JP2003180481A - 座席構造 - Google Patents

座席構造

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JP2003180481A
JP2003180481A JP2001387104A JP2001387104A JP2003180481A JP 2003180481 A JP2003180481 A JP 2003180481A JP 2001387104 A JP2001387104 A JP 2001387104A JP 2001387104 A JP2001387104 A JP 2001387104A JP 2003180481 A JP2003180481 A JP 2003180481A
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cushion material
tension
dimensional
damping
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English (en)
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Yoshinori Fujita
悦則 藤田
Kazuyoshi Chigara
一義 千▲柄▼
Seiji Kawasaki
誠司 川崎
Yumi Ogura
由美 小倉
Naoteru Ochiai
直輝 落合
Yasuhide Takada
康秀 高田
Yoshio Kikusui
美穂 菊水
Shigeyuki Kojima
重行 小島
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Delta Tooling Co Ltd
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Delta Tooling Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大きな減衰比により反力を小さくして人体の跳
ね上がりを抑える。 【解決手段】 張力構造体である座部用クッション材1
4に膨出部11を形成する。そして、入力振動の励振力
の大きさに応じて、張力構造体の平面波によって生じる
変形によるひずみエネルギーと張力の変化を変化して、
作用する減衰特性が変化する構造を有している。従っ
て、励振力の小さな入力に対しては小さな減衰比で減衰
特性が作用するため、座部用クッション材14及び/又
は背部用クッション材24のバネ性による位相差によっ
て除振することができ、励振力の大きな入力に対しては
ひずみエネルギーの増加と張力の低下により、大きな減
衰比と長い作用時間で減衰特性が作用し、人体の跳ね上
がりを少なくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は座席構造に関し、よ
り詳しくは、航空機、列車、船舶、フォークリフト、自
動車などの輸送機器用の座席、あるいは住居内外で使用
される各種の椅子として適する座席構造に関する。
【0002】
【従来の技術】航空機、列車、船舶、自動車用座席など
に用いられるクッション材としては、ポリウレタンフォ
ーム、あるいはポリウレタンフォームと金属バネとの組
み合わせで構成されるものが一般的である。そして、ポ
リウレタンフォームの有するバネ特性と減衰特性のう
ち、振動吸収性能とストローク量に鑑み、通常、前者の
バネ特性を重視した設計となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人体の
臀部の形状や背の骨格形状(S字形状)には個人差があ
り、座席の座部又は背部と人体とが十分にはフィットせ
ず、座部や背部に対する人体の当たり具合に偏りが生
じ、体圧分散性能の点で改善の余地がある。また、上記
のような乗物用シートにおいては、衝突などによる衝撃
エネルギーをより効率よく吸収することが常に求められ
ている。
【0004】一方、本発明者らは、クッション材として
三次元立体編物を用いた輸送機器用の座席構造をこれま
でに種々提案している。特に、三次元立体編物は、薄型
でありながら、フレームに張設されて張力構造体として
設けられることによりその張力場を利用できるため、ポ
リウレタンフォームと比較して遜色のないクッション特
性(バネ特性や減衰特性)を示すと共に、通気性にも優
れている。そして、この三次元立体編物をクッション材
として用いる場合、三次元立体編物の変形による減衰特
性を十分に発揮させるために、無負荷時においてサイド
フレーム間に張力をほとんどかけることなく設け、静的
な着座状態においても5%以下の伸びになるように設定
している。
【0005】しかしながら、座席幅の狭いもの、例え
ば、座席幅が380mm〜400mm前後しかない座席
構造の要求もある。このような狭い座席幅に対して三次
元立体編物を伸び率がほとんどないように緩く設けた場
合には、三次元立体編物が薄型であることから、座席側
部のフレームに肩峰、肩胛骨、臀部、骨盤が近接するた
め、着座時においてそれらの異物感を感じやすくなる。
【0006】これを解決するために、三次元立体編物
を、所定の張力をかけて張設することによって、着座時
の沈み込みを小さくする手段が考えられる。しかしなが
ら、これでは、着座時のストローク感がなくなり、着座
者にとってはフィット感のない硬い座り心地になると共
に、前後振動が入力された場合には、尻滑りが生じやす
くなる。また、着座時のバネ定数が高くなるため、大振
幅の振動のような大きな励振力が入力された際の振動吸
収特性の点でも問題が残る。
【0007】本発明は上記に鑑みなされたものであり、
座部用クッション材及び背部用クッション材のいずれか
少なくとも一方に所定の張力場を形成し、バネ特性より
も減衰特性を重視した構造とすることにより、特に衝撃
力が入力されるような大変形時には、大きな減衰比によ
り反力を小さくして人体の跳ね上がりを抑えることがで
きると共に、衝撃力を減衰して人体へ入力される衝撃力
を緩和し、一方、励振力の小さな入力に対しては減衰特
性の作用を小さくしてバネ特性による除振性能を損なう
ことのない座席構造を提供することを課題とする。これ
に加え、クッション材として三次元立体編物を用いた場
合には、従来の三次元立体編物を用いた座席構造と比較
して、フレームの人体に対する異物感をより軽減し、か
つストローク感を増すことができる座席構造を提供する
ことを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、請求項1記載の本発明では、座部用クッション材
及び背部用クッション材を含んでなり、弾性体による張
力構造体に設けられる張力場を有するクッション材を備
え、前記座部用クッション材及び背部用クッション材の
うち、少なくとも一方は、入力となる励振力の大きさに
応じてひずみエネルギーが変化することにより接線方向
の張力が変化する構造に形成されており、励振力の小さ
な入力に対しては小さな減衰比で減衰特性が作用し、励
振力の大きな入力に対しては大きな減衰比で減衰特性が
作用するように、入力となる励振力の大きさに応じて異
なる減衰特性を示すことを特徴とする座席構造を提供す
る。請求項2記載の本発明では、前記クッション材が、
平面上の伸びやすい方向を座部の前後方向及び背部の上
下方向にそれぞれ沿わせると共に、座部と背部の境界部
付近の配設位置を拘束することにより、前記境界部付近
よりも前方に位置する座部用クッション材の任意部位及
び/又は前記境界部付近よりも上方に位置する背部用ク
ッション材の任意部位を自由端とする振動系を形成して
おり、前記振動系が形成された前記座部用クッション材
と背部用クッション材の少なくとも一方においては、入
力となる励振力の大きさに応じて弾性体による張力構造
体のひずみエネルギーが変化することにより接線方向の
張力が変化し、少なくとも他方においては張力構造体の
法線方向に相対的に高いバネ特性を示す部位を有し、こ
れらの異なる特性の複合作用によって前記クッション材
の法線方向に入力される励振力を接線方向の励振力に分
散可能な構造であることを特徴とする請求項1記載の座
席構造を提供する。請求項3記載の本発明では、前記入
力となる励振力の大きさに応じて減衰比の異なる減衰特
性を発揮可能な座部用クッション材と背部用クッション
材のいずれかが、互いに離間して配置された一対のグラ
ンド編地同士を連結糸で結合してなる三次元立体編物か
ら形成され、座部又は背部に設けられるサイドフレーム
間に無負荷時において伸び率30%以下で張設されると
共に、人体との接触範囲中に、座部においては上方に、
背部においては前方にそれぞれ膨出する頂部を備えたキ
ャンバー形状となるように設けられていることを特徴と
する請求項1又は2記載の座席構造を提供する。請求項
4記載の本発明では、前記座部用クッション材と背部用
クッション材とが、いずれも、互いに離間して配置され
た一対のグランド編地同士を連結糸で結合してなる三次
元立体編物から形成され、前記入力となる励振力の大き
さに応じて減衰比の異なる減衰特性を発揮可能な前記い
ずれかのクッション材は、座部又は背部に設けられるサ
イドフレーム間に無負荷時において伸び率30%以下で
張設されると共に、人体との接触範囲中に、座部におい
ては上方に、背部においては前方にそれぞれ膨出する頂
部を備えたキャンバー形状となるように設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の座席構造を提供
する。請求項5記載の本発明では、前記入力となる励振
力の大きさに応じて減衰比の異なる減衰特性を発揮可能
な座部用クッション材と背部用クッション材のいずれか
が、二次元張力構造体と、該二次元張力構造体に積層さ
れるウレタン層とを備えたウレタン付き張力構造体から
形成され、座部又は背部に設けられるサイドフレーム間
に無負荷時において伸び率30%以下で張設されると共
に、人体との接触範囲中に、座部においては上方に、背
部においては前方にそれぞれ膨出する頂部を備えたキャ
ンバー形状となるように設けられていることを特徴とす
る請求項1又は2記載の座席構造を提供する。請求項6
記載の本発明では、前記座部用クッション材と背部用ク
ッション材とが、いずれも、二次元張力構造体と、該二
次元張力構造体に積層されるウレタン層とを備えたウレ
タン付き張力構造体から形成され、前記入力となる励振
力の大きさに応じて減衰比の異なる減衰特性を発揮可能
な前記いずれかのクッション材は、座部又は背部に設け
られるサイドフレーム間に無負荷時において伸び率30
%以下で張設されると共に、人体との接触範囲中に、座
部においては上方に、背部においては前方にそれぞれ膨
出する頂部を備えたキャンバー形状となるように設けら
れていることを特徴とする請求項1又は2記載の座席構
造を提供する。請求項7記載の本発明では、前記キャン
バー形状を示す座部用クッション材又は背部用クッショ
ン材の膨出部の頂部が、人体と接触した平衡状態におい
て、座部では前方に、背部では上方にそれぞれ位置がず
れるように変形可能に設けられていることを特徴とする
請求項3〜6のいずれか1に記載の座席構造を提供す
る。請求項8記載の本発明では、座部用クッション材又
は背部用クッション材の前記キャンバー形状が、半径2
00mm以上3000mm以下の範囲となるように形成
されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1
に記載の座席構造を提供する。請求項9記載の本発明で
は、前記キャンバー形状を示す座部用クッション材又は
背部用クッション材は、アーチ形のサイドフレーム間に
幅方向に張設されていることを特徴とする請求項3〜8
のいずれか1に記載の座席構造を提供する。請求項10
記載の本発明では、前記座部用クッション材が、キャン
バー形状となるように形成されており、側面から見た際
に、座部と背部との境界から100mm以上前方であっ
て、座骨結節下より前方に頂部を備えていることを特徴
とする請求項3〜9のいずれか1に記載の座席構造を提
供する。請求項11記載の本発明では、前記座部用クッ
ション材又は背部用クッション材の伸び率が、前記伸び
率30%以下の範囲において、部分的に異なるように設
けられていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか
1に記載の座席構造を提供する。請求項12記載の本発
明では、座骨結節下付近及び腰椎付近において、他の部
位と比較して相対的に高い伸び率で張設されていること
を特徴とする請求項11記載の座席構造を提供する。請
求項13記載の本発明では、座部用クッション材と背部
用クッション材のうち、前記入力となる励振力の大きさ
に応じて減衰比の異なる減衰特性を発揮可能ないずれか
のクッション材が、上層に配置され、バネ定数が人体の
筋肉のバネ定数に近似した柔らかな第1のウレタン層
と、中間層に配置され、リニアリティ0.1以上で、ヒ
ステリシスロス率30%以下の復元性の高い第2のウレ
タン層と、下層に配置され、減衰比0.2以上の減衰特
性を示す第3のウレタン層と、前記いずれかの層に積層
され、接線方向に張力を付与する張力付与部材との積層
構造からなることを特徴とする請求項1記載の座席構造
を提供する。請求項14記載の本発明では、前記背部用
クッション材は、肩胛骨付近に対応する部位のたわみ量
が大きく、肩峰及び/又は腰椎付近に対応する部位のた
わみ量が小さくなるように設けられていることを特徴と
する請求項1〜13のいずれか1に記載の座席構造を提
供する。請求項15記載の本発明では、前記肩胛骨付近
に対応する部位のたわみ量が50〜150mmの範囲で
あることを特徴とする請求項14記載の座席構造を提供
する。請求項16記載の本発明では、前記肩胛骨付近に
対応する部位の平衡点付近のバネ定数が、直径20mm
の圧縮板による荷重特性で15N/mm以下であり、肩
峰付近に対応する部位の平衡点付近のバネ定数が、直径
50mmの圧縮板による荷重特性で0.2〜2.0N/
mmの範囲であり、腰椎付近に対応する部位の平衡点付
近のバネ定数が、直径20mmの圧縮板による荷重特性
で5N/mm以上の範囲であることを特徴とする請求項
14又は15記載の座席構造を提供する。請求項17記
載の本発明では、前記背部用クッション材が三次元立体
編物から形成され、該三次元立体編物を支持するフレー
ムが、所定以上の大きな衝撃性振動又は衝撃力が付加さ
れた場合に変形し、それにより三次元立体編物の張力が
低下する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記
載の座席構造を提供する。請求項18記載の本発明で
は、前記背部用クッション材が二次元張力構造体と該二
次元張力構造体に積層されるウレタン層とを備えたウレ
タン付き張力構造体から形成され、該ウレタン付き張力
構造体を支持するフレームが、所定以上の大きな衝撃性
振動又は衝撃力が付加された場合に変形し、それにより
ウレタン付き張力構造体の張力が低下する構成としたこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の座席構造を提供す
る。
【0009】(作用)請求項1記載の本発明によれば、
座部用クッション材及び背部用クッション材のうち、少
なくとも一方が、入力となる励振力の大きさに応じて生
じる弾性体の張力構造体のひずみエネルギーの差によ
り、該クッション材の接線方向に沿った張力が変化する
構造である。これにより、入力となる励振力の大きさに
応じて異なる減衰特性を発揮することができる。励振力
が小さい場合に大きな減衰特性が作用したのでは入力さ
れる励振力を除振することができないが、張力場の特性
を利用した本発明によれば、励振力の小さな入力に対し
ては、減衰特性の作用が小さく、座部用クッション材又
は背部用クッション材のバネ特性が相対的に大きく作用
するため除振できる。これに対し、励振力の大きな入力
振動エネルギーは弾性体による張力構造体のひずみエネ
ルギーに変換されると共に、座部用クッション材又は背
部用クッション材の接線方向の張力を低下させ、相対的
に大きな減衰比で減衰特性が作用してエネルギーを散逸
することができる。
【0010】請求項2記載の本発明によれば、励振力の
小さな振動が入力された場合には、座部に設けられるク
ッション材及び/又は背部に設けられるクッション材の
うち、いずれか一方のクッション材において、減衰特性
が小さく、バネ特性が相対的に大きく作用する。より詳
しくは、平面上での張力構造体によるバネ定数には、大
きく2つあるが、2つのバネ定数のうち柔らかいバネ定
数のもの、つまり、伸びやすい方を、座部においては前
後方向に、背部においては上下方向にそれぞれ沿わせて
張設する。また、座部及び背部の境界部は、後方に引っ
張り、フレーム材に固定する。このように張設すると、
座部及び背部の膨出により、それらの部位が自由端とな
り、境界部が固定端となる一端固定他端自由の弾性体の
振動系となり、座席構造を大きく1自由度の振動系と捉
えた従来構造と異なり、本発明では、張力を有する膜の
振動系を付与した構造となる。このため、3つの異なる
バネ特性が上下方向及び前後方向に複合して作用し、弾
性体による張力構造体の平面波による変形のひずみエネ
ルギーの働きにより上下振動を前後振動に変換する。従
って、膜に対して法線方向のバネ定数が大きくても固有
振動数は小さくなり、人体の共振範囲を外すことができ
る。これらのバネ特性の相互作用によって生じる位相差
により入力される励振力は除振される。一方、衝撃力が
入力された場合のような励振力の大きな入力がなされた
場合には、上記いずれか少なくとも一方のクッション材
において張力構造体のひずみエネルギーへの変換により
大きな減衰特性が作用する。例えば、座部においてかか
る大きな減衰特性が作用する構造とした場合には、大変
形を伴う上下方向の大きな衝撃性振動を受けた場合に
は、上記した振動方向の変換機能により、張力構造体の
接線方向に働くひずみエネルギーが大きくなり接線方向
の張力を低下させて衝撃性振動が低減され、人体の跳ね
上がりを抑制することができる。また、前後方向の振動
入力に対しても、座部及び背部における臀部付近に相当
する部位による身体の拘束により、座席上での相対変位
・加速度が低減される。また、背部のバネ特性が加味さ
れることにより、減衰比が調整されて荷重依存性が小さ
くなり、振動エネルギーを効果的に吸収する。また、前
後方向へ大変位を伴う励振力の大きな入力に対しては、
異なる特性を備えた背部用クッション材と座部用クッシ
ョン材との位相差により、人体の後方斜め下方向に変位
が生じ、主として座部側におけるひずみエネルギーへの
変換による高い減衰特性によりエネルギーが散逸され
る。同様に、背部において大きな減衰特性が作用する構
造とした場合には、衝突時等において前後方向に大きな
衝撃性振動が加わっても、人体の前方への飛び出しを抑
制することができ、特に、人体の背部に作用するひずみ
エネルギーへの変換による大きな減衰特性によって、人
体の跳ね上がりを抑制できる。
【0011】換言すれば、本発明は、座部と背部を拘束
することにより、背と座の一体的な運動を作り出し、さ
らにこれらに備わる特性を異ならせ、これによって生じ
る位相差による運動方向の変換機能と、座部と背部との
異なる特性を組み合わせることにより生ずる運動エネル
ギーを弾性体による張力構造体の接線方向のひずみエネ
ルギーに変換する振動減衰機能及び膜の振動特性を利用
可能な構造としたことを特徴とし、これにより、例え
ば、高周波帯における振動のような小さな振幅の振動が
入力された場合には、クッション材のバネ特性や膜の横
振動によって除振できると共に、大きな振幅を伴う振動
に対しては、大きな減衰特性により人体の各クッション
材からの押し出し力を抑制することができる。
【0012】請求項3〜10に記載の本発明によれば、
キャンバー形状を有しているため、該キャンバー形状を
なす膨出部の作り出すひずみエネルギーが励振力の小さ
な場合と大きな場合とで異なるため、上記各作用を顕著
に発揮できる。請求項11又は12記載の本発明によれ
ば、バネ特性の働きを高くしたい部位と減衰特性の働き
を高くしたい部位を予め作り込むことができるため、上
記各作用をさらに効果的に発揮できる。請求項13記載
の本発明によれば、異なる特性のウレタン材料を所定の
順序で積層することにより、上記した各作用を発揮させ
ることが可能である。請求項14〜16記載の本発明に
よれば、上記各作用をさらに顕著に発揮できると共に、
さらなる乗り心地の改善に資する。請求項17又は18
記載の本発明によれば、所定以上の大きな衝撃性振動や
衝撃力を受けた場合に、クッション材の張力の低下によ
り、人体の跳ね返りをさらに抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施形態に基
づいて本発明を更に詳しく説明する。 (第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態に係
る座席構造1を示す概略斜視図である。この図に示した
ように、本実施形態では、座部10と背部20とを備え
ると共に、座部10において、水平面よりも上方に膨出
する膨出部11を有するキャンバー形状を形成した構造
となっている。具体的には、幅方向に対向して配置され
たサイドフレーム12,13としてアーチ状に曲成した
ものを用いており、このサイドフレーム12,13間
に、座部用クッション材14を構成する三次元立体編物
を張設し、これにより膨出部11が形成された構造であ
る。
【0014】従って、膨出部11の頂部11aは、アー
チ状に曲成されたサイドフレーム12,13の頂部に対
応する位置に形成されることになる。このように、膨出
部11を形成することにより、図2に示したように、着
座の際に、人体が接触して平衡状態に至るまで、膨出部
11の頂部11aが前方にせり出すように移動して膨出
部11の形状が変形し、張力も変化する。従って、張力
の変化により、人体になじみ易いフィット感が得られ
る。また、励振力の大きな入力がなされた際には、着座
者の臀部が相対的に沈み込み、膨出部11の頂部11a
の位置をさらに前方にせり出させるように変形させる。
同時に、後方の背部用クッション材24にも変形が生
じ、背部用クッション材24により復元力が生じる。こ
れにより、座部用クッション材14は、サイドフレーム
12,13間に所定の張力で張設した場合であっても、
励振力の大きな入力がなされた際に、さらに張力が高く
なってバネ性が上がるのではなく、膨出部11の頂部1
1aの前方にせり出す変位と背部用クッション材24に
よる復元力によって、入力エネルギーを散逸させる。つ
まり、本構造は、膜の振動特性に1自由度系の振動特性
を組み合わせたものとなる。なお、振動モードにおいて
振幅が0となる節位置が着座者の重心位置(座骨結節)
となることが望ましい。
【0015】換言すれば、本実施形態は、入力となる励
振力の大きさに応じてその頂部11aが前後方向にせり
出すように移動することによる接線方向に沿った膨出部
11の変形挙動(変形の仕方)が異なる。この結果、励
振力の大きさに応じて異なる弾性体による張力構造体の
ひずみエネルギーによって接線方向に生じる張力を変化
させることができ、小変形時に作用する減衰比が小さ
く、大変形時に作用する減衰比を大きくできるものであ
る。しかも、このひずみエネルギーは、着座者の体重
(負荷質量)によっても変化する。従って、負荷質量が
異なる場合であっても、着座時のひずみエネルギーによ
って生じる張力を負荷質量に応じた状態にすることがで
き、バネ定数や減衰係数を変えることができるため、入
力される励振力の大きさに応じて生じる上記減衰比を、
負荷質量に依存することなく同様に発揮させることがで
き、負荷質量依存性のない減衰特性を作ることができ
る。
【0016】膨出部11の頂部11aは、かかる作用を
果たすことができる位置において、人体との接触可能な
範囲中に形成される。但し、側面視で、着座者の座骨結
節下より前方であって、座部10と背部20との境界か
ら100mm以上前方の範囲に位置するように設けるこ
とが好ましい。励振力の入力に伴って、座骨結節付近が
相対的に沈み込んだ際に、頂部11aの前方へのせり出
し作用がより円滑に機能するからである。
【0017】キャンバー形状を形成する膨出部11の半
径は、座席の大きさに合わせて、半径200mm〜30
00mmの範囲で選択することが好ましい。半径200
mm未満では、膨出部11の頂部11aの盛り上がり高
さが高くなりすぎ、着座感を損ない、半径3000mm
を超えると、座部表面全体が平坦に近くなり、膨出部1
1の変位によって減衰特性を変化させる本発明の特徴を
発揮しにくくなる。
【0018】サイドフレーム12,13間に張設される
本実施形態の三次元立体編物からなる座部用クッション
材14は、幅方向の伸び率は30%以下に張設される。
クッション材として三次元立体編物を用いた場合、従
来、特にその減衰特性を十分に機能させるために、伸び
率5%未満で張設することが必要であったが、本実施形
態の場合には、上記のように膨出部11を備えたキャン
バー形状に形成されているため、伸び率5%以上で張設
しても、励振力の大きな入力に対して十分な減衰特性を
発揮できる。また、このように、5%以上30%以下の
伸び率で張設することにより、サイドフレーム12,1
3等の異物感が軽減されるという利点も有する。もちろ
ん、サイドフレーム12,13間の最も狭い対向距離で
380mm以上とることにより、伸び率0%以上5%未
満で張設することも可能であり、その場合には、従来よ
りもさらに大きな減衰力を機能させることができる。な
お、いずれの場合にも、サイドフレーム12,13等の
異物感は、伸び率だけでなく、座部用クッション材14
として用いる三次元立体編物の厚み等によっても異なる
ため、かかる異物感をさらに軽減するに当たっては、三
次元立体編物とサイドフレーム12,13などのフレー
ム材との間に、ポリウレタンフォームや別の三次元立体
編物等を介在させることが好ましい。
【0019】本実施形態においては、背部20を構成す
るクッション材(背部用クッション材)24も、三次元
立体編物を用いている。背部20は肩胛骨より下方には
膨出部を形成しておらず、サイドフレーム22,23と
しては、腰椎部から肩胛骨付近に相当する位置まで前端
縁がほぼ直線状で、肩胛骨付近に相当する位置よりも上
部においては、約200mm〜約30mmの範囲で後方
に反った形状をなしている。この結果、肩胛骨付近を頂
点とするキャンバー形状がこの部位にも形成されること
になる。
【0020】三次元立体編物からなる背部用クッション
材24は、このサイドフレーム23,24間に上記した
座部用クッション材14と同様に伸び率30%以下で張
設されるが、サイドフレーム22,23の前端縁が肩胛
骨付近よりも約200mm〜約30mmの範囲で上部に
おいて後方に反った形状となっているため、背部用クッ
ション材24に大きな荷重がかかった場合には、図2に
おいて縦断面方向に沿って実線で示した形状線のよう
に、肩胛骨付近が後方にたわむ分、肩胛骨付近よりも上
部の背部用クッション材24が上方に膨出するように逃
げ、その形状が変化する。これに対し、腰椎部について
は、前後方向でバネ性の強い部位となる。この結果、着
座者の背の荷重を効率的に分散し、腰椎部で支持感を得
ながらも肩胛骨付近よりも上部では減衰することができ
る。つまり、同一平面上でバネ性と減衰性を作り上げた
構造となっている。
【0021】背部用クッション材24は、このように肩
胛骨付近で大きくたわむことを可能にすることにより、
大きな前後荷重を受けた際には、人体の背全体が、すな
わち腰椎部から肩胛骨付近までがほぼ着座時の姿勢を保
って、そののまま後方に変位することになる。これによ
り、大きな前後荷重を受けた際には、背部用クッション
材24の減衰特性と腰椎部のバネ特性の組み合わせによ
り、人体の背全体の減衰比を確保し、人体を保護するこ
とができる。仮に、腰椎部付近が大きくたわむ構成とし
た場合には、側面から見た際に人体が大きく略V字状に
屈曲してしまう。さらに、バネ特性の寄与率が小さくな
って荷重依存性を持ち、背部用クッション材24の人体
に対する減衰作用が人によって変わってしまうことにな
るため、座部用クッション材に新たに柔らかなバネ性を
付与する構造を設ける必要が生じ、構造が複雑化する。
【0022】従って、背部20を形成するサイドフレー
ム22,23として、上記のように、腰椎部の膨出が小
さく、直線あるいは変形の大きい曲率を持ち、肩胛骨付
近から上部が後方に反った形状のものを採用すると共
に、サイドフレーム22,23の上端間に配置される上
部フレーム25の位置を後方に配置することによって、
背部用クッション材24は、肩胛骨付近に対応する部位
のたわみ量が大きく、腰椎部付近に対応する部位のたわ
み量が小さくなるように設けることが好ましい。背部用
クッション材24の肩胛骨付近のたわみ量は、好ましく
は50mm〜150mmである。また、背部用クッショ
ン材24にかかる機能をもたせるために、肩胛骨付近で
は、平衡点に至るまでのストロークを20mm以上確保
でき、平衡点付近のバネ定数が、直径20mmの圧縮板
で加圧した際の荷重特性で15N/mm以下となるよう
に、腰椎部付近では、平衡点付近に至るまでのストロー
クが40mm以下で、平衡点付近のバネ定数が、直径2
0mmの圧縮板で加圧した際の荷重特性で5N/mm以
上となるように、張設時の伸び率等を調整することが好
ましい。
【0023】また、肩胛骨付近のたわみ量を大きくとる
構成とした場合に、運転時において入力される励振力に
対し、頭部の揺れを抑制して蓄積疲労を小さくするた
め、肩峰付近に対応する部位のたわみ量は、肩胛骨付近
に対応するたわみ量に比べ、小さくすることが好まし
く、平衡点付近に至るまでのストロークを30mm以下
で設定することが好ましい。また、その際の肩峰付近の
バネ定数は、直径50mmの圧縮板で押圧した際に測定
されるバネ定数で0.2〜2.0N/mmとなるように
設定することが好ましい。このような構成とすることに
より、上記のように肩峰付近に対応する部位が頭部を固
定するポイントとして機能して蓄積疲労を抑制できると
共に、かかる部位は、いわば肩峰レストとしての役割を
果たし、ヨーイング、ローリングによる人体上部の動揺
を小さくでき、ステアリングを握る手首にかかるモーメ
ント、応力、荷重が小さくなる。このため、ステアリン
グを安心して軽く握れ、捕舵疲労を軽減するのに役立
つ。
【0024】座部用クッション材14と背部用クッショ
ン材24とは、それぞれ別々に成形して、座部10及び
背部20を構成する各フレームに、独立して張設するこ
とも可能であるが、人体の臀部から腰部にかけてのホー
ルド性を高め、また、大きな振幅の振動が入力された際
の減衰性を高めるため、及び振動を吸収し、骨盤と胸椎
を同位相で動かすために、一体的に形成することが好ま
しい。この場合、三次元立体編物を一枚使用して座部用
クッション材14と背部用クッション材24を形成する
こともできるし、両者を別々に成形して、座部用クッシ
ョン材14の後部及び背部用クッション材24の下部で
縫い合わせて一体化してもよい。
【0025】なお、座部用クッション材14と背部用ク
ッション材24とを備えてなる本実施形態のクッション
材は、上記のように各フレーム部に張設されることによ
って張力構造体を形成しており、それらの境界部付近
は、後方に引っ張られて任意のフレームに固定されて設
けられる。従って、これらの境界部付近が振動系の固定
端となり、上記のようにキャンバー形状を作り出してい
る膨出部11の頂部や背部用クッション材24における
後方に沿った部分が、着座者の荷重や入力となる励振力
に応じて自由に変形し得る振動系の自由端を構成してい
ることになる。この結果、上記のように、張力構造体の
ひずみエネルギーによる接線方向の張力の変化を生じさ
せることができる。
【0026】また、着座者の座骨結節下や腰椎部付近に
おいては、バネ特性が機能し易くし、キャンバー形状を
なす膨出部11から前縁部付近や背部の後方に沿った部
分においては、張力構造体のひずみエネルギーによって
接線方向へ変形しやすくなるように張設することが好ま
しい。従って、上記のように伸び率30%以下で張設す
るとしても、部位によって伸び率が異なるように張設す
ることが好ましく、なかでも、座骨結節下や腰椎部付近
の伸び率を相対的に高めに設定し、それ以外の部位、例
えば、キャンバー形状をなす膨出部11から前縁部付近
や背部の後方に沿った部分においては相対的に低い伸び
率で張設することが好ましい。
【0027】ここで、上記した座部用クッション材14
及び背部用クッション材24を形成する三次元立体編物
の構造について説明する。三次元立体編物は、互いに離
間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結
合することにより形成されている。具体的には、図3に
示すように、三次元立体編物100は、互いに離間して
配置された一対のグランド編地110,120と、該一
対のグランド編地110,120間を往復して両者を結
合する多数の連結糸130とを有する立体的な三次元構
造から構成されている。
【0028】一方のグランド編地110は、例えば、図
4に示したように、単繊維を撚った糸から、ウェール方
向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラット
な編地組織(細目)によって形成されている。これに対
し、他方のグランド編地120は、例えば、図5に示し
たように、短繊維を撚った糸から、ハニカム状(六角
形)のメッシュを有する、一方のグランド編地110よ
りも大きな編み目構造に形成されている。もちろん、こ
の編地組織はあくまで一例であり、細目組織やハニカム
状以外の編地組織を採用することもできる。連結糸13
0は、一方のグランド編地110と他方のグランド編地
120とが所定の間隔を保持するように、この一対のグ
ランド編地110,120間に編み込んだもので、立体
メッシュニットとなっている三次元立体編物100に所
定の剛性を付与している。
【0029】グランド編地110,120を形成するグ
ランド糸の太さ等は、立体編地に必要な腰の強さを具備
させることができると共に、編成作業が困難にならない
範囲のものが選択される。また、グランド糸としてはモ
ノフィラメント糸を用いることも可能であるが、風合い
及び表面感触の柔らかさ等の観点から、マルチフィラメ
ント糸やスパン糸を用いることが好ましい。
【0030】連結糸130としては、モノフィラメント
糸を用いることが好ましく、太さ167〜1100デシ
テックスの範囲のものが好適である。マルチフィラメン
ト糸では復元力の良好なクッション性を付与できず、ま
た、太さが167デシテックスを下回ると腰の強さが得
られにくくなり、1100デシテックスを上回る場合に
は、硬くなり過ぎて適度な弾性を得ることができないか
らである。すなわち、連結糸130として上記範囲のモ
ノフィラメント糸を採用することにより、着座者の荷重
を、各グランド編地110,120を構成する編目の変
形と連結糸130の変形(倒れ及び座屈)により、ま
た、変形した連結糸130にバネ特性を付与する隣接し
た連結糸130の復元力によって支持することができ、
柔らかなバネ特性を有する応力集中の起きない柔構造と
することができる。また、連結糸130間が擦れ合うこ
とにより減衰力が発揮される。
【0031】グランド糸又は連結糸130の素材として
は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピ
レン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリ
ル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿
等の天然繊維が挙げられる。上記素材は単独て用いても
よいし、これらを任意に併用することもできる。好まし
くは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可
塑性ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66な
どに代表されるポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリ
プロピレンなどに代表されるポリオレフィン系繊維、あ
るいはこれらの繊維を2種類以上組み合わせたものであ
る。なお、ポリエステル系繊維はリサイクル性に優れて
おり好適である。また、グランド糸又は連結糸130の
糸形状も限定されるものではなく、丸断面糸でも異形断
面糸等でもよい。
【0032】連結糸130の配設の仕方(パイル組織)
としては、各グランド編地110,120を連結する連
結糸130を側面から見た状態で表すと、より具体的に
は、例えば、図6に示したような種類に分類される。
(a),(b)は、グランド編地110,120間に連
結糸130をほぼ垂直に編み込んだストレートタイプで
あり、このうち(a)は8の字状にしてストレートに編
んだもので、(b)は単純なストレートに編んだもので
ある。(c)〜(e)は、グランド編地110,120
間において、連結糸130が中途で交差するように編ん
だクロスタイプであり、このうち(c)は8の字状にク
ロスさせたもの、(d)は単純なクロスに編んだもの、
(e)は2本ずつまとめてクロス(ダブルクロス)させ
たものである。なお、(c)〜(e)に示したように、
連結糸130同士を交差させて斜めに配置した場合に
は、連結糸130をグランド編地110,120間にほ
ぼ垂直に配置した形態と比較して((a),(b)参
照)、各連結糸130の座屈強度により十分な復元力を
保持しながら、圧縮率の大きな柔らかなバネ特性を付与
することができる。
【0033】試験例1 (実施例1)図1に示した構造の座席構造1について、
座部用クッション材14(キャンバー付きNET)を、
その後部(背部用クッション材24との境界部)から前
方100mmの位置(日本人の成人の座骨結節の平均的
位置に相当)に中心を合わせ、直径200mmの圧縮板
により、50mm/minの速度で1000Nまで押圧
して静荷重特性を測定した。結果を図7示す。なお、こ
こで用いた三次元立体編物の特性は次表に示すとおりで
あり、また、サイドフレーム12,13間に伸び率6〜
8%で張設している。
【0034】
【表1】
【0035】また、振幅2.5mm(ピーク間距離5m
mp−p)で、図1の座部用クッション材14上に20
kgの負荷質量を載置して加振した際の三次元立体編物
の相対変位量と力の関係のリサージュ図形を図8に示し
た。また、図7の静特性を示す荷重−変位特性には、1
96Nに原点を合わせて図8のリサージュ図形を重ねて
示した。一方、図10は、振幅1mm(ピーク間距離2
mmp−p)で加振した際の三次元立体編物の相対変位
量と力の関係のリサージュ図形であり、図9は、このリ
サージュ図形を図7と同様の荷重−変位特性図に重ねて
示したものである。
【0036】(比較例1)膨出部11を形成していなこ
とを除いて実施例1の座席構造1と全く同様の構造の座
席構造の座部(NET)について、直径200mmの圧
縮板により、50mm/minの速度で1000Nまで
押圧して静荷重特性を測定すると共に、実施例1と同様
に、振幅2.5mm(ピーク間距離5mmp−p)、振
幅1mm(ピーク間距離2mmp−p)の相対変位量と
力の関係のリサージュ図形を図12、図14に示した。
また、それらのリサージュ図形を、図11、図13の荷
重−変位特性図に重ねて示した。
【0037】(比較例2)厚さ100mmのポリウレタ
ンフォームからなるクッション材を座部及び背部共に配
設した従来用いられている座席構造(ウレタンシート)
についても、実施例1及び比較例1と同様の測定を行
い、振幅2.5mm(ピーク間距離5mmp−p)、振
幅1mm(ピーク間距離2mmp−p)の相対変位量と
力の関係のリサージュ図形を重ね合わせた荷重−変位特
性図を図15〜図16に示した。
【0038】これらの結果から、実施例1及び比較例1
の場合には、静荷重特性の行き(荷重負荷時)と帰り
(荷重除去時)の曲線の範囲内にいずれの振幅において
もリサージュ図形がほぼ収まり、大きな共振特性を示し
ていない。比較例2の場合には、いずれの振幅において
もリサージュ図形が静荷重特性の行きと帰りの曲線で描
かれる範囲から外に飛び出した図形となっている。リサ
ージュ図形の力は、入力振動に伴って人体に伝達される
力であるが、それが静荷重特性の曲線の範囲から大きく
飛び出しているということは、低周波帯で共振が生じ、
入力振動の吸収率が低く、さらに、1.2〜1.3G以
上の力が上方に加わっているということは、負荷質量体
がクッション材から飛び跳ねて離間することを意味す
る。これにより、実施例1及び比較例1のように、クッ
ション材として三次元立体編物を用いた場合には、ポリ
ウレタンフォームをクッション材として用いる場合より
も、振動吸収特性の点で優れていることが分かる。
【0039】一方、実施例1と比較例1とで比べた場合
には、リサージュ図形から明らかなように、実施例1の
方が、相対変位量及び力が小さくなっており、実施例1
の座席構造が、膨出部11を有するキャンバー形状が形
成されていることによって、上下方向に入力される振動
によって生じるひずみエネルギーにより接線方向の張力
が変化し、入力振動を前後方向に効率よく分散し、吸収
できることがわかる。特に、乗り心地に影響の大きい人
体の骨格を揺らす共振周波数である5Hz付近における
実施例1の変位量は、比較例1に比較して際だって小さ
くなっており、共振が生じにくくなっていることがわか
る。但し、本実施例は、日本人男性7才の平均体重25
kgに相当する人が感じる乗り心地であり、負荷質量が
小さいチャイルドシートにおいても、本発明を適用で
き、張力場を調整することで対応可能であることがわか
る。また、小振幅の2mmp−pの励振力の小さな入力
振動で比較した場合には、実施例1の方が変位量が小さ
く、張力弾性体のバネ性によって小振幅の振動の除振性
能が高いことがわかる。さらに、大振幅の5mmp−p
の励振力の大きな入力振動で比較した場合には、実施例
1の方が、変位量と共に力も小さくなっており、高い減
衰特性が発揮されていることが分かる。
【0040】試験例2 上記した実施例1、比較例1及び比較例2の各座部の表
面に対し、直径26cm、厚さ6.6cm、重さ20k
gのウエイトを、座部の表面に接する位置から落下さ
せ、減衰比を求めた。その際の各減衰波形を図17〜図
19に示し、減衰比を図20〜図22に示す。なお、各
減衰波形の自由振動減衰曲線における黒点で示した減衰
ピーク(Calculated Point)を図20〜図22にプロッ
トした。
【0041】比較例1の場合には、図18及び図21か
ら明らかなように、各減衰ピークがほぼ一直線状にプロ
ットされ、減衰比が0.104であった。比較例2の場
合も、図19及び図22から明らかなように、各減衰ピ
ークがほぼ一直線状にプロットされ、減衰比は0.09
6であった。
【0042】これに対し、本発明の座席構造を採用した
実施例1の場合には、図20から明らかなように、減衰
比0.04の直線に沿ってプロットされる白抜きの点に
対し、この減衰比0.04の直線から大きく外れる黒丸
の点で示される減衰ピークが存在する。そして、この黒
丸の点同士は、ほぼ一直線に描かれる別の線上に位置し
ている。従って、実施例1の場合には、黒丸の点同士を
結ぶ減衰比0.6の減衰性能も有していることがわか
る。つまり、実施例1のキャンバー形状を備えた座部用
クッション材14の減衰特性は、減衰比1未満である減
衰比0.04〜0.6の範囲で、入力振動の諸条件によ
って異なることを示すものである。これを、図17の減
衰波形と照らし合わせると、大振幅を伴う振動あるいは
同じ振幅でも加速度の大きい高周波の振動である励振力
の大きな入力に対しては、キャンバー形状を形成してい
る膨出部11の頂点11aの前後方向への移動により、
弾性体の張力構造体のひずみエネルギーが大きくなって
張力の低下と共に、高い減衰比を作り出し、大きな減衰
特性が作用し、小振幅の振動あるいは同じ振幅でも加速
度の小さな低周波の振動である励振力の小さな入力に対
しては張力構造体の張力により減衰比が小さく抑えら
れ、座部用クッション材14のバネ特性により、入力振
動に対する位相差が伴って除振できる構造となっている
ことがわかる。
【0043】一方、比較例1及び比較例2の場合には、
上記したように減衰比が一定であるため、入力となる励
振力に伴う力の分散効率の点で実施例1で採用した本発
明の座席構造の性能が高いことが分かる。
【0044】試験例3 上記した実施例1、比較例1及び比較例2について振動
伝達特性を測定した。試験は、まず、直径26cm、厚
さ6.6cm、重さ20kgのウエイトのほぼ中心を、
人が着座した際の座骨結節下に相当する部位に合わせて
各座部用クッション材上におき、加振装置のプラットフ
ォームを座部の下部に設置して、周波数に対する振動伝
達率(G/G)を測定することにより行った。結果を図
23に示す。
【0045】この図から明らかなように、実施例1の本
発明の座席構造においては、振動伝達率(G/G)が比
較例2と対比した場合には、低周波から高周波までほぼ
全ての周波数帯で低くなっていた。比較例1と比較した
場合にも、6Hz以下の低周波領域においては、振動伝
達率(G/G)が大きく低減していた。特に、実施例1
は、共振ピークが比較例1及び比較例2に対し、顕著に
小さくなっている。また、体重64kgの人が着座した
と考えた場合、図23の5Hzは3Hzに相当し、10
Hzは6Hzに相当する。従って、快適な乗り心地に影
響のある人体の骨格自体を揺らす2Hz以下の動揺と5
Hzの動揺が伝達されにくくなっていることが分かる。
【0046】また、体重64kgの日本人男性(JM)
が実施例1、比較例1及び比較例2の各座席構造に着座
した状態で、上記と同様に振動伝達率(G/G)を測定
した。結果を図24に示す。
【0047】この結果から明らかなように、実施例1の
振動伝達率(G/G)は、比較例2よりも大きく改善さ
れており、比較例1と比較した場合でも、共振ピークが
大きく低減していることがわかる。また、これらのこと
から図23の結果と図24の結果との間に相関性が認め
られる。
【0048】(第2の実施形態)図25は、本発明の第
2の実施形態を示す斜視図である。本実施形態において
は、座部10のサイドフレーム12,13として、前縁
寄りにアーチ部12a,13aを有する形状のものを採
用し、該サイドフレーム12,13間に座部用クッショ
ン材14である三次元立体編物を張設している。この結
果、座部用クッション材14は、前縁寄りに膨出部11
を有するキャンバー形状に形成され、前後方向略中間部
から後部にかけてはほぼ平坦な状態に張設された平坦部
16を備えた形状となる。また、サイドフレーム12,
13付近には異物感の軽減のため、ポリウレタンフォー
ム17aを配設しており、また、前縁付近における座部
用クッション材14の上面にはサイサポート用のポリウ
レタンフォーム17bを配設している。なお、異物感の
軽減対策としては、このほかに、フレーム形状の変更や
三次元立体編物を立体的に象る手段を採用することによ
って達成することもできる。
【0049】本実施形態においては、臀部が平坦部16
上に位置し、通常の励振力の小さな振動入力に対して
は、大きな減衰特性が作用せずこの平坦部のバネ性によ
り振動が除振される。また、大腿部下部に膨出部11が
位置しているため、着座時における臀部の前方向への位
置ずれを抑制することができる。一方、励振力の大きな
振動が入力された際には、膨出部11の頂部11aが前
方に移動するように変形する。そして、張力構造体のひ
ずみエネルギーにより、大きな減衰特性が作用して人体
の座席からの跳ね上がりを小さくできる。
【0050】なお、図25に示した態様では、座部用ク
ッション材14の前縁部とサイドフレーム12,13付
近にポリウレタンフォームの配設しているが、図26に
示したように、前縁部付近と後縁部付近とにポリウレタ
ンフォーム17b,17cを配設して臀部の前後方向の
位置ずれをより少なくした形状とすることもできる。ま
た、本実施形態では、座部に膨出部を形成しているが、
背部に膨出部を形成することもでき、さらに、座部と背
部とのそれぞれに形成することもできる。
【0051】(第3の実施形態)図27は、本発明の第
3の実施形態に係る座席構造1を示す外観斜視図であ
る。この図に示したように、本実施形態では、座部10
には中途に膨出部を有さないサイドフレーム12,13
を用いる一方で、背部20を形成するサイドフレーム2
2,23として、中途が前方にせり出す膨出部を備えた
形状のものを採用し、背部20を、膨出部21を備えた
キャンバー形状に形成したものである。すなわち、背部
用クッション材24として三次元立体編物からなるもの
を用い、これを上記の中途が前方にせり出した形状のサ
イドフレーム22,23間に張設することによって膨出
部21を形成している。
【0052】本実施形態によれば、背部20に着座者の
体重がかかった場合には、膨出部21の頂部21aの位
置が上方又は下方に逃げるように変形する。この結果、
特に、前後方向に大きな荷重がかかった際には、膨出部
21の前後方向の変位だけでなく、膨出部21の頂部2
1aの移動に伴う上下方向の変形によっても吸収され
る。一方、通常の着座状態での励振力の小さな入力に対
しては、そのバネ性により除振することができる。これ
らの点は、上記した第1の実施形態に係る座席構造1の
座部用クッション材14と同様であり、この第2の実施
形態に係る背部用クッション材24も、入力となる励振
力の大きさに対応して、励振力の大きな振動に対しては
高い減衰比の大きな減衰特性が作用し、励振力の小さな
振動に対しては低い減衰比の小さな減衰特性が作用す
る。
【0053】なお、座部10の前縁部10a付近におい
ては、サイドフレーム12,13の前方が下方に向かっ
て曲成されていることから、座部用クッション材14も
下方に曲成されて張設されている。このため、前縁部1
0a付近では、座部用クッション材14の座骨結節下に
入力された振動の大きさに応じて、前縁部10aが前方
にひずみ膨出する。このため、この部分においては、本
実施形態においても、実質的にキャンバー形状が形成さ
れており、励振力の大きな入力に対して、高い減衰比を
作用させることができる。
【0054】ここで、上記第3の実施形態における座席
構造1の背部20を構成するフレームは、より詳細に
は、図28に示したように、サイドフレーム22,23
と、サイドフレーム22,23に取り付けられる膨出部
形成用のフレーム22a,23aと、上側フレーム25
と、サイドフレーム22,23の下部付近間に配設され
る連結ロッド19とを有して枠形に形成される外枠フレ
ーム27から構成されており、上側フレーム25と連結
ロッド19との間において、サイドフレーム22,23
間に掛け渡される補強用の他のフレームを有していな
い。従って、前後方向に所定以上の大きな衝撃(衝撃性
振動や衝撃力)が加わった際には、この外枠フレーム2
7は、張力構造体を形成している三次元立体編物に引っ
張られて変形し得る構造となっている。なお、このよう
なフレーム構造は、上記した第1及び第2の実施形態で
も採用可能であることはもちろんである。
【0055】このため、前後方向に大きな衝撃が加わる
ことによって、着座者の背が後方に相対移動した場合に
は、その際の大きな荷重により三次元立体編物からなる
背部用クッション材24の略中央部が連結ロッド19上
を滑り、背部後方に押し込まれ、これに伴い外枠フレー
ム27が、背部用クッション材24に入力される荷重を
分散して受け、図の破線で示した状態から実線で示した
状態のように矢印方向に内倒れ変形し、衝撃が減衰され
る。この結果、対向配置したサイドフレーム22,23
間の間隙が狭くなるため、該サイドフレーム22,23
間に所定の張力で張設されていた三次元立体編物(背部
用クッション材24)が一気に緩む。三次元立体編物
(背部用クッション材24)の張力が緩むと、この三次
元立体編物(背部用クッション材24)は、張力構造体
でなくなる。この際、三次元立体編物自体の有する高い
減衰特性も作用する。なお、このような大変形時に作用
する減衰比は、小変形時(入力となる励振力の小さいと
き)と比較して、0.2以上の差を有するように設けら
れていることが好ましい。また、このような大変形時
に、減衰比1以上の臨界減衰系あるいは超過減衰系とな
る構成とすることがより好ましい。これにより、反力に
よって人体を跳ね返すことが抑制される。また、衝撃力
を受け続けていくことによって三次元立体編物には新た
に張力場が生じ、その力がひずみエネルギーに変換され
るため、衝撃力の作用時間が長くなる。
【0056】ここで、図29〜図32は、座部及び背部
のいずれにも本発明のような膨出部を備えておらず、キ
ャンバー形状を有していない従来の座席構造の減衰特性
を示すグラフである。より詳しくは、この座席構造は、
座部のサイドフレーム間に、コイルスプリングを介して
面状弾性部材を支持させ、その上部に座部用クッション
材としての三次元立体編物を張設すると共に、背部用サ
イドフレーム間には、背部用クッション材としての三次
元立体編物を無負荷時の伸び率5%未満で張設した構造
を有している。なお、図29及び図30は座部における
減衰特性を示し、図31及び図32は背部における減衰
特性を示し、また、図29及び図31は重さ5kgのウ
エイトを用い、図30及び図32は重さ10kgのウエ
イトを用いて測定している。
【0057】図29及び図30から明らかなように、座
部においては、ウエイトの重さが変わってもその減衰比
は5kgのウエイトの場合で0.256、10kgのウ
エイトの場合で0.237ほぼ同じである。一方、図3
1及び図32から、背部においては、5kgのウエイト
に対する減衰比が0.331であるのに対し、10kg
のウエイトに対する減衰比が0.192である。
【0058】ここで、減衰比は、
【数1】 である。
【0059】従って、背部においては、コイルスプリン
グを配設せず、三次元立体編物だけを張設しているた
め、上記式中、減衰比は質量mに大きく依存し、負荷質
量が大きくなると減衰比が小さくなる。一方、座部のよ
うにコイルスプリングを設けた場合にはバネ定数kの作
用が大きくなるため、入力依存性が小さくなる。図29
〜図32に示したグラフは、かかる現象を示すものであ
る。
【0060】1未満の所定の減衰比を備えた系を、大き
な衝撃が加わった場合に臨界減衰系又は超過減衰系とす
る場合に、バネ定数kや負荷質量mを調整しても困難で
ある。そこで、本発明のように膨出部を備えたキャンバ
ー形状を形成すると共に、図28に示したように、張設
されている三次元立体編物に対して大きな衝突荷重がか
かった際に、外枠フレームが三次元立体編物に追随して
変形する構成とすることにより、三次元立体編物の張力
が緩み、その結果、三次元立体編物自体の有する高い減
衰特性を機能させることができるため、かかる構成とす
ることによって、臨界減衰系又は超過減衰系を形成する
ことができる。
【0061】図28に示したフレーム材に三次元立体編
物を張設した本実施形態の座席構造について、重さ10
0kgのダミー人形をシートベルトを装着した上で着座
させて後突試験を行った。なお、試験は、最大加速度1
71.1m/s、最終速度7.1m/sで、台車を、
各座席構造を搭載した車体フレームの後方から衝突さ
せ、ダミー人形の胸部及び腰部の各加速度を測定するこ
とにより行った。
【0062】結果を図33に示す。このうち(a)が胸
部加速度を、(b)が腰部加速度を示す。なお、図にお
いてXが左右方向(BL方向)の加速度を、Yが前後方
向(TL方向)の加速度を、Zが上下方向(WL方向)
の加速度を示す。
【0063】まず、図33(a)から明らかなように、
胸部が、衝突後約50msecの時点まで後方に押しつ
けられた後、フレームの変形により後方に押しつけら
れ、約70msec〜80msec付近で最大の加速度
を示し、約110msecになるまで加速度が収束して
いく。これらの現象は、張力構造体となっている三次元
立体編物が中央方向に引っ張られることによりフレーム
に変形が生じ、一気に三次元立体編物の張力が低下して
いることによるものである。実際、ダミー人形の頭部
は、この間において前後方向への大きなリバウンドがな
かった。次いで、約110msecでフレームの変形に
より加速度が小さく上昇した後、約150msecに至
るまでフレームの変形が続き、その後もう一度小さく加
速度が上昇する挙動を示している。
【0064】約150msec近辺では加速度の上昇が
生じているが、体幹の移動により回転方向に発生するモ
ーメントが背部用クッション材の反力により生じる頭部
の前方へ移動しようとする力を相殺し、シートで頭部が
固定された状態での加速度上昇であるため、頭部の前後
方向の移動量は小さい。従って、この加速度上昇は、フ
レームの復元力による加速度上昇と考えられる。
【0065】また、図33(a)から明らかなように、
最初に胸部が背部用クッション材に押しつけられる50
〜60msecにおいて、水平方向加速度の値を上下方
向加速度が上回ることがなく、ダミー人形の跳ね上がり
が少ないことがわかる。
【0066】また、図33(b)の上下方向の腰部加速
度を見ると、加速度が上昇した後、速やかに収束してお
り、加速度変化が少なく、腰部の跳ね上がりが少ないこ
とが分かる。
【0067】以上の結果から明らかなように、本実施形
態によれば、張力構造体である三次元立体編物の張力が
大きな衝撃性振動を受けた場合に、緩むことによって、
高い減衰特性を示すことがわかる。すなわち、衝撃吸収
特性の評価としては、頭部と胴体の前後方向の相対変位
が小さくて、上下方向加速度が小さいことが望ましい
が、本実施形態は、このような好ましい特性に極めて近
い特性を発揮できる構造を備えている。
【0068】(第4の実施形態)上記した第1乃至第3
の実施形態においては、いずれもクッション材として座
部又は背部にキャンバー形状を形成した三次元立体編物
を用いている。しかしながら、本発明の座席構造は、着
座時の平衡点位置において、励振力の小さな入力に対し
ては張力構造体の張力により減衰特性が小さく、バネ特
性の働きによってその位相差により除振でき、励振力の
大きな入力に対しては張力構造体のひずみエネルギーに
より大きな減衰特性が作用する構造であればよく、すな
わち、励振力の大きさに応じて減衰比1未満の領域にお
いて異なる減衰比の減衰特性が作用する構造であればよ
い。
【0069】従って、かかる特性を備える構造を、ポリ
ウレタンフォーム、粘弾性ウレタンなどのウレタン材料
を用いて達成することもできる。ウレタン材料を用いて
かかる特性を備えた構造とするためには、次のような異
なる特性を備えたウレタン材料からなる三層構造のクッ
ション材とする必要がある。但し、張力構造体とするた
めに、これらのクッション材のいずれかに、接線方向へ
張力を生じさせる布材、二次元織物や二次元編物などの
張力付与部材を積層する必要がある。
【0070】すなわち、上層に配設される第1のウレタ
ン層は、バネ定数が人体の筋肉のバネ定数に近似した柔
らかな特性を備えたものを用いる。例えば、粘弾性ウレ
タンなどである。次に、中間層に配置される第2のウレ
タン層は、リニアリティ0.2以上で、ヒステリシスロ
ス率30%以下の復元性の高いポリウレタンフォームな
どを用いる。さらに、下層に配置される第3のウレタン
層は、減衰比0.1以上の減衰特性の大きいポリウレタ
ンフォームなどを用いる。
【0071】第1のウレタン層として、人体の筋肉のバ
ネ定数に近似したもの、すなわち直径98mmの圧縮板
により加圧した際の荷重特性で4N/mm〜0.5N/
mmの範囲のものを採用することにより、着座時にこの
第1のウレタン層に接した際には、筋肉があまり変形せ
ずに、第1のウレタン層の方が容易に変形し、たわむ。
これにより、人体へのフィット感が高まる。
【0072】一方、励振力の小さな振動が入力された際
には、復元性の高い第2のウレタン層の復元力により除
振できる。この際、減衰特性の大きな第3のウレタン層
はあまり機能しない。従って、この第3の実施形態にか
かる積層構造のクッション材全体としても小さな減衰特
性しか作用しない。なお、「リニアリティ」とは、荷重
−変位特性において、45kgf負荷時のたわみ量と、
45kgfから100kgfまでのたわみ量との比率で
あり、第2のウレタン層において、リニアリティを0.
2以上としたのは、着座時のストローク感を確保するた
めである。また、ヒステリシスロス率が30%を超える
場合には、減衰力が大きくなって復元性が小さくなり、
バネ感が乏しくなるからである。
【0073】そして、励振力の大きな振動が入力された
場合には、減衰比0.2以上のウレタン材料からなる第
3のウレタン層の大きな減衰特性が作用する。これによ
り、励振力の大きい入力を減衰でき、着座者の跳ね上が
りを防止することができる。この場合、上記第1〜3層
のいずれかのウレタン層に付与された張力付与部材の働
きにより、かかるウレタン層の接線方向のひずみエネル
ギーが大きくなり、上記各実施形態と同様に、接線方向
の張力を低下させて、大きな減衰特性を作用させること
ができる。
【0074】また、上記した各実施形態で用いた三次元
立体編物に代えて、二次元織物や二次元編物などの二次
元張力構造体と、該二次元張力構造体に積層される表皮
層を有するウレタン層とを備えたウレタン付き二次元張
力構造体を用いることもできる。なお、ウレタン層とし
ては、2〜30mm程度の薄いポリウレタンフォームか
らなるものを用いることができる。
【0075】このようなウレタン付き二次元張力構造体
を用いて本発明を構成した場合、耐久性が若干劣り、バ
ネ性が多少高くなるものの、上記した三次元立体編物を
用いた場合とほぼ同様の作用、効果を有する。このた
め、かかるウレタン付き二次元張力構造体も、三次元立
体編物と同様に様々な座席構造に有用である。もちろ
ん、ウレタン付き二次元張力構造体も、三次元立体編物
と同様に30%以下の伸び率で各フレーム材に張設され
る張力構造体であるため、衝突時等において大きな衝撃
が入力された場合には、フレーム材の変形によって減衰
比で0.2以上の差がある高い減衰特性を発揮でき、好
ましくは、臨界減衰系又は超過減衰系を構成することが
できる。
【0076】
【発明の効果】本発明の座席構造は、張力構造体である
クッション材が、入力となる励振力の大きさに応じて、
張力構造体の平面波によって生じる変形によるひずみエ
ネルギーと張力の変化によって、作用する減衰特性が変
化する構造を有している。励振力の小さな入力に対して
は小さな減衰比で減衰特性が作用するため、クッション
材のバネ性による位相差によって除振することができ、
励振力の大きな入力に対してはひずみエネルギーの増加
と張力の低下により、大きな減衰比と長い作用時間で減
衰特性が作用し、人体の上方への跳ね上がりを抑えるこ
とができる。また、背部において、クッション材として
三次元立体編物又はウレタン付き張力構造体を用いると
共に、衝撃による所定以上の荷重が加わった場合に、背
部を形成するフレームが変形する構成とすることによ
り、高い減衰特性を発揮でき、好ましくは臨界減衰系又
は超過減衰系を形成することができ、大きな衝撃を受け
た際における人体の跳ね上がりを抑制するのに効果的で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る座席構
造を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、上記実施形態に係る座席構造の作用を
説明するための図である。
【図3】図3は、上記実施形態で使用可能な三次元立体
編物の一例の構成を示す断面図である。
【図4】図4は、一方のグランド編地の一例を示す図で
ある。
【図5】図5は、他方のグランド編地の一例を示す図で
ある。
【図6】図6は、連結糸の各種配設の仕方を例示した図
である。
【図7】図7は、実施例1の荷重−変位特性に、振幅
2.5mmで加振した際の相対変位量と力の関係を示す
リサージュ図形を重ねて示した図である。
【図8】図8は、実施例1において、振幅2.5mmで
加振した際の相対変位量と力の関係を示すリサージュ図
形である。
【図9】図9は、実施例1の荷重−変位特性に、振幅1
mmで加振した際の相対変位量と力の関係を示すリサー
ジュ図形を重ねて示した図である。
【図10】図10は、実施例1において、振幅1mmで
加振した際の相対変位量と力の関係を示すリサージュ図
形である。
【図11】図11は、比較例1の荷重−変位特性に、振
幅2.5mmで加振した際の相対変位量と力の関係を示
すリサージュ図形を重ねて示した図である。
【図12】図12は、比較例1において、振幅2.5m
mで加振した際の相対変位量と力の関係を示すリサージ
ュ図形である。
【図13】図13は、比較例1の荷重−変位特性に、振
幅1mmで加振した際の相対変位量と力の関係を示すリ
サージュ図形を重ねて示した図である。
【図14】図14は、比較例1において、振幅1mmで
加振した際の相対変位量と力の関係を示すリサージュ図
形である。
【図15】図15は、比較例2の荷重−変位特性に、振
幅2.5mmで加振した際の相対変位量と力の関係を示
すリサージュ図形を重ねて示した図である。
【図16】図16は、比較例2の荷重−変位特性に、振
幅1mmで加振した際の相対変位量と力の関係を示すリ
サージュ図形を重ねて示した図である。
【図17】図17は、実施例1の減衰波形を示す図であ
る。
【図18】図18は、比較例1の減衰波形を示す図であ
る。
【図19】図19は、比較例2の減衰波形を示す図であ
る。
【図20】図20は、実施例1の減衰比を示す図であ
る。
【図21】図21は、比較例1の減衰比を示す図であ
る。
【図22】図22は、比較例2の減衰比を示す図であ
る。
【図23】図23は、座部用クッション材に20kgの
ウエイトをおいて測定した実施例1、比較例1及び比較
例2の各振動伝達特性を示す図である。
【図24】図24は、体重64kgの日本人男性(JM
64)が着座して測定した実施例1、比較例1及び比較
例2の各振動伝達特性を示す図である。
【図25】図25は、本発明の第2の実施形態の一の態
様に係る座席構造を示し、(a)が斜視図、(b)がA
−A線断面図、(c)がB矢視図である。
【図26】図26は、本発明の第2の実施形態の他の態
様に係る座席構造を示し、(a)が斜視図、(b)がA
−A線断面図、(c)がB矢視図である。
【図27】図27は、本発明の第3の実施形態に係る座
席構造を示す概略斜視図である。
【図28】図28は、本発明の第3の実施形態に係る座
席構造の背部を構成するフレームの詳細構造を示す斜視
図である。
【図29】図29は、従来の三次元立体編物を用いた座
席構造の座部について、ウエイト5kgで測定した減衰
特性を示す図である。
【図30】図30は、従来の三次元立体編物を用いた座
席構造の座部について、ウエイト10kgで測定した減
衰特性を示す図である。
【図31】図31は、従来の三次元立体編物を用いた座
席構造の背部について、ウエイト5kgで測定した減衰
特性を示す図である。
【図32】図32は、従来の三次元立体編物を用いた座
席構造の背部について、ウエイト10kgで測定した減
衰特性を示す図である。
【図33】図33は、図28に示したフレーム材に三次
元立体編物を張設した第3の実施形態の座席構造(ネッ
トシート)についての後突試験結果を示す図であり、
(a)が胸部加速度を、(b)が腰部加速度を示す図で
ある。
【符号の説明】 1 座席構造 10 座部 11 膨出部 11a 頂部 12,13 サイドフレーム 14 座部用クッション材 20 背部 21 膨出部 21a 頂部 22,23 サイドフレーム 24 背部用クッション材 27 外枠フレーム 100 三次元立体編物 110,120 グランド編地 130 連結糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 1/00 D04B 1/00 B 21/14 21/14 Z (72)発明者 川崎 誠司 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 小倉 由美 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 落合 直輝 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 高田 康秀 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 菊水 美穂 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 小島 重行 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 Fターム(参考) 3B084 CA04 CA07 EC03 3B087 CD03 3B096 AB07 AD04 AD07 BA02 4L002 BB01 CB01 EA00 FA06

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 座部用クッション材及び背部用クッショ
    ン材を含んでなり、弾性体による張力構造体に設けられ
    る張力場を有するクッション材を備え、前記座部用クッ
    ション材及び背部用クッション材のうち、少なくとも一
    方は、入力となる励振力の大きさに応じてひずみエネル
    ギーが変化することにより接線方向の張力が変化する構
    造に形成されており、励振力の小さな入力に対しては小
    さな減衰比で減衰特性が作用し、励振力の大きな入力に
    対しては大きな減衰比で減衰特性が作用するように、入
    力となる励振力の大きさに応じて異なる減衰特性を示す
    ことを特徴とする座席構造。
  2. 【請求項2】 前記クッション材が、平面上の伸びやす
    い方向を座部の前後方向及び背部の上下方向にそれぞれ
    沿わせると共に、座部と背部の境界部付近の配設位置を
    拘束することにより、前記境界部付近よりも前方に位置
    する座部用クッション材の任意部位及び/又は前記境界
    部付近よりも上方に位置する背部用クッション材の任意
    部位を自由端とする振動系を形成しており、 前記振動系が形成された前記座部用クッション材と背部
    用クッション材の少なくとも一方においては、入力とな
    る励振力の大きさに応じて弾性体による張力構造体のひ
    ずみエネルギーが変化することにより接線方向の張力が
    変化し、少なくとも他方においては張力構造体の法線方
    向に相対的に高いバネ特性を示す部位を有し、これらの
    異なる特性の複合作用によって前記クッション材の法線
    方向に入力される励振力を接線方向の励振力に分散可能
    な構造であることを特徴とする請求項1記載の座席構
    造。
  3. 【請求項3】 前記入力となる励振力の大きさに応じて
    減衰比の異なる減衰特性を発揮可能な座部用クッション
    材と背部用クッション材のいずれかが、互いに離間して
    配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合して
    なる三次元立体編物から形成され、 座部又は背部に設けられるサイドフレーム間に無負荷時
    において伸び率30%以下で張設されると共に、人体と
    の接触範囲中に、座部においては上方に、背部において
    は前方にそれぞれ膨出する頂部を備えたキャンバー形状
    となるように設けられていることを特徴とする請求項1
    又は2記載の座席構造。
  4. 【請求項4】 前記座部用クッション材と背部用クッシ
    ョン材とが、いずれも、互いに離間して配置された一対
    のグランド編地同士を連結糸で結合してなる三次元立体
    編物から形成され、 前記入力となる励振力の大きさに応じて減衰比の異なる
    減衰特性を発揮可能な前記いずれかのクッション材は、
    座部又は背部に設けられるサイドフレーム間に無負荷時
    において伸び率30%以下で張設されると共に、人体と
    の接触範囲中に、座部においては上方に、背部において
    は前方にそれぞれ膨出する頂部を備えたキャンバー形状
    となるように設けられていることを特徴とする請求項1
    又は2記載の座席構造。
  5. 【請求項5】 前記入力となる励振力の大きさに応じて
    減衰比の異なる減衰特性を発揮可能な座部用クッション
    材と背部用クッション材のいずれかが、二次元張力構造
    体と、該二次元張力構造体に積層されるウレタン層とを
    備えたウレタン付き張力構造体から形成され、 座部又は背部に設けられるサイドフレーム間に無負荷時
    において伸び率30%以下で張設されると共に、人体と
    の接触範囲中に、座部においては上方に、背部において
    は前方にそれぞれ膨出する頂部を備えたキャンバー形状
    となるように設けられていることを特徴とする請求項1
    又は2記載の座席構造。
  6. 【請求項6】 前記座部用クッション材と背部用クッシ
    ョン材とが、いずれも、二次元張力構造体と、該二次元
    張力構造体に積層されるウレタン層とを備えたウレタン
    付き張力構造体から形成され、 前記入力となる励振力の大きさに応じて減衰比の異なる
    減衰特性を発揮可能な前記いずれかのクッション材は、
    座部又は背部に設けられるサイドフレーム間に無負荷時
    において伸び率30%以下で張設されると共に、人体と
    の接触範囲中に、座部においては上方に、背部において
    は前方にそれぞれ膨出する頂部を備えたキャンバー形状
    となるように設けられていることを特徴とする請求項1
    又は2記載の座席構造。
  7. 【請求項7】 前記キャンバー形状を示す座部用クッシ
    ョン材又は背部用クッション材の膨出部の頂部が、人体
    と接触した平衡状態において、座部では前方に、背部で
    は上方にそれぞれ位置がずれるように変形可能に設けら
    れていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1に
    記載の座席構造。
  8. 【請求項8】 座部用クッション材又は背部用クッショ
    ン材の前記キャンバー形状が、半径200mm以上30
    00mm以下の範囲となるように形成されていることを
    特徴とする請求項3〜6のいずれか1に記載の座席構
    造。
  9. 【請求項9】 前記キャンバー形状を示す座部用クッシ
    ョン材又は背部用クッション材は、アーチ形のサイドフ
    レーム間に幅方向に張設されていることを特徴とする請
    求項3〜8のいずれか1に記載の座席構造。
  10. 【請求項10】 前記座部用クッション材が、キャンバ
    ー形状となるように形成されており、側面から見た際
    に、座部と背部との境界から100mm以上前方であっ
    て、座骨結節下より前方に頂部を備えていることを特徴
    とする請求項3〜9のいずれか1に記載の座席構造。
  11. 【請求項11】 前記座部用クッション材又は背部用ク
    ッション材の伸び率が、前記伸び率30%以下の範囲に
    おいて、部分的に異なるように設けられていることを特
    徴とする請求項3〜6のいずれか1に記載の座席構造。
  12. 【請求項12】 座骨結節下付近及び腰椎付近におい
    て、他の部位と比較して相対的に高い伸び率で張設され
    ていることを特徴とする請求項11記載の座席構造。
  13. 【請求項13】 座部用クッション材と背部用クッショ
    ン材のうち、前記入力となる励振力の大きさに応じて減
    衰比の異なる減衰特性を発揮可能ないずれかのクッショ
    ン材が、 上層に配置され、バネ定数が人体の筋肉のバネ定数に近
    似した柔らかな第1のウレタン層と、 中間層に配置され、リニアリティ0.1以上で、ヒステ
    リシスロス率30%以下の復元性の高い第2のウレタン
    層と、 下層に配置され、減衰比0.2以上の減衰特性を示す第
    3のウレタン層と、 前記いずれかの層に積層され、接線方向に張力を付与す
    る張力付与部材との積層構造からなることを特徴とする
    請求項1記載の座席構造。
  14. 【請求項14】 前記背部用クッション材は、肩胛骨付
    近に対応する部位のたわみ量が大きく、肩峰及び/又は
    腰椎付近に対応する部位のたわみ量が小さくなるように
    設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいず
    れか1に記載の座席構造。
  15. 【請求項15】 前記肩胛骨付近に対応する部位のたわ
    み量が50〜150mmの範囲であることを特徴とする
    請求項14記載の座席構造。
  16. 【請求項16】 前記肩胛骨付近に対応する部位の平衡
    点付近のバネ定数が、直径20mmの圧縮板による荷重
    特性で15N/mm以下であり、肩峰付近に対応する部
    位の平衡点付近のバネ定数が、直径50mmの圧縮板に
    よる荷重特性で0.2〜2.0N/mmの範囲であり、
    腰椎付近に対応する部位の平衡点付近のバネ定数が、直
    径20mmの圧縮板による荷重特性で5N/mm以上の
    範囲であることを特徴とする請求項14又は15記載の
    座席構造。
  17. 【請求項17】 前記背部用クッション材が三次元立体
    編物から形成され、該三次元立体編物を支持するフレー
    ムが、所定以上の大きな衝撃性振動又は衝撃力が付加さ
    れた場合に変形し、それにより三次元立体編物の張力が
    低下する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記
    載の座席構造。
  18. 【請求項18】 前記背部用クッション材が二次元張力
    構造体と該二次元張力構造体に積層されるウレタン層と
    を備えたウレタン付き張力構造体から形成され、該ウレ
    タン付き張力構造体を支持するフレームが、所定以上の
    大きな衝撃性振動又は衝撃力が付加された場合に変形
    し、それによりウレタン付き張力構造体の張力が低下す
    る構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載の座
    席構造。
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