JP5234124B2 - 精錬方法及び溶鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
3(CaO)+5(FeO)+2[P]
=(3CaO・P2O5)+5[Fe] ・・・式(1)
ここで、
():スラグ成分
[]:溶湯中成分
である。
その解決策として、例えば特許文献1〜3に記載のように脱燐剤であるCaOを粉状(粉体)にして上吹きランスから溶湯に吹き付ける方法がある。
また、吹き付けの際にはCaOの粒度や吹き付け速度に制約があるという問題点を有する。例えば、吹き付け速度を遅くしすぎると酸化カルシウム粉による配管閉塞や溶銑の脱炭不良・脱燐不良などの原因となる。一方、吹き込み速度を早くし過ぎると酸化カルシウムの転炉外飛散による粉塵問題への影響が懸念される。このため、精錬設備等の条件に応じて、用いる酸化カルシウム粉粒度と、キャリアガスとなる吹き付け酸素速度との関係が最適となる範囲を求め、そのような最適範囲となるように制御する必要がある。しかし、これらの制約・問題を解決するには莫大な投資が必要である。
また従来、上吹きCaO添加を行なわない場合には、前置き法を含むCaOの好適な添加条件は明確になっておらず、効果的な脱燐方法の開発が必要とされていた。
本発明は、上記のような点に着目したもので、転炉精錬において、脱燐剤の吹き付けを行なう設備が無くても、効率よく転炉操業を行なうための精錬方法及び溶鋼の製造方法を提供することを目的としている。
次に、請求項2に記載した発明は、溶湯への脱燐剤の吹き付けを行なうことなく脱燐精錬または脱燐脱炭精錬を行なう精錬方法において、スクラップ及び粒径が5mm以下の粉体が含まれる第1の脱燐剤を反応容器に装入した後に、上記反応容器に溶銑を装入し、上記溶銑の装入後に第2の脱燐剤を反応容器に装入し、溶湯への脱燐剤の吹き付けを行なうことなく精錬を行なうことを特徴とする。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載に精錬方法で精錬したことを特徴とする溶鋼の製造方法を提供するものである。
そして、本発明の方法によれば、例えば、転炉精錬において転炉型反応容器内への別投入という方法を取ることで、上吹きランスからの吹き付けを実施しなくても酸化カルシウム粉(粉状の脱燐剤)を使用することができる。また本発明の方法によれば、上吹き設備のための設備投資をしなくても、またハロゲン系化合物やアルカリ系化合物を使用しなくても、従来の酸化カルシウム塊を脱燐剤として使用する際の効率を向上させることが可能になる。
(精錬方法について)
本実施形態の精錬方法では、溶銑を転炉型反応容器に装入する前に、当該反応容器に対し粉体が含まれる脱燐剤を投入(装入)する。その後、反応容器に対して溶銑を装入し精錬を開始する。上記溶銑の装入後であって精錬の開始前若しくは精錬中にも適宜脱燐剤を溶湯に投入して精錬を実施する。
なお、溶銑装入前に事前に装入するスクラップ及び脱燐剤については、スクラップの前に脱燐剤を投入しても良い。但し、スクラップを先に装入した方が脱燐剤と溶銑の接触がよくなりやすいので、脱燐剤を装入後にスクラップを装入するよりも好ましい。
ここで、精錬で使用する脱燐剤の全体量は、精錬する溶銑の分析値(スクラップを使用する場合には、溶銑およびスクラップの分析値)と、精錬後の目標P濃度とに基づき脱P必要量を定める。そして、その定めた脱P必要量から、精錬処理全体で投入すべき脱燐剤の量を決定する。なお、精錬全体での脱燐剤使用量は、実績の脱燐剤量と脱燐量の関係からも求めることができる。
残りの脱燐剤は、溶銑を装入後に上記反応容器内に投入する。その後、酸素を吹き込み吹錬開始する。なお、吹き込みガスは、Ar、N2、COや、それらの混合物であってもよい。残りの脱燐剤には、例えば粒径5〜30mmまたは5〜50mmの塊状を使用する。この塊状の脱燐剤の一部は、吹錬中に投入してもよい。
上記脱燐剤はCaOを含む脱燐剤が使用できるが、実質的にCaOからなる脱燐剤が好ましい。
事前装入する脱燐剤の粒度は、精錬上は、細かいほど好ましい。ただし、細かくしすぎると粉砕コストがかかるうえ、ハンドリング過程での発塵の問題があるので、必要以上に細かくする必要はない。一方、粒度が粗いと脱燐剤の溶融が遅く分散も悪くなるうえ、精錬中にスラグフォーミングが起こりやすくなる。以上のことから、事前装入する脱燐剤は、粒径が5mm以下の脱燐剤が90質量%以上を占めることが好ましい。粒径が5mm以下の脱燐剤とは、粉体の脱燐剤が実質含まれることを意味する。
次に、本実施形態における精錬方法による効果発現のメカニズムを説明する。
粉状の脱燐剤としてのCaOは、塊状のCaOに比べ溶銑とよく混合するので脱燐効果が大きい。しかし、CaO吹き付け設備がない場合、粉状のCaOを単に溶銑に投入しただけでは粉状のCaOが浮いてしまい、CaOと溶銑が良く混合せず、反応に寄与しにくいだけではなく、粉塵飛散による環境悪化が発生する。
ここで、粉状のCaOを事前に装入しておくことで、その後、溶銑を装入した際における混合攪拌が強化され、上記脱燐反応の反応速度の向上とともに、スラグヘのP(燐)の吸収も早くなる。この結果、精錬に使用する全CaO消費量を減らすことができるものと考えられる。
これに対し、本発明においては、CaO吹き込みを行わない条件で、事前装入すべきCaOの好適な条件を明確にすることで、上述のような効果を得ることが出来る。
また、脱燐剤の吹き込みを実施しない場合に、脱燐剤として敬遠されていた粉体のCaOを積極的に使用することが出来るという効果もある。
以上の精錬で使用した全CaO量と脱燐量(ΔP=溶銑P濃度−出鋼P濃度)の関係を図1に実線(●)で示す。
次に、CaOの事前装入をすることなく、全量のCaO(粒径5〜50mmの全て塊状の脱燐剤)を、転炉に溶銑を装入した後に投入した。精錬の操業は、上記実施例1と同じ操業とした。
このときの、精錬で使用した全CaO量と脱燐量(ΔP=溶銑P−出鋼P)の関係を図1に点線(◇)で示す。
実施例1における粒径5mm以下の粉体を含むCaOの代わりに、溶銑投入前に5〜50mmの全てが塊状のCaO塊を事前に投入する以外は、上記実施例1と同じ操業を行った。
その結果を図1に一点鎖線(▲)で示す。
図1に示すように、比較例1−1及び比較例1−2に比べて、実施例1による精錬方法の方が、同じCaO使用量に対する脱燐量が高いことが分かる。
その後5〜50mmの塊状のCaO:5トンを溶銑上に投入し、また副原料(種類軽焼ドロマイト:2トン)を溶銑上に投入して、上吹き酸素流量53Nm3/t、底吹き酸素流量6Nm3/tの条件で吹錬を実施した。また、吹錬中に5〜50mmのCaO:6トンを溶銑上に投入して、22分間吹錬し、出鋼した。
精錬終了後の鋼の分析値はC:0.035質量%、Si<0.01質量%、P:0.015質量%であり脱燐量は0.085質量%であった。
次に、CaOの事前装入をすることなく、総CaO量は実施例2と同じとして全量のCaO(粒径5〜50mm)を、転炉にスクラップおよび溶銑を装入した後に添加した。精錬の操業は、上記実施例2と同じ操業とした。
この場合、脱燐量は0.071質量%となっており、実施例2に比べて脱燐量が小さかった。
実施例2における粒径5mm以下のCaO粉の代わりに、溶銑投入前に5〜50mmのCaO塊を事前に投入する以外は、上記実施例2と同じ操業を行った。
この場合には、脱燐量は0.077質量%となっており、比較例2と実施例2の中間の脱燐量となった。
図2から分かるように、CaOが10%を超えると脱燐量が大きくなることが分かる。
Claims (4)
- 溶湯への脱燐剤の吹き付けを行なうことなく脱燐精錬または脱燐脱炭精錬を行なう精錬方法において、
粒径が5mm以下の粉体が含まれる第1の脱燐剤を反応容器に装入した後に、上記反応容器に溶銑を装入し、上記溶銑の装入後に第2の脱燐剤を反応容器に装入し、溶湯への脱燐剤の吹き付けを行なうことなく精錬を行なうことを特徴とする精錬方法。 - 溶湯への脱燐剤の吹き付けを行なうことなく脱燐精錬または脱燐脱炭精錬を行なう精錬方法において、
スクラップ及び粒径が5mm以下の粉体が含まれる第1の脱燐剤を反応容器に装入した後に、上記反応容器に溶銑を装入し、上記溶銑の装入後に第2の脱燐剤を反応容器に装入し、溶湯への脱燐剤の吹き付けを行なうことなく精錬を行なうことを特徴とする精錬方法。 - 上記溶銑装入前に装入する第1の脱燐剤のうちの90質量%以上の脱燐剤は粒径が5mm以下の脱燐剤であり、且つ、上記溶銑装入前に装入する第1の脱燐剤の量は、上記精錬処理全体で使用する脱燐剤全体の10質量%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した精錬方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載に精錬方法で精錬したことを特徴とする溶鋼の製造方法。
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