JP5736219B2 - 担持ルテニウムの製造方法及び塩素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ルテニウムが担体に担持されてなる担持ルテニウムを製造する方法に関する。また、本発明は、かかる製造方法により製造された担持ルテニウムを触媒に用いて塩化水素を酸素で酸化することにより、塩素を製造する方法に関する。
ルテニウム化合物や金属ルテニウムの如きルテニウム成分が担体に担持されてなる担持ルテニウムは、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造するための触媒として有用であることが知られており、その製造方法として、例えば、特許文献1〜6には、塩化ルテニウムを担体に担持させた後、窒素中で焼成して担持塩化ルテニウムを得る方法や、塩化ルテニウムを担体に担持させた後、空気中で焼成して担持酸化ルテニウムを得る方法が記載されている。これらの方法に使用される塩化ルテニウムは、例えば、金属ルテニウムを酸化性溶液と混合した後、得られた混合液に塩素ガスを吹き込むことによりルテニウムを酸化揮発させ、次いで、酸化揮発されたルテニウムを塩酸に吸収させることにより得られるが(特許文献7)、かかる金属ルテニウムとしては、白金鉱石のような天然鉱物を精製して得られるものや、非鉄金属製錬からの副産物や、使用済みの電子部品、触媒等から回収されたもの等が使用されることが知られており、それらの金属ルテニウムには、通常、金属ルテニウムとともに種々の不純物が含まれている。
特開平9−67103号公報 特開平10−194705号公報 特開2002−79093号公報 特開2000−229239号公報 特開2000−254502号公報 特開2000−281314号公報 特開昭58−194745号公報
上記従来の製造方法により得られる担持ルテニウムは、塩化ルテニウムの製造原料となる金属ルテニウムに含まれる所定の不純物が、得られる担持ルテニウムの触媒性能に影響を及ぼし、製造ロット毎の触媒性能の振れの原因となることがあった。そこで、本発明の目的は、触媒性能に優れる担持ルテニウムを再現性良く製造する方法を提供することにある。また、この方法により得られた担持ルテニウムを用いて、効率的に塩素を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記工程(1)〜(4)、
(1):鉄、オスミウム及びケイ素の各含有量の合計が、ルテニウムに対し500重量ppm以下である金属ルテニウムを酸化性溶液と混合する工程、
(2):工程(1)で得られた混合液に塩素ガスを吹き込むことにより、ルテニウムを酸化揮発させる工程、
(3):工程(2)で酸化揮発されたルテニウムを塩酸に吸収させることにより、塩化ルテニウムを得る工程、
(4):工程(3)で得られた塩化ルテニウムを担体に担持する工程、
を含むことを特徴とする担持ルテニウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明によれば、上記方法により製造された担持ルテニウムの存在下で、塩化水素を酸素で酸化することにより、塩素を製造する方法も提供される。
本発明によれば、触媒性能に優れる担持ルテニウムを再現性良く製造することができ、得られた担持ルテニウムを触媒に用いて、塩化水素を酸素で酸化することにより、効率的に塩素を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においては、工程(1)として、鉄、オスミウム及びケイ素の各含有量の合計が、ルテニウムに対し500重量ppm以下である金属ルテニウムを酸化性溶液と混合する。
金属ルテニウムには、通常、その基となる原材料(天然鉱物、非鉄金属、使用済みの電子部品や触媒等)に起因して、金属成分等の不純物が含まれる。金属成分の具体例としては、鉄、オスミウム、ケイ素、ロジウム、アルミニウム、ニッケル、白金、イリジウム、ビスマス、クロム、マグネシウム、鉛、チタン、パラジウム、ホウ素、マンガン、亜鉛、金、銀、カルシウム、銅、ジルコニウムの如き元素の単体や化合物が挙げられる。これら不純物の中でも、金属ルテニウム中に鉄、オスミウム及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも一種が含まれると、その合計含有量によって、最終的に得られる担持ルテニウムの触媒性能、特に塩素製造用触媒としての性能に悪影響を及ぼし易い。そこで、本発明では、原料の金属ルテニウムとして、鉄、オスミウム及びケイ素の各含有量の合計が所定値以下のもの、具体的には金属ルテニウム中のルテニウムに対し500重量ppm以下のものを使用する。かかる金属ルテニウムを使用することで、触媒性能、特に初期活性に優れる担持ルテニウムを再現性良く製造することができる。
金属ルテニウムに含まれる鉄、オスミウム及びケイ素の各含有量の合計は、ルテニウムに対し500重量ppm以下であり、好ましくは250重量ppm以下である。金属ルテニウムに含まれる鉄の含有量は、ルテニウムに対し200重量ppm以下であるのが好ましく、100重量ppm以下であるのがより好ましい。金属ルテニウムに含まれるオスミウムの含有量は、ルテニウムに対し100重量ppm以下であるのが好ましく、50重量ppm以下であるのがより好ましい。金属ルテニウムに含まれるケイ素の含有量は、ルテニウムに対し200重量ppm以下であるのが好ましく、100重量ppm以下であるのがより好ましい。
上記の如く不純物量が所定値以下の金属ルテニウムは、市販の高純度品の中から選択して入手してもよいし、不純物量が所定値を超える金属ルテニウムを精製することにより調製してもよい。金属ルテニウム中の不純物量は、例えば、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(以下、ICP分析法ということがある。)、原子吸光分析法、イオンクロマトグラフィー分析法等で測定することができる。特にICP分析法は、精度が高く、測定元素の範囲も広いため好ましい。
工程(1)において、前記金属ルテニウムを、酸化性溶液と混合することにより、該溶液に金属ルテニウムを酸化溶解させる。この酸化性溶液としては、例えば、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸のような塩素酸や、これら塩素酸のアルカリ金属塩、塩素、過酸化水素、過マンガン酸カリウム等、金属ルテニウムに対し酸化作用を持つ化合物を1種以上含む溶液、好ましくは水溶液が用いられる。また、この溶液は、水酸化アルカリの如き塩基や、塩酸、硝酸、硫酸等の酸で、pH調整されたものであってもよい。さらに、上記酸化性溶液として、王水を用いることもでき、この王水には酸素が含まれていてもよい。
上記酸化性溶液としては、塩素酸やそのアルカリ金属塩を含む溶液が好ましく用いられ、より好ましくは次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液が用いられる。典型的には、塩素酸アルカリと水酸化アルカリの混合溶液、特に次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液が好ましく用いられる。
工程(1)における混合温度は、通常0〜100℃であり、好ましくは50〜100℃である。混合温度が低すぎると、金属ルテニウムの酸化溶解の進行が遅く、実用的ではなく、逆に高すぎると、コスト的に不利である。尚、必要に応じ、混合槽を回転させたり、攪拌することにより、酸化溶解を効率的に行うことができる。工程(1)により、ルテニウムが酸化溶解した混合液が得られる。
工程(2)として、工程(1)で得られた混合液に塩素ガスを吹き込むことにより、ルテニウムを酸化揮発させる。塩素ガスを吹き込む際は、加熱することが好ましい。酸化揮発させる際の条件については、特に制限はなく、公知の条件を適宜採用すればよい。例えば、特開昭58−194745号公報等に開示された手法や条件等を適宜採用すればよい。工程(1)における金属ルテニウムに不純物が多く含まれると、ルテニウムの酸化揮発時に不純物が同伴され、最終的に得られる担持ルテニウムの触媒性能、特に塩素製造用触媒としての性能に悪影響を及ぼすと考えられる。工程(2)により、ルテニウムはRuOの形で揮発分離される。
工程(3)として、工程(2)で酸化揮発されたルテニウムを塩酸に吸収させることにより、塩化ルテニウムを得る。塩酸中の塩化水素濃度やその使用量、吸収時の温度等の条件については、特に制限はなく、公知の条件を適宜採用すればよい。例えば、特開昭58−194745号公報等に開示された手法や条件等を適宜採用すればよい。工程(3)により、塩化ルテニウムを含む水溶液が得られる。
工程(4)として、工程(3)で得られた塩化ルテニウムを担体に担持する。工程(3)において、塩化ルテニウムは、塩化ルテニウムを含む水溶液として得られるので、水溶液から塩化ルテニウムを分離して使用するのが好ましい。分離する方法としては、蒸発乾固が好ましい。蒸発乾固の方法としては、例えば、100℃以上の温度で乾燥させて水分を除去する方法等が挙げられる。蒸発乾固は、水分が除去できる条件であれば、常圧下に100℃以上で行ってもよいし、減圧下で適宜温度を調整して行ってもよく、また、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
担体としては、チタニア、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化ニオブ等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上の混合物や複合酸化物を用いることができる。中でも、チタニア及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する担体が好ましく、チタニアを含有する担体がより好ましく、チタニアからなる担体(以下、チタニア担体ということがある。)がさらに好ましい。担体としてチタニアを含有する担体を用いる場合、このチタニアは、ルチル型チタニア(ルチル型の結晶構造を有するチタニア)やアナターゼ型チタニア(アナターゼ型の結晶構造を有するチタニア)、非晶質のチタニア等からなるものであることができ、また、これらの混合物からなるものであってもよい。本発明では、ルチル型チタニアを含有するチタニア担体が好ましく、ルチル型チタニア及び/又はアナターゼ型チタニアからなるチタニア担体がより好ましい。中でも、チタニア担体中のルチル型チタニア及びアナターゼ型チタニアに対するルチル型チタニアの比率(以下、ルチル型チタニア比率ということがある。)が20%以上のチタニア担体が好ましく、30%以上のチタニア担体がより好ましく、90%以上のチタニア担体がさらにより好ましい。ルチル型チタニア比率が高くなるほど、得られる担持ルテニウムの熱安定性が向上し触媒寿命がより良好となる。上記ルチル型チタニア比率は、X線回折法(以下XRD法)により測定でき、以下の式(i)で示される。
ルチル型チタニア比率[%]=〔I/(I+I)〕×100 (i)
:ルチル型チタニア(110)面を示す回折線の強度
:アナターゼ型チタニア(101)面を示す回折線の強度
尚、チタニアを含有する担体を用いる場合、チタニア中のナトリウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましく、また、カルシウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましい。また、チタニア中の全アルカリ金属元素の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましく、また、チタニア中の全アルカリ土類金属元素の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましい。これらアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素の含有量は、例えば、ICP分析法、原子吸光分析法、イオンクロマトグラフィー分析法等で測定することができ、好ましくはICP分析法で測定する。
かかるチタニアには、粉末状やゾル状のチタニアを混練、成形し、次いで熱処理したものを用いることができる。熱処理したチタニアは、公知の方法に基づいて調製することができ、例えば、チタニア粉末やチタニアゾルを、有機バインダー等の成形助剤及び水と混練し、ヌードル状に押出成形した後、乾燥、破砕して成形体を得、次いで得られた成形体を空気等の酸化性ガス雰囲気下で熱処理することで調製できる。本発明では、熱処理したチタニアを用いるのが好ましい。前記酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば酸素含有ガス等が挙げられ、その酸素濃度は、通常、1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられ、必要に応じて水蒸気で希釈される。不活性ガスは、中でも、窒素、二酸化炭素が好ましい。前記熱処理を行う場合の処理温度は、通常、400〜900℃、好ましくは500〜800℃である。
担体の比表面積は、窒素吸着法(BET法)で測定することができ、通常BET1点法で測定する。該測定により得られる比表面積は、通常5〜300m/gであり、好ましくは5〜50m/gである。比表面積が高すぎると、得られる担持ルテニウムにおける担体やルテニウムが焼結しやすくなり、熱安定性が低くなることがある。一方、比表面積が低すぎると、得られる担持ルテニウムにおけるルテニウムが分散しにくくなり、触媒活性が低くなることがある。尚、チタニア担体を使用する場合には、必要に応じて、例えば特開2008−155199号公報等に記載される如くシリカを担持してもよい。
担体と塩化ルテニウムとの使用割合は、後述する焼成後に得られる担持ルテニウム中のルテニウム/担体の重量比が、好ましくは0.1/99.9〜20.0/80.0、より好ましくは0.3/99.7〜10.0/90.0、さらに好ましくは0.5/99.5〜5.0/95.0となるように、適宜調整すればよい。該担持ルテニウム中のルテニウムがあまり少ないと触媒活性が十分でないことがあり、あまり多いとコスト的に不利となる。
担体に塩化ルテニウムを担持させる方法としては、担体を塩化ルテニウムを含む水溶液と接触処理する方法が挙げられる。接触処理において、処理時の温度は、通常0〜100℃、好ましくは0〜50℃であり、処理時の圧力は通常0.1〜1MPa、好ましくは大気圧である。また、かかる接触処理は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。
接触処理としては、含浸又は浸漬が挙げられる。前記水溶液と接触処理する方法として、例えば、(A)担体に塩化ルテニウムを含む水溶液を含浸させる方法、(B)チタニア担体を塩化ルテニウムを含む水溶液に浸漬させる方法等が挙げられるが、前記(A)の方法が好ましい。前記水溶液には、酸が含まれてもよい。
前記水溶液に含まれる水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水などの純度の高い水が好ましい。使用する水に不純物が多く含まれると、かかる不純物が触媒に付着して、触媒の活性を低下させる場合がある。水の使用量は、前記水溶液中の塩化ルテニウム1モルに対しては、通常1.5〜8000モル、好ましくは3〜2500モル、より好ましくは7〜1500モルである。チタニア担体に塩化ルテニウムを担持させるのに最低限必要な水の量は、使用するチタニア担体の総細孔容積から担持に使用する水溶液に含まれる塩化ルテニウムの体積を除いた量である。
かくして、担体に塩化ルテニウムを担持させることができる。尚、塩化ルテニウムの担持後は必要に応じて、例えば特開2000−229239号公報、特開2000−254502号公報、特開2000−281314号公報、特開2002−79093号公報等に記載される如く還元処理を行い、担持金属ルテニウムとしてもよい。
本発明においては、優れた触媒性能が得られるという点で、前記担体に塩化ルテニウムを担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成するのが好ましい。かかる焼成により、担持された塩化ルテニウムは酸化ルテニウムへと変換され、担持酸化ルテニウムが得られる。酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。その酸素濃度は通常1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスで希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。焼成温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜400℃である。
前記担体に塩化ルテニウムを担持させた後、乾燥してから酸化性ガスの雰囲気下で焼成を行ってもよい。かかる乾燥方法としては、従来公知の方法を採用することができ、その温度は、通常、室温から100℃程度であり、その圧力は、通常0.001〜1MPa、好ましくは大気圧である。かかる乾燥は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。
前記焼成により、担持酸化ルテニウムを製造することができる。担持されている酸化ルテニウムにおけるルテニウムの酸化数は、通常+4であり、酸化ルテニウムとしては二酸化ルテニウム(RuO)であるが、他の酸化数のルテニウムないし他の形態の酸化ルテニウムが含まれていてもよい。
本発明の担持ルテニウムは、好ましくは成形体として使用される。その形状としては、例えば、球形粒状、円柱状、ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状あるいは成形後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状等が挙げられ、中でも、ペレット状であることが好ましい。この際、成形体の直径としては5mm以下が好ましい。成形体の直径が大きすぎると、塩化水素の酸化反応の転化率が低くなることがある。成形体の直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.5mm以上のものが用いられる。尚、ここでいう成形体の直径とは、球形粒状では球の直径、円柱状では円形断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。成形は、担体の調製時に行ってもよいし、前記接触処理後に行ってもよいし、還元処理を行う場合は還元処理後に行ってもよいし、前記焼成を行う場合には前記焼成後に行ってもよい。
かくして製造される担持ルテニウムを触媒に用い、この触媒の存在下で塩化水素を酸素で酸化することにより、塩素を効率的に製造することができる。反応方式としては、流動床、固定床、移動床等の反応方式が採用可能であり、断熱方式又は熱交換方式の固定床反応器が好ましい。断熱方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、単管式固定床反応器を好ましく使用することができる。熱交換方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、多管式固定床反応器を好ましく使用することができる。
この酸化反応は平衡反応であり、あまり高温で行うと平衡転化率が下がるため、比較的低温で行うのが好ましく、反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜450℃である。また、反応圧力は、通常0.1〜5MPa程度である。酸素源としては、空気を使用してもよいし、純酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論モル量は1/4モルであるが、通常、この理論量の0.1〜10倍の酸素が使用される。また、塩化水素の供給速度は、触媒1Lあたりのガス供給速度(L/h;0℃、0.1MPa換算)、すなわちGHSVで表して、通常10〜20000h−1程度である。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。尚、以下の各例において、ICP分析は、ICP発光分析装置(日本ジャーレル・アッシュ(株)製、IRIS Advantage)を用いて行った。
実施例1
(塩化ルテニウムの調製)
14ロットのスポンジ状金属ルテニウムの混合物100重量部に有効塩素濃度12.5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液267重量部と25%の水酸化ナトリウム水溶液33重量部の混合溶液を加え、撹拌しながら70℃で1時間保持した。得られたルテニウム酸ナトリウム溶液を加熱しながら、塩素ガスを吹き込むことにより、ルテニウムを四酸化ルテニウムとして酸化揮発させ、揮発ガスを塩酸に吸収させることにより四酸化ルテニウムを塩化ルテニウムに変換した。得られた溶液を蒸発乾固することにより、塩化ルテニウム水和物〔RuCl・nHO〕を得た。一連の操作をさらに74回繰り返し、計75ロットの塩化ルテニウム水和物を調製した。各ロットのスポンジ状金属ルテニウムに含まれるルテニウム含有量と、ルテニウムに対する金属成分の含有量を表1及び2に示し、各ロットの塩化ルテニウム水和物に含まれるルテニウム含有量と金属成分の含有量を表3及び4に示した。尚、表中、「nd」は検出されなかったことを示す。
(担体Aの調製)
チタニア(堺化学(株)製「STR−60R」;100%ルチル型)34重量部、α−アルミナ(住友化学(株)製「AES−12」)66重量部、及びメチルセルロース系バインダー(信越化学(株)製「メトローズ65SH−4000」)2.5重量部を混合し、次いでチタニアゾル(堺化学(株)製「CSB」;チタニア含有量38重量%)13.2重量部及び純水を加えて混練した。この混練物を直径3.0mmφの円柱状に押出成形し、乾燥した後、長さ4〜6mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中750〜800℃で3時間焼成し、チタニアとα−アルミナとの混合物からなる担体Aを得た。
(担持酸化ルテニウムAの製造)
上記(塩化ルテニウムの調製)で得られた75ロットの塩化ルテニウム水和物を混合して得られた混合物3.84重量部を純水22重量部に溶解させ、得られた水溶液を上記で得られた担体A100重量部に含浸させ、空気雰囲気下、室温で乾燥した。得られた乾燥物を、空気中250〜280℃で2時間焼成し、酸化ルテニウムの含有量が2.0重量%である青灰色の担持酸化ルテニウムAを得た。一連の操作をさらに3回繰り返し、計4ロットの担持酸化ルテニウムAを製造した。担持酸化ルテニウムAの各ロットについて以下に示す初期活性評価を実施した。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムA1.0gを、直径2mmのα−アルミナ球〔ニッカトー(株)製のSSA995〕12gで希釈し、ニッケル製反応管(内径14mm)に充填し、さらに反応管のガス入口側に上と同じα−アルミナ球12gを予熱層として充填した。この中に、塩化水素ガスを0.214mol/h(0℃、0.1MPa換算で4.8L/h)、及び酸素ガスを0.107mol/h(0℃、0.1MPa換算で2.4L/h)の速度で常圧下に供給し、触媒層を282〜283℃に加熱して反応を行った。反応開始1.5時間後の時点で、反応管出口のガスを30%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを20分間行い、ヨウ素滴定法により塩素の生成量を測定し、塩素の生成速度(mol/h)を求めた。担持酸化ルテニウムAの各ロットについて、塩素の生成速度と上記の塩化水素の供給速度から、下式より塩化水素の転化率を計算し、表5に示した。
塩化水素の転化率(%)=〔塩素の生成速度(mol/h)×2÷塩化水素の供給速度(mol/h)〕×100
実施例2
(担体Bの調製)
チタニア(堺化学(株)製「STR−60R」;100%ルチル型)50重量部、α−アルミナ(住友化学(株)製「AES−12」)50重量部、及びメチルセルロース系バインダー(信越化学(株)製「メトローズ65SH−4000」)2.0重量部を混合し、次いでチタニアゾル(堺化学(株)製「CSB」;チタニア含有量38重量%)13.2重量部及び純水を加えて混練した。この混練物を直径1.5mmφの円柱状に押出成形し、乾燥した後、長さ2〜4mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中750〜800℃で3時間焼成し、チタニアとα−アルミナとの混合物からなる担体Bを得た。
(担持酸化ルテニウムBの製造)
実施例1(塩化ルテニウムの調製)で得られた75ロットの塩化ルテニウム水和物の混合物7.84重量部を純水22重量部に溶解させ、得られた水溶液を上記で得られた担体B100重量部に含浸させ、空気雰囲気下、室温で乾燥した。得られた乾燥物を、空気中250〜280℃で2時間焼成し、酸化ルテニウムの含有量が4.0重量%である青灰色の担持酸化ルテニウムBを得た。一連の操作をさらに3回繰り返し、計4ロットの担持酸化ルテニウムBを製造した。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムBの各ロットについて、実施例1(担持酸化ルテニウムの初期活性評価)と同様に、初期活性評価を行い、結果を表6に示した。
Figure 0005736219
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Claims (6)

  1. 下記工程(1)〜(4)、
    (1):鉄、オスミウム及びケイ素の各含有量の合計が、ルテニウムに対し500重量ppm以下である金属ルテニウムを酸化性溶液と混合する工程、
    (2):工程(1)で得られた混合液に塩素ガスを吹き込むことにより、ルテニウムを酸化揮発させる工程、
    (3):工程(2)で酸化揮発されたルテニウムを塩酸に吸収させることにより、塩化ルテニウムを得る工程、
    (4):工程(3)で得られた塩化ルテニウムを担体に担持する工程、
    を含む方法により製造された担持ルテニウムの存在下で、塩化水素を酸素で酸化する塩素の製造方法
  2. 担持ルテニウムが担持酸化ルテニウムであり、工程(3)で得られた塩化ルテニウムを担体に担持させた後、酸化性ガス雰囲気下で焼成する請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程(1)における金属ルテニウムに含まれる鉄の含有量が、ルテニウムに対し200重量ppm以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 工程(1)における金属ルテニウムに含まれるオスミウムの含有量が、ルテニウムに対し100重量ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程(1)における金属ルテニウムに含まれるケイ素の含有量が、ルテニウムに対し200重量ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 工程(4)で用いる担体がルチル型チタニアを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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