JP2012056393A - タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】解析時間を短縮しつつ、タイヤ性能を精度良くシミュレーションすることが可能なタイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】タイヤモデル作成方法は、タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割するステップ112と、前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割するステップ114と、各要素に剛性特性等を定義するステップ116と、を含む。
【選択図】図4
【解決手段】タイヤモデル作成方法は、タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割するステップ112と、前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割するステップ114と、各要素に剛性特性等を定義するステップ116と、を含む。
【選択図】図4
Description
本発明は、タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラムに係り、より詳しくは、有限要素法によりタイヤの性能を解析するためタイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラムに関する。
従来、タイヤの諸性能を有限要素法等の数値解析により予測することによって試作コストを削減したり深い物理的理解を得る試みがなされており、計算時間を短縮でき且つ精度良くタイヤ性能を数値解析するためのタイヤモデルの作成方法に関して様々な技術が提案されている(例えば特許文献1等参照)。
しかしながら、上記従来技術では、タイヤの各部を全てソリッド要素で要素分割してタイヤモデルを作成してタイヤ性能をシミュレーションするため、解析時間が増加する、という問題があった。
例えば2kHz程度の高い振動周波数の固有値計算を精度良く行うためには、要素分割を細かくする必要があるが、タイヤモデルを細分化するに従って、解析時間が二次曲線的に増加する。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、解析時間を短縮しつつ、タイヤ性能を精度良くシミュレーションすることが可能なタイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明のタイヤモデル作成方法は、タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割するステップと、前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割するステップと、を含むことを特徴としている。
請求項2記載の発明のタイヤモデル作成装置は、タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割する第1の要素分割手段と、前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割する第2の要素分割手段と、を含むことを特徴としている。
請求項3記載の発明のタイヤモデル作成プログラムは、タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割するステップと、前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割するステップと、を含む処理をコンピュータに実行させるためのものである。
これらの発明によれば、インナーライナーを膜要素で要素分割するので、解析時間を短縮しつつ、タイヤ性能を精度良くシミュレーションすることが可能となる。
本発明によれば、解析時間を短縮しつつ、タイヤ性能を精度良くシミュレーションすることができる、という効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には一例として空気入りタイヤのタイヤモデルの作成や性能予測を実施するためのタイヤ性能シミュレーション装置としてのパーソナルコンピュータの概略が示されている。このパーソナルコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤの3次元モデルを作成したり性能を予測したりするコンピュータ12、コンピュータ12による演算結果や各種画面等を表示するディスプレイ14、及びディスプレイ14に表示されたカーソルを所望の位置に移動させたり、カーソル位置のメニュー項目やオブジェクト等を選択したり選択解除したりドラッグしたりする操作を行うためのマウス16を含んで構成されている。
コンピュータ12は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、不揮発性メモリ12D、及び入出力インターフェース(I/O)12Eがバス12Fを介して各々接続された構成となっている。
I/O12Eには、キーボード10、ディスプレイ14、マウス16、ハードディスク18、及び記録媒体としてのCD−ROM20が挿抜可能なCD−ROMドライブ21が接続されている。
ハードディスク18には、後述するタイヤ性能シミュレーションプログラムや、これらの実行に必要な各種パラメータやデータ等が記憶されている。CPU12Aは、ハードディスク18に記憶されたタイヤ性能シミュレーションプログラムを読み込んで実行する。
なお、後述するタイヤ性能シミュレーションプログラム等は、例えばCD−ROMドライブ21を用いてCD−ROM20に対して読み書き可能とすることもできるので、後述するタイヤ性能シミュレーションプログラムは、予めCD−ROM20に記録しておき、CD−ROMドライブ21を介してCD−ROM20に記録されたタイヤ性能シミュレーションプログラムを読み込んで実行してもよい。また、記録媒体としては、CD−ROMに限らず、DVD−ROM等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記CD−ROMドライブ21に代えて、またはさらにDVD−ROMドライブ、MDドライブ、MOドライブ等を用いればよい。
次に、本実施の形態の作用として、コンピュータ12で実行されるタイヤ性能シミュレーションプログラムの処理ルーチンについて図3に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップ100では、挙動解析の対象となるタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料など)を定める。例えば、ハードディスク18に、予め複数種類のタイヤのCADデータ(タイヤ形状、構造、材料等の設計データ)等の設計データを記憶しておき、挙動解析の対象となるタイヤの設計データを選択して読み込むことにより、挙動解析の対象となるタイヤを設定することができる。
なお、ステップ100における設定はタイヤ設計案に限定されるものではなく、現存するタイヤを解析する場合を含む。すなわち、現存するタイヤそのものを対象のモデルとして設定してもよい。
次のステップ102では、タイヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込むためのタイヤのタイヤモデルを作成する。このタイヤモデルの作成は、用いる数値解析手法により若干異なる。本実施の形態では数値解析手法として有限要素法(FEM)を用いるものとする。
従って、上記ステップ102で作成するタイヤモデルは、有限要素法(FEM)に対応した要素分割、例えば、メッシュ分割によって複数の要素に分割され、タイヤを数値的・解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプログラムヘのインプットデータ形式に数値化したものをいう。この要素分割とはタイヤ、及び路面(後述)等の対象物を小さな幾つかの(有限の)小部分、すなわち要素に分割することをいう。この要素ごとに計算を行い全ての要素について計算した後、全部の要素を足し合わせることにより全体の応答を得ることができる。
上記ステップ102のタイヤモデルの作成では、図4に示すタイヤモデル作成ルーチンが実行される。
図5には、一例として乗用車用タイヤのタイヤ断面の一例を示した。タイヤ20は、タイヤの骨格となるカーカス22を有している。このカーカス22は、ビード26により折り返されている。このカーカス22の内側はインナーライナー24とされ、インナーライナー24に延長上にはビードゴム36が配置している。
また、折り返されたカーカス22により形成される略三角形状の領域はビードフィラー28とされている。カーカス22の上方には、ベルト30が配置しており、このベルト30の半径方向外側には溝が形成されたトレッドゴム32が配置し、カーカス22のタイヤの軸方向外側にはサイドゴム34が配置している。なお、ベルト30は、本実施形態では2枚のベルト30A、30Bから構成されている。
このようなタイヤの性能解析をするためのタイヤモデルを作成するために、まずステップ112では、インナーライナー24を膜要素で要素分割する。ここで、膜要素とは、面方向にのみ力が作用する要素である。また、膜要素は、例えば三角形や四辺形等で定義することができる。
インナーライナー24は、剛性が比較的弱いため、曲げ剛性を有さない膜要素で要素分割しても、タイヤ性能のシミュレーション計算の精度に及ぼす影響は比較的小さい。また、膜要素であっても、質量と引っ張り剛性は保持すると共に、応力及び歪みを算出することは可能であり、タイヤ性能のシミュレーション結果の評価には有用である。このため、モデル化を省略することは好ましくない。
従って、本実施形態では、インナーライナー24を膜要素で要素分割する。これにより、解析時間を短縮しつつ、タイヤ性能を精度良くシミュレーションすることができる。
ステップ114では、その他の部分、例えばカーカス22、ビードフィラー28、カーカス22、ベルト30、トレッドゴム32、サイドゴム34、ビードゴム36等を要素分割する。例えば、ベルト30やカーカス22等の補強材を膜要素で定義し、その他のトレッドゴム32等をソリッド要素で要素分割する。
ここで、ソリッド要素とは、厚みを有する立体で定義された要素であり、四面体や五面体、六面体等で定義することができる。
ステップ116では、要素分割した各要素に剛性特性等を定義して本ルーチンを終了する。
このようにして、タイヤ20のタイヤモデルが作成される。図6には、作成されたタイヤモデルの断面図の一例を示した。
上記のようにして作成したタイヤ20の有限要素モデル(解析モデル)を含むタイヤモデルを作成した後には、図3のステップ104へ進み、路面の設定すなわち路面モデルの作成と共に路面状態の入力がなされる。このステップ104では、路面をモデル化し、そのモデル化した路面を実際の路面状態に設定するために入力するものである。路面のモデル化は、路面形状を要素分割してモデル化し、路面の摩擦係数μを選択設定することで路面状態を入力する。例えば、路面状態により乾燥(DRY)、濡れ(WET)、氷上、雪上、非舗装等に対応する路面の摩擦係数μが存在するので、摩擦係数μについて適正な値を選択することで、実際の路面状態を再現させることができる。
なお、流体モデルを作成して、路面とタイヤモデルの間に設けても良い。流体モデルは、タイヤの一部(または全部)および接地面、タイヤが移動・変形する領域を含む流体領域を分割し、モデル化するものである。
このようにして、路面状態の入力がなされると、次のステップ106において、境界条件の設定がなされる。この境界条件とは、タイヤモデルに解析上すなわちタイヤの挙動をシミュレートする上で必要なものであり、タイヤモデルに付与する各種条件である。このステップ106の境界条件の設定では、まず、タイヤモデルには内圧を与える。次に、所望の計算条件に応じて、タイヤモデルに回転変位及び直進変位(変位は力、速度でも良い)、予め定めた負荷荷重等を与える。
次に、ステップ106までに作成されたり設定されたりした数値モデルをもとに、解析としてのタイヤモデルの変形計算を行う。すなわち、上記ステップ106で境界条件の設定が終了すると、ステップ108へ進み、タイヤモデルの変形計算を行う。このステップ108では、タイヤモデルおよび与えた境界条件より、有限要素法に基づいてタイヤモデルの変形計算を行う。この変形計算では、公知の転動解析手法を用いることができる。
次のステップ110では、上述の計算結果を出力する。この計算結果とは、タイヤ変形時の物理量を採用する。具体的には、サイドのたわみ量や接地形状、接地圧分布、タイヤ中心に作用する横力、モーメント、タイヤの上下方向の偏心固有値等である。
なお、計算結果の出力は、タイヤの接地部の形状や接地圧の分布、タイヤ中心に作用する力等の値または分布を可視化することを採用してもよい。これらは計算結果の値や変化量または変化率、力の向き(ベクトル)そして分布から導出することができ、それらをタイヤモデル周辺やパターン周辺と共に線図等で表せば、把握しやすく提示可能な可視化をすることができる。
このように、本実施形態では、インナーライナー24を膜要素で要素分割する。これにより、解析時間を短縮しつつ、タイヤ性能を精度良くシミュレーションすることができる。
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。以下の表1には、タイヤの上下方向の偏心固有値の計算を従来方法、すなわちインナーライナーをソリッド要素でモデル化したタイヤモデルで行った場合と、本発明の方法、すなわちインナーライナーを膜要素でモデル化したタイヤモデルで行った場合と、における解析時間及び振動周波数のシミュレーション結果を示した。なお、表中の数値は、従来方法の結果を100として正規化している。
10 キーボード
12 コンピュータ
14 ディスプレイ
16 マウス
18 ハードディスク
20 タイヤ
21 CD−ROMドライブ
22 カーカス
24 インナーライナー
26 ビード
28 ビードフィラー
30 ベルト
32 トレッドゴム
34 サイドゴム
36 ビードゴム
12 コンピュータ
14 ディスプレイ
16 マウス
18 ハードディスク
20 タイヤ
21 CD−ROMドライブ
22 カーカス
24 インナーライナー
26 ビード
28 ビードフィラー
30 ベルト
32 トレッドゴム
34 サイドゴム
36 ビードゴム
Claims (3)
- タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割するステップと、
前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割するステップと、
を含むタイヤモデル作成方法。 - タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割する第1の要素分割手段と、
前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割する第2の要素分割手段と、
を含むタイヤモデル作成装置。 - タイヤを構成するインナーライナー及び補強材を膜要素で要素分割するステップと、
前記インナーライナー及び前記補強材以外の前記タイヤの構成部材をソリッド要素で要素分割するステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるためのタイヤモデル作成プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010199999A JP2012056393A (ja) | 2010-09-07 | 2010-09-07 | タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010199999A JP2012056393A (ja) | 2010-09-07 | 2010-09-07 | タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラム |
Publications (1)
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JP2012056393A true JP2012056393A (ja) | 2012-03-22 |
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Family Applications (1)
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JP2010199999A Pending JP2012056393A (ja) | 2010-09-07 | 2010-09-07 | タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラム |
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JP (1) | JP2012056393A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013220724A (ja) * | 2012-04-16 | 2013-10-28 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | シミュレーション用タイヤモデルの作成方法、タイヤのシミュレーション方法、これらの方法に用いるコンピュータプログラム及びタイヤのシミュレーション装置 |
JP2015044490A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤのシミュレーション方法 |
-
2010
- 2010-09-07 JP JP2010199999A patent/JP2012056393A/ja active Pending
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