JP4001502B2 - シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシートに係り、特に、車両に搭載される車両用シート等のシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用シートは、走行中のコーナリングや急な車線変更等でのドライバの上体の揺れ、及び運転操作の負担を減少すると共に、走行中の振動吸収を行ない、ドライバへの身体負担を低減することが重要である。車両用シートとしては、ウレタンをクッション材とするウレタンシートと、最近開発された3次元網目構造のネット材(3次元立体編物)をクッション材とするネットシートとが知られている。
【0003】
ウレタンシートとしては、ウレタン単体のシートと支持ばねを併用するシートとが知られている。ウレタンシートの場合には、シートクッションとバックレストとが分離しているため、シートと臀部との間に空間が生じ、腰部の支持力が不足し、ホールド性能が低下する、という問題がある。
【0004】
ネットシートは、薄型で高いクッション性を発揮できると共に、多数の空隙を有し、通気性に優れた3次元立体編物がシートフレームに張設され、クッションとバックレストとが連続的に繋がるように接合されたバケットタイプに構成されている。
【0005】
このネットシートは、図16に示すように、バックレスト100及びシートクッション102の天板部の平面上に、シートフレームに固定され、かつ前後方向(X方向及びZ方向)と左右方向(Y方向)とで伸縮性が異なる3次元立体編物104を配置して構成されている。3次元立体編物をシートフレームに固定する際には、天板部の伸縮性と異なる伸縮性の別の3次元立体編物、または布ばねを天板部の3次元立体編物の周辺に縫合した上で、シートフレームに巻き付けて固定している。
【0006】
また、シートフレームに固定した3次元立体編物は、所定値未満の伸び率で張設されている。ただし、バックレスト天板部における3次元立体編物の張設度合いは、人体の臀部形状と背中のS字形状に合わせて上記の伸び率の範囲内で連続的に変更されている。
【0007】
このネットシートによれば、シートクッションとバックレストとがネットで接合されて連続的に繋げられているので、腰部の支持剛性が増加し、ウレタンシートと比較してホールド性能を向上させることができる。
【0008】
しかしながら、シートクッションとバックレストとが繋げられているので、ネットシートに着座したときに、シートクッションの変形によってバックレストが引張られ、バックレストのネット張力により、クッション天板部の面剛性が増加してシートクッション後縁部(バックレストとの接合部)の荷重が図17に示すように増加し、臀部が圧迫される。その結果、長時間着座した場合に臀部から大腿にかけて接触圧力が増大する、という問題が発生する。
【0009】
さらに、ネットシートは、ウレタンシートと比較してバックレストから入力される前後振動が小さいものの、腰部に入力される低周波振動により腰部を中心として上体がピッチングし、バウンズとの複合により不快感が発生すると共に、5Hz以上の周波数帯域の前後振動が大きくなる、という問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、長時間着座した場合にも臀部から大腿にかけて接触圧力が増大しないようにすると共に、腰部を中心とした上体のピッチングを防止したシートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、シートクッションと、シートクッションに取り付けられたシートバックフレーム及び該シートバックフレームに張設された3次元網目構造のバックレストを有するシートバックと、を備えたシートであって、シートクッションとバックレストとのシートの幅方向両端部分を接合すると共に前記接合部間に非接合部を設け、シートクッションの該非接合部に対応するバックレスト側の部分を弾性係数が所定値以下の弾性体で支持するか、または前記接合部間の弾性係数が所定値以下となるようにシートクッションとバックレストとの接合部間の部分を接合することで、シートクッションとバックレストとの境界部分におけるシートの幅方向両端部分とシートの幅方向中央部とで弾性特性を異ならせたことを特徴とする。
【0012】
本発明では、シートの幅方向両端部分とシートの幅方向中央部とで弾性特性を異ならせているため、長時間着座した場合にも臀部から大腿にかけて接触圧力が増大しないようにすると共に、腰部を中心とした上体のピッチングを防止することができる。
【0015】
また、シートクッションとバックレストとのシートの幅方向両端部分を接合すると、着座したときのシートクッションの変形がバックレストの接合部に対応する部分に伝達され、バックレストの接合部に対応する部分に張力が発生する。このため、バックレストの張力が発生した部分によって、着座者の体側部、または着座者の体側部及び体側部より外側の部分を支持することができ、ロールやヨーが発生した場合においても、着座者がロールやヨーの方向に回転するのを防止することができる。これによって、ホールド性能を向上することができると共に、長時間運転における疲労を低減することができる。
【0016】
また、シートクッションとバックレストとの接合部間に非接合部を設け、すなわち、シートクッションとバックレストとの接合部間を接合しないようにして、開放し、シートクッションの該非接合部に対応するバックレスト側の部分を弾性係数が所定値以下の弾性体で支持するか、または接合部間の弾性係数が所定値以下となるようにシートクッションとバックレストとの接合部間の部分を接合している。
【0017】
シートクッションとバックレストとの接合部間に非接合部を設けた場合、すなわち、開放した場合には、着座したときのシートクッションの変形が、バックレストの開放部(非接合部)に対応する部分に伝達されず、このためバックレストの開放部に対応する部分にはシートクッションの変形を原因とする張力が発生することはない。このため、クッション天板部の面剛性が低減し、シートクッション後縁部の荷重が増加することがなく、長時間着座した場合に臀部から大腿にかけて接触圧力が増大することもない。なお、クッション張力は、面剛性低減による沈み込みの姿勢変化を補償するようにクッション全体が張設されている。
【0018】
また、接合部間の弾性係数が所定値以下となるようにシートクッションとバックレストとの接合部間の部分を接合した場合には、シートクッションとバックレストとが接合されているため、着座したときのシートクッションの変形が、バックレストの接合部間に対応する部分に伝達される。しかしながら、接合部間の弾性係数が所定値以下となっているため、バックレストの接合部間に対応する部分に発生するシートクッションの張力を原因とする面剛性力は、小さな値となる。このため、シートクッション後縁部の荷重が大幅に増加することがなく、長時間着座した場合に臀部から大腿にかけて接触圧力が大きく増大することもない。
【0019】
本発明において、接合部間に非接合部を設けた場合、及び接合部間を接合した場合のいずれの場合においても、シートクッションの接合部間に対応するバックレスト側の部分が、弾性係数が所定値以下の弾性体で支持されているため、着座した際にシートクッション後部の面剛性が低減する。これによって、クッションにおける体圧が分散され、局部的に皮膚が圧迫されなくなり、振動による皮膚撓みが均一になる。すなわち、振動に対する皮膚刺激の強さが局部的に圧迫されていた従来シートよりも低減し、乗り心地が向上すると共に、長時間着座におけるしびれも低減することができる。
【0020】
なお、クッション張力は、面剛性低減による沈み込みの姿勢変化を補償するようにクッション全体が張設されている。そのため、臀部が大きく沈み込むのが防止され、底付き感を抑制することができる。
【0021】
本発明では、シートの幅方向中央部の弾性特性をシートの幅方向両端部分の弾性特性より軟らかくすると効果的である。このように、シートの幅方向中央部の弾性特性をシートの幅方向両端部分の弾性特性より軟らかくする、すなわちシートの幅方向両端部分の弾性特性をシートクッションとバックレストとのシートの幅方向両端部分をシートの幅方向中央部の弾性特性より硬くすると、弾性特性が硬い部分によって着座者の体側部、または着座者の体側部及び体側部より外側の部分を支持することができ、ロールやヨーが発生した場合においても、着座者がロールやヨーの方向に回転するのを防止することができる。これによって、ホールド性能を向上することができると共に、長時間運転における疲労を低減することができる。
本発明において、シートの幅方向中央部の弾性特性をシートの幅方向両端部分の弾性特性より軟らかくするには、シートクッションの天板部を3次元網目構造としてシートバックに連続させ、シートの幅方向中央部の構造をシートの幅方向両端部分の構造より粗にすることで達成することができる。
【0022】
また、シートクッションの天板部とバックレストとをシートの幅方向中央部においてバックレストと弾性特性が異なる3次元網目構造部材で縫製するようにしてもよい。
【0023】
本発明では、シートバックの高さ方向中心線と対称にバックレスト表面の左右にそれぞれ複数個想定した領域の各々における前記シートに着座した際の荷重の重心が、左右の肩甲骨の下端を結んだ直線、左右の腸骨の上端を結んだ直線、及び左右の腰腸肋筋の各々に沿って腰腸肋筋上を通る直線で囲まれた人体の背領域に対応するバックレストの外側に分布するようにすることができる。
【0024】
着座者の荷重の重心を上記のように分布させることにより、バックレストは、着座者の荷重を、主に体側部となる腰腸肋筋より外側の部位で帯状に支持し、着座者の中心側となる臀部から腰椎部への支持圧を削減させることができ、疲労感を大きくする腰椎部での血行不良による筋肉疲労(腰痛)の発生を抑えることができる。
【0025】
着座者の荷重の重心を上記のように分布させる場合には、バックレストの前記背領域の左右の坐骨の頂部を結んだ直線と左右の腸骨稜を結んだ直線との間の下側半分の領域に作用する荷重の総重量に対する割合が、20%以上となるようにすると効果的である。
【0026】
さらに、バックレストの前記領域の下側に、該領域と同じ幅で該領域に連続する下側領域の外側にも、前記荷重の重心が分布するようにすることができる。これにより、疲労感を大きくする腰椎部での血行不良による筋肉疲労の発生を抑えることができる領域を拡大することができる。
【0027】
なお、バックレストの前記領域の下側に、該領域と同じ幅で該領域に連続する下側領域に作用する荷重の総重量に対する割合が25%以下となるようにするのが好ましい。すなわち、背領域の下側に背領域の幅で延長した下側領域に作用する荷重が、総荷重に対して25%以下となるようにするのが好ましい。これによって、腰椎部の支持荷重を減らし、腰椎部の筋肉を弛緩状態とすることができ、長時間着座したときに腰痛の軽減を図ることができる。なお、総荷重は、バックレストを下後腸骨棘より上の体を支持するシート部位であると定義した場合に、バックレスト全体における支持荷重としている。
【0028】
総荷重に対する荷重の割合を上記のように25%以下としたのは、割合が25%を越えると、腰痛の軽減効果が減少するからである。
【0029】
また、着座者の荷重の重心を上記のように分布させる場合には、左右の上後腸骨棘を通る直線と左右の下後腸骨棘を通る直線との間の領域における荷重の総重量に対する割合が5%以上となるようにするのが好ましい。
【0030】
本発明では、水平方向の張力が座位上後腸骨棘高を通る水平線に対応する部分で最小となり、かつ張力最小部分から徐々に張力が大きくなるか、または、水平方向の緩みが座位上後緒骨棘高を通る水平線に対応する部分で最大となり、かつ緩み最大部分から徐々に緩みが小さくなるように前記バックレストを張設することができる。
【0031】
3次元網目構造のバックレストを上記のように張設することにより、人体の臀部から腰椎部をシートバックに沈み込ませるようにして保持することができる。これにより、例えば車両においては、走行中の左右方向の揺れ等に対する確実な支持を可能とし、支持力が不足することによる腰椎部に生じる負担の軽減を図り、腰椎部の筋肉疲労を抑えることができる。
【0032】
このとき、3次元網目構造のバックレストとしては、上部メッシュ層、下部メッシュ層、及び、上部メッシュ層及び下部メッシュ層を連結する多数のパイル部を有するパイル層で構成した立体編物を用いることができる。
【0033】
本発明においては、 シートクッションとバックレストとの境界部分におけるシートの幅方向中央部の弾性係数を着座時の法線方向の弾性係数で示すと、筋肉特性を考慮して2N/mmとするのが好ましい。2N/mmを越えると、シートクッション変形時にシートクッションからバックレストに伝達される力が大きくなり、バックレストの張力が大きくなって臀部が圧迫されるので好ましくない。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を車両用シートに適用した実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態は、シートクッションとバックレストとの接合部間を接合しないようにして開放したものである。なお、以下に示す図では、矢印F方向を車両前後方向の前方側、矢印U方向を車両上下方向(シートの高さ方向)の上方側とし、矢印LR方向を車両左右方向(シートの幅方向)として説明する。
【0035】
図1に示すように、車両用シート30は、シートフレーム32を備えている。シートフレーム32は、座部用フレーム34と背部用フレーム36と、を有しており、座部用フレーム34に座部用のクッション材を設けることによりシートクッション38が形成され、背部用フレーム36に背部用の3次元網目構造のクッション材からなるシートバックレストを張設することによりシートバック40が形成されている。
【0036】
背部用フレーム36の一端は、座部用フレーム34の一端に、左右方向に沿って配設された支軸42を軸にして回動可能に連結されており、これにより、前後方向に回動可能なリクライニング機構が形成されている。なお、リクライニング機構の詳細な説明は省略する。
【0037】
座部用フレーム34は、一対のサイドフレーム44を備えており、シートクッション38は、サイドフレーム44に一端が支持された複数のコイルばね46と、このコイルばね46に弾性的に支持されたコンターマット48と、を備え、クッション材として、コンターマット48の上面に積層された弾性体によって形成された中間クッション部材50と、中間クッション部材50の上面に積層されて、サイドフレーム44の間に張設された上部クッション部材52とによって形成されている。また、中間クッション部材50は、図4に示すように、上部中間クッション部材50Aと下部中間クッション部材50Bとを積層して構成されている。
【0038】
なお、シートクッション38は、上部クッション部材52のみが前方側に延設されて折り返され、サイドフレーム44と、サイドフレーム44の間に掛け渡されている前端フレーム44Aとに支持されている。これにより、弾性コンプライアンスを大きくして、減衰機能を大きくし、血流阻害を抑制すると共に、運転者用のシートとして用いたときに、ペダル操作の円滑性が向上されるようにしている。
【0039】
シートクッション38の中間クッション部材50及び上部クッション部材52は、何れも後述する3次元網目構造のシート材である3次元立体編物によって形成されており、中間クッション部材50は、乗員が着座したときに、上部クッション部材52のみを配置したときに生じる底付き感を抑制し、コンターマット48やコイルばね46による異物感を軽減するようにしている。なお、中間クッション部材50は、上部クッション部材52を折り返して形成しても良い。
【0040】
なお、中間クッション部材50及び上部クッション部材52は、3次元立体編物に限らず、網状弾性部材や面状弾性部材等を用いた従来公知の任意の構成を適用することもできる。
【0041】
一方、シートバック40の背部用フレーム36は、シートの高さ方向に延びる一対のサイドフレーム54を備えている。このサイドフレーム54には、ウレタン等を用いた弾性部材が設けられている。シートバック40の左右方向(幅方向)の両側には、この弾性部材を所定の形状に形成することにより、シート30に着座した乗員の体側に対応するサイドサポート部56が形成されている。このサイドサポート部56の間の上部にヘッドレスト58が設けられ、サイドサポート部56の間にシートバックレスト60が張設されている。
【0042】
すなわち、図1及び図2(A)、図2(B)に示すように、シート30は、着座した乗員の体が、サイドサポート部56の間に入り込むバケットタイプとなっている。このサイドサポート部56の表面には、適度なクッション性と快適な接触感が得られる表面材56Aを貼り付けている。なお、この表面材56Aとしては、後述する3次元立体編物が用いられている。
【0043】
図2及び図3(A)に示すように、シートバック40には、サイドサポート部56の間が開放されて、開口部62が形成されている。図2及び図3(A)に示すように、3次元立体織物からなるクッション部材64によってに形成されたシートバックレスト60は、この開口部62に張設されている。
【0044】
すなわち、シートバックレスト60は、シート30に着座した乗員の背中に対向する中央部である開口部62に張設されたクッション部材64によて形成されている。したがって、クッション部材64で形成されたシートバックレスト60は、サイドサポート部56を介して、シートバックの背部用フレーム36に張設されている。
【0045】
なお、シートバックレスト60は、サイドサポート部56を介することなく、直接シートバックの背部用フレーム36に張設してもよい。
【0046】
シートバックレスト60の下端部の幅方向両端部分は、シートクッション38の上部クッション部材52の幅方向両端部分に縫製することによって接合されている。このように接合することによって、上部クッション部材52とシートバックレスト60との境界部分には、シートの幅方向両端部分に位置する所定幅の1対の縫い継ぎ部70A,70Bが形成される。
【0047】
また、上部クッション部材52とシートバックレスト60との接合部間の部分は、開放して接合しないようにしてある。このため、上部クッション部材52とシートバックレスト60との接合部間の部分、すなわち、縫い継ぎ部70A,70B間の部分には、所定幅の開放部71が形成されている。開放部71の幅は、150〜250mmが好ましく、アメリカ人のAM95パーセントの人の最適値は、230mmとなった。
【0048】
ところで、ドライバの旋回操作及び路面外乱によって生じる車両の遠心力に対して、正確な運転操作をするためには、シートクッションのぐらつきを小さくし、体全体をサポートするシートのホールド性能を向上させる必要がある。そのためには、シートの肩甲骨部、座骨及び大腿前部を支持し、姿勢崩れを防止することが重要である。
【0049】
具体的には、シートクッションの座骨結節位置から前方100mmまでの支持感を強くする必要がある。したがって、シートクッション後端より前方200mm、幅200mmの範囲内で、シートクッション天板の剛性感を保ちながら、座骨結節横の押圧力を小さくし、尾骨付近に小さな支持感を与えると、シートクッション後部の抜け感、ぐらつき感がなくなる。この天板支持圧の改善のためには、シートクッションの弾性係数とは異なる弾性係数の弾性体を座面後部に設け、尾骨に軽い支持圧を作用させると、シートクッションの弾性係数は小さくなり、振動特性が改善される。ただし、底付き感が大きくならないように、弱い非線形性を持つダッフィング型の弾性係数とするのが好ましい。
【0050】
このため、上部中間クッション部材50Aの後端縁部であるシートバックレスト側縁部における開放部71に対応する部分は、シートの幅方向に沿って配列された複数の支持ばね43によって支軸42に支持している。この複数の支持ばね43と上部中間クッション部材50Aの後端縁部とによって構成される弾性部分の弾性係数は、着座した状態で近似的に0となるように、30〜50N/mmとするのが好ましい。
【0051】
このように、本実施の形態では、上部クッション部材52の幅方向両端部をシートバックレスト60の対応する部分に接合することによって体側支持構造とし、上体各部の左右揺れを減少させる。また、開放部71に対応する上部中間クッション部材50Aの縁部を支持ばね43で支持することで、着座によるクッション変形に伴うバックレストの張力が開放部71の両端を介して伝達されるのみとなり、クッションの撓みによるバックレストの前後力が減少するので、乗員は上下主体の振動となる。これにより、ホールド性能を向上させると共に、クッションのばね定数と人体質量との1自由度振動モデルに近づき、高周波振動を向上させる構造としている。
【0052】
なお、上記では、上部中間クッション材を支持ばねで支持することによって、シートクッションのバックレスト側部分を支持する例について説明したが、下部中間クッション材、または上部クッション材の後縁を支持することによって、シートクッションのバックレスト側部分を支持するようにしてもよく、中間クッション材の弾性係数を調整することでシートクッションのバックレスト側部分を支持するようにしてもよい。
【0053】
次に、図5乃至図8を参照しながら、上記のクッション部材として用いる3次元立体編物について説明する。
【0054】
図5に示すように、3次元立体編物80は、互いに離間して配設された一対のグランド編地82、84と、この一対のグランド編地82、84の間を往復して両者を結合する多数の連結糸86によって形成されるパイル部88と、によって構成されている。
【0055】
一方のグランド編地82は、例えば、図6に示すように、短繊維を撚った糸90から、ウェール方向及びコース方向の何れの方向にも連続したフラットな編地組織によってメッシュを形成したものを用いる。また、他方のグランド編地84は、例えば図7に示すように、短繊維を撚った糸92からハニカム状のメッシュを形成している。また、他方のグランド編地84は、一方のグランド編地82よりも大きな網目としている。なお、グランド編地82、84としては、細め組織やハニカム状に限らず、これ以外のメッシュ状の編地組織を用いたものであっても良い。
【0056】
図5に示すように、連結糸86は、一方のグランド編地82と他方のグランド編地84が所定の間隔を保持するようにグランド編地82、84の間に編み込まれてパイル部88を形成している。これにより、メッシュニットとなっている3次元立体編物80に所定の剛性を付与するようにしている。
【0057】
3次元立体編物80は、グランド編地82、84を形成するグランド糸(糸90、92)の太さ等によって、必要な腰の強さを具備させることができるが、グランド糸90、92は、編成作業が困難とならない範囲のものが選択されることが好ましい。また、グランド糸92、92としては、モノフィラメント糸を用いることができるが、風合いや表面感触の柔らかさ等を考慮して、マルチフィラメント糸やスパン糸を用いても良い。
【0058】
連結糸86としては、モノフィラメント糸を用いることが好ましく、太さは、167デシテックス〜1100デシテックスの範囲のものが好ましい。マルチフィラメント糸では、復元力が良好なクッション性が得られなく、また、太さが167デシテックスを下回ると、3次元立体編物80の腰の強さが低下し、1100デシテックスを上回ると、硬くなり過ぎてしまい、適度のクッション性が得られなくなる。
【0059】
すなわち、連結糸86として、167デシテックス〜1100デシテックスのモノフィラメント糸を用いることにより、シートに着座した乗員の荷重を、グランド編地82、84を形成する網目の変形と共に、パイル部88を形成する連結糸86の倒れや座屈による変形、また、変形した連結糸86にばね特性を付与する隣接した連結糸の復元力によって支持することができ、柔らかなばね特性を有して応力集中の起きない柔構造とすることができる。
【0060】
なお、3次元立体編物80に凹凸を形成しても良い。すなわち、グランド編地82、84としては、表面に凹凸が生じるように編んだものであっても良く、凹凸を形成した時には、グランド編地82、84に断面略アーチ状のばね要素を形成できるため、さらに、柔らかなばね特性を付与することができ、筋肉の弾性コンプライアンスと略同等かそれよりも大きな弾性コンプライアンスを有する構造を容易に形成することができる。なお、弾性コンプライアンスは、(たわみ量)/(接触する面の平均圧力値)で計算される。
【0061】
グランド糸90、92及び連結糸86の素材としては、特に限定するものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維が挙げられる。これらの素材は、単独で用いても良く、任意の組み合わせで併用することもできる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリオレフィン系繊維、あるいはこれらの繊維を2種類以上組み合わせたものである。
【0062】
また、グランド糸90、92及び連結糸86の糸形状も前記した説明に限定するものではなく、丸断面糸や異形断面糸等を用いても良い。
【0063】
パイル部88を形成する連結糸86の配設の仕方であるパイル部88のパイル組織は、各グランド編地82、84を連結する連結糸86を側面から見た状態で表すと、図8(A)〜図8(E)に示す種類に分類することができる。
【0064】
図8(A)、図8(B)は、グランド編地82、84の間に、連結糸86をほぼ垂直に編み込んだストレートタイプであり、このうち図8(A)は、8の字状にしてストレートに編んだものであり、図8(B)は、単純なストレートに編んだものである。
【0065】
また、図8(C)、図8(D)、図8(E)は、グランド編地82、84の間において、連結糸86が中途で交差するように編んだクロスタイプを示している。このうち、図8(C)は、連結糸86を8の字状にクロスさせたものであり、図8(D)は、連結糸86を単純にクロスさせたものである。また、図8(E)は、連結糸86を2本ずつまとめてクロス(ダブルクロス)させたものである。
【0066】
なお、図8(C)〜図8(E)に示すように、連結糸86同士を交差させて斜めに配置したときには、連結糸86をグランド編地82、84の間でほぼ垂直に配置した形態(図8(A)、図8(B)参照)に比較して、各連結糸86の座屈強度により充分な復元力を保持しながら、圧縮率の大きな柔らかいばね特性を付与することができるという利点がある。
【0067】
このような3次元立体編物80を用いたクッション部材52、64は、ばね性が小さくなって減衰比が高く、乗員の体型に追従した変形が生じ易く、よりフィットし易くなる。なお、シートバック40のクッション部材64と、シートクッション38の上部クッション部材52の幅方向両端部とは、3次元立体編物80が縫合によって一体化し、乗員が着座したときに大きな荷重のかかる乗員の臀部から腰椎部に対向する部位を、乗員の臀部から腰椎部にかけて浮かせる方向に、ハンモックの如く支持できるようにしている。これにより、乗員の姿勢の変化に追従しやすくすると共に、着座感の向上を図るようにしている。
【0068】
ところで、シートバック40のシートバックレスト60にクッション部材64として張設する3次元立体編物80は、図3(B)に示すように、開口部62の開口に合わせた型紙66に合わせて、所定の形状に作成した型紙68を用いて裁断される。
【0069】
この型紙68は、シートクッション38側の端部であるシートクッション38の上部クッション部材52との縫い継ぎ部70A,70Bから所定の高さh2の間で、縫い継ぎ部70A,70Bから所定の高さh1で最も拡幅されるように形成される。これにより、クッション部材64をシートバック40に張設したときに、シートバックレスト60で、シートクッション38から高さh1の部分で、最も緩みが生じるようにしている。
【0070】
すなわち、この型紙68を用いて3次元立体編物80を裁断したクッション部材64をシートバックレスト60に張設することにより、クッション部材64は、縫い継ぎ部70から高さh1の位置で、最も緩みが生じる。また、この位置より縫い継ぎ部70及び高さh2の位置へ向けて緩みが徐々に少なくなり、高さh2を越えることにより、張力が数%以内の状態となるようにしている。
【0071】
この高さh1の部分の型紙68の幅寸法W0は、型紙66の該当部分の幅寸法WSに対して、所定の拡幅率αだけ大きくしている。すなわち、W0=WS×(1+α)としている。なお、本実施の形態では、一例として、幅寸法W0が、幅寸法WSに対して、4%だけ広くなるように拡幅率αを設定している(α=0.04)。
【0072】
これにより、シートバックレスト60は、縫い継ぎ部70から高さh2の間で、高さh1の位置で最も緩みが大きくなるようにクッション部材64が張設される。
【0073】
一方、この高さh1及び高さh2は、シート30に着座する人の体型に基づいて設定している。すなわち、高さh1は、シート30に着座した人の腸骨の上端部近傍に対応する位置となる座位上後腸骨棘高に基づいて設定され、また、高さh2は、鎖骨の下端部に対応する位置となる座位肩甲骨下角高に基づいて設定している。
【0074】
座位上後腸骨棘高は、図9(A)に示す腸骨16の上後腸骨棘16Aが最も後方に突出している点の座面からの高さであり、日本人の青年男性の平均が154.3mmであり、青年女性の平均が149.1mm、青年男女の平均が151.8mmとなっている。また、壮年男性、女性及び壮年男女の平均がそれぞれ、152.2mm、136.1mm、144.3mmとなっていることから、本実施の形態では、一例として高さh1を150.0mmとしている。
【0075】
座位肩甲骨下角高は、肩甲骨12の下端である肩甲骨下角12Aの座面からの高さであり、日本人の青年男性、青年女性及び青年男女の平均がそれぞれ456.9mm,416.1mm,437.2mmとなっている。また、壮年男性、女性及び壮年男女の平均がそれぞれ,427.2mm,377.2mm,401.1mmとなっていることから、この数値を考慮して本実施の形態では、高さh2を450.0mmとしている。
【0076】
なお、シート30では、着座した乗員の体側部がサイドサポート部56に保持されるように開口部62の幅寸法を設定している。これにより、図3(B)に示す、型紙68上での高さh2における幅寸法Waを、肩甲骨下角幅に基づいて設定している。肩甲骨下角幅は、図9(A)に示す左右の肩甲骨12の肩甲骨下角12Aの間の直線距離であり、日本人の青年男性、青年女性及び青年男女の平均がそれぞれ194.7mm、163.8mm、179.8mmとなっている。また、壮年男性、女性及び壮年男女の平均がそれぞれ、187.6mm、161.2mm、174.3mmとなっている。ここから、幅寸法Waを、肩甲骨下角幅よりも十分に広くして、シート30のシートバックレスト60内に着座した人の上体が納まるようにすると共に、シートバックレスト60内に納まった時の体側部が開口部62の周縁部を形成しているサイドサポート部56に当接するように設定している。
【0077】
3次元立体編物80をクッション部材64として張設するときには、任意の接合方法を用いることができる。このとき、サイドサポート部56の表面材56Aとの間で、一体感を持たせるように適切に接合することが好ましい。例えば、表面材56Aとして、フェルトなどの布材を用いるときには、この表面材56Aからクッション部材64を縫い継ぐようにすることが好ましく、これにより、3次元立体編物80の横方向への伸びを抑制しながら上下方向に伸びが生じ易くすることができる。したがって、人体の体型に追従した変形が生じ易くなり、ホールド性と着座時の安定性の、より一層の向上を図ることができる。
【0078】
このようにして、3次元立体編物80を裁断して形成したクッション部材64を張設することにより、シートバック40のシートバックレスト60には、座面から高さh1の位置を中心にして撓み部72が形成される。これによって、水平方向の緩みが座位上後緒骨棘高を通る水平線に対応する部分で最大となり、かつ緩み最大部分から徐々に緩みが小さくなるようにシートバックレストが張設される。
【0079】
このとき、クッション部材64として3次元立体編物80をシートバックレスト60に張設することにより、ばね性が低くなって減衰比が高まり、上体をハンモック状に支持することが可能となる。
【0080】
このシート30に着座した人の体は、上体がサイドサポート部56の間に納まることにより、背面がシートバックレスト60に張設しているクッション部材64に対向する。このときに、臀部から腰椎部にかけてシートバックレスト60の撓み部72に対向する。
【0081】
この撓み部72では、クッション部材64の幅寸法W0を、開口部62の幅寸法WSよりも広くしており、深く腰を下ろすことにより、臀部から腰椎部がクッション部材64に包まれるようにシートバックレスト60内に納まる。すなわち、クッション部材64内に沈み込むように臀部から腰部が納まって保持される。
【0082】
また、上体は、体側部がサイドサポート部56に当接して保持される。このとき、上体の中央部は、開口部62を閉塞するように張設されているクッション部材64に当接する。クッション部材64は、高さh2より上の部分で張力が数%以下の状態となっているが、これより下の領域で僅かに撓みが生じるようになっているために、高さh2より下の部分で上体がクッション部材64に包まれて保持される。すなわち、シート30では、従来、適切な着座状態とされている背骨のS字形状保持に比べて僅かに猫背ぎみの状態で着座することになる。
【0083】
次に、上記のように構成した本実施の形態の車両用シートにおける着座したときのシートバックレストの重心の分布について説明する。ます、図9(A)に示すように、シートクッションに着座する人体10の肩甲骨下角12A、12Bを結ぶ線14、左右の腸骨稜を結ぶ線18、及び腰腸肋筋(図示省略)上を通る線20によって囲まれる背領域22を想定する。このとき、腰腸肋筋上を通る線20は、およそ、肩甲骨12の下端と腸骨16の上端を結ぶ位置となる。
【0084】
この背領域22に対して、図9(B)に示すように、シートバックレストを、高さ方向に沿った中心線24を挟んで対称に、かつ高さ方向に沿って複数に分割した各領域26のそれぞれで荷重を受けるときの重心が、背領域22の外方に分布している。なお、図9(B)及び図9(C)では、本実施の形態を適用したシートでの重心位置を黒丸で示し、従来構造の一般的シートでの重心位置を黒四角で示している。
【0085】
これにより、バックレストは、着座者の荷重を、主に体側部となる腰腸肋筋より外側の部位で帯状に支持し、着座者の中心側となる臀部から腰椎部への支持圧を削減させることができ、疲労感を大きくする腰椎部での血行不良による筋肉疲労(腰痛)の発生を抑えることができる。
【0086】
また、図9(A)に示すように、背領域22の下側に、背領域22の幅で延長した下側領域28を想定したときに、図9(B)に示すように、下側領域28に連なる各領域26で受ける荷重の重心が、この下側領域28の外側に位置するようにしている。
【0087】
また、図9(A)に示すように、背領域22の下側に背領域の幅で延長した下側領域28の作用する荷重が、総荷重に対して約13%以下となっている。これにより、腰椎部の支持荷重を減らし、腰椎部の筋肉を弛緩状態とすることができ、長時間着座したときに腰痛の軽減を図ることができる。なお、総荷重は、バックレストを下後腸骨棘16B(図9(A)参照)より上の体を支持するシート部位であると定義した場合に、バックレスト全体における支持荷重を総荷重としている。
【0088】
図10(B)には、シート30に着座したときの、シートバック40へ加わる体圧分布の測定結果を示している。また、図10(C)には、従来から最適とされているシートのシートバック上での体圧分布の一例を示している。
【0089】
ところで、人体10における背中の横断面形状は、背骨10Aから体側に向けて後方に張り出している。特に、肩甲骨12と上後腸骨棘16Aの骨部分の張り出しが大きくなっている。
【0090】
一方、肩甲骨12から腸骨16に掛けて後方の張り出しが大きい部分は、本図に記載されていない腰腸肋筋の稜線である。このような背形状の人がシートに着座した場合には、肩甲骨12と上後腸骨棘16A骨部分と腰腸肋筋の筋肉部分が高い体圧で接触することになる。また、長時間着座における筋肉疲労の原因は、筋肉に作用する荷重、すなわち体圧が高くなり筋肉周辺の血管を圧迫することで血液循環が妨げられることによるものである。
【0091】
したがって、筋肉疲労を低減するためには、背骨に沿って左右にある主要な胸最長筋と腰腸肋筋への荷重負担を考慮する必要がある。そこで、筋肉に対する負担を評価すると共に、シート設計要件としての領域を以下のように設定した。
【0092】
すなわち、図10(A)(図9(A)も参照)に示すように、人体10の左右の肩甲骨12の下端(肩甲骨下角12A)を結ぶ線14、左右の腸骨稜を結ぶ線18及び、肩甲骨下角12Aと腸骨稜を結ぶ線20によって囲われる領域を背領域22としたときに、シート30では、この背領域22にシートバックレスト60に張設しているクッション部材64が対向する。このときに、肩甲骨下角12Aと腸骨稜を結ぶ線20は、人体の背骨10Aの左右で、上下方向に沿った腰腸肋筋に沿うことになる。
【0093】
一方、本実施の形態のシートバックレスト60では、クッション部材64の縫い継ぎ部70A,70Bから高さh2となる位置が、背領域22の上端の線14に相当する位置となる。
【0094】
また、背領域22の幅で延設した領域28の中心には、上後腸骨棘16Aがある。図3(B)に示すクッション部材64の縫い継ぎ部70A,70Bから高さh1の位置で最も緩みが大きくなる撓み部72は、着座したときの上後腸骨棘16Aの位置となる。
【0095】
これによって、図10(B)に示すように、本実施の形態シートにおけるシートバック40の背領域22の体圧分布は、図10(C)に示す従来から最適とされているシートに比べて、体圧が相対的に小さくなっていると共に、背領域22の線20の外側で体圧が高くなっていることがわかる。また、背領域22の下端の線18、すなわち左右の腸骨稜を結ぶ線付近と、背領域22と延設した領域28における体圧が低くなっていると共に、領域28の左右の外側で体圧が高くなっている。
【0096】
この体圧分布の違いは、人体の形状寸法に合わせてバックレストのクッション部材64の緩みを張設したことによるものである。すなわち、臀部の張り出しの大きい上後腸骨棘16Aの高さh1の撓み部72で最も大きくすると共に、肩甲骨下角12A、12Bの高さh2に掛けて数%以下の張力となるように張設することにより、体の形状に合わせて3次元立体編物80を裁断して形成したクッション部材64が変形するため、背中の横断面における稜線、すなわち腰腸肋筋から体側に接している部分で体圧が高くなる。
【0097】
また、背領域22の下端の線18から坐骨結節下に掛けては、上後腸骨棘16Aの高さにある撓み部72により、臀部から腰椎部がクッション部材64に包まれるように収容される。したがって、臀部から腰椎部に掛けては人体の横断面における稜線、すなわち領域28の左右の線付近からネット(クッション部材64)と接している体側部分で体圧が高くなる。
【0098】
一方、図9(B)では、シート30のシートバック40で中心線24を挟んで左右対称に複数に分割した領域26を想定した時の、それぞれの領域26における荷重の中心である重心位置を、図10(B)の圧力分布に基づいて作成している。また、図9(C)には、図10(B)の圧力分布に基づいて作成したバックレストの支持荷重に対する上下分割領域の荷重比率を示している。この荷重比率のグラフは、シートバック40が受ける総荷重に対する各領域位置での荷重比率を示している。なお、図9(B)及び図9(C)では、シート30の重心及び荷重比率を黒丸で示し、図10(C)に基づいた従来例を黒四角で示している。
【0099】
図9(B)に示すように、従来は、荷重の重心が背領域22内や領域28内に位置しているのに対して、シート30では、荷重の重心位置が、背領域22及び領域28を大きく外れた位置となっている。すなわち、従来は、背中を中心に受ける圧力を、体側で受けることができるようになっている。
【0100】
また、従来シートの臀部から腰部にかけての支持荷重分布は、腸骨稜の線18からすぐ下側の第5腰椎近傍で荷重比率が高くなり、それより下側で急激に荷重比率が低下する特性となっている。これは、クッションとバックレストが分離し、臀部とバックレストとの隙間があるためである。
【0101】
これに対して、本実施の形態のシートは、体の形状に合わせて3次元立体編物80を裁断して形成したクッション部材64が変形するため、左右の上後腸骨棘16Aを通る直線と左右の下後腸骨棘16B(図9(A)、図10(A)参照)を通る直線との間の領域における荷重比率が10%以上であり、急激な支持荷重変化がなく、均等に分配されている。さらに、領域28の体側側に重心があると共に、領域28の荷重比率が、図10(C)に基づいて計算した従来シートが35%を超えるのに対して、本実施の形態シートは15%前後となっている。
【0102】
これにより、シート30では、人体10の腰椎部に対する支持圧を全体的に減少させることができるので、支持圧が高いことによる血行不良の発生を抑えることができる。すなわち、支持圧によって血液循環が妨げられることがない。
【0103】
また、車両に設けたときにも、車両走行中の振動による上体のゆれを肩から臀部にかけての体側側で帯状に上体を支持しているために、揺れに対する上体の支持不足が生じることがなく、支持不足を補うために、腰椎部に不要な力みが入るのを防止することができる。
【0104】
したがって、腰椎部の筋肉が弛緩状態に保たれ、長時間の着座による腰痛の発生を抑えることができる。
【0105】
また、従来の車両用シートでは、うねり路とアスファルト路面を走行した場合には、低周波振動によりクッションの変形が大きくなる。特に、クッションが沈み込む場合には、バックレストのネット張力が増加し、腰部に前後力が作用し、その結果、上体は腰部を中心とした上体のピッチングとバウンズ振動が複合し、不快感が増大する。また、荒れた路面では、高周波振動が主成分となるため、バックレストの張力による前後力に対して上体が応答しない反面、腰部に振動が伝達され、高周波振動の乗り心地が悪化する。
【0106】
これに対して、本実施の形態のネットシートは、クッションとバックレストとの中央部を開放しているため、うねり路及びアスファルト路面を走行しても、クッションの沈み込みによるバックレストの張力が大幅に減少するので、腰部に作用する前後力も小さくなり、上体のピッチングが抑制されると共に、高周波振動も伝達され難くなる。すなわち、クッションとバックレストとの接合部の一部を開放することで、単純な上下振動に対して従来ネットシートの課題であった上体のピッチングと前後振動を軽減すると共に、長時間着座におけるクッションからの接触圧力の増大感を大幅に軽減することができる。
【0107】
また、開放部の両サイドでクッションとバックレストとを繋げているので、体側支持性能を維持でき、ロールやヨーの方向に回転しないので、ホールド性能及び著時間運転における疲労軽減を損なうことがない。
【0108】
さらに、クッション開放部の後端とフレームとをクッションの弾性係数より小さいばね等の弾性体で支持することにより尾骨付近の支持感を与えることができ、着座時及び振動入力時に臀部後転に伴うぐらつき感がなくなる。
【0109】
上記では、シートクッションとシートバックレストとの接合部間を接合することなく開放して、接合部間に開放部を設けた例について説明したが、以下で説明するように、接合部間の弾性係数が所定値以下となるようにシートクッションとバックレストとの接合部間の部分を接合するようにしてもよい。
【0110】
図11は、上部クッション部材52とシートバックレスト60との接合部間の部分、すなわち、上記で説明した開放部71に対応する部分を、糸120によって縫製すると共に弛ませ、この縫製部分を上記と同様に複数の支持ばね43によって支軸42に支持したものである。 図12は、上部クッション部材52とシートバックレスト60との接合部間の部分に弾性係数が小さい3次元立体編物122を介在させて糸120によって縫製すると共に弛ませたものである。
【0111】
図11及び図12の場合においても、複数の支持ばねと上部クッション部材52の後縁部分とで構成される弾性部分の弾性係数、及び3次元立体編物と上部クッション部材52の後縁部分とで構成される弾性部分の弾性係数は、着座時の臀部に作用する3次元立体編物の法線方向の弾性係数で示すと2N/mm以下の値に設定する。
【0112】
なお、上記では、部クッション部材とシートバックレストとの接合部間の部分に3次元立体編物を介在させることによって、弾性係数を所定値以下にする例について説明したが、3次元立体編物に対応する部分のパイル構造を他の部分より粗な構造にすることによって、弾性係数を所定値以下にしてもよい。また、弾性係数が小さい糸、すなわち伸縮し易い糸を用いて編むことにより、弾性係数を所定値以下にしてもよい。
【0113】
また、以上説明した本実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明の構成を限定するものではない。例えば、本実施の形態では、自動車等の車両に設けられるシートを例に説明したが、本発明のシートは、自動車等の車両のみならず、航空機のシートや家具等の人が着座するシートであれば、各種のシートに適用することができる。特に、長時間にわたって着座するシートや、振動や揺れ等を伴うシートとして用いることができる。
【0114】
次に、本実施の形態のシートの前後振動吸収性の効果を確認するために行なった加振実験について説明する。この実験では、図13に示すようにフロア足元とバックレストの左右中止で第3腰椎部となる高さ位置に小型の単軸加速度センサを取り付け、人間が着座した状態でランダム波形で上下加振を行ない、フロアの足元の上下加速度Gzhと、バックレストの前後加速度Gxwの伝達特性を調べた。
【0115】
図14に従来のネットシートと本実施の形態のネットシートとの前後振動伝達特性を示す。図に示すように、本実施の形態のネットシートは、4〜13Hzの周波数帯域で従来のネットシートに比較してゲインが低く、振動吸収性が大幅に向上している個とが理解できる。なお、5Hz付近の振動ピークは、バックレストのばね要素と人体による前後方向の共振である。
【0116】
また、クッションとバックレストとの接合部を一部開放することは、バックレストの前後力の影響が小さくなりクッションのばね要素と人体による単純な1自由度振動系モデルに限りなく近づくことを意味する。そこで、図13に示すようにフロア足元の上下加振加速度Gzfに対するクッションの座骨結節下部設置した加速度センサによる上下加速度Gzhとの振動伝達特性を調べ、従来のネットシートと比較した。
【0117】
その結果、従来のネットシートは、5Hzで最もゲインが大きく共振現象が見られるものの、5Hz〜11Hzの周波数帯域までは1以上のゲインがあり、単純な1自由度の振動特性波形とは異なっている。
【0118】
一方、本実施例のネットシートは、約3.6Hzで共振現象が見られ、それ以上の周波数では急激にゲインが低下し、単純な1自由度系の特徴を持った振動特性であるといえる。そのため、本実施の形態のシートは、従来のネットシートの共振周波数である5Hz以上で振動ゲインが低下し、乗り心地が大幅に向上しているのが理解できる。
【0119】
また、本実施の形態のネットシートは、共振周波数が従来に比較して低くなったものの、共振ゲインが従来のネットシートが1.5であるのに対して2.0と約1.3倍強となる。しかしながら、臀部に入力される衝撃の大きさと振動の減衰時間との兼ね合いを考えると、フロアからクッションに伝達される振動ゲインは、2.0付近が最適と思われる。むしろ、従来のネットシートのようにゲインが小さいということは、振動減衰が大きく、臀部に入力される衝撃も大きくなるので、乗り心地が悪いシートと評価される。このように、クッションとバックレストの接合部の一部を開放することにより、クッションの沈み込みによるバックレストの前後力を大幅に低減させることで、乗り心地を大幅に向上させることができる。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シートクッションとバックレストとのシートの幅方向両端部分を接合し、シートクッションとバックレストとの接合部間に非接合部を設け、シートクッションの該非接合部に対応する部分を弾性係数が所定値以下の弾性体で支持するか、または接合部間の弾性係数が所定値以下となるようにシートクッションとバックレストとの接合部間の部分を接合したので、長時間着座した場合にも臀部から大腿にかけて接触圧力が増大しないようにすると共に、腰部を中心とした上体のピッチングを防止したシートを提供することができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の車両用シートの一部を破断した概略斜視図である。
【図2】(A)は本実施の形態の車両用シートの正面図であり、(B)は側面図である。
【図3】(A)はシートバックにクッション部材を張設していない状態を示すシートの概略正面図、(B)はシートバックに張設するクッション部材の型紙を示す概略図である。
【図4】本実施の形態の車両用シートの高さ方向中心線に沿った断面の一部分を示す断面図である。
【図5】クッション部材として用いる3次元立体織物を示す概略断面図である。
【図6】3次元立体編物に用いる一方のグランド編地の一例を示す概略図である。
【図7】3次元立体編物に用いる他方のグランド編地の一例を示す概略図である。
【図8】(A)から(E)のそれぞれは、パイル部の適用例を示す3次元立体編物の要部の概略断面図である。
【図9】(A)は人体の骨格を示す概略図、(B)はシートバックへの荷重の重心位置の分布を示す概略図、(C)はシートバックへの荷重比の分布を示す概略図である。
【図10】(A)は、人体の骨格の骨格を示す図9(A)と同様の概略図、(B)は本実施の形態に適用したシートのバックレストへの荷重分布を示す概略図、(C)は従来のシートのバックレストへの荷重分布の一例を示す概略図である。
【図11】シートバックレストと上部クッション部材との接合部の他の例の一部分をを示す断面図である。
【図12】シートバックレストと上部クッション部材との接合部の更に他の例の一部分をを示す断面図である。
【図13】フロアとバックレスト前後の加速度センサ取り付け位置を示す概略図である。
【図14】従来例と本実施の形態とのフロアとバックレスト前後の振動伝達ゲインを比較して示す線図である。
【図15】従来例と本実施の形態とのフロアから座骨結節下の上下振動伝達とバックレスト前後の振動伝達ゲインを比較して示す線図である。
【図16】従来の3次元立体編物を使用したネットシートを示す斜視図である。
【図17】ウレタンシートとネットシートにおけるシートクッションの荷重配分を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 人体
12 肩甲骨
12A 肩甲骨下角
14、18、20 線
16 腸骨
16A 上後腸骨棘
22 背領域
24 中心線
26 領域
28 領域
30 シート
38 シートクッション
40 シートバック
56 サイドサポート部
60 シートバックレスト
64 クッション部材
71 開放部
80 3次元立体編物
88 パイル部

Claims (10)

  1. シートクッションと、シートクッションに取り付けられたシートバックフレーム及び該シートバックフレームに張設された3次元網目構造のバックレストを有するシートバックと、を備えたシートであって、
    シートクッションとバックレストとのシートの幅方向両端部分を接合すると共に前記接合部間に非接合部を設け、シートクッションの該非接合部に対応するバックレスト側の部分を弾性係数が所定値以下の弾性体で支持するか、または前記接合部間の弾性係数が所定値以下となるようにシートクッションとバックレストとの接合部間の部分を接合することで、シートクッションとバックレストとの境界部分におけるシートの幅方向両端部分とシートの幅方向中央部とで弾性特性を異ならせたシート。
  2. 前記シートの幅方向中央部の弾性特性を前記シートの幅方向両端部分の弾性特性より軟らかくした請求項1に記載のシート。
  3. シートクッションの天板部を3次元網目構造としてシートバックに連続させ、前記シートの幅方向中央部の構造を前記シートの幅方向両端部分の構造より粗にした請求項1または請求項2に記載のシート。
  4. シートクッションの天板部とバックレストとをシートの幅方向中央部においてバックレストと弾性特性が異なる3次元網目構造部材で縫製した請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のシート。
  5. シートクッションとバックレストとの境界部分における着座者の臀部が当接する部分の法線方向における弾性係数を2N/mm以下とした請求項1〜請求項記載のいずれか1項に記載のシート。
  6. シートバックの高さ方向中心線と対称にバックレスト表面の左右にそれぞれ複数個想定した領域の各々における前記シートに着座した際の荷重の重心が、左右の肩甲骨の下端を結んだ直線、左右の腸骨の上端を結んだ直線、及び左右の腰腸肋筋の各々に沿って腰腸肋筋上を通る直線で囲まれた人体の背領域に対応するバックレストの外側に分布するようにした請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のシート。
  7. バックレストの前記領域の下側に、該領域と同じ幅で該領域に連続する下側領域の外側にも、前記荷重の重心が分布するようにした請求項に記載のシート。
  8. バックレストの前記領域の下側に、該領域と同じ幅で該領域に連続する下側領域に作用する荷重の総重量に対する割合が25%以下となるようにした請求項6または請求項7のシート。
  9. 左右の上後腸骨棘を通る直線と左右の下後腸骨棘を通る直線との間の領域における荷重の総重量に対する割合が5%以上となるようにした請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のシート。
  10. 水平方向の張力が座位上後腸骨棘高を通る水平線に対応する部分で最小となり、かつ張力最小部分から徐々に張力が大きくなるか、または、水平方向の緩みが座位上後緒骨棘高を通る水平線に対応する部分で最大となり、かつ緩み最大部分から徐々に緩みが小さくなるように前記バックレストを張設した請求項〜請求項9のいずれか1項に記載のシート。
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