JP6307792B2 - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
1.基材シート上に、少なくともベタ印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層された化粧シートであって、
(1)前記ベタ印刷艶調整層は平均粒子径が8〜20μmの微粒子を含有し、
(2)前記ベタ印刷艶調整層のおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であり、
(3)前記表面保護層が艶消し剤を含有し、前記艶消し剤の含有量が前記表面保護層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量部に対して8〜14質量部である、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記表面保護層が艶消し剤を含有し、前記艶消し剤の、平均粒子径が10〜20μmである、上記項1に記載の化粧シート。
3.前記微粒子の含有量は、ベタ印刷艶調整層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量%に対して30〜70質量%である、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4.前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂層であり、且つ厚みが6μm以上である、上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記表面保護層は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下の電離放射線硬化型樹脂を含有する、上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.前記ベタ印刷艶調整層は、厚みが0.5〜5.0μmである、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7.前記ベタ印刷艶調整層の直下の層のおもて面側からエンボス加工されている、上記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8.前記表面保護層側からエンボス加工されている、上記項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
9.基材シート上に、少なくともベタ印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層され、
(1)前記ベタ印刷艶調整層は平均粒子径が8〜20μmの微粒子を含有し、
(2)前記ベタ印刷艶調整層のおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であり、
(3)前記表面保護層が艶消し剤を含有し、前記艶消し剤の含有量が前記表面保護層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量部に対して8〜14質量部である化粧シートの製造方法であって、
以下の(i)及び(ii)の工程を含む、化粧シートの製造方法:
(i)基材シート上に、平均粒子径が8〜20μmの微粒子を含有し、且つおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であるベタ印刷艶調整層を形成する工程1、
(ii)ベタ印刷艶調整層上に、艶消し剤の含有量が表面保護層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量部に対して8〜14質量部である表面保護層を形成する工程2。
10.上記項1〜8のいずれかに記載の化粧シートを被着材に貼着してなる化粧板。
化粧シートを構成する各層について具体的に説明する。
基材シートは、その表面(おもて面)にはベタ印刷艶調整層等が順次積層される。基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたシート(フィルム)が好適である。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。前記基材シートは、これら樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせ用いることにより形成される。
ベタ印刷艶調整層は、化粧シートの表面に低艶感(意匠)を付与する層である。本発明の化粧シートにおいては、ベタ印刷艶調整層が微粒子を含有するのでベタ印刷艶調整層の表面が凹凸形状となっており、当該凹凸形状が化粧シートのおもて面(表面保護層側の面)から見た際に表面保護層を介して視認され、低艶意匠を表現する。
本発明の化粧シートは、ベタ印刷艶調整層上に表面保護層が形成されている。上記表面保護層は限定的ではないが、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。
本発明の化粧シートは、基材シート上に少なくともベタ印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層されていれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。例えば、基材シート上に、着色隠蔽層、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層、ベタ印刷艶調整層及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートが挙げられる。
本発明の化粧シートでは、基材シートと絵柄模様層との間に着色隠蔽層が形成されていてもよい。
塗布量は、2〜30g/m2の範囲が望ましい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与するものであり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に透明性接着剤層を形成してもよい。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
透明性接着剤層の上には、透明性樹脂層が形成されていてもよい。上記絵柄模様層を設ける場合は、絵柄模様層よりも上層に透明性樹脂層を形成し、更に透明性樹脂層上にベタ印刷艶調整層を形成することにより、絵柄模様層は、ベタ印刷艶調整層上から透けて視認されたり、ベタ印刷艶調整層が一部形成されていない部分がある場合は、ベタ印刷艶調整層がない部分において視認されたりする。この場合、絵柄模様層とベタ印刷艶調整層との間にある程度の厚みがある透明性樹脂層が存在することとなるので、これらの層が透明性樹脂層の厚み分の距離で離間して視認されることとなり、立体感のある意匠を表現することができる。また、後述するように、透明性樹脂層側又は表面保護層側からエンボス加工が施される場合には、上記立体感のある意匠と、透明性樹脂層又は表面保護層のおもて面側の凹凸模様とがあいまって、さらに意匠性に優れた化粧シートとすることができる。
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
基材シートの裏面(ベタ印刷艶調整層が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、基材シートと被着材とを接着して化粧材を作製する際に効果的である。
本発明の化粧シートを被着材上に積層することにより、化粧板とすることができる。被着材は、限定的でなく、公知の化粧板に用いられる被着材と同様のものを用いることができる。例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、本発明の化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。
本発明の化粧シートの製造方法は、基材シート上に、少なくともベタ印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層され、(1)前記ベタ印刷艶調整層は微粒子を含有し、(2)前記ベタ印刷艶調整層のおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上である化粧シートの製造方法であって、(i)基材シート上に、微粒子を含有し、且つおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であるベタ印刷艶調整層を形成する工程1、及び(ii)ベタ印刷艶調整層上に、表面保護層を形成する工程2を含む製造方法である。
説明する。
工程1は、基材シート上に、微粒子を含有し、且つおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であるベタ印刷艶調整層を形成する工程である。
上記インキの厚みは特に限定されないが、通常0.5〜5μm程度である。
工程2は、ベタ印刷艶調整層上に、表面保護層を形成する工程である。表面保護層の形成方法については、公知の方法に従えばよい。例えば、上述の電離放射線硬化型樹脂等を含む組成物(塗料)を調製し、これをグラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布すればよい。
う適宜設定すればよい。
(化粧シートの作製)
60μm厚のポリプロピレンシート(基材シート)のおもて面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、基材シートの裏面にグラビア印刷法でプライマー層(裏面プライマー層)を形成した。
・2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(Tg:25℃、分子量(Mn):1500) 80質量部
・6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(Tg:200℃以上、分子量(Mn):1500) 20質量部
最後に、表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、基材シート及び透明性樹脂層を柔らかくした後、直ちに熱圧によるエンボス加工を行い、木目模様の凹凸模様を賦形して化粧シートを作製した。
2.5mmの中密度木質繊維板(MDF)上に水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製リカボンドBA−10L (主剤):BA−11B (硬化剤)=100:2.5(質量比))を80g/m2で均一に塗工し、各化粧シートを貼り合わせて、室温で3日間養生することにより化粧板を作製した。
表面保護層を形成する樹脂、艶消し剤(シリカ)の含有量を表1のように変更し、且つベタ印刷艶調整層のシリカの平均粒子径を変えることにより、ベタ印刷艶調整層のおもて面の中心線平均粗さを表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2及び3、比較例1及び2の化粧シート及び化粧板を作製した。
・2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(Tg:25℃、分子量(Mn):1500) 68質量部
・2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(Tg:−55℃、分子量(Mn):5000) 12質量部
・6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(Tg:200℃以上、分子量(Mn):1500) 20質量部
また、各化粧シートにおいて、ベタ印刷艶調整層のおもて面の中心線平均粗さは、JIS B0601:1982に準拠して測定した。
≪60°グロス測定(低艶感評価)≫
JIS Z−8741に準拠した方法により、化粧シートの表面の60°グロスを測定した。60グロスの測定は、光沢度測定器((株)村上色彩技術研究所製 商品名:GMX−202)を用いて行った。
コイン(10円玉)が45°の角度で化粧板表面に接するようにして、上述のようにして作製した各化粧板の表面を強く1回擦り、表面状態を目視で確認した。以下の評価基準に従って評価した。
○:擦った部分の艶上がりが明らかでない
×:擦った部分の艶上がりが明らか
JAS合板汚染B試験に準じて試験を行った。具体的には上述のようにして作製した各化粧板を切断して10cm角としたものを試験片とし、これを水平に置いた後、試験片の表面保護層面に赤色クレヨン(JIS S 6026に定めるもの)で幅10mmで10cm長さの直線を描き、2時間放置した後、乾いた布で拭き、表面状態を目視で観察した。以下の評価基準に従って評価した。
○:直線が拭き取れた
×:直線が拭き取れず汚染が残った
上述のようにして作製した各化粧板に対して、東工大式滑り試験機(O−Y・PSM)を用いて、靴下による滑り抵抗値(C.S.R.値)を測定した。以下の評価基準に従って評価した。
◎:測定値が0.40以上
○:測定値が0.35以上0.40未満
△:測定値が0.30以上0.35未満
×:測定値が0.30未満
なお、数値が小さいほど滑りやすいことを示し、人間が快適と感じる滑り抵抗値の範囲は0.30以上0.50以下の範囲内である。
2.基材シート
3.絵柄模様層
4.透明性接着剤層
5.透明性樹脂層
6.プライマー層
7.ベタ印刷艶調整層
8.表面保護層
Claims (10)
- 基材シート上に、少なくともベタ印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層された化粧シートであって、
(1)前記ベタ印刷艶調整層は平均粒子径が8〜20μmの微粒子を含有し、
(2)前記ベタ印刷艶調整層のおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であり、
(3)前記表面保護層が艶消し剤を含有し、前記艶消し剤の含有量が前記表面保護層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量部に対して8〜14質量部である、
ことを特徴とする化粧シート。 - 前記表面保護層が艶消し剤を含有し、前記艶消し剤の、平均粒子径が10〜20μmである、請求項1に記載の化粧シート。
- 前記微粒子の含有量は、ベタ印刷艶調整層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量%に対して30〜70質量%である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂層であり、且つ厚みが6μm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記表面保護層は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下の電離放射線硬化型樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記ベタ印刷艶調整層は、厚みが0.5〜5.0μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記ベタ印刷艶調整層の直下の層のおもて面側からエンボス加工されている、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記表面保護層側からエンボス加工されている、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
- 基材シート上に、少なくともベタ印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層され、
(1)前記ベタ印刷艶調整層は平均粒子径が8〜20μmの微粒子を含有し、
(2)前記ベタ印刷艶調整層のおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であり、
(3)前記表面保護層が艶消し剤を含有し、前記艶消し剤の含有量が前記表面保護層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量部に対して8〜14質量部である化粧シートの製造方法であって、
以下の(i)及び(ii)の工程を含む、化粧シートの製造方法:
(i)基材シート上に、平均粒子径が8〜20μmの微粒子を含有し、且つおもて面の中心線平均粗さRa(JIS B0601:1982)が0.5μm以上であるベタ印刷艶調整層を形成する工程1、
(ii)ベタ印刷艶調整層上に、艶消し剤の含有量が表面保護層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量部に対して8〜14質量部である表面保護層を形成する工程2。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の化粧シートを被着材に貼着してなる化粧板。
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