JP4631110B2 - セラミックグリーンシートの製造装置 - Google Patents

セラミックグリーンシートの製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4631110B2
JP4631110B2 JP29532599A JP29532599A JP4631110B2 JP 4631110 B2 JP4631110 B2 JP 4631110B2 JP 29532599 A JP29532599 A JP 29532599A JP 29532599 A JP29532599 A JP 29532599A JP 4631110 B2 JP4631110 B2 JP 4631110B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic green
green sheet
ceramic
sheet
carrier film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP29532599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001118743A (ja
Inventor
毅 山名
孝晴 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP29532599A priority Critical patent/JP4631110B2/ja
Publication of JP2001118743A publication Critical patent/JP2001118743A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4631110B2 publication Critical patent/JP4631110B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックグリーンシートの製造装置に関し、詳しくは、積層セラミック電子部品に用いるのに適したセラミックグリーンシートを効率よくかつ確実に製造するためのセラミックグリーンシートの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、代表的な積層セラミック電子部品の一つである積層セラミックコンデンサは種々の用途に広く用いられているが、近年、電子部品の小型化が進むにつれて、小型・大容量化への要求がさらに増大してきている。
【0003】
この積層セラミックコンデンサは、例えば、図2に示すような構造を有しており、複数の内部電極2a,2bが、誘電体層であるセラミック層1を介して、互いに対向し、かつ、内部電極2a,2bの一方の端部が、互いに異なる側の端面に引き出された構造を有するセラミック素子3の両端部に、内部電極2a,2bと導通する一対の外部電極4a,4bを配設することにより形成されている。
【0004】
そして、このような積層セラミック電子部品の製造に用いられるセラミックグリーンシートは、誘電体層であるセラミック層を形成するものであり、取得できる静電容量を大きくして製品の小型化を図るため、近年その薄膜化が進んでいる。
【0005】
ところで、セラミックグリーンシートは、通常、セラミックスラリーをシート状に成形した後、これを乾燥させることにより製造されており、セラミックスラリーをシート状に成形する方法としては、ドクターブレード法やリバースロールコータ法などの種々の方法が用いられている。
【0006】
例えば、図3は、従来のセラミックグリーンシートの製造方法の一例を示すものであり、ここでは、キャリアフィルム供給部(キャリアフィルム供給ローラ)51から、キャリアフィルム52を供給し、所定の位置で、セラミックスラリー塗布手段(シート成形手段)(この例ではドクターブレード法を用いている)53により、セラミックスラリー54をキャリアフィルム52上に塗布した後、キャリアフィルム52とともにセラミックスラリー54を搬送し、乾燥手段55により、セラミックスラリー54を乾燥させてセラミックグリーンシート56を形成した後、シート回収ローラ57によって、表面にセラミックグリーンシート56を保持するキャリアフィルム52を巻き取ることにより、形成されたセラミックグリーンシート56をキャリアフィルム52に保持された状態で回収するようにしている。
【0007】
ところで、図2に示すような積層セラミックコンデンサにおいて、内部電極2a,2b間に介在するセラミック層1の厚み(素子厚)が3μm以下になると、それに用いられるセラミックグリーンシートとして、厚みの薄いセラミックグリーンシートを製造することが必要になる。しかし、上述のような従来の方法によって厚みの薄いセラミックグリーンシートを製造すると、セラミックグリーンシートの表面粗さが粗くなったり、セラミックグリーンシートにピンホール欠陥(ポア-ー)が発生したりするという問題点がある。
【0008】
すなわち、従来のセラミックグリーンシートの製造方法では、厚みが3μm程度あるいはそれ以下になると、表面の平滑性が良好(例えば、表面粗さがRa≦100nm程度)で、ピンホール欠陥の存在しないセラミックグリーンシートを安定的に製造することは、必ずしも容易ではないのが実情である。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、厚みの薄いセラミックグリーンシートを製造する場合にも、表面の平滑性が良好で、ピンホール欠陥などの少ないセラミックグリーンシートを安定して製造することが可能なセラミックグリーンシートの製造装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のセラミックグリーンシートの製造装置は、
セラミックスラリーをキャリアフィルム上に塗布してシート状に成形するシート成形手段と、
前記シート成形手段によりシート状に成形されたセラミックスラリーを乾燥する乾燥手段と、
前記乾燥することによりキャリアフィルム上に形成された、内部電極の印刷されていないシートを加圧して、その表面を平滑化する平滑化手段と
を具備することを特徴としている。
【0011】
本発明の積層セラミック電子部品の製造装置を用いた場合、シート成形手段により、セラミックスラリーをキャリアフィルム上に塗布してシート状に成形し、乾燥手段により、シート状に成形されたセラミックスラリーを乾燥した後、平滑化手段により、キャリアフィルム上の、内部電極の印刷されていないシートを加圧して平滑化することにより、厚みが薄い場合にも、表面の平滑性に優れたセラミックグリーンシートを確実にしかも効率よく製造することが可能になる。
すなわち、本発明のセラミックグリーンシートの製造装置によれば、セラミックグリーンシートの表面粗さ(Ra)を低減することが可能になるとともに、平滑化処理の際に、セラミックグリーンシートが加圧されて高密度になるため、ポアーの発生や、電極ペーストの溶剤成分がセラミックグリーンシートに染み込んでバインダーを溶解させるシートアタック現象を抑制することが可能になる。
【0012】
また、セラミック粒子の分散性を高くすることにより、セラミックグリーンシートの表面の平滑性を向上させようとすると、セラミックスラリーの分散時に過剰なせん断力をセラミック粒子に与えることになる場合があるが、本発明の製造装置を用いることにより、セラミック粒子の分散性に依存せずに平滑性を向上させることが可能になるため、セラミック粒子が粉砕されてしまうことを抑制、防止して、セラミック粒子のロットごとの凝集性のばらつきによって、所望の特性を備えたセラミックグリーンシートが得られなくなるというような問題を回避することが可能になる。
【0013】
また、請求項2のセラミックグリーンシートの製造装置は、前記平滑化手段として、カレンダーロール機が用いられていることを特徴としている。
【0014】
カレンダーロール機は、少なくとも一対のロール(ニップロール)を備え、この一対の金属ロールによりセラミックグリーンシートをその両面側からニップして加圧することによりセラミックグリーンシートの表面を平滑にすることができるように構成された装置を意味する概念である。
なお、一対のロールとしては、例えば、鏡面研磨された硬質クロムめっき膜をその表面に備えた金属ロールなどを用いることが可能である。また、カレンダーロール機としては、セラミックグリーンシートを予熱するためのプレヒートロールなどを備えた構成のものを用いることも可能である。
このようなカレンダーロール機を平滑化手段として用いることにより、連続的に、効率よく、セラミックグリーンシートの表面を平滑化して表面粗さ(Ra)を低減することが可能になるとともに、セラミックグリーンシートを緻密化することが可能になり、本発明を実効あらしめることができる。
【0015】
また、請求項3のセラミックグリーンシートの製造装置は、積層セラミック電子部品用のセラミックグリーンシートを製造するために用いられる装置であって、前記平滑化されたセラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離するための剥離手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
剥離手段を備えた請求項3のセラミックグリーンシートの製造装置を用いることにより、セラミックスラリーをキャリアフィルム上にシート状に成形し、平滑化することにより、セラミックグリーンシートの厚みが薄い場合にも、効率よく平滑性に優れ、ポアーなどの内部欠陥のないセラミックグリーンシートを製造することが可能になるとともに、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離した状態で、例えば、積層などの処理を行って、効率よく所望の特性を備えた積層セラミック電子部品を製造することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0017】
また、請求項4のセラミックグリーンシートの製造装置は、厚みが3μm以下のセラミックグリーンシートの製造に用いられるものであることを特徴としている。
【0018】
請求項4の発明によれば、厚みが3μm程度の薄いセラミックグリーンシートを製造する場合にも、破れたりすることなく平滑化処理を施すことが可能になり、表面の平滑性に優れ、ポアーなどの内部欠陥がなく、しかも、高密度で、シートアタック現象を生じることのない信頼性の高いセラミックグリーンシートを効率よく製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、この実施形態では、図2に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサに用いられるセラミックグリーンシートを製造するのに用いられるセラミックグリーンシートの製造装置を例にとって説明する。なお、図2の積層セラミックコンデンサの構造については、従来の技術及び発明が解決しようとする課題の欄で説明を行っているので、ここでは重複を避けるため、その構造についての説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態にかかるセラミックグリーンシートの製造装置を示す図である。
このセラミックグリーンシートの製造装置は、キャリアフィルム12を供給するキャリアフィルム供給部(キャリアフィルム供給ローラ)11と、セラミックスラリー14をキャリアフィルム12上に供給(塗布)してシート状に成形するシート成形手段(リバースロールコータ)13と、シート状に成形されたセラミックスラリー14を乾燥する乾燥手段(熱風循環乾燥機)15と、乾燥されたシート(平滑化されていないセラミックグリーンシート)16aを加圧して、その表面を平滑化するための平滑化手段(一対のニップロール20a,20bを備えたカレンダーロール機)20と、平滑化処理が施されたセラミックグリーンシート16をキャリアフィルム12とともに巻き取って回収するシート回収部(シート回収ローラ)17とを備えている。
【0021】
なお、積層セラミックコンデンサに用いられる、厚みが薄くて、表面の平滑性に優れたセラミックグリーンシートを製造するためには、乾燥後のセラミックグリーンシートを加圧して平滑化処理する工程が必要になるが、薄いセラミックグリーンシート単独では、加圧する際にセラミックグリーンシートが破れてしまうため、そのままでは平滑化処理を施すことができない。そこで、上述のように、本発明の製造装置では、キャリアフィルム12上にセラミックスラリー14を塗布・乾燥し、平滑化処理することにより、セラミックグリーンシート16を作製するようにしている。なお、キャリアフィルム12上に保持されたセラミックグリーンシート16は、その後、キャリアフィルム12から剥離されることになる。すなわち、この実施形態では、シート回収部17に回収されたセラミックグリーンシート16は、キャリアフィルム12に保持された状態で積層セラミックコンデンサの製造工程30に搬送され、表面に内部電極を形成した後、剥離手段(図示せず)により、キャリアフィルム12から剥離して積層し、焼成する工程を経て積層セラミックコンデンサが製造されることになる。
【0022】
また、シート成形手段13としては、リバースロールコータが用いられているが、シート成形手段13はこれに限られるものではなく、ドクターブレード法その他、公知の種々の方法を適用したシート成形手段を用いることが可能である。
【0023】
また、乾燥手段15としては、上記の熱風循環乾燥機が用いられているが、この熱風乾燥機は、電気ヒータから発生する熱で加熱された熱風により、キャリアフィルム12上に塗布されたセラミックスラリー14を乾燥させることができるように構成されているとともに、乾燥を促進させるため、キャリアフィルム12のセラミックスラリー14が塗布されていない側(下面側)に配置された金属製プレート18を高温流体加熱することにより、キャリアフィルム12上のセラミックスラリー14を下面側から加熱することができるように構成されている。
【0024】
なお、セラミックスラリー14を乾燥するための乾燥手段としては、この実施形態のような熱風循環式乾燥機に限らず、赤外線源から放射される赤外線を用いる赤外線乾燥機や、金属製プレートを電磁誘導加熱して乾燥する電磁誘導加熱式乾燥機など、種々の方式の乾燥機を用いることが可能である。
【0025】
なお、セラミックグリーンシート(セラミックスラリー)を乾燥する工程において重要なことは、セラミックグリーンシート中に溶剤が残留しないように十分に乾燥を行うことである。これは、溶剤が残留した状態で、セラミックグリーンシートを平滑化する処理(平滑化処理)を行うと、セラミックグリーンシートがキャリアフィルムから剥離したり、破れが生じたりすることによる。
なお、乾燥工程において、乾燥温度は、セラミックグリーンシート中の有機溶剤の沸点より高い温度に設定することが望ましい。例えば、ポリビニルプチラール系バインダー(PVB)、フタル酸エステル系可塑剤(DOP)、エタノール、トルエンの有機溶剤を含むセラミックスラリーを乾燥させるような場合、乾燥温度は、80〜150℃に設定される。
【0026】
また、セラミックグリーンシート16aを加圧して平滑化処理を施すために用いられる平滑化手段20としては、表面に鏡面研磨された硬質クロムめっき膜を備えた一対の金属ロール(ニップロール)20a,20bからなるカレンダーロール機が使用されている。
【0027】
なお、カレンダーロール機20を構成する一対の金属ロール20a,20bには、電磁誘導加熱方式の加熱手段と温度制御手段が設けられている。また、金属ロール20a,20bの加熱には、電磁誘導加熱方式以外にも、高温流体加熱方式などの種々の方式のものを使用することができる。なお、カレンダーロール機20としては、例えば、ニップロールが1つのシングルニップロールタイプのカレンダーロール機、複数のニップロールを備えた多段ニップロールタイプのカレンダーロール機など、種々のロール構成のものを用いることが可能である。
【0028】
このようなカレンダーロール機20による平滑化処理の工程で、セラミックグリーンシート16aが一対のニップロール20a,20bにより加圧されることにより、その表面が平滑化されるとともに、平滑化処理後のセラミックグリーンシート16の密度が高くなり、ピンホール欠陥などの発生を減少させることが可能になる。
【0029】
また、平滑化処理が施されるセラミックグリーンシート16aは、熱風循環式乾燥機15により、十分に乾燥されているため、カレンダーロール機20による平滑化処理の工程で、セラミックグリーンシート16aがキャリアフィルム12から剥離することを防止して、確実な平滑化処理を施すことができる。
【0030】
また、乾燥工程を経た後のセラミックグリーンシートが、そのまま連続してカレンダーロール機20により平滑化処理されるため、特に予熱工程を必要とすることなく、セラミックグリーンシートに平滑化処理を施すことが可能になり、生産効率を向上させることが可能になる。
【0031】
また、カレンダーロール機20による平滑化処理を施すにあたっては、セラミックグリーンシート16aをニップする金属ロール20a,20bの表面温度及びロールの線圧の制御が重要であり、この条件の設定いかんによって、平滑化処理後のセラミックグリーンシート16の表面の平滑性(Ra)が決定されることになる。
この平滑化処理の条件としては、金属ロール20a,20bの表面温度が0〜150℃、線圧が50kgf〜1000kgf/cmの範囲で、セラミックグリーンシートの材料に合わせて適宜設定することが望ましい。
また、さらに好ましい範囲は、カレンダーロール機の表面温度が20〜100℃、線圧が100kgf〜600kgf/cmの範囲である。
【0032】
また、キャリアフィルム12上に保持されたセラミックグリーンシート16を巻き取って回収するシート回収部(シート回収ローラ)17は、平滑化処理されたセラミックグリーンシート16をキャリアフィルム12とともに巻き取って回収することができるように構成されている。このシート回収部17の構成は、平滑化処理されたセラミックグリーンシート16をキャリアフィルム12とともに巻き取って回収することができるような構成を有するものであればよく、種々の構成のものを用いることが可能である。
【0033】
なお、このシート回収部17に回収されたセラミックグリーンシートは、その後、積層セラミックコンデンサの製造工程30に送られ、必要に応じて、例えば、内部電極の印刷などの処理を施した後、特に図示しない剥離手段によりキャリアフィルムから剥離された後、積層、圧着などの工程に供されることになる。
【0034】
【実施例】
次に、上記実施形態のセラミックグリーンシートの製造装置を用いてセラミックグリーンシートを製造する方法を示して、本発明の特徴をさらに詳しく説明する。
【0035】
[セラミックスラリーの調製]
まず、セラミックの原料粉末として、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を用意し、このBaTiO3粉末に、Dy+Mg+Mn及びSiを、酸化物粉末の形態で添加することにより、チタン酸バリウム系セラミック原料粉末を調製する。
次に、チタン酸バリウム系のセラミック原料粉末に、ポリビニルプチラール系バインダー(PVB)、フタル酸エステル系可塑剤(DOP)、エタノール、トルエンの有機溶剤を加え、ボールミル法により、セラミック粉末の粉砕が発生しないように湿式分散してセラミックグリーンシート用のセラミックスラリーを調製する。
【0036】
[塗布工程]
そして、このセラミックスラリーを、キャリアフィルム上にリバースロールコータ法によって成膜する(シート幅150mm)。なお、塗布厚さは、乾燥後のセラミックグリーンシートの厚さが、約3μmになるような厚さとする。
この時、セラミックスラリー(セラミックグリーンシート)の塗工速度は5m/min、ロールの回転数は100rpmとする。
【0037】
[乾燥工程]
塗布したスラリーは、電気ヒータから発生する熱風を用いる熱風循環乾燥機により乾燥する。なお、この乾燥工程においては、熱風循環乾燥機の熱風と、キャリアフィルムの下面側に配設された、高温流体加熱方式で加熱される金属製プレートの熱により、セラミックスラリーの乾燥が効率よく行われる。
このとき、熱風循環乾燥機の設定温度を100℃、金属製プレートの表面温度を80℃とする。この乾燥工程では溶剤がセラミックグリーンシート中に残留しないように十分に完全に乾燥する。この乾燥工程により、厚みが約3μmの乾燥したセラミックグリーンシートが得られることになる。
【0038】
[カレンダー処理工程]
乾燥直後のセラミックグリーンシート(表面温度=65〜75℃)を、上述したように、鏡面研磨された硬質クロムめっき膜が表面に形成された一対の金属ロールを備えたカレンダーロール機を用い、電磁誘導加熱により、金属ロールの表面を70℃に加熱し、金属ロール間の線圧を500kgf/cmに設定して、セラミックグリーンシートをシングルニップ(一段プレス)処理する。
【0039】
また比較例として、この工程で平滑化処理を行わないセラミックグリーンシート(比較例のセラミックグリーンシート)を、上記実施例の場合と同様の条件で作製した。
【0040】
[セラミックグリーンシートの物性の評価]
(1)セラミックグリーンシートの表面粗さ(Ra)
セラミックグリーンシートの表面粗さ(Ra)は、原子間力顕微鏡を使用して、5μm平方の領域の測定値(nm)によって判断した。
(2)セラミックグリーンシートの密度
セラミックグリーンシートの密度(g/cm3)は、平面面積が50cm2のセラミックグリーンシートの重量を測定し、その体積(セラミックグリーンシートの面積×厚み)で除して算出した。なお、このとき、セラミックグリーンシートの重量の測定には電子天秤を用い、厚みの測定には精密マイクロメーターを用いた。
【0041】
表1に、比較例の平滑化処理を施していないセラミックグリーンシートの物性を示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004631110
【0043】
なお、表1には、平均粒径が210nm(比較例1)、153nm(比較例2)、及び98nm(比較例3)のチタン酸バリウム粉末を用いたセラミックスラリーを調製し、これを成形することにより作製したセラミックグリーンシート(比較例1,2及び3)の表面粗さ(Ra)、厚み(シート厚み)、及び密度(シート密度)を示す。
表1に示すように、セラミックグリーンシートを平滑化処理しない場合、各セラミックグリーンシートの表面粗さ(Ra)は、比較例1で237nm、比較例2で165nm、比較例3で131nmであった。
また、セラミックグリーンシートの厚みは、比較例1で3.03、比較例2で3.08、比較例3で3.02であった。
また、セラミックグリーンシートの密度はいずれも3.00g/cm3以下であった。
【0044】
また、表2には、平均粒径が210nm(実施例1)、153nm(実施例2)、及び98nm(実施例3)のチタン酸バリウム粉末を用いたセラミックスラリーを調製し、本発明の実施形態にかかるセラミックグリーンシートの製造装置を使用し、カレンダーロール機で平滑化処理を施すことにより作製したセラミックグリーンシートの表面粗さ(Ra)、厚み、及び密度を示す。
【0045】
【表2】
Figure 0004631110
【0046】
表2に示すように、平滑化処理を施した実施例1,2及び3セラミックグリーンシートの表面粗さ(Ra)はいずれも100nm以下で、上述の平滑化処理を施していない比較例1,2及び3の場合に比べて、1/3から1/5程度に低減していることが確認された。
また、セラミックグリーンシートの厚みは、上述の比較例1,2及び3の場合に比べて、約10%薄くなっており、それに伴って、シート密度が約10%向上していることが確認された。
【0047】
上述のように、本発明のセラミックグリーンシートの製造装置によれば、積層セラミックコンデンサなどに使用するのに適した、表面の平滑性に優れ、シート密度の高いセラミックグリーンシートを確実に製造することが可能になる。また、キャリアフィルムに保持した状態でセラミックグリーンシートの平滑化処理を施すようにしているので、厚みの薄いセラミックグリーンシート(例えば厚み:3μm程度)を製造する場合にも、破れたりすることなく平滑化処理を施すことが可能になり、表面の平滑性に優れ、ポアーなどの内部欠陥がなく、しかも、高密度で、シートアタック現象を生じることのない信頼性の高いセラミックグリーンシートを効率よく製造することが可能になる。
そして、このように、平滑牲に優れたセラミックグリーンシートを用いて積層セラミックコンデンサを製造した場合、セラミック層に内部欠陥がなく、セラミック層と内部電極の界面の平滑性に優れており、所望の特性を備え、信頼性が高く、しかも耐久性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることが可能になる。
また、本発明のセラミックグリーンシートの製造装置を使用した場合、セラミックスラリーの分散時に、過剰なせん断力をセラミック粒子に与える必要がなくなるため、セラミック粒子の粉砕や、セラミック粒子の各ロットでの凝集性のばらつきの発生などを防止して、所望の電気特性を備えた積層セラミックコンデンサを確実に得ることが可能になる。
【0048】
なお、このような効果は、積層セラミックコンデンサを構成するセラミック層の厚みが3μm以下の場合に特に顕著であり、本発明のセラミックグリーンシートの製造装置により製造したセラミックグリーンシートを用いることにより、所望の電気特性を備え、かつ、信頼性に優れた、薄膜多層、小型大容量の積層セラミックコンデンサを得ることができるようになる。
【0049】
なお、上記実施形態では、積層セラミックコンデンサ用のセラミックグリーンシートを製造する場合を例にとって説明したが、本発明のセラミックグリーンシートの製造装置は、積層セラミックバリスタ、積層セラミック圧電部品、積層基板その他、種々の積層セラミック電子部品に用いられるセラミックグリーンシートを製造する場合に広く適用することが可能である。
【0050】
なお、上記実施形態では、セラミックグリーンシートを構成するセラミック原料粉末として、チタン酸バリウム系セラミック粉末を用いた場合について説明したが、セラミックグリーンシートを構成するセラミック原料粉末としては、チタン酸バリウム系のものに限らず、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどを主成分とする種々のセラミック粉末を用いることが可能であり、その場合にも同様の効果を得ることが可能である。
【0051】
また、上記実施例では、セラミックグリーンシート用スラリーとして、有機系スラリーを用いた場合を例にとって説明したが、水系スラリーを用いた場合にも同様の効果を得ることが可能である。
【0052】
また、バインダー種、可塑剤についても、上記実施例で示したポリビニルプチラール系樹脂(PVB)、フタル酸エステル系可塑剤(DOP)などに限定されるものではなく、目的とするセラミックグリーンシートに応じて、適宜その種類及び量を選択して用いることが可能である。
【0053】
本発明は、さらにその他の点においても、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0054】
【発明の効果】
上述のように、本発明(請求項1)のセラミックグリーンシートの製造装置は、シート成形手段により、セラミックスラリーをキャリアフィルム上に塗布してシート状に成形し、乾燥手段により、シート状に成形されたセラミックスラリーを乾燥した後、平滑化手段により、乾燥することによりキャリアフィルム上に形成された、内部電極の印刷されていないシートを加圧して平滑化するようにしているので、厚みの薄いセラミックグリーンシート(例えば厚み:3μm程度)を製造する場合にも、表面の平滑性に優れ、所望の特性を得ることが可能な信頼性の高いセラミックグリーンシートを製造することが可能になる。
また、セラミックグリーンシートの密度を高くすることができることから、積層セラミック電子部品を構成するセラミック層中にポアーが発生することを抑制するとともに、電極ペーストの溶剤成分がセラミックグリーンシートに染み込んでバインダーが溶解されるシートアタック現象を抑制することが可能になる。
また、本発明のセラミックグリーンシートの製造装置を使用した場合、セラミックスラリーの分散時に、過剰なせん断力をセラミック粒子に与える必要がなくなるため、セラミック粒子の粉砕や、セラミック粒子の各ロットでの凝集性のばらつきの発生などを防止して、所望の電気特性を備えた積層セラミック電子部品を確実に得ることが可能になる。
【0055】
また、請求項2のセラミックグリーンシートの製造装置のように、平滑化手段として、カレンダーロール機を用いることにより、連続的に、効率よく、セラミックグリーンシートの表面を平滑化して表面粗さ(Ra)を低減するとともに、セラミックグリーンシートを緻密化することが可能になり、本発明を実効あらしめることができる。
【0056】
また、請求項3のセラミックグリーンシートの製造装置のように、剥離手段を備えた構成とすることにより、セラミックスラリーをキャリアフィルム上にシート状に成形し、平滑化することにより効率よくセラミックグリーンシートを製造した後、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離して、積層セラミック電子部品の製造に供給することが可能になり、積層などの処理を行って、効率よく積層セラミック電子部品を製造することが可能になる。
【0057】
また、請求項4のセラミックグリーンシートの製造装置によれば、厚み:3μm程度の薄いセラミックグリーンシートを製造する場合にも、破れたりすることなく平滑化処理を施すことが可能になり、表面の平滑性に優れ、ポアーなどの内部欠陥がなく、しかも、高密度で、シートアタック現象を生じることのない信頼性の高いセラミックグリーンシートを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるセラミックグリーンシートの製造装置の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明の一実施形態にかかるセラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシートが用いられる積層セラミック電子部品の1つである積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図である。
【図3】 従来のセラミックグリーンシートの製造装置(製造方法)を示す図である。
【符号の説明】
1 セラミック層
2a,2b 内部電極
3 セラミック素子
4a,4b 外部電極
11 キャリアフィルム供給部(キャリアフィルム供給ロール)
12 キャリアフィルム
13 シート成形手段(リバースロールコータ)
14 セラミックスラリー
15 乾燥手段(熱風循環乾燥機)
16 セラミックグリーンシート
16a 平滑化されていないセラミックグリーンシート
17 シート回収部(シート回収ロール)
18 金属製プレート
20 平滑化手段(カレンダーロール機)
20a,20b ニップロール(金属ロール)
30 積層セラミックコンデンサの製造工程

Claims (4)

  1. セラミックスラリーをキャリアフィルム上に塗布してシート状に成形するシート成形手段と、
    前記シート成形手段によりシート状に成形されたセラミックスラリーを乾燥する乾燥手段と、
    前記乾燥することによりキャリアフィルム上に形成された、内部電極の印刷されていないシートを加圧して、その表面を平滑化する平滑化手段と
    を具備することを特徴とするセラミックグリーンシートの製造装置。
  2. 前記平滑化手段として、カレンダーロール機が用いられていることを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシートの製造装置。
  3. 積層セラミック電子部品用のセラミックグリーンシートを製造するために用いられる装置であって、前記平滑化されたセラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離するための剥離手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックグリーンシートの製造装置。
  4. 厚みが3μm以下のセラミックグリーンシートの製造に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシートの製造装置。
JP29532599A 1999-10-18 1999-10-18 セラミックグリーンシートの製造装置 Expired - Lifetime JP4631110B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29532599A JP4631110B2 (ja) 1999-10-18 1999-10-18 セラミックグリーンシートの製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29532599A JP4631110B2 (ja) 1999-10-18 1999-10-18 セラミックグリーンシートの製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001118743A JP2001118743A (ja) 2001-04-27
JP4631110B2 true JP4631110B2 (ja) 2011-02-16

Family

ID=17819164

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29532599A Expired - Lifetime JP4631110B2 (ja) 1999-10-18 1999-10-18 セラミックグリーンシートの製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4631110B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100910514B1 (ko) * 2007-11-14 2009-07-31 삼성전기주식회사 성형시트 건조장치
CN114571579B (zh) * 2021-09-27 2022-10-28 肇庆学院 一种用于片式电子陶瓷材料元器件流延装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01144993A (ja) * 1987-08-19 1989-06-07 Shionogi & Co Ltd HBs抗原測定のための方法、ハイブリドーマ、モノクローナル抗体および感作血球
JPS6465817A (en) * 1987-09-07 1989-03-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd Manufacture of unfired ceramic sheet formed into electrode
JPH01226132A (ja) * 1988-03-07 1989-09-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 積層セラミック電子部品の製造方法
JPH03190703A (ja) * 1989-12-20 1991-08-20 Nec Corp 電極形成セラミックグリーンシートの製造方法
JPH0410902A (ja) * 1990-04-27 1992-01-16 Nec Kansai Ltd グリーンシートの製造方法
JPH08250370A (ja) * 1995-03-14 1996-09-27 Toshiba Corp 積層セラミックコンデンサの製造方法
JPH11144993A (ja) * 1997-11-12 1999-05-28 Taiyo Yuden Co Ltd セラミックシートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001118743A (ja) 2001-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6692598B1 (en) Method of producing ceramic green sheet and method of manufacturing multilayer ceramic electronic part
JP4299833B2 (ja) 電極段差吸収用印刷ペーストおよび電子部品の製造方法
US2778762A (en) Electric capacitor and method of making same
TWI260030B (en) Method for manufacturing multilayer electronic component
EP1593660A1 (en) Coating composition for green sheet, method for producing same, green sheet, method for producing same, electronic component and method for producing same
JP4631110B2 (ja) セラミックグリーンシートの製造装置
EP0606644B1 (en) Multilayer ceramic capacitor manufacturing process
JP3320615B2 (ja) セラミックグリーンシート用スラリー組成物
JP3812243B2 (ja) キャリアフィルム付きセラミックグリーンシートの製造方法
JP2003197459A (ja) 積層型電子部品の製法
JP3808853B2 (ja) グリーンシート用塗料、グリーンシート、グリーンシートの製造方法および電子部品の製造方法
JP2002329634A (ja) 積層型電子部品およびその製法
JP2004345873A (ja) ペースト、その製造方法、積層型セラミック電子部品およびその製造方法
JP2002043156A (ja) 積層型セラミック電子部品およびその製造方法
JP2002127117A (ja) グリーンシートの製法および電子部品の製法
JP4529358B2 (ja) セラミックグリーンシート
JP2007123758A (ja) 積層型電子部品の製造方法
JP4050485B2 (ja) 積層部品の製造方法および積層部品製造用シート
JP2004269325A (ja) セラミックペーストの製造方法、及びセラミックペーストを用いた積層型セラミック電子部品の製造方法
JPH11144993A (ja) セラミックシートの製造方法
JP2000100648A (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JP2002043163A (ja) 積層型セラミック電子部品およびその製造方法
JPH01226132A (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP2001118744A (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP3197266B2 (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4631110

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

EXPY Cancellation because of completion of term