JP5768700B2 - 鋳片温度推定方法及び鋳片温度推定装置 - Google Patents

鋳片温度推定方法及び鋳片温度推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造機における鋳片の温度を推定する鋳片温度推定方法及び鋳片温度推定装置に関する。
連続鋳造機の操業において、連続鋳造中の鋳片の凝固状態を把握することは極めて重要である。例えば、モールドを抜けた後の冷却スプレーによる冷却(2次冷却)が不十分であるために、内部が完全に凝固していない状態で鋳片が連続鋳造機外に抜け出た場合、鋳片を切断した際に内部の溶鋼が流出して大きなトラブルになる。このため、内部が完全に凝固していない状態で鋳片が連続鋳造機外に抜け出ることを抑制するために、鋳片の凝固状態を正確に把握することが重要である。
一方、鋳片表面の割れ等の品質トラブルが発生することを抑制するために、モールド直下から鉛直方向下方に引き抜かれた鋳片を水平方向に曲げる矯正部において鋳片の温度が脆化域にかからないように2次冷却条件を設定する必要がある。また、冷却スプレーの配置や特性等によって鋳片の幅方向の水量密度分布は一様ではない。このため、一般に、鋳片の凝固完了位置の幅方向の分布形状は平坦ではなく多少の凹凸が発生し、この凹凸がひどくなると凹部に不純物が濃縮されて割れ等が発生しやすくなり、製品品質が低下する。
このような背景から、連続鋳造中の鋳片の内部温度を計測する技術が数多く提案されている。しかしながら、連続鋳造機の雰囲気温度は高温で非常に苛酷であるために、鋳片の内部温度をオンラインで計測できる技術はない。このため、従来までは、伝熱モデルを用いた数値計算によって鋳片の内部温度を推定することが行われている(特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1記載の技術は、始めに、所定長さの鋳込みが進行する毎に連続鋳造中の鋳片内に鋳込み方向に垂直な計算面を仮想的に発生させる。次に、この技術は、計算面が鋳込み方向に連続して設定された複数のゾーンをそれぞれ通過して次のゾーン入側境界に到達した時点で、直前に通過したゾーンの平均冷却条件に基づいて計算面内の温度分布を計算する。そして、この技術は、得られた計算面内の温度分布を次のゾーン以後で行なう計算の初期値として与え、順次計算面内の温度分布を計算することにより、最終ゾーン入側境界での計算面内の温度分布を求める。
特開2002−178117号公報 特開平9−24449号公報 特開平10−2901060号公報
ところで、数値計算によって鋳片の凝固状態を推定する場合、鋳片に鋲打ち等を行って実際の凝固状態を確認し、確認結果に基づいて伝熱モデルのパラメータを調整することによって実際の凝固状態との一致性を補償することが行われる。そして、伝熱モデルのパラメータの調整が一旦行われると、その状態で計算結果を信用した操業が行われる。しかしながら、鋳造条件や鋼種が異なる場合や冷却機器の変更又は経年劣化や一時的な故障等、パラメータの調整が行われた時点とは異なる操業状態が発生した場合には、計算による凝固状態の推定結果が実際とは異なったものになり、鋳片の凝固状態を精度高く推定できなくなる。
なお、このような問題点を解決するために、特許文献2や特許文献3記載の技術が提案されている。具体的には、特許文献2記載の技術は、連続鋳造機の物理現象を数式化した制御モデルを用いて設定した冷却スプレーの流量指令に基づいて鋳造した結果得られた鋳片の温度と制御モデルを用いて算出された鋳片の温度との差分から制御モデルのパラメータを修正する。特許文献3記載の技術は、鋳片の測定点における表面温度の計算値が測定値と一致するよう鋳片表面からの熱流束分布を補正する。
特許文献2,3記載の技術によれば、モデルのパラメータを修正することによって測定点においては鋳片温度の測定値と計算値とを一致させることができる。しかしながら、鋳片の内部温度の計算値に関しては実際の内部温度に一致させていないので、修正後のモデルを用いたとしても凝固状態を精度高く推定できる保証はない。このため、鋳片の凝固完了位置が連続鋳造機を外れて大きなトラブルになる恐れがある。また、矯正部における鋳片の温度が脆化域にかかり、鋳片表面に割れが生じる品質トラブルをもたらす恐れもある。また、凝固完了位置の幅方向形状の推定に関する記載がないことから、凝固完了位置の幅方向形状に凹凸が生じることを抑制できない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鋳片の温度を精度高く推定可能な鋳片温度推定方法及び鋳片温度推定装置を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋳片温度推定方法は、伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の温度分布を推定する温度分布推定ステップと、鋳片の温度と該鋳片の厚さ方向に伝播する超音波の速度との関係式を用いて、前記温度分布から前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の速度分布を算出し、算出された速度分布を用いて、前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を推定する伝播時間推定ステップと、前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を測定する伝播時間測定ステップと、伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を推定する表面温度推定ステップと、前記鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を測定する表面温度測定ステップと、前記超音波の伝播時間の推定値が測定値と一致し、且つ、前記表面温度の推定値が測定値と一致するように、前記伝熱モデル内に含まれる熱伝導率、モールドでの抜熱モールドと凝固シェルとの間の熱伝達係数、及び2次冷却帯の熱伝達係数のうちの少なくとも1つのパラメータの値を補正する補正ステップと、前記パラメータが補正された伝熱モデルを利用した伝熱計算により、鋳片の温度を推定する温度推定ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る鋳片温度推定方法は、上記発明において、前記温度推定ステップにおいて推定された鋳片の温度に基づいて連続鋳造機内における鋳片の凝固完了位置を推定するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る鋳片温度推定方法は、上記発明において、前記補正ステップが、鋳片の幅方向の複数位置における表面温度の推定値が測定値と一致するようにパラメータを補正するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る鋳片温度推定方法は、上記発明において、鋳片の幅方向の複数位置における表面温度の推定値に基づいて、鋳片の幅方向における凝固完了位置の分布状態を推定するステップを含むことを特徴とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋳片温度推定装置は、伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の温度分布を推定する温度分布推定手段と、鋳片の温度と該鋳片の厚さ方向に伝播する超音波の速度との関係式を用いて、前記温度分布から前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の速度分布を算出し、算出された速度分布を用いて、前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を推定する伝播時間推定手段と、前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を測定する伝播時間測定手段と、伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を推定する表面温度推定手段と、前記鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を測定する表面温度測定手段と、前記超音波の伝播時間の推定値が測定値と一致し、且つ、前記表面温度の推定値が測定値と一致するように、前記伝熱モデル内に含まれる熱伝導率、モールドでの抜熱モールドと凝固シェルとの間の熱伝達係数、及び2次冷却帯の熱伝達係数のうちの少なくとも1つのパラメータの値を補正する補正手段と、前記パラメータが補正された伝熱モデルを利用した伝熱計算により、鋳片の温度を推定する温度推定手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る鋳片温度推定方法及び鋳片温度推定装置によれば、鋳片の温度を精度高く推定することができる。
図1は、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置が適用される連続鋳造機の構成を示す模式図である。 図2は、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置の構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、表面温度計の配設位置における表面温度の測定値及びパラメータの補正前後における凝固完了位置の推定値及び測定値を示す図である。 図5は、パラメータの補正前後における鋳片の幅方向における凝固完了位置の推定値及び測定値を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置の構成及びその動作について説明する。
〔連続鋳造機の構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置が適用される連続鋳造機の構成について説明する。
図1は,本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置が適用される連続鋳造機の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置が適用される連続鋳造機1では、溶鋼2が満たされたタンディッシュ3の鉛直方向下方にモールド4が設けられ、タンディッシュ3の底部にモールド4への溶鋼供給口となる浸漬ノズル5が設けられている。モールド4の鉛直方向下方には、サポートロール6が設置されている。
鋳片Sの鋳込み方向には2次冷却帯として複数の冷却ゾーン7a〜13a,7b〜13bが配置されている。各冷却ゾーンには複数のスプレー用又はエアミストスプレー用のノズルが配置され、各ノズルから鋳片Sの表面に2次冷却水が噴霧される。なお、図1では、反基準面側(上面側)の冷却ゾーンには符号aを図示し、基準面側(下面側)の冷却ゾーンには符号bを図示している。また、本構成例では、冷却ゾーンは合計7つであるが、実際の連続鋳造機における冷却ゾーンの数は機長等に応じて様々である。
最終の冷却ゾーン13a,13bの出側付近には、鋳片Sの上下位置に対向配置された超音波送信センサ14aと超音波受信センサ14bとが配設されている。超音波送信センサ14aは、鋳片Sを介して超音波受信センサ14bに向けて超音波を送信する。超音波受信センサ14bは、超音波送信センサ14aが送信した超音波を受信し、超音波送信センサ14aが超音波を送信してから超音波を受信するまでの時間を鋳片Sの厚さ方向における超音波の伝播時間として測定する。超音波送信センサ14aと超音波受信センサ14bとが配設された鋳込み方向の位置を鋳込み方向第1位置とする。
なお、超音波には、横波と縦波とがある。横波は鋳片Sの内部に液相が存在する場合には鋳片Sを透過しないので、伝播時間の測定には利用できない。従って、超音波送信センサ14aと超音波受信センサ14bとが横波の超音波を利用するものである場合には、鋳込み方向第1位置は想定される凝固完了位置よりも必ず下流側とする必要がある。これに対して、縦波は液相も透過するので液相が存在した場合にも伝播時間の測定は可能ではある。しかしながら、本発明では、伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第1位置における鋳片Sの厚さ方向の温度分布を推定し、それに基づいて鋳片Sの厚さ方向の超音波の速度分布を推定し、さらにそれに基づいて推定した超音波の鋳片Sの厚さ方向の伝播時間推定値と超音波送信センサ14aと超音波受信センサ14bとで測定した伝播時間測定値との比較が行われる。その際、鋳片S内部に液相部が存在するかどうかによって、鋳片Sの厚さ方向の温度分布や超音波の速度分布が大きく変わることになる。そのため、伝播時間推定値と伝播時間測定値との比較が単純に行えなくなるという問題が生じる。このため、超音波送信センサ14aと超音波受信センサ14bとしては縦波の超音波を利用するものを採用する場合にも、鋳込み方向第1位置を想定される凝固完了位置よりも下流側とすることによって伝播時間が液相部の影響を受けないようにすることが望ましい。但し、鋳片Sの厚さ方向の温度分布は下流側になるほど熱の拡散によって均一化していくので、鋳込み方向第1位置を凝固完了位置から遠ざけすぎることは好ましくない。
超音波送信センサ14aの近傍には、鋳片Sの表面温度を測定する表面温度計15が配設されている。表面温度計15が配設された鋳込み方向の位置を鋳込み方向第2位置とする。鋳込み方向第2位置については、鋳片Sの表面温度の測定に関するものであるので、鋳込み方向第1位置とは異なり、凝固完了位置の上流側及び下流側のいずれであってもよい。本実施形態では、超音波送信センサ14aの近傍に表面温度計15を配設したが、より上流側の冷却ゾーン間に表面温度計15を配設してもよい。すなわち、鋳込み方向第2位置を鋳込み方向第1位置から離れた上流側としてもよい。但し、その場合、鋳片が復熱過程にあることや冷却水や水蒸気による測定誤差の問題が生じることを考慮する必要がある。また、より下流側の冷却ゾーン間に表面温度計15を配設してもよい。すなわち、鋳込み方向第2位置を鋳込み方向第1位置から離れた下流側としてもよい。但し、その場合、鋳片Sの表面温度は下流側ほど低下し、鋳片Sの表面温度の幅方向分布も熱の拡散によって均一化していくので、鋳片Sの幅方向における凝固完了位置の分布を求めるためには、鋳込み方向第2位置を凝固完了位置から遠ざけすぎることは好ましくない。
〔凝固完了位置推定装置の構成〕
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定装置100は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。凝固完了位置推定装置100は、情報処理装置内部のCPU等の演算処理装置が制御プログラムを実行することによって、温度算出部101、超音波伝播時間算出部102、パラメータ補正部103、及び凝固完了位置推定部104として機能する。これら各部の機能については後述する。また、凝固完了位置推定装置100には、超音波送信センサ14a、超音波受信センサ14b、表面温度計15、及び表示装置や印刷装置等の出力装置110が接続されている。
〔凝固完了位置推定処理〕
このような構成を有する凝固完了位置推定装置100は、以下に示す凝固完了位置推定処理を実行することによって、鋳片Sの凝固完了位置を推定する。以下、図3に示すフローチャートを参照して、この凝固完了位置推定処理を実行する際の凝固完了位置推定装置100の動作について説明する。
図3は、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、連続鋳造機が稼働され、超音波送信センサ14aと超音波受信センサ14bとの間を鋳片Sが通過したタイミングで開始となり、凝固完了位置推定処理はステップS1の処理に進む。
ステップS1の処理では、温度算出部101が、2次冷却計算(伝熱モデルを用いた鋳片の2次冷却に関する伝熱計算)によって、超音波送信センサ14a及び超音波受信センサ14bの配設位置(第1位置)における鋳片Sの厚さ方向の温度分布T(x)(x:鋳片Sの厚さ方向の位置を表す座標値)を算出する。具体的には、連続鋳造機における2次冷却計算は、鋳込み方向に単位長さにスライスされた鋳片断面を考え、以下に示す数式(1)により表される2次元伝熱方程式を、鋳片S内の場所に応じて水冷、空冷、ミスト冷却、ロール抜熱等の様々な状況における鋳片表面の境界条件の熱流速(数式(2)参照)を与えて解くことで実行される。なお、2次冷却計算自体については、本発明の出願時点で公知であるので、詳細な説明は省略する。
また、モールド4内における伝熱計算では、凝固シェルとモールド内壁との熱伝達係数をh、Tをモールド内における凝固シェルの表面温度、Tをモールド内壁温度として、数式(2)の境界条件を以下に示す数式(3)のように変更する。なお、数式(1)中のcは鋳片Sの比熱、ρは鋳片Sの密度、kは鋳片Sの熱伝導率、Tは鋳片の表面温度、x,yはそれぞれ鋳片Sの厚さ方向及び幅方向の位置を表す座標値である。また、数式(2)中のQは熱流束、hは熱伝達係数、Tは鋳片Sの表面温度、Tは雰囲気温度を示している。これにより、ステップS1の処理は完了し、凝固完了位置推定処理はステップS2の処理に進む。
Figure 0005768700
Figure 0005768700
Figure 0005768700
ステップS2の処理では、超音波伝播時間算出部102が、鋳片Sの温度と鋳片Sの厚さ方向に伝播する超音波の速度との関係式を用いて、ステップS1の処理によって算出された温度分布T(x)から鋳片の厚さ方向の超音波の速度分布V(T(x))を算出する。そして、超音波伝播時間算出部102は、算出された超音波の速度分布V(T(x))を以下に示す数式(4)に代入することにより、超音波送信センサ14a及び超音波受信センサ14bの配設位置における超音波の伝播時間の推定値Δtを算出する。ここで、数式(4)中のDは鋳片Sの厚さを示す。また、超音波伝播時間算出部102は、超音波送信センサ14a及び超音波受信センサ14bを用いて、温度分布T(x)を算出した鋳片Sの鋳込み方向位置と同じ位置における超音波の伝播時間を測定する。これにより、ステップS2の処理は完了し、凝固完了位置推定処理はステップS3の処理に進む。
Figure 0005768700
ステップS3の処理では、温度算出部101が、2次冷却計算によって表面温度計15の配設位置における鋳片Sの表面温度の推定値を算出する。また、温度算出部101は、表面温度計15を用いて、表面温度の推定値を算出した鋳片Sの鋳込み方向位置と同じ位置における表面温度を測定する。これにより、ステップS3の処理は完了し、凝固完了位置推定処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、パラメータ補正部103が、ステップS2の処理によって得られた超音波の伝播時間の推定値が測定値と一致し、且つ、ステップS3の処理によって得られた表面温度の推定値が測定値と一致するように、数式(1)に含まれる熱伝導率c、数式(3)に含まれるモールドでの抜熱モールドと凝固シェルとの間の熱伝達係数h、及び数式(2)に含まれる2次冷却帯の熱伝達係数hのうちの少なくとも1つのパラメータの値を補正する。なお、熱伝導率c、凝固シェルとモールド内壁との間の熱伝達係数h、2次冷却帯における熱伝達係数hのうちの少なくとも1つのパラメータの値を調整するとき、熱伝導率cと熱伝達係数hとは鋳片Sの幅方向で一定としてよい。
しかしながら、2次冷却帯では幅方向の冷却水量分布が一様でないことから、2次冷却帯における熱伝達係数hは幅方向位置によって異なり、これによって鋳片Sの幅方向における凝固完了位置が変化する。このため、表面温度計15を鋳片Sの幅方向に走査することによって鋳片Sの表面温度の幅方向分布を測定できる場合、鋳片Sの表面温度の幅方向分布に基づいて鋳片Sの幅方向の熱伝達係数hを補正した後に、超音波の伝播時間の推定値と測定値とが一致するように熱伝導率cや熱伝達係数h補正することが望ましい。これにより、ステップS4の処理は完了し、凝固完了位置推定処理はステップS5の処理に進む。
ステップS5の処理では、凝固完了位置推定部104が、ステップS4の処理によってパラメータが補正された伝熱モデルを用いて鋳片Sの厚み方向中央部の温度を推定し、推定された温度と固相線温度とを比較することによって、鋳片Sの凝固完了位置を算出する。以後、凝固完了位置の算出結果に基づいて凝固完了位置が連続鋳造機の機端になるように鋳片Sの冷却条件を操作することにより、連続鋳造機の設備能力を最大限に発揮させて生産性高く鋳片Sを製造することができる。これにより、ステップS5の処理は完了し、一連の凝固完了位置推定処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定処理では、超音波伝播時間算出部102が、伝熱モデルを利用した伝熱計算により超音波送信センサ14a及び超音波受信センサ14bの配設位置における鋳片Sの厚さ方向の超音波の伝播時間を推定すると共に、同位置において鋳片Sの厚さ方向の超音波の伝播時間を測定する。また、温度算出部101が、伝熱モデルを利用した伝熱計算により表面温度計15の配設位置における鋳片Sの表面温度を推定すると共に、同位置において鋳片Sの表面温度を測定する。
そして、パラメータ補正部103が、超音波の伝播時間の推定値が測定値と一致し、且つ、表面温度の推定値が測定値と一致するように、伝熱モデル内に含まれる熱伝導率、モールドでの抜熱モールドと凝固シェルとの間の熱伝達係数、及び2次冷却帯の熱伝達係数のうちの少なくとも1つのパラメータの値を補正し、凝固完了位置推定部104が、パラメータが補正された伝熱モデルを利用した伝熱計算により、鋳片の表面及び内部の温度を推定する。このような凝固完了位置推定処理によれば、鋳片Sの内部温度との間に関係性を有する超音波の伝播時間と鋳片Sの表面温度とを用いて伝熱モデルのパラメータを補正するので、鋳片の表面及び内部の温度を精度高く推定することができる。
また、本発明の一実施形態である凝固完了位置推定処理では、凝固完了位置推定部104が、推定された鋳片の内部温度に基づいて連続鋳造機内における鋳片の凝固完了位置を推定するので、鋳片の凝固完了位置を精度高く推定することができる。なお、鋳片Sの幅方向の複数位置における表面温度の推定値及び測定値を取得し、取得した推定値及び測定値に基づいて鋳片の幅方向における凝固完了位置の分布状態を推定してもよい。鋳片の幅方向における凝固完了位置の分布状態が平坦になるように冷却条件を操作することにより,中心偏析等の内部品質の問題を発生させずに連続鋳造機の操業を行うことが可能となり,優れた品質のスラブを提供することできる。
〔実施例〕
図4(a),(b)はそれぞれ、表面温度計15の配設位置における表面温度の測定値及びパラメータの補正前後における凝固完了位置の推定値及び測定値を示す図である。本実施例では、時刻20[min]以後に本発明を実行し、鋳片の熱伝導率cと2次冷却帯における熱伝達係数hとを補正した。図4(b)において、細線L1は補正前のパラメータで推定された凝固完了位置を示し、時刻20[min]から始まる太線L2は補正後のパラメータで推定した凝固完了位置を示している。図4(b)に示すプロットP1〜P8は、超音波を用いた公知の凝固完了位置検知装置によって測定された凝固完了位置を示している。
図4(b)に示すように、補正前のパラメータで推定された凝固完了位置と凝固完了位置の測定値との間には大きな誤差があるが、補正後のパラメータで推定された凝固完了位置と凝固完了位置の測定値とはよく一致している。このことから、本発明によりパラメータを補正することによって、凝固完了位置の推定値と測定値との間のずれが解消され、凝固完了位置を精度高く推定できることが確認された。
図5は、パラメータの補正前後における鋳片Sの幅方向における凝固完了位置の推定値及び測定値を示す図である。図中、点線L3は補正前のパラメータで推定された凝固完了位置を示し、細線L4は2次冷却帯における熱伝達係数hを補正した後に推定された凝固完了位置を示し、太線L5は鋳片の熱伝導率cと2次冷却帯における熱伝達係数hとを補正した後に推定された凝固完了位置を示している。プロットP11〜P16は、超音波を用いた公知の凝固完了位置検知装置によって測定された凝固完了位置を示している。
なお、幅方向の水量分布のむら等による鋳片の温度変動は測定を行わない限り知りえないことから、本実施例では、初期状態では幅方向の熱伝達係数を一定とし、表面温度計15によって測定された鋳片Sの幅方向の温度分布に基づいて熱伝達係数を幅方向で調整することにより、表面温度計15の位置における表面温度の幅方向の分布状態の計算値を測定値と一致させた。
図5に示すように,点線L3で示すように補正前のパラメータで推定された凝固完了位置の幅方向形状は平坦であったのに対して、細線L4及び太線L5で示すように補正後のパラメータで推定された凝固完了位置の幅方向形状は表面温度の幅方向分布を反映している。すなわち、パラメータ補正後には、鋳片の幅方向端部付近における凝固完了位置は鋳片の中心部付近における凝固完了位置と比較してより上流側に位置している。また、補正前のパラメータで推定された凝固完了位置と凝固完了位置の測定値との間には大きな誤差があるが、補正後のパラメータで推定された凝固完了位置と凝固完了位置の測定値とはよく一致している。このことから、本発明によりパラメータを補正することによって、凝固完了位置の推定値と測定値との間のずれが解消され、鋳片の幅方向の凝固完了位置を精度高く推定できることが確認された。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 連続鋳造機
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 モールド
5 浸漬ノズル
6 サポートロール
7a〜13a,7b〜13b 冷却ゾーン
14a 超音波送信センサ
14b 超音波受信センサ
15 表面温度計
100 凝固完了位置推定装置
101 温度算出部
102 超音波伝播時間算出部
103 パラメータ補正部
104 凝固完了位置推定部
110 出力装置
S 鋳片

Claims (5)

  1. 伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の温度分布を推定する温度分布推定ステップと、
    鋳片の温度と該鋳片の厚さ方向に伝播する超音波の速度との関係式を用いて、前記温度分布から前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の速度分布を算出し、算出された速度分布を用いて、前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を推定する伝播時間推定ステップと、
    前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を測定する伝播時間測定ステップと、
    伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を推定する表面温度推定ステップと、
    前記鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を測定する表面温度測定ステップと、
    前記超音波の伝播時間の推定値が測定値と一致し、且つ、前記表面温度の推定値が測定値と一致するように、前記伝熱モデル内に含まれる熱伝導率、モールドでの抜熱モールドと凝固シェルとの間の熱伝達係数、及び2次冷却帯の熱伝達係数のうちの少なくとも1つのパラメータの値を補正する補正ステップと、
    前記パラメータが補正された伝熱モデルを利用した伝熱計算により、鋳片の温度を推定する温度推定ステップと、
    を含むことを特徴とする鋳片温度推定方法。
  2. 前記温度推定ステップにおいて推定された鋳片の内部温度に基づいて連続鋳造機内における鋳片の凝固完了位置を推定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の鋳片温度推定方法。
  3. 前記補正ステップは、鋳片の幅方向の複数位置における表面温度の推定値が測定値と一致するようにパラメータを補正するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳片温度推定方法。
  4. 鋳片の幅方向の複数位置における表面温度の推定値に基づいて、鋳片の幅方向における凝固完了位置の分布状態を推定するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の鋳片温度推定方法。
  5. 伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の温度分布を推定する温度分布推定手段と、
    鋳片の温度と該鋳片の厚さ方向に伝播する超音波の速度との関係式を用いて、前記温度分布から前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の速度分布を算出し、算出された速度分布を用いて、前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を推定する伝播時間推定手段と、
    前記鋳込み方向第1位置における鋳片の厚さ方向の超音波の伝播時間を測定する伝播時間測定手段と、
    伝熱モデルを利用した伝熱計算により、連続鋳造機の鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を推定する表面温度推定手段と、
    前記鋳込み方向第2位置における鋳片の表面温度を測定する表面温度測定手段と、
    前記超音波の伝播時間の推定値が測定値と一致し、且つ、前記表面温度の推定値が測定値と一致するように、前記伝熱モデル内に含まれる熱伝導率、モールドでの抜熱モールドと凝固シェルとの間の熱伝達係数、及び2次冷却帯の熱伝達係数のうちの少なくとも1つのパラメータの値を補正する補正手段と、
    前記パラメータが補正された伝熱モデルを利用した伝熱計算により、鋳片の温度を推定する温度推定手段と、
    を備えることを特徴とする鋳片温度推定装置。
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