JP4707795B2 - 内燃機関の燃料圧力制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料圧力制御装置 Download PDF

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • High-Pressure Fuel Injection Pump Control (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料圧力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、燃焼室に直接燃料を噴射供給するタイプの内燃機関においては、燃料噴射弁に供給される燃料を高圧燃料ポンプで加圧することにより、同燃料の圧力を燃焼室内の圧力に抗して燃料噴射を行うことが可能な値(目標値)まで上昇させるようにしている。こうした燃料圧力の制御は、燃料配管内の実際の燃料圧力と目標値とから算出される制御量に基づき高圧燃料ポンプを駆動制御し、同ポンプの燃料吐出量を上記実際の燃料圧力が目標値に近づくようフィードバック制御することによって行われる。
【0003】
高圧燃料ポンプの駆動制御に用いられる上記制御量は、実際の燃料圧力と目標値との偏差に応じて更新される積分項、及び実際の燃料圧力と目標値との偏差を「0」にすべく増減する比例項等から算出される。この制御量が大きくなると高圧燃料ポンプの燃料吐出量が増加して燃料圧力が高くなり、逆に制御量が小さくなると高圧燃料ポンプの燃料吐出量が低下して燃料圧力が低くなる。
【0004】
ところで、実際の燃料圧力が目標値よりも過度に高くなると、上記積分項及び比例項が共に小さくなって実際の燃料圧力を目標値まで低下させようとする。しかし、燃料圧力を低下させることは時間がかかるため、実際の燃料圧力を目標値まで低下させる間に上記積分項が過度に小さくなってしまう。このように積分項が小さくなり過ぎると、実際の燃料圧力が目標値に達した後に同燃料圧力を目標値に維持することができず、燃料圧力が更に低下していわゆるアンダーシュートが生じる。
【0005】
そこで、例えば特開平6−137199号公報に記載された燃料圧力制御装置にように、実際の燃料圧力が目標値よりも過度に高くなるときには積分項の更新を禁止することが提案されている。この場合、実際の燃料圧力を目標値まで低下させる際に積分項が過度に小さくなることが回避されるため、上記のようなアンダーシュートが生じるのを防止することができる。
【0006】
一方、内燃機関の始動時においては、実際の燃料圧力が目標値よりも過度に低い状態にあるため、実際の燃料圧力を目標値へと上昇させるまでの間に積分項が過度に大きくなる。また、機関始動時には始動性を高めるために燃料噴射弁からの燃料噴射量が多くされることから、高圧燃料ポンプの燃料吐出量も多くする必要が生じる。このように機関始動時には、高圧燃料ポンプの燃料吐出量が多い状態で積分項が大きくなるため、実際の燃料圧力が目標値に達した後に同燃料圧力を目標値に維持することができず、燃料圧力が目標値を越えて更に上昇するいわゆるオーバーシュートが大きく生じることとなる。
【0007】
こうした大きなオーバーシュートを抑制すべく、例えばトヨタ技術公開集(発行番号8646)に示されるように、機関始動時に積分項の更新を禁止することも提案されている。この場合、実際の燃料圧力が目標値へと上昇するまでの間に、過度に積分項が大きい値へと変化することはないため、上記のような大きなオーバーシュートを抑制することができる。そして、こうしたオーバーシュートに伴う燃焼状態の悪化といった不具合を回避することができるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように機関始動時に積分項の更新を禁止することで、上記のような大きなオーバーシュートを抑制することができるようにはなる。しかし、制御量の変化に伴う燃料吐出量の変化には応答遅れがあるため、燃料圧力が目標値に達したときに燃料吐出量を減少させるべく制御量を小さくしても、上記応答遅れに対応した分の余剰の吐出燃料により、小さいながらオーバーシュートが生じることとなる。
【0009】
このように小さいオーバシュートが生じる場合には、燃焼状態の悪化といった大きな不具合が生じることはないが、燃料圧力を目標値に収束させるのに時間がかかり、燃料圧力制御の制御性が低下するという問題がある。このように燃料圧力が目標値に収束するのに時間がかかるのは、燃料圧力は、上記オーバーシュートの後に目標値に対して増大側と減少側との間で増減を繰り返し、この増減が収まった後に目標値と一致するようになるためである。
【0010】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、機関始動時に実際の燃料圧力が目標値を越えて上昇するのを的確に抑制することのできる内燃機関の燃料圧力制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、燃料噴射弁が取り付けられてこれに燃料を供給する燃料配管と、この燃料配管内に向けて燃料を吐出する燃料ポンプを備え、前記燃料配管内の燃料圧力を目標値に近づけるように制御すべく前記燃料ポンプの燃料吐出量を調整する内燃機関の燃料圧力制御装置において、内燃機関の始動時に前記燃料圧力を目標値に近づけるように制御すべく調整された前記燃料ポンプの燃料吐出量を燃料ポンプの最大吐出量よりも小さな所定値以下に制限する制限手段を備えることを要旨としている。
【0012】
機関始動時に実際の燃料圧力が目標値まで上昇すると、燃料圧力を目標値に維持すべく燃料ポンプの燃料吐出量を減少するよう指示がなされる。上記の構成によれば、こうした指示に対する燃料吐出量の減少に応答遅れが生じても、同指示がなされたときの燃料吐出量を所定値以下に制限することで、上記応答遅れに対応した分の余剰の吐出燃料が少なくなる。従って、こうした応答遅れに伴い燃料圧力が目標値を越えて大きくなる、いわゆるオーバーシュートが生じるのを的確に抑制することができる。
【0013】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記燃料吐出量を調整すべく前記燃料ポンプを駆動制御する際に用いられる制御量を算出する算出手段を備え、前記制限手段は、前記燃料吐出量を所定値以下に制限すべく、前記制御量を同燃料吐出量を多くする側について所定のガード値でガードすることを要旨としている。
燃料ポンプを駆動制御する際に用いられる制御量をガード値でガードすることにより燃料吐出量を制限する上記の構成によれば、燃料ポンプの燃料吐出量を的確に所定値以下に制限することができる。
【0014】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記制限手段は、前記制御量に対するガード値として前記所定のガード値とは別に、前記燃料吐出量を多くする側についてのガードの度合が前記所定のガード値よりも小さい基本のガード値をさらに有するとともに、前記所定のガード値及び前記基本のガード値の一方を選択してこれにより前記制御量のガードを行うことを要旨としている。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記制限手段は、内燃機関の始動開始から前記燃料配管内の燃料圧力がその目標値に達するまでは前記所定のガード値により前記制御量のガードを行うことを要旨としている。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記制限手段は、内燃機関の始動開始後において前記燃料配管内の燃料圧力がその目標値に達したことに基づいて、前記制御量に対するガード値を前記所定のガード値から前記基本のガード値に切り替えることを要旨としている。
【0015】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記制限手段は、内燃機関が冷えた状態からの始動がなされたか否かに基づいて、前記所定のガード値及び前記基本のガード値の一方の選択を行うことを要旨としている。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記基本のガード値は、前記燃料ポンプの燃料吐出量が最大となる前記制御量に対応するものであることを要旨としている。
【0016】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記算出手段は、前記燃料配管内の燃料圧力とその目標値との偏差に応じて更新される積分項に基づいて前記制御量を算出するものであり、前記制限手段は、内燃機関の始動時に前記積分項の更新を禁止するものであることを要旨としている。
上記の構成によれば、機関始動時に過度に積分項が燃料吐出量を多くする側に変化することは回避され、実際の燃料圧力が目標値まで上昇したときに積分項が過度に大きいことに伴いオーバーシュートが大きくなるのを回避することができる。
【0017】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記制限手段は、内燃機関の始動開始から前記燃料配管内の燃料圧力がその目標値に収束するまでに必要となる時間が前記燃料ポンプの燃料吐出量を制限しないときに比べて短くなる値を前記ガード値として設定することを要旨としている。
上記の構成によれば、燃料圧力を速やかに目標値に収束させ、燃料圧力制御の制御性を向上させることができる。
【0018】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記制限手段は、内燃機関が冷えた状態から始動されることに基づいて前記燃料吐出量の制限を行うことを要旨としている。
内燃機関が冷えた状態から始動されるときには燃料ポンプから吐出される燃料の粘度が高くなり、燃料ポンプの駆動制御に対する実際の燃料圧力の変化に応答遅れが生じ易くなる。そして、こうした応答遅れにより、実際の燃料圧力が目標値に達した後のオーバーシュートも大きくなり易くなる。しかし、上記の構成によれば、内燃機関の冷えた状態から始動においても、実際の燃料圧力が目標値に達した後に生じるオーバーシュートを的確に抑制することができる。
【0019】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、前記燃料ポンプは、低圧側燃料配管から供給される燃料を貯留する加圧室と、この加圧室内の燃料を加圧して前記燃料配管である高圧側燃料配管に吐出する可動体と、前記低圧側燃料配管と前記加圧室との間を連通及び遮断する制御弁とを備えるものであって、この制御弁による前記低圧側燃料配管と前記加圧室との間の遮断期間を操作して前記加圧室から前記高圧側燃料配管への燃料吐出量を調整するものであり、前記制限手段は、前記遮断期間を増大する側において前記制御弁の制御量をガードするガード値の設定により、前記燃料ポンプの燃料吐出量を前記所定値以下に制限するものであることを要旨としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動車用エンジンに適用した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0021】
図2に示すように、エンジン11においては、そのピストン12がコネクティングロッド13を介してクランクシャフト14に連結され、同ピストン12の往復移動がコネクティングロッド13によってクランクシャフト14の回転へと変換される。クランクシャフト14には複数の突起14bを備えたシグナルロータ14aが取り付けられている。そして、シグナルロータ14aの側方には、クランクシャフト14が回転する際に上記各突起14bに対応してパルス状の信号を出力するクランクポジションセンサ14cが設けられている。
【0022】
エンジン11の燃焼室16には、吸気通路32及び排気通路33が接続されている。吸気通路32と燃焼室16との間、及び排気通路33と燃焼室16との間は、吸気バルブ19及び排気バルブ20の開閉駆動によって連通・遮断される。これら吸気バルブ19及び排気バルブ20の開閉駆動は、クランクシャフト14の回転が伝達される吸気カムシャフト21及び排気カムシャフト22の回転によって行われる。吸気カムシャフト21の側方にはカムポジションセンサ21bが設けられている。そして、吸気カムシャフト21の回転に伴い同シャフト21に形成された突起21aがカムポジションセンサ21bの側方を通過する毎に、同カムポジションセンサ21bからは検出信号が出力される。
【0023】
上記吸気通路32には、エンジン11の吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ23が設けられている。このスロットルバルブ23の開度は、自動車の室内に設けられたアクセルペダル25の踏込操作に応じて調整される。なお、上記アクセルペダル25の踏み込み量(アクセル踏込量)はアクセルポジションセンサ26によって検出される。吸気通路32において、スロットルバルブ23よりも上流側には吸気通路32を通過する空気の温度(吸気温)を検出するための吸気温センサ37が設けられ、スロットルバルブ23よりも下流側には吸気通路32内の圧力(吸気圧)検出するためのバキュームセンサ36が設けられている。
【0024】
また、エンジン11においては、燃焼室16内に直接燃料を噴射供給して燃料と空気とからなる混合気を形成する燃料噴射弁40と、エンジン11の冷却水温を検出する水温センサ11bとが設けられている。そして、燃料噴射弁40からの燃料噴射に基づき燃焼室16内に形成される混合気を燃焼させると、ピストン12が往復移動してクランクシャフト14が回転し、エンジン11が駆動されるようになる。
【0025】
次に、燃料噴射弁40に高圧燃料を供給するためのエンジン11の燃料供給装置の構造について図1を参照して説明する。
図1に示すように、エンジン11の燃料供給装置は、燃料タンク45内から燃料を送り出すフィードポンプ46と、そのフィードポンプ46によって送り出された燃料を加圧して燃料噴射弁40に向けて吐出する高圧燃料ポンプ47とを備えている。
【0026】
上記高圧燃料ポンプ47は、排気カムシャフト22に取り付けられたカム22aの回転に基づきシリンダ48a内で往復移動するプランジャ48bと、シリンダ48a及びプランジャ48bによって区画される加圧室49とを備えている。この加圧室49は、低圧燃料通路50を介して上記フィードポンプ46に接続されるとともに、高圧燃料通路52を介してデリバリパイプ53に接続されている。このデリバリパイプ53には、燃料噴射弁40が接続されるとともに、同パイプ53内の燃料圧力を検出するための燃圧センサ55が設けられている。
【0027】
また、高圧燃料ポンプ47には、上記低圧燃料通路50と上記加圧室49との間を連通・遮断する電磁スピル弁54が設けられている。この電磁スピル弁54は電磁ソレノイド54aを備え、同ソレノイド54aへの印加電圧を制御することにより開閉動作する。
【0028】
電磁ソレノイド54aに対する通電が停止された状態にあっては、電磁スピル弁54がコイルスプリング54bの付勢力によって開き、低圧燃料通路50と上記加圧室49とが連通した状態になる。この状態にあって、加圧室49の容積が大きくなる方向にプランジャ48bが移動するとき(吸入行程中)には、フィードポンプ46から送り出された燃料が低圧燃料通路50を介して加圧室49内に吸入される。
【0029】
また、加圧室49の容積が収縮する方向にプランジャ48bが移動するとき(圧送行程中)には、電磁ソレノイド54aに対する通電により電磁スピル弁54がコイルスプリング54bの付勢力に抗して閉弁される。これにより低圧燃料通路50と上記加圧室49との間が遮断され、加圧室49内の燃料が高圧燃料通路52及びデリバリパイプ53内に向けて吐出されるようになる。
【0030】
高圧燃料ポンプ47における燃料吐出量の調整は、電磁スピル弁54の閉弁開始時期を制御し、圧送行程中における同スピル弁54の閉弁期間を調整することによって行われる。即ち、電磁スピル弁54の閉弁開始時期を早めて閉弁期間を長くすると燃料吐出量が増加し、電磁スピル弁54の閉弁開始時期を遅らせて閉弁期間を短くすると燃料吐出量が減少するようになる。そして、上記のように高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を調整することにより、デリバリパイプ53内の燃料圧力が制御される。
【0031】
次に、本実施形態における燃料圧力制御装置の電気的構成を図3に基づいて説明する。
この燃料圧力制御装置は、エンジン11の運転状態を制御するための電子制御ユニット(以下「ECU」という)92を備えている。このECU92は、ROM93、CPU94、RAM95及びバックアップRAM96等を備える算術論理演算回路として構成されている。
【0032】
ここで、ROM93は各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されたメモリであり、CPU94はROM93に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM95はCPU94での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM96はエンジン11の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。そして、ROM93、CPU94、RAM95及びバックアップRAM96は、バス97を介して互いに接続されるとともに、外部入力回路98及び外部出力回路99と接続されている。
【0033】
外部入力回路98には、水温センサ11b、クランクポジションセンサ14c、カムポジションセンサ21b、アクセルポジションセンサ26、バキュームセンサ36、吸気温センサ37、及び燃圧センサ55等が接続されている。一方、外部出力回路99には、燃料噴射弁40、及び電磁スピル弁54等が接続されている。
【0034】
このように構成されたECU92は、エンジン回転数NE及び負荷率KL等に基づき、燃料噴射弁40から噴射される燃料の量を制御するのに用いられる最終燃料噴射量Qfin を算出する。ここで、エンジン回転数NEは、クランクポジションセンサ14cからの検出信号に基づき求められる。また、負荷率KLは、エンジン11の最大機関負荷に対する現在の負荷割合を示す値であって、エンジン11の吸入空気量に対応するパラメータとエンジン回転数NEとから算出される。なお、吸入空気量に対応するパラメータとしては、バキュームセンサ36からの検出信号に基づき求められる吸気圧PMや、アクセルポジションセンサ26からの検出信号に基づき求められるアクセル踏込量ACCP等があげられる。
【0035】
ECU92は、上記のように算出される最終燃料噴射量Qfin に基づき燃料噴射弁40を駆動制御し、燃料噴射弁40から噴射される燃料の量を制御する。こうした燃料噴射弁40から噴射される燃料の量(燃料噴射量)は、デリバリパイプ53内の燃料圧力(燃圧)と燃料噴射時間とによって定まるため、燃料噴射量を適正にするためには上記燃圧を適正な値に維持する必要がある。従って、ECU92は、燃圧センサ55からの検出信号に基づき求められる燃圧Pが機関運転状態に応じて設定される目標燃圧P0 に近づくよう、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量をフィードバック制御して上記燃圧Pを適正値に維持する。なお、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量は、後述するデューティ比DTに基づき電磁スピル弁54の閉弁期間(閉弁開始時期)を調整することによってフィードバック制御される。
【0036】
ここで、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量(電磁スピル弁54の閉弁開始時期)を制御するための制御量である上記デューティ比DTについて説明する。
このデューティ比DTは、0〜100%という値の間で変化する値であって、電磁スピル弁54の閉弁期間に対応するカム22aのカム角度に関係した値である。即ち、このカム角度に関して、電磁スピル弁54の最大閉弁期間に対応したカム角度(最大カム角度)を「θ0 」とし、同閉弁期間の目標値に対応するカム角度(目標カム角度)を「θ」とすると、上記デューティ比DTは、最大カム角度θ0 に対する目標カム角度θの割合を示すものということになる。従って、デューティ比DTは、目標とする電磁スピル弁54の閉弁期間(閉弁開始時期)が最大閉弁期間に近づくほど100%に近い値とされ、上記目標とする閉弁期間が「0」に近づくほど0%に近い値とされるようになる。
【0037】
そして、上記デューティ比DTが100%に近づくほど、デューティ比DTに基づき調整される電磁スピル弁54の閉弁開始時期は早められ、同電磁スピル弁54の閉弁期間は長くなる。その結果、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量が増加して燃圧Pが上昇するようになる。また、デューティ比DTが0%に近づくほど、デューティ比DTに基づき調整される電磁スピル弁54の閉弁開始時期は遅らされ、同電磁スピル弁54の閉弁期間は短くなる。その結果、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量が減少して燃圧Pが低下するようになる。
【0038】
次に、上記デューティ比DTの算出手順についてデューティ比算出ルーチンを示す図4のフローチャートを参照して説明する。このデューティ比算出ルーチンは、ECU92を通じて所定時間毎の例えば時間割り込みにて実行される。
【0039】
デューティ比算出ルーチンにおいて、デューティ比DTは、ステップS104の処理により下記の式(1)に基づき算出される。
DT=FF+DTp +DTi …(1)
FF :フィードフォワード項
DTp :比例項
DTi :積分項
式(1)において、フィードフォワード項FFは、要求される燃料噴射量に見合った量の燃料を予めデリバリパイプ53に供給し、機関過渡時等においても速やかに燃圧Pを目標燃圧P0 へと近づけるためのものである。このフィードフォワード項FFはステップS101の処理で算出される。また、式(1)において、比例項DTp は、燃圧Pを目標燃圧P0 に近づけるためのものであって、ステップS102の処理で算出される。更に、式(1)において、積分項DTi は、燃料漏れや高圧燃料ポンプ47の個体差等に起因するデューティ比DTのばらつきを抑制するためのものであって、ステップS103の処理で算出される。
【0040】
ECU92は、式(1)を用いて算出されるデューティ比DTに基づき、電磁スピル弁54における電磁ソレノイド54aに対する通電開始時期、即ち電磁スピル弁54の閉弁開始時期を制御する。こうして電磁スピル弁54の閉弁開始時期が制御されることにより、同電磁スピル弁54の閉弁期間が変化して高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量が調整され、燃圧Pが目標燃圧P0 に向けて変化するようになる。
【0041】
デューティ比算出ルーチンにおいて、ECU92は、ステップS101の処理として、最終燃料噴射量Qfin 及びエンジン回転数NE等の機関運転状態に基づきフィードフォワード項FFを算出する。このフィードフォワード項FFは、要求される燃料噴射量が多くなるほど大きい値になり、デューティ比DTを100%側、即ち高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を多くする側へと変化させる。
【0042】
続いてECU92は、ステップS102の処理として、実際の燃圧P及び予め設定される目標燃圧P0 等に基づき下記の式(2)を用いて比例項DTp を算出する。
【0043】
DTp =K1 ・(P0 −P) …(2)
K1 :係数
P :実際の燃圧
P0 :目標燃圧
式(2)から分かるように、実際の燃圧Pが目標燃圧P0 よりも小さい値であって両者の差(「P0 −P」)が大きい値になるほど、比例項DTp は大きい値になり、デューティ比DTを100%側、即ち高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を多くする側へと変化させる。逆に、実際の燃圧Pが目標燃圧P0 よりも大きい値になり両者の差(「P0 −P」)が小さい値になるほど、比例項DTp は小さい値になり、デューティ比DTを0%側、即ち高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を少なくする側へと変化させる。
【0044】
続いてECU92は、ステップS103の処理として、積分項DTi の算出を行う。こうした積分項DTi は、例えば下記の式(3)を用いて、前回の積分項DTi 、実際の燃圧P、及び目標燃圧P0 に基づき算出される。
【0045】
DTi =DTi +K2 ・(P0 −P) …(3)
K2 :係数
P :実際の燃圧
P0 :目標燃圧
式(3)から分かるように、実際の燃圧Pが目標燃圧P0 よりも小さい値である間は、両者の差(「P0 −P」)に対応した値が所定周期毎に積分項DTi に加算される。その結果、積分項DTi は、徐々に大きい値へと更新され、デューティ比DTを徐々に100%側(高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を多くする側)へと変化させる。逆に燃圧Pが目標燃圧P0 よりも大きい値である間は、両者の差(「P0 −P」)に対応した値が所定周期毎に積分項DTi から減算される。その結果、積分項DTi は、徐々に小さい値に更新され、デューティ比DTを徐々に0%側(高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を少なくする側)へと変化させる。
【0046】
ECU92は、ステップS104の処理で上記(1)を用いてデューティ比DTを算出し、続くステップS105の処理で同デューティ比DTのガードを行った後、このデューティ比算出ルーチンを一旦終了する。
【0047】
次に、積分項DTi を算出する手順の詳細について、積分項算出ルーチンを示す図6のフローチャートを参照して説明する。この積分項算出ルーチンは、デューティ比算出ルーチン(図4)におけるステップS103に進む毎にECU92を通じて実行される。
【0048】
積分項算出ルーチンにおいて、積分項DTi は、ステップS206の処理により上記の式(3)に基づき算出(更新)される。また、ステップS201〜S203,S205の処理では、式(3)に基づく積分項DTi の更新を行うべき状況か否かが判断される。これらの処理のうち、ステップS201〜S203の処理では、エンジン11が冷えた状態での機関始動時であるか否かを判断する。
【0049】
積分項算出ルーチンにおいて、ECU92は、ステップS201の処理として、エンジン11が始動開始してからt秒が経過したか否かを判断する。続いて、ステップS202の処理では、水温センサ11bからの検出信号に基づき求められる冷却水温THWが所定値a以上か否かを判断する。更に、ステップS203の処理では、吸気温センサ37からの検出信号に基づき求められる吸気温THAが所定値b以上か否かを判断する。これらステップS201〜S203の処理で全て肯定判定がなされると、エンジン11が冷えた状態からの始動時ではない旨判断され、ステップS204に進む。
【0050】
一方、上記ステップS201の処理において、エンジン11の始動開始からt秒が経過していない旨判断されると、ステップS207の処理として積分項DTi が初期値である「0」に設定される。その後、ECU92は、当該積分項算出ルーチンを一旦終了し、処理をデューティ比算出ルーチン(図4)に戻す。このようにエンジン11の始動開始後t秒が経過するまでの間は、ステップS206の処理による積分項DTi の更新が禁止されるとともに、ステップS207の処理により積分項DTi が「0」に設定される。
【0051】
また、上記ステップS202とステップS203とのいずれかの処理で否定判定がなされたときにも、ECU92は、この積分項算出ルーチンを一旦終了して処理をデューティ比算出ルーチン(図4)に戻す。このようにエンジン11の始動開始からt秒が経過しても、冷却水温THW及び吸気温THAが低くエンジン11が冷えた状態にあるときには、ステップS206による積分項DTi の更新が禁止されることとなる。
【0052】
従って、エンジン11が冷えた状態からの始動時には積分項DTi の更新が禁止され、同積分項DTi が初期値である「0」に設定されることとなる。一方、エンジン11が冷えた状態からの始動時以外のときには、上記ステップS201〜S203の処理で全て肯定判定がなされ、ステップS204に進む。例えば機関再始動時といった冷却水温THW及び吸気温THAが高い状態にあって、エンジン11の始動開始からt秒が経過したとき等には、ステップS204に進むこととなる。
【0053】
ECU92は、ステップS204の処理で、エンジン11が冷えた状態からの始動時であるか否かを判断するためのフラグFとして、「1」をRAM95の所定領域に記憶する。このフラグFは、エンジン11が停止したときに「0」にリセットされる。従って、フラグFは、エンジン11が冷えた状態からの始動時には「0」となり、これ以外の状態のときには「1」となる。
【0054】
続いて、ECU92は、ステップS205の処理として、エンジン11の始動開始後一度でも燃圧Pが高い値(例えば4MPa)となったか否かを判断する。このステップS205の処理で、肯定判定がなされたときにはステップS206の処理で積分項DTi を更新した後に当該積分項算出ルーチンを一旦終了し、否定判定がなされたときには同積分項DTi の更新を行うことなく当該積分項算出ルーチンを一旦終了する。
【0055】
ここで、機関始動時における燃圧Pの推移について図5のタイムチャートを参照して説明する。
エンジン11の始動開始直後には、図5に実線で示すように、燃圧Pが目標燃圧P0 を大きく下回った状態にある。こうした状態にあっては、目標燃圧P0 と燃圧Pとの差(「P0 −P」)に基づき算出される比例項DTp がデューティ比DTを大きくする側の値になり、これにより燃圧Pが目標燃圧P0 に向けて上昇するようになる。また、エンジン11の始動開始からt秒が経過し、且つ冷却水温THW及び吸気温THAがそれぞれ所定値a,bに達するまでは、積分項DTi が初期値である「0」に維持される。即ち、エンジン11の冷えた状態からの始動時には、積分項DTi の更新が禁止されるとともに、同積分項DTi が「0」に維持されることとなる。
【0056】
仮に、エンジン11の冷えた状態での始動開始直後から積分項DTi の更新を行ったとすると、燃圧Pが目標燃圧P0 へと上昇するまでの間に積分項DTi が誤って過度に大きい値となる。これは、機関始動時には、
・燃圧Pが目標燃圧P0 を大きく下回る
・要求される燃料噴射量が多い
・エンジン11が冷えた状態にあって燃料の温度が低いときには、同燃料の粘度が高くなって燃圧Pが上昇しにくくなる
等の理由により、燃圧Pが目標燃圧P0 まで上昇するのに時間がかかり、その間に積分項DTi が増加側に更新され続けるためである。
【0057】
こうして積分項DTi が過度に大きい値になると、燃圧Pが目標燃圧P0 に達したとき、積分項DTi の減少が上記差(「P0 −P」)に対応する分づつ徐々にしか行われないことから燃圧Pを目標燃圧P0 に維持することができず、同燃圧Pが図5に破線で示すように目標燃圧P0 を越えて更に大きく上昇する、いわゆるオーバーシュートが大きく生じることとなる。
【0058】
しかし、上記のようにエンジン11の冷えた状態からの始動時に積分項DTi の更新を禁止することで、燃圧Pが目標燃圧P0 へと上昇するまでの間に積分項DTi が誤って過度に大きくなるのを回避することができる。その結果、目標燃圧P0 に達した後の燃圧Pは、図5に実線で示すように推移するようになり、上記のような大きなオーバーシュートの発生が抑制される。
【0059】
このように大きなオーバーシュートの発生を抑制することはできても、燃圧Pが目標燃圧P0 を越えて上昇したときにデューティ比DTを小さくする際、これに伴う燃料吐出量の減少に応答遅れが生じるため、同応答遅れに対応した分の余剰の吐出燃料により小さいながらオーバーシュートが生じる。こうした小さいオーバーシュートが発生する場合には大きな不具合はないが、燃圧Pを目標燃圧P0 に収束させるのに時間がかかり、燃料圧力制御の制御性が低下するという問題がある。このように燃圧Pが目標燃圧P0 に収束するのに時間がかかるのは、燃圧Pは、オーバーシュートした後に目標燃圧P0 に対して増大側と減少側との間で増減を繰り返し、この増減が収まった後に目標燃圧P0 と一致するようになるためである。
【0060】
こうした実情を考慮して、本実施形態では、エンジン11の冷えた状態からの始動時には、デューティ比DTを100%よりも小さい値であるガード値Aで上限ガードし、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を最大値よりも小さい所定値以下に制限する。この場合、燃圧Pが目標燃圧P0 まで上昇した後にデューティ比DTが小さくされる際、これに伴う燃料吐出量の減少に応答遅れが生じても、デューティ比DTが小さくされたときの燃料吐出量を所定値以下に制限することで、上記応答遅れに対応した分の余剰の吐出燃料が少なくなる。従って、こうした応答遅れに伴う上記オーバーシュートを的確に抑制することができる。
【0061】
次に、燃料吐出量を最大値よりも小さい所定値以下に制限するためのデューティ比DTのガード処理について、ガード処理ルーチンを示す図7のフローチャートを参照して説明する。このガード処理ルーチンは、デューティ比算出ルーチン(図4)におけるステップS105の処理に進む毎にECU92を通じて実行される。
【0062】
ガード処理ルーチンにおいて、ステップS303,S304の処理はデューティ比DTを100%という値で上限ガードするためのものであり、ステップS305,S306の処理はデューティ比DTをガード値Aで上限ガードするためのものである。また、ステップS301,S302の処理は、デューティ比DTの上限ガード値を100%とする状況か、或いはA%にする状況かを判断するためのものである。
【0063】
ECU92は、ステップS301の処理で、フラグFとして「1」がRAM95の所定領域に記憶されているか否か、即ちエンジン11の冷えた状態からの始動時以外の状況であるか否かを判断する。また、ステップS302の処理では、エンジン11の始動開始後に一度でも燃圧Pが目標燃圧P0 に達したか否かを判断する。そして、ステップS301,S302の処理で共に肯定判定がなされると、ステップS303に進む。
【0064】
ECU92は、ステップS303の処理として、デューティ比DTが100%よりも大きいか否かを判断し、「DT>100%」でなければ当該ガード処理ルーチンを一旦終了して処理をデューティ比算出ルーチン(図4)に戻す。一方、「DT>100%」であればステップS304の処理としてデューティ比DTを100%にした後、このガード処理ルーチンを一旦終了する。なお、デューティ比DTが100%であるときには高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量が最大となるよう設定されており、デューティ比DTを100%という値で上限ガードしても、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量が制限されることはない。
【0065】
上記ステップS301,S302のいずれかの処理で否定判定がなされると、ステップS305に進む。ECU92は、ステップS305の処理として、デューティ比DTがガード値Aよりも大きいか否かを判断し、「DT>A%」でなければ当該ガード処理ルーチンを一旦終了して処理をデューティ比算出ルーチン(図4)に戻す。一方、「DT>A%」であればステップS306の処理としてデューティ比DTをA%にした後、このガード処理ルーチンを一旦終了する。
【0066】
ここで、上記のようにデューティ比DTのガード処理を行った場合の燃圧Pの推移について、図8のタイムチャートを参照して説明する。なお、図8において、破線はデューティ比DTを100%という値で上限ガードした場合の燃圧Pの推移を示すものであり、実線はデューティ比DTをガード値Aで上限ガードした場合の燃圧Pの推移を示すものである。
【0067】
エンジン11の冷えた状態からの始動時にデューティ比DTを100%という値で上限ガードする場合、燃圧Pは、エンジン11の始動開始後に破線で示すように目標燃圧P0 に向けて上昇し、目標燃圧P0 に達した後にはオーバーシュートする。そして、燃圧Pは、目標燃圧P0 の増大側と減少側との間で増減を繰り返した後、同目標燃圧P0 に収束して最終的には一致することとなる。この場合、エンジン11の始動開始から燃圧Pが目標燃圧P0 に収束するまでに時間T1を要する。
【0068】
一方、デューティ比DTをガード値Aで上限ガードした場合、この上限ガードを100%という値で行った場合に比べ、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量が少ない値に制限される。そのため、燃圧Pは、エンジン11の始動開始後に実線で示すように、デューティ比DTを100%で上限ガードした場合(破線)に比べ、緩やかに目標燃圧P0 に向けて上昇する。燃圧Pが目標燃圧P0 に達したときには、燃圧Pを目標燃圧P0 に維持すべくデューティ比DTが小さくされる。
【0069】
上記のようにデューティ比DTを小さくすることに伴う燃料吐出量の減少には応答遅れが生じるが、このときにはデューティ比DTをガード値Aで上限ガードして燃料吐出量を所定値以下に制限しているため、上記応答遅れに対応した分の余剰の吐出燃料が少なくなる。その結果、上記応答遅れに伴い発生する燃圧Pが目標燃圧P0 に達した後のオーバーシュートは、実線で示すように的確に抑制され、デューティ比DTを100%という値で上限ガードした場合(破線)に比べて更に小さく抑えられる。
【0070】
オーバーシュートが発生した後の燃圧Pは、目標燃圧P0 対して増大側と減少側との間で増減を繰り返し、最終的にはデューティ比DTを100%という値で上限ガードした場合と同じく目標燃圧P0 に向けて収束する。この場合におけるエンジン11の始動開始から燃圧Pが目標燃圧P0 に収束するまでの時間T2は、ガード値Aの値を変更することにより変化することとなる。本実施形態のガード値Aは、時間T2が上記時間T1よりも短くなる値に設定される。
【0071】
以上詳述した処理が行われる本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)エンジン11が冷えた状態から始動されるときには、高圧燃料ポンプ47から吐出される燃料の粘度が高くなり、デューティ比DTの変化に対する燃料吐出量の変化の応答遅れが生じ易くなる。そして、この応答遅れにより、エンジン11の始動開始後に燃圧Pが目標燃圧P0 に達した後のオーバーシュートも大きくなり易くなる。しかし、このときにはデューティ比DTがガード値Aで上限ガードされることにより、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量が的確に最大値よりも小さい所定値以下に制限されているため、上記応答遅れに対応した分の余剰の吐出燃料を少なくしてオーバーシュートを的確に抑制することができる。
【0072】
(2)デューティ比DTのガード値Aは、エンジン11が冷えた状態での始動開始から燃圧Pが目標燃圧P0 に収束するまでの時間が、デューティ比DTを100%という値で上限ガードしているとき、即ち燃料吐出量を制限していないときに比べて短くなる値に設定される。従って、エンジン11の冷えた状態からの始動開始後に、燃圧Pを速やかに目標燃圧P0 に収束させ、燃料圧力制御の制御性を向上させることができる。
【0073】
(3)エンジン11の冷えた状態からの始動時には、積分項DTi の更新が禁止されるとともに同積分項DTi が「0」に維持されるため、始動開始後に始めて燃圧Pが目標燃圧P0 に達するまでの間に積分項DTi が誤って過度に大きくなるのを回避することができる。従って、始動開始後に始めて燃圧Pが目標燃圧P0 に達したとき、積分項DTi が過度に大きいことに伴い大きなオーバーシュートが生じるのを抑制することができる。
【0074】
なお、本実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・本実施形態では、高圧燃料ポンプ47の燃料吐出量を所定値以下に制限する条件として、冷却水温THW及び吸気温THAがそれぞれ所定値a,b未満であること、即ちエンジン11が冷えた状態であることという条件を採用したが、この条件を必ずしも採用する必要はない。
【0075】
・本実施形態では、ガード値Aを図8に示す時間T2が時間T1よりも短くなる値に設定したが、必ずしもこのように設定する必要はない。仮に、時間T2が時間T1よりも長くなるようにガード値Aを設定したとしても、燃圧Pが目標燃圧P0 に達した後のオーバーシュートを抑制することはできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の燃料圧力制御装置が適用されるエンジンの燃料供給装置を示す略図。
【図2】上記エンジンを示す略図。
【図3】上記燃料圧力制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】デューティ比DTの算出手順を示すフローチャート。
【図5】機関始動時における燃圧Pの推移を示すタイムチャート。
【図6】積分項DTi の算出手順を示すフローチャート。
【図7】デューティ比DTのガード処理の手順を示すフローチャート。
【図8】機関始動時における燃圧Pの推移を示すタイムチャート。
【符号の説明】
11…エンジン、22…排気カムシャフト、22a…カム、40…燃料噴射弁、47…高圧燃料ポンプ、48a…シリンダ、48b…プランジャ、49…加圧室、52…高圧燃料通路、53…デリバリパイプ、54…電磁スピル弁、54a…電磁ソレノイド、54b…コイルスプリング、55…燃圧センサ、92…電子制御ユニット(ECU)。

Claims (11)

  1. 燃料噴射弁が取り付けられてこれに燃料を供給する燃料配管と、この燃料配管内に向けて燃料を吐出する燃料ポンプを備え、前記燃料配管内の燃料圧力を目標値に近づけるように制御すべく前記燃料ポンプの燃料吐出量を調整する内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    内燃機関の始動時に前記燃料圧力を目標値に近づけるように制御すべく調整された前記燃料ポンプの燃料吐出量を燃料ポンプの最大吐出量よりも小さな所定値以下に制限する制限手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記燃料吐出量を調整すべく前記燃料ポンプを駆動制御する際に用いられる制御量を算出する算出手段を備え、 前記制限手段は、前記燃料吐出量を所定値以下に制限すべく、前記制御量を同燃料吐出量を多くする側について所定のガード値でガードする
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記制限手段は、前記制御量に対するガード値として前記所定のガード値とは別に、前記燃料吐出量を多くする側についてのガードの度合が前記所定のガード値よりも小さい基本のガード値をさらに有するとともに、前記所定のガード値及び前記基本のガード値の一方を選択してこれにより前記制御量のガードを行う
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記制限手段は、内燃機関の始動開始から前記燃料配管内の燃料圧力がその目標値に達するまでは前記所定のガード値により前記制御量のガードを行う
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記制限手段は、内燃機関の始動開始後において前記燃料配管内の燃料圧力がその目標値に達したことに基づいて、前記制御量に対するガード値を前記所定のガード値から前記基本のガード値に切り替える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記制限手段は、内燃機関が冷えた状態からの始動がなされたか否かに基づいて、前記所定のガード値及び前記基本のガード値の一方の選択を行う
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  7. 請求項3〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記基本のガード値は、前記燃料ポンプの燃料吐出量が最大となる前記制御量に対応するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  8. 請求項2〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記算出手段は、前記燃料配管内の燃料圧力とその目標値との偏差に応じて更新される積分項に基づいて前記制御量を算出するものであり、
    前記制限手段は、内燃機関の始動時に前記積分項の更新を禁止するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  9. 請求項〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記制限手段は、内燃機関の始動開始から前記燃料配管内の燃料圧力がその目標値に収束するまでに必要となる時間が前記燃料ポンプの燃料吐出量を制限しないときに比べて短くなる値を前記ガード値として設定する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記制限手段は、内燃機関が冷えた状態から始動されることに基づいて前記燃料吐出量の制限を行う
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料圧力制御装置において、
    前記燃料ポンプは、低圧側燃料配管から供給される燃料を貯留する加圧室と、この加圧室内の燃料を加圧して前記燃料配管である高圧側燃料配管に吐出する可動体と、前記低圧側燃料配管と前記加圧室との間を連通及び遮断する制御弁とを備えるものであって、この制御弁による前記低圧側燃料配管と前記加圧室との間の遮断期間を操作して前記加圧室から前記高圧側燃料配管への燃料吐出量を調整するものであり、
    前記制限手段は、前記遮断期間を増大する側において前記制御弁の制御量をガードするガード値の設定により、前記燃料ポンプの燃料吐出量を前記所定値以下に制限するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料圧力制御装置。
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