JP4741759B2 - シート用クッション構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシート用クッション構造に関し、特に、自動車、列車などの乗物用シートに適するシート用クッション構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の自動車用シートは、Sばね、コイルばね、プルマフレックス、ウレタンフォーム及び表皮材等のばね系素材から作られ、座部と背部が分離した置き構造が基本となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の自動車用シートでは、人体の中心線付近と、胸椎、腰椎・骨盤を支持する構造となっているに過ぎず、臀部から腰椎部の中心線上の支持圧が大きい。このため、座骨結節下付近の筋肉部に人体荷重が集中し易く、長時間着座した場合にはしびれが発生する。また、主としてばね系素材から作られているため、ノイズを軽減するフィルターとして機能するが、上下方向に振動が入力された場合には、特に、シート構造体の弾性エネルギーにより、着座者に有害な振動が発生する。また、着座者にローリング、ヨーイングなどの遠心力が作用すると、着座者の上体に揺動が発生しやすい。一方、従来のばね系素材からなるシートでは、座部及び背部の弾性力により反力が大きい、このため、着座動作や起立動作等によってクッション材に小さな荷重で接している際に人が快適に感じするフィット感(なじみ易さ)を向上させる、数mmから十数mmの荷重的なへたりを生じさせることができなかった。
【0004】
本発明は上記した点に鑑みなされたものであり、座骨結節部及びその周辺の筋肉組織に集中する圧力や筋肉に働く剪断力を分散して座り心地を改善すると共に、体圧分散を図ることで、入力振動に伴う人体への振動の伝達特性を改善し、さらに、着座動作及び起立動作時のフィット感を向上させることができるシート構造を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、シートを形成するフレーム、ワイヤ、ベルト部材などの各種支持部材によって支持され、シートの幅方向に張設されるシート用クッション構造であって、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成された三次元立体編物を有してなり、前記三次元立体編物は、下層部のグランド編地において、人体中心線回りに対応する幅方向中央部がその両側に位置する側部よりも相対的に永久ひずみの小さい高剛性部として、人体側部に対応する前記両側の側部の荷重特性におけるヒステリシスロスが前記幅方向中央部よりも相対的に小さく復元性の高い高弾性部として一体的に連続して形成されていることを特徴とするシート用クッション構造を提供する。
請求項2記載の本発明では、前記高弾性部の直径200mmの加圧板で加圧した際のバネ定数が、250N/mm以下であることを特徴とする請求項1記載のシート用クッション構造を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記三次元立体編物における上層部のグランド編地と連結糸とのいずれか少なくとも一方に高減衰部又は高弾性部を設定したことを特徴とする請求項1又は2記載のシート用クッション構造を提供する。
請求項4記載の本発明では、上層部のグランド編地に高弾性部を設定し、連結糸のうち、人体中心線回りに対応する幅方向中央部に高剛性部を、人体側部に対応する、前記幅方向中央部に隣接する両側の側部に高減衰部又は高弾性部をそれぞれ設定したことを特徴とする請求項3記載のシート用クッション構造を提供する。
請求項5記載の本発明では、シートを形成するフレーム、ワイヤ、ベルト部材などの各種支持部材によって支持されて張設される際の無負荷時の張力が伸び率0%近辺であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のシート用クッション構造を提供する。
請求項6記載の本発明では、シートを形成するフレーム、ワイヤ、ベルト部材などの各種支持部材によって支持され、シートの幅方向に張設される第1のクッション材と第2のクッション材とを有するシート用クッション構造であって、前記第1のクッション材は、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成された三次元立体編物を有してなり、前記三次元立体編物は、下層部のグランド編地において、人体中心線回りに対応する幅方向中央部がその両側に位置する側部よりも相対的に永久ひずみの小さい高剛性部として、人体側部に対応する前記両側の側部の荷重特性におけるヒステリシスロスが前記幅方向中央部よりも相対的に小さく復元性の高い高弾性部として一体的に連続して形成されており、前記第2のクッション材は、前記第1のクッション材の裏面側にギャップを介して離間して配設されるものであることを特徴とするシート用クッション構造を提供する。
請求項7記載の本発明では、前記高弾性部の直径200mmの加圧板で加圧した際のバネ定数が、250N/mm以下であることを特徴とする請求項6記載のシート用クッション構造を提供する。
【0006】
(作用)
本発明によれば、着座状態の最終安定姿勢を荷重の平衡点とし、この着座状態にある平衡点付近においては、人体の中心線回りを高剛性部によって伸びを規制して剪断力の発生を小さくし、座骨結節回りの法線方向の力を大きくして安定して支持できると共に、人体側部に対応する部位に配置された復元性の高い高弾性部の復元力により、剪断力の影響が小さくなるため、骨盤を略U字状あるいは略V字状に包み込むようにホールドできる。また、これに加えて、大腿側部の筋、例えば、大腿二頭筋の伸縮方向に沿って応力勾配の小さい座り心地を実現できる。これにより、臀部から腰椎部の中心線上の支持圧を軽減し、血行不良による筋疲労の低減を図ることができる。なお、「人体中心線回り」とは、通常、体格の大きい場合で、人体中心線を挟んだ左右200mm以下に属する領域をいい、平均的な体格の場合で、人体中心線を挟んだ左右150mm以下に属する領域をいう。
【0007】
また、高減衰部を設けた場合には、平衡点に至るまでは、主としてこの高減衰部の荷重的へたりにより、荷重を分担支持する。従って、着座動作及び起立動作時に小さな荷重で接している場合には、荷重的なへたりにより柔らかく沈み込み、フィット感を向上させる。
【0008】
そして、高弾性部の復元力によって高周波帯の振動が吸収されると共に、着座者にローリング、ヨーイングによる遠心力が作用する場合には、高弾性部のばね特性に加えて、高減衰部の減衰作用が機能するため、入力振動に伴って人体に作用する力を吸収する。この結果、全身振動や衝撃性振動が入力された場合でも、頭部と骨盤との相対加速度が小さく、骨盤は回転することなく主に上下方向と前後方向に運動し、振動エネルギーを効率よく分散する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を更に詳しく説明する。図1は第1の実施形態にかかるクッション構造を備えたシート10を示す一部切り欠きの斜視図である。この図に示したように、このシート10は、シートフレーム20と、このシートフレーム20に支持されたクッション材30とを有して構成される。シートフレーム20は、両側部に配置されたパイプ状のサイドフレーム21,22と、このサイドフレーム21,22のそれぞれ下方に配置された第1の補助フレーム23,24と、第1の補助フレーム23,24のさらに下方に配置された第2の補助フレーム25,26を有している。
【0010】
本実施形態のクッション構造は、サイドフレーム21,22間に張設されるクッション材30から構成される。クッション材30は、両側部30a,30aを内側に折り返した上で、サイドフレーム21,22上に位置するように配設されている。これは、サイドフレーム21,22による異物感を軽減するためである。
【0011】
本実施形態のクッション構造は、人体中心線回りに対応する部位に設けられ、他の部位と比較して相対的に永久ひずみの小さい高剛性部と、人体側部に対応する部位に設けられ、他の部位と比較して、荷重特性におけるヒステリシスロスが相対的に小さくて復元性の高い高弾性部との組み合わせからなり、着座して荷重の平衡点付近で高弾性部が作用する構造であればよく、高剛性部及び高弾性部の組み合わせには種々の種類がある。なお、高弾性部は、直径200の加圧板で加圧した際のバネ定数が250N/mm以下であることが内臓の共振点以下となるため好ましく、さらには、200N/mm以下であることがより好ましい。また、着座時のフィット感を向上させるため、及び高弾性部と相俟って振動吸収特性を改善するためには、他の部位と比較して、減衰の大きい高減衰部を設定することが好ましい。但し、減衰性を重視したシート構造にするか、復元性を重視したシート構造にするかにより、高減衰部を含めるとさらに種々の組み合わせがある。
【0012】
図2はその組み合わせの例を示すものである。図2(a),(b)はいずれも、クッション材30を3層構造とし、上層部31を高減衰部又は高弾性部としている。そして、下層部32のうち、人体中心線回りに対応する幅方向中央部32aを高剛性部とし、幅方向中央部32aに連設された側部32b,32cを高弾性部としている。中間層33は、図3(a)に示したように、幅方向中央部33aを高剛性部とし、その両側の側部33b,33cを高弾性部又は高減衰部とすることができるし、また、図3(b)に示したように中間層33の全てを高減衰部又は高弾性部とすることもできる。
【0013】
また、図2(a)に示したように、人体中心線回りに対応する幅方向中央部31a,32a,33aと、人体の一方の体側部に対応する一方の側部31b,32b,33bと、人体の他方の体側部に対応する他方の側部31c,32c,33cとをそれぞれ分断形成して、隣接する端縁同士を下向きにして接合した上で、縫合して形成することもできるし、図2(b)に示したように、幅方向中央部31a,32a,33a、各側部31b,32b,33b及び31c,32c,33cを一体的に連続した形状で形成することもできる。
【0014】
クッション材30の下方にはギャップを介してネット部材40が配設される。ネット部材40は、上記したクッション材30の沈み込み量を規制するために第1の補助フレーム23,24間に配設される。ネット部材40としては、かかる機能を果たすものであればよく、剛性の高いものであってもよいし、減衰性の高いものであってもよい。剛性の高いものを用いた場合には、クッション材30が接することにより、下層部32の幅方向中央部32aに設定された高剛性部による伸び又はひずみを抑制して座骨結節部を支持する機能を補い、減衰性の高いものである場合には、クッション材30の上層部31に設定した高減衰部による減衰機能を補うことができる。
【0015】
本実施形態のクッション材30は、上記した機能を発揮するため、無負荷時において伸び率0%近辺で張設される。すなわち、サイドフレーム21,22間に引っ張らない状態で、むしろ多少弛ませるようにして配設される。
【0016】
積層構造体であるクッション材30としては、上記の高減衰部、高剛性部及び高弾性部の各特性を発揮することができる限り、ファブリック、ニット、モケット、ウレタンフォーム、ポリエステル、原綿素材、ポリエステルフェルト材(主に、高剛性部用)、布状(面状)弾性体(例えば、二次元ネット)及びこれらを任意に組み合わせたもの等を用いて形成することもできるが、三次元立体編物から形成するか、さらには三次元立体編物に上記の各素材を任意に組み合わせて用いることが好ましい。三次元立体編物によれば、素材となる糸やパイルの太さ、材質、目締め力、糸やパイルの配設密度等を調節することにより、上記のような高減衰部、高剛性部及び高弾性部を部分的に設定することも、またたわみを大きくしてストローク感を出すことも容易に行うことができる。すなわち、原反の状態から部分的に異なる特性を有するように編み込み形成することもできるし、各種特性を有する三次元立体編物を積層したり、縫い継いで水平方向に連設するなどして組み合わせて用いることも容易である。また、三次元立体編物によれば、それを構成する糸やパイル(連結糸)により発揮される弾性を平面的に使用するだけでなく、糸やパイルの使用量の調整等により、糸やパイルにより発揮されるたわみや伸びを三次元的に利用でき、上記した直径200mmの加圧板により加圧した場合で250N/mm以下、好ましくは200N/mm以下の柔らかなバネ定数を作ることも容易である。
【0017】
三次元立体編物は、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されている。具体的には、図18に示すように、三次元立体編物100は、互いに離間して配置された一対のグランド編地110,120、該一対のグランド編地110,120間を往復して両者を結合する多数の連結糸130とを有する立体的な三次元構造から構成されている。
【0018】
一方のグランド編地110は、例えば、図19に示したように、単繊維を撚った糸から、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織(細目)によって形成されている。これに対し、他方のグランド編地120は、例えば、図20に示したように、短繊維を撚った糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する、一方のグランド編地110よりも大きな編み目構造に形成されている。もちろん、この編地組織はあくまで一例であり、細目組織やハニカム状以外の編地組織を採用することもできる。連結糸130は、一方のグランド編地110と他方のグランド編地120とが所定の間隔を保持するように、この一対のグランド編地110,120間に編み込んだもので、立体メッシュニットとなっている三次元立体編物100に所定の剛性を付与している。
【0019】
グランド編地110,120を形成するグランド糸の太さ等は、立体編地に必要な腰の強さを具備させることができると共に、編成作業が困難にならない範囲のものが選択される。また、グランド糸としてはモノフィラメント糸を用いることも可能であるが、風合い及び表面感触の柔らかさ等の観点から、マルチフィラメント糸やスパン糸を用いることが好ましい。
【0020】
連結糸130としては、モノフィラメント糸を用いることが好ましく、太さ167〜1100デシテックスの範囲のものが好適である。マルチフィラメント糸では復元力の良好なクッション性を付与できず、また、太さが167デシテックスを下回ると腰の強さが得られにくくなり、1100デシテックスを上回る場合には、硬くなり過ぎて適度な弾性を得ることができないからである。すなわち、連結糸130として上記範囲のモノフィラメント糸を採用することにより、着座者の荷重を、各グランド編地110,120を構成する編目の変形と連結糸130の変形(倒れ及び座屈)により、また、変形した連結糸130にバネ特性を付与する隣接した連結糸130の復元力によって支持することができ、柔らかなバネ特性を有する応力集中の起きない柔構造とすることができる。また、連結糸130間が擦れ合うことにより減衰力が発揮される。
【0021】
グランド糸又は連結糸130の素材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維が挙げられる。上記素材は単独て用いてもよいし、これらを任意に併用することもできる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン系繊維、あるいはこれらの繊維を2種類以上組み合わせたものである。なお、ポリエステル系繊維はリサイクル性に優れており好適である。また、グランド糸又は連結糸130の糸形状も限定されるものではなく、丸断面糸でも異形断面糸等でもよい。
【0022】
連結糸130の配設の仕方(パイル組織)としては、各グランド編地110,120を連結する連結糸130を側面から見た状態で表すと、より具体的には、例えば、図21に示したような種類に分類される。(a),(b)は、グランド編地110,120間に連結糸130をほぼ垂直に編み込んだストレートタイプであり、このうち(a)は8の字状にしてストレートに編んだもので、(b)は単純なストレートに編んだものである。(c)〜(e)は、グランド編地110,120間において、連結糸130が中途で交差するように編んだクロスタイプであり、このうち(c)は8の字状にクロスさせたもの、(d)は単純なクロスに編んだもの、(e)は2本ずつまとめてクロス(ダブルクロス)させたものである。なお、(c)〜(e)に示したように、連結糸130同士を交差させて斜めに配置した場合には、連結糸130をグランド編地110,120間にほぼ垂直に配置した形態と比較して((a),(b)参照)、各連結糸130の座屈強度により十分な復元力を保持しながら、圧縮率の大きな柔らかなバネ特性を付与することができる。
【0023】
以上より、三次元立体編物を用いた場合には、その編み方等によって弾性を大きくしたり、減衰性を大きくしたりすることが容易であり、例えば、一方のグランド編地を形成する際には、編み方や糸の太さの調節などによって減衰比を高くし、他方のグランド編地を形成する際には、その幅方向略中央部においては編み目を小さくして弾性率を低くして剛性を高めたり、各側部においては、復元力の高い糸を使用して復元性を高くしたりすることができる。また、一対のグランド編地間を往復して編み込まれる連結糸として、その配設密度を変えたりすることにより、例えば、幅方向中央付近では配設密度を高くするして剛性を高めた構成としたりすることができる。また、復元力の高い連結糸を用いてそのたわみを利用して復元性を高めたりすることができる。さらに、グランド編地を構成する糸と連結糸との目締め部分の強さを調整し、目締め部分における両者の摩擦力を利用して減衰性を調整することができる。従って、例えば、減衰性又は復元性の高い一方のグランド編地を上層部とし、高剛性部及び高弾性部を有する他方のグランド編地を下層部として配置することにより、図2(a),(b)で示したクッション構造を容易に設定することができる。
【0024】
また、三次元立体編物は、三層構造となっていることが基本であるため、このように、一枚用いるだけでも、高減衰部、高剛性部及び高弾性部という異なる特性を部分的に設定することができる。しかしながら、三次元立体編物を複数枚用いて積層し、例えば、その上層部として減衰性又は復元性の高いものを用い、中間層としては、減衰性の高いもの、あるいは高剛性部と高弾性部を有するものを用い、さらに、下層部としては、幅方向略中央部に高剛性部を有し、その両側に高弾性部を有する構造のものを用いるようにしてもよい。
【0025】
本実施形態によれば、人が着座してクッション材30に接触すると、例えば、上層部31を高減衰部とした場合には、この高減衰部からなる上層部31が荷重的なへたりによりたわむ。このため、小さな荷重領域においては、人体に対する反力がほとんどなく、高いフィット感(なじみ易さ)が得られる。そして、着座状態の最終安定姿勢である荷重の平衡点付近に至ると、人体の中心線回りに対応する幅方向略中央部32aに形成した高剛性部によって、必要以上の伸びが抑制され、いわば剛体の上に着座したようになり、法線方向の力によって人体の大きな沈み込みを防止しつつ安定して支持する。また、側部32b,32cに形成した高弾性部が作用するため、人体側部に対して、シートの背部及び座部共に、帯状にかつ法線方向に支持圧が付与され、略U字状又は略V字状の形状により骨盤を包み込むようにホールドする。このため、臀部から腰椎部の中心線上の支持圧を軽減し、血行不良による筋疲労の低減を図ることができる。
【0026】
次に、本発明の第2の実施形態にかかるクッション構造を図4〜図8に基づき説明する。図4及び図5に示したように、本実施形態では、両サイドに、互いに内面側を向かい合わせて配置した断面略L字状の板状フレーム51,52を有している。また、この板状フレーム51,52の下方であってそれぞれの外側にはつり込み用フレーム53,54がそれぞれ配置されている。そして、本実施形態では、クッション構造を構成する第1のクッション材60を、つり込み用フレーム53,54に対して、被覆用布55,56を介して張設し、第2のクッション材70を、板状フレーム51,52に張設している。
【0027】
すなわち、本実施形態では、第1のクッション材60と第2のクッション材70とを合わせて本発明のクッション構造を構成するものである。第1のクッション材60は、他の構成部位(構成部材)と比較して相対的に減衰の大きい高減衰部を有する。第1のクッション材60としては、例えば、20mm前後の薄いウレタンフォーム、織物、編物、本革等を用いることもできるし、上記第1の実施形態と同様に三次元立体編物を用いることもできる。本実施形態では、三次元立体編物を用いているが、三次元立体編物を用いる場合、本実施形態では、高剛性部及び高弾性部を第2のクッション材70に設定する構成であるため、第1のクッション材60を構成する三次元立体編物は、各グランド編地及び連結糸の素材、太さ、配設密度等の構成は、高い減衰が発揮される構成で製作される。また、第1のクッション材60を構成する三次元立体編物は、一枚だけ用いる構成としてもよいし、複数枚積層して用いる構成としてもよい。この場合、図5に示したように、減衰の高い三次元立体編物の裏面に、弾性感を補うため、比較的復元力の高い補助用の薄手の三次元立体編物(補助クッション部材)61やその他の二次元ネット(編物、織物)等からなる布状(面状)弾性体を配設することもできる。
【0028】
第1のクッション材60及び補助クッション部材61の外側部には、上記のように被覆用布55,56が縫合されており、被覆用布55,56の端部に縫合により固定した略U字状の合成樹脂製プレート部材(セットプレート)57,58をつり込み用フレーム53,54に係合させることにより張設される。
【0029】
第2のクッション材70は、幅方向略中央部に他の構成部位(部材)と比較して相対的に永久ひずみの小さい高剛性部を形成する、例えば、伸び量の極めて小さい繊維を使って形成された帆布やアラミド繊維などから形成される高剛性布材71が配設されている。また、この高剛性布材71の両側部には、荷重特性におけるヒステリシスロスが他の構成部位(他の構成部材)と比較して相対的に小さくて復元力の高い高弾性部を形成する布状弾性部材72,73が配設されている。なお、布状弾性部材72,73としては、布材、ネット材、ゴム材及びそれらの複合部材などを用いることができる。各布状弾性部材72,73は、高剛性布材71の各側部と各板状フレーム51,52とのそれぞれの間に張設するだけでもよいが、図5に示したように、一端を略L字状の板状フレームの頂部に固定すると共に、中間部を高剛性布材71の各側部に縫い合わせて連結し、さらに、他端を、下方に位置する各板状フレーム51,52の内側端にクリップ78などを用いて係止することで、布状弾性部材72,73に略水平部721,731と略垂直部722,732を形成する構成とすることもできる。このような構成とすることで、図5(b)に示したように、着座により荷重がかかった場合に、略水平部721,731の伸縮による弾性力のほか、略垂直部722,732の伸縮による弾性力も発揮される。また、略垂直部722,723によって振動入力時における上方向への反力を抑制することもできる。
【0030】
また、布状弾性部材72,73は、単独で用いることもできるが、復元力を補うために、補助用布状弾性部材75,76を積層して張設することもできる。図5では、この補助用布状弾性部材75,76を、布状弾性部材72,73の略水平部721,731のみに積層しているが、略垂直部722,732にも積層できることはもちろんである。また、布状弾性部材72,73の略水平部721,731の張力方向(図5の幅方向)の長さを、補助用布状弾性部材75,76の張力方向の長さよりも長くし、図5に示したように、布状弾性部材72,73の略水平部721,731が、補助用布状弾性部材75,76よりもたるむように積層することにより、両者の復元力が段階的に作用する構成とすることができる。図5に示した態様では、ある荷重値に至ると、まず、補助用布状弾性部材75,76の復元力が作用し、さらに負荷が大きくなって所定の荷重値に至ると、布状弾性部材72,73の復元力が作用する。すなわち、2つの弾性部材が、所定の荷重値に至るまでは、直列配列されているように段階的に作用するとと共に、所定の荷重値に至った場合には両者が並列的に作用することで、体格差(体重差)に応じた復元力を発揮でき、体重差に拘わらず、底付き感を軽減することができる。
【0031】
布状弾性部材72,73は、高剛性布材71の奥行き方向全体にわたって、図6(a)に示したように、それぞれ長尺に形成した一枚の部材として連結することもできるが、図6(b)に示したように、短く形成した複数枚の部材72a,73aを間隔をおいて高剛性布材71の奥行き方向に配置して連結し、あるいは一枚の部材に切り込みを入れるなどして連結し、すなわち、布状弾性部材72,73を複数の部分に分断した状態で連結する構成とすることもできる。このように配置することにより、一枚の面積の大きい状態と比較して、ひきつれ方向の弾性の作用を小さくでき、布状弾性部材72,73を構成する分断された各部材72a,73aがそれぞれの配設位置に応じて適切な復元力を発揮できる。この結果、荷重をより分散し、反力を小さくすることもできる。また、分断した各部材72a,73aの大きさ(面積)や隣接する各部材72a,72a間又は73a,73a間の間隔を調節することにより、配設位置によってバネ定数の異なる構造とすることもできる。
【0032】
本実施形態のクッション構造を座部に設定する場合、図6に示したように、高剛性布材71の前端縁と後端縁にはゴム材77,78などの他の布状弾性部材をそれぞれ縫合連結し、図7に示したように、これらを前端フレームと後端フレームに係合させることにより、上記布状弾性部材72,73と相俟って、前後方向により高い復元力を発揮させ、姿勢支持性能及び振動吸収機能を向上させることができる。
【0033】
なお、本実施形態のクッション構造を構成する第1のクッション材60は、張力0%近辺で張設し、第2のクッション材70は、張力0%以上で張設することが好ましい。これにより、第1のクッション材60ではそれ自身の減衰性を損なうことがなく、人体形状とのフィット感を増すことができ、また、第2のクッション材70では、高剛性布材71による法線方向の支持力を確実に発揮させることができると共に、布状弾性部材72,73の平衡状態で作用する復元力により、任意の負荷質量に対して適当なストロークで荷重を支持することができる。また、図5に示したように、第1のクッション材60と第2のクッション材70との間には無負荷時において所定量のギャップが形成されるように張設することが好ましい。これにより、着座時等において第1のクッション材60がギャップ内をたわんでいる間、その張力がソフトにかつ人体形状に沿って小さな剪断力で人体に作用するため、人体への拘束感を上げることなく、フィット感を向上させることができる。
【0034】
本実施形態によれば、着座時等においては、減衰性の高い第1のクッション材60のみがたわむ。そして、平衡点付近に至ると、第1のクッション材60が第2のクッション材70に接し、第2のクッション材70の張力も人体に作用する。この際、本実施形態によれば、高剛性布材71の作用によって、人体を支えると共に、布状弾性部材72,73による復元力が作用して、振動を吸収したり、底付き感を軽減する。これにより、座骨結節下で主荷重を支持できると共に、体側部に沿った法線方向の支持圧が発生するため、体圧分散効果が向上する。特に、高剛性部と高弾性部の境界付近においては、高剛性部の法線方向の力と高弾性部の復元力との両方が作用し、体側部に沿ってフィットして体側支持力が発揮される。仮に、高弾性部を構成する部材として、上記した布状弾性部材ではなく、金属バネを採用した場合には、その反力により人体に対して異物感を感じさせることになるため、金属バネを採用する場合には、その異物感を軽減するために、金属バネ上に位置する減衰性の高い第1のクッション材60の層を厚くするなどの対策をほどこす必要が生じる。このため、高弾性部として金属バネを用いた場合には、体側支持力を十分には発揮させることができない。また、本発明によれば、第2のクッション材70における剛性と復元力によって、第2のクッション材70を配置していない状態と比較すると、着座者の体重差によって生じる第1のクッション材60のたわみ量の差を小さくすることができる。
【0035】
ここで、図9は、サイドフレームに対して金属バネでプルマフレックスの両側部を吊り下げ支持した状態で、該金属バネの略中央部に対し、径方向(金属バネの張設方向に対して略直交する曲げ方向)に直径30mmの加圧板により、変位量10mmまで、20mmまで及び30mmまで、それぞれ荷重をかけた場合と、図5に示したように、高剛性布材71を、本実施形態の高弾性部により、すなわち、布状弾性部材72,73と補助用布状弾性部材75,76との積層構造体により支持した状態で、該布状弾性部材72,73の略中央部に対し、略垂直方向に直径30mmの加圧板により、変位量10mmまで、20mmまで及び30mmまで、それぞれ荷重をかけた場合の荷重特性を示す図である。なお、金属バネと、布状弾性部材72,73及び補助用布状弾性部材75,76(高弾性部)とは、両者の引っ張り方向の荷重特性がほぼ等しい領域となるように張設した。また、布状弾性部材72,73としては復元性の高い糸を使用してなる三次元立体編物を用い、補助用布状弾性部材75,76としては、ゴム材を使用した。また、図9には、人の臀部の筋肉に直径30mmの加圧板により40Nまで荷重をかけた場合の荷重特性を併せて示した。
【0036】
図9から明らかなように、金属バネの荷重特性は、本実施形態の布状弾性部材72,73と補助用布状弾性部材75,76との積層構造体の荷重特性と比較して2倍以上高く、人の臀部の荷重特性と比較して非常に高い。これに対し、本実施形態の布状弾性部材72,73と補助用布状弾性部材75,76との積層構造体の場合には、人の臀部の荷重特性より高いものの、金属バネと比較すると臀部の荷重特性に接近している。従って、人の筋肉に接した場合には、金属バネを、筋肉を大きく変形させるような異物として感じるのに対し、本実施形態の布状弾性部材72,73と補助用布状弾性部材75,76との積層構造体の場合には、人の筋肉にフィットし易いことがわかる。
一方、図10は、サイドフレームに対して金属バネでプルマフレックスの両側部を吊り下げ支持した状態で、直径98mmの加圧板により、金属バネとプルマフレックスとの境界を中心として、金属バネとプルマフレックスを半々ずつ、変位量10mmまで、20mmまで、30mmまで、それぞれ荷重をかけた場合と、高剛性布材71を、本実施形態の高弾性部により、すなわち、布状弾性部材72,73と補助用布状弾性部材75,76との積層構造体により支持した状態で、直径98mmの加圧板により、高剛性部材71と高弾性部との境界を中心として、両者を半々ずつ、略垂直方向に変位量10mmまで、20mmまで、それぞれ荷重をかけた場合の荷重特性を示す図である。また、図10には、人の臀部の筋肉に直径98mmの加圧板により100Nまで荷重をかけた場合の荷重特性を、上記金属バネ及び高弾性部の荷重特性とバネ定数がほぼ共通する範囲で重畳するように示している。
金属バネとプルマフレックスのように硬い材質で作った場合には、通常、ヒステリシスロスが小さく、たわみにくくなり、バネ定数も大きくなる。これに対し、本実施形態の布状弾性部材72,73と補助用布状弾性部材75,76との積層構造体のように、柔らかな材質でバネ構造を作った場合には、金属バネ等と比較した場合には、ヒステリシスロスが大きく、たわみ方向のバネ定数が小さくなり、筋肉の特性に近づく。このことは、図9の30mmの加圧板で加圧した荷重特性を見れば明らかである。しかしながら、図10に示したように、98mmの加圧板により、金属バネとプルマフレックスを半々ずつ押圧した場合のバネ定数と、高剛性布材71と高弾性部とを半々ずつ押圧した場合のバネ定数とは、いずれも約7.1N/mmでほぼ同じである。また、所定の変位量における筋肉のバネ定数6.9N/mmの値と比較しても大きな差はない。直径98mmというと、通常の体格の人間の臀部の片側の幅あるいは太股の片側の幅にほぼ相当するが、このような広い面積においては、高剛性布材71と高弾性部との組み合わせによっても、金属バネとプルマフレックスとを組み合わせたものとほぼ同様に、筋肉とほぼ同じ荷重特性を発揮できることを示すものである。
すなわち、本実施形態の高剛性布材71と、布状弾性部材72,73と補助用布状弾性部材75,76との積層構造体からなる高弾性部との組み合わせは、広い面積では筋肉とほぼ同じバネ特性により、筋肉への負担を軽減できると共に、30mmの加圧板で曲げ方向に集中的に加圧した図9の荷重特性から明らかなように、大腿部や大腿部付近の部位が、本実施形態の高弾性部に当接しても、異物感を感じず、大腿側部にフィットして法線方向への支持圧を発生しやすい構成であることがわかる。
【0037】
なお、図8に、第2の実施形態の他のバリエーションを示す。この態様では、第1の実施形態のものと同様のパイプ状のサイドフレーム21,22間に第1のクッション材60を張設している一方で、第2のクッション材70を、第1のクッション材60に対して所定のギャップを介して補助フレーム材23,24間に張設している。また、布状弾性部材72,73を、高剛性布材71に連結して、略水平方向に張設しているのみで、図5に示した態様のように略垂直方向には張設していない。
【0038】
図11〜図14は、第2の実施形態のさらに他のバリエーションを示す図である。これらの図に示したように、この態様では、三次元立体編物、ウレタンフォーム、本革あるいはそれらの複合部材等から構成される第1のクッション材60に対して所定のギャップを介して第2のクッション材70を配置している点では、図5ないし図8に示した態様と同様である。但し、第2のクッション材70を構成する高弾性部と高剛性部とを上下方向に離間させて配置し、両者間ギャップを設けた点で、図5ないし図8に示した態様と異なる。
【0039】
まず、図11に示した態様では、略L字状の板状フレーム51,52の上端縁間に、取り付け用布材70aを介して、高弾性部を形成する布状弾性部材70bを配設する。また、布状弾性部材70bに対し、少なくとも幅方向略中央付近において所定のギャップを有するように弛ませた状態で、取り付け用布材70aを介して高剛性部を形成する高剛性布材70cを配設する。さらに、略L字状の板状フレーム51,52の下端縁と高剛性布材70cとの間には、布状弾性部材70bによる復元力を補助する補助用弾性部材70dを図において略垂直方向に配設している。
【0040】
図11に示した態様によれば、第1のクッション材60が所定量たわむと、第2のクッション材70の布状弾性部材70bにまず接し、この布状弾性部材70bの復元力が単独で作用し始め、さらに、所定量たわむと、高剛性布材70cの剛性による法線方向の力が作用する。これに対し、図5に示した態様では、第1のクッション材60と第2のクッション材70との間にギャップを有するのみで、第2のクッション材70にはギャップを有しておらず、第1のクッション材60の下方に直接高剛性部が配されている。従って、図11に示した態様の場合には、図5に示した態様と比較すると、底付感の低減効果が大きい。このため、図11に示した態様の場合には、第1のクッション材60として、より薄手のクッション材を用いることも可能である。
【0041】
図12に示した態様は、補助用弾性部材70dを図11に示した態様よりもテンションが低くなるように緩く張設した構造である。従って、補助用弾性部材70dの復元力が図11に示した態様のものよりも小さい。すなわち、図11及び図12は、補助用弾性部材70dの張り方によって、人体に作用する復元力を種々設定できることを示したものである。
【0042】
図13及び図14は、幅方向略中央部に高剛性部である高剛性布材71を有し、その両側部に高弾性部である布状弾性部材72,73を配置している点では、図5に示したものと同様である。但し、これらの図に示した態様では、高剛性部である高剛性布材71に対してギャップを介して、すなわち、第1のクッション材60と高剛性布材71との間であって、いずれに対してもギャップをおいてさらに他の高弾性部である布状弾性部材70eを配置したことを特徴とする。
【0043】
これにより、図11及び図12に示したものと同様に、第1のクッション材60が所定量たわんだ後、第2のクッション材70の一部を構成する他の布状弾性部材70eが単独でたわんで復元力を作用する荷重領域が設けられることになり、底付感の低減に資することができる。なお、図13に示した構造と図14に示した構造とでは、他の布状弾性部材70eと高剛性布材71とのギャップの大きさが異なるが、これは、剛性感が発揮されるまでの初期たわみに対応する荷重領域を種々設計変更できることを例示したものである。
【0044】
図15は、本発明の第3の実施形態にかかるクッション構造の例を示す図である。この実施形態では、サイドフレーム21,22間に張設した第1のクッション材80に対し、その下方にギャップをおいて、全体が相対的にヒステリシスロスが小さく復元性の高い高弾性部を構成する布材やネット材からなる第2のクッション材90を配設した構造である。第1のクッション材80としては、例えば、三次元立体編物を用い、図2及び図3に示したものと同様に、下部層のグランド編地における人体中心線回りに対応する部位に高剛性部を設定して、その両側部に高弾性部を形成したものを用いることができる。また、上部層を形成するグランド編地や中間層を形成する連結糸としては、高減衰部、高剛性部又は高弾性部のいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせることにより所望のクッション特性を有する構造とすることができる。
【0045】
本実施形態においても、第1のクッション材80の下方にギャップを有するため、着座時等においては、第1のクッション材80がソフトな当たり感でたわむと共に、荷重の平衡点においては、第1のクッション材80に設定した高剛性部の法線方向の力により座骨結節下が確実に支持されると共に、第2のクッション材90の復元力によって体側部に支持圧が付与されて荷重が分散される。また、第2のクッション材90の弾性作用により振動吸収特性、特に高周波帯における振動吸収特性が向上する。
【0046】
図16及び図17(a)〜(c)は、第3の実施形態の他のバリエーションを示す図である。図16及び図17(a)は、第1のクッション材80の折り曲げ部の内側に、任意のフレームなどに吊り下げ支持させた張力構造体である第1のベルト部材95を配設し、第1のベルト部材95によって第1のクッション材80を支持すると共に、同じく、任意のフレームなどに吊り下げ支持させた張力構造体である第2のベルト部材96に対して、合成樹脂製のセットプレート96aを用いて第1のクッション材80の側部を支持した構成である。図17(b)は、図17(a)と異なり、第2のベルト部材96とセットプレート96aのみによって第1のクッション材80を支持した構成である。
【0047】
任意のフレームに支持された各ベルト部材95,96によって第1のクッション材80を支持することにより、第1のクッション材80が、各フレームに対して浮き上がった状態で支持されることになるため、フレームの硬い当たり感を軽減するのに役立つ。また、セットプレート96aとして、張力方向(幅方向)には拘束力があるが、それと直交する方向に対して自由度を有するものを用いることにより、その弾性によって底付き感を軽減するのに役立つ。
【0048】
図17(c)は、図17(a),(b)と同様に、第1のベルト部材95上に第1のクッション材80を支持すると共に、逆L字状に配置した板状フレーム97,98に対して、セットプレート96aを用いて第1のクッション材80の側部を係合した構成である。そして、この板状フレーム97,98として、所定の弾性力のある素材や形状等を選択している。これにより、各フレームに対する当たり感を軽減すると共に、上下方向ないしは体側部に対する法線方向の復元性が利用されることにより、体側部の支持を補助し、振動吸収特性の向上に役立つ。
【0049】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記した説明では、第1のクッション材と第2のクッション材との間だけでなく、第2のクッション材を構成する部材間にもギャップを形成した態様を、第2の実施形態においてのみ説明しているが、他の実施形態でもかかる構造を採用することはもちろん可能である。また、各クッション材を支持するフレーム、ワイヤ、ベルト部材などの各種支持部材自体が、他の任意の支持部材により吊り下げ支持された張力構造体である態様については、第3の実施形態のバリエーションとして例示しているに過ぎないが、かかる構造を他の実施形態で採用できることももちろんである。
【0050】
【発明の効果】
本発明のシート構造は、人体中心線回りに対応する部位に設けられ相対的に永久ひずみの小さい高剛性部と、人体側部に対応する部位に設けられ、ヒステリシスロスが相対的に小さく復元性の高い高弾性部との組み合わせからなり、前記高弾性部が荷重の平衡点付近で作用するように設けられている。このため、人体の中心線回りを高剛性部によって伸びを規制して剪断力の発生を小さくし、法線方向の力によって人体を安定して支持すると共に、人体側部に対応する部位に配置された高弾性部の復元力及び高弾性部と高剛性部の境界付近における法線方向の合力による支持圧が付与されるため、骨盤を包み込むようにホールドできる。また、大腿側部の筋、例えば、大腿二頭筋の伸縮方向に沿って支持力の勾配は小さいが弾性感のある座り心地を実現できる。これにより、臀部から腰椎部の中心線上の支持圧を軽減し、血行不良による筋疲労の低減を図ることができる。また、高減衰部を設けた場合には、平衡点に至るまでは、主としてこの高減衰部により、荷重を分担支持する。従って、着座動作及び起立動作時に小さな荷重で接している場合には、柔らかく沈み込む荷重的なへたりを生じ、フィット感を向上させることができる。
【0051】
また、高弾性部の弾性力によって高周波帯の振動やクレストファクターの大きい衝撃性振動も吸収されるため、ランダム波の吸収性に優れると共に、着座者にローリング、ヨーイングによる遠心力あるいは低周波帯の衝撃性振動が作用する場合には、高弾性部のばね特性に加えて、高減衰部の減衰作用が機能するため、高い緩衝機能を有し、入力振動に伴って人体に作用する力を効率よく吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシート構造の第1の実施形態を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1のA−A’矢視図であって、高剛性部と高弾性部とを縫い継いで形成した態様を示す図であり、図2(b)は、両者を一体に形成した態様を示す図である。
【図3】図3(a),(b)は、クッション材に対する高剛性部、高弾性部、高減衰部の組み合わせの例を示す図である。
【図4】図4は、本発明のシート構造の第2の実施形態を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図5】図5は、図4のA方向矢視図であり、(a)は無負荷時の状態を示す図であり、(b)は着座により荷重の平衡点となっている状態を示す図である。
【図6】図6(a),(b)は、第2の実施形態で用いた布状弾性部材のバリエーションを示す図である。
【図7】図7は、前端フレーム及び後端フレームに対して、ゴム材を取り付けた状態を示す一部斜視図である。
【図8】図8は、第2の実施形態の他の態様を示す断面図である。
【図9】図9は、直径30mmの加圧板を用いて測定した第2の実施形態の高弾性部と金属バネとの荷重特性の差を示すグラフである。
【図10】図10は、直径98mmの加圧板を用いて測定した第2の実施形態の高弾性部と金属バネとの荷重特性の差を示すグラフである。
【図11】図11は、第2のクッション材にギャップを形成した第2の実施形態の他の態様を示す図である。
【図12】図12は、第2のクッション材にギャップを形成した第2の実施形態のさらに他の態様を示す図である。
【図13】図13は、第2のクッション材にギャップを形成した第2の実施形態のさらに他の態様を示す図である。
【図14】図14は、第2のクッション材にギャップを形成した第2の実施形態のさらに他の態様を示す図である。
【図15】図15は、本発明のシート構造の第3の実施形態を示す断面図である。
【図16】図16は、第3の実施形態の他の態様を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図17】図17(a)は、図16のB−B’矢視図である。図17(b),(c)は、それぞれ、第3の実施形態のさらに他の態様を示す断面図である。
【図18】図18は、上記各実施形態で使用可能な三次元立体編物の一例の構成を示す断面図である。
【図19】図19は、一方のグランド編地の一例を示す図である。
【図20】図20は、他方のグランド編地の一例を示す図である。
【図21】図21は、連結糸の各種配設の仕方を例示した図である。
【符号の説明】
10 シート
20 シートフレーム
21,22 サイドフレーム
23,24 第1の補助フレーム
30 クッション材
40 ネット部材
51,52 板状フレーム
60 第1のクッション材
70 第2のクッション材
71 高剛性布材
72,73 布状弾性部材
80 第1のクッション材
90 第2のクッション材
100 三次元立体編物
110 一方のグランド編地
120 他方のグランド編地
130 連結糸

Claims (7)

  1. シートを形成するフレーム、ワイヤ、ベルト部材などの各種支持部材によって支持され、シートの幅方向に張設されるシート用クッション構造であって、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成された三次元立体編物を有してなり、
    前記三次元立体編物は、下層部のグランド編地において、人体中心線回りに対応する幅方向中央部がその両側に位置する側部よりも相対的に永久ひずみの小さい高剛性部として、人体側部に対応する前記両側の側部の荷重特性におけるヒステリシスロスが前記幅方向中央部よりも相対的に小さく復元性の高い高弾性部として一体的に連続して形成されていることを特徴とするシート用クッション構造。
  2. 前記高弾性部の直径200mmの加圧板で加圧した際のバネ定数が、250N/mm以下であることを特徴とする請求項1記載のシート用クッション構造。
  3. 前記三次元立体編物における上層部のグランド編地と連結糸とのいずれか少なくとも一方に高減衰部又は高弾性部を設定したことを特徴とする請求項1又は2記載のシート用クッション構造。
  4. 上層部のグランド編地に高弾性部を設定し、連結糸のうち、人体中心線回りに対応する幅方向中央部に高剛性部を、人体側部に対応する、前記幅方向中央部に隣接する両側の側部に高減衰部又は高弾性部をそれぞれ設定したことを特徴とする請求項3記載のシート用クッション構造。
  5. シートを形成するフレーム、ワイヤ、ベルト部材などの各種支持部材によって支持されて張設される際の無負荷時の張力が伸び率0%近辺であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のシート用クッション構造。
  6. シートを形成するフレーム、ワイヤ、ベルト部材などの各種支持部材によって支持され、シートの幅方向に張設される第1のクッション材と第2のクッション材とを有するシート用クッション構造であって、
    前記第1のクッション材は、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成された三次元立体編物を有してなり、
    前記三次元立体編物は、下層部のグランド編地において、人体中心線回りに対応する幅方向中央部がその両側に位置する側部よりも相対的に永久ひずみの小さい高剛性部として、人体側部に対応する前記両側の側部の荷重特性におけるヒステリシスロスが前記幅方向中央部よりも相対的に小さく復元性の高い高弾性部として一体的に連続して形成されており、
    前記第2のクッション材は、前記第1のクッション材の裏面側にギャップを介して離間して配設されるものであることを特徴とするシート用クッション構造。
  7. 前記高弾性部の直径200mmの加圧板で加圧した際のバネ定数が、250N/mm以下であることを特徴とする請求項6記載のシート用クッション構造。
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