JP5387497B2 - 連続鋳造による高合金鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、凝固収縮が大きい高合金鋼を、かぶれ疵の発生を防止しつつ連続鋳造を用いて製造する方法に関する。
高合金鋼は、主として、油井管、化学プラントや原子力発電所で使用されるパイプ材として用いられている。高合金鋼とは、炭素鋼と比べて鉄以外の合金元素の合計含有量が多い合金で、特に、質量%で20%≦Ni≦85%、かつ、5%≦Cr≦30%である合金鋼である。
高合金鋼は合金元素が多いため、合金の液相線温度と固相線温度との間の温度差(以下、「固液相間温度」という。)は広域化する傾向を有する。このため、液相から固相への変化時の単位重量当たりの体積(比体積)差である固液間の収縮量が通常の炭素鋼よりも大きい。
このような特性を高合金鋼は有しているため、高合金鋼を連続鋳造すると、鋳片表面に割れ、ディプレッション、さらには、凝固殻(鋳型供給された溶融金属が鋳型により冷却され凝固した部分。「凝固シェル」ともいう。)が再溶解する現象が発生しやすい。このような現象は漏鋼をもたらすため、図1のように鋳片表面が二重肌となる表面欠陥である「かぶれ疵」が高合金鋼の鋳造品に発生しやすい。なお、漏鋼の程度が大規模になるとブレークアウトを引き起こし、この場合には鋳造を継続することが不可能になってしまう。すなわち、高合金鋼はその固液間の収縮量が大きいため、連続鋳造を行ったときの鋳造品の品質および生産性を安定的に高めることは容易でない。
高合金鋼には高価な元素も多く含まれているため、歩留り向上のために連続鋳造化することが本来は好ましいものの、上記のように連続鋳造を用いても生産性高く鋳造品を安定的に製造することが容易でないため、インゴットにより製造されているものも少なくない。
前述のように、高合金鋼では凝固殻の強度が弱く、固液間の収縮量が大きいため凝固殻と鋳型と間の乖離量が大きい。ここで、「凝固殻と鋳型と間の乖離量」とは、鋳型内の鋳片の外側面とこれに対向する鋳型の内側面との間隙であって、(鋳型の鋳造方向に垂直な断面における内寸法−その横断面における鋳型内の鋳片の外寸法)/2で表される。本発明においてこの乖離量を、単に「乖離量」とも言う。
乖離量が大きいと鋳型内における鋳片の抜熱は減少するため、鋳片内部からの熱によって凝固殻が加熱される。このため凝固殻は内側から再溶融し、その厚みは減少する。鋳片の厚みが鋳片を保持するために必要な厚み以下になると、この部分から漏鋼が生じる。
このような現象を抑制してかぶれ疵を防止するために、次のような手段が従来検討されてきた。
(手段1)鋳造速度の低減
凝固殻の強度を確保するために、鋳造速度を低下させ、鋳片の抜熱量を増加させる。この手段は最も簡便であり、かつかぶれ疵を防止する観点からは効果的である。しかしながら、生産性が低下し、連続鋳造法を用いる意義を失わせる可能性がある。
なお、鋳型と鋳片間の摩擦を低減させるために、通常、鋳型を鋳造方向に振動(オシレーションという)させているが、この場合にも鋳造速度が高くなるとオシレーションマークが起点となり、表面疵が鋳片に生じるときがある。このオシレーションマークを低減するための手段の典型的な一つがやはり鋳型と鋳片との相対速度の低下である(例えば特許文献1)。
(手段2)モールドフラックスによる間隙の充填
高合金鋼が凝固収縮して乖離量が増加しても、鋳片における凝固殻の表面とこれに対向する鋳型内面の間隙(以下、単に「間隙」という。)にモールドフラックスを適正に充填させれば、鋳型内における鋳片の抜熱がモールドフラックスを介して維持され、凝固殻の再溶解が抑制される。
しかしながら、モールドフラックスが間隙に充填される挙動には、高合金鋼の組成が強く影響する。このため、モールドフラックスを高合金鋼の鋼種ごとに設計する必要がある。それゆえ、この手段は、近時の高合金鋼の生産における少量多品種かつ短納期という傾向に対応することが困難である。
また、この手段を用いても、結局は上記の鋳造速度の低減の手段と組み合わせなければ良好な鋳造が行われない場合もある。例えば、特許文献2には、表面割れなどが生じやすい高合金鋼の連続鋳造において、鋳型と鋳片との間に生じる摩擦力を軽減することにより凝固殻の破断を防止するために、高合金鋼の固液共存温度範囲(70℃以上)で規定される粘度のモールドフラックスを使って、0.6m/min未満で鋳造する方法が開示されている。
(手段3)鋳型内面へのテーパの付与
高合金鋼が凝固収縮しても、その収縮量に合わせて鋳型の内寸法を小さくすれば、乖離量は大きくならない。凝固収縮量は鋳造の進行とともに大きくなるため、鋳造方向に内径が小さくなるようなテーパを鋳型内面に付与することにより、鋳造過程で乖離量が増大することを抑制することが実現される。
しかしながら、高合金鋼の凝固収縮の程度は鋼組成に大きく依存するため、この対応を採用すると、原理的には全ての鋼種について異なる鋳型を用意しなければならないこととなる。このため、この手段も、少量多品種かつ短納期という傾向に対応することが困難である。
(手段4)その他の手段
上記の手段以外の手段として、例えば特許文献3には、鋳片表層部におけるオーステナイト粒の内部凝固組織の微細化と、この微細化による不純物元素のミクロ偏析の低減のため鋳片表層の2次デンドライト状組織を微細化することを目的として、これに影響する浸漬ノズル吐出孔からの溶鋼噴流による入熱量(Qm)を制御するために、鋳造速度V、溶鋼過熱度ΔT、スラブの幅W、鋳型内浸漬ノズルの吐出孔断面積Aをパラメータとする式を規定する手段が開示されている。
しかしながら、この手段は、多数の因子を制御する必要があるため、操業の安定性を確保することが困難であるという問題がある。さらに、これらは全て連続鋳造機上の因子であるところ、高合金鋼という、化学組成の変動幅が大きく、それゆえ微視的および巨視的な特性の変動幅が大きい材料全てに適用できるか否かについての検討結果は特許文献3には開示なされていない。このため、新たな化学組成を有する高合金鋼にこの手段が適用できるか否かはまったく不明である。したがって、この手段も、少量多品種かつ短納期という傾向に対応することが困難である。
特開2007−319908号公報 特開2007−50441号公報 WO96/24452パンフレット
本発明は、少量多品種かつ短納期という傾向を有する高合金鋼の連続鋳造方法において、生産性を低下させることなくかぶれ疵の発生を抑制する手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、多数の高合金鋼について連続鋳造の操業条件とかぶれ疵の発生との関係を入念に調査した結果、高合金鋼の材料特性である固液密度差(液相線温度と固相線温度との間における凝固収縮時の密度差)Δρの鋳造速度Vcに対する比により定義される固液密度変化率Rに着目することにより、かぶれ疵の発生を安定的に抑制できることを知見した。
高合金鋼が鋳型内で冷却されることに起因して収縮したときの鋳片の厚みの変化量である凝固収縮量Sは液相から固相への変化時の単位重量当たりの体積(比体積)差にほぼ比例するとみなすことができ、比体積は密度の逆数であるから、凝固収縮量Sは下記式(I)のように表わされる。
S∝(v−v)=1/ρ−1/ρ=(ρ−ρ)/(ρ・ρ) (I)
ここで、
ρ;固相線温度における密度(g/cm)、
ρ;液相線温度における密度(g/cm)、
;固相線温度における比体積(cm/g)、および
;液相線温度における比体積(cm/g)である。
液相線温度と固相線温度との間における凝固収縮時の密度差である固液密度差Δρ(=ρ−ρ)を用いると、上記式(I)は下記式(II)で表される。
S∝Δρ/(ρ・ρ) (II)
したがって、下記式(III)の関係が導かれる。
S∝Δρ (III)
すなわち、凝固収縮量Sは固液密度差Δρと実質的に正比例の関係を有する。凝固収縮量Sは乖離量Dと直接関係するため、上記式(III)は、固液密度差Δρが大きければ、乖離量Dが大きくなることを示している。すなわち、乖離量Dを高合金鋼の材料特性である固液密度差Δρを用いて見積もることができる。
一方、鋳造速度Vcは連続鋳造における抜熱量に関連する。すなわち、鋳造速度Vcが大きいほど鋳型内の鋳片は短期間で鋳型から取り出されるため、鋳造における総抜熱量は少なくなる。このため、鋳片の凝固収縮量Sは鋳造速度Vcが大きいほど少ない。したがって、下記式(IV)の関係がある。
S∝1/Vc (IV)
それゆえ、下記式(V)で定義される固液密度差の鋳造速度に対する変化率(本発明において「密度差変化率」ともいう。)Rは、凝固収縮量Sと正の相関を有する。
R≡Δρ/Vc (V)
よって、密度差変化率Rを適切な範囲に制御することにより、かぶれ疵を発生させないような凝固収縮量Sに維持して連続鋳造を行うことが実現される。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(4)の鋼合金の連続鋳造方法を要旨としている。
(1)液相線温度と固相線温度との間における凝固収縮時の密度差である固液密度差が0.35g/cm以上0.65g/cm以下を満たす高合金鋼を、連続鋳造により製造する方法であって、当該高合金鋼の固液密度差Δρを求め、下記式(i)により求められる当該高合金鋼の固液密度変化率Rが後述の閾値R以下となるように下限鋳造速度Vcを設定し、その鋳造速度で当該高合金鋼を鋳造することを特徴とする連続鋳造による高合金鋼の製造方法。
R=Δρ/Vc (i)
(2)前記固液密度変化率についての閾値Rが、前記高合金鋼を連続鋳造するための連続鋳造機と同一の連続鋳造機を用いてかぶれ疵を発生させることなく連続鋳造が行われた、前記固液密度差が0.35g/cm以上0.65g/cm以下を満たす別組成の高合金鋼についての過去の一実績に基づいて、前記固液密度差Δρおよび鋳造速度Vcを用いて、下記式(ii)により導かれる固液密度変化率R である請求項1記載の製造方法。
=Δρ /Vc (ii)
(3)前記固液密度変化率についての閾値Rが、前記高合金鋼を連続鋳造するための連続鋳造機と同一の連続鋳造機を用いてかぶれ疵を発生させることなく連続鋳造が行われた、前記固液密度差が0.35g/cm以上0.65g/cm以下を満たす別組成の複数の高合金鋼についての固液密度変化率の最小値Rminである、請求項1記載の製造方法。
(4)前記固液密度変化率についての閾値Rが0.95g・min/(cm・m)である、請求項1記載の製造方法。
また、本発明は、他の一側面として、液相線温度と固相線温度との間における凝固収縮時の密度差である固液密度差が0.35g/cm以上0.65g/cm以下を満たす高合金鋼の連続鋳造における鋳造速度の設定方法であって、当該高合金鋼の固液密度差Δρを求め、上記式(i)により求められる当該高合金鋼の固液密度変化率の閾値R以下となるように下限鋳造速度Vcを設定する方法をも提供する。この閾値Rの具体的な設定方法は上記の方法が例示される。
本発明に係る製造方法を採用することにより、かぶれ疵の発生のない高合金鋼の連続鋳造を、生産性を低下させることなく実施することが可能である。本発明に係る方法を採用すれば、新たな組成の高合金鋼を連続鋳造するにあたり、その操業条件の基本となる鋳造速度を、固液密度差を測定するだけで見積もることが可能となるため、少量多品種かつ短納期という高合金鋼の生産における近時の傾向に容易に対応することができる。
かぶれ疵の形態を示す模式図である。 高合金鋼の連続鋳造における乖離量と鋼片表層の平均固相率との関係を概念的に示すグラフである。 図2中のC、A、A’点に対応する位置における鋳型および凝固殻の厚さ、ならびに出口乖離量の状況を概念的に示す鋳型および鋳片の鋳造方向に垂直な断面図である。 実施例における高合金鋼の固液密度変化率R(=Δρ/Vc)とかぶれ疵指数との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る連続鋳造を用いた高合金鋼の製造方法について詳しく説明する。
1.鋳造速度の設定
(1)出口乖離量
前述の課題を解決するために、本発明者らは、かぶれ疵の発生を抑制するための制御因子として凝固殻と鋳型と間の乖離量Dに着目した。乖離量Dが大きくなると、抜熱量が著しく減少して、鋼の凝固殻が復熱により融解し、かぶれ疵が生じる。
したがって、鋳型出口における凝固殻と鋳型との間の乖離量D(以下、「出口乖離量」という。)が閾値D 以下であれば、抜熱量の著しい減少を抑制し、かぶれ疵の発生を抑制することが可能である。
すなわち、下記式(1)が成立するように鋳造を行えばよい。
≦D (1)
なお、本発明に係る製造方法は、一般的な連続鋳造機での鋳造を対象としているため、乖離量Dは、鋳片の凝固収縮量Sとほぼ正比例の関係にある。
(2)表層収縮量
上記のように、鋳型出口において、鋳片は、溶融状態にある鋼の周囲を固体状態にある凝固殻が取り囲んだ状態にあり、この凝固殻によって、鋳片がその形状を維持することが実現されている。凝固殻の厚さは鋳型内メニスカス(鋳型内の溶鋼湯面)付近では薄く、鋳型出口に向かって厚さが増大し、鋳型出口以降は鋳片がスプレー等により二次冷却されるため、厚くなり、最終的に鋳片全体が固体化する。
鋳型内の鋳片における鋳造方向に垂直な断面(以下、「鋳片横断面」という。)は、溶融した中心付近の領域(以下、「液相域」という。)、固相状態にある外側の領域(すなわち凝固殻であり、以下、「固相域」ともいう。)、およびこれらの領域の中間に存在する固相と液相とが混在する領域(以下、「固液共存域」という。)から構成される。
鋳型内メニスカスから鋳型出口へと鋳片が移動し抜熱が行われると、一つの鋳片横断面に着目すれば、固液共存域が表面部から中心側へと増大し、これに伴い液相域は減少する。そして、中間域は固相域の増大に伴い中心側へと移動する。また、鋳片の鋳型出口側への移動に伴い、鋳片は体積が減少し、鋳片横断面については凝固収縮量Sが増大する。
その結果、鋳型と鋳片間の乖離により鋳型抜熱が低下し、復熱により凝固殻が融解してかぶれ疵が生じるおそれがある。そこで、鋳型内メニスカスから鋳型出口間でかぶれ疵が生じるときの凝固殻を評価するために、鋳型出口における凝固殻の厚さを指標とすると、かぶれ疵が生じるときの鋳型出口における凝固殻の厚さには下限値dminが存在することを見出した。
ここで、このdminよりも大きい厚さであって、それよりも中心側の領域は液相域(未凝固)のままであるような厚さdを仮想的に設定するとともに、次のように仮定する。
固相域および液相域それぞれ単相域での温度降下による収縮は固液共存域での液相温度から固相温度に移る際の凝固収縮に比べると著しく小さい。このため、鋳型内の鋼の収縮量の変動は、この凝固収縮量によって実質的に支配される。
この仮定によれば、鋳片の表面から厚さdまでの範囲(以下、「表層」という。)では固液共存域で液相が固相に変わった量だけ鋳片は収縮するが、表層よりも中心側の鋳片は常に液相にあるため、実質的に収縮にはあまり寄与しないことになる。したがって、凝固収縮量Sは、この表層の凝固収縮量(以下、「表層収縮量」という。)S’に等しいとみなせる。
この関係および乖離量Dと凝固収縮量Sとの関係から、下記式(2)が導かれる。
D∝S’ (2)
(3)平均固相率
表層における固相率fsについて検討する。
鋳型内メニスカスにおいて表層は全て液相域からなるため、固相率fsは0である。一方、鋳型出口では、表層は固相域および固液共存域、場合によってはさらに液相域からなる。この表層の平均的な固相率(以下、「平均固相率」という。)fsavは次のようにして求められる。
表層が3層域からなる場合には、表層の厚みdの領域部分は、固相域の厚みd、固液共存域の厚みdlsおよび液相域の厚みdを用いて、
=d+dls+d (3)
と表記される。
固相域の固相率は1、液相域の固相率は0であり、固液共存域の固相率をfslsとすると、平均固相率fsavは、
fsav=(d×1+dls×fsls+d×0)/d
=(d+dls×fsls)/d (4)
となる。
なお、凝固殻(固相域)の厚さが下限値dminにある場合の平均固相率fsminは下記式で表される。
fsmin=(dmin×1+dls×fsls+d×0)/d
=(dmin+dls×fsls)/d (5)
(4)固液共存域の収縮量
固液共存域における固相率が大きくなるほどその収縮量は大きくなるため、固液共存域の収縮量Slsは固液共存域の固相率fslsに正比例するとみなすことができる。
また、固液共存域は、液相の表面にごく薄い層状として存在するため、固液間の収縮において、この層の法線方向(すなわち凝固殻の厚み方向)に直交する方向(すなわち層の面内方向)への収縮はキャンセルされてしまう。このため、固液間の収縮は実質的に凝固殻の厚み方向の収縮として測定される。
したがって、固液共存域の収縮量Slsは、固液共存域における収縮体積の最大値(=液相線温度における比体積v−固相線温度における比体積v、以下、「固液間の収縮量vls」という。)を用いて、下記式(6)で表すことができる。
ls∝vls×fsls (6)
(5)乖離量と平均固相率との関係
上記式(4)および(6)から、表層収縮量S’は、平均固相率fsavを使って下記式(7)のように表される。
S’∝(d×vls+dls×vls×fsls)/d
=vls×(d+dls×fsls)/d
=vls×fsav (7)
ここで、比体積v(cm/g)は、密度ρ(g/cm)の逆数なので、液相線温度における密度ρ(g/cm)と固相線温度における密度ρ(g/cm)とを用いて、固液共存域の収縮量vlsは下記式(8)のように表すことができる。
ls=1/ρ−1/ρ=(ρ−ρ)/(ρ・ρ) (8)
したがって、下記式(9)が導かれる。
S’∝(ρ−ρ)/(ρ・ρ)×fsav (9)
ここで、液相線温度および固相線温度の密度差(ρ−ρ)を固液密度差Δρとすると(2)式などから乖離量Dについて下記式(10)が導かれる。
D=α×Δρ×fsav (10)
ここで、αは比例係数であり、表層凝縮量S’から乖離量Dに変換する変換係数なども含むため、鋳型内形状など装置構成の影響を受ける。
上記式(10)に示される関係をグラフ化したものが図2である。
図2は、x軸を平均固相率fsav、y軸を乖離量Dとするグラフである。
x軸に平行な点線がy軸と交わる点は出口乖離量の閾値D を示している。一方、y軸に平行な点線がx軸と交わる点は凝固殻の厚さがdminの場合の平均固相率fsminを示している。
直線1、2および3は、それぞれ異なる固液密度差Δρ、ΔρおよびΔρ(Δρ>Δρ>Δρ)を有する高合金鋼について、乖離量Dの平均固相率fsav依存性を示している。
いずれの高合金鋼においても、連続鋳造開始時、鋳型内メニスカス部では平均固相率fsavは0であり、鋳造の進行とともに平均固相率fsavは1に向かって増大する。鋳型の出口における平均固相率(以下、「出口固相率」という。)fsがfsmin未満であったり、平均固相率fsavがfsに至る前に対応する乖離量DがD 超となったりすると、かぶれ疵が発生することになる。なお、図2では、全ての高合金鋼におけるfsが同一の値であると仮定している。
直線1は、もっとも固液密度差Δρが大きい場合であり、平均固相率fsavがfsav1のときの乖離量Dが出口乖離量の閾値D に達している。このため、この鋼種の場合には、平均固相率fsavが0から増加してfsav1に達した以降は、平均固相率fsavは復熱により逆に0に向かって減少する可能性が高まり、この場合には凝固殻は再融解してかぶれ疵が発生してしまう。
このような事態を回避するためには、平均固相率がfsav1に達する前に鋳片を鋳型出口から出して二次冷却する必要がある。すなわち、出口固相率fsがfsmin≦fs≦fsav1を満たすように操業条件を設定しなければならない。
一方、直線2は、もっとも固液密度差Δρが小さい場合であり、平均固相率fsavが1に達しても、乖離量Dが出口乖離量の閾値D に達することはない。この場合にはかぶれ疵が原理的に発生しないことになるが、高合金鋼の固液密度差Δρはこのような小さな値とならない場合が多い。このため、上記のような平均固相率fsavを制御するような操業条件の設定が必要となる。
異なる化学組成を有する高合金鋼における鋳片横断面を含む面を切断面とする連続鋳造機の概念的な断面図である図3を用いてさらに説明する。
図3の上段は、図2の直線3に係る高合金鋼の場合における、鋳型出口の鋳片横断面を含む面を切断面とする連続鋳造機の概念的な断面図である。鋳型内における出口乖離量は閾値D になっている。
図3の下段は、図2の直線1に係る高合金鋼の場合における、平均固相率がfsav1に達した部分の鋳片横断面を含む面を切断面とする連続鋳造機の概念的な断面図である。鋳型出口に達する前の段階で、鋳型内における出口乖離量は閾値D になっている。
図3の中段は、図2の直線1に係る高合金鋼の場合における、鋳型出口の鋳片横断面を含む面を切断面とする連続鋳造機の概念的な断面図である。鋳型内における出口乖離量は閾値D を超えているため、抜熱が不十分となり、復熱の影響を強く受ける部分ではかぶれ疵が発生しうる状況にある。
(6)出口固相率と鋳造速度との関係
上記式(10)を出口乖離量Dと出口固相率fsとの関係として表すと下記式(11)のようになる。
=α×Δρ×fs (11)
この上記式(11)は、新たな合金成分組成を有する高合金鋼を連続鋳造する場合には、固液密度差Δρを測定し、この数値が大きいときには出口固相率fsが低下するように操業条件を設定することが必要であることを意味する。以下、この出口固相率fsと操業条件との関係とを説明する。
上記のとおり、表層の平均固相率fsavは鋳型内メニスカス付近では0であり、鋳型内を出口側に進行するにしたがって増加する。この表層の平均固相率fsavの増加に最も影響を及ぼす因子は鋳型の抜熱量である。ある鋳片横断面が鋳型と接触している時間、すなわち鋳造時間が長いほど抜熱量は多くなり、出口固相率fsは増加する。そして、鋳造時間に最も大きな影響を及ぼすのは鋳造速度Vcであり、鋳造時間と鋳造速度Vcとは反比例の関係にある。したがって、次の式が導かれる。
fs=β/Vc (12)
ここで、βは、鋳型の鋳造方向の長さ、鋳型内の鋳片の鋳型との接触面の温度分布、鋳型の鋳片との接触面の温度分布など鋳型の抜熱能力などにより決定される係数である。
(7)固液密度変化率
上記式(11)および(12)より、下記式(13)が導かれる。
=γ×Δρ/Vc (13)
ここでγ=α×βであり、γは鋳型形状や冷却能力などに連続鋳造機の構成によって実質的に決定される。
このように、出口乖離量Dは、連続鋳造機により実質的に決定されるγ、材料の固有特性値である固液密度差Δρおよび操業条件により決定される鋳造速度Vcを用いて見積もることが可能となる。
ここで、本発明では、上記の3変数のうち二つを用いて、固液密度変化率Rを下記式(14)のとおり定義する。
R=Δρ/Vc (14)
固液密度変化率Rを用いることにより、上記式(13)は下記式(15)のように表される。
=γ×R (15)
そして、出口乖離量Dが閾値D のときの固液密度変化率を固液密度変化率の閾値Rとすると、下記式(16)の関係が導かれる。
=γ×R (16)
γは連続鋳造機が同一であればほぼ一定であるから、ある高合金鋼について、固液密度変化率Rが閾値R以下になるように固液密度差Δρと鋳造速度Vcとを設定し、その条件に基づく鋳造速度Vcで連続鋳造を行うと、かぶれ疵を発生させることなく安定的に操業することが実現されうる。
ここで、固液密度変化率Rが閾値R以下になるように設定するということは、鋳造速度Vcに下限値が設定されることを意味する。従来技術に係るかぶれ疵の抑制手段の典型例は、手段1に示されるように、鋳造速度を低下させることであったが、固液密度差Δρが大きい高合金鋼の場合には、そのような手段はかぶれ疵を抑制するどころか、かぶれ疵の発生を助長する手段であったのである。
しかも、上記の関係式から、固液密度差Δρという材料特性を測定することにより、かぶれ疵を発生させないための操業条件に関する重要な情報が得られることが理解される。新たな高合金鋼を連続鋳造する場合には、ブレークアウトの危険性を恐れつつトライアンドエラーで鋳造速度を設定せざるを得なかったが、本発明によれば、かぶれ疵を発生させない条件を材料の分析によりあらかじめ知ることができるため、小ロットの生産であっても短時間で操業条件を設定することができ、高合金鋼の生産における近時の傾向に対応することが容易に達成される。
2.固液密度差の測定方法
固液密度差Δρの測定方法は特に限定されない。同一の高合金鋼について、液相線温度における密度と固相線温度における密度とを測定し、その差を求めればよい。
その一例として、あらかじめ重量が測定された高合金鋼の固体を加熱し、液相へと変化するまでの体積の変化を形状測定に基づき計測し、この体積変化に基づき固液密度差を測定することが挙げられる。この方法に基づく具体例を以下に示す。
溶製した高合金鋼から直径18mm高さ40mmの円柱形サンプルを切り出す。次に、そのサンプルをアルミナルツボ内に入れ、このルツボをSiCヒータ炉に設置して、Ar雰囲気下1450℃まで加熱して、ルツボ内のサンプルを溶融する。このルツボ内の溶鋼の中心に上部からアルミナ管で保護した熱電対を挿入し、その後炉内にて溶鋼を冷却しながらルツボ内の鋼の温度を測定する。得られた熱電対の温度変化から液相線の温度および固相線の温度を測定する(熱分析)。
一方、密度の測定用に、溶製した高合金鋼から直径6mm高さ6mmの円柱形サンプルを切り出し、その重量を電子天秤にて秤量する。カーボンヒータ炉内に設置された平滑なMgO基板上にそれらのサンプルを水平に載置する。炉内をAr雰囲気下で室温から1600℃まで昇温し、液相線温度および固相線温度を含む複数の温度において、水平方向からサンプルの写真を撮影する。得られた画像からサンプルの体積を測定し、先に求めた重量をその体積で除して、各温度におけるサンプルの密度を求める。固液密度差Δρは液相線温度における密度の固相線温度における密度に対する差から求める。
3.固液密度変化率の閾値の設定方法
出口乖離量の閾値D を実測することはかならずしも容易でないため、固液密度変化率の閾値Rを簡易的に導き出す方法として下記の方法が例示される。
(1)同一の連続鋳造機についての複数の実績に基づく方法
i)過去の一実績に基づく方法
前述のように、同一の連続鋳造機を用いる場合には、固液密度変化率についての閾値Rはほぼ一定である。したがって、過去の一実績において良好な操業が行われていたということは、その実績における固液密度変化率がこの閾値R以下であった可能性が高いことを意味する。すなわち、その操業実績における固液密度変化率RとRとは、R≦Rの関係が成立すると仮定することができる。
そこで、R≡Rとして、新たな高合金鋼における操業条件を設定する場合には、その高合金鋼の固液密度差Δρ’および鋳造速度Vc’により決定される固液密度変化率R’が、R’≦Rを満たすようにする。
具体的には、新たな高合金鋼を連続鋳造するための連続鋳造機と同一の連続鋳造機を用いてかぶれ疵を発生させることなく連続鋳造が行われた高合金鋼の固液密度差Δρおよびそのときの鋳造速度Vcを用いた下記式(17)を満たすように鋳造速度Vc’は設定される。
Vc’≧Δρ’/R=Vc×Δρ’/Δρ (17)
ii)過去の複数の実績に基づく方法
上記の方法によれば、過去の実績と同等またはそれ以上に安全な条件で操業することになるため、かぶれ疵の発生が抑制される可能性は十分に高い。
しかしながら、参照した過去の実績に基づく固液密度変化率Rと理論上の固液密度変化率の閾値Rとが実はR≦Rの関係が成立しておらず、危険な状況にありながら操業が行われていた可能性を全く否定することもできない。仮にそのような場合であると、その操業条件に基づいて新たな高合金鋼の連続鋳造の操業条件を決定することは、その危険な状況をそのまま引き継いでしまうことなる。そこで、過去の複数の実績において固液密度変化率を求め、これらの固液密度変化率における最小値Rminを固液密度変化率の閾値Rとすれば、このような危険性を回避することができる。
この考えに基づくと、新たな高合金鋼における鋳造速度Vc’は下記式(18)を用いて決定される。
Vc’≧Δρ’/Rmin (18)
(2)異なる連続鋳造機についての複数の実績に基づく方法
以上の方法は、同一の連続鋳造機を用いた実績に基づいて新たな高合金鋼の連続鋳造の操業条件を設定する方法であり、上記式(13)において定義されるγは、連続鋳造機が異なると相違すると想定されるため、γが実質的に同一の範囲内で条件設定する方法である。
しかしながら、γは主として鋳型の冷却能力に関する因子であり、実際の連続鋳造機では、均一な冷却を実現するために過度に高い冷却能力を有する鋳型が用いられることはない。したがって、現実にはγはそれほど変化しない。
この認識に基づき、本発明者らが検討した結果、連続鋳造機が異なっても、固液密度変化率の閾値Rは大きくは変動せず、0.95g・min/(cm・m)とすれば、連続鋳造機によらずかぶれ疵の発生を抑制できることが明らかになった。
連続鋳造された鋳片を素材として得られる鋼材が、質量%で、Ni:20〜85%、かつ、Cr:5〜30%を含有し、さらにC:1%以下、Si:0.05〜3%、Mn:3%以下、P:0.5%以下、S:0.05%以下、Cu:6%以下、Mo:15%以下、N:0.5%以下、V:0.5%以下、W:0.5%以下、Nb:2%以下、Al:0.01〜3%、Ti:10%以下、B:0.1%以下、Ca:0.01%以下、Co:2%以下、Zr:0.1%以下の範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼種を対象として、以下に、本発明を完成させるために行った試験および本発明の効果を確認するために試験を行った。
本発明に係る連続鋳造方法の実施例を以下に示す。表1に示す成分組成を有するA、B、CおよびDの4種類の高合金鋼を、表2に示すa、bおよびcの3つの型の連続鋳造機により鋳造した。
Figure 0005387497
Figure 0005387497
高合金鋼の連続鋳造においては、1300℃における粘度が0.03〜0.20Pa・s、かつ、凝固点が1000〜1290℃であるモールドフラックスが適している。粘度については0.03Pa・s未満であると低すぎて鋳型内で保持されにくく、また0.2Pa・sよりも高いと流動性が不良となり、流入不良の原因となる。また、凝固点について、1000℃未満では結晶化が遅く不均一凝固し、1290℃より高いと高合金鋼の固相線温度と近くなり、鋳造ができなくなる。そこで、鋳造に際しては、表3に示す実機汎用のモールドフラックスαとβの2種類をそれぞれ用いて連続鋳造を行った。
Figure 0005387497
なお、固液相温度間の固液密度差については、以下の方法によった。
(液相線温度および固相線温度)
溶製した高合金鋼から直径18mm高さ40mmの円柱形サンプルを切り出した。次に、そのサンプルをアルミナルツボ内に入れ、このルツボをSiCヒータ炉に設置して、Ar雰囲気下1450℃まで加熱して、ルツボ内のサンプルを溶融した。このルツボ内の溶鋼の中心に上部からアルミナ管で保護した熱電対を挿入し、その後炉内にて溶鋼を冷却しながらルツボ内の鋼の温度を測定した。得られた熱電対の温度変化から液相線の温度および固相線の温度を測定した。
(固液密度差)
一方、密度の測定用に、溶製した高合金鋼から直径6mm高さ6mmの円柱形サンプルを切り出し、その重量を電子天秤にて秤量した。カーボンヒータ炉内に設置された平滑なMgO基板上にそれらのサンプルを水平に載置した。炉内をAr雰囲気下で室温から1600℃まで昇温し、液相線温度および固相線温度を含む複数の温度において、水平方向からサンプルの写真を撮影した。得られた画像からサンプルの体積を測定し、先に求めた重量をその体積で除して、各温度におけるサンプルの密度を求めた。固液密度差Δρは液相線温度における密度の固相線温度における密度に対する差から求めた。
また、本発明者らは、鋳片のかぶれ疵評価については、かぶれ疵が発生しなかった場合を○、かぶれ疵が発生したものを手入れで処理できないとして×とした。その中間を△とし、それぞれ1,2,3と指数化した「かぶれ疵指数」を求めて定量化した。
以下に、表4、図4をもとに連続鋳造機の種類ごとに実施例を説明する。
Figure 0005387497
(1)連続鋳造機aの実施例
表1の連続鋳造機aを用い、固液間密度が0.61g/cmの高合金鋼(鋼種A)について、鋳造速度0.55m/min(No.1)で連続鋳造を行ったところ、手入れ除去できるレベルの軽微な縦割れはみられたものの問題となるかぶれ疵は発生しなかった。
そこで、No.1の固液密度変化率(1.11)を良好な操業を実現した基準として、鋼種はAのまま、固液密度変化率がこの固液密度変化率よりも低くなる条件、つまり鋳造速度を高めた条件(No.2)、および固液密度変化率がこの固液密度変化率よりも高くなる条件、つまり鋳造速度を低下させた条件(No.3)で連続鋳造を行った。
その結果、No.2では問題となるかぶれ疵は発生しなかった。一方、No.3ではかぶれ疵が発生した。
続いて、鋼種Aとは異なる鋼種Bを用いて、鋼種Aにおいて求めた固液密度変化率のしきい値(1.11)よりも固液密度変化率が低くなるように、鋳造速度を設定して連続鋳造を行った(No.4)。その結果、No.2と同様にかぶれ疵は発生しなかった。
(2)連続鋳造機bおよびcの実施例
上記の連続鋳造機aとは異なる連続鋳造機bまたはcを用いて、連続鋳造機aの場合と同様に、固液密度変化率とかぶれの発生の有無との関係について評価した。その結果、いずれの連続鋳造機においても、固液密度変化率が低いほどかぶれ疵の発生は抑制されることが確認された。
また、これらの3種類の連続鋳造機についての実験結果から、かぶれ疵を発生させない固液密度変化率の上限値、つまり固液密度変化率のしきい値は連続鋳造機に依存することなくおおむね1近傍であることが確認された。具体的には、固液密度変化率の閾値Rを0.95g・min/(cm・m)にすれば、連続鋳造機によらずかぶれ疵の発生を安定的に抑制することができる。
本発明の高合金鋼の連続鋳造方法によれば、新規の合金成分組成を有する高合金鋼について、短期間でかぶれ疵が発生しない操業条件を設定することができる。したがって、少量多品種かつ短納期という傾向を有する高合金鋼を、高品質でしかも生産性高く連続鋳造することが実現される。

Claims (4)

  1. 液相線温度と固相線温度との間における凝固収縮時の密度差である固液密度差が0.35g/cm以上0.65g/cm以下を満たす高合金鋼を、連続鋳造により製造する方法であって、
    当該高合金鋼の固液密度差Δρを求め、
    下記式(i)により求められる当該高合金鋼の固液密度変化率Rが閾値R以下となるように下限鋳造速度Vcを設定し、その鋳造速度で当該高合金鋼を鋳造することを特徴とする連続鋳造による高合金鋼の製造方法。
    R=Δρ/Vc (i)
  2. 前記固液密度変化率についての閾値Rが、
    前記高合金鋼を連続鋳造するための連続鋳造機と同一の連続鋳造機を用いてかぶれ疵を発生させることなく連続鋳造が行われた、前記固液密度差が0.35g/cm以上0.65g/cm以下を満たす別組成の高合金鋼についての過去の一実績に基づいて、前記固液密度差Δρおよび鋳造速度Vcを用いて、下記式(ii)により導かれる固液密度変化率R である請求項1記載の製造方法。
    =Δρ/Vc (ii)
  3. 前記固液密度変化率についての閾値Rが、
    前記高合金鋼を連続鋳造するための連続鋳造機と同一の連続鋳造機を用いてかぶれ疵を発生させることなく連続鋳造が行われた、前記固液密度差が0.35g/cm以上0.65g/cm以下を満たす別組成の複数の高合金鋼についての固液密度変化率の最小値Rminである、請求項1記載の製造方法。
  4. 前記固液密度変化率についての閾値Rが0.95g・min/(cm・m)である、請求項1記載の製造方法。
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