JP4860169B2 - 易開封性共押出フィルムならびに該フィルムを用いた蓋材および深絞り成形容器 - Google Patents
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(1)A層(10)/B層(20)/C層(30)/D層(40)/E層(50)/F層(60)
(2)A層(10)/B層(20)/C層(30)/F層(60)/E層(50)/D層(40)
(3)B層(20)/A層(10)/C層(30)/D層(40)/E層(50)/F層(60)
(4)B層(20)/A層(10)/C層(30)/F層(60)/E層(50)/D層(40)
以下、本発明の易開封性共押出フィルム、該フィルムを用いた蓋材および深絞り容器をさらに詳細に説明する。
A層10は、耐熱性エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(以下、「hrEVOH」と省略することがある。)からなる層である。hrEVOHとは、一般に使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)とは異なり、フィルムを高温殺菌処理した際にフィルムの白化を防止できる程度の耐熱性を有するEVOHである。hrEVOHとしては、例えば、耐熱水性を向上でき、かつ高温殺菌処理後のフィルムの白化を防止可能とした、特開平4−304253号公報、特開平6−345919号公報等に記載されているものを使用することが好ましい。
B層20は、ポリアミド樹脂(以下、「PA」と省略する場合がある。)からなる層である。本発明の易開封性共押出フィルム100は、PAからなるB層20を有するため、PPベースのイージーピール材を用いた通常の二軸延伸フィルムと比較して良好な耐ピンホール性を有する。
C層30は、接着樹脂(以下、「AD」と省略する場合がある。)からなる層である。本発明の易開封性共押出フィルムは、ADからなるC層30を有することで、層間接着強度を向上させることができる。
D層40は、ポリプロピレン樹脂(以下、「PP」と省略する場合がある。)からなる層である。本発明のD層40で用いられるPPとしては、ポリプロピレンの単独重合体またはエチレンとプロピレンとのランダム共重合体を用いることが好ましい。以下に述べるE層50との層間剥離の観点からは、この中でも、より腰の硬いポリプロピレンの単独重合体を用いることが好ましい。D層40で用いられるPPとして、ポリプロピレンの単独重合体を用いれば、D層40を適度な硬さとすることができ、剥離時にPPが変形することもなく、安定した良好な接着強度を維持することができる。
E層50は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LLDPE」と省略する場合がある。)と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン−αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂(以下、「混合樹脂」と省略する場合がある。)層である。本発明の易開封性共押出フィルムにおいては、剥離時にイージーピール性を付与する目的で、D層40とF層60との間に、E層50を設ける。
結晶化度(%)=(ΔH/ΔH0)×100
ΔH:E層50における融解熱量
ΔH0:エチレン−αオレフィン共重合体の平衡融解熱量
F層60は、エチレンプロピレンランダム共重合体および/またはメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂(以下、これらを「特殊PP」と省略する場合がある。)からなる樹脂層である。エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点は、下限が好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、上限が好ましくは155℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは145℃以下である。エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点が130℃以上155℃以下の範囲にあれば、比較的低温でヒートシールを実現できるため望ましい。エチレン−プロピレンランダム共重合体中のエチレンとプロピレンの配合比(「エチレン」:「プロピレン」)は、上記融点の範囲内で適宜定められ、好ましくは「3:97」〜「20:80」、より好ましくは「5:95」〜「15:85」、さらに好ましくは「7:93」〜「10:90」である。
本発明の易開封性共押出フィルムは、図1(a)〜図1(d)に示すように、以下に示す第一〜第四実施形態の層構成100a〜100dをとることができる。
(第一実施形態)A層10/B層20/C層30/D層40/E層50/F層60
(第二実施形態)A層10/B層20/C層30/F層60/E層50/D層40
(第三実施形態)B層20/A層10/C層30/D層40/E層50/F層60
(第四実施形態)B層20/A層10/C層30/F層60/E層50/D層40
上記した、A層10、B層20、C層30、D層40、E層50、F層60を構成する樹脂を、それぞれ一軸または二軸混練押出機に導入し、フィードブロック方式またはマルチマニュホールド方式の共押出によって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的な方法により積層シートを得ることができる。これにより、本発明の第一〜第四実施形態の易開封性共押出フィルム100a〜100dを得ることができる。そして、最外層であるA層10またはB層20上に上記した二軸延伸フィルム70をラミネートすることによって、本発明の第五実施形態の易開封性共押出フィルム200を得ることができる(二軸延伸フィルム70に印刷層80が形成されているときは、第六実施形態の易開封性共押出フィルム300を得ることができる。)。
本発明の易開封性共押出フィルムは、深絞り包装機を用いて内容物に対応した大きさ及び形状を有する深絞り成形容器用蓋材に成形することができる。本発明の蓋材は、上記した易開封性共押出フィルム100、200により形成される。この蓋材は、例えば、ポリプロピレン樹脂をシーラントとする底材にシールして、深絞り成形容器(例えば、ガスパック容器)として、あるいは、EVOH層およびPP層からなる底材でPP層をシール層とするものにシールして、ゼリー用等の高酸素バリアー容器として好適に用いられる。
実施例1〜4および比較例1〜3において、それぞれに示す製法によってフィルムを作製した。作製したフィルムについて、以下に示す評価方法に従って評価を行った。なお、以下の実施例および比較例において、「/」は共押出、「//」はドライラミネートを示す。
φ65mmの6台の二軸混練押出機を使用して、フィードブロック方式の共押出しによって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的方法により六層積層シートを得た。そして、hrEVOH層上に、OPETフィルム(16μm)をドライラミネート法によりラミネートして、以下に示す層構成を有するフィルムを得た。
OPETフィルム(16μm)//hrEVOH層(A層、10μm)/PA層(B層、15μm)/AD層(C層、5μm)/PP層(D層、32μm)/混合樹脂層(E層、5μm)/特殊PP層(F層、3μm)
各層において用いた樹脂を以下に示す。
OPETフィルム:ダイアホイルH500(三菱化学ポリエステルフィルム社製、二軸延伸品)
hrEVOH層(A層):耐熱性EVOH(クラレ社製 EF−CR)
PA層(B層):66ナイロン比率15質量%の6−66共重合Ny
AD層(C層):アドマーQF500(三井化学社製)
PP層(D層):ホモPP(融点164℃)
混合樹脂層(E層):C4タイプのLLDPE(80質量%)およびタフマーA4085(三井化学社製)(20質量%)の混合物
特殊PP層(F層):メタロセンPP(日本ポリプロ社製、ウインテック)
F層を構成する樹脂として、エチレン−プロピレンランダム共重合体(融点145℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
OPETフィルムの代わりに、裏印刷を施したOPPフィルム(OPU−1、トーセロ社製、二軸延伸品)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
OPETフィルムの代わりに、ONyフィルム(SNR−XT、三菱樹脂社製、二軸延伸品)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
φ65mmの2台の二軸混練押出機を使用して、フィードブロック方式の共押出しによって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的方法により二層積層シートを得た。そして、PP層上に、EVOHフィルム(25μm)、ONyフィルム(25μm)をラミネートして、以下に示す層構成を有するフィルムを得た。
ONyフィルム(25μm)//EVOHフィルム(25μm)//PP層(45μm)/凝集破壊層(5μm)
各層において用いた樹脂を以下に示す。
ONyフィルム:SNR−XT(三菱樹脂社製、二軸延伸品)
EVOHフィルム:耐熱性EVOHフィルム(クラレ社製、EF−CR)
PP層:ホモPP(融点164℃)
凝集破壊層:エチレン−プロピレンランダム共重合体(融点145℃)(70質量%)と低密度ポリエチレン(30質量%)との混合物
φ65mmの2台の二軸混練押出機を使用して、フィードブロック方式の共押出しによって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的方法により二層積層シートを得た。そして、PP層上に、透明蒸着PETフィルム(12μm)、PETフィルム(16μm)をラミネートして、以下に示す層構成を有するフィルムを得た。
PETフィルム(16μm)//透明蒸着PETフィルム(12μm)//PP層(45μm)/低結晶性ポリオレフィン層(5μm)
各層に用いた樹脂を以下に示す。
PETフィルム:ダイアホイルH500(三菱化学ポリエステルフィルム社製、二軸延伸品)
透明蒸着PETフィルム:テックバリアTZ(三菱樹脂社製、二軸延伸品)
PP層:ホモPP(融点164℃)
低結晶性ポリオレフィン層:エチレン−ブテン1共重合体
hrEVOH層(A層)を、エチレン含量38モル%の一般タイプのEVOHを用いたEVOH層として以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたフィルムを蓋材として、底材シートとして共押出フィルム(PP層(230μm)/AD層(20μm)/EVOH層(30μm)/AD層(20μm)/PP層(200μm)(PP層の融点:160℃))を用いて、深絞り包装機R530(ムルチバック社製)にてパック品を作製した。
パック品の作製条件は、以下の通りである。
成形温度:160℃
シール温度:任意
パック品の大きさ:タテ170mm×ヨコ127mmの長方形
シール幅:5mm幅の枠シール
得られたパック品について以下の評価方法により評価した。結果を表に示した。
得られたパック品について、120℃にて20分間、高温殺菌処理を行い、殺菌処理前と、殺菌処理後3日静置後のシール部分におけるヘーズ値を、それぞれ分光光度計で測定した。その結果、測定されたヘーズ値の差が5%以下のものを「○」、5%を超え8%以下のものを「△」、10%を超えるものを「×」として評価した。
蓋材と底材をシールする際に、120℃から10℃ずつシール温度を上げていき、確実にシールが行えた最低シール温度を、シール開始温度とした。シール開始温度が低いほど、シール性が良好であることを示している。
最適シール温度にてシールを行い(目安:シール開始温度+20℃)、シール部を15mm幅の短冊状に切り取り、引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離したときの強度を測定した。10個の試験片の測定値の平均をイージーピール強度(N/15mm幅)とした。
最適シール温度にてシールを行い(目安:シール開始温度+20℃)、シール部を15mm幅の短冊状に切り取り、120℃にて20分間高温殺菌処理を行い、高温殺菌処理後3日静置後、引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離したときの強度を測定した。10個の試験片の測定値の平均をイージーピール強度(N/15mm幅)とした。
上記のイージーピール強度の測定を行った際に、強度のフレが平均値に対して±50%未満のものを「○」、±50%を超えるものを「×」として評価した。
蓋材を剥離した時、正常なイージーピールの層間で剥離できたものを「○」、正常なイージーピールの層間以外で一部分の剥離が生じた場合を「△」、正常なイージーピールの層間以外ですべての剥離が生じた場合を「×」として評価した。
JIS K7126(プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法)に規定される方法に基づいて、23℃、0%湿度のもと、得られたフィルムの酸素透過性の計測を行った。酸素透過率が100ml/m2・day・MPa未満のものを「○」、100ml/m2・day・MPa以上のものを「×」として評価した。
実施例1〜3の本発明の易開封性共押出フィルムを用いた場合は、本発明の蓋材および成形品は、良好な性質を有するものであった。また、実施例4の本発明の易開封性共押出フィルムを用いた場合は、二軸延伸フィルムとして用いたONyフィルムが透湿性を有するフィルムであるため、EVOH層に若干の白化が生じ、高温殺菌処理後の透明性がやや低下し、また、正常なイージーピール層間以外において、部分的な剥離が発生した。
20 PA層(B層)
30 AD層(C層)
40 PP層(D層)
50 混合樹脂層(E層)
60 特殊PP層(F層)
70 二軸延伸フィルム
80 印刷層
100a〜d、200、300 易開封性共押出フィルム
Claims (15)
- 耐熱性エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層(A層)、ポリアミド樹脂層(B層)、接着樹脂層(C層)、ポリプロピレン樹脂層(D層)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と非晶性または結晶化度15%以下のエチレン−αオレフィン共重合体との混合物からなる樹脂層(E層)、およびエチレン−プロピレンランダム共重合体および/またはメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン樹脂からなる樹脂層(F層)の少なくとも6層からなり、
前記耐熱性エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂が、該樹脂からなるフィルムを120℃にて20分間、高温殺菌した際にフィルムが白化しない樹脂である、易開封性共押出フィルム。 - 下記(1)〜(4)から選ばれる層構成を有する請求項1に記載の易開封性共押出フィルム。
(1)A層/B層/C層/D層/E層/F層
(2)A層/B層/C層/F層/E層/D層
(3)B層/A層/C層/D層/E層/F層
(4)B層/A層/C層/F層/E層/D層 - 前記B層のポリアミド樹脂が6ナイロン、6−66共重合ナイロンまたは6ナイロンと6−66共重合ナイロンとの混合物である、請求項1または2に記載の易開封性共押出フィルム。
- 前記D層のポリプロピレン樹脂がプロピレンの単独重合体またはエチレンとプロピレンとのランダム共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 前記D層、E層およびF層から選ばれる少なくとも1層が防曇剤を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 前記E層およびF層の厚みの合計が2μm以上20μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 前記A層、B層、C層、D層およびF層から選ばれる2層の間の層間接着強度が5.88N/15mm幅以上15N/15mm幅以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 前記D層とE層との間のイージーピール強度が2.97N/15mm幅以上14.7N/15mm幅以下の範囲であり、かつ、前記イージーピール強度が前記A層、B層、C層、D層およびF層から選ばれる2層の間の層間接着強度より小さい、請求項1〜7のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 最外層である前記A層またはB層上に、印刷したあるいは無地の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)または二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)をさらに有する、請求項1〜8のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 100℃以上125℃以下、5分以上120分以下の条件下で殺菌処理した後、3日間静置したときのJIS K7126に準拠して測定される酸素透過率が100ml/m2・day・MPa以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 100℃以上125℃以下、5分以上120分以下の条件下で殺菌処理した後、3日間静置したときの前記D層とE層との間のイージーピール強度が2.97N/15mm幅以上14.7N/15mm幅以下の範囲であり、かつ前記A層、B層、C層、D層およびF層から選ばれる2層の間の層間接着強度より小さい、請求項1〜10のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 前記E層における、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と前記非晶性または結晶化度15%以下のエチレン−αオレフィン共重合体との混合比が、70:30〜90:10である、請求項1〜11のいずれかに記載の易開封性共押出フィルム。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の易開封性共押出フィルムにより形成された蓋材。
- 請求項13に記載の蓋材を使用した深絞り成形容器。
- 100℃以上125℃以下、5分以上120分以下の条件下で殺菌処理した後、3日間静置したときのJIS K7105に準拠して測定されるシール部分のヘーズ値と、前記殺菌処理前のヘーズ値との差が10%以下である、請求項14に記載の深絞り成形容器。
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