JP5545826B2 - タイヤ性能予測方法及びタイヤ性能予測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに関する雪氷上性能を予測するタイヤ性能予測方法及びタイヤ性能予測装置に関する。
従来、タイヤの雪氷上性能を予測する技術として、実際にゴムブロックサンプルを作成して雪上もしくは氷上の摩擦係数を実測する方法が用いられている。このようなサンプルを使用して実測する方法は、サンプルを作成するための金型や専用の測定装置が必要であり、時間・工数・コストの面で問題がある。
近年では、有限要素法(FEM)などのシミュレーション手法や、コンピュータ性能の向上により、サンプルを実際に作成しなくてもタイヤの性能の予測が可能になってきている(特許文献1参照)。
特開2006−168505号公報
ところで、雪氷上性能を予測する予測技術としては、次の2つの技術が考えられている。第1の予測技術は、トレッドパターンの2次元CAD情報から、トレッドパターンを形成するエッジ部(ブロックエッジ及びサイプ・溝エッジ)のうち、タイヤ周方向投影長さ又はタイヤ幅方向投影長さの和を計算し、これを雪氷上性能の指標値とする方法である。第2の予測技術は、使用時温度におけるトレッドゴムの柔らかさと雪氷上摩擦係数との間に相関があるとの仮定の下に、トレッドゴムの柔らかさを示すトレッドゴム弾性率インデックスを雪氷上性能の指標値とする方法である。
しかしながら、上記第1の予測技術及び第2の予測技術では、タイヤ接地時の圧力分布やせん断変形による浮き上がりなどの挙動を考慮しておらず、必ずしも雪氷上性能を精度良く予測することができない問題がある。
そこで、本発明は、タイヤに関する雪氷上性能を精度良く予測できるタイヤ性能予測方法及びタイヤ性能予測装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、タイヤに関する雪氷上性能を予測するタイヤ性能予測方法であって、エッジ部(ブロックエッジ及びサイプ・溝エッジ)を含むトレッドブロック(トレッドブロック22)を複数の要素でモデル化したブロックモデル(ブロックモデル220)を作成する作成ステップ(ステップS1)と、前記作成ステップで作成された前記ブロックモデルを接地した後に所定方向にせん断変形させる変形解析により、少なくとも該ブロックモデルのうち前記エッジ部と対応する要素からなるエッジ要素(エッジ要素E)に生じる接地圧を計算する接地圧計算ステップ(ステップS4又はステップS11)と、前記作成ステップで作成された前記ブロックモデルについて、前記所定方向における前記エッジ要素の投影長さを計算する投影長さ計算ステップ(ステップS12)と、前記接地圧計算ステップで計算された接地圧と前記投影長さ計算ステップで計算された投影長さとから、前記トレッドブロックの雪氷上性能の指標値を計算する指標値計算ステップ(ステップS13,S14)とを有することを要旨とする。
雪氷上性能としての摩擦特性(特に、エッジ効果)は、トレッドブロックのエッジ部における接地圧と、せん断変形方向に対して有効なエッジ長とに比例する。本発明の第1の特徴では、ブロックモデルのエッジ要素に生じる接地圧と、せん断変形方向におけるエッジ要素の投影長さとを計算し、これらの計算結果を統合して雪氷上性能の指標値を計算する。従って、接地時の圧力分布やせん断変形による浮き上がりなどの挙動が反映された雪氷上性能の指標値を求めることができ、雪氷上性能を精度良く予測できる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記投影長さ計算ステップでは、前記変形解析において変形した状態の前記ブロックモデルについて、前記所定方向における前記エッジ要素の投影長さを計算することを要旨とする。
上記第1の予測技術では、2次元CAD上のエッジ部(ブロックエッジ及びサイプ・溝エッジ)の投影長さを計算するものであるが、タイヤ接地時・せん断変形時には、エッジ部の変形に伴って投影長さも変化する。本発明の第2の特徴では、変形後のエッジ要素について投影長さを計算しているため、雪氷上性能の予測精度を高めることができる。
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記所定方向とは、前記ブロックモデルのタイヤ周方向又はタイヤ幅方向の少なくとも一方を含むことを要旨とする。
本発明の第3の特徴によれば、タイヤ周方向の雪氷上性能(すなわち制駆動時性能)や、タイヤ幅方向の雪氷上性能(すなわち旋回時性能)を予測できる。なお、タイヤ周方向又はタイヤ幅方向だけでなく、ブロックモデルに対して左右45°方向の投影長さを計算する場合には制駆動時且つ旋回時の雪氷上性能を予測できる。
本発明の第4の特徴は、本発明の第1〜第3の何れかの特徴に係り、前記変形解析において変形した状態の前記ブロックモデルについて、前記ブロックモデルの接地面積を計算する接地面積計算ステップをさらに有することを要旨とする。
接地面積は、雪氷上性能としての摩擦特性に影響を与える。本発明の第4の特徴によれば、実使用時を想定した接地面積を計算することで、雪氷上性能の予測精度をさらに高めることができる。
本発明の第5の特徴は、本発明の第1〜第4の何れかの特徴に係り、前記作成ステップでは、複数のブロックモデルを含み、タイヤ全体をモデル化したタイヤモデルを作成し、前記接地圧計算ステップでは、前記複数のブロックモデルのそれぞれについて接地圧を計算し、前記投影長さ計算ステップでは、前記複数のブロックモデルのそれぞれについて投影長さを計算し、前記指標値計算ステップでは、前記複数のブロックモデルのそれぞれについて計算された接地圧及び投影長さから、タイヤ全体の雪氷上性能の指標値を計算することを要旨とする。
本発明の第5の特徴によれば、タイヤ全体をモデル化したタイヤモデルに含まれる複数のブロックモデルそれぞれについて雪氷上性能を計算することで、タイヤ全体の雪氷上性能を予測可能になる。
本発明の第6の特徴は、本発明の第1〜第5の何れかの特徴に係るタイヤ性能予測方法を実行するタイヤ性能予測装置(コンピュータ300)であることを要旨とする。
本発明の第6の特徴によれば、本発明の第1〜第5の何れかの特徴に係るタイヤ性能予測方法を実行することによって、雪氷上性能を精度良く予測できる。
本発明によれば、タイヤに関する雪氷上性能を精度良く予測できるタイヤ性能予測方法及びタイヤ性能予測装置を提供できる。
本発明の実施形態に係るタイヤ性能予測方法を実行するためのタイヤ性能予測装置としてのコンピュータを示す概略図である。 本発明の実施形態に係る性能予測方法を示すフローチャートである。 縦横領域(XYエリア)を設定した2次元パターンの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るブロックモデルを示す平面図である。 本発明の実施形態に係るブロックモデルを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るエッジ効果を計算する処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る各エッジ要素の接地圧を計算する処理を説明するための図である。 せん断変形方向毎のエッジ効果及び接地圧を表示する例を示す図である。 その他の実施形態に係るブロックモデルを示す斜視図である。 その他の実施形態に係るタイヤモデルを示す斜視図である。
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
[タイヤ性能予測装置]
先ず、本実施形態に係るタイヤ性能予測方法を実行するためのタイヤ性能予測装置について説明する。図1は、当該タイヤ性能予測装置としてのコンピュータ300を示す概略図である。
図1に示すように、コンピュータ300は、半導体メモリやハードディスク等の記憶部(不図示)、CPU等の処理部(不図示)を有する本体部310と、キーボードやマウス等の入力部320と、液晶モニタ等の表示部330とを備える。
コンピュータ300は、本実施形態に係るタイヤ性能予測方法を実行するためのタイヤ性能予測プログラムを実行する。例えば、コンピュータ300は、タイヤ性能予測プログラムを記録した外部記憶媒体からタイヤ性能予測プログラムを読み出して実行してもよい。あるいは、コンピュータ300の記憶部に格納(インストール)されたタイヤ性能予測プログラムを読み出して実行してもよい。コンピュータ300は、ネットワークを介してタイヤ性能予測プログラムを取得して実行してもよい。
[タイヤ性能予測方法]
次に、本実施形態に係るタイヤ性能予測方法について説明する。図2は、本実施形態に係るタイヤ性能予測方法を示すフローチャートである。
(1)ブロックモデルの作成
図2のステップS1において、コンピュータ300は、解析の対象となるタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料など)に基づいて、有限要素法を用いてブロックモデルを作成する。ブロックモデルとは、有限要素法に対応した要素分割(所謂メッシュ分割)によってタイヤのトレッドブロックを複数の要素の集合体としてモデル化したものである。なお、トレッドブロックとは、タイヤのトレッド部において溝により区画される陸部ブロックである。
コンピュータ300は、トレッドパターンを示す2次元パターン図(2次元パターンデータ)を読み取ると共に、読み取った2次元パターン図から任意のブロックを選択する。そして、2次元パターン図から、上記選択したブロック上の主要点(なお、主要線を含んでも良い)を入力する。この主要点は、ブロック形成上及び変形解析に必要な節点として機能する角や変曲点などのブロックの特徴を表すものである。この主要点の入力によりブロックとして2次元パターンの点と線からなる2次元データを形成できる。トレッドブロックの2次元パターン図は、そのトレッドブロックが有する形状の特徴を含む。すなわち、外形、グルーブ(溝)、サイプ(細溝)、これらの深さ、及び壁面角度などの形状的な特徴が2次元パターン図の線分に属する。そこで、2次元パターン図により形成されたトレッドブロックの各線分について属性情報を入力する。この属性情報は、トレッドブロックの外形、グルーブ、サイプ、深さ、及び壁面角度等の形状的な特徴を表すために、該当する線分に属したデータである。なお、属性情報の入力は、キーボードによる手作業によって入力してもよいし、2次元パターン図に予め設定されている線分毎の属性データを読み取ることによって入手しても良い。さらに、タイヤ径方向であるZ方向(高さ方向)についての分割設定を行う。この分割設定では、トレッドブロック内の全てのグルーブ及び全てのサイプの深さのデータを読み取り、分割数を定める。この分割数は、1グルーブ及び1サイプを独立して扱うことを可能とするために、最小深さより小さい長さとなる分割数や分割後の長さを設定することが好ましい。この分割設定は、分割による要素(小六面体)のタイヤ径方向であるZ方向(高さ方向)についてのサイズを設定することに相当する。この高さ方向の設定によって高さ方向の分割(高さ分割)が可能となる。そして、2次元パターン図における該当トレッドブロックを包含する縦横領域(XYエリア)を設定すると共に、所定サイズに分割する。
図3は、縦横領域(XYエリア)を設定した2次元パターン20の一例を示す図である。2次元パターン20は、トレッドブロック22を含み、トレッドブロック22はサイプ部24を含む。上記XYエリアを設定した後の所定サイズ分割は、タイヤ周方向の断面形状が均一であると共に、縦横同一方向に要素が配置されるようにして行われる(図4参照)。すなわち、2次元的に碁盤目状(格子状)に各要素が縦横に並ぶように分割される。また、分割では、分割による要素の1辺の長さがサイプ幅と同一またはサイプ幅以下となるように分割数や分割後の長さを設定することが好ましい。このように設定することで、タイヤ固有のサイプ形状を表現することが可能となる。なお、この分割は、変形解析時のせん断変形方向を考慮して、分割したときの何れか1辺がせん断変形方向と平行になるようにすることが好ましい。これは、平行にすることによって、分割により生成される要素の角によりギザギザ形状になり、その影響を排除したタイヤモデルを提供することを可能とするためである。以上のようにすることで、縦横分割及び高さ分割によって、所定サイズの要素(小六面体)が形成される。
次に、壁面角度、及びグルーブやサイプの深さを示すデータを傾斜・深さ情報としてこの傾斜・深さ情報に基づいて、分割されたZ方向の各ステージにおける2次元パターン図を設定する。ここでは、Z方向の分割設定により分割される複数の断面に相当する面の各々をステージとする。上記2次元パターン図に傾斜・深さ情報を適用することで、各ステージに到達する、壁面、グルーブ及びサイプの到達位置を計算できる。この到達位置により各ステージ(Z方向に分割された各高さにおける面)の2次元パターン図を生成することが可能となる。
次に、Z方向に分割した各ステージにおいてXY面で分割された要素がトレッドブロック22内部に有るか否かを判定する。この判定は、各ステージ上の要素分割された各要素について行われる。つまり、選択したトレッドブロック22の位置で指定される領域内に、要素が存在するか否かを判別する。そして、Z方向に分割した各ステージにおいてXY面で分割された要素がグルーブに含まれるか否かを判定する。ここでの判定は、選択したトレッドブロック22のグルーブ領域内に、要素が存在するか否かを判別する。また、Z方向に分割した各ステージにおいてXY面で分割された要素がサイプ部に当たるか否かを判定する。ここでの判定は、選択したトレッドブロック22のサイプ部に、要素の一部が存在するか否かを判別する。これらの判定が終了すると、選択したトレッドブロック22について、変形解析する必要がない、トレッドブロック22の外部、グルーブ内部、及びサイプ部の何れかに該当する要素を判別できる。そこで、これらトレッドブロック22の外部、グルーブ内部、及びサイプ部の何れかに該当する要素を消去することで空間とした処理を行い、残存した要素のデータを出力する。これによって、トレッドブロック22のグルーブ、サイプ部、壁面、そして外形を考慮したボクセルメッシュによるブロックモデルのデータを出力できる。
図4は、トレッドブロック22について作成された、残存した要素による3次元のブロックモデル220を示す図である。図5は、ブロックモデル220を示す斜視図である。図4及び図5に示すように、同一断面形状でかつ同一方向に配置された小六面体状の要素(ボクセル)を積み重ねて又は並べられてブロックモデル220が形成される。また、サイプ部240は、小六面体状の要素が消去された形状で表現される。
(2)境界条件の設定
次に、図2のステップS2において、コンピュータ300は、路面の設定(すなわち路面モデルの作成)と、境界条件の設定とを行う。ステップS2の処理により、変形解析用の基本インプットが作成される。
路面の設定では、路面をモデル化し、モデル化した路面である路面モデルを実際の路面状態に設定する。路面のモデル化では、路面形状を要素分割してモデル化し、路面の摩擦係数μを選択して設定することで路面状態を入力する。例えば、路面状態により乾燥(DRY)、濡れ(WET)、氷上、雪上、非舗装等に対応する路面の摩擦係数μが存在するので、摩擦係数μについて適正な値を選択することで、実際の路面状態を再現させることができる。なお、流体モデルを作成して、路面とブロックモデル220の間に設けても良い。
境界条件とは、ブロックモデル220に解析上すなわちタイヤの挙動をシミュレートする上で必要なものであり、ブロックモデル220に付与する各種条件である。具体的には、ブロックモデル220に回転変位及び直進変位(変位は力、速度でも良い)の少なくとも一方と、予め定めた負荷荷重とを与える。なお、路面との摩擦を考慮する場合は、回転変位(または力、速度でもよい)もしくは直進変位(または力、速度でもよい)のどちらか一方のみでよい。
(3)境界条件の再設定
次に、図2のステップS3において、せん断変形方向が複数指定され、コンピュータ300は、せん断変形方向毎に境界条件を変更したインプットを作成する。このようにせん断変形方向を複数指定可能とすることにより、ブロックモデル220への入力が変化した場合の雪氷上性能を捉えることができる。たとえば、タイヤ周方向(制駆動時)又はタイヤ幅方向(旋回時)の少なくとも一方のエッジ効果に加え、左右45度方向(制駆動及び旋回)のエッジ効果も計算可能である。変形解析時において、複数条件のインプットは所定のプログラムにより境界条件を自動的に変更して実施される。
(4)変形解析
次に、図2のステップS4において、コンピュータ300は、ステップS3で設定された各境界条件に従い、有限要素法に基づいてブロックモデル220の接地を接地させた後にせん断変形させる変形解析(接地・せん断挙動のシミュレーション)を行い、ブロックモデル220の各要素に生じる物理量を計算する。せん断変形方向が複数指定されているため、せん断変形方向毎の変形解析を並列実行する。ステップS4の計算結果としては、例えば、タイヤ変形時の接地面積、タイヤ変形時の接地圧、せん断変形量、せん断応力分布などの物理量が得られる。なお、変形解析は、タイヤ転動時の状態を得るために(過渡的な状態を得るために)、ブロックモデル220の変形解析を繰り返し(例えば1msec以内の計算を繰り返して行い)、その度に境界条件を更新するようにしてもよい。また、変形解析は、タイヤ変形が定常状態となることを想定した予め定めた計算時間を採用できる。
(5)エッジ効果及び接地面積の計算
次に、図2のステップS5において、コンピュータ300は、ステップS4で得られた物理量を用いて、ブロックモデル220の雪氷上の摩擦特性、具体的には各せん断変形方向それぞれのエッジ効果及びせん断時の接地面積を計算する。接地面積の計算では、変形解析において変形した状態のブロックモデル220について接地面積を計算する。
図6は、エッジ効果を計算する処理を示すフローチャートである。図6に示す処理フローは、せん断変形方向毎に実行される。
図6のステップS11において、各エッジ要素の接地圧を計算する。図7に示すように、エッジ要素Eは、ブロックモデル220の接地面において、タイヤのトレッドブロックのエッジと対応する要素(以下、ブロックエッジ要素)と、サイプのエッジと対応する要素(以下、サイプエッジ要素)とを含む。なお、図2のステップS4において各エッジ要素Eの接地圧が既に計算されている場合にはそれを使用してもよい。
図6のステップS12において、せん断変形方向における各エッジ要素Eの投影長さを計算する。ここでは、変形解析において変形した状態のブロックモデル220について、せん断変形方向における各エッジ要素Eの投影長さを計算する。
図6のステップS13において、ステップS12で計算された投影長さをステップS12で計算された接地圧で重み付けする。具体的には、各エッジ要素Eについて、ステップS12で計算された投影長さとステップS12で計算された接地圧との乗算結果をエッジ要素単位のエッジ効果として計算する。その結果、全てのエッジ要素Eのエッジ効果が得られる。
ステップS14において、全てのエッジ要素Eのエッジ効果を積算することによって、ブロックモデル220全体のエッジ効果を計算する。
(6)結果出力
図2のステップS6において、コンピュータ300は、ステップS5で計算されたせん断変形方向毎のエッジ効果や、接地圧、接地面積等を可視化ファイルに変換し、これらを表示する。
図8は、せん断変形方向毎のエッジ効果及び接地圧を表示する例を示す図である。図8に示すように、本実施形態では、タイヤ幅方向、左右45度方向方向、タイヤ周方向のそれぞれについて、接地圧分布表示、チャートグラフによるエッジ効果分布などが可視化されている。図8に示す各ブロックモデル220においてハッチングを付している箇所は接地圧が高いことを表している。また、図8に示すエッジ効果分布のチャートグラフから、せん断変形方向が45°及び225°方向である場合には良好なエッジ効果が得られていることがわかる。一方、せん断変形方向が135°及び315°方向である場合には余りエッジ効果が得られていないことがわかる。
(7)作用・効果
以上説明したように、本実施形態に係るタイヤ性能予測方法は、有限要素法を用いたシミュレーションを活用して、実際のトレッドブロック22の挙動に近い変形をブロックモデル220で再現することにより、雪氷上におけるトレッドブロック22のタイヤ性能を簡便かつ高精度に予測することが可能である。
本実施形態では、ブロックモデル220の各エッジ要素Eに生じる接地圧と、せん断変形方向における各エッジ要素Eの投影長さとを計算し、これらの計算結果を統合して雪氷上性能の指標値を計算する。従って、接地時の圧力分布やせん断変形による浮き上がりなどの挙動が反映された雪氷上性能の指標値を求めることができ、雪氷上性能を精度良く予測できる。
本実施形態では、変形後の各エッジ要素Eについて投影長さを計算しているため、雪氷上性能の予測精度を高めることができる。
本実施形態では、タイヤ周方向の雪氷上性能(すなわち制駆動時性能)や、タイヤ幅方向の雪氷上性能(すなわち旋回時性能)を予測できる。また、ブロックモデル220に対して左右45°方向の投影長さを計算することで、制駆動時且つ旋回時の雪氷上性能を予測できる。
本実施形態では、変形後の各エッジ要素Eについて接地面積を計算することで、実使用時を想定した接地面積を計算でき、雪氷上性能の予測精度をさらに高めることができる。
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
(変更例1)
上記実施形態では、ブロックモデル220が、小六面体状の要素(ボクセル)の集合体として構成されていたが、図9に示すように、複雑な形状の要素の集合体としてブロックモデル220を構成してもよい。ただし、複雑な形状の要素の集合体としてブロックモデル220を構成する場合には、ブロックモデル220の作成が困難であり、且つ長時間の作成時間を要するため、上記実施形態のように小六面体状の集合体としてブロックモデル220を構成することが好ましい。
(変更例2)
上記実施形態では、1つのブロックモデル220についての雪氷上性能を予測するケースを説明した。しかしながら、上記実施形態に係るタイヤ性能予測方法をトレッドパターン上の個々のトレッドブロックに対して実施した後、結果を2次元に拡大することによって、タイヤ全体としての雪氷上性能を予測できる。
(変更例3)
上記実施形態では、主に雪氷上性能の一つであるエッジ効果について説明したが、サイプを省略したタイヤ全体のタイヤモデルによる雪柱せん断力計算結果と合わせて、トータルの雪上性能を短時間に予測することも可能である。
(変更例4)
上記実施形態に係るタイヤ性能予測方法を詳細パターンモデルを用いたタイヤ全体のタイヤモデルにて実施し、タイヤ全体としてのエッジ効果を一度に計算することも可能である。
この場合、上記実施形態におけるステップS1において、図10に示すように、複数のブロックモデル220を含み、タイヤ全体をモデル化したタイヤモデル100を作成する。ステップS11において、複数のブロックモデル220のそれぞれについて接地圧を計算する。ステップS12において、複数のブロックモデル220のそれぞれについて投影長さを計算する。そして、ステップS13において、複数のブロックモデル220のそれぞれについて計算された接地圧及び投影長さから、タイヤ全体の雪氷上性能の指標値(エッジ効果)を計算する。これにより、タイヤ全体をモデル化したタイヤモデル100に含まれる複数のブロックモデル220それぞれについて雪氷上性能を計算し、タイヤ全体の雪氷上性能を予測可能になる。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
E…エッジ要素、22…トレッドブロック、24…サイプ部、100…タイヤモデル、220…ブロックモデル、240…サイプ部、300…コンピュータ、310…本体部、320…入力部、330…表示部

Claims (8)

  1. タイヤに関する雪氷上性能を予測するタイヤ性能予測方法であって、
    エッジ部を含むトレッドブロックを複数の要素でモデル化したブロックモデルを作成する作成ステップと、
    前記作成ステップで作成された前記ブロックモデルを接地した後に所定方向にせん断変形させる変形解析により、該ブロックモデルのうち前記エッジ部と対応するエッジ要素に生じる接地圧を計算する接地圧計算ステップと、
    前記作成ステップで作成された前記ブロックモデルについて、前記所定方向における前記エッジ要素の投影長さを計算する投影長さ計算ステップと、
    前記接地圧計算ステップで計算された接地圧と前記投影長さ計算ステップで計算された投影長さとから、前記トレッドブロックの雪氷上性能の指標値を計算する指標値計算ステップと
    を有することを特徴とするタイヤ性能予測方法。
  2. 前記投影長さ計算ステップでは、前記変形解析において変形した状態の前記ブロックモデルについて、前記所定方向における前記エッジ要素の投影長さを計算することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ性能予測方法。
  3. 前記所定方向とは、前記ブロックモデルのタイヤ周方向又はタイヤ幅方向の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ性能予測方法。
  4. 前記変形解析において変形した状態の前記ブロックモデルについて、前記ブロックモデルの接地面積を計算する接地面積計算ステップをさらに有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のタイヤ性能予測方法。
  5. 前記作成ステップでは、複数のブロックモデルを含み、タイヤ全体をモデル化したタイヤモデルを作成し、
    前記接地圧計算ステップでは、前記複数のブロックモデルのそれぞれについて接地圧を計算し、
    前記投影長さ計算ステップでは、前記複数のブロックモデルのそれぞれについて投影長さを計算し、
    前記指標値計算ステップでは、前記複数のブロックモデルのそれぞれについて計算された接地圧及び投影長さから、タイヤ全体の雪氷上性能の指標値を計算することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のタイヤ性能予測方法。
  6. 前記接地圧計算ステップは、複数指定されたせん断変形方向毎の変形解析を並列実行し、前記接地圧とともに、タイヤ変形時の接地面積、せん断変形量、せん断応力分布を計算し、
    タイヤ転動時の状態を得るために、前記ブロックモデルの変形解析を繰り返し実行する、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のタイヤ性能予測方法。
  7. 前記エッジ要素は、前記ブロックモデルの接地面において、タイヤのトレッドブロックのエッジと対応する要素と、サイプのエッジと対応する要素とを含み、
    前記エッジ要素の1辺の長さは、サイプ幅と同一またはサイプ幅以下である、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のタイヤ性能予測方法。
  8. 請求項1〜の何れかに記載のタイヤ性能予測方法を実行することを特徴とするタイヤ性能予測装置。
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