以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る料金収受システム1の構成を概略的に示す機能ブロック図であり、図2は、この料金収受システム1において、有料道路の各料金所3a、3b…3nのETC車線ごとに設置される機器の構成を示す機能ブロック図である。
本実施形態の料金収受システム1は、図1、図2に示すように、有料道路に複数設置された料金所3a、3b…3nにおいて、車両15の搭載する車載器18との間での無線通信により、通行料金を収受することの可能なETC(Electronic Toll Collection)システムである。また、本実施形態の料金収受システム1は、主に、車両15の走行距離に応じた通行料金を収受する対距離制のクローズシステムとして構成されている。
この料金収受システム1は、図1に示すように、システム全体を管理するホストコンピュータで構成された上位装置(ホスト装置)2と、料金所3a、3b…3nごとに設けられた伝送処理装置9と、各料金所3a、3b…3nの入口、出口のETC車線(ETCレーン)ごとに設けられた車線制御装置8と、を備えている。
図1に示すように、個々の車線制御装置8と上位装置2とは、伝送処理装置9及び通信回線を介して互いに接続されている。上位装置2は、料金所ごとの伝送処理装置9との間での情報の送受信の際の通信制御を行う送受信部6と、各種情報を記憶する記憶部7と、各部を統括的に制御する主制御部5と、から構成される。
また、図2に示すように、車両15が搭載する無線通信機能を備えた車載器(ETC車載器)18は、メモリ17を内蔵すると共に情報を可視表示する表示部や音声案内などを行う音声出力部を備える。車載器18のメモリ17には、車両15の識別情報となる車両登録番号(ナンバープレートの番号)や、車両15の車種情報が記憶されている。この車種情報は、軽自動車、普通車、中型車、大型車、特大車などの一般の車両種別に加え、車両15が例えば大型車でかつ路線バスなどであるといった詳細な種別情報を含んでいる。
また、車載器18には、ICカード(ETCカードとも称する)16が、インタフェースを介して着脱自在に装着されている。ICカード16もメモリを搭載しており、このメモリには、カード固有のID番号や、例えばこのID番号に関連付けられたユーザの預託金の口座情報などが予め記憶されている。また、車載器18とICカード16とは、上記インタフェースを介して互いの情報をやり取りすることが可能となっている。
また、図2に示すように、料金収受システム1には、車線制御装置8の制御下で各々動作する、路側無線装置14、撮像装置21、発進制御装置22、路側表示器23、ICカードリーダ24、ブース内表示器25、車線監視制御盤27、車両検知器28a、28b、28c、及び料金収受機29が、各料金所3a、3b…3nの入口、出口のETC車線ごとにそれぞれ設けられている。さらに、上記の車線監視制御盤27には、案内表示板30が接続されている。前述したように、ETC車線では、無線通信により料金収受が行なわれるため、通常、車両15は停止することなくゲートを通過する。
案内表示板30は、車線の上部に設置されており、料金所内のレーンごとの運用状況(ETC専用/一般/ETCと一般との混在、など)を可視表示する。つまり、料金所に進入してきた車両15の搭乗者は、この案内表示板30の表示内容を確認することで、どの車線を通過すべきかを判断する。
路側無線装置14は、車両15が搭載する車載器18との間で無線通信を行い、料金収受に関する情報(課金に関する情報)をやり取りする。この無線通信の結果は、車載器18の音声出力部や表示部に出力される。また、路側無線装置14は、車載器18との間での無線通信により、車載器18のメモリ17に予め登録された車両15の車両登録番号及び車種の情報を取得する。また、路側表示器23は、車両15が搭載する車載器18と路側無線装置14との間での無線通信の結果により、この車両15の通行可否を知らせるための表示を行う。
ブース内表示器25は、料金所3a、3b…3nに設置されたブース内に駐在する収受員(係員)に対し、各種の情報を表示する。車線監視制御盤27は、情報の入力機能、情報の表示機能、及び音声の出力機能を有する報知・操作部26を備えており、上記収受員が料金所内の機器を監視制御するための制御盤である。また、この車線監視制御盤27は、同一料金所内の他の車線の車線監視制御盤や車線制御装置と所定の通信回線を通じて接続されている。
さらに、料金所3a、3b…3n内のETC車線には、車両15の直進方向を基準として手前側から順に、車両検知器28a、車両検知器28b及び車両検知器28cがそれぞれ設置されている。車両検知器28aは、料金所3a、3b…3n(の入口、出口の車線)に進入する車両(進入車両)15を検知する車両検知部として機能する。車両検知器28bは、車両検知器28aに検知された車両15を、その直進方向に所定距離進んだ位置で検知するために設けられている。
後に詳述する車線制御装置8は、料金所内のETC車線を直進する車両15が、車両検知器28aに検知されてから車両検知器28bに検知されるまでの間に、路側無線装置14と車載器18との間で無線通信を行わせ、車両15が、ETC車として取扱いできるか若しくは非ETC車として取扱うべきかを判定する。ここで、ETC車とは、車載器と路側無線装置14との間での無線通信が正常に完了した車両であり、非ETC車とは、車載器搭載の有無にかかわらず、路側無線装置14との間での無線通信が正常に完了しなかった車両である。上記の無線通信の結果は、ブース内表示器25、車線監視制御盤27、案内表示板30などに通知され、適宜、表示案内や音声案内として報知される。
また、車両検知器28cは、料金所3a、3b…3nの車線内(入口、出口のレーン内)から退出する車両15を検知する。発進制御装置22は、料金収受(課金)に関する処理が完了していない車両に対し、阻止棒を通じてその通行を物理的に阻止する。
ICカードリーダ24は、車載器18に装着されたICカード16の情報を読み出し可能に構成されている。料金収受機29は、車両の車載器搭載の有無にかかわらず、ETC車として認識されなかった非ETC車両を対象として、現金による料金収受や、また、ICカードリーダ24を通じてICカード16内の情報を読み込むことによる料金収受を行うための装置である。
撮像装置21は、カメラ、VTR装置、画像処理装置などを備えて構成され、料金所内の車線に対しての車両の進入時及び退出時に、この車両のナンバープレートを含む映像を撮像する。また、撮像装置21は、捕捉した車両のナンバープレートの映像を画像処理して車両固有の識別情報である車両登録番号を取得する。なお、撮像装置21は、この車両登録番号に含まれる数字などから車両の車種も取得する。さらに、撮像装置21は、撮像した車両の映像、車両を撮像した日時(又は料金所に進入した車両が車両検知器28aに検知された瞬間の進入日時)、車両登録番号及び車種を互いに関連付けて記憶する。つまり、撮像装置21は、このような車両進入情報を記録するデータ記録部として機能する。また、このような撮像装置21、及び/又は上述した路側無線装置14は、料金所に進入する進入車両の識別情報を取得する識別情報取得部として機能する。
また、料金所3a、3b…3n内の入口、出口の車線ごとに設けられた車線制御装置8は、記憶部12、タイマ19、データ入出力部11、及び各部を制御する主制御部10を備える。データ入出力部11は、路側無線装置14、車線監視制御盤27、撮像装置21、車両検知器28a、28b、28cなどを含む複数の機器及び伝送処理装置9と、車線制御装置8本体と、を通信回線を介して接続するインタフェースである。また、料金所内の個々の車線制御装置8は、このデータ入出力部11及び伝送処理装置9を介して上位装置2と接続されている。
記憶部12には、上位装置2、路側無線装置14、撮像装置21などから車線制御装置8本体側へと通知されてくる情報が記憶される。また、タイマ19は、料金所3a、3b…3n(の入口、出口の車線)に進入してきた車両(進入車両)15が、車両検知器28aにより検知されてからの時間経過を計測する時間計測部である。
ここで、料金所において、入口及び出口の車線に進入してきた車両を対象とする料金収受に関する処理(通行料金の課金に関する入口処理及び出口処理)の概略的な流れについて説明する。
まず、料金所の入口の車線で行われる入口処理では、路側無線装置14は、車両15が搭載する車載器18との間での無線通信により、車載器18のメモリ17に予め登録された車両15の車両登録番号及び車種の情報(車種番号)を取得する。また、この場合に取得する車両登録番号及び車種の情報は、上述した撮像装置21により得られるものあってもよい。
次に、路側無線装置14は、上記のように取得した車種を示す車種番号とこの料金所固有の料金所番号とを対応付けた入口処理情報を、ICカード16に記憶させるための制御情報を車載器18へ返信する。この入口処理情報は、通行料金の決済に必要な課金情報の一部を構成する。さらに、路側無線装置14は、取得した車両登録番号及び車種の情報を車線制御装置8に通知する。この通知を受けた車線制御装置8は、車両登録番号及び車種並びに料金所番号を互いに関連付けて記憶部12に記憶すると共に、この情報を上位装置2に通知する。さらに、この通知を受けた上位装置2は、受信した情報を自身の記憶部7に記憶させる。
一方、料金所の出口で行われる出口処理では、路側無線装置14は、車両15の車載器18との間での無線通信により、車載器18のメモリ17に予め登録された車両15の車両登録番号を取得すると共に、ICカード16に記憶されている入口処理情報(入口の料金所番号及び車種番号)と例えばICカード16のID番号とを取得する。また、この場合に取得する車両登録番号及び車種の情報は、撮像装置21により得られるものあってもよい。
次に、出口の料金所内に設置されている車線制御装置8は、路側無線装置14(又は撮像装置21)から通知された車種番号、入口の料金所番号、及び当該出口の料金所番号を基に(車両15の走行距離及び車種を基に)、車両15側の通行料金の支払い義務者に対して課金する課金額を算出する。また、車線制御装置8は、路側無線装置14を制御し、さらに、この車線制御装置8にて制御される路側無線装置14は、上記の算出された課金額(通行料金)を示す情報や出口の料金所番号などを含む出口処理情報を、ICカード16に記憶させるための制御情報を車載器18へ返信する。
また、車線制御装置8は、上記算出した課金額、車両15の車種及び車両登録番号、並並びにICカード16のID番号を互いに関連付けた決済情報(課金情報)を記憶部12に記憶すると共に、この決済情報を上位装置2に通知する。さらに、この通知を受けた上位装置2は、受信した決済情報を自身の記憶部7に記憶させる。さらに、上位装置2は、記憶部7に記憶された上記決済情報(課金情報)に基づいて、例えばICカード16のID番号に関連付けられたユーザ(通行料金の支払い義務者)の預託金の口座などから、課金額(通行料金)を引き落とすための処理を行う。
ここで、本実施形態及び後述する第2の実施形態において、料金所の入口及び出口の車線で車両に対して行われる通行料金収受のための入口処理及び出口処理は、各々、通行料金の決済に必要な課金情報を車両側に課する処理であることから、いずれもの処理も広義には課金処理を意味する。また、上述した車線制御装置8及び上位装置2は、互いに協働しつつ、料金所に進入する車両(進入車両)に対して課金処理を行う課金処理部として機能する。
次に、有料道路を通行(利用)する車両15の実態(実際の通行形態)と整合させた適切な通行料金を収受するために、本実施形態の料金収受システム1が備える構成について説明する。
ここで、本実施形態の料金収受システム1では、有料道路を例えば常用することを運行条件として、当該有料道路の運営元と割引契約を取り交わした事業者の路線バスは、通行料金の割引きの対象となる路線バス割引対象車(料金調整対象車)として取り扱われる。また、この路線バス割引対象車を判別するために、割引対象の全ての路線バスの車両登録番号(ナンバープレートの番号)が、路線バス割引登録データとして、上位装置2の記憶部7内に予め記憶(登録)されている。また、この路線バス割引登録データは、上位装置2からの通知により、各料金所3a、3b…3nの車線ごとに設置された車線制御装置8の記憶部12内にも記憶される。
また、上位装置2の記憶部7内の路線バス割引登録データは、割引契約をした路線バスの車両入れ替えや車両の新規導入などに極力対応できるように、例えば1日に1回又は2回の周期で更新される。また、この周期で上位装置2から各車線制御装置8に通知が行われ、車線制御装置8の記憶部12内の路線バス割引登録データも更新される。
しかしながら、このような路線バス割引登録データが予め登録されている場合でも、事業者間の契約で路線バスの例えば回送中などには割引サービスを適用しないとの取り決めがなされており、上記路線バス割引登録データが逆に阻害要因となって、割引料金を適用せずに課金処理を行うことが難しくなる。また一方で、割引契約をした事業者の路線バスの車両入れ替えなどが例えば緊急に生じて、上記の路線バス割引登録データの更新が間に合っていない場合、料金所に進入してきた路線バスが割引対象車に該当するか否かをシステム側で機械的に判別することが難しく、課金処理を迅速かつ的確に行うことが困難となる。
そこで、本実施形態の料金収受システム1では、上述した前者の課題に対応するために、「路線バス割引非該当処理機能」が用意され、さらに、後者の課題に対応するために、「路線バス割引登録タイムリー処理機能」及び「路線バス割引登録非タイムリー処理機能」が用意されている。さらに、料金収受システム1は、これらの機能の実行時に用いられる「車両選択処理機能」を備えている。以降、これらの機能を実現するために料金収受システム1が備える構成を図3〜図7に基づき説明する。ここで、図3は、車線監視制御盤27の報知・操作部26に表示される走行履歴データ閲覧画面26aを示す図であり、図4は、図3の報知・操作部26に表示される監視操作メイン画面26bを示す図である。また、図5は、路線バス割引非該当処理時又は路線バス割引登録処理時の緊急データの作成手順を概念的に示す図である。さらに、図6は、路線バス割引非該当処理時の登録データの作成手順を概念的に示す図であり、図7は、路線バス割引登録処理時の登録データの作成手順を概念的に示す図である。
まず、車両選択処理機能について説明する。図2、図3に示すように、車線監視制御盤27の報知・操作部26は、情報を可視的に表示させる表示部としての機能と情報の入力操作を行える入力操作部としての機能とを併せ持つ例えば液晶タッチパネルなどを備えると共に、音声案内を行うための音声出力部を有する。報知・操作部26は、図3に示すように、走行履歴データ閲覧画面26aを可視的に表示することが可能である。走行履歴データ閲覧画面26aは、表示レーン選択部31、走行履歴データ表示部45、データ指定枠41、データ出力範囲表示部42、表示データ切替部43、現在時刻表示部48、車両決定釦46、車両決定取消釦47などから主に構成される。
走行履歴データ表示部45には、車両が車両検知器28aに検知された進入日時と車両登録番号とを関連付けた走行履歴データが表示される。この走行履歴データは、車線制御装置8の制御下において、撮像装置21がデータ記録した上記車両進入情報に基づいて作成される。データ指定枠41は、所定の釦操作で枠本体を移動させることにより、走行履歴データの一覧の中から所望の車両登録番号を持つ単一のデータを枠本体で囲んで指定するためのものである。なお、所望の車両登録番号を持つ単一のデータを直接指でタッチして指定することも可能である。
車両決定釦46は、走行履歴データの一覧の中から、データ指定枠41で指定された(又は直接指でタッチして指定された)単一のデータを選択して確定させるためのボタンである。車両決定取消釦47は、車両決定釦46が押下された後、有効時間内に押下することで、上記の単一データの選択(確定)を解除することを可能とする。車両決定取消釦47が押下された後は、データ指定枠41などによる単一データの指定、及び車両決定釦46による再度の単一データの選択(確定)が可能となる。
このようにして選択された車両登録番号のデータは車線制御装置8に通知される。つまり、データ指定枠41、車両決定釦46及び車両決定取消釦47は、料金所に進入した複数の車両の中から課金対象の進入車両を、報知・操作部26に可視表示された走行履歴データ(車両進入情報)に基づき選択するための情報を入力する車両選択部として機能する。さらに、車両決定釦46は、選択されたこの車両登録番号(車両の識別情報)のデータを車線制御装置8に通知する選択車情報通知部として機能する。
また、車線制御装置8の制御下において、例えば走行履歴データ表示部45には、撮像装置21により撮像された車両の映像と、この車両を撮像した日時(車両検知器28aに検知された進入日時)と、を関連付けた表示データを車両進入情報として表示させることも可能である。この表示された車両の映像を直接指でタッチして(又は複数の車両の映像が表示されている場合、所定の指定枠を表示させて単一の車両の映像を枠本体で囲んで)車両の映像(車両登録番号)を指定することが可能である。車両を指定後、車両決定釦46を押下することで、車両の映像が選択(確定)される。なお、車両決定釦46が押下された後、有効時間内に車両決定取消釦47を押下することで、車両の映像の選択を解除することが可能となる。このようにして車両の映像が選択された場合、この車両の映像に対応する車両登録番号のデータが車線制御装置8に通知される。
次に、路線バス割引非該当処理機能について説明する。車線監視制御盤27の報知・操作部26は、上記の走行履歴データ閲覧画面26aの表示を切り替えて、図4に示すように、監視操作メイン画面26bを可視表示することが可能である。この監視操作メイン画面26bは、主に、表示レーン選択部31、選択レーン情報表示部32、項目表示部33、レーン状態表示部34、処理内容選択部35、報知情報表示部36から構成される。処理内容選択部35には、故障画面釦、操作画面表示釦、車両管理リセット釦、警報停止釦に加え、路線バス非該当釦38、後述する路線バス登録釦37が設けられている。さらに、報知情報表示部36には、路線バス割引扱い表示部39が設けられている。
ここで、車線制御装置8は、撮像装置21(又は路側無線装置14)により取得された車両登録番号と、記憶部12内に路線バス割引登録データとして記憶されている車両登録番号と、を照合して、料金所に進入してきた進入車両が割引対象車に該当するか否かを判定する判定部としての機能を有している。これに対して、上述した路線バス非該当釦38(及び後述する路線バス登録釦37)を備える車線監視制御盤27は、車線制御装置8による判定結果を無効にするための通行料金の割引きの適用の有無についての指示を受け付ける受付部としての機能を持つ。つまり、路線バス非該当釦38が有効時間内に押下された場合、強制的に通行料金の割引きが不適用となる。
さらに、上記の車線制御装置8は、進入車両が割引対象車に該当するか否かの判定結果と路線バス非該当釦38からの指示の受付結果(路線バス非該当釦38が有効時間内に押下されたか否かの結果)とに基づいて、進入車両に対して課金処理を行う課金処理部として機能する。詳述すると、路線バス非該当釦38(及び路線バス登録釦37)が押下されない場合には、割引対象車に該当するか否かの判定結果が、そのまま適用される。しかしながら、割引対象車に該当するとの判定結果が得られた場合でも、路線バス非該当釦38が有効時間内に押下された場合、判定結果が無効になり、通行料金の割引きが適用されないことになる。
ここで、路線バス割引非該当処理を実行させる条件として、車両15が車両検知器28aにより検知されてから一定時間が経過する前に(タイマ19により計測される有効時間内に)、路線バス非該当釦38を押下する必要がある。また、路線バス非該当釦38を押下する前に、上記の車両決定釦46を押下することによる車両(車両登録番号)の選択(確定)処理を終えておく必要がある。この条件を満たした上で、路線バス非該当釦38が押下された場合、路線バス割引非該当処理が実行される。
すなわち、データ通知部としての機能をも有する車線監視制御盤27は、車両決定釦46を押下された後、路線バス非該当釦38が有効時間内に押下されて、通行料金の割引きを適用無しとする指示を受け付けた場合、割引対象車として非該当であることを示す属性情報に車両決定釦46により選択された進入車両の車両登録番号を付与した非該当車情報を、車線制御装置8(及び上位装置2)に通知する。この場合、車線監視制御盤27は、路線バス割引扱い表示部39の光源を非点灯に制御すると共に、報知・操作部26を通じて路線バスを割引扱いしない旨を音声案内により報知する。さらに、車線制御装置8(及び上位装置2)は、通知された非該当車情報に基づいて、上記進入車両(路線バス)に対し通行料金の割引きを適用せずに課金処理を行う。
ここで、車線制御装置8は、上記した非該当車情報として、図5、図6に示すように、緊急データと登録データ(路線バス割引登録データ)とを生成する。詳細には、車線制御装置8は、例えば撮像装置21により撮像されかつ車両決定釦46により選択された車両登録番号データ51aから、割引対象車として非該当であることを示す属性情報(図示せず)を付与した緊急データ51bを生成する。この緊急データ51bは、緊急用データベースとなる緊急データ一覧51cに追記され、この緊急データ一覧51cは、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、登録データ(52b)が作成されて配信された後、緊急データ一覧51cから緊急データ51bが削除されて緊急データ一覧51dとして更新される。このような緊急データ51bを配信することで、割引対象の路線バスが例えば回送中などである場合に、割引料金を適用しない課金処理を直ちに実行することができる。
また、車線制御装置8は、恒久的に用いる登録データ(路線バス割引登録データ)を次のように生成する。つまり、上記車両登録番号データ51aと同様の車両登録番号データ52aに対し、割引対象車として非該当であることを示す属性情報を付与するために、今回限り非該当フラグをONにした(ビットを立てた)登録データ52bを生成する。この登録データ52bは、登録データ一覧52cに追記され、この登録データ一覧52cは、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、割引対象車である進入車両が有料道路から退出する際に、今回限り非該当フラグがOFFにされ、このときの登録データ一覧52dが上位装置2の記憶部7内に記憶保持される。
次に、路線バス割引登録タイムリー処理機能について説明する。上述した路線バス登録釦37を備える車線監視制御盤27は、路線バス登録釦37に押下された場合、強制的に通行料金の割引きが適用される。詳述すると、路線バス登録釦37(及び前述した路線バス非該当釦38)が押下されない場合には、割引対象車に該当するか否かの判定結果が、そのまま適用される。しかしながら、割引対象車に該当しないとの判定結果が得られた場合でも、路線バス登録釦37が有効時間内に押下された場合、判定結果が無効になり、通行料金の割引きが適用される。
ここで、路線バス割引登録タイムリー処理を確定させる条件(路線バス割引登録非タイムリー処理と差別化する条件)として、車両15が車両検知器28aにより検知されてから一定時間が経過する前に、路線バス登録釦37を押下する必要がある。また、路線バス登録釦37を押下する前に、上記の車両決定釦46を押下することによる車両(車両登録番号)の選択(確定)処理を終えておく必要がある。この条件を満たした上で、路線バス登録釦37が押下された場合、路線バス割引登録タイムリー処理が実行される。
すなわち、データ更新部としての機能をも有する車線監視制御盤27は、車両決定釦46を押下された後、路線バス登録釦37が有効時間内に押下されて、通行料金の割引きを適用有りとする指示を受け付けた場合、割引対象車に該当することを示す属性情報に車両決定釦46により選択された進入車両の車両登録番号を付与した該当車情報を、車線制御装置8(及び上位装置2)に通知し、かつ前記進入車両の車両登録番号を、記憶部12(記憶部7)内の路線バス割引登録データに追加登録する。この場合、車線監視制御盤27は、路線バス割引扱い表示部39の光源を点灯制御すると共に、報知・操作部26を通じて路線バスを割引扱いする旨を音声案内により報知する。さらに、車線制御装置8(及び上位装置2)は、通知された該当車情報に基づいて、上記進入車両に対し通行料金の割引きを適用した課金処理を行う。
ここで、車線制御装置8は、上記した該当車情報として、図5、図7に示すように、緊急データと登録データ(路線バス割引登録データ)とを生成する。詳細には、車線制御装置8は、上記車両登録番号データ51aから、割引対象車に該当することを示す属性情報を付与した緊急データを生成する。この緊急データは、緊急用データベースとなる緊急データ一覧に追記され、この緊急データ一覧は、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、登録データ(53b)が作成されて配信された後、緊急データ一覧から緊急データが削除される。このような緊急データを配信することで、割引対象の路線バスが路線バス割引登録データに未登録の状態であっても、割引料金を適用した課金処理を直ちに実行することができる。
また、車線制御装置8は、恒久的に用いる登録データ(路線バス割引登録データ)を次のように生成する。つまり、上記車両登録番号データ51a、52aと同様の図7に示す車両登録番号データ53aに対し、割引対象車に該当することを示す属性情報を付与するために、今回限り非該当フラグ(ビット)をOFFにした登録データ53bを生成する。図7に示すように、この登録データ53bは、登録データ一覧53cに追記され、この登録データ一覧53cは、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、データ配信後、恒久用のデータベースとなる登録データ一覧53dとして上位装置2の記憶部7内に記憶保持される。
次に、路線バス割引登録非タイムリー処理機能について説明する。上述した路線バス登録釦37を備える車線監視制御盤27は、路線バス登録釦37が有効時間を超えて押下された場合でも、強制的に通行料金の割引きが適用される。詳述すると、第1及び第2の決済部として機能する車線制御装置8及び上位装置2は、進入車両が割引対象車として非該当であると判定され、かつ路線バス登録釦37(及び路線バス非該当釦38)が押下さることなく一定時間の経過をタイマ19が計測した場合に、進入車両に対して通行料金の割引きを適用せずに課金処理を行う。さらに、タイマ19が一定時間の経過を計測してから車両決定釦46及び路線バス登録釦37が押下された場合、車線制御装置8(及び上位装置2)は、路線バス割引登録非タイムリー処理を実行する。
この際、車線監視制御盤27は、通行料金の割引きを適用有りとする指示を受け付けたこととなり、車線制御装置8(及び上位装置2)は、割引きせずに課金処理の一旦行われた前記進入車両に対して、割引き額の返金処理(差額分の返金)を行う。なお、路線バス割引登録非タイムリー処理では、緊急データ及び登録データの作成及び配信は、路線バス割引登録タイムリー処理と同様に行われる。このような路線バス割引登録非タイムリー処理では、料金所に進入してきた割引対象の路線バスが路線バス割引登録データに未登録の状態であっても、後日、割引料金を適用した課金処理を完了させることができる。
次に、このように構成された料金収受システム1の動作を図1〜図7に加え、図8〜図13に示すフローチャートに基づき説明する。ここで、図8は、路線バスに対する課金方法の選択処理を示すフローチャートであり、図9は、車両選択処理を示すフローチャートである。また、図10は、運行確認処理を示すフローチャートであり、図11は、路線バス割引非該当処理を示すフローチャートである。さらに、図12は、路線バス割引登録タイムリー処理を示すフローチャートであり、図13は、路線バス割引登録非タイムリー処理を示すフローチャートである。
まず、路線バスに対する課金方法の選択処理について説明する。すなわち、図8に示すように、車線制御装置8は、料金所に車両15が進入してきたことを検出すると、車載器18に記憶された車種の情報や車両15のナンバープレートから得た情報などを基に、この車両15が、路線バスか否かを判定する(S1)。この車両15が路線バスでないと判定された場合(S1のNO)、路線バス以外の車両に対する通常の課金処理が行われる(S2)。
一方、車線制御装置8は、車両15を路線バスであると判定した場合(S1のYES)、記憶部12内に予め記憶された路線バス割引登録データ中の車両登録番号と車両15側から取得された車両登録番号とを比較照合して、この車両15が当該有料道路で有効な路線バス割引対象車に該当するか否かを判定する(S3)。車線制御装置8により車両15が路線バス割引対象車に該当していると判定された場合(S3のYES)、後述する運行確認処理が行われる(S4)。さらに、車線制御装置8は、車両15が車両検知器28aにより検知されてから一定時間が経過する前(有効時間内)に(S5のNO)、車両決定釦46及び路線バス非該当釦38の押下を検出した場合には(S6のYES)、図11に示す路線バス割引非該当処理を実行する。
また、車両決定釦46及び路線バス非該当釦38が押下されることなく一定時間が経過し(S5のYES)、さらに上記運行確認処理が完了していない場合などには、その処理が継続される(S7)。一方、車線制御装置8は、車両15を路線バス割引対象車に該当しないと判定し(S3のNO)、かつ一定時間内に(S8のNO)、車両決定釦46及び路線バス登録釦37の押下を検出した場合には(S9のYES)、図12に示す路線バス割引登録タイムリー処理を実行する。さらに、車線制御装置8は、車両決定釦46及び路線バス登録釦37が押下されることなく一定時間が経過した場合には(S8のYES)、進入車両に対して通行料金の割引きを適用せずに課金処理を行う(S10)。この後、車両決定釦46及び路線バス登録釦37の押下を検出した場合には(S11のYES)、図13に示す路線バス割引登録非タイムリー処理を実行する。
また、図3、図9に示すように、車両選択処理において、車線制御装置8は、まず、車線監視制御盤27の報知・操作部26を通じての入力操作により、走行履歴データによる車両選択が、指定されているか否かを検出する(S21)。走行履歴データによる車両選択が指定されている場合(S21のYES)、走行履歴データ閲覧画面26aに走行履歴データを表示する(S22)。この後、車線制御装置8は、車線監視制御盤27からの通知により、所望の車両登録番号のデータが指定されたこと及び車両決定釦46が押下されたことを検出する(S23)。
一方、走行履歴データによる車両選択が指定されていない場合(S21のNO)、車線制御装置8は、走行履歴データ閲覧画面26aに、例えば指定された時刻(指定された車両通過時刻)の車両のVTR映像を表示する(S24)。この後、車線制御装置8は、車線監視制御盤27からの通知により、車両登録番号の関連付けられた所望の車両の映像が指定されたこと及び車両決定釦46が押下されたことを検出する(S25)。
次に、図8に示した課金方法の選択処理のS4(ステップ4)で説明した運行確認処理について詳述する。すなわち、図10に示すように、料金所に進入してきた割引対象の路線バスが、運行中か(回送中でないか)否かが例えば収受員の目視(又は車両のVTR映像の視認)により判断される(S31)。運行中である場合には(S31のYES)、車線制御装置8及び上位装置2により、料金所に進入してきた路線バスに対し、割引料金(路線バス割引)を適用した課金処理が行われる(S32)。一方、運行中でないと(S31のNO)、判断できた場合には(S33のNO)、車両決定釦46及び路線バス非該当釦38が例えば押下され路線バス割引非該当処理が行われる。
運行中でないことが(S31のNO)、判断不能であった場合には(S33のYES)、車線制御装置8及び上位装置2は、料金所に進入してきた路線バスに対し、割引料金(路線バス割引)を適用した課金処理を行う(S34)。さらに、後日、撮像装置21により撮像されたVTR映像を通じて、路線バスの通行形態(走行形態)が収受員により確認される(S35)。確認の結果、路線バスが運行中でなかった場合(S36のNO)、確認を行った路線バスの車両登録番号に基づいた報知・操作部26からの入力操作などにより、車線制御装置8及び上位装置2は、当該路線バスに対し、一旦割引いた金額分を徴収するための新たな課金処理(追加請求)を行う(S37)。このような運行確認処理では、料金所に進入してきた割引対象の路線バスが運行中でなかった場合、割引料金を適用しない適切な課金処理を後日完了させることができる。
次に、路線バス割引非該当処理について説明する。図11に示すように、車線制御装置8は、路線バス非該当釦38の押下の検出により、路線バス割引非該当処理の実行要求を認識すると(S41のYES)、同一料金所の他の車線制御装置へ路線バス割引非該当処理の実行を通知する(S42)。具体的には、図5、図6に示すように、車線制御装置8は、入口の料金所に進入してきた車両15の入口処理の際に、この車両15が、割引対象車として非該当であることを示す属性情報を付与した緊急データ51b(緊急データ一覧51c)を生成して同一料金所の他の車線制御装置へ配信した後、今回限り非該当フラグをONにした登録データ52b(登録データ一覧52c)を生成し、同一料金所の他の車線制御装置へ配信する。
さらに、車線制御装置8は、上位装置2経由で他の料金所の各車線制御装置8へ上記の路線バス割引非該当処理の実行を通知する(S43)。さらに、車線制御装置8は、他の料金所の車線制御装置による出口処理時に、路線バス割引非該当処理を解除したことを当該他の料金所内の各車線制御装置へ通知すると共に、この解除した旨を上位装置に通知する(S44)。具体的には、図5、図6に示すように、車線制御装置8は、上述した緊急データ一覧51cから処理対象の車両15(の車両登録番号)のデータを削除した緊急データ一覧51dを当該他の料金所内の各車線制御装置及び上位装置2に通知した後、今回限り非該当フラグをOFFにした登録データ一覧52dを当該他の料金所内の各車線制御装置及び上位装置2に通知する。また、同時に車線制御装置8は、出口処理の完了を上位装置2に通知する。
最後に、上位装置2は、出口処理を行った料金所以外の他の料金所の各車線制御装置へ路線バス割引非該当処理の解除を通知するために、上記緊急データ一覧51dを配信した後、登録データ一覧52dを配信する(S45)。したがって、このような路線バス割引非該当処理により、割引対象の路線バスが回送中などである場合に、割引料金を適用しない正しい通行料金を直ちに収受することができる。
次に、路線バス割引登録タイムリー処理について説明する。図12に示すように、車線制御装置8は、路線バス割引登録タイムリー処理の実行要求を認識すると(S51のYES)、入口の料金所に進入してきた車両15の入口処理の際に、この車両15が、割引対象車に該当することを示す属性情報を付与した緊急データを、同一料金所の他の車線制御装置、上位装置2及び(上位装置2経由で)他の料金所へタイムリーに通知する(S52)。この直後、処理対象の路線バスが同一料金所内の他のレーンなどに再進入しても割引の対象となる。
さらに、車線制御装置8は、図7に示すように、路線バス割引登録タイムリー処理の登録データを同一料金所内で作成する要求が生じているか否かを検出する(S53)。同一料金所内での登録データ(路線バス割引登録データ)の作成要求がある場合(S53のYES)、車線制御装置8は、今回限り非該当フラグをOFFにして作成した登録データ一覧53cを同一料金所内の他の車線制御装置、及び(上位装置2経由で)他の料金所の各車線制御装置へ配信すると共に、処理対象の路線バスの緊急データを削除する(S54)。
一方、同一料金所内での登録データの作成要求がない場合(S53のNO)、上位装置2にて登録データ53b(登録データ一覧53c)が作成される(S55)。さらに、作成された登録データ53b(登録データ一覧53c)は、上位装置2経由で他の料金所の各車線制御装置へ通知される(S56)。さらに、データ配信後、恒久用のデータベースとなる登録データ一覧53dは、上位装置2の記憶部7内及び各料金所の車線制御装置ごとの記憶部12内に記憶保持される。これにより、今後、他の料金所の各車線制御装置及び同一料金所内の各車線制御装置による入口、出口処理時に、路線バス割引を適用した課金処理が行われる(S57)。したがって、路線バス割引登録タイムリー処理では、割引対象の路線バスが路線バス割引登録データに未登録の状態であっても、割引きを適用した通行料金を徴収できると共に、路線バス割引登録データに対して直ちに登録を行うことができる。
次に、路線バス割引登録非タイムリー処理について説明する。図13に示すように、車線制御装置8は、路線バス割引登録非タイムリー処理の実行要求を認識すると(S61のYES)、料金所に進入してきた車両15が、割引対象車に該当することを示す属性情報を付与した緊急データを、同一料金所の他の車線制御装置、上位装置2及び(上位装置2経由で)他の料金所へ通知する。また、この際、車線制御装置8は、上位装置2と協働して、処理対象の車両15に対し割引き額の返金処理を行う(S62)。この直後、処理対象の路線バスが、他の料金所に進入しても割引の対象となる。以降、S63〜S67の処理では、図12に示した路線バス割引登録タイムリー処理のS53〜S57と同様の処理が行われる。したがって、路線バス割引登録非タイムリー処理では、割引対象の路線バスが路線バス割引登録データに未登録の状態であっても、後日、割引料金を適用した課金処理を完了させることができる。
既述したように、第1の実施形態に係る料金収受システム1では、予め記憶された路線バス割引対象車の車両登録番号(ナンバープレートの番号)と料金所に進入してきた車両(進入車両)15の車両登録番号との比較照合の結果に依存することなく、通行料金の割引きを適用するか否かを決定することができる。すなわち、この料金収受システム1によれば、通行料金の割引きの適用の有無についての指示を受け付けた場合に、この指示内容を実質的に優先させて(上記比較照合の結果を無効にして)、課金処理を行うことができる。これにより、料金所に進入してきた車両の実態、つまり、有料道路を通行する車両の実際の通行形態(走行形態)と整合させた適切な通行料金を徴収することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図14〜図23に基づき説明する。ここで、図14は、この実施形態に係る料金収受システム71の機能ブロック図であり、図15は、料金収受システム71が備える車線監視制御盤の報知・操作部86に表示される監視操作メイン画面86aを示す図である。なお、図14及び図15において、図1及び図4に示した第1の実施形態の料金収受システム1に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。
すなわち、本実施形態の料金収受システム71は、図14に示すように、第1の実施形態の料金収受システム1に設けられていた上位装置2及び車線制御装置8に代えて、上位装置72及び車線制御装置78を備えて構成される。言い換えれば、料金収受システム71は、上位装置72及び車線制御装置78(並びに後述する報知・操作部86を有する車線監視制御盤)を除き、料金収受システム1と同様の構成を備える。
また、図15に示すように、報知・操作部86に表示される監視操作メイン画面86aには、第1の実施形態の処理内容選択部35及び報知情報表示部36に代えて、処理内容選択部95及び報知情報表示部96が設けられている。つまり、処理内容選択部95には、第1の実施形態の路線バス非該当釦38及び路線バス登録釦37に代えて、牽引車非該当釦88及び牽引不正車両登録釦87が用意されている。一方、報知情報表示部96には、路線バス割引扱い表示部39に代えて牽引不正車両扱い表示部89が用意されている。
ここで、有料道路を通行(利用)する車両の実態(実際の通行形態)と整合させた適切な通行料金を収受するために、本実施形態の料金収受システム71が備える構成について説明する。
本実施形態の有料道路では、牽引車(牽引可能な構造を有する車両)が被牽引車を実際に牽引している場合、牽引車が牽引を行っていない場合に課せられる通行料金に、所定の金額を増額(割増し)して、課金処理が行われる。このため、予め記憶されている車種情報を例えば牽引車以外の車種情報に改ざんした車載器を用いることなどによって、牽引車の不正通行が行われる可能性などが懸念される。
そこで、本実施形態の料金収受システム71では、牽引車が被牽引車を牽引した形態で有料道路を通行したにもかかわらず、通行料金の割増し(増額)分を払わずに、不正通行を行った牽引車を牽引不正車両(料金調整対象車)として判別するために、この牽引不正車両の車両登録番号(ナンバープレートの番号)が、牽引不正車両登録データとして、上位装置72の記憶部77内に予め記憶(登録)されている。また、この牽引不正車両登録データは、上位装置72からの通知により、各料金所の車線ごとに設置された車線制御装置78の記憶部内にも記憶(登録)される。
また、上位装置72の記憶部77内の牽引不正車両登録データは、牽引不正車両の新規の追加などに対応できるように、例えば1日に1回又は2回の周期で更新される。また、この周期で上位装置72から各車線制御装置78に通知が行われ、車線制御装置78の記憶部内の牽引不正車両登録データも更新される。
しかしながら、このような牽引不正車両登録データが予め登録されている場合でも、牽引不正車両が実際に牽引を行っていない場合には、上記牽引不正車両登録データが逆に阻害要因となって、割増料金を適用せずに課金処理を行うことが逆に難しくなる。また一方で、牽引車の不正通行が発生して、上記の牽引不正車両登録データの更新が間に合っていない場合、料金所に進入してきた牽引車が牽引不正車両(割増対象車)に該当するか否かをシステム側で機械的に判別することが難しく、課金処理を迅速かつ的確に行うことが困難となる。
そこで、本実施形態の料金収受システム71では、上述した前者の課題に対応するために、「牽引車割増非該当処理機能」が用意され、さらに、後者の課題に対応するために、「牽引不正車両登録タイムリー処理機能」及び「牽引不正車両登録非タイムリー処理機能」が用意されている。さらに、料金収受システム71は、これらの機能の実行時に用いられる第1の実施形態の料金収受システム1と同様の「車両選択処理機能」を備えている。以降、これらの機能を実現するために料金収受システム71が備える構成を図15〜図18に基づき説明する。
ここで、図15は、車線監視制御盤の報知・操作部86に表示される監視操作メイン画面86aを示す図である。また、図16は、牽引車割増非該当処理時又は牽引不正車両登録処理時の緊急データの作成手順を概念的に示す図である。さらに、図17は、牽引車割増非該当処理時の登録データの作成手順を概念的に示す図であり、図18は、牽引不正車両登録処理時の登録データの作成手順を概念的に示す図である。
まず、牽引車割増非該当処理機能について説明する。ここで、車線制御装置78は、撮像装置21(又は路側無線装置14)により取得された車両登録番号と、車線制御装置78自体の記憶部内に牽引不正車両登録データとして記憶されている車両登録番号と、を照合して、料金所に進入してきた進入車両が牽引不正車両(割増対象車)に該当するか否かを判定する判定部として機能を有している。これに対して、上述した牽引車非該当釦88(及び後述する牽引不正車両登録釦87)を備える車線監視制御盤は、車線制御装置78による判定結果を無効にするための通行料金の割増しの適用の有無についての指示を受け付ける受付部としての機能を持つ。つまり、牽引車非該当釦88が有効時間内に押下された場合、通行料金の割増し(増額)を強制的に適用しない処理が行われる。
さらに、上記の車線制御装置78は、進入車両が牽引不正車両(割増対象車)に該当するか否かの判定結果と牽引車非該当釦88からの指示の受付結果(牽引車非該当釦88が有効時間内に押下されたか否かの結果)とに基づいて、進入車両に対して課金処理を行う課金処理部として機能する。詳述すると、牽引車非該当釦88(及び牽引不正車両登録釦87)が押下されない場合には、割増対象車に該当するか否かの判定結果が、そのまま適用される。しかしながら、割増対象車に該当するとの判定結果が得られた場合でも、牽引車非該当釦88が有効時間内に押下された場合、判定結果が無効になり、通行料金の割増しが適用されないことになる。
データ通知部としての機能をも有する車線監視制御盤は、車両決定釦(46)を押下された後、牽引車非該当釦88が有効時間内に押下されて、通行料金の割増しを適用無しとする指示を受け付けた場合、割増対象車として非該当であることを示す属性情報に車両決定釦により選択された進入車両の車両登録番号を付与した非該当車情報を、車線制御装置78(及び上位装置72)に通知する。この場合、車線監視制御盤は、牽引不正車両扱い表示部89の光源を非点灯に制御すると共に、報知・操作部86を通じて牽引車を割増扱いしない旨を音声案内により報知する。さらに、車線制御装置78(及び上位装置72)は、通知された非該当車情報に基づいて、上記進入車両(牽引車)に対し通行料金の割増しを適用せずに課金処理を行う。
ここで、車線制御装置78は、上記した非該当車情報として、図16、図17に示すように、緊急データと登録データ(牽引不正車両登録データ)とを生成する。詳細には、車線制御装置78は、例えば撮像装置(21)により撮像されかつ車両決定釦により選択された車両登録番号データ81aから、割増対象車として非該当であることを示す属性情報(図示せず)を付与した緊急データ81bを生成する。この緊急データ81bは、緊急用データベースとなる緊急データ一覧81cに追記され、この緊急データ一覧81cは、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、登録データ(82b)が作成されて配信された後、緊急データ一覧81cから緊急データ81bが削除されて緊急データ一覧81dとして更新される。このような緊急データ81bを配信することで、牽引不正車両であっても実際に被牽引車を牽引していない場合に、割増料金(牽引分を増額した料金)を適用しない課金処理を直ちに実行することができる。
また、車線制御装置78は、恒久的に用いる登録データ(牽引不正車両登録データ)を次のように生成する。つまり、上記車両登録番号データ81aと同様の車両登録番号データ82aに対し、割増対象車として非該当であることを示す属性情報を付与するために、今回限り非該当フラグをONにした(ビットを立てた)登録データ82bを生成する。この登録データ82bは、登録データ一覧82cに追記され、この登録データ一覧82cは、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、割増対象車である進入車両が有料道路から退出する際に、上述した登録データ一覧82cから処理対象の牽引車(の車両登録番号)のデータを削除した登録データ一覧82dが上位装置72の記憶部77内に記憶保持される。
次に、牽引不正車両登録タイムリー処理機能について説明する。上述した牽引不正車両登録釦87を備える車線監視制御盤は、牽引不正車両登録釦87が押下された場合、強制的に通行料金の割増しが適用される。詳述すると、牽引不正車両登録釦87(及び前述した牽引車非該当釦88)が押下されない場合には、割増対象車に該当するか否かの判定結果が、そのまま適用される。しかしながら、割増対象車に該当しないとの判定結果が得られた場合でも、牽引不正車両登録釦87が有効時間内に押下された場合、判定結果が無効になり、通行料金の割増しが適用される。
データ更新部としての機能をも有する車線監視制御盤は、車両決定釦(46)を押下された後、牽引不正車両登録釦87が有効時間内に押下されて、通行料金の割増しを適用有りとする指示を受け付けた場合、割増対象車に該当することを示す属性情報に車両決定釦により選択された進入車両の車両登録番号を付与した該当車情報を、車線制御装置78(及び上位装置72)に通知し、かつ進入車両(処理対象の牽引車)の車両登録番号を、記憶部77(及び車線制御装置78自体の記憶部)内の牽引不正車両登録データに追加登録する。この場合、車線監視制御盤は、牽引不正車両扱い表示部89の光源を点灯制御すると共に、報知・操作部86を通じて牽引車を割増し扱いする旨を音声案内により報知する。さらに、車線制御装置78(及び上位装置72)は、通知された該当車情報に基づいて、上記進入車両に対し通行料金の割増しを適用した課金処理を行う。
ここで、車線制御装置78は、上記した該当車情報として、図16、図18に示すように、緊急データと登録データ(牽引不正車両登録データ)とを生成する。詳細には、車線制御装置78は、上記車両登録番号データ81aから、割増対象車に該当することを示す属性情報を付与した緊急データを生成する。この緊急データは、緊急用データベースとなる緊急データ一覧に追記され、この緊急データ一覧は、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、登録データ(83b)が作成されて配信された後、緊急データ一覧から緊急データが削除される。このような緊急データを配信することで、割増対象の牽引車(牽引不正車両)が牽引不正車両登録データに未登録の状態であっても、割増料金を適用した課金処理を直ちに実行することができる。
また、車線制御装置78は、恒久的に用いる登録データ(牽引不正車両登録データ)を次のように生成する。つまり、上記車両登録番号データ81a、82aと同様の図18に示す車両登録番号データ83aに、割増対象車に該当することを示す属性情報を付与するために、今回限り非該当フラグ(ビット)をOFFにした登録データ83bを生成する。図18に示すように、この登録データ83bは、登録データ一覧83cに追記され、この登録データ一覧83cは、同一料金所内の他の車線制御装置、及び他の全ての料金所内の各車線制御装置に配信される。さらに、データ配信後、恒久用のデータベースとなる登録データ一覧83dとして上位装置72の記憶部77内に記憶保持される。
次に、牽引不正車両登録非タイムリー処理機能について説明する。上述した牽引不正車両登録釦87を備える車線監視制御盤は、牽引不正車両登録釦87が有効時間を超えて押下された場合でも、強制的に通行料金の割増しが適用される。詳述すると、第1及び第2の決済部として機能する車線制御装置78及び上位装置72は、進入車両が割増対象車として非該当であると判定され、かつ牽引不正車両登録釦87(及び牽引車非該当釦88)が押下さることなく一定時間の経過をタイマ(19)が計測した場合に、進入車両に対して通行料金の割増しを適用せずに課金処理を行う。さらに、タイマ(19)が一定時間の経過を計測してから車両決定釦(46)及び牽引不正車両登録釦87が押下された場合、車線制御装置78(及び上位装置72)は、牽引不正車両登録非タイムリー処理を実行する。
この際、車線監視制御盤は、通行料金の割増しを適用有りとする指示を受け付けたこととなり、車線制御装置78(及び上位装置72)は、割増しせずに課金処理の一旦行われた前記牽引車に対して、割増し額の追加請求処理(差額分の追加徴収)を行う。なお、牽引不正車両登録非タイムリー処理では、緊急データ及び登録データの作成及び配信は、牽引不正車両登録タイムリー処理と同様に行われる。このような、牽引不正車両登録非タイムリー処理では、料金所に進入してきた割増対象の牽引車(牽引不正車両)が牽引不正車両登録データに未登録の状態であっても、後日、割増料金を適用した課金処理を完了させることができる。
次に、このように構成された料金収受システム71の動作を図14〜図18に加え、図19〜図23に示すフローチャートに基づき説明する。ここで、図19は、牽引車に対する課金方法の選択処理を示すフローチャートであり、図20は、牽引有無確認処理を示すフローチャートである。また、図21は、牽引車割増非該当処理を示すフローチャートであり、図22は、牽引不正車両登録タイムリー処理を示すフローチャートである。さらに、図23は、牽引不正車両登録非タイムリー処理を示すフローチャートである。
まず、牽引車に対する課金方法の選択処理について説明する。すなわち、図19に示すように、車線制御装置78は、料金所に車両が進入してきたことを検出すると、車載器に記憶された車種の情報や車両のナンバープレートから得た情報などを基に、この車両が、牽引車(牽引可能な構造を有する車両)か否かを判定する(S71)。この車両が牽引車でないと判定された場合(S71のNO)、牽引車以外の車両に対する通常の課金処理が行われる(S72)。
一方、車線制御装置78は、車両15を牽引車であると判定した場合(S71のYES)、車線制御装置78の記憶部内に予め記憶された牽引不正車両登録データ中の車両登録番号と車両側から取得された車両登録番号とを比較照合して、この車両が牽引不正車両(割増対象車)に該当するか否かを判定する(S73)。車線制御装置78により車両が通行料金の割増対象車に該当していると判定された場合(S73のYES)、後述する牽引有無確認処理が行われる(S74)。さらに、車線制御装置78は、車両が車両検知器28aにより検知されてから一定時間が経過する前(有効時間内)に(S75のNO)、車両決定釦(46)及び牽引車非該当釦88の押下を検出した場合には(S76のYES)、図21に示す牽引車割増非該当処理を実行する。
また、車両決定釦(46)及び牽引車非該当釦88が押下されることなく一定時間が経過し(S75のYES)、さらに上記牽引有無確認処理が完了していない場合などには、その処理が継続される(S77)。一方、車線制御装置78は、車両を割増対象車に該当しないと判定し(S73のNO)、かつ一定時間内に(S78のNO)、車両決定釦(46)及び牽引不正車両登録釦87の押下を検出した場合には(S79のYES)、図22に示す牽引不正車両登録タイムリー処理を実行する。さらに、車線制御装置78は、車両決定釦及び牽引不正車両登録釦87が押下されることなく一定時間が経過した場合には(S78のYES)、牽引車に対して通行料金の割増しを適用せずに課金処理を行う(S80)。この後、車両決定釦及び牽引不正車両登録釦87の押下を検出した場合には(S81のYES)、図23に示す牽引不正車両登録非タイムリー処理を実行する。
次に、図19に示した課金方法の選択処理のS74(ステップ74)で説明した牽引有無確認処理について詳述する。すなわち、図20に示すように、料金所に進入してきた牽引車が、牽引中か否かが例えば収受員の目視(又は車両のVTR映像の視認)により判断される(S91)。牽引中である場合には(S91のYES)、車線制御装置78及び上位装置72により、料金所に進入してきた牽引車に対し、牽引時の割増し料金(増額)を適用した課金処理が行われる(S92)。一方、牽引中でないと(S91のNO)、判断できた場合には(S93のNO)、車両決定釦及び牽引車非該当釦88が例えば押下され牽引車割増非該当処理が行われる。
また、牽引中でないことが(S91のNO)、判断不能であった場合には(S93のYES)、車線制御装置78及び上位装置72は、料金所に進入してきた牽引車に対し、牽引による割増料金(牽引による増額)を適用した課金処理を行う(S94)。さらに、後日、撮像装置21により撮像されたVTR映像を通じて、牽引車の通行形態(走行形態)が収受員により確認される(S95)。確認の結果、牽引車が牽引中でなかった場合(S96のNO)、確認を行った牽引車の車両登録番号に基づいた報知・操作部86からの入力操作などにより、車線制御装置78及び上位装置72は、当該牽引車に対し、牽引を行った場合の割増し料金分の返金処理を行う(S97)。このような牽引有無確認処理では、料金所に進入してきた割増対象の牽引車(牽引不正車両)が牽引中でなかった場合、割増料金を適用しない適切な課金処理を後日完了させることができる。
次に、牽引車割増非該当処理について説明する。図21に示すように、車線制御装置78は、牽引車非該当釦88の押下の検出により、牽引車割増非該当処理の実行要求を認識すると(S101のYES)、同一料金所内の他の車線制御装置へ牽引車割増非該当処理の実行を通知する(S102)。具体的には、図16、図17に示すように、車線制御装置78は、入口の料金所に進入してきた牽引車の入口処理の際に、この牽引車が、割増対象車(牽引不正車両)として非該当であることを示す属性情報を付与した緊急データ81b(緊急データ一覧81c)を生成して同一料金所の他の車線制御装置へ配信した後、今回限り非該当フラグをONにした登録データ82b(登録データ一覧82c)を生成し、同一料金所の他の車線制御装置へ配信する。
さらに、車線制御装置78は、上位装置72経由で他の料金所の各車線制御装置78へ上記の牽引車割増非該当処理の実行を通知する(S103)。さらに、車線制御装置78は、他の料金所の車線制御装置による出口処理時に、牽引車割増非該当処理を解除したことを当該他の料金所内の各車線制御装置へ通知すると共に、この解除した旨を上位装置72に通知する(S104)。具体的には、図16、図17に示すように、車線制御装置78は、上述した緊急データ一覧81cから処理対象の牽引車(の車両登録番号)のデータを削除した緊急データ一覧81dを当該他の料金所内の各車線制御装置及び上位装置72に通知した後、上述した登録データ一覧82cから処理対象の牽引車(の車両登録番号)のデータを削除した登録データ一覧82dを当該他の料金所内の各車線制御装置及び上位装置72に通知する。また、同時に車線制御装置78は、出口処理の完了を上位装置72に通知する。
最後に、上位装置72は、出口処理を行った料金所以外の他の料金所の各車線制御装置へ牽引車割増非該当処理の解除を通知するために、上記緊急データ一覧81dを配信した後、登録データ一覧82dを配信する(S105)。したがって、このような牽引車割増非該当処理により、割増対象の牽引車(牽引不正車両)が牽引中でない場合に、割増料金を適用しない適切な通行料金を直ちに収受することができる。
次に、牽引不正車両登録タイムリー処理について説明する。図22に示すように、車線制御装置78は、牽引不正車両登録タイムリー処理の実行要求を認識すると(S111のYES)、入口の料金所に進入してきた車両の入口処理の際に、この車両が、通行料金の割増対象車に該当することを示す属性情報を付与した緊急データを、同一料金所の他の車線制御装置、上位装置72及び(上位装置72経由で)他の料金所へタイムリーに通知する(S112)。この直後、処理対象の牽引車が同一料金所内の他のレーンなどに再進入しても通行料金の割増しの対象となる。
さらに、車線制御装置78は、図18に示すように、牽引不正車両登録タイムリー処理の登録データを同一料金所内で作成する要求が生じているか否かを検出する(S113)。同一料金所内での登録データ(牽引不正車両登録データ)の作成要求がある場合(S113のYES)、車線制御装置78は、今回限り非該当フラグをOFFにして作成した登録データ一覧83cを同一料金所内の他の車線制御装置、及び(上位装置72経由で)他の料金所への各車線制御装置へ配信すると共に、処理対象の牽引車の緊急データを削除する(S114)。
一方、同一料金所内での登録データの作成要求がない場合(S113のNO)、上位装置72にて登録データ83b(登録データ一覧83c)が作成される(S115)。さらに、作成された登録データ83b(登録データ一覧83c)は、上位装置72経由で他の料金所の各車線制御装置へ通知される(S116)。さらに、データ配信後、恒久用のデータベースとなる登録データ一覧83dは、上位装置72の記憶部77内及び各料金所の車線制御装置ごとの記憶部内に記憶保持される。これにより、今後、他の料金所の各車線制御装置及び同一料金所内の各車線制御装置による入口、出口処理時に、牽引時の割増し料金を適用した(通行料金を増額した)課金処理が行われる(S117)。したがって、牽引不正車両登録タイムリー処理では、通行料金の割増対象の牽引車(牽引不正車両)が牽引不正車両登録データに未登録の状態であっても、割増しを適用した通行料金を徴収できると共に、牽引不正車両登録データに直ちに登録を行うことができる。
次に、牽引不正車両登録非タイムリー処理について説明する。図23に示すように、車線制御装置78は、牽引不正車両登録非タイムリー処理の実行要求を認識すると(S121のYES)、料金所に進入してきた牽引車が、割増対象車(牽引不正車両)に該当することを示す属性情報を付与した緊急データを、同一料金所の他の車線制御装置、上位装置72及び(上位装置72経由で)他の料金所へ通知する。また、この際、車線制御装置78は、上位装置72と協働して、処理対象の牽引車に対し割増し額の追加請求処理を行う(S122)。この直後、処理対象の牽引車が、他の料金所に進入しても通行料金の割増しの対象となる。以降、S123〜S127の処理では、図22に示した牽引不正車両登録タイムリー処理のS113〜S117と同様の処理が行われる。したがって、牽引不正車両登録非タイムリー処理では、通行料金の割増対象の牽引車が牽引不正車両登録データに未登録の状態であっても、後日、割増料金を適用した課金処理を完了させることができる。
既述したように、第2の実施形態に係る料金収受システム71では、予め記憶された割増対象車(牽引不正車両)の車両登録番号と料金所に進入してきた車両の車両登録番号との比較照合の結果に依存することなく、通行料金の割増し(増額)を適用するか否かを決定することができる。つまり、料金収受システム71によれば、通行料金の割増しの適用の有無についての指示を受け付けた場合に、この指示内容を実質的に優先させて、課金処理を行うことができる。これにより、料金所に進入してきた車両の実際の通行形態(走行形態)と整合させた適切な通行料金を徴収することが可能となる。また、料金収受システム71では、予め記憶された車種情報を例えば牽引車以外の車種情報に改ざんした車載器の使用による牽引車の不正通行などを抑制することができる。
以上、本発明を第1、第2の実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した第1、第2の実施形態では、路線バス非該当釦38及び路線バス登録釦37、並びに牽引車非該当釦88及び牽引不正車両登録釦87を有する報知・操作部26、86を車線監視制御盤に設けた態様を例示したが、報知・操作部26、86を料金収受機29に設けてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の料金収受システムを対距離制のクローズシステムに適用した構成を説明したが、これに代えて、車両の走行距離が変わっても通行料金が増減しない均一料金制のオープンシステムに本発明の料金収受システム(及び料金収受方法)を適用することもできる。さらに、例えば第1の実施形態では、有料道路を常用する割引対象の車両として路線バスを例示したが、これに代えて、例えば有料道路を常用するタクシーや業務用のトラックなどを割引対象の車両とした場合でも本発明を適用することが可能である。
1,71…料金収受システム、2,72…上位装置、3a,3b〜3n…料金所、7,12,77…記憶部、8,78…車線制御装置、14…路側無線装置、15…車両、17…車載器のメモリ、18…車載器、19…タイマ、21…撮像装置、26,86…報知・操作部、26a…走行履歴データ閲覧画面、26b,86a…監視操作メイン画面、27…車線監視制御盤、28a,28b,28c…車両検知器、29…料金収受機、37…路線バス登録釦、38…路線バス非該当釦、39…路線バス割引扱い表示部、41…データ指定枠、45…走行履歴データ表示部、46…車両決定釦、47…車両決定取消釦、51a,52a,53a,81a,82a,83a…車両登録番号データ、51b,81b…緊急データ、51c,51d,81c,81d…緊急データ一覧、52b,53b,82b,83b…登録データ、52c,52d,53c,53d,82c,82d,83c,83d…登録データ一覧、87…牽引不正車両登録釦、88…牽引車非該当釦、89…牽引不正車両扱い表示部。