JP6369084B2 - 化粧シート及びこれを用いた化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及びこれを用いた化粧板に関する。
家具や台所製品のキャビネット等の表面化粧板としては、一般に木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板等の金属系材料等の基材上に、木目調柄等の絵柄を印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせた構造のものが用いられている。
ところで、近年の消費者の高級品指向により、床タイルや壁パネル、あるいは家具や台所製品のキャビネット等に対しても高級感が求められるようになり、これらに用いられる化粧板や化粧シートにおいても、高級感を与える外観を有するものが望まれている。
例えば、特許文献1には、光沢差模様による意匠感、表面質感を得る技術として、基体上に絵柄層、フィラーを含有する電離放射線硬化樹脂層、及び未形成部の有る透明樹脂層を有し、未形成部を絵柄層の絵柄に同調させる化粧材が開示されている。
特許文献2には、グロスマットによる意匠感を得る技術として、基材上に、柄層、耐摩耗樹脂層、平滑化樹脂層、及び艶消樹脂層を積層した後、更に艶消樹脂層上に部分的に艶向上樹脂層を積層して成る化粧材であって、柄層の柄模様に、艶向上樹脂層の形成模様を位置同調させる化粧材が開示されている。
特許文献3には、耐溶剤性、耐摩耗性、層間強度を改善しつつ、優れたグロスマット感を表現する化粧材として、基材上に、全面ベタ柄を表現した着色層、柄模様を表現した絵柄層を順次設けた後、全面に浸透防止層を設け、次いで、低艶絵柄インキ層、表面保護層を設けた化粧シートが開示されている。
特開2001−138469号公報 特開2004−90319号公報 特開2006−95973号公報
しかしながら、特許文献1の化粧材は、意匠性をより向上させるために、透明樹脂層の未形成部を絵柄層の絵柄に同調させており、特許文献2の化粧材は、艶向上樹脂層の形成模様を柄層の柄模様に位置同調させているが、各々、透明樹脂層又は艶向上性樹脂を部分的に積層させる構成となるため、耐汚染性が不十分であった。
特許文献3の化粧シートは、低艶絵柄インキ層と表面保護層とが一部混合することによる懸濁部分を形成し、該懸濁部分がグロスマット感を表現し、さらに目の錯覚により、該部分が凹部であるかの如く認知されるものである。また、絵柄層を木目柄として、木目の導管部分に低艶絵柄インキ層を同調させることにより、擬似立体感を有する木目柄の化粧シートを得ることができるものである。
しかしながら、特許文献3の技術では、低艶絵柄インキ層を形成する組成物がシリカを含むため、シリカが印刷版の細かい部分に詰まり、インキが完全に転移しなくなることで、繊細な意匠表現が安定的に再現できない場合があった。
また、前記懸濁部分は、低艶絵柄インキ層と表面保護層とが混合されている部分であるため、表面保護層の組成分比率が局所的に低くなり、非懸濁部分と比較すると、耐汚染性が低くなる場合があった。
本発明は、耐汚染性を有しつつ、繊細なグロスマット意匠の表現が可能である化粧シート及びこれを用いた化粧板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、
[1]基材上に少なくとも、浸透防止層と、部分的に形成された艶向上樹脂層と、表面保護層とをこの順に有し、前記艶向上樹脂層が、数平均分子量10,000〜200,000、かつガラス転移温度が40℃以上であるアクリル樹脂を20〜80質量%含有し、前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により構成される、化粧シート、
[2]前記浸透防止層が、熱硬化性ウレタン樹脂組成物の硬化物からなり、艶消剤を含有する、上記[1]に記載の化粧シート、
[3]前記電離線放射線硬化性樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである、上記[1]又は[2]に記載の化粧シート、
[4]前記表面保護層が、艶消剤を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化粧シート、
[5]前記基材と浸透防止層との間に木目柄模様を形成する絵柄層を有し、木目柄の導管部以外のパターンと、前記艶向上樹脂層が形成された部分とが同調してなる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の化粧シート、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板、
を提供するものである。
本発明によれば、耐汚染性を有しつつ、繊細なグロスマット意匠の表現が可能である化粧シート及びこれを用いた化粧板を提供することができる。
本発明の化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、基材上に少なくとも、浸透防止層と、部分的に形成された艶向上樹脂層と、表面保護層とをこの順に有し、前記艶向上樹脂層が、数平均分子量10,000〜200,000、かつガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう)が40℃以上であるアクリル樹脂を20〜80質量%含有し、前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により構成されることを特徴とする。
図1及び図2は、本発明の化粧シートの一実施形態を示す断面図である。図1の化粧シート1aは、基材2上に、浸透防止層5、艶向上樹脂層6、表面保護層7をこの順に有してなるものである。
図2の化粧シート1bは、基材2上に、着色層3、絵柄層4、浸透防止層5、艶向上樹脂層6、表面保護層7をこの順に有してなり、絵柄層4のパターンと艶向上樹脂層6とのパターンとが同調しているものである。
<基材2>
基材2としては、通常化粧シートの基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、金属箔、金属シート、金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材には、基材上に設けられる層との密着性を向上させるために、片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙及び和紙、並びにこれら紙の紙間強化紙及び樹脂含浸紙等が挙げられる。これらの紙類の中でも、熱的安定性や強度の観点からは、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙といった紙で構成されるものが好ましく、防湿性の観点からは、ポリエチレンフィルムを2枚の紙で挟み込んだポリサンド紙と呼ばれる紙とプラスチックフィルムの複合体が好ましい。
プラスチックフィルムとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリアリレート樹脂、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらのプラスチックフィルムの中でも、熱的安定性及び強度の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を延伸処理したものが好ましく、防湿性の観点からは、ポリプロピレン樹脂を延伸処理したものが好ましい。
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、及び銅等が挙げられ、またこれらの金属をめっき処理したものも挙げられる。各種の木質系の板としては、木材の単板、合板、集成材、パーチクルボード及びMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板が挙げられる。窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板等の窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル等が挙げられる。
基材の厚さについては特に制限はないが、プラスチックフィルムを用いる場合には、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmであり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2である。
<着色層3>
着色層3は、本発明の化粧シートの意匠性を高める目的で、必要に応じて設けられる。着色層は、化粧シートの面方向の全部に形成することが好ましい。
着色層は、基材上の表面の色を整えることで、基材自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材の表面に意図した色彩を与えるものである。着色層は隠蔽性を持たせるように形成することが多いが、透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。
着色層は、着色剤を含む2液硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されることが好ましい。2液硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されることにより、基材の色を隠蔽する隠蔽機能を有することに加えて、基材や表面保護層との優れた密着性も得られる。
2液硬化性樹脂組成物に含まれる2液硬化性樹脂としては、主剤に硬化剤を添加して硬化する樹脂であれば特に制限はないが、主剤がポリオール(多価アルコール)であり、硬化剤がイソシアネート硬化剤である、2液硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
主剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のポリオールのほか、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基を有するモノマーとの付加重合によって得られるアクリルポリオール;公知のジオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類とアジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸等の二塩基酸、これらの酸エステル等から選ばれる少なくとも一種との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリエステル系ウレタンを主鎖とするポリオール;前記のジオール類とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等との付加重合によって得られるポリエーテルポリオール等の官能基として水酸基を有するポリオールが好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。
イソシアネート硬化剤としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいはヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネート等のポリイソシアネートが用いられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いられる。
2液硬化性樹脂組成物に含まれる着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料、又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
着色剤の含有量は、隠蔽性、及び基材や表面保護層との密着性を確保し、かつ樹脂組成物の塗布性を阻害しない範囲であれば、特に制限はない。
着色層の厚さは、化粧シートの意匠性の観点、及び製造工程における収縮抑制の観点から、通常0.5〜20μm程度であり、好ましくは1〜10μmである。
<絵柄層4>
化粧シートは、基材自体が有する意匠感や、後述する浸透防止層及び表面保護層と、艶向上樹脂層とのグロスマット表現等によって、化粧シートとしての目的とする意匠感を表現できれば、絵柄層を設ける必要はないが、通常は印刷等で絵柄を表現して高意匠とすべく、この絵柄層を設ける。
絵柄層は、化粧シートの面方向の一部にパターン状に形成してもよいが、図2のように、化粧シートの面方向の全部にパターン状に設けることが好ましい。
絵柄層の模様(絵柄パターン)としては、木目柄模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。
これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダー樹脂に、顔料、染料等の着色剤のほか、必要に応じて体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、着色剤としては、前記着色層に含まれる着色剤として例示したものが好ましく採用され、所望の模様に応じて適宜選択すればよい。
絵柄層の厚さは、化粧シートの意匠性の観点、及び製造工程における収縮抑制の観点から、通常0.5〜20μm程度であり、好ましくは1〜10μmである。
<浸透防止層5>
浸透防止層5は、後述する表面保護層を構成する樹脂組成物、又は艶向上樹脂層形成用のインキが、基材中に浸透することを抑制する機能を有し、基材が紙や不織布等の浸透性基材である場合に特に効果を奏する。
したがって、浸透防止層5は、基材2と表面保護層7との間、又は基材2と艶向上樹脂層6との間に位置すればよい。通常は、表面保護層7を構成する電離放射線硬化性樹脂と密着性がある、硬化性樹脂が架橋硬化した一様均一な層を、図1の化粧シート1aの場合は、艶向上樹脂層6と基材2の間、図2の化粧シート1bの場合は、艶向上樹脂層6と絵柄層4の間に設ける。
このことにより、基材2上に存在する着色層3や、絵柄層4の表面を平滑にし、これらと表面保護層7及び艶向上樹脂層6との接着性を高める機能をも併せて果たすものである。
浸透防止層の厚さは、化粧シートの意匠性の観点、及び製造工程における収縮抑制の観点から、通常0.5〜20μm程度であり、好ましくは1〜10μmである。
(樹脂)
浸透防止層を構成する好適な樹脂としては、前記着色層を構成する樹脂組成物と同様の樹脂が挙げられる。なかでも、耐スクラッチ性向上の観点から、熱硬化性ウレタン樹脂組成物の硬化物からなることが好ましく、アクリルポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートとを含有する2液アクリルウレタン樹脂の硬化物からなることがより好ましい。
(艶消剤)
本発明の化粧シートは、浸透防止層/艶向上樹脂層形成領域/表面保護層と、浸透防止層/艶向上樹脂層非形成領域/表面保護層との光沢度の差を有していることで視覚的な凹凸感といった意匠性を発現させるものである。
したがって、浸透防止層は、前記光沢度の差を付与する観点から、艶消剤を含有することが好ましい。
艶消剤としては、通常、化粧シートの艶消剤として用いられるものを使用することができる。具体的には、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ガラスバルーン、ポリエチレン等の無機又は有機のフィラーないし微粉末が挙げられ、シリカが好ましい。艶消剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
艶消剤としてのシリカは、表面処理を施して、シリカ表面の水酸基を低減したものを用いることが好ましい。
また、艶消剤の形状は任意であるが、球状又は略球状が好ましい。艶消剤の粒径は0.1〜10μm程度、好ましくは3〜10μmである。
浸透防止層中の艶消剤の含有量は、艶消効果と、絵柄層の視認性と、塗膜強度とを、十分に両立させる観点から、好ましくは15〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%、更に好ましくは23〜27質量%である。
(光沢度)
浸透防止層の光沢度(75°グロス値)は、艶向上樹脂層とのグロスマット表現によって意匠性を高める観点から、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜5、更に好ましくは2〜4である。
なお、光沢度はJIS-P8142に準拠した方法によって、測定することができる。
<艶向上樹脂層6>
艶向上樹脂層6は、浸透防止層5、表面保護層7よりも相対的に艶が大となる層であり、数平均分子量10,000〜200,000、かつガラス転移温度が40℃以上であるアクリル樹脂を20〜80質量%含有する。
本発明の化粧シートは、上記特定の艶向上樹脂層を有することにより、耐汚染性を有しつつ、繊細なグロスマット意匠を表現することができる。
具体的には、このような艶向上樹脂層を、浸透防止層上に部分的にパターン状に設けることで、艶向上樹脂層による艶大部分の模様と、艶向上樹脂層の非形成部分の模様とにより、艶変化模様であるグロスマット意匠が表現される。
また、本発明では、艶向上樹脂層中に艶消剤を多量に含有させる必要がないことから、艶向上樹脂層の階調表現がしやすく、繊細なグロスマット意匠を表現することができる。
さらに、艶向上樹脂層は前記特定のアクリル樹脂を含有することにより、表面保護層との懸濁の発生を抑制することができ、耐汚染性の低下を招くことがないと考えられる。
(アクリル樹脂の数平均分子量)
前記アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、意匠性及び耐汚染性の観点から、10,000〜200,000であり、好ましくは20,000〜150,000、より好ましくは30,000〜100,000である。なお、本発明において、数平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
(アクリル樹脂のTg)
前記アクリル樹脂のTgは、意匠性、耐汚染性及び加工性の観点から、40℃以上であり、好ましくは40〜200℃、より好ましくは45〜150℃、更に好ましくは50〜100℃である。
(アクリル樹脂の含有量)
前記艶向上樹脂層中の前記アクリル樹脂の含有量は、意匠性及び耐汚染性の観点から、20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
(アクリル樹脂以外の樹脂成分)
前記艶向上樹脂層中のアクリル樹脂以外の樹脂成分としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐汚染性、及び浸透防止層との密着性の観点から、ウレタン樹脂が好ましい。
前記ウレタン樹脂の数平均分子量は、好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは20,000〜80,000であり、Tgは、好ましくは−65〜−45℃、より好ましくは−60〜−50℃である。
ウレタン樹脂の含有量は、耐汚染性、及び浸透防止層との密着性の観点から、好ましくは15〜75質量%、より好ましくは25〜65質量%、更に好ましくは35〜55質量%である。
(その他の添加剤)
また、前記艶向上樹脂層は、粘度調整等を目的として、本発明の効果を阻害しない範囲で、シリカ等の無機添加剤を含有していてもよい。
艶向上樹脂層中の無機添加剤の含有量は、艶向上効果と、絵柄層の視認性の観点から、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3質量%、更に好ましくは0〜2質量%である。
(アクリル樹脂とその他の樹脂成分の合計含有量)
艶向上樹脂層中の、前記アクリル樹脂、及び前記その他の樹脂成分の合計含有量は、耐汚染性、及び浸透防止層との密着性の観点から、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%である。
(艶向上樹脂層の面積及び厚み)
化粧シートの面方向の全面積に占める艶向上樹脂層の面積割合は、表現する意匠により異なるが、50〜95%とすることが好ましい。
艶向上樹脂層は、前記絵柄層の模様(絵柄パターン)と同調させることにより、擬似立体感を付与することができ、意匠を高級化することができるため好ましい。また、より優れた意匠性を得る観点から、前記基材と浸透防止層との間に木目柄模様を形成する絵柄層を有し、木目柄の導管部以外のパターンと、前記艶向上樹脂層が形成された部分とを同調させることが、より好ましい。
艶向上樹脂層の形成は、所望の模様状に形成できる方法によればよく、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷法で形成することができる。
艶向上樹脂層の厚さは、化粧シートの意匠性の観点、及び製造工程における収縮抑制の観点から、通常0.1〜20μm程度であり、好ましくは0.5〜10μmである。
<表面保護層7>
本発明の化粧シートは、前記部分的に設けられた艶向上樹脂層6の上に、全面にわたって表面保護層7が設けられている。表面保護層は、本発明の化粧シートに耐汚染性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性、耐傷性等の表面保護特性を付与する層であり、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物(以下、「電離放射線硬化性樹脂組成物」ともいう)の硬化物により構成される層である。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物は電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も用いられる。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、少なくとも電離放射線硬化性樹脂を含み、意匠性の観点から、艶消剤を含有することが好ましく、必要に応じて用いられる、その他の樹脂成分、添加剤等を含有していてもよい。
〔電離放射線硬化性樹脂〕
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
{重合性モノマー}
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートモノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、表面保護特性を優れたものとする観点から、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6である。
本発明においては、前記多官能(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。
前記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{重合性オリゴマー}
次に、重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有するオリゴマーが挙げられる。具体的には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、これらのオリゴマーを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
また、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の官能基含有(メタ)アクリル系化合物、あるいは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸とを共重合してなるオリゴマーである。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの中でも、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与する観点、及び製造過程において収縮を低く抑える観点から、好ましくはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである。
また、前記重合性(メタ)アクリレートオリゴマーは、同様の観点から、好ましくは多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、より好ましくは多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである。
本発明において、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与する観点、及び製造過程において収縮を低く抑える観点から、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6である。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、同様の観点から、好ましくは1,000〜20,000、より好ましくは1,000〜10,000である。
電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましい。また、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得ることができ、さらに、硬化の際に電離放射線を照射する時間が短くてすみ、製造過程における収縮を抑えることができるため、生産性の観点からも好ましい。
{電離放射線硬化性樹脂の含有量}
電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂の含有量は、耐汚染性の観点から、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは75〜95質量%、更に好ましくは80〜90質量%である。
(艶消剤)
本発明の化粧シートは、浸透防止層/艶向上樹脂層形成領域/表面保護層と、浸透防止層/艶向上樹脂層非形成領域/表面保護層との光沢度の差を有していることで視覚的な凹凸感といった意匠性を発現させるものである。
したがって、表面保護層は、前記光沢度の差を付与する観点から、艶消剤を含有することが好ましい。
艶消剤としては、前記浸透防止層に添加される艶消剤と、同様の艶消剤を挙げることができ、好ましい態様も同様である。
表面保護層中の艶消剤の含有量は、艶消効果と、絵柄層の視認性とを十分に両立させる観点から、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
(その他の樹脂成分)
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂の電離放射線の照射による硬化を阻害しない範囲内で、熱可塑性樹脂を含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂等が挙げられ、これらは単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でもよいし、それぞれの樹脂を混合して用いてもよい。熱可塑性樹脂としては、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与する観点から、アクリル樹脂が好ましく、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位として有するアクリル樹脂がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、通常10,000〜200,000程度であり、好ましくは10,000〜100,000程度である。この範囲内であると、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができる。
(その他の添加剤)
電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物には、各種添加成分として、耐摩耗フィラー、耐傷フィラー等のフィラー(充填剤)、あるいは耐候性向上のために、紫外線吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)を含有させることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、各種添加成分として、得られる化粧シートにおける表面保護層の隠蔽性向上、基材の黄変防止や耐光性の向上等を図る目的で、酸化チタン、アルミペースト、カーボンブラック等の無機系着色顔料を適宜添加することができる。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、フェニルケトン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系等が好ましく挙げられる。
また、光増感剤として、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
表面保護層の厚さは、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与する観点、及び製造過程において収縮を低く抑える観点から、好ましくは1〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。
(光沢度)
表面保護層の光沢度(グロス値)は、グロスマット表現によって意匠性を高める観点から、浸透防止層/艶向上樹脂層非形成領域/表面保護層の光沢度が、好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、更に好ましくは5〜15である。
また、浸透防止層/艶向上樹脂層非形成領域/表面保護層と、浸透防止層/艶向上樹脂層形成領域/表面保護層との光沢度の差は、より意匠性を向上させる観点から、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜10である。
(表面保護層の形成方法)
表面保護層は例えば、以下の方法で形成することができる。
前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。このようにして調製された塗工液を、表面保護層による被覆面に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷等の印刷方法等の公知の方式、好ましくはグラビアオフセット印刷にて施し、未硬化樹脂層を形成することができる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜50kGyの範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することができる。
(凹凸形状)
本発明の化粧シートには、凹凸感の意匠性の向上を図る観点から、さらに凹凸形状を付与することもできる。
化粧シートにさらに凹凸形状を付与する方法としては、特に制限はないが、例えば、エンボス版や賦型シートを用いたエンボス加工、あるいは凹凸模様を有する層を具備する転写シートを用いて、表面に凹凸模様を有する層を転写して凹凸模様を付与する方法等が挙げられる。
凹凸形状の模様形状としては、木目導管模様、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が好ましく挙げられる。
(盛上層)
本発明の化粧シートには、化粧シートに触感を付与し、意匠性を高める観点から、さらに盛上層を付与することもできる。
前記盛上層を構成する各盛上部の形状は、特に限定されず、丸、4角形、6角形の規則的に並んだような定形の形状でも、不定型な絵柄であってもよいが、不定型な絵柄が、触感、マット感、光沢感及び意匠性に優れることから好ましい。
[化粧板]
本発明の化粧シートは、各種基板に貼付して化粧板として使用することができる。
被着体となる基板は、プラスチックシート、金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。化粧シートと基板とは接着剤を介して貼り合わせることができる。貼り合わせ時には必要に応じて、密着性を向上するために、化粧シート若しくは基板側に、物理的処理や化学的処理を行ってもよい。
化粧板は、壁、天井、床等の建築物の内装又は外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)耐汚染性
油性マジックインキを、各実施例、比較例で得られた図2の化粧シート1bの表面に塗布し、乾拭きした後のマジックインキの残存具合を目視にて観察した。評価基準を以下のようにして評価した。
[評価基準]
○:汚染物の残存は全くないか、軽微なもので実用上問題がない。
×:汚染物の残存が著しい。
(2)意匠性
実施例及び比較例で得られた化粧シートの意匠性を目視にて観察し、以下の評価基準で意匠性を評価した。
[評価基準]
○:ムラの無い均一な面状態が形成されており、かつ十分なグロスマット効果が確認できる。
×:ムラの無い均一な面状態が形成されているが、グロスマット効果が弱い。
実施例1、比較例1〜2
基材として建材用白色薄紙原紙(王子エフテックス株式会社製、TプリントS30)上に、グラビア印刷法で、厚み2μmの着色層及び厚み2μmの木目柄の絵柄層をこの順に形成した。
なお着色層には、ポリエステル系ウレタンを主鎖とするポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる2液ウレタン樹脂に着色剤が配合された混合物を使用した。
また絵柄層には、アクリル系樹脂とニトロセルロース系樹脂に着色剤が配合された混合物を使用した。
次いで、浸透防止層として、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネート、及び艶消剤(艶消しシリカ、平均粒子径3μm)を含有する2液アクリルウレタン樹脂を、厚み2μmで全面塗工した。なお、浸透防止層中の艶消剤含有量は25質量%であった。
次いで、艶向上樹脂層として、表1に示す配合組成からなる混合物を、前記絵柄層の木目柄の導管パターン以外の箇所に同調させるように、グラビア印刷法により平均厚み1μmで塗工した。
次いで、表面保護層として、(メタ)アクリレートオリゴマーと、艶消剤(艶消しシリカ、平均粒子径3μm)を含有する電子線硬化型樹脂を、厚み4μmで全面塗工した後、165KV、3Mradの条件にて、電子線による架橋硬化を行い、70℃で24時間加熱養生し、化粧シートを得た。なお、表面保護層中の艶消剤含有量は10質量%であった。
得られた化粧シートの評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、本発明の化粧シートは意匠性及び耐汚染性に優れていた。
一方、艶向上樹脂層中のアクリル樹脂含有量が少ない比較例1の化粧シートは意匠性及び耐汚染性に劣り、アクリル樹脂の分子量が大きい比較例2の化粧シートは耐汚染性に劣るものであった。
本発明の化粧シートは、繊細なグロスマット意匠の表現が可能であり、高い耐汚染性を有することから、建築物の内装材又は外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又はOA機器等の表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
1 化粧シート
2 基材
3 着色層
4 絵柄層
5 浸透防止層
6 艶向上樹脂層
7 表面保護層

Claims (6)

  1. 基材上に少なくとも、浸透防止層と、部分的に形成された艶向上樹脂層と、表面保護層とをこの順に有し、前記艶向上樹脂層が、数平均分子量10,000〜200,000、かつガラス転移温度が40℃以上であるアクリル樹脂を20〜80質量%含有し、前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により構成され、前記電離放射線硬化性樹脂が(メタ)アクリレートオリゴマーである、化粧シート。
  2. 前記浸透防止層が、熱硬化性ウレタン樹脂組成物の硬化物からなり、艶消剤を含有する、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記電離線放射線硬化性樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層が、艶消剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記基材と浸透防止層との間に木目柄模様を形成する絵柄層を有し、木目柄の導管部以外のパターンと、前記艶向上樹脂層が形成された部分とが同調してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板。
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