JP2011179091A - 溶銑の脱燐方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理中における炉壁及び炉口へのスピッティング粒鉄の付着を抑制し、かつ処理後の溶銑中[P]濃度を0.007質量%以下とする。
【解決手段】上底吹き転炉型精練容器内への溶銑装入と前後して塊状のCaO含有物質を添加し,上吹きランスから粉状のCaO含有物質を伴わずに酸素含有ガスを該溶銑へ吹き付けて該溶銑上にカバースラグを生成した後に該上吹きランスから粉状のCaO含有物質を伴って酸素含有ガスを該溶銑へ吹き付けて該溶銑の脱燐処理を行う。全酸素供給時間の40%以上が経過した後、該全酸素供給時間の70%が経過するまでの期間中に,CaOを30〜50質量%,FetOを40〜65質量%,SiO2を1.0〜10質量%以下及びAl2O3を1.0〜20質量%含有し,かつそれらの4成分の合計が90質量%以上であるプリメルトフラックス2〜12kg/tを添加し,かつ処理後のスラグ塩基度を2.2〜3.1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、上底吹き転炉型精錬容器において行う溶銑の脱燐方法に関する。
近年、鋼材に対する品質要求が一段と高まっており、極低燐鋼に対する需要が増大している。しかも、脱燐に非常に効果があり、脱燐剤として使用されるハロゲン系化合物は、環境問題の観点から使用しないことが求められている。
上記背景から、ハロゲン系化合物を使用せずに低燐溶銑を製造できる方法として、上底吹き転炉型精錬容器においてランスから酸素含有ガスとともにCaO含有粉体を上吹きする方法が開発されている。この方法によれば、酸素含有ガスが溶銑表面に衝突する火点にCaO含有粉体が添加されることで、酸素含有ガスと溶銑の反応によって生じたFeO融体とCaO含有粉体が一体となり、それが脱燐反応を促進するとされている。
ただし、本方法の問題点として、溶銑表面上に酸素含有ガスとともにCaO含有粉体を吹き付けると、粉体の運動エネルギーが溶銑に余計に加わるため、より多くの溶銑の粒子状の飛散、すなわちスピッティングが発生することが知られている。
スピッティング粒鉄の発生そのものを抑制させる手段としては、ランス位置を上げてランスと浴面の距離を大きくする手段が考えられるが、この場合、CaO粉体が溶銑に侵入しづらくなり、侵入した粉体が溶銑と接触・反応する、いわゆるトランジトリー反応による脱燐能力が低下してしまう。
そこで、発生したスピッティング粒鉄を、滓化したスラグによって捕捉し、転炉内壁および転炉炉口へのスピッティング粒の付着を抑制する手段が考えられる。
特許文献1には、吹錬初期におけるスピッティング粒鉄付着抑制方法が記載されている。吹錬初期には、スラグは滓化していないことが多く、吹錬初期からCaO含有粉体を吹き付けると、発生したスピッティング粒鉄が大量に炉壁や炉口に付着する。この問題を回避するために、特許文献1に開示される方法は、吹錬初期にスラグの塩基度を滓化しやすい低位に保持することで滓化したカバースラグを生成し、その後にCaO含有粉体を吹き付けることで、CaO含有粉体吹き付けによって発生するスピッティング粒鉄の転炉内壁および転炉炉口への付着を抑制するものである。
この技術では、確かに、CaO含有粉体の吹き付け開始時には、滓化したカバースラグが生成しており、スピッティングはカバースラグに捕捉される。しかし、吹錬の進行ともに塩基性を有するCaO含有粉体を吹き付け続けることによって、カバースラグの塩基度は上昇し、次第に滓化状態が悪化し始めてしまう。
極低燐溶銑を製造しようとすれば、別に副原料として添加される塊生石灰の添加量を減らして、CaO含有粉体の吹き付け量を極力増やしたほうが良いが、CaO含有粉体の吹き付け量を多くしすぎれば、吹錬中の塩基度が大きく増加し、その結果、カバースラグの流動性が大きく低下してしまい、その結果、吹錬後半にはスピッティングが炉壁や炉口に付着しやすくなってしまう。
したがって、CaO含有粉体を吹き付ける脱燐方法において極低燐溶銑を製造しようとすべくCaO含有粉体の吹き付け量を増加させると、吹錬後半に塩基度が増加しスラグの滓化性が悪化し、カバースラグが機能しなくなり、炉壁や炉口へのスピッティング粒鉄付着が増大するという問題がある。
特開2001−64713号公報
本発明は、処理中における炉壁および炉口へのスピッティング粒鉄の付着を抑制し、かつ、処理後の溶銑中[P]濃度を0.007質量%以下とすることができる溶銑の脱燐方法を提供することを目的とする。
本発明において、「塊状のCaO含有物質」とは、CaOを80質量%以上含有し、粒径が5〜35mmの物質を意味する。
また、「粉状のCaO含有物質」および「CaO含有粉体」とは、いずれもCaOを80質量%以上含有し、粒径1mm以下の物質を意味する。
「酸素含有ガス」とは、酸素を80質量%以上含有し、残りはAr、N、CO等の常温では酸素と不活性なガス成分からなるガスを意味する。
「スラグの塩基度」とは、スラグの分析によって得られるCaOとSiOとの質量濃度比(%CaO)/(%SiO)を意味する。
本発明者らは、まず、極低燐溶銑を得られる、処理後のスラグ塩基度について検討し、CaO含有粉体の吹き付け量を増加させるほど、処理後のスラグ塩基度を高めることができ、[P]濃度を低下させることができると考えた。
しかし、CaO含有粉体の吹き付け量を単純に大きくし、結果、処理後のスラグ塩基度を増大させるだけでは、カバースラグの流動性が吹錬の進行に伴って次第に低下してしまい、スピッティング粒の飛散抑止効果が失われるほか、低燐濃度化の効果も十分に得ることができなくなってしまうおそれがある。
そこで、本発明では、スピッティングの発生を抑制しつつ極低燐溶銑を得るために、CaO含有粉体吹き付けによる脱燐能の向上だけではなく、カバースラグの流動性維持とそれによる脱燐能向上効果とを併せて活用することに着目した。
CaO含有粉体を多く使用した場合には、CaO含有粉体が滓化されやすいため、塊生石灰のように未滓化で残存することは少なく、カバースラグ中に取り込まれてカバースラグの塩基度が速やかに高まってしまう。
そこで、カバースラグの塩基度が上昇してくる段階において、カバースラグの滓化を促進する添加剤を吹錬途中で添加し、カバースラグの流動性を高めることによって、スピッティングの捕捉能力を維持しつつ、カバースラグの脱燐能を高めることができるのである。
以上の知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
(1)上底吹き転炉型精練容器内への溶銑装入と前後して塊状のCaO含有物質を添加し、上吹きランスから粉状のCaO含有物質を伴わずに酸素含有ガスを該溶銑へ吹き付けて該溶銑上にカバースラグを生成した後に該上吹きランスから粉状のCaO含有物質を伴って酸素含有ガスを該溶銑へ吹き付けて該溶銑の脱燐処理を行う方法であって、前記上吹きランスからの酸素含有ガスの供給開始時点から全酸素供給時間の40%以上が経過した後、該全酸素供給時間の70%が経過するまでの期間中に、CaOを30質量%以上50質量%以下、FeO、FeおよびFeの総和であるFeOを40質量%以上65質量%以下、SiOを1.0質量%以上10質量%以下ならびにAlを1.0質量%以上20質量%以下含有し、かつ、それらの4成分の合計が90質量%以上であるプリメルトフラックス2kg/t以上12kg/t以下を添加し、かつ、処理後のスラグ塩基度を2.2以上3.1以下とすることを特徴とする、溶銑の脱燐方法。
(2)CaOを80質量%以上含有するCaO含有物質のうち、ランスから酸素含有ガスとともに溶銑浴面へ吹き付けて添加する粉状のCaO含有物質の割合をCaOの質量比率で60%以上とすることを特徴とする、上記(1)に記載の溶銑の脱燐方法。
本発明では、カバースラグの塩基度が上昇してくる段階において、カバースラグの滓化を促進する添加剤を吹錬途中で添加する。このため、カバースラグの流動性が高まって、スピッティングの捕捉能力を維持しつつ、カバースラグの脱燐能を高めることが実現される。その結果、処理中における炉壁および炉口へのスピッティング粒鉄の付着を抑制し、かつ、処理後の溶銑中[P]濃度を0.007質量%以下とすることが実現される。
脱燐処理後のスラグ塩基度と処理後溶銑中[P]濃度の関係を示すグラフである。 脱燐処理後のスラグ塩基度とスピッティング付着速度指数の関係を示すグラフである。
上記着想から、カバースラグの流動性を促進する添加剤の調査を進めた。
本発明において使用する「カバースラグの流動性を促進する添加剤」の適正組成を確認するため、下記の試験を行い、スピッティング抑制および脱燐率の評価を行った。
成分組成が、[C]濃度が約4.5質量%、[Si]濃度が約0.2〜0.6質量%、[P]濃度が約0.10質量%であり、温度が約1320℃である溶銑2トンを上底吹き転炉に装入し、副原料として鉄鉱石5〜20kg/t、および、塊生石灰2〜6kg/tを添加した後、上吹きランスから酸素含有ガスとして純酸素ガスを溶銑に吹き付けた。
塊生石灰にはCaO含有濃度が約97質量%のものを使用し、カバースラグが速やかに生成されるようにその添加量を2kg/tを基本としたが、一部では6kg/tまで増量して試験した。
CaO含有粉体については、吹錬初期においてカバースラグを生成させた後に、ランスから酸素含有ガスとともに溶銑への吹き付けを開始することを基本としている。そのため、本調査においては上吹きランスからの純酸素ガスの吹き付け開始から1.5分後に、CaO含有粉体として粒径0.1mm以下の生石灰粉の吹付けを開始した。
純酸素ガス流量は処理中一定とし、溶銑1トン当たり1.2〜3.2Nm/min/tの範囲とした。
純酸素の供給時間は、全部で7分間を基本としたが、一部では4.5〜12.0分の範囲で確認試験を行った。
生石灰粉の吹き付け速度(単位時間当たりの吹付け質量)は、吹き付け開始から終了まで一定とし、その吹き付け量は8〜26kg/tとした。生石灰粉の吹付け開始は前記したように純酸素の供給開始から1.5分後であり、その吹き付けは純酸素の供給終了まで継続させた。
吹錬後の塩基度は、2.2〜3.1の範囲となるよう、CaO含有粉体、および、その他の副原料添加量を調整した。
但し、比較のため、一部の試験では、吹錬後の塩基度を2.2〜3.1の範囲外にも設定した。
また、CaO含有粉体吹き付け量は、粉体上吹き脱燐の効果が十分に得られるよう、塊生石灰添加量と足し合わせた合計生石灰添加量に対し、基本的には80質量%以上の条件にて行ったが、一部では57〜75質量%での確認試験も行った。
また、処理中、炉底羽口からArガスを溶銑1トン当たり0.50Nm/min/t吹き込んで、溶銑およびスラグを攪拌した。
さらに、吹錬中においては、本発明にてスピッティング付着抑制、および、脱燐促進効果が確認された組成のフラックス、および、比較としてそれに近い組成のフラックスを適宜添加し、その効果を調査した。
なお、本実験では、カバースラグのスピッティング捕捉効果について定量的に調査するために、炉口付近に分厚い鉄板を取り付け、その鉄板に吹錬中単位時間あたりに付着するスピッティングの質量を測定した。
表1に本発明例および比較例の結果を示す。
Figure 2011179091
本発明例1〜23に示されているように、吹錬期間の40%〜70%の間に、CaOを30〜50質量%、FeO(FeO、FeおよびFeの総和)を40〜65質量%、SiOを1.0〜10質量%ならびにAlを1.0〜20質量%含有し、かつ、それらの4成分の合計が90質量%以上であるプリメルトフラックス2〜12kg/tを添加したために、CaO含有粉体吹き付け量を増加させて処理後スラグ塩基度2.2〜3.1の範囲になるような条件において、スピッティング付着速度指数は0.7以下で小さく、処理後[P]濃度を0.007質量%以下にまで低減でき、極低燐溶銑を溶製できた。
ここで、スピッティング付着速度指数は、上記記載のスピッティング測定方法から得られた結果を指数化したものである。具体的には、[測定されたスピッティング付着速度(kg/min.)]/[基準としたスピッティング付着速度(kg/min.)]により与えられる無次元量であり、「基準としたスピッティング付着速度」として、比較例1の「測定されたスピッティング付着速度」を採用した。
また、表1における評価の欄における判定基準は次のとおりであり、◎を特に良好、○を良好、×を不良と判定した。
◎:処理後[P]濃度が0.005質量%以下、かつスピッティング付着速度指数が0.7以下;
○:処理後[P]濃度が0.005質量%超0.007質量%以下、かつスピッティング付着速度指数が0.7以下;および
×:処理後[P]濃度が0.007質量%以下およびスピッティング付着速度指数が0.7以下の少なくとも一方を満たさない。
なお、スピッティング付着速度指数が0.7以下の場合に良好とした理由は次のとおりである。付着速度が従来比の0.7倍以下となれば、スクラップシュート等を用いて実施される地金落とし作業の頻度間隔を、従来の約1.5倍程度に延ばせるため、脱燐炉の操業効率化が期待される。
比較例1および比較例2にあるように、プリメルトフラックスを添加しない場合には、スピッティング付着速度指数は0.8以上と大きくなり、処理後[P]濃度も0.012質量%までしか低減できなかった。
また、比較例3〜比較例11では、添加したプリメルトフラックスの組成条件が不適切なため、カバースラグの滓化を促進できず、スピッティング付着速度指数は0.8以上と大きく、処理後[P]濃度も0.009質量%までしか低減できなかった。
また、比較例12では、プリメルトフラックスの添加量が1.8kg/tと少なく、カバースラグの滓化を十分促進することができず、スピッティング付着速度指数は1.1と大きく、処理後[P]濃度も0.010質量%までしか低減できなかった。
本発明例10では、プリメルトフラックスの添加量が2.0kg/tの条件において、スピッティング付着速度指数が0.4と小さく、処理後[P]濃度も0.005質量%まで低減できており、プリメルトフラックスを2.0kg/t以上添加したことでその効果が発揮できることが示されている。
また、比較例13および比較例14では、プリメルトフラックスの添加時期が40%〜70%の範囲を逸脱しており、その効果を発揮できなかった。
また、比較例15では、処理後の塩基度が2.2未満であったため、極低燐溶銑を得ることができなかった。
一方、比較例16では、処理後の塩基度が3.1を超えるほど、CaO含有粉体を上吹きしたため、プリメルトフラックスによってカバースラグの流動性を十分高められず、また、スピッティング発生速度自体も増加し、スピッティング付着速度指数が非常に高くなった。
これらの結果より次のことが導かれる。
フラックスの添加量は2〜12kg/tが必要である。
この範囲より少ないと、フラックスによるスラグの滓化促進効果が不十分なため、スラグのスピッティング捕捉能力を十分に向上できず、スピッティング粒鉄の炉壁・炉口への付着を抑制できない。
また、この範囲より多いと、スラグの滓化促進、および、脱燐促進の効果向上が殆ど限界になり、フラックス原単位、および、コストの増大に繋がる。
プリメルトフラックスの添加時期は、吹錬期間の40%〜70%である必要がある。
この範囲より早い時期にプリメルトフラックスを添加すると、プリメルトフラックスによるカバースラグの流動性向上効果が、塩基度が高くなる吹錬後半まで保持できず、その添加効果を享受できない。
また、この範囲より遅い時期にプリメルトフラックスを添加すると、プリメルトフラックスがカバースラグに対して流動性を付与しその効果を発揮する時間が不足するため、その添加効果を享受できない。
CaOを80質量%以上含有する副原料のうち、ランスから酸素含有ガスとともに溶銑浴面へ吹き付けて添加するCaO含有粉体の割合をCaOの質量比率で60質量%以上とすることが望ましい。
CaO含有粉体の使用割合を60質量%未満とした場合、CaO含有粉体による火点での脱燐反応が不足し、脱燐能が低下する恐れがある。
以上の調査により、CaOを30〜50%、FeOを40〜65質量%、SiOを1.0〜10質量%、Alを1.0〜20質量%含有し、かつ、それらの4成分の合計が90質量%以上となるプリメルトフラックスが最適であると判明した。
このプリメルトフラックスは、組成が非常に滓化しやすい範囲にあるため、添加後、直ちに滓化し、元々浴面に存在していたカバースラグの流動性を飛躍的に高めることができる。
したがって、このプリメルトフラックスを、塩基度が上昇してカバースラグの流動性が低下する段階において添加することにより、カバースラグによるスピッティング粒鉄の炉壁・炉口への付着抑制効果を高める上に、カバースラグの脱燐能も向上できることが判明した。
成分組成が、[C]濃度が約4.5質量%、[Si]濃度が約0.2〜0.6質量%、[P]濃度が約0.10質量%であり、温度が約1320℃である溶銑2トンを上底吹き転炉に装入し、副原料を添加後、上吹きランスから酸素含有ガスを溶銑に吹き付けた。
酸素含有ガスには純酸素ガスを使用した。
酸素含有ガス流量は処理中一定とし、溶銑1トン当たり1.7Nm/min/tとした。
吹錬開始前に添加した副原料には、溶銑1トン当たり鉄鉱石10kg/t、および、塊生石灰2kg/tを使用した。
塊生石灰、および、CaO含有粉体にはCaO含有濃度が約97質量%のものを使用した。
CaO含有粉体については、吹錬初期においてカバースラグを生成させた後に、ランスから酸素含有ガスとともに溶銑への吹き付けを開始し、吹き付け速度は吹き付け開始から終了まで一定とした。
CaO含有粉体吹き付け量は、粉体上吹き脱燐の効果が十分に得られるよう、塊生石灰添加量と足し合わせた合計生石灰添加量に対し、80質量%以上の条件にて行った。
プリメルトフラックスには、CaOを33質量%、FeOを45質量%、SiOを8質量%、Alを11質量%含有するプリメルトフラックスを使用した。
また、処理中、炉底羽口からArガスを溶銑1トン当たり0.50Nm/min/t吹き込んで、溶銑およびスラグを攪拌した。
吹錬後の塩基度は、適正塩基度の範囲を確認する意味も込めて1.8〜3.5の範囲となるよう、CaO含有粉体、および、その他の副原料添加量を調整し、溶銑温度が約1380℃となるまで吹錬を行った。
なお、本実験でも、カバースラグのスピッティング捕捉効果について定量的に調査するために、炉口付近に分厚い鉄板を取り付け、その鉄板に吹錬中単位時間あたりに付着するスピッティングの質量を測定した。
プリメルトフラックス添加の効果を検証するために、プリメルトフラックス5kg/tを吹錬時間の55%にて添加した場合と、プリメルトフラックス無添加の場合について、処理後溶銑中の[P]濃度、および、スピッティング付着速度指数を測定し、比較した。
図1に処理後のスラグ塩基度と処理後溶銑中[P]濃度の関係、および、図2に処理後のスラグ塩基度とスピッティング付着速度指数の関係を示す。
図1に示すように、粉体吹き付け量を増加させて、その結果スラグの塩基度が高まるようにした方が、プリメルトフラックス添加有無にかかわらず、処理後溶銑中の[P]濃度を低減できることがわかる。
また、本発明で開発したプリメルトフラックスを5kg/t添加した場合には、処理後[P]濃度がすべての塩基度範囲にて低減できており、プリメルトフラックス添加によりカバースラグの流動性が高まり、カバースラグの脱燐能が向上していることがわかる。
特に、塩基度2.2以上では、処理後溶銑中の[P]濃度が0.007質量%以下の極低燐溶銑が溶製できていることがわかり、CaO含有粉体吹き付けによる脱燐効果と本プリメルトフラックス添加によるカバースラグによる脱燐促進効果によって、極低燐溶銑が安定的に製造できることが見出された。
また、図2に示すように、プリメルトフラックス添加有無にかかわらず、粉体吹き付け量を増加させて、その結果スラグの塩基度が高まるようにした方が、スピッティング付着速度指数が高くなっている。
これは、先述したように、粉体吹き付け量が増加することによって、吹錬中のカバースラグの塩基度が高めに推移することにより、カバースラグの流動性が低下しやすくなることと、粉体吹き付け速度が増加することによるスピッティング発生速度の増加も影響しているためであると考えられる。
但し、プリメルトフラックスを添加した場合には、添加しない場合と比較して大幅にスピッティング付着速度指数が低下している。
プリメルトフラックスが添加されたことによって、流動性が低下していたカバースラグの流動性が高まり、溶銑浴面を覆いやすくなったことで火点にて発生するスピッティングがカバースラグに捕捉されやすくなったためであると考えられる。
但し、処理後スラグの塩基度が3.2を越える程度まで、CaO粉体吹き付け量を増加させると、火点でのスピッティング発生速度は急激に増加することで、カバースラグで捕捉しきれないスピッティング粒鉄も増加し、炉壁および炉口へのスピッティング粒鉄付着が顕著に増加する。
以上の結果より、CaO含有粉体吹き付けとプリメルトフラックス添加をし、かつ、処理後スラグの塩基度を2.2〜3.1の範囲にして脱燐処理することにより、吹錬中のカバースラグの流動性を高く維持できることで、スピッティングの炉壁・炉口への付着を抑制しつつ極低燐溶銑を製造できることがわかった。

Claims (2)

  1. 上底吹き転炉型精練容器内への溶銑装入と前後して塊状のCaO含有物質を添加し、
    上吹きランスから粉状のCaO含有物質を伴わずに酸素含有ガスを該溶銑へ吹き付けて該溶銑上にカバースラグを生成した後に該上吹きランスから粉状のCaO含有物質を伴って酸素含有ガスを該溶銑へ吹き付けて該溶銑の脱燐処理を行う方法であって、
    前記上吹きランスからの酸素含有ガスの供給開始時点から全酸素供給時間の40%以上が経過した後、該全酸素供給時間の70%が経過するまでの期間中に、CaOを30質量%以上50質量%以下、FeO、FeおよびFeの総和であるFeOを40質量%以上65質量%以下、SiOを1.0質量%以上10質量%以下ならびにAlを1.0質量%以上20質量%以下含有し、かつ、それらの4成分の合計が90質量%以上であるプリメルトフラックス2kg/t以上12kg/t以下を添加し、かつ、処理後のスラグ塩基度を2.2以上3.1以下とすること
    を特徴とする、溶銑の脱燐方法。
  2. CaOを80質量%以上含有するCaO含有物質のうち、ランスから酸素含有ガスとともに溶銑浴面へ吹き付けて添加する粉状のCaO含有物質の割合をCaOの質量比率で60%以上とすること
    を特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐方法。
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