JP5283881B2 - 湯面レベルの昇降に特徴を有する鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造方法に係り、詳しくは湯面レベルの昇降に関する。
浸漬ノズルの下端を鋳型内の溶鋼に浸漬させた状態で、この浸漬ノズルを介して鋳型内に溶鋼を注湯する鋼の連続鋳造においては、例えば特許文献1のように、「(浸漬ノズル3の)浸漬深さhの位置を変更」したり、鋳型内の溶鋼の湯面(通常、この湯面の上側には溶融状態乃至未溶融状態のモールドパウダが存在する。)レベルを昇降させたりしている。これは、溶融状態のモールドパウダ(以下、溶融モールドパウダと称する。)との接触に起因する浸漬ノズルの溶損を浸漬ノズルの長手方向に分散させて、一本の浸漬ノズルを長持ちさせるためである。
特許第3866068号公報(段落番号0011参照)
ところで、一般に、溶融モールドパウダの層の厚みは5〜20[mm]程度であることから、「浸漬深さhの位置を変更」したり鋳型内の溶鋼の湯面レベルを昇降させたりするとしてもせいぜい20[mm]程度で足り、操業上の煩わしさもあってか、その変更乃至昇降の速度については、従来、誰も管理していなかった。一方で、日々、より高い生産性の確保が求められるところである。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、高い生産性が得られる鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、本願発明の発明者は、鋭意研究の末、誰も管理していなかった上記昇降の速度(以下、この速度を「湯面レベルの昇降速度」と称する。この「湯面レベルの昇降速度」は、「湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]」と、「湯面レベルの下降速度Vdown[mm/sec]と、を含む。)に着目した本発明を完成するに至った。以下、本発明の技術的意義について詳しく紹介したい。図1〜3は、湯面レベルの昇降に伴う諸問題を解説するための図であって、図4の1-1線矢視断面図に相当する。図1には湯面レベルの昇降前における鋳型内の様子が、図2には湯面レベルの上昇後における鋳型内の様子が、図3には湯面レベルの下降後における鋳型内の様子が、夫々模式的に示される。
先ず、図1を参照されたい。本図に示されるように鋳型内においては、3つの状態のモールドパウダが同時に存在する。(1)第一は、未溶融状態のモールドパウダである。この未溶融状態のモールドパウダ(以下、未溶融モールドパウダと称する。)は、鋳型の上方から公知のパウダ供給装置により供給された粉末状のモールドパウダが未だ溶融していない状態のものであって、湯面に対して略平行な面状に所定の厚さで分布している。(2)第二は、前述の溶融モールドパウダである。この溶融モールドパウダは、鋳型内の溶鋼乃至凝固シェルを包み込むようにフィルム状に分布している。(3)第三は、固着状態のモールドパウダである。この固着状態のモールドパウダ(以下、固着モールドパウダと称する。)は、鋳型内で形成された凝固シェルを外側から包み込む前記の溶融モールドパウダ(モールドパウダフィルムとも称される。)が鋳型の内壁面との接触により凝固して該内壁面に固着して形成されたものであり、その性質上、前記の未溶融モールドパウダと溶融モールドパウダとの間に浸漬ノズル側に突出する突部p(リムとも称される。)が形成される。
図1の状態で、湯面レベルを上昇させると図2に示される状態になると推測できる。即ち、湯面レベルの上昇に伴って凝固シェルが成長し始めるレベルも上昇するが、短時間のうちは、固着モールドパウダは湯面レベルの上昇直前における形状を維持しつつ空間に対して固定されたままとなる。従って、湯面レベル近傍で成長し始めた凝固シェルの外表面に対して前記の突部pが溶融モールドパウダを介することなく直接的に接触してノロカミや縦割を発生させる虞がある。これらノロカミや縦割は凝固シェルの破断を招き、ブレークアウトの原因とされる。
また、図1の状態で、湯面レベルを下降させると図3に示される状態になると推測できる。即ち、前記の突部pを境として安定していた未溶融モールドパウダと溶融モールドパウダとの境界が湯面レベルの下降に伴って移動することで、凝固シェルと固着モールドパウダとの間の間隙たる溶融モールドパウダの流入口が少なからず乱され、凝固シェルを外側からフィルム状に被覆する溶融モールドパウダの厚みが不均一乃至一部欠落の状態になり、ノロカミや縦割を発生させる虞がある。
そして、本願発明の発明者は、湯面レベルの昇降に伴う上述した諸問題は、昇降後、固着モールドパウダが図1に示される定常状態の形状へと変形するのに要する時間が十分には確保されなかったことが原因ではないかと考えた。次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第一の観点によれば、モールドパウダを使用し、浸漬ノズルの下端を鋳型内の溶鋼に浸漬させた状態で、この浸漬ノズルを介して鋳型内に溶鋼を注湯する、鋼の連続鋳造は、以下のような方法で行われる。即ち、連続鋳造中に鋳型内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際し、その湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]及び下降速度Vdown[mm/sec]は夫々下記式(1)及び(2)に従うこととする。
Figure 0005283881
Figure 0005283881
これによれば、HCRやHDRの際に要求される鋳片表面の品質が鋳造後の無手入れ状態ないしは簡単な手入れのみで確保されるので、高い生産性が得られる。
上記の鋼の連続鋳造は、以下のような方法で行われるのが好ましい。即ち、少なくとも鋳型内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際しては、モールドパウダの塩基度C/S及びNa2O含有量Na2O[wt%]、凝固温度Ts[℃]は下記式(3)に従うこととする。
Figure 0005283881
これによれば、HCRやHDRの際に要求される鋳片表面の品質が鋳造後の手入れなしに確保されるので、極めて高い生産性が得られる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一実施形態を説明する。図4は、連続鋳造機の概略図である。先ず、本図に基づいて、連続鋳造機100の構成と作動を一例として簡単に説明する。
連続鋳造機100は、注湯される溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための鋳型1と、図略のタンディッシュに保持される溶鋼を鋳型1へ、大気との遮断を行いながら流量と流動を制御しながら注湯するための浸漬ノズル2と、鋳型1の直下から鋳造経路Qに沿って複数で並設されるロール対3・3・・・と、を備える。本実施形態において前記の鋳造経路Qは、その上流側から順に、略鉛直方向に延びる垂直経路部と、この垂直経路部に接続され、円弧状に延びる円弧経路部と、更にその下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部から成る。円弧経路部入側で鋳片は経路に沿って曲げられ、円弧経路部内或いは円弧経路部の出側で水平状態に矯正される。
上記説明は一般的な垂直曲げ型連鋳機に関する説明であるが、本実施形態は上記の連鋳機に限られるものではなく、曲げ型連鋳機、垂直型連鋳機におても同様に行われる。
また、前記のロール対3・3・・・の夫々は、鋳造対象としての鋳片を、両広面でもって挟持する一対のロール3a・3aから構成される。
また、前記の鋳造経路Qの上流には、鋳型1内で形成され、該鋳型1から引き抜かれる凝固シェルに対して所定の流量で冷却水を噴霧する冷却スプレー4・4・・・が適宜に設けられる。一般に、前記の鋳型1が1次冷却帯と称されるのに対して、この意味で、冷却スプレー4・4・・・が配される経路部は2次冷却帯と称される。
鋳型1から引き抜かれ、鋳造経路Qに沿って搬送される凝固シェルは、自然放熱や、上記冷却スプレー4・4・・・などにより更に冷却されて収縮する。従って、上記のロール対3・3・・・のロールギャップ[mm]は、一般に、鋳造経路Qの下流側へ進むに連れて緩やかに狭くなるように設定される。
以上の構成で、スラブ鋳片の連続鋳造を開始するときは、鋳型1へ溶鋼を注湯する前に予め図略のダミーバーを前記の鋳造経路Q内に挿入しておき、浸漬ノズル2を介して鋳型1へ溶鋼を所定流量で注湯し始めると共に上記ダミーバーを下流側へ所定速度で引き抜く。そして、このダミーバーは、所定のメニスカス距離に到達したときに、適宜の手段により回収する。これで、スラブ鋳片が連続的に鋳造されるようになる。
次に、上記の連続鋳造機100の一般的な操業条件を簡単に紹介する。
・鋳型幅W[mm]は、600〜2400とする。
・鋳型厚みD[mm]は、200〜300とする。
・鋳型高さH[mm]は、800〜1200とする。
・鋳造速度Vc[m/min]は、0.5〜2.5とする。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、10〜45とする。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、0.2〜5とする。
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、0〜1200とする。
・溶鋼成分は、当事者間の協定に基づく。代表的な成分は、CやSi、Mnである。これに、CrやMoなどが適宜に添加される。一般にP及びSは極力少なくなるように調整されるが、鋼材の用途により添加される場合がある。その他の不可避の不純物を含む。
ここで、各用語を簡単に説明する。
・鋳型幅W[mm]及び鋳型厚みD[mm]は、鋳型1の上端で観念される。
・鋳造速度Vc[m/min]は、鋳片の引抜速度であって、前記複数のロール対3・3・・・のうち何れかのロール対3の周速度で観念される。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、鋳型1内へ注湯される溶鋼の温度の指標である。詳細は、本明細書の末尾に記載する。
・メニスカス距離M[m]は、鋳型1内の溶鋼の湯面(メニスカス)を起点とし、鋳造経路Qに沿って観念する距離[m]を意味する。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、鋼1kgに対して用いられる冷却水の容積を意味する。この冷却水は、上記の2次冷却帯で鋳片に対して噴射/噴霧される。
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、鋳型1内の溶鋼を攪拌するために作用される磁場の強度の指標である。詳細は、本明細書の末尾に記載する。
次に、本実施形態に係る連続鋳造機100の具体的な操業条件を説明する。本実施形態に係る鋼の連続鋳造では、前述したように、浸漬ノズル2の下端を鋳型1内の溶鋼に浸漬させた状態で、この浸漬ノズル2を介して鋳型1内に溶鋼を注湯するものである。そして、鋳型1内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際し、その湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]及び下降速度Vdown[mm/sec]は夫々下記式(1)及び(2)に従うこととする。
Figure 0005283881
Figure 0005283881
更に具体的には、任意で、以下の通りとするとよい。(1)浸漬ノズルの溶融モールドパウダーが接する部位には、耐溶損性を上げた材質(例えばZrO-Cれんが)を使用するのが一般的である。予め、該当部位の溶損速度(mm/min.)を測定しておき、この材質部位(例えばZrO-C)の溶損量が、全厚みの50%程度減少する時間間隔(min.)で湯面を変動させる。例えば、ZrO-Cの厚みが20mmで予め測定した溶損速度が0.08mm/min.の場合、125min.を最大時間として、その範囲内で変更を実施する。図1には浸漬ノズル2の外周面が溶融モールドパウダとの接触により溶損した様子を示したので参照されたい。(2)鋳型1内の溶鋼の湯面レベルの昇降のうち上昇又は下降の何れを選択するかは、任意とする。(3)鋳型1内の溶鋼の湯面レベルの変更幅[mm]は、溶融モールドパウダの層厚み[mm]が15であることを考慮しつつ、該溶融モールドパウダが既に溶損した部位から一応は上下方向何れかへ外れるよう、概ね、20〜30とするとよい。
以下、本実施形態に係る鋼の連続鋳造方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
先ず、各確認試験の評価に供される指標に関して説明する。
<ノロカミ>
「ノロカミ」とは、モールドパウダの塊によって発生する鋳片表面の窪みを意味する。図5を参照されたい。図5は、スカーフィング前のノロカミ個数率と、スカーフィング後のノロカミ個数率と、の関係を示すグラフである。「ノロカミ個数率npa[個/m2]」とは、連続鋳造機100によって鋳造された鋳片を例えば5.5〜12.5[m]ごとに切断して得られる所謂一次切断スラブの反基準面(前述した水平経路部において上側となる面)を冷間(概ね20[℃])で目視確認したときに確認できたノロカミの個数を該反基準面の面積[m2]で除して得られる値である。本図において「スカーフィング」は反基準面に対して1.5[mm]の深さで為されるスカーフィングを意味する。本図によれば、スカーフィング前のノロカミ個数率npa[個/m2]が0.008以下であると、スカーフィングによってノロカミ個数率npa[個/m2]を0とできることが判る。このことから、先ず、スカーフィング前のノロカミ個数率npa[個/m2]が0のとき「ノロカミ」についての評価を「○」とし、次に、スカーフィング前のノロカミ個数率npa[個/m2]が0<npa≦0.008を満たすとき「ノロカミ」についての評価を「△」とし、スカーフィング前のノロカミ個数率npa[個/m2]がnpa>0.008を満たすとき「ノロカミ」についての評価を「×」とした。
「ノロカミ」についての評価が「○」であると、HCRやHDRの際に要求される品質のうち「ノロカミ」関連の品質については、スカーフィングを実施することなく確保されるので、この点、生産性を向上できる。「ノロカミ」についての評価が「△」であると、HCRやHDRの際に要求される品質のうち「ノロカミ」関連の品質については、面あたり1.5[mm]の深さでスカーフィングを一回実施するだけで確保されるので、この場合も、生産性が良好であると言える。ただし、この場合、スカーフィングの実施に伴う若干の歩留まり損や変動費が発生する。「ノロカミ」についての評価が「×」であると、面あたり1.5[mm]の深さでスカーフィングを一回実施するだけでは、ノロカミを完全には解消できない場合がある(図5参照)。そのため、スカーフィング後に入念な検査や手入れが必要となり歩留まり損やスカーフィング変動費が更に発生すると共に、検査や手入れのために冷片とする必要があるのでHCRやHDRが不可能となる。更には、図5から判る通り、ノロカミ個数率npa[個/m2]が0.02を超える場合には、鋳片表面から内方へ離れた位置に発生したノロカミが出現することもあり、このような場合は、手入れに大変な労力を要するので製品採取は事実上、諦めることとなる。
<縦割>
下記表1を参照されたい。表1は、スカーフィング前の縦割長さと、スカーフィング後の縦割長さと、の関係を示す表である。「縦割長さ[mm]」とは、連続鋳造機100によって鋳造された鋳片を例えば5.5〜12.5[m]ごとに切断して得られる所謂一次切断スラブの反基準面(前述した水平経路部において上側となる面)を冷間(概ね20[℃])で目視確認したときに確認できた縦割の長さ[mm]である。本表において「スカーフィング」は反基準面に対して1.5[mm]の深さで為されるスカーフィングを意味する。本表によれば、スカーフィング前の縦割長さ[mm]が200以下であると、スカーフィングによって縦割長さ[mm]を0とできることが判る。このことから、先ず、スカーフィング前の縦割がなかったとき「縦割」についての評価を「○」とし、次に、スカーフィング前の縦割長さ[mm]が200以下のとき「縦割」についての評価を「△」とし、スカーフィング前の縦割長さ[mm]が200を超えたとき「縦割」についての評価を「×」とした。
「縦割」についての評価が「○」であると、HCRやHDRの際に要求される品質のうち「縦割」関連の品質については、スカーフィングを実施することなく確保されるので、この点、生産性を向上できる。「縦割」についての評価が「△」であると、HCRやHDRの際に要求される品質のうち「縦割」関連の品質については、面あたり1.5[mm]の深さでスカーフィングを一回実施するだけで確保されるので、この場合も、生産性が良好であると言える。ただし、この場合、スカーフィングの実施に伴う若干の歩留まり損や変動費が発生する。「縦割」についての評価が「×」であると、面あたり1.5[mm]の深さでスカーフィングを一回実施するだけでは、縦割を完全には解消できない場合がある(下記表1参照)。そのため、スカーフィング後に入念な検査や手入れが必要となり歩留まり損やスカーフィング変動費が更に発生すると共に、検査や手入れのために冷片とする必要があるのでHCRやHDRが不可能となる。更には、縦割の割れ深さが深い(経験上、縦割の長さと縦割の深さは相対関係にある。)場合には、手入れに大変な労力を要するので製品採取は事実上、諦めることとなる。
Figure 0005283881
次に、各確認試験に共通する試験条件を説明する。鋼種はC含有量C[wt%]を0.0012〜0.25とする極低炭素鋼・低炭素鋼・中炭素鋼とする。鋳造速度Vc[m/min]は1.3〜2.2とする。
次に、各確認試験の試験条件とその試験結果を下記表2及び表3に示し、各表2及び表3において「type.」で示されるモールドパウダの種別を表4に詳細に示す。下記表2は「湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]」に係り、下記表3は「湯面レベルの下降速度Vdown[mm/sec]」に係る。下記表2及び表3中、「ΔH mm」は鋳型1内の溶鋼の湯面レベルの変更幅を意味し、「Δt sec」はその湯面レベルの変更に費やす時間を意味し、「総合評価」とは、「ノロカミ」及び「縦割」に関する評価が何れも「○」であったとき「○」とし、「ノロカミ」又は「縦割」に関する評価のうち少なくとも何れか一方が「×」であったとき「×」とし、その他は「△」とした。下記表4中、各モールドパウダには、明記されている成分以外の成分(例えばCや不可避的に混入する酸化物)も含まれており、列タイトル「C/S」は所謂塩基度を意味し、列タイトル「Ts ℃」は各モールドパウダの凝固温度(結晶化温度、ブレークポイントとも称される。)を意味する。この凝固温度Ts[℃]としては、完全溶融状態から連続的に降温し、粘度が急激に上昇する変極点を採用した。詳細な測定原理及び測定方法については、「鉄と鋼、Vol.73、No.4、S157(1987.03)、振動片方式CCパウダ粘度計実用機の開発」を参照されたい。ここで、一例として、表2に記載される試験No.6について概説する。試験No.6の確認試験は、表4中「E」で示されるモールドパウダを用いた鋳造中の任意の時刻において、湯面レベルの変更幅ΔH[mm]を30とし、この湯面レベルの変更に費やす時間Δt[sec]を300として湯面レベルを上昇させ、該湯面レベルの変更の際に湯面近傍に存在していた凝固シェルを含む一次切断スラブについて「ノロカミ」及び「縦割」を評価したものである。
Figure 0005283881
Figure 0005283881
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以上説明したように上記実施形態において、浸漬ノズル2の下端を鋳型1内の溶鋼に浸漬させた状態で、この浸漬ノズル2を介して鋳型1内に溶鋼を注湯する、鋼の連続鋳造は、以下のような方法で行われる。即ち、鋳型1内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際し、その湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]及び下降速度Vdown[mm/sec]は夫々下記式(1)及び(2)に従うこととする。
Figure 0005283881
Figure 0005283881
これによれば、HCRやHDRの際に要求される品質が鋳造後の無手入れ状態ないしは簡単な手入れのみで確保されるので(総合評価=”△”参照)、高い生産性が得られる。
次に、本発明の第二実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記の第一実施形態と相違する点を中心に説明する。
上記第一実施形態においては、連続鋳造中に使用するモールドパウダは、例えば表4に記載のものから任意で選択することとした。これに対し、本実施形態では、少なくとも鋳型1内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際しては、モールドパウダの塩基度C/S及びNa2O含有量Na2O[wt%]、凝固温度Ts[℃]は下記式(3)に従うこととする。
Figure 0005283881
以下、本実施形態に係る鋼の連続鋳造方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
先ず、各確認試験の評価に供される指標に関して説明する。
<ノロカミ>
上述した指標と同じであるから、その説明は割愛する。
<縦割>
上述した指標と同じであるから、その説明は割愛する。
次に、各確認試験に共通する試験条件を説明する。鋼種はC含有量C[wt%]を0.0012〜0.25とする極低炭素鋼・低炭素鋼・中炭素鋼とする。鋳造速度Vc[m/min]は1.3〜2.2とする。
次に、各確認試験の試験条件とその試験結果を下記表5及び表6に示す。下記表5は「湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]」側に係り、下記表6は「湯面レベルの下降速度Vdown[mm/sec]」側に係る。下記表5中、試験No.32〜54の確認試験では、湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]として、上記式(1)に示される湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]の範囲の最大値(最も条件が厳しいもの)を採用しており、下記表6中、試験No.55〜59の確認試験では、確認的に、湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]として、上記式(1)に示される湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]の範囲の中間値(若干条件が緩いもの)を採用している。同様に、下記表6中、試験No.60〜73として示される確認試験では、湯面レベルの下降速度Vdown[mm/sec]として、上記式(2)に示される湯面レベルの下降速度Vdown[mm/sec]の範囲の最大値(最も条件が厳しいもの)を採用しており、下記表6中、試験No.74〜79の確認試験では、確認的に、湯面レベルの下降速度Vdown[mm/sec]として、上記式(2)に示される湯面レベルの下降速度Vdown[mm/sec]の範囲の中間値(若干条件が緩いもの)を採用している。下記表5及び表6中、列タイトル「C/S」乃至「Li2O wt%」は各確認試験において採用したモールドパウダの成分乃至塩基度、凝固温度に係り、列タイトル「MgO wt%」及び「BaO wt%」、「B2O3 wt%」、「Li2O wt%」で示される列においては、検出され得るだろうと予想される場合にのみ測定し、検出されない程度乃至検出されても不可避的に混入している程度であろうと予想される場合は経済的な理由からその測定を割愛した。
Figure 0005283881
Figure 0005283881
以上説明したように上記実施形態において、鋼の連続鋳造方法は、更に、以下のような方法で行われる。即ち、連続鋳造中はモールドパウダを使用することとする。少なくとも鋳型1内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際しては、モールドパウダの塩基度C/S及びNa2O含有量Na2O[wt%]、凝固温度Ts[℃]は下記式(3)に従うこととする。
Figure 0005283881

これによれば、HCRやHDRの際に要求される品質が鋳造後の手入れなしに確保されるので(総合評価=”○”参照)、極めて高い生産性が得られる。
なお、モールドパウダの塩基度C/Sは、以下の理由から、0.8以上とすることが好ましい。即ち、一部の極低炭素鋼等を除いては、鋳型内での強冷却により鋳片縦割れの可能性があるため、溶融モールドパウダーからカスピダインなどの結晶を析出させ、抜熱速度を低減させる必要がある。このためパウダー中のCaO濃度をある程度高めておく必要ある。また、本願発明の発明者は、モールドパウダの塩基度C/S及びNa2O含有量Na2O[wt%]、凝固温度Ts[℃]が溶融モールドパウダ中の結晶の生成に強く影響を及ぼし、これらの値を所定の範囲内に厳しく管理することで、前述した突部pの生成を抑制できるものと考えている。
以下、参考資料である。
<湯面レベルの測定方法>
鋳型1内の溶鋼の湯面レベルを測定するには、例えば、公知の渦流式レベル計が適している。
<湯面レベルの変更方法>
鋳型1内の溶鋼の湯面レベルの変更は、一般的に、浸漬ノズル2からのスループットの一時的な増減による。
<溶鋼過熱度ΔT[℃]>
定義:鋳型内へ注湯される溶鋼の温度の指標である。
(1)『測定時刻』は、「事前に充分に加熱されたタンディッシュを用いて鋳造を開始して同一鋳型幅で鋳造速度が一定になりかつタンディッシュ内溶鋼の体積が一定になる、即ち、取鍋からタンディッシュへの注湯量速度(ton/min.)とタンディッシュから鋳型への注湯量速度(ton/min.)が略一致する、定常状態に至った時刻」とする。
(2)『測定地点』は、以下の通りとする。即ち、「水平位置」はタンディッシュの底面に備え付けられる浸漬ノズルの軸心とし、「鉛直位置」はタンディッシュ内に保持されている溶鋼の湯面を基準として深さ100mmとする。
(3)『測定器具』は、消耗型熱電対を用いる構成とする。上記の通り、深さ100mmの地点に消耗型熱電対を浸漬させることから、適宜に用意した棒の先端に消耗型熱電対を取着した構成が適する。
(4)上記の『測定時刻』及び『測定地点』、『測定器具』に準じて測定した溶鋼の温度から、溶鋼の溶鋼成分により唯一に求められる液相線温度と、を比較する。そして上述した溶鋼過熱度ΔT[℃]は、前者から後者を引いた残りとして求めることとする。
(5)なお、種々の観点から、上記溶鋼過熱度ΔT[℃]は、10〜45が好ましい。
<鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]>
定義:鋳型1内の溶鋼を攪拌するために作用される磁場の強度の指標である。
(1)『測定時刻』は、任意である。
(2)『測定地点』は、以下の通りとする。即ち、「水平位置」は、(i)鋳型幅方向においては中央とし、(ii)鋳型厚み方向においては鋳型内壁面から中心へ向かって15[mm]とし、(iii)鋳型高さ方向においては鋳型に埋設される電磁コイルのコイル中心と揃えるものとする。
(3)『測定器具』は、適宜のガウスメータを用いる。
(4)上記の『測定時刻』及び『測定地点』、『測定器具』に準じて複数回測定する。そして上述した鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、上記複数の測定値を平均化して求めることとする。
(5)なお、種々の観点から、上記鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は0〜1000が好ましいとされ、鋳型内の溶鋼に作用される磁場の周波数[Hz](「磁場の周波数」とは、上記電磁コイルに導通される電流が1秒間に向きを変える回数を意味する。)は1〜5が好ましいとされ、一般に、この磁場の周波数[Hz]として2が採用される。
湯面レベルの昇降に伴う諸問題を解説するための図 図1に類似する図 図1に類似する図 連続鋳造機の概略図 スカーフィング前のノロカミ個数率と、スカーフィング後のノロカミ個数率と、の関係を示すグラフ
符号の説明
1 鋳型
2 浸漬ノズル
100 連続鋳造機
p 突部
Vup 湯面レベルの上昇速度[mm/sec]
Vdown 湯面レベルの下降速度[mm/sec]

Claims (2)

  1. モールドパウダを使用し、浸漬ノズルの下端を鋳型内の溶鋼に浸漬させた状態で、この浸漬ノズルを介して鋳型内に溶鋼を注湯する、鋼の連続鋳造方法において、
    連続鋳造中に鋳型内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際し、その湯面レベルの上昇速度Vup[mm/sec]及び下降速度Vdown[mm/sec]は夫々下記式(1)及び(2)に従うこととする、
    ことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    Figure 0005283881

    Figure 0005283881
  2. 請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法において
    なくとも鋳型内の溶鋼の湯面レベルを昇降させるに際しては、モールドパウダの塩基度C/S及びNa2O含有量Na2O[wt%]、凝固温度Ts[℃]は下記式(3)に従うこととする、
    ことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    Figure 0005283881
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