JP5120747B2 - 表面改質カーボンブラックとその製造方法およびその分散体 - Google Patents

表面改質カーボンブラックとその製造方法およびその分散体 Download PDF

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Description

本発明は、シリコーンオイルなどの非極性溶媒や、イソ構造をもつ炭化水素溶媒やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA )などの低極性溶媒に対して高い分散性を示し、また樹脂に配合して電気的特性に優れた組成物や低電圧で駆動可能な電子装置に使用される表面改質カーボンブラックとその製造方法およびその分散体に関する。
カーボンブラック粒子表面は一般的に親油性であって水などの極性溶媒への分散性は極めて小さい。そこで、粒子表面を化学修飾することでインクジェットプリンター用インキなどの用途を中心として水分散性の優れたカーボンブラックの研究、開発が近年盛んに行われている。
また、非極性溶媒や低極性溶媒への分散性の改善、向上に対する要望も強く、例えば、インク、塗料などの組成物、カラーフィルター用ブラックマトリックス、ディスプレイデバイス、電子ペーパー用黒色顔料、複写機用トナーなどに好適に使用されるカーボンブラックの開発が望まれている。
この電子ペーパー用黒色顔料や複写機用トナーに使用する場合には印加する電圧に対してカーボンブラック粒子の泳動や静電気の発生が必要なため、カーボンブラック粒子表面を正または負に帯電させることが必要となる。特に、電子ペーパー用途ではカーボンブラック粒子表面を正または負に帯電させることが必要であるとともに分散溶媒に対する分散性能に優れていることも必要である。
そこで、特許文献1にはインキ、複写機用トナー、塗料、樹脂着色剤などに用いられる各種媒体中への分散性に優れたカーボンブラックグラフトポリマーとして、シリコーン成分を含有する重合体部分とカーボンブラック部分を含み、シリコーンオイル中に分散させたときの破壊電圧が0.5kV/mm以上であるカーボンブラックグラフトポリマーが提案されている。これは、カーボンブラックグラフトポリマーの重合体部分にシリコーン成分のポリマー鎖を含有させることにより、極性の低い溶媒中でも十分な分散性を付与しようとするものである。
また、特許文献2にはセグメント(A)及びセグメント(A)と異なる鎖構造のセグメント(B)とからなり、セグメント(A)がカーボンブラック表面の官能基と反応性を有する基(1)を有する重合体を、カーボンブラック表面の官能基との反応により得られるカーボンブラックグラフトポリマーであって、セグメント(A)、(B)が目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(2)を有する反応性カーボンブラックグラフトポリマーが提案されている。
特開平8−337624号公報 特開平9−272706号公報
しかしながら、上記のグラフトポリマーではエポキシ基をポリマーとの反応性基として用いることから、ポリマーを結合するためにエポキシ基の三員環を開環する金属系やアミン系の触媒が使用されるので、分散体中にこれらのイオン化可能な触媒が残留してカーボンブラックの分散性を妨げるという問題がある。
また、粒子表面に帯電性を付与したカーボンブラック、例えば正に帯電させたカーボンブラックは、電子ペーパー用黒色顔料や複写機用トナーとして有効である。
そこで、本発明者はカーボンブラック粒子表面を改質して非極性溶媒や低極性溶媒中で優れた分散性を付与するとともに、カーボンブラック粒子表面を正または負に帯電させることにより電気的に有効機能させ、例えば、カーボンブラック粒子表面を正に帯電させることにより、電子ペーパー用黒色顔料や複写機用トナーなどとして好適に使用し得ることを確認した。
すなわち、本発明はこの知見に基づきなされたもので、請求項1による表面改質カーボンブラックは、両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基または末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基が、カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基と結合し、ジイソシアネート化合物の他の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の他の2つの末端イソシアネート基が、カチオン性基を有しヒドロキシル基をもつポリマーまたはアニオン性基を有しヒドロキシル基をもつポリマー(以下、ヒドロキシル変性帯電性ポリマーという)のヒドロキシル基と結合したことを特徴とする。
請求項2による表面改質カーボンブラックの製造方法(以下、製造方法(1)と記す)は、請求項1記載の表面改質カーボンブラックを製造する方法であって、非反応性の溶媒に、カーボンブラック、および両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物または末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物を加えて混合し、カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基と、ジイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基とを結合させ、その後ヒドロキシル変性帯電性ポリマーを加えて混合し、ジイソシアネート化合物の他の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の他の2つの末端イソシアネート基とヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基とを結合させることを特徴とする。
請求項3による表面改質カーボンブラックの製造方法(以下、製造方法(2)と記す)は、請求項1記載の表面改質カーボンブラックを製造する方法であって、非反応性の溶媒に、カーボンブラック、および両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物または末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物、およびヒドロキシル変性帯電性ポリマーを加えて混合し、カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基と、ジイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基とを結合させ、同時に、ジイソシアネート化合物の他の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の他の2つの末端イソシアネート基とヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基とを結合させることを特徴とする。
請求項4によるカーボンブラック分散体は、請求項1記載の表面改質カーボンブラックが1〜20重量%の濃度で非極性溶媒または低極性溶媒に分散したことを特徴とする。
請求項5による表面改質カーボンブラックの製造方法は、請求項2または3において、前記カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基カルボキシル基、あるいは両官能基の量が0.14μeq/m以上であることを特徴とする
本発明によれば、非極性溶媒や低極性溶媒中で優れた分散性を示し、またカーボンブラック粒子表面が分散体中において正または負に帯電しているので電気的に有効機能させることができ、例えば、電子ペーパー用黒色顔料や複写機用トナーをはじめ、インク、塗料などの組成物、カラーフィルター用ブラックマトリックス、ディスプレイデバイスなどとして好適に使用される表面改質カーボンブラック、その製造方法およびその分散体を提供することができ、工業上極めて有用である。
本発明で用いるカーボンブラックの種類には特に制限はなく、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどいずれも使用することができるが、好ましくは電子顕微鏡観察により測定される一次粒子径が0.01〜0.3μm、より好ましくは、0.01〜0.07μmのカーボンブラックが用いられる。一次粒子径が0.01μm未満のカーボンブラックでは粒子間に作用する凝集力が大きく凝集し易くなり、逆に0.3μmを越える場合には表面変性した状態での自重が大きくなり、溶媒中でカーボンブラックが沈降し易くなるからである。
本発明の表面改質カーボンブラックは、両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基または末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基が、カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基と結合し、ジイソシアネート化合物の他の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の他の2つの末端イソシアネート基がヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基と結合したものである。以下の説明において、前記末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物は、イソ構造の3末端にイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物、または3末端にイソシアネート基を有するイソ構造のトリイソシアネート化合物ともいう。
カーボンブラックの粒子表面には、その生成プロセスあるいは酸化などの後処理により種々の表面官能基が存在し、これらの反応性官能基としてはヒドロキシル基、カルボキシル基、キノン基、アミノ基、スルホン基、エポキシ基などがある。そして、これらの反応性官能基は、例えば下記の方法により後処理的に調整することができる。
(1)ヒドロキシル基、カルボキシル基、キノン基;空気、オゾン、酸素、NOx 、SOx などの酸化性ガス雰囲気に曝す方法、低温酸素プラズマ処理する方法、過酸化水素水、ペルオキソ2酸あるいはその塩類、次亜ハロゲン酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、硝酸などの酸化剤水溶液中で撹拌する方法、など気相酸化や液相酸化で処理する方法。
(2)アミノ基;硝酸/硫酸混合液で酸化、ニトロ化し、ホルムアルデヒドなどで還元する方法。
(3)スルホン基;濃硫酸でスルホン化する方法。
(4)エポキシ基;ヒドロキシル基、カルボキシル基にエポキシ基を有するハロゲン化物を反応させる方法。
これらの反応性官能基のうち、イソシアネート基と化学結合する官能基としてはヒドロキシル基およびカルボキシル基の酸性官能基が有効に機能する。そのため、カーボンブラックの反応性官能基としてはヒドロキシル基やカルボキシル基が好ましく、その量はイソシアネート基と均一に結合するためにはヒドロキシル基、カルボキシル基、あるいは両官能基の和が0.14μeq/m以上であることが好ましい。
なお、これらの官能基は次のようにして測定される。
(1)カーボンブラック窒素吸着比表面積(NSA ;m/g);
ASTM D3037−88 Method Bにより測定。
(2)ヒドロキシル基量;
2,2′-Diphenyl-picrylhydrazyl(DPPH)を四塩化炭素中に溶解して濃度5×10−4mol/lの溶液を作成し、該溶液にカーボンブラックを0.1〜0.6g添加し、60℃の恒温槽中で6時間撹拌する。その後、反応液からカーボンブラックを濾別し、濾液を紫外線吸光光度計によりヒドロキシル基を測定する。このようにして測定した値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA ;m/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたヒドロキシル基量(μeq/m)とする。
(3)カルボキシル基量;
0.976N炭酸水素ナトリウム50ml中にカーボンブラック2〜5gを添加して6時間振盪した後、カーボンブラックを反応液から濾別し、濾液に0.05N塩酸水溶液を加えたのち、pHが7.0になるまで0.05N水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行ってカルボキシル基を測定する。この測定値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA;m/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたカルボキシル基量(μeq/m)とする。
両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、構造両末端にイソシアネート基を有するものであれば特に制限はなく、メタンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサンジイソシアネート(HDI)などが例示できる。なお、これらのジイソシアネート化合物の中で反応性が高いMDIが好適であるが、反応溶媒によって使い分けることが好ましい。
また、3末端にイソシアネート基を有するイソ構造のトリイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート構造、ビウレット構造、アダクト構造など、3末端全てにイソシアネート基を有するものであれば特に制限なく、例えばイソシアヌレート構造をもつ具体例として、三井武田ケミカル社製D−127N、D−170N、D−170HM、D−172N、D−177Nなどが例示できる。
カーボンブラック粒子表面に荷電を与えるヒドロキシル変性帯電性ポリマーは、正または負に帯電させる目的に応じて、カチオン性ポリマーあるいはアニオン性ポリマーいずれも使用することができる。
カチオン性ポリマーとしては、電子吸引性基として働く1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩などのカチオン性基を有しているポリマーであれば使用することができ、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド、ポリエチレンイミンなどがあり、具体的には四日市合成社製カチオマスターPD、藤倉化成社製NO-290、ライオン社製エソカードシリーズなどが例示される。
一方、アニオン性ポリマーとしては、電子供与性基として働くカルボキシル基、スルホ基、リン酸基などのアニオン性基を有しているポリマーであれば使用することができ、ポリスチレンスルホン酸塩、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、ポリサッカライドなどがあり、具体的には三井化学アクアポリマー社製アコフロックシリーズなどを例示することができる。
本発明の表面改質カーボンブラックを、カーボンブラック粒子表面の反応性官能基としてヒドロキシル基に、イソシアネート化合物として3末端にイソシアネート基を有するイソ構造のトリイソシアネート化合物であるトリイソシアネートヘキサメチレンイソシアヌレート(三井武田ケミカル社製D−177N)の1つの末端イソシアネート基が結合し、未結合の2つの末端イソシアネート基が、ヒドロキシル基を側鎖にもつヒドロキシル変性帯電性ポリマー(四日市合成社製、カチオマスターPD)のヒドロキシル基と結合した場合の構造式を化1として例示した。
Figure 0005120747
化1から分かるように、イソシアネート化合物はカーボンブラック粒子表面の反応性官能基であるヒドロキシル基と、ヒドロキシル変性帯電性ポリマーとを結合させるための中間物質として機能している。
この表面改質カーボンブラックを製造する本発明の請求項2による製造方法(1)は、非反応性の溶媒に、カーボンブラック、および両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物またはイソ構造の3末端にイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物を加えて混合し、カーボンブラック粒子表面の反応性官能基と、ジイソシアネート化合物の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基と結合させ、その後ヒドロキシル変性帯電性ポリマーを加えて混合し、イソシアネート化合物の未結合の末端イソシアネート基とヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基とを結合させることを特徴とする。
非反応性の溶媒としてはエステルやケトンなどが例示でき、この非反応性の溶媒にカーボンブラックおよび両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物またはイソ構造の3末端にイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物を加えて撹拌脱泡機で撹拌、脱泡しながら混合し、更にボールミルや三本ロールミルなどを用いて十分に混合、混練することによりカーボンブラック粒子表面の反応性官能基と、ジイソシアネート化合物の末端あるいはトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基とを反応させてウレタン結合させる。
この反応を、カーボンブラック粒子表面の反応性官能基としてヒドロキシル基に、3末端全てにイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物としてイソシアヌレート構造をもつヘキサンイソシアネート化合物を反応させて、トリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基がヒドロキシル基とウレタン結合した場合の反応式を化2として例示した。
Figure 0005120747
このように、カーボンブラック粒子表面の反応性官能基とイソシネート基とをウレタン結合させた後、ヒドロキシル変性帯電性ポリマーを加えて撹拌脱泡機で撹拌脱泡し、溶媒を加えて三本ロールミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、プロセスホモジナイザー、ボールミル、ビーズミルなどで混合、混練して、イソシアネート化合物の未結合のイソシアネート基とヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基とを反応させてウレタン結合させる。
この際、付加反応促進触媒や脱水縮合剤を少量添加するとウレタン反応が進行し易くなるので好適である。付加反応促進触媒としてはジブチルチンジラウレートなどが、脱水縮合剤としては特に制限はなく使用でき、濃硫酸、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミドなどが挙げられる。
ヒドロキシル変性帯電性ポリマーの変性部位は側鎖でも末端でも、あるいはその両方であっても使用できるが、好ましくは反応性の高い片末端変性のものを使用する。ヒドロキシル変性帯電性ポリマーの骨格は目的とする分散媒の構造に近いものが好ましく、例えば、シリコーンオイルに分散させる場合にはジメチルポリシロキサン骨格をもつポリマーが好ましく、イソパラフィン系炭化水素溶媒やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA )などの炭化水素溶媒に分散させる場合にはアクリルエステル骨格をもつポリマーが好ましい。但し、これらのポリマーに制限されるものではなく、それぞれの目的とする分散溶媒に溶解し、かつ反応性官能基であるヒドロキシル基を有しているものであれば適用することができる。
なお、本発明の表面改質カーボンブラックは、カーボンブラック粒子表面にウレタン結合により結合したヒドロキシル変性帯電性ポリマーのポリマー鎖により非極性溶媒や低極性溶媒中に立体障害を伴って分散することから、ポリマーの分子量は500〜30000であることが好ましい。分子量が500未満ではポリマー鎖による立体障害が小さく、分散性が低下し、一方分子量が30000を越えるとカーボンブラックの自重により分散体において沈降し易く、さらに粘度が増大することになり、好ましくない。
このようにして本発明の表面改質カーボンブラックを製造することができるが、この反応を、化2に例示したカーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基に、ヘキサンイソシアネート化合物を反応させて、トリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基をヒドロキシル基とウレタン結合させた後、ヒドロキシル変性帯電性ポリマーとして四日市合成社製カチオマスターPDと反応させた場合の反応式を化3として例示した。
Figure 0005120747
次に、本発明の表面改質カーボンブラックを製造する本発明の請求項3による製造方法(2)は、非反応性の溶媒に、カーボンブラック、および両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物またはイソ構造の3末端にイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物、およびヒドロキシル変性帯電性ポリマーを加えて混合し、カーボンブラック粒子表面の反応性官能基と、ジイソシアネート化合物の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基と結合させ、同時に、イソシアネート化合物の未結合の末端イソシアネート基とヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基とを結合させるものである。
すなわち、製造方法(2)は、製造方法(1)において例示した化2と化3の反応を同時に行って、化1に例示した表面改質カーボンブラックを製造するものである。
本発明のカーボンブラック分散体は、上記の表面改質カーボンブラックが非極性溶媒や低極性溶媒に1〜20重量%の濃度で分散したものであり、カーボンブラックを分散させる溶媒と同じ非極性溶媒や低極性溶媒中で、上記の製造方法(1)あるいは(2)の方法によりカーボンブラックを改質するとともに改質カーボンブラックが所望の濃度に分散した分散体として得ることもできる。
あるいは、表面改質カーボンブラックを超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、プロセスホモジナイザーなどの分散装置で非極性溶媒や低極性溶媒中に分散させることにより得ることもできる。この場合、溶媒中に分散させる表面改質カーボンブラックはカーボンブラック粒子表面にポリマーが結合しているため、一旦乾燥するとポリマー鎖同士がカーボンブラック粒子表面近傍で絡まり、溶媒中に再分散させることが困難となる場合があるので、目的とする溶媒中に分散させた分散体として得ることが望ましい場合がある。但し、一度乾燥しても高圧ホモジナイザーや超音波式ホモジナイザーなどの均質機で機械的に分散処理することで、再分散させることは可能である。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制約されるものではない。
実施例1
カーボンブラックとして東海カーボン(株)製TB#7550F(窒素吸着比表面積
135m/g)を用い、濃度2Nの過硫酸ナトリウム水溶液中で酸化し、乾燥、粉砕、分級して調製した、反応性官能基がヒドロキシル基0.74μeq/m、カルボキシル基4.8μeq/mのカーボンブラックを試料とした。
このカーボンブラックをエクソンモービル化学(株)製アイソパーGを35.9g添加して湿潤にし、次いで、三井武田ケミカル(株)製D−177Nを4.725g、四日市合成(株)製カチオマスターPDを17.5g加えて混合し、(株)シンキー製あわとり練太郎を用いて撹拌2分、脱泡2分の前混練を行った後、三本ロールにて30分混練し、ジブチルチンジラウレート0.47225gを10wt%の濃度に溶解させたアイソパーG溶液を添加して、更に30分三本ロールで混練した。この際、アイソパーGが少量ずつ気散するため、適宜アイソパーGを添加した。
上記混練物にアイソパーGを加えて全量を250gとし、超音波ホモジナイザーを用いて10分間処理して機械的に分散させた後、(株)東海製ナノマイザーTL−1500を用いて、50から150MPaで更に機械的分散を行った。
この分散体をセパラブルフラスコ(容量1リットル)に入れて撹拌しながら70℃で6時間加熱処理し、その後再びアイソパーGを加えて全量を250gとして、10wt%アイソパーGに自己分散した表面改質カーボンブラック分散体1を得た。
実施例2
実施例1において、過硫酸ナトリウム水溶液中による酸化に代えて、オゾンにより気相酸化してヒドロキシル基1.03μeq/m、カルボキシル基3.22μeq/mのカーボンブラックを試料とした他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体2を得た。
実施例3
カーボンブラックにチャンネルブラック(Degussa社製Special Black4;ヒドロキシル基0.16μeq/m、カルボキシル基4.2μeq/m)を用いた他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体3を得た。
実施例4
未反応のイソシアネート基をターミネートするために、70℃保持工程中に四日市合成(株)製脂肪族系エステルアルコールワイジノールEHP01をカーボンブラックに対して20wt%添加した他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体4を得た。
実施例5
分散させる溶媒としてアイソパーGの代わりにPGMEAを使用した他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体5を得た。
実施例6
帯電性ポリマーとして実施例1の四日市合成(株)製カチオマスターPDの代わりに、アニオン性帯電性ポリマーである三井化学アクアポリマー(株)製アコフロックA120UH(分子量2100)17.5gを用いた他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体6を得た。
比較例1
実施例1において、帯電性ポリマーとして四日市合成(株)製カチオマスターPDの代わりに、帯電性を有しない総研化学(株)製アクリルポリマーUT−1001を17.5g用いた他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体7を得た。
これらの分散体を70℃の温度で4週間に亘って静置し、1週間経過毎にMicrotrac法粒度分析計(Honeywell社製、9340−UPA150)を用いて、分散体中のカーボンブラック凝集体の平均粒子径を測定し、また振動式粘度計(山一電機社製、VM−100A−L)により分散体の粘度を測定して、その結果を表1に示した。
Figure 0005120747
次に、作製直後の各分散体について、ゼータ電位測定計(マイクロテックニチオン社製ZEECOM)を用いて、分散体中のカーボンブラック帯電量を測定し、その結果を表2に示した。
Figure 0005120747
表1、2から、分散体1〜6は全て分散性に優れているとともに、カチオン性あるいはアニオン性の帯電性ポリマーを結合させることにより、正または負に帯電させることができる。したがって、用途目的に応じて、分散体中におけるカーボンブラック粒子表面を正または負に帯電させ、電気的に有効機能させることが可能となる。

Claims (5)

  1. 両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基または末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基が、カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基と結合し、ジイソシアネート化合物の他の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の他の2つの末端イソシアネート基が、カチオン性基を有しヒドロキシル基をもつポリマーまたはアニオン性基を有しヒドロキシル基をもつポリマー(以下、ヒドロキシル変性帯電性ポリマーという)のヒドロキシル基と結合したことを特徴とする表面改質カーボンブラック。
  2. 請求項1記載の表面改質カーボンブラックを製造する方法であって、非反応性の溶媒に、カーボンブラック、および両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物または末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物を加えて混合し、カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基と、ジイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基とを結合させ、その後ヒドロキシル変性帯電性ポリマーを加えて混合し、ジイソシアネート化合物の他の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の他の2つの末端イソシアネート基とヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基とを結合させることを特徴とする表面改質カーボンブラックの製造方法。
  3. 請求項1記載の表面改質カーボンブラックを製造する方法であって、非反応性の溶媒に、カーボンブラック、および両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物または末端に3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物、およびヒドロキシル変性帯電性ポリマーを加えて混合し、カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基と、ジイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の1つの末端イソシアネート基とを結合させ、同時に、ジイソシアネート化合物の他の末端イソシアネート基またはトリイソシアネート化合物の他の2つの末端イソシアネート基とヒドロキシル変性帯電性ポリマーのヒドロキシル基とを結合させることを特徴とする表面改質カーボンブラックの製造方法。
  4. 請求項1記載の表面改質カーボンブラックが1〜20重量%の濃度で非極性溶媒または低極性溶媒に分散したことを特徴とするカーボンブラック分散体。
  5. 前記カーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基カルボキシル基、あるいは両官能基の量が0.14μeq/m以上であることを特徴とする請求項2または3記載の表面改質カーボンブラックの製造方法
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