を形成した。その後、酸素濃度200ppm以下の環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧200keV、3Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて最表層(電離放射線硬化型樹脂層、層の厚み:10μm)を形成し、化粧シートを作製した。
さらに、実施例1と同様の方法によって被着材上に前記化粧シートを積層し、化粧材を得た。
実施例14〜17及び比較例7〜10
各物性(最表層の樹脂成分、最表層の厚み、下層の厚み、熱可塑性樹脂層の厚み等)を適宜変更する以外は、実施例13と同様にして、下記表4〜5に示される通りの化粧シート、及び化粧材を作製した。
実施例18
熱可塑性樹脂層の厚みを60μmとする以外は実施例1と同様にして、裏面プライマー層、基材シート、絵柄模様層、接着剤層、熱可塑性樹脂層及びプライマー層からなる積層体を得た後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗布して下層(層の厚み:10μm)を形成した。次いで、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)からなる樹脂組成物を塗工・乾燥して未硬化の塗膜を形成した。その後、酸素濃度200ppm以下の環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧200keV、3Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて最表層(電離放射線硬化型樹脂層、層の厚み:20μm)を形成し、化粧シートを作製した。
さらに、実施例1と同様の方法によって被着材上に前記化粧シートを積層し、化粧材を得た。
実施例19〜21及び比較例11
各物性(熱可塑性樹脂層の厚み等)を適宜変更する以外は、実施例18と同様にして、下記表6〜7に示される通りの化粧シート、及び化粧材を作製した。
試験方法
実施例1〜21及び比較例1〜11で得られた化粧材に対して、以下の試験を行った。
≪白化傷試験≫
米国BYK−GARDNER社製のホフマンスクラッチ試験機を用いて試験を行った。具体的には、化粧材表面に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7の円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧材上で移動させた。荷重(錘)を1000gとした場合に全く傷が付かないものを◎、傷が付かないが若干外観に変化があるものを○、軽微傷が付くものを△、傷が付くものを×と評価した。
≪擦り傷試験≫
化粧材表面上に対し、スチールウール(ボンスター#0000:製造元 日本スチールウール(株))を用いて荷重1500g/cmで10往復のラビングすることにより評価した。傷が付かないものを○、傷が付くものを×と評価した。
≪割れ評価試験≫
JIS K5600のデュポン衝撃試験に従って、化粧材表面上に、半径6.3mmの半球形状の先端を有した撃ち型を静置させ、前記撃ち型上に500g荷重のおもりを高さ20cmから落下させることにより評価した。1つの化粧材に対して、上記試験を5回行い、化粧材表面に割れがないものを○、割れが1〜3回生じたものを△、割れが4回以上生じたものを×と評価した。
≪凹み傷試験≫
鉛筆硬度試験機を用いて試験を行った。具体的には、当該試験機が水平に位置する場合において、鉛筆硬度が「H」である鉛筆の先に対して1000gの荷重を与えるように試験機を設定した以外は、JIS K5600−5−4に準拠して試験を行った。試験後において、目立った凹み傷のないものを○、凹み傷のあるものを△、凹み傷が著しく目立つものを×と評価した。
結果を以下の表1〜7に示す。なお、表中、樹脂成分の「電子線」及び「2液硬化」とは、樹脂成分として、それぞれ以下の成分を使用したことを示す。
[「電子線」を示す樹脂成分]
・2官能ウレタンアクリレート(ポリオール成分がポリエステルジオール、ガラス転移点25℃、分子量1500) 80重量部
・6官能脂肪族ウレタンアクリレート(ガラス転移点200℃以上、分子量1500) 20重量部
[「2液硬化」を示す樹脂成分]
・アクリルポリオール 100重量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系硬化剤 10重量部

≪トップコート層がプライマー層及び最表層からなる場合≫
Figure 0005796326
Figure 0005796326
Figure 0005796326
≪トップコート層が下層及び最表層からなる場合≫
Figure 0005796326
Figure 0005796326
≪トップコート層がプライマー層、下層及び最表層からなる場合≫
Figure 0005796326
Figure 0005796326

Claims (6)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂層及びトップコート層を順に有する化粧シートであって、
    (1)前記トップコート層は複数の層からなり、電離放射線硬化型樹脂を含む最表層及び当該最表層の裏面側に2液硬化型ウレタン系樹脂を含有する下層を有し、
    (2)前記トップコート層の厚みが20μm以上であり、
    (3)前記熱可塑性樹脂層の厚みが40〜120μmであり、
    (4)前記熱可塑性樹脂層の厚みに対するトップコート層の厚みの比率が20%以上である、
    ことを特徴とする、化粧シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂層のJIS K7161の規定に従って測定した引張弾性率が400〜1200MPaである、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂層がオレフィン系樹脂である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、熱可塑性樹脂層、及びトップコート層を順に有する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記最表層のマルテンス硬さが40〜140N/mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シートを木質基材に貼着してなる、化粧材。
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