図1(a),(b)には、本発明の実施例である撮像装置としての一眼レフデジタルカメラ(以下、単にカメラという)の外観を示している。図2、図3、図4、図5、図6、図7および図8には、カメラ内に設けられたミラー駆動機構の構成および動作を示している。図9には、カメラの電気的構成を示している。
これらの図において、1はカメラ本体であり、2はカメラ本体1に着脱可能な交換レンズである。3は測光およびAF(オートフォーカス)の開始を指示したり、撮影を指示したりするためのレリーズボタンである。レリーズボタン3を半押し操作(SW1−ON)することで、測光およびAFが開始される。また、レリーズボタン3を全押し操作(SW2−ON)することで、シャッタ4が駆動されて撮像素子10が露光され、撮影が行われる。
5はモータであり、オープンループ制御によるステップ駆動とロータの回転に応じて後述する回転センサ(回転検出手段)6から出力される信号を用いたフィードバック制御による駆動とが可能である。モータ5は、レリーズボタン3の全押し操作に応じて動作を開始し、ギア列42を介してミラーカムギア33を駆動することで、クイックリターンミラー(ミラー部材:以下、単にミラーという)30を移動させる。
ミラー30は、交換レンズ2から撮像素子10に向かう光路(以下、撮影光路という)の内側に配置されるダウン位置(第1の位置)と、撮影光路から上方外側に退避するアップ位置(第2の位置)との間で移動(回動)可能である。すなわち、ミラー30は、撮影光路に対して進退するように移動可能である。
回転センサ6は、モータ5のロータの回転位置に応じた信号を出力する。回転センサ6は、モータ5の内部に設けられた第1のホール素子207と第2のホール素子208とにより構成されている。該第1および第2のホール素子207,208は、それらの位置とロータの磁極との位置関係に応じて変化する信号(電圧)であって、互いに位相差を有する信号を出力する。これら2相の信号を用いることで、ロータの回転位置を検出することができる。
7は光学ファインダである。8は交換レンズ2内に配置された撮影光学系を構成する複数の光学レンズであり、9は絞りである。カメラ本体1内に設けられた撮像素子10は、撮影光学系により形成された被写体像を電気信号に変換する。11は撮像素子10から出力されたアナログ撮像信号をデジタル撮像信号に変換するA/D変換部、デジタル撮像信号に対して各種画像処理を行って画像データを生成する画像処理部等を含む信号処理回路である。
14はシステム制御部である。システム制御部14は、CPUを含むマイクロコンピュータユニットにより構成されており、内蔵されたコンピュータプログラムを実行してカメラ本体1および交換レンズ2を制御する。システム制御部14は、ミラーカムギア33の初期位置を検出するフォトリフレクタ(初期位置検出手段)36の出力を受けてミラー駆動機構が所定の待機位置にあるか否かを判定する。
また、システム制御部14は、第1ドライバ22を通じたモータ5のオープンループ制御によるステップ駆動と、第2ドライバ25を通じモータ5のフィードバック制御による駆動とを選択的に行う。具体的には、回転センサ6からの信号に基づいて後述の回転カウンタ16によりカウントされるモータ5の回転量(回転カウント値)が所定量(所定カウント値)に達することに応じて、モータ駆動方式をオープンループ制御とフィードバック制御の間で切り換える。システム制御部14と第1および第2ドライバ22,25により制御手段が構成される。
15はシステム制御部14の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。メモリ15には、後述する撮影モードごとに異なる上記所定カウント値も記憶されている。
回転カウンタ16は、システム制御部14の内部に設けられている。該回転カウンタ16は、不図示のクロック発生回路からの基準クロックをベースとして、回転センサ6(第1および第2のホール素子207,208)からの信号に基づいて得られるモータ5(ロータ)の回転量をカウントする。ここにいう回転量(回転カウント値)は、ミラー30のアップ動作およびダウン動作におけるモータ5の起動からの回転量である。
ここで、本実施例では、モータ5のロータに8極(4つのN極と4つのS極)を形成している。このため、1つのホール素子からは、ロータ1回転あたり8つのピークを持つ信号が出力される。つまり、第1および第2のホール素子207,208からは、ロータ1回転あたり合計16のピークを持つ2相信号が出力される。このため、モータ5の起動からのピーク数をカウントすることで、モータ5の起動からの回転量を検出することができる。
モータ5の起動からの回転量は、モータ5にギア連結されたミラーカムギア33の回転角度と一致する。なお、詳しくは後述するが、ミラーカムギア33は1回転でミラー30にアップ動作およびダウン動作(以下、ミラーアップ動作およびミラーダウン動作ともいう)を行わせる。
17は撮影モードボタン(操作手段)であり、本実施例のカメラに設けられた複数の撮影モードの中から使用したい(設定したい)撮影モードをユーザが選択するために操作される。
本実施例のカメラは、選択可能な撮影モードとして、レリーズボタン3が全押し操作されることで1コマの画像(静止画像)のみを撮影する単写モード(単独撮影モード)と、レリーズボタン3が全押し操作されている間は連写し続ける連写モードを有する。さらに、連写モードには、秒間2コマ程度の連続撮影を可能とする低速連写モード(第1の連続撮影モード)と、秒間5コマ程度の(つまり低速連写モードよりも連写速度が速い)連続撮影を可能とする高速連写モード(第2の連続撮影モード)とがある。本実施例では、撮影モードに応じたミラーダウン動作時の減速制御を行う。単写モード、低速連写モードおよび高速連写モードは、単位時間当たりの撮影画像数が異なる撮影モードと言うことができる。
18は撮影により生成された画像データを記録する記録媒体であり、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成されている。記録媒体18は、カメラ本体1に対して着脱可能である。
21はシャッタ制御部であり、シャッタ駆動機構に設けられた電磁石(先幕コイル、後幕コイル)への電力の供給制御を行うことで、シャッタ4の開閉動作を制御する。
第1ドライバ22は、システム制御部14から出力される駆動制御信号に応じて、モータ5のオープンループ制御によるステップ駆動(以下、OP駆動という)を行う。OP駆動の詳細については後述する。
第2ドライバ25は、位置センサ6からの信号に対して所定の位相差を持つ進角信号を生成する不図示の進角回路を有する。第2ドライバ25は、システム制御部14から出力される駆動制御信号と進角信号とに応じた(つまりは位置センサ6からの信号に基づく)モータ5のフィードバック制御による駆動(以下、FB駆動という)を行う。FB駆動の詳細についても後述する。
システム制御部14は、ミラーダウン動作の開始時には第2ドライバ25を通じたFB動によってモータ5を高速駆動する。そして、ミラーダウン動作の後半(ミラーダウン動作途中)においてモータ5の回転カウント値が所定カウント値に達することに応じて、モータ駆動方式を第1ドライバ22を通じたOP駆動に切り換え、モータ5の減速制御を行う。図2および図3に示す32は係止ピンである。係止ピン32は、アップ位置からダウン位置に回動したミラー30が当接することでそれ以上の回動を阻止するとともに、ミラー30をダウン位置に安定させるためのストッパとして機能する。ダウン位置に向けたOP駆動による減速制御によって、ミラー30が係止ピン32に当接する速度を十分に低くすることができるので、ダウン位置でのミラー30のバウンドや衝撃音の発生を抑制することができる。
本実施例では、中低速駆動域では加減速が自在で、定速駆動が容易なステップ駆動であるOP駆動と、負荷変動に影響を受けにくく高速駆動が可能なFB駆動のそれぞれの特徴を利用している。本実施例にいう高速駆動とは、例えば5000rpm以上での駆動を意味し、低速駆動とは、例えば3000rpm以下での駆動を意味する。
また、本実施例では、OP駆動中にモータ5の速度をダウン位置に向けて確実かつ十分に低下させるために、ミラーダウン動作の後半にOP駆動を開始するタイミングを撮影モードに応じて変化させる。これは、「所定カウント値」を少なくとも2つの撮影モードにおいて異ならせることで行う。
23は絞り9を制御する絞り制御部であり、24は交換レンズ2のフォーカシングを制御するAF制御部である。
以下、シャッタ駆動機構とミラー駆動機構について説明する。図2から図4に示すように、カメラ本体1に固定された地板29には、不図示の先幕シャッタ羽根群と後幕シャッタ羽根群を駆動するシャッタ駆動機構およびミラー30を駆動するミラー駆動機構をそれぞれ構成する部品が取り付けられている。
ミラー30は、地板29により保持された軸部30aを中心に回動することにより、撮影光路に対し進退する。ミラー30は、ミラースプリング34によってミラー駆動レバー(レバー部材)31に常に押し付けられている。このため、ミラー30は、ミラー駆動レバー31の動きに追従して回動する。
ミラー駆動レバー31は、地板29の軸部29aによって回動可能に支持されている。軸部29aの外周には、ねじりコイルバネであるレバースプリング35が配置されている。レバースプリング35は、ミラー駆動レバー31を時計回り方向(ミラーアップ方向)に付勢して、ミラー駆動レバー31の軸部31bをミラー30の軸部(被駆動部)30bに当接させている。
さらに、ミラー駆動レバー31は、レバースプリング35の付勢力により、軸部31aにて、カム部材であるミラーカムギア33のカム面33aに当接する。ミラーカムギア33の背面には、アルミ等の金属の薄板で形成された反射部33dが設けられている。反射部33dは、ミラーカムギア33が初期位置に位置する状態にてフォトリフレクタ36に対向する。この状態で、フォトリフレクタ36は、反射部33dに照射して反射した光を受け、ミラーカムギア33が初期位置に位置することを示す信号を出力する。ミラー駆動レバー31とミラーカムギア33は、モータ5からの駆動力をミラー30に伝達し、これを駆動する。
また、ミラーカムギア33は、地板29に、撮影光路が延びる方向と同じ方向に延びる軸を中心に回動可能に支持されている。そして、ミラーカムギア33は、撮影光路が延びる方向と同じ方向に延びる出力軸を有するモータ5から減速ギア列42を介して駆動力を受けて、時計回り方向にのみに回転する。ミラーカムギア33は、1つの画像データを取得するための撮影シーケンスにおいて1回転する。
ミラーカムギア33に形成されたカム面33aは、ミラー駆動レバー31の軸部31aに当接している。そして、ミラーカムギア33の時計回り方向の回動により、ミラー駆動レバー31は軸部31cを中心に回動する。これにより、ミラー30を回動させて撮影光路に対して進退させる。具体的には、カム面33aは、ミラー30がアップ位置にある状態からミラー駆動レバー31を図5中の反時計回り方向に回動させることによって、チャージ動作を行う。
次に、モータ5の構成について説明する。図10には、モータ5と位置センサ6の構成を示す。なお、図10では、一部の部品を破断して示している。
モータ5は、マグネット201を有するロータ202と、第1のコイル203と、第2のコイル204と、第1のヨーク205と、第2のヨーク206と、第1のホール素子207と、第2のホール素子208とにより構成されている。第1のコイル203と第2のコイル204と第1のヨーク205と第2のヨーク206によりステータが構成され、該ステータに第1および第2のホール素子207,208が固定されている。
マグネット201は、その外周面が多極着磁された円筒形状の永久磁石である。マグネット201は、回転角度(回転位置)の変化によって径方向の磁力の強さが正弦波状に変化する着磁パターンを有する。マグネット201としては、磁束密度の高いネオジウム磁石を用いるのが好ましい。
ロータ202は、ステータに対して回転可能に支持され、マグネット201に一体に固定されている。
第1のヨーク205は、第1のコイル203により励磁される磁極歯を複数有する。励磁される極が切り換わることで、ロータ202に与えるトルクを変化させることができる。第2のヨーク206は、第2のコイル204により励磁される磁極歯を複数有する。励磁される極が切り換わることで、ロータ202に与えるトルクを変化させることができる。
第1のホール素子207および第2のホール素子208は、マグネット201からの磁束の変化に応じて信号値(電圧)が変化する信号を出力する。前述したように、第1および第2のホール素子207,208は、図1に示した位置センサ6を構成する。
なお、本実施例では、ロータ202の回転を検出する回転検出手段としてホール素子を用いているが、他の回転検出手段を用いてもよい。例えば、ロータと一体的に回転するスケールに交互に形成された反射領域(又は透過領域)と非反射領域(又は遮光領域)を光学センサによって読み取ることで回転を検出してもよい。また、位置センサ6は、本実施例のようにモータ5に一体的に固定されていてもよいし、モータとは別に設けられていてもよい。
次に、モータ5のOP駆動について説明する。OP駆動とは、通常のステッピングモータでのオープンループ制御と同様の駆動方式であり、所定の時間間隔で第1および第2のコイル203,204に対する通電状態を切り換えて、いわゆるステップ駆動を行う駆動方式である。第1ドライバ22は、システム制御部14から入力された駆動制御信号が示す駆動パルス間隔(駆動周波数)と回転方向に応じて第1および第2のコイル203,204に対する通電を順次切り換えることで、ロータ202を駆動周波数に対応する速度で回転させる。これをOP駆動によるモータ5の速度制御という。
また、第1ドライバ22は、システム制御部14から入力された駆動制御信号が示す回転量に応じたパルス数の駆動パルス信号を第1および第2のコイル203,204に与えることで、ロータ202を該駆動パルス数に相当する回転量だけ回転させることができる。これをOP駆動によるモータ5の位置制御という。
OP駆動では、位置センサ6の出力の変化の影響を受けずに第1および第2のコイル203,204に対する通電切り換えタイミングを制御することができる。OP駆動により、モータ5は、低速域から中速域においては正確な速度制御と高精度な位置制御が可能なモータとなる。
ただし、モータ5の駆動速度を速く(駆動パルス間隔を短く)すると、第1および第2のコイル203,204に対する通電の切り換えに対してロータ202が応答できなくなり、脱調を起こす可能性が高まる。このため、駆動パルス間隔に下限を設ける必要があり、この結果、OP駆動によるモータ5の高速駆動には限界がある。
次に、モータ5のFB駆動について説明する。FB駆動とは、位置センサ6の出力に応じて第1および第2のコイル203,204に対する通電状態を切り換える駆動方式である。第2ドライバ25は、システム制御部14から入力された駆動パルス数、回転方向および位置センサ6が出力する信号に基づいて生成される進角信号に応じて、第1および第2のコイル203,204に対する通電を順次切り換える。これにより、ロータ202を、駆動パルス数に相当する回転量だけ回転させることができる。また、第1および第2のコイル203,204に流す電流を制御することで、ロータ202のトルクをコントロールすることができる。これをモータ5の電流制御という。
FB駆動では、第1および第2のコイル203,204に対する通電切り換えを位置センサ6の出力(ロータ202の回転位置)に合わせて行うため、ロータ202の応答遅れによる脱調の発生を抑制でき、駆動負荷に応じた高速駆動が可能になる。すなわち、モータ5に対してFB駆動を行うことで、高速域まで使用可能なモータとなる。
次に、モータ5における第1および第2のヨーク205,206と位置センサ6との位相関係について、図11を用いて説明する。図11において、時計回り方向を正方向とする。205a〜205dは第1のヨーク205の磁極歯である。206a〜206dは第2のヨーク206の磁極歯である。本実施例では、マグネット201の極数は8極であり、着磁角Pは45°である。また、第1のヨーク205を基準とすると、第2のヨーク206の位相P/2は−22.5°であり、第1のホール素子207の位相β1は+22.5°であり、第2のホール素子208の位相β2は−45°である。
以下のモータ5の動作の説明では、「電気角」を用いる。電気角とは、マグネットの磁力の1周期を360°として表したものであり、ロータ202の極数をM、実際の角度をθ0とすると、電気角θは、
θ=θ0×M/2 (式1−1)
と表される。
第1のヨーク205と第2のヨーク206との位相差、第1のホール素子207と第2のホール素子208の位相差および第1のヨーク205と第1のホール素子207の位相差は全て、電気角で90°である。図11において、第1のヨーク205の各磁極歯の中心とマグネット201のN極の中心とが対向している。この状態を、ロータ202の初期状態とし、電気角は0°とする。
ここで、モータ5におけるロータ202の回転位置(回転角度)とモータトルクとの関係、およびロータ202の回転位置と第1および第2のホール素子207,208から出力される信号との関係について、図12を用いて説明する。
図12(1)は、ロータ202の回転位置とモータトルクとの関係を示すグラフであり、横軸は電気角を、縦軸はモータトルクを示す。モータトルクは、ロータ202を時計回り方向に回転させるトルクを正のトルクとする。
第1のコイル203に正方向の電流を流すと、第1のヨーク205がN極に磁化し、マグネット201の磁極との間に電磁気力が発生する。また、第2のコイル204に正方向の電流を流すと、第2のヨーク206がN極に磁化し、マグネット201の磁極との間に電磁気力が発生する。2つの電磁気力を合成すると、ロータ202の回転に伴って正弦波状のトルク曲線(A+B+)が得られる。他の通電状態においても同様に、正弦波状のトルク曲線(A+B−,A−B−,A−B+)が得られる。第1のヨーク205は第2のヨーク206に対して電気角で90°の位相をもって配置されるため、4つのトルク曲線は互いに電気角で90°の位相差を持っている。
図12(2)は、ロータ202の回転位置と第1および第2のホール素子207,208から出力される信号との関係を示すグラフであり、横軸は電気角を、縦軸は各ホール素子からの出力信号を示す。
マグネット201の径方向での磁力の強さは、電気角に対して正弦波状に変化する。このため、ロータ202の回転により第1のホール素子207からは正弦波状の信号(位置センサ信号A)が出力される。なお、本実施例では、第1のホール素子207は、マグネット201のN極と対向するときに正の値の信号(+A)を出力する。
また、第2のホール素子208は、第1のホール素子207に対して電気角で90°の位相差を有する。このため、第2のホール素子208からは、ロータ202の回転により余弦波状の信号(位置センサ信号B)が出力される。なお、本実施例では、第2のホール素子208は、第1のホール素子207に対して極性が反転しているため、マグネット201のS極と対向するときに正の値の信号(+B)を出力する。
前述した不図示の進角回路は、第1のホール素子207の出力と第2のホール素子208の出力に基づいて所定の演算を行い、所定の進角を有する第1の進角信号と第2の進角信号を出力する。以下、進角信号の演算方法について説明する。
電気角をθとし、第1のホール素子207の出力をHE1とし、第2のホール素子208の出力をHE2とするとき、HE1,HE2は次のように表される。
HE1=sinθ
HE2=cosθ (式2−1)
また、進角αだけ進めた第1の進角信号をPS1とし、進角αだけ進めた第2の進角信号をPS2とすると、PS1,PS2はそれぞれ、HE1,HE2,αを用いて次のように演算することができる。
PS1=sin(θ+α)=HE1×cosα+HE2×sinα (式3−1)
PS2=cos(θ+α)=HE2×cosα−HE1×sinα (式3−2)
図13には、進角回路の構成を示している。本実施例における進角回路を、例えば図13に示すようなアナログ回路で構成することで上記の演算が実現可能である。まず、各位置センサ出力を所定の増幅率Cだけ増幅した信号と、さらにそれらを反転させた信号(Csinθ,Ccosθ,−Csinθ,−Ccosθ)を生成する。それらに適切な抵抗値R1,R2を乗じて加算することにより、進角信号を生成する。第1の進角信号PS1および第2の進角信号PS2は次のように表される。
PS1=C×(R/R1)×sinθ+C×(R/R2)cosθ (式4−1)
PS2=C×(R/R1)×cosθ−C×(R/R2)sinθ (式4−2)
回路中の可変抵抗R,R1,R2を次のように選ぶことで、任意の進角αだけ進めた進角信号を生成することができる。
R/R1=cosα
R/R2=sinα (式5−1)
さらに、第1の進角信号PS1と第2の進角信号PS2に対してコンパレータを用いて2値化した2値化信号(第1の2値化信号Aと第2の2値化信号B)を出力する。
以上に説明した進角信号の生成方法は一例に過ぎず、他の方法で進角信号を生成してもよい。例えば、上記の演算を行うデジタル回路によって進角信号を生成してもよいし、高分解能のエンコーダを用いて通電を切り換えるパルス間隔を調整することで進角信号を生成してもよい。
次に、モータ5のFB駆動における通電の切り換えについて説明する。まず、進角回路から出力される進角信号が有する進角がゼロの場合でのFB駆動における通電の切り換えについて説明する。
第1の進角信号PS1と第2の進角信号PS2はそれぞれ、第1の位置センサ信号Aと第2の位置センサ信号Bに対して前述の進角演算を行い、進角を与えた信号である。ここでは、進角がゼロの場合を示しているので、第1のセンサ信号Aと第1の進角信号PS1は一致し、第2のセンサ信号Bと第2の進角信号Bも一致している。第1の2値化信号Aおよび第2の2値化信号Bはそれぞれ、進角信号Aおよび進角信号Bに対してコンパレータを用いて2値化を行った信号である。
FB駆動では、第1の2値化信号Aに基づいて第1のコイル203に対する通電を切り換え、第2の2値化信号Bに基づいて第2のコイル204に対する通電を切り換える。すなわち、第1の2値化信号Aが正の値を示すときに第1のコイル203に正方向の電流を流し、第1の2値化信号Aが負の値を示すときに第1のコイル203に負方向の電流を流す。また、第2の2値化信号Bが正の値を示すときに第2のコイル204に正方向の通電を流し、第2の2値化信号Bが負の値を示すときに第2のコイル204に負方向の通電を流す。
図14には、FB駆動におけるモータ5の断面を示している。図14(a)はロータ202が電気角で135°回転した状態を示している。各進角信号は図12(2)の(a)で示した値を示しており、第1の2値化信号Aは正の値を、第2の2値化信号Bは負の値を示している。したがって、第1のコイル203には正方向の電流が流れて第1のヨーク205はN極に磁化し、第2のコイル204には負方向の電流が流れて第2のヨーク206はS極に磁化する。このとき、図12(1)のトルク曲線A+B−に対応する時計回り方向のトルクが働き、ロータ202はθ0方向の回転力を受けて回転する。
図14(b)はロータ202が電気角で180°回転した状態を示している。第1のホール素子207はマグネット201のN極とS極の境界に位置する。このため、電気角180°を境に第1の2値化信号Aは正の値から負の値に切り換り、第1のコイル203の通電方向が正方向から負方向へと切り換わる。この電気角は、トルク曲線A+B−とトルク曲線A−B−との交点の電気角と一致する。
図14(b’)はロータ202が電気角で180°回転し、第1のコイル203の通電方向が切り換わった状態を示している。第1のコイル203には負方向の電流が流れて第1のヨーク205はS極に磁化し、第2のコイル204にも負方向の電流が流れて第2のヨーク206もS極に磁化する。このとき、図12(1)のトルク曲線A−B−に対応する時計回り方向のトルクが働き、ロータ202はθ0方向の回転力を受けて回転する。
図14(c)はロータ202が電気角で225°回転した状態を示している。各進角信号は図12(2)の(c)で示した値を示しており、第1の2値化信号Aは負の値を、第2の2値化信号Bは負の値を示している。このため、第1のコイル203には負方向の電流が流れて第1のヨーク205はS極に磁化し、第2のコイル204にも負方向の電流が流れて第2のヨーク206はS極に磁化する。このとき、図12(1)のトルク曲線A−B−に対応する時計回り方向のトルクが働き、ロータ202はθ0方向の回転力を受けて回転する。
図14(d)はロータ202が電気角で270°回転した状態を示している。第2のホール素子208はマグネット201のN極とS極の境界に位置する。このため、電気角270°を境に第2の2値化信号Bは負の値から正の値に切り換わり、第2のコイル204の通電方向が負方向から正方向へと切り換わる。この電気角は、トルク曲線A−B−とトルク曲線A−B+との交点の電気角と一致する。
図14(d’)はロータ202が電気角で270°回転し、第2のコイル204の通電方向が切り換わった状態を示している。第2のコイル204には正方向の電流が流れて第2のヨーク206はN極に磁化し、第1のコイル203には負方向の電流が流れて第1のヨーク205はS極に磁化する。このとき、図12(1)のトルク曲線A−B+に対応する時計回り方向のトルクが働き、ロータ202はθ0方向の回転力を受けて回転する。
以上の状態を繰り返すことで、ロータ202を連続的に回転させることが可能となる。また、第1および第2の2値化信号A,Bの正負を反転させれば、逆回転も可能である。
FB駆動では、駆動パルス数と回転方向を入力することで、ロータ202を所望の角度だけ回転させることが可能である。また、コイル203,204に流す電流を制御することで、ヨーク205,206の磁極歯とマグネット201の磁極との間の磁力を変化させ、ロータ202に働く回転力を制御して、ロータ202を所望の速度で回転させることが可能である。
FB駆動では、各トルク曲線の交点と一致する電気角において通電を切り換えているため、モータ5から得られるトルクを最大にすることができる(図12(1)のトルク曲線T)。
OP駆動では、速度が速くなると、通電切り換えに対してロータ202の回転が追いつかず、脱調を起こすことがある。しかし、FB駆動では、ロータ202の回転位置を検出しながら通電を切り換えるため、脱調を抑えることが可能である。このため、OP駆動のように駆動パルス間隔に下限を設ける必要がなく、OP駆動に比べて高速でモータ5を駆動することが可能である。
FB駆動では、コイル203,204に流す電流を制御することで速度制御を行うことができるが、負荷トルク変動の影響を受けるため、精度の高い速度制御は困難である。また、低速駆動時には電流値を低くしなければならず、トルクが低下する。このため、低速駆動時の位置決め精度が低下する。
OP駆動とFB駆動でのモータ5の出力の関係をまとめると以下のようになる。図15は、OP駆動とFB駆動でのモータ5の出力を示すグラフであり、横軸は駆動周波数PPSを、縦軸は出力トルクTを示している。また、T1はモータ5の最大出力トルクを表している。
OP駆動でもFB駆動でも、コイル203,204に対する通電切り換えを理想的なタイミングで行い、脱調が発生しない状態では、モータ5そのものの出力は最大出力トルクT1と同等である。しかし、OP駆動において駆動速度を速く(駆動周波数を高く)すると、コイル203,204に対する通電切り換えに対してロータ202が応答できなくなり、脱調を起こす可能性が高まる。このため、OP駆動では、最大出力トルクT1に対してある安全率を見込んだトルク範囲のもとで使用される。
これに対し、FB駆動では、ロータ202の回転位置を検出しながら通電を切り換えて脱調を抑えるため、最大出力トルクT1までのトルク範囲で使用することができる。したがって、FB駆動は、OP駆動よりも、実質的には大きな出力トルクを安定的に取り出すことができ、効率が高く消費電力の低い駆動方式と言える。
次に、カメラにおいて撮影が行われる際のミラー駆動機構の動作について、図16および図17のフローチャートと、図18のタイミングチャートと、図19のカムギア線図とを用いて説明する。
図18は、撮影モードが単写モード、低速連写モードおよび高速連写モードのそれぞれの場合において、モータ5の駆動方式の切り換えを表すタイミングチャートである。高さ方向の位置で現在の駆動方式を表し、横軸は経過時間を表している。FBはFB駆動であり、OPはOP駆動を示している。また、矩形枠で囲まれた文字は、システム制御部14からの指示と回転カウンタ16での回転カウント値(カウント数)を表す。
図19のカム線図は、待機状態から1画像データの撮影終了までのミラーカムギア33の1回転でのカムリフトを表す。横軸はSW2−ON時点での0°から1回転時点での360°までの角度を示し、縦軸はカムトップとカムボトムを表している。
また、矩形枠で囲まれた文字は、回転カウンタ16での回転カウント値(カウント数)を示し、撮影モードごとに異なっている。
モータ5のカウント数は、モータ5とミラーカムギア33のギア連結によりミラーカムギア33上の角度位相と一致する。ここでは、各カウント数の大きさ(回転量)は概ね図19に示した大小関係としている。各カウント数に達したことに応じて次のシーケンスが開始される。
図16において、カメラの電源ONにて、システム制御部14は、動作を開始する(ステップS101)。まず、システム制御部14は、フォトリフレクタ36からの信号に基づいてミラーカムギア33が初期位置にあるか否かを判定する(ステップS102)。ミラーカムギア33が初期位置にない場合は、システム制御部14は、カムリセット動作としてモータ5を所定量だけ時計回り(CW)方向又は反時計回り(CCW)方向に回転させてミラーカムギア33を初期位置にリセットする(ステップS103)。ミラーカムギア33が初期位置にある場合は、ステップS104に進む。
ステップS104では、システム制御部14は、撮影モードボタン17を通じてユーザにより選択された撮影モード(単写モード、低速連写モードおよび高速連写モードのうち1つ)を判定する。単写モードの場合はステップS107に、低速連写モードの場合はステップS105に、高速連写モードの場合はステップ106にそれぞれ進む。
(単写モード)
単写モードでは、ミラー30のアップ動作が終了してモータ5が停止するカウント数をAと設定している。システム制御部14は、シャッタ4の開閉動作(撮像素子10の露光)の完了(SH完)とともに、モータ5を起動してミラーダウン動作を開始させる。その後のモータ5の減速制御の開始位置のカウント数(所定カウント値)をBと設定している。さらに、ミラーダウン動作の終了後、ミラー駆動機構が待機位置(ミラーカムギア33が初期位置)に移動するための通電切り換え位置のカウント数をCと設定している。最後のモータ5の停止位置は、全ての撮影モードにおいて共通であり、カウント数Dとする。
図2、図3および図4は、ミラー駆動機構の待機状態を示している。また、図5、図6、図7および図8では、バネの図示を省略している。
レリーズボタン3が半押し操作されてSW1−ONになると(ステップS107)、システム制御部14は、測光およびAFを実行するとともに、回転カウンタ16をリセットする(ステップS108)。続いて、レリーズボタン3が全押し操作されてSW2−ONになると(ステップS109)、システム制御部14は、シャッタ駆動機構の不図示の先幕コイルおよび後幕コイルへの通電を開始する。これとともに、第2ドライバ25を通じたモータ5のFB駆動を行ってモータ5を高速で回転させる(ステップS110)。これにより、ミラーカムギア33は時計回り方向に回転するとともに、回転カウンタ16がカウントを開始する。
ミラーカムギア33は時計回り方向に回転すると、レバースプリング35によって時計回り方向に付勢されているミラー駆動レバー31の軸部31aが、ミラーカムギア33のカム面33aのカムトップの端部からカムボトムに落ちる。これにより、ミラー駆動レバー31が時計回り方向に回転し、該ミラー駆動レバー31がミラー30の軸部30bを駆動してミラー30を跳ね上げる(ステップS111)。なお、カムトップとは、カム面33aのうち最も半径の大きい外周面のことであり、カムボトムとは、カム面33aのうち最も半径の小さい外周面のことである。
この後、ステップS112において、システム制御部14は、回転カウンタ16のカウント数がAに達することに応じてモータ5の駆動を停止させる(図5)。これにより、ミラー30はアップ位置にて停止する。また、ここまでに、ミラーカムギア33は110度回転している。
次に、システム制御部14は、シャッタ4を開閉動作させて撮像素子10の露光を行う(ステップS113)。所定の露光時間が経過した後、システム制御部14はシャッタ4を閉じて露光を終了する。
露光が終了すると、システム制御部14は、第2ドライバ25を通じてモータ5のFB駆動を行い、モータ5を高速回転(加速)させる(ステップS114)。これにより、ミラーカムギア33は時計回り方向に回転を始め、図6に示すようにミラーカムギア33のカム面33aがミラー駆動レバー31の軸部31aを押し始めてチャージ動作を開始する。ここまでで、ミラーカムギア33は128度回転している。
このとき、ミラー駆動レバー31は反時計回り方向に回転するので、その軸部31bの下降によってミラー30の軸部30bも連動し、ミラー30はダウン位置に向かって急速にダウン動作する(ステップS115)。
このようなミラーダウン動作途中(図7)で、回転カウンタ16のカウント数が所定カウント値であるBに達すると、システム制御部14は、モータ駆動方式をFB駆動から第1ドライバ22を通じたOP駆動に切り換える(ステップS116)。システム制御部14は、モータ5をステップ駆動によって減速させてミラー30のダウン速度を低下させ、最終的にミラー30を係止ピン32に静かに当接させる(図8)。ここまでで、ミラーカムギア33は251度回転している。
その後、回転カウンタ16のカウント数がCに達すると、システム制御部14は、モータ駆動方式をFB駆動に切り換える(ステップS117)。これにより、ミラーカムギア33は初期位置に向かって回転し、回転カウンタ16のカウント数がDに達すると、システム制御部14は、モータ5を停止させる(ステップS118)。ここまでで、ミラーカムギア33は360度回転している。
ミラー駆動レバー31の軸部31bは、既にミラー30の軸部30bから離脱しているが、ミラースプリング34の付勢力によってミラー30はダウン位置にて安定している。以上により、全ての機構は待機位置に復帰し、単写モードでの撮影シーケンスが終了する(ステップS119)。
単写モードでは、ステップS116でのOP駆動によるモータ5の減速期間があるので、
撮影シーケンスの終了までの時間が長くなるが、ミラー30のダウン動作時のバウンドおよび衝撃音の発生を抑制することができる。
(低速連写モード)
低速連写モードでは、ミラー30のアップ動作が終了してモータ5が停止するカウント数をAと設定している。また、シャッタ4の開閉動作の完了(SH完)とともにモータ5を起動してミラーダウン動作を開始させた後のモータ5の減速制御の開始位置のカウント数(所定カウント値)をEと設定している。なお、Eは単写モードでのBと同じであってもよいし、若干異なっていてもよい。さらに、ミラーダウン動作の終了後、ミラー駆動機構が待機位置に移動するための通電切り換え位置のカウント数をFと設定している。最後のモータ5の停止位置のカウント数はDである。
低速連写モードが設定されている場合は、先に説明したようにステップS105に進み、図17に示すステップS201〜ステップS213の動作を行う。ここで、ステップS201〜ステップS213の動作は、上述したカウント数E,Fが異なることを除いてステップS107〜ステップS119の動作と同じである。このため、ここではステップS210以降の動作について説明する。
ステップS208で開始されたモータ5のFB駆動によるミラーダウン動作の途中(図7)で、回転カウンタ16のカウント数が所定カウント値であるEに達すると、システム制御部14は、モータ駆動方式をFB駆動からOP駆動に切り換える(ステップS210)。システム制御部14は、モータ5をステップ駆動によって減速させてミラー30のダウン速度を低下させ、最終的にミラー30を係止ピン32に当接させる(図8)。低速連写モードでは、モータ5の停止までの減速を行う時間を、前述した単写モードに比べて短く設定している。このため、単写モードほど低速でミラー30を係止ピン32に当接させることはできないが、ミラーダウン動作時のバウンドおよび衝撃音の発生をかなり抑制することができる。ここまでで、ミラーカムギア33は251度回転している。
その後、回転カウンタ16のカウント数がFに達すると、システム制御部14は、モータ駆動方式をFB駆動に切り換える(ステップS211)。これにより、ミラーカムギア33は初期位置に向かって回転し、回転カウンタ16のカウント数がDに達すると、システム制御部14は、モータ5を停止させる(ステップS212)。ここまでで、ミラーカムギア33は360度回転している。
ミラー駆動レバー31の軸部31bは、既にミラー30の軸部30bから離脱しているが、ミラースプリング34の付勢力によってミラー30はダウン位置にて安定している。以上により、全ての機構は待機位置に復帰し、低速連写モードでの撮影シーケンスが終了する(ステップS213)。
(高速連写モード)
高速連写モードでは、ミラー30のアップ動作が終了してモータ5が停止するカウント数をAと設定している。また、シャッタ4の開閉動作の完了(SH完)とともにモータ5を起動してミラーダウン動作を開始させた後のモータ5の減速制御の開始位置のカウント数(所定カウント値)をGと設定している。なお、Gは単写モードでのBおよび低速連写モードでのEよりも大きい値である。さらに、ミラーダウン動作の終了後、ミラー駆動機構が待機位置に移動するための通電切り換え位置のカウント数をFと設定している。最後のモータ5の停止位置のカウント数はDである。
高速連写モードが設定されている場合は、先に説明したようにステップS106に進み、図17に示すステップS301〜ステップS313の動作を行う。ここで、ステップS301〜ステップS313の動作は、上述したカウント数G,Fが異なることを除いてステップS107〜ステップS119の動作と同じである。このため、ここではステップS310の動作について説明する。
ステップS308で開始されたモータ5のFB駆動によるミラーダウン動作の途中(図7に示す状態よりもダウン位置に近い状態)で、回転カウンタ16のカウント数が所定カウント値であるGに達する。これにより、システム制御部14は、モータ駆動方式をFB駆動からOP駆動に切り換える(ステップS310)。システム制御部14は、モータ5をステップ駆動によって減速させてミラー30のダウン速度を低下させ、最終的にミラー30を係止ピン32に当接させる(図8)。高速連写モードでは、モータ5の停止までの減速を行う時間を、前述した低速連写モードに比べて短く設定している。このため、低速連写モードほど低速でミラー30を係止ピン32に当接させることはできないが、ミラーダウン動作時のバウンドおよび衝撃音の発生をある程度抑制しつつ、ミラーダウン動作を短時間で終了して高速連写を可能としている。ここまでで、ミラーカムギア33は251度回転している。
この後のステップS311〜313は、低速連写モードのステップS211〜213と同じである。
本実施例によれば、OP駆動とFB駆動が可能なモータを用い、ミラー30のダウン位置への移動途中にてモータ駆動方式をFB駆動からOP駆動に切り換えてミラーダウン動作の速度を十分に減速する。これにより、ミラー30のダウン位置でのバウンドおよび衝撃音の発生を効果的に抑制することができる。
しかも、単位時間当たりの撮影画像数が異なる複数の撮影モードを有するカメラにおいて、撮影モードに応じてミラーダウン動作途中でFB駆動からOP駆動に切り換えるモータ5の回転量(所定量)を変更する。これにより、ミラーダウン動作の速度を各撮影モードに適した速度に設定することができる。このため、バウンドや衝撃音の抑制と所望の連写速度(高速連写)の実現の双方が可能である。
以上説明した実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、上記実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、モータ5に設けられた回転センサ6からの信号に基づいてモータ5の回転量を検出し、該回転量が所定量に達したことに応じてモータ駆動方式をFB駆動からOP駆動に切り換える場合について説明した。しかし、ミラー30の回動位置を直接検出するセンサを設け、該センサから得られたミラー30の回動位置が所定位置に達したときにモータ駆動方式をFB駆動からOP駆動に切り換えるようにしてもよい。
また、上記実施例では、連写モードとして低速連写モードと高速連写モードの2つを設けた場合について説明したが、第1および第2の連続撮影モードは連写モードが2つに限られることを意味するものではない。すなわち、中速連写モード等、他の連写モードを含む3つ以上の連写モードを有していてもよい。