JP5537763B2 - 放出システムとしてのポリアセタール薬物抱合体 - Google Patents
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Description
本願は、2003年9月5日に出願された米国特許出願第60/500,571号に対する優先権を主張し、その出願の全内容は参考として本明細書に援用される。
本発明は、一部、米国国立健康研究所(NIH)の国立研究資源開発センター(NCRR)の承認により援助を受けて(承認番号R21−RR14221およびT32 GM07035)なされた。したがって、アメリカ合衆国政府は本発明において一定の権利を有する。
従来、医薬品は経口投与(固形錠剤および液体として)される、または注射可能な低分子から主になるものである。過去30年にわたって、製剤(すなわち、薬物送達の経路および/または速度を調整し、治療剤を必要とする部位への送達することを可能にする組成物)は、ますます一般的かつ複雑になっている。それにもかかわらず、新しい処置の開発とそれらの投与のメカニズムに関する多くに疑問と課題が依然として取り扱われている
この分野におけるかなりの研究努力は重大な進歩をもたらしてきたが、長年にわたって開発され現在も使用されている薬物送達方法/システムは、まだ、改良を要する特定の問題を示す。たとえば、多くの薬物は、一般的にそれらが体内の所望の標的に到達する前に部分的に分解したりあるいは標的以外の体内組織に蓄積したり、またはその両方が起こるため、限られた、言い換えれば、低下した効力および治療効果しか発揮しない。
本発明は、生分解性、生体適合性で、生体内で殆ど毒性および/またはバイオ接着性を示さない、必要に応じて置換されるスクシンアミド含有リンクを介して高分子に共有結合する修飾物質を1以上含む高分子抱合体を開示する。
各LMは、独立して、必要に応じて置換されるスクシンアミド含有リンカーである)で表され、これによって、前記修飾物質Mは、アミド結合を介して、直接的あるいは間接的にスクシンアミドリンカーに結合し、かつ前記キャリアは、エステル結合を介して、直接的あるいは間接的に各スクシンアミドリンカーに結合するキャリアを含む抱合体を包含する。
本発明のある化合物および特定の官能基の定義を本明細書でさらに詳しく説明する。本発明の目的のために、化学元素は元素周期表、CAS版、化学物理便覧、第75編、内表紙に従って同定され、および特定の官能基は、一般的に底に記載のように定義される。加えて、有機化学の一般原則、と特定の官能部および反応性は、「有機化学」、Thomas Sorrell、University Science Books、サウサリート:1999年、に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書に記載された合成方法で種々の保護基を利用することは、当業者によって理解されるであろう。
本発明の好ましい実施形態をさらに詳しく説明し、請求の範囲で指摘する。本発明の特定の実施形態は説明のために示されるものであり、発明の限定のためにあるものではないことは理解されるであろう。本発明の本質的な特徴は、本発明の精神および範囲を逸脱しなければ、種々の実施形態で使用されてよい。
各LMは、独立して、必要に応じて置換されるスクシンアミド含有リンカーである)で表され、これによって、前記修飾物質Mは、アミド結合によって、直接的あるいは間接的にスクシンアミドリンカーに結合し、かつ前記キャリアは、エステル結合によって、直接的あるいは間接的に各スクシンアミドリンカーに結合するキャリアを含む抱合体を提供する。
(ここで、R2およびqは先に定義したとおりであり、
そのような抱合体は、下記スキーム1に示されるように、修飾物質部分(M)の二段階放出を特徴としている。
一態様では、本発明は、1以上の薬物部分(たとえば、MWが10kDa以下)が、必要に応じて置換されるスクシンアミドリンカーを介して、共有結合でキャリアに直接または間接的に結合する薬物−キャリア抱合体も包含する。
(1)業界で公知の薬物放出システムでは、薬物は一般的に1段階で放出されることが意図されている。これとは対照的に、本発明は、(i)スクシンイミド化された形または薬物分子(プロドラグ)、またはスクシンイミド化された形とスクシンアミド化された形の組合せの放出、および(ii)スクシンイミド化されたまたはスクシンアミド化された薬物分子からの薬物放出を含む。
(2)スクシンアミド化されたリンカー基を薬物分子とキャリアとの間に含む、業界で知られた低分子放出システムにおいては、薬物はエステル基を介して前記リンカーと結合する。したがって、リンカーをキャリアに結合したままで、薬物は1段階で放出される。
ある実施形態では、キャリアは、モノアミノスクシンアミドリンカーによって、1以上の修飾物質(たとえば、薬物分子)に、共有結合で結合できる、どのような低分子または高分子、生体高分子、粒子、ゲルまたは他の物質または材料でもよい。ある実施形態では、本発明の実施に適切なキャリアは、スクシニル化可能な官能基を1以上含む、どのような低分子または高分子、生体高分子、粒子、ゲルまたは他の物質または材料でもよい。たとえば、適切なキャリアは、適切な条件下で、
(−O−CH2−CHR1−O−CHR2−)n
(ここで、R1およびR2は、独立して、水素、ヒドロキシル、カルボニル、カルボニル含有置換基、1以上のヘテロ原子または保護された親水性官能基を含む生体適合性有機部分であり;nは1〜5000の整数である)で表されるポリアセタール部分を0.1%〜100%含む、活性化された親水性、生分解性、生体適合性高分子キャリアを含む。
さらに他の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも1つがキラル部分を含む。
ある他の実施形態では、キャリアは、一末端および1以上の非末端位置、または両端および1以上の非末端位置で置換されることができる。
ある実施形態では、本発明による修飾物質として、いくつか名前を挙げると、生体高分子、低分子、有機または無機分子、治療剤、微粒子、薬学的に有用な基または構成要素、マクロ分子、診断ラベル、キレート剤、挿入剤、親水性部分、分散剤、電荷変性剤、粘度変性剤、界面活性剤、凝固剤および凝集剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、修飾物質は、化学療法部分である。ある実施形態では、修飾物質は、第二リンカーに共有結合で結合していてもよい、カンプトテシン(CPT)である。ある実施形態では、修飾物質は、第二リンカーに共有結合で結合していてもよい、タキソールである。ある実施形態では、修飾物質は、第二リンカーに共有結合で結合していてもよい、以下の構造を持つイルジンである:
抱合体
本発明の抱合体は、Mを1以上含み、該Mは修飾物質であって、1以上のMは同一または相違してもよい。ある実施形態では、1以上のMは生体適合性部分である。ある実施形態では、1以上のMは親水性部分である。ある実施形態では、1以上のMは薬物分子である。ある実施形態では、1以上のMは化学療法部分である。ある実施形態では、1以上のMはカンプトテシン部分である。
ある実施形態において、第二リンカーは、α−アミノアシル残基であり、抱合体は、以下の一般構造を有する:
先により一般的に説明したように、ある実施形態では、キャリアが高分子の場合、約2〜約25%の、より好ましくは約5〜約20%の、より好ましくは約5〜約18%の、より好ましくは約5〜約15%の、より好ましくは約6〜約15%の、より好ましくは約6〜約14%の、より好ましくは約7〜約13%の、より好ましくは約7〜約12%の、より好ましくは約8〜約12%の、より好ましくは約9〜約12%の、より好ましくは約10〜約12%の、より好ましくは約9〜約11%の、より好ましくは約10〜約11%のモノマーが、修飾物質Mを構成する。
先に示したように、抱合体(I)は、二段階プロセスで、次いでCPTを放出することができる。
ある実施形態では、下記スキーム4で示す構造(II)を有するPHF−タキソール抱合体が提供される。
先に示したように、抱合体(II)は、二段階プロセスで、次いでタキソールを放出することができる。
ある実施形態では、下記スキーム5で示す構造(III)を有するPHF−イルジン抱合体が提供される。
先に示したように、抱合体(III)は、二段階プロセスで、次いでイルジンを放出することができる。
ある他の実施形態では、1以上のMは検出可能なラベルを含む.ある例示的な実施形態では、1以上のMは、放射性、常磁性、超常磁性、蛍光性、光吸収性、または構造ドメインを含む原子の原子または基を含む。
一態様では、本発明の適用の範囲は、癌処置/化学療法である。しかし、本発明の適用の領域はこの範囲に限定されない。他の適用も読者には簡単に明らかになるであろう。
本発明によれば、本発明の抱合体、またはそれを含む組成物、それを製造するのに有用な中間体および成分(たとえばキャリアおよび修飾物質)を製造するために、入手しうる技術であればどんなものでも使用することができる。たとえば、以下で詳細に述べる、半合成的および完全に合成的な方法を使用してもよい。
修飾物質との抱合に適切な、高分子キャリア(たとえば、生体適合性、生分解性高分子キャリア)を製造する方法は、業界で知られている。たとえば、合成の指針は、米国特許第5,811,510号、第5,863,990号および第5,958,398号;米国特許仮出願No.60/348,333;米国実用新案出願No.10/501,565;欧州特許第0820473号および第03707375.6号;国際特許出願PCT/US03/01017およびPCT/US03/22584中に見出すことができる。当業者であれば、本発明の実践において使用する高分子キャリアを造るために、これらの方法をどのように適応するかはわかるであろう。
ある実施形態では、本発明による修飾物質は、いくつか名前を挙げると、生体高分子、低分子、有機または無機分子、治療剤、微粒子、薬学的に有用な基または構成要素、マクロ分子、診断ラベル、キレート剤、挿入剤、親水性部分、分散剤、電荷変性剤、粘度変性剤、界面活性剤、凝固剤および凝集剤が挙げられるが、これらに限定されない。
他の態様では、本発明は、以下の構造を有する1以上の部分で置換されたキャリアを含む抱合体を製造する方法を提供する:
各LMは、独立して、必要に応じて置換されるスクシンアミド含有リンカーである)で表され、これによって、前記修飾物質Mは、アミド結合によって、直接的あるいは間接的にスクシンアミドリンカーに結合し、かつ前記キャリアは、エステル結合によって、直接的あるいは間接的に各スクシンアミドリンカーに結合するキャリアを含む。該製造法は、
キャリアを提供する工程と;
1以上の修飾物質を提供する工程と;
前記キャリアを、以下の構造を有する、必要に応じて置換されるコハク酸無水物と、適切な条件下で反応させ、
(ここで、sは前記キャリア上のスクシニル部分の数を表す)
スクシニル化キャリアを1以上の修飾物質部分(M)と反応させ、
それによって、少なくとも1つの修飾物質部分が、直接的あるいは第2リンカーを介して間接的に、キャリアに存在するスクシニル部分とともにアミド結合を形成し、
結果として以下の構造を有する抱合体:
を含む。
ある実施形態では、本明細書で開示された抱合体を1以上と、薬学的に適切なキャリアまたは希釈剤とを含む組成物が提供される。ある実施形態では、該組成物は、CPT−キャリア抱合体を含む。ある実施形態では、CPTは、アミノアシル部分を介して、スクシンアミド部分に間接的に結合する。ある実施形態では、CPTは、グリシン部分を介して、スクシンアミド部分に間接的に結合する。ある実施形態では、キャリアは、本明細書で記載されるようなポリアルである。ある例示的な実施形態では、ポリアルはPHFである。ある実施形態では、組成物は、式(I)または(Ia)で表されるPHF−CPT抱合体を含む。
緩衝剤やフィラーのように、加工、貯蔵または他の目的のために、他の生体適合性、好ましくは生分解性または代謝性材料を含むことができるが、好ましい実施形態では、抱合体だけが送達装置または構造体に導入される。
本発明は、主に(しかしこれに限定されない)薬理学、バイオエンジニアリング、創傷治療、および皮膚病学/化粧品の分野で、生物医学的適用に使用される高分子抱合体を包含する。ある実施形態では、該高分子抱合体は、生分解性ポリアル抱合体である。特に、本発明の抱合体のための医学的適用として、注射可能な医薬品、注射可能な診断的医薬品、ゲル、管理された薬物放出のための外科用移植片およびシステム、創口閉鎖用途(縫合糸、ステープル)、整形外科固定具(ピン、杵(状)体、スクリュー、タック、靭帯)、心臓血管用途(ステント、移植片)および長く循環する標的薬物が含まれる。本発明の抱合体は、生体材料、薬物、薬物キャリア、医薬品製剤、医療装置、移植片の成分として使用することができ、低分子、薬学的に有用な構成要素、薬物、マクロ分子および診断ラベルと結びつくことができる。
本発明のある好ましい実施形態では、本発明の抱合体は、動物(好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒト)を処置する方法において使用される。一実施形態では、本発明の抱合体は、本発明の生分解性、生体適合性抱合体を動物に投与することを含む、動物を処置する方法において使用されてもよい。たとえば、本発明による抱合体は、可溶性直鎖重合体、共重合体、抱合体、コロイド、粒子、ゲル、固形状物、繊維、フィルムなどの形で投与することができる。本発明の生分解性、生体適合性抱合体は、薬物キャリア、薬物キャリア成分、管理された薬物放出、低侵入式外科用処置用の製剤などとして、使用することができる。医薬品製剤は、注射可能であり、移植可能である。
本発明に適用できる薬物送達方法への適用の例は、特に、米国特許仮出願No.60/348,333;米国実用新案出願No.10/501,565;欧州特許第03707375.6号;および国際特許出願PCT/US03/01017中に見出すことができる。これらには、ポリアル低分子−薬物抱合体、タンパク質修飾キャリア、カチオン化ポリアル、ポリアル修飾リポソーム、ポリアル修飾ナノ粒子および微粒子が含まれる。
本発明の実施形態では、生分解性、生体適合性抱合体は、インターフェース成分として使用することができる。本明細書で使用される語句「インターフェース成分」は、物体上の塗膜や層のような、たとえば、異物反応を抑える、炎症性応答を減少させる、血栓形成を抑えるなど、物体の生物学的環境との相互作用の特徴を変える成分を意味する。物体は、微視的でも巨視的でもありえることは理解すべきである。微視的物体の例として、マクロ分子、コロイド、小胞、リポソーム、乳液、気泡、ナノ結晶などが挙げられる。巨視的物体の例として、外科用機器、試験管、導入管の表面などの表面、生物学的体内組織に接触するものなどが挙げられる。インターフェース 成分は、細胞およびオプソニンとの直接相互作用から物体を保護し、物体と生物学的システムとの相互作用を減少させることができと考えられる。
以下の代表的な例は、本発明の説明の補助するものであり、本発明の領域をこれに限定する意図もなければまた、するべきでもない。実際、本明細書で示し記載した例示に加えて、本発明の種々の変形例およびその更なる多くの実施形態が、本明細書で挙げる以下の例示および科学および特許文献に関する参考文献を含む本明細書の全内容から、当業者には明らかになるであろう。さらに、それら引用した文献の内容は、技術の現状の説明の補助のために、参照により本明細書に組み込まれる。
実施者は、合成経路、保護基、および本発明の抱合体の合成に有用な他の材料および方法の指針のために、本明細書に含まれる情報と組み合わせて利用する高分子化学の定評のある文献を持っている。
水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、メタ過ヨウ素酸ナトリウム,1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)および無水コハク酸は、アルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州から入手した。InCl3[In−111]は、パーキンエルマライフサイエンス社(ボストン、マサチューセッツ州)から入手した。無水ピリジン、エチルアルコールおよび他の溶剤は、シグマ−アルドリッチ社から得、精製することなく用いた。
水性媒体中のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および逆相(RP)クロマトグラフィーは、BIO−RADモデル1755 RI検出器およびLDC/ミルトンロイスペクトロモニター3000UV検出器を備えるVarian−Prostar HPLCシステムを使用して行った。HPSECバイオシルSEC−125およびバイオシルSEC−400(BIO−RAD)、および低圧スーパーローズ−6(ファルマシア)カラムは、サイズ排除クロマトグラフィー用に使用した。SECカラムキャリブレーションは、広分子量範囲デキストランとタンパク質基準に基づいて行った。他に記載しない限り、溶出は50mMのリン酸緩衝0.9%NaCl、pH=7.0で等張的に行った。
先に検討したように、巨大分子治療の生分解は、非常に幅広く使用された高分子に関し、重要なしかし充分に研究されていない問題である。たとえば、非あるいは低速度−生分解性高分子片を含む抱合体の広範な臨床用途は、長期の細胞空胞化(たとえば、Bendele A.Seely J.Richey C.Sennello G.Shopp G.(1998)Short communication:renal tubular vacuolation in animals treated with polyethylene−glycol−conjugated proteins. Toxicological Sciences.42,152−7参照)およびリソソーム疾患症候群の過負荷の発現(たとえば、Christensen,M.,Johansen,P.,Hau C.,(1978)Storage of polyvinylpirrollidone(PVP)in tissue following long−term treatment with a PVP−containing Vasopressin preparation. Acta Med. Scand., 204, 295−298参照)の、用量が多い場合は、他の病理学的代謝異常(たとえば、Miyasaki K.(1975)Experimental Polymer Storage Disease in Rabbits.Virchows Arch.A.Path.Anat.And Histol.,365,351−365参照)の原因となる潜在的危険性がある。実質的に完全な生分解性高分子、好ましくは低毒性の形成となる分解で、簡単に消えうるまたは代謝しうる生成物の発現が、長期細胞内体積の問題の主な根本的解決策となるようだ。正常な細胞外環境において充分な抱合体安定性を可能にする一方、細胞内取り込みの際、抱合体分解速度を適切にする巨大分子材料と架橋試薬との組み合わせは、最も有益である。
PHFは、デキストランB−512の完全ラテラル開裂によって製造された半合成非環状 ポリアセタールである。デキストランB−512の(1−>6)−ポリグリコシド配列の完全過ヨウ素酸塩開裂によって、ポリ(1−カルボニルエチレンカルボニルホルマルホルムアルデヒド)(PCF)を得る。PCFのペンダントアルデヒド基のホウ化水素還元によって、ポリ(1−ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルムアルデヒド)(PHF)、具リセロールの共重合体(コポリアセタール)およびグリコールアルデヒドを得る(以下の構造を参照)を得る。酸化段階での不完全な開裂により、メチロール基のいくつかが隣接グリコール基に置き換わり、これは所望のことである。幾分低い程度の開裂で、高分子鎖中にグリコール基といくらかの原型を保った炭水化物環の両方が残る。
PHFは、高親水性であり、水溶性高分子であり、生理学的条件で安定であるが、リソソームpHでプロトン触媒加水分解を受ける。
CPT−Gly.TFAは、Greenwald12,14によって報告された手順によって2段階で製造し、Minko1eによって修飾した。つまり、CPTをメチレンクロライド中、DMAPの存在化下で、BOC−グリシンおよびDIPCで処理した。N−BOC基はトリフルオロ酢酸で取り除き、得られたCPT−Gly.TFAをジエチルエーテルから結晶化した。純度:>97%(HPLC,NMR)
(実施例3 PHF−スクシネート(PHF−SA))
PHF(10.00g、75.6mmol)、無水コハク酸(0.76g,7.6mmol)およびDMAP(1.2mg、0.01mmol)を5mLの無水ピリジンに溶解した。40℃で18時間撹拌した後、ピリジンを真空下取り除き、残基を脱イオン水中に懸濁し、pHを1NのNaOHで7.0に調整した。該スクシニル化PHFをセファデックスG−25上で脱塩し、凍結乾燥し、86%の収率を得た。電位差滴定によって測定したコハク酸含量は、10.3%(mol/モノマー)であった。高分子(D2O)の1H NMRスペクトルスペクトルは、PHF骨格鎖のメチレンおよびメチン(δ3.3−3.8)およびアセタール(δ4.4−4.7)プロトンの特徴的シグナルに加え、コハク酸エステルのメチレンプロトンの特徴シグナル、δ2.66およびδ2.57(broad triplets)も含んでいた。
CPT−Gly.TFAとPHF−SAとの抱合は、(i)水性媒体中での高分子−スクシネートのCPT−20−O−グリシネートトリフルオロアセテート塩によるEDC媒介アミド化、または(ii)非水性条件(DMF)下でのDIPC媒介カップリングによって行われた。最初のアプローチは(下記)より効率的で、より速い反応速度に基づき、よりきれいな生成物が得られ、生成は簡単であった。
PHF−CPTのプロトンNMRスペクトル(DMSO−d6/D2O)は、コハク酸修飾PHF骨格鎖に特徴づけられたシグナル:δ3.3−3.8(メチレンおよびメチン),δ4.4−4.7(アセタール),δ2.4−2.6(−CH2−,スクシネート);およびペンダントCPT構造に対応するシグナル:δ0.95(t),δ2.21(d),δ5.26(m),δ5.46(s),δ7.20(s),δ7.70(t),δ7.88(t),δ8.09(d),δ8.18(d),δ8.45(s)を含んでいた。
CPT−SIは、PHF−CPT加水分解生成物から単離した新油性プロドラグである(下記参照)。CPT−SIはコントロール化合物として合成した。
13C NMR:7.23,28.36,29.89,32.04,39.53,50.17,67.31,77.45,96.29,120.54,128.23,128.33,128.64,130.00,130.80,131.35,145.14,146.70,149.08,152.46,157.48,166.27,166.78,175.95。
(実施例6 カンプトテシン−20−(N−スクシンアミドグリシネート)(CPT−SA,コントロール))
CPT−Gly.TFA(50mg,0.096mmol)および無水コハク酸(18mg,0.190mmol)を2mLの無水ピリジン中に溶解した。室温で18時間撹拌した後、ピリジンを真空下で取り除いた。個体残渣を脱イオン水に懸濁し、メチレンクロライドで抽出し、0.01NのHClで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。真空下で溶剤を取り除き、>90%CPT−SA(360nmでのHPLC検出)を含む、淡黄色個体(41.4mg,収率:85%)を得た。LC−MS:m/z506.2(M+H)。生成物は、PHF−CPT加水分解生成物の組成物を測定するためのHPLC基準として使用した。
置換されたスクシニル基で修飾されたポリアセタールキャリアを、前記PHF−SAで記載した手順に類似した手順によって製造した。つまり、100mLの乾燥ピリジン中の無水PHF Mn60kDa(10.0g)を、計算量の無水コハク酸誘導体(表2参照)とDMAP(無水物:DMAP=1:0.1モル比)で18時間、40℃で処理して、PHF構造単位置換率が約10%(mol)である、コハク酸誘導体の対応PHF−スクシネートの定量的転換を行った。真空下、ピリジンを除去後、PHF−スクシネートをDI水に溶解し、DI水で平衡化したセファデックスG−25カラム上でゲルろ過することによって、低分子量不純物を精製した。最終生成物を、凍結乾燥によって水溶液から回収し、平均収率85〜90%の泡状体として得た。得られたPHF−スクシネートは、親水性高分子で、水および極性有機溶剤(ピリジン、DMF、DMSO)に容易に溶解する。高分子収率、組成、およびスクシネート含量を表2に示す。
PHF−(コハク酸2−ノネニル)(PHF−NAS)(2.5g、2.23mmol NSA)を50mLの脱イオン水に溶解し、20mLのDMFと混合し、0℃に冷却し、15mLの4:1アセトニトリル/水混合物)中のCPT−Gly.TFA溶液(454mg/0.848mmol)と組み合わせた。激しく撹拌しながら、該反応混合物にEDC(500mg)を加えた。pHを5.9〜6.0に調整した。30分撹拌した後、反応混合物の温度を室温にし、撹拌をさらに3時間続けた。HPLC(UV:360nm)でモニタリングした3時間後のCPT−Gly.TFA変換率は>92%であった。次いで反応混合物を1:9v/vDMF/水混合物で希釈して150mLとし、得られた溶液のpHを5.5に調整した。得られた抱合体をセファデックスG−25上で脱塩し、凍結乾燥した。生成物はオフホワイトから淡黄色の、水および極性有機溶剤(ピリジン、DMF、DMSO)に溶解しうる個体として得られた。360nmで分光光学的に測定したCPT抱合体含量は、13.0%w/wであった。CPTに基づく収率:>95%。抱合体中の残留カルボキシル基含量は4.1x10−4mol/gであった。
PHF−(コハク酸メチル)(PHF−MSA)(2.5g,1.72mmol MSA)を50mLの脱イオン水に溶解し、20mLのDMFと混合し、0℃に冷却し、15mLの4:1アセトニトリル/水混合物)中のCPT−Gly.TFA溶液(450mg/0.840mmol)と組み合わせた。激しく撹拌しながら、該反応混合物にEDC(500mg)を加えた。pHを5.9〜6.0に調整した。30分撹拌した後、反応混合物の温度を室温にし、撹拌をさらに3時間続けた。HPLC(UV:360nm)でモニタリングした3時間後のCPT−Gly.TFA変換率は>90%であった。次いで反応混合物を1:9v/vDMF/水混合物で希釈して150mLとし、得られた溶液のpHを5.5に調整した。得られた抱合体をセファデックスG−25上で脱塩し、凍結乾燥した。生成物はオフホワイトから淡黄色の、水、食塩水および極性有機溶剤(DMF、DMSO)に溶解しうる個体として得られ、固有pH5.7であった。360nmで分光光学的に測定したCPT抱合体含量は、7.65%w/wであった。CPTに基づく収率:71%。抱合体中の残留カルボキシル基含量は3.0x10−4mol/gであった。
PHF−(コハク酸1,1−ジメチル)(PHF−DMSA)(2.5g,1.70mmol DMSA)を50mLの脱イオン水に溶解し、20mLのDMFと混合し、0℃に冷却し、15mLの4:1アセトニトリル/水混合物)中のCPT−Gly.TFA溶液(450mg/0.840mmol)と組み合わせた。激しく撹拌しながら、該反応混合物にEDC(500mg)を加えた。pHを5.9〜6.0に調整した。30分撹拌した後、反応混合物の温度を室温にし、撹拌をさらに3時間続けた。HPLC(UV:360nm)でモニタリングした3時間後のCPT−Gly.TFA変換率は>90%であった。次いで反応混合物を1:9v/vDMF/水混合物で希釈して150mLとし、得られた溶液のpHを5.5に調整した。得られた抱合体をセファデックスG−25上で脱塩し、凍結乾燥した。生成物はオフホワイトから淡黄色の、水、食塩水および極性有機溶剤(DMF、DMSO)に溶解しうる個体として得られ、固有pH5.7であった。360nmで分光光学的に測定したCPT抱合体含量は、6.9%w/wあった。CPTに基づく収率: 約65% 抱合体中の残留カルボキシル基含量は2.9x10−4mol/gであった。
PHF−CPT抱合体の加水分解安定性を、DI水および等張食塩水中、室温、pH=5.7で、0.05Mリン酸緩衝0.9%食塩水(pH7.4)中、および新しく製造したラット血漿中37℃で、試験した。PHF−CPT加水分解およびCPT誘導体の蓄積は、20分10〜70%アセトニトリル/水勾配(両溶剤とも0.1%TFAを含む)を使用したRP HPLCによってモニタリングした。結果は2つの独立した実験で再現した。
二段階放出スクシンアミドグリシンリンクを利用した、水溶性のPHFとのタキソール抱合体、PHF−スクシンアミドグリシン−タキソール抱合体(PHF−SAG−タキソール)を、タキソール−2’(O)−グリニネートおよびスクシネート化PHFから製造した。
イルジンM、50mg(0.2mmol)を2mLの無水THFに溶解し、0℃に冷却した。次いで、65mg(0.22mmol)のFmoc−グリシン、30mg(0.22mmol)のジイソプロピルカルボジイミドおよび1mgの4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、一晩室温で放置した。得られたFmoc−グリシル−イルジンをカラムクロマトグラフィー(シリカ,1%エタノールを含むクロロホルム)で精製し、真空下で乾燥した。収率:73mg(70%)
Fmoc−グリシル−イルジン(30mg)をDMF中5mLの20%ピペリジンに溶解した。溶液を室温で3時間撹拌した。溶剤を真空下取り除き、得られたグリシル−イルジンをカラムクロマトグラフィー(シリカ,3%エタノールおよび1%トリエチルアミンを含むクロロホルム)で精製した。収率:10mg(57%)
(実施例14 PHF−イルジンM)
実施例1で記載したように製造した無水PHF、Mn73kDa(2.0g)を50mLの乾燥ピリジンに溶解した。次いで、0.15gの無水コハク酸および18mgのDMAPを加えた。反応混合物を18時間、40℃で培養した。該反応によってPHFの定量的なアシル化が起こり、スクシニル化モノマー単位が10%のPHF−スクシネートを得た。真空でピリジンを取り除いた後、PHF−スクシネートを脱イオン水に溶解し、脱イオン水で等張化したセファデックスG−25カラム上のゲルろ過によって精製した。最終生成物を凍結乾燥によって水溶液から回収した。収率:ほぼ100%
PHF−スクシネート(100mg)を2mLの脱イオン水に溶解し、0.5mLのDMFと混合した。グリシル−イルジン、10mgを0.5mLのアセトニトリルに溶解した。溶液を0℃に冷却して、混合した。激しく撹拌しながら、EDC(1−エチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド;20mg)を反応混合物に加えた。pHを5.9〜6.0に調製した。30分後、反応混合物の温度を室温にし、さらに3時間撹拌を続けた。PHF−スクシネートに結びついたグリシル−イルジンを、サイズ排除HPLC(検出:UV318nmで)によってモニタリングした。反応が終了した時、15mLの脱イオン水を加えた。pHを5.5に調整し、反応混合物を直ちにセファデックスG−25上で脱塩した。生成物、PHF−イルジンを凍結乾燥した。収率:ほぼ100%。高分子特性を表4に示す。
2:合理的溶解度は、250mgの抱合体を1mLの水に溶解することによって測定した。得られた溶液の粘度は、非常に高くてIV注射をすることができなかった。
二段階標識化抱合体(3H標識されたCPTおよび111In標識された骨格鎖)を使用して、抱合体成分の平行独立モニタリングを行った。
PHF−CPT抱合体の生物動態および生体内分布を、正常なラットおよび二重−標識化CPT抱合体を含む抱合体を使用した、HT29およびA2780異種移植片をもつヌードマウスについて検討した。全ての動物実験は、機関で承認されたプロトコルに従って行った。
CPT誘導体の細胞毒性は、HT29細胞培養液中で検査した。細胞は、10%のFBSが添加された1.5mMのL−グルタミンを有するマッコイ5a培地で成長させた。(指数的に増えた)細胞を24−ウェル培養プレート(〜10000個の細胞/ウェル)に植え、24時間培養し、次いで種々の希釈度の試験化合物で処置した。増殖阻害性を72時間ポスト処置(MTTアッセイ)で評価した。HT−29 細胞培養液中のPHF−CPTのID50は172nMであった。これは、CPTのID50(17nM)より10倍、CPT−SIのID50(34nM)より5倍高い。
CPTの毒性は、抗腫瘍活性検査の途中で、正常な非近交系マウスと無胸線動物の異種移植片において評価した。
PHF−CPTを成長したLS174t腫瘍異種移植片を有するヌードマウスにCPTで160nm/kg、q7dx3(IV)投与した。イリノテカン(可溶性低分子量CPT誘導体、コントロールとして使用)を、IPに投与し、また160nm/kg投与し、続いて同じ工程を行った。結果(図3および4)は、同じ用量で(薬剤物質による)、PHF−CPTは腫瘍増殖をイリノテカンより強力に抑えた(図3)。PHF−CPTで処置された動物の群は、イリノテカンで処置された動物の群より致死率が改善していた(図4)。
PHF−CPTの抗腫瘍毒性を、HT29モデル(腫瘍サイズ:100〜150μL)中で、コントロールとしてCPTおよびCPT−SIを使用してテストした。後者はCremofor(登録商標)乳液として投与した。CPTで45mg/kg(5xq3d.)投与されたPHF−CPTは、修飾されていないCPTを22.5mg/kg投与したばあい(同じ工程)と比べて、効果の点では高く、毒性の点では低かった。腫瘍増殖が0.10〜0.15cm3から1.5cm3に増えた時間によって測定したとき(処置をしないコントロールは27日対24であり22.5mg/kg、5xq4dのCPTを処置した場合40日)時対応、中間放出生成物、CPT−SIは、腫瘍動特性においても有意な効果は示さなかった。
Claims (23)
- 以下の構造:
各LMは、独立して、以下の構造:
を有する部分を含み、
ここで、
は、該修飾物質Mに対する結合部位を表し;
ここで、該キャリアは
(a)生分解性、生体適合性ポリアセタールであって、ここで、そのポリアセタール繰返し構造単位の少なくとも一部が下記の化学的構造を有し、
(b)生分解性、生体適合性ポリケタールであって、そのポリケタール繰返し構造単位の少なくとも一部が下記の化学的構造を有し、
ここで、各R1およびR2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される生体適合性基であり、且つC1に共有結合する炭素原子を含み;Rxは、C2に共有結合する炭素原子であり;nは整数であり;各R3、R4、R5およびR6は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される生体適合性基であり;各かっこで囲まれた構造nに関し、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはエステル結合を介してスクシンアミドとカップリングするのに適切な官能基を含む、生分解性、生体適合性ポリケタール
を含み、
ここで、各Mは、独立して、1.5kDa以下の分子量を有する小さい分子量である修飾物質であり、ここで、該修飾物質がアミン官能基を含むか、またはアミド結合の形成によって、必要に応じて置換されるコハク酸との共有結合に適切な官能基を含むように化学的に修飾され;
(i)少なくとも1つのMが、カンプトテシン(CPT)またはタキソールを含むか、または
(ii)Mの各々がカンプトテシン(CPT)を含むか、もしくは各Mがタキソールを含み;
は、リンカーLMに対するMの直接的結合またはアミノアシルリンキング部分を介する間接的結合を表し、および
各LMは、独立して、必要に応じて置換されるスクシンアミド含有リンカーであり、これによって、該修飾物質Mは、アミド結合によって、直接的または間接的に該スクシンアミドリンカーに結合し、そして該キャリアは、エステル結合によって、直接的または間接的に各スクシンアミドリンカーに結合する、抱合体。 - 請求項1に記載の抱合体であって、
(i)R1’が水素であるかまたは、
(ii)各R2’が水素である、抱合体。 - 前記キャリアが、生分解性、生体適合性ポリアセタールを含み、そのポリアセタール繰返し構造単位の少なくとも一部が下記の化学的構造を有し、
- 前記キャリアが、生分解性、生体適合性ポリケタールを含み、そのポリケタール繰返し構造単位の少なくとも一部が下記の化学的構造を有し、
ここで、各R1およびR2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される生体適合性基であり、且つC1に共有結合する炭素原子を含み;Rxは、C2に共有結合する炭素原子であり;nは整数であり;各R3、R4、R5およびR6は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される生体適合性基であり;各かっこで囲まれた構造nに関し、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはエステル結合を介してスクシンアミドとカップリングするのに適切な官能基を含む、請求項1に記載の抱合体。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の抱合体であって、ここで、該修飾物質が、トポイソメラーゼIおよびII抑制剤、アルキル化剤、アントラサイクリン類、ドキソルビシン、シスプラスチン、ビンクリスチン、マトロマイシン、タキソール、カンプトテシン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、およびダクチノマイシンからなる群から選択される化学療法剤である、抱合体。
- 請求項1に記載の抱合体であって、ここで、各Mがカンプトテシン(CPT)を含むか、または各Mがタキソールを含み、そしてMはアミノアシル部分を介して、間接的にLMに結合する、抱合体。
- 請求項6に記載の抱合体であって、ここで、Mはグリシン部分を介して、間接的にLMに結合する、抱合体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の抱合体であって、ここで、エステル結合を介してスクシンアミドとカップリングするのに適切な該官能基がヒドロキシル部分である、抱合体。
- 請求項1〜3および5〜8のいずれかに記載の抱合体であって、キャリアがPHF(ポリ[1−ヒドロキシメチルエチレン ヒドロキシメチルホルマール])である、抱合体。
- 請求項1に記載の抱合体であって、ここで、前記キャリアがPHFであり、MはCPTであり、そしてMはグリシン部分を介して、間接的にLMに結合する、抱合体。
- 請求項1、2および3〜10のいずれかに記載の抱合体であって、ここで、未反応のまま残っているキャリア上にコハク酸部位の一部を含み、これらの部位が以下の構造
を有する、抱合体。 - 請求項1に記載の抱合体であって、ここで、該キャリアが一つ以上の部分
で置換され、ここで、pが1であり、RおよびR1’がそれぞれ、水素であり、MがCPTである、抱合体。 - 以下の構造:
ここで、各Mは、独立して、1.5kDa以下の分子量を有する修飾物質であり;
(i)少なくとも1つのMが、カンプトテシン(CPT)またはタキソールを含むか、または
(ii)Mの各々がカンプトテシン(CPT)を含むか、もしくは各Mがタキソールを含み;
該修飾物質Mは、アミド結合を介して、リンカーLMに直接的にまたはアミノアシルリンキング部分を介して間接的に結合し;
該キャリアは生分解性、生体適合性ポリアセタールまたは生分解性、生体適合性ポリケタールであり、そしてエステル結合を介して、リンカーLMに直接的またはアミノアシルリンキング部分を介して間接的に結合し;
各リンカーLMは、独立して以下の構造を有する部分を含み、
ここで、
は該修飾物質Mに対する結合部位を表し;pは1〜12の整数であり;qは0〜4の整数であり;R1’は、水素、−C(=O)R1A、−C(=O)OR1A、−SR1A、SO2R1Aまたはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各R1Aは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり;および各RおよびR2’は、独立して、水素、ハロゲン、−CN、NO2、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり;または−GRG1であり、ここで、Gは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO2−、−NRG2SO2NRG3−、または−SO2NRG2−であり、ここで、各RG1、RG2およびRG3は、独立して、水素、ハロゲンまたは必要に応じて置換されるアルキル、アルケニルまたはアルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールである、抱合体。 - 請求項13に記載の抱合体であって、ここで(i)pが1であるか、または(ii)pが1であり、Rが水素である、抱合体。
- 請求項13に記載の抱合体であって、ここで各MがCPTであるかまたは各Mがタキソールである、抱合体。
- 請求項13に記載の抱合体であって、ここでqが0であり、pが1であり、RおよびR1’がそれぞれ、水素であり、各MがCPTであるかまたは各Mがタキソールである、抱合体。
- 請求項13に記載の抱合体であって、n個のかっこで囲まれた構造n、k個のかっこで囲まれた構造kおよびm個のかっこで囲まれた構造mを有するPHF−CPT抱合体
を含み、ここで、n、kおよびmは、それぞれ、10〜300との間の整数、1〜20の間の整数および0〜300との間の整数である、抱合体。 - 以下の構造:
ここで、該キャリアは、
(a)生分解性、生体適合性ポリアセタールであって、ここで、該ポリアセタール繰返し構造単位の少なくとも一部が、以下の化学的構造:
ここで、n個のかっこで囲まれた各構造に関して、R1およびR2のうちの一方は水素であり、他方は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される生体適合性基であり、且つC1に共有結合する炭素原子を含み;Rxは、C2に共有結合する炭素原子であり;nは整数であり;各R3、R4、R5およびR6は、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される生体適合性基であり;各かっこで囲まれた構造nに関し、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはエステル結合によってスクシンアミドとカップリングするのに適切な官能基を有する、生分解性、生体適合性ポリアセタール、または、
(b)生分解性、生体適合性ポリケタールであって、ここで、該ポリケタール繰返し構造単位の少なくとも一部が下記の化学的構造:
ここで、各R1およびR2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される生体適合性基であり、且つC1に共有結合する炭素原子を含み;Rxは、C2に共有結合する炭素原子であり;nは整数であり;各R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される生体適合性基であり;各かっこで囲まれた構造nに関し、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはエステル結合を介してスクシンアミドとカップリングするのに適切な官能基を含む、生分解性、生体適合性ポリケタール
を含み、
ここで、各Mは、独立して、1.5kDa以下の分子量を有する小さい分子量である修飾物質であり、ここで、該修飾物質がアミン官能基を含むか、またはアミド結合の形成によって、必要に応じて置換されるコハク酸との共有結合に適切な官能基を含むように化学的に修飾され;
(i)少なくとも1つのMが、カンプトテシン(CPT)またはタキソールを含むか、または
(ii)Mの各々がカンプトテシン(CPT)を含むか、もしくは各Mがタキソールを含み;
各LMは、独立して、必要に応じて置換されるスクシンアミド含有リンカーであり、これによって、該修飾物質Mは、アミド結合によって、直接的またはアミノアシルリンキング部分を介して間接的に該スクシンアミドリンカーに結合し、そして該キャリアは、エステル結合によって、直接的またはアミノアシルリンキング部分を介して間接的に各スクシンアミドリンカーに結合し;
該方法は、以下の工程:
キャリアを提供する工程;
1以上の修飾物質を提供する工程;
前記キャリアを、以下の構造:
ここで、qは、0〜4の整数であり;各R2’は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、−C(=O)R2Aまたは−ZR2Aであり、ここで、Zは、−O−、−S−、−NR2Bであり、ここで、各R2AおよびR2Bは、独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリール部分であり、
ここで、sは該キャリア上のスクシニル部分の数を表す、工程;ならびに
該スクシニル化キャリアを1以上の修飾物質部分(M)と反応させ、それによって、少なくとも1つの修飾物質部分が、直接的または第2リンカーを介して間接的に、該キャリアに存在するスクシニル部分とともにアミド結合を形成し、それによって、以下の構造:
- 請求項17に記載の抱合体であって、ここで、
- 請求項1または13に記載の抱合体と、薬学的に適切なキャリアまたは希釈剤とを含む、組成物。
- 請求項20に記載の組成物であって、ここで、前記抱合体中において、CPTまたはタキソールが、グリシン部分を介してスクシンアミドリンカーに間接的に結合される、組成物。
- 疾患または障害を処置するための組成物であって、請求項1、10、12、13、16もしくは17に記載の抱合体、または請求項20〜21のいずれかに記載の組成物の有効量を含む、組成物。
- 請求項22に記載の組成物であって、該組成物が、ビタミン、抗AIDS物質、抗癌物質、放射性核物質、抗生物質、免疫抑制剤、抗ウイルス物質、酵素阻害剤、神経毒、オピオイド、睡眠薬、抗ヒスタミン、潤滑剤、トランキライザー、抗けいれん薬、筋弛緩剤および抗パーキンソン病物質、チャンネル遮断薬を含む抗痙性剤および筋肉収縮剤、縮瞳薬および抗コリン作用薬、抗緑内障化合物、抗寄生虫および/または抗原虫化合物、細胞増殖阻害剤および抗癒着分子を含む細胞−細胞外マトリックス相互作用の調節因子、血管拡張剤、DNA、RNAまたはタンパク質合成の抑制剤、降圧剤、鎮痛剤、解熱剤、ステロイド系および非ステロイド系抗炎症剤、抗血管形成因子、分泌抑制因子、抗凝血剤および/または抗血栓剤、局所麻酔剤、眼病薬、プロスタグランジン、抗うつ剤、抗精神病物質、嘔吐抑制剤、造影剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの追加の生物学的に活性な化合物とともに投与されることを特徴とする、組成物。
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