JP2002127117A - グリーンシートの製法および電子部品の製法 - Google Patents

グリーンシートの製法および電子部品の製法

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JP2002127117A
JP2002127117A JP2000331418A JP2000331418A JP2002127117A JP 2002127117 A JP2002127117 A JP 2002127117A JP 2000331418 A JP2000331418 A JP 2000331418A JP 2000331418 A JP2000331418 A JP 2000331418A JP 2002127117 A JP2002127117 A JP 2002127117A
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Koushirou Sugimoto
幸史郎 杉本
Akihisa Sakaguchi
陽久 坂口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄層化しても剥離性に優れ、且つシート状成形
体の表面、剥離面(裏面)とも平滑にし、またシート状
成形体内部にも欠陥のない均一なシート状成形体の製法
および電子部品の製法を提供する。 【解決手段】キャリアフィルム3上に、セラミック粉
末、バインダおよび溶媒を含有するセラミックスラリを
塗布し、シート状成形体5を形成する工程と、前記シー
ト状成形体5上に、バインダと溶媒を含有する樹脂液を
塗布して樹脂層7を形成する工程とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリーンシートの
製法および電子部品の製法に関し、例えば、多層基板や
積層セラミックコンデンサ、積層型アクチュエータ、圧
電トランス等の電子部品に好適に用いられるグリーンシ
ートの製法および電子部品の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、セラミック積層体、例えば、電子部
品は以下に記述するような工程によって製造されてい
る。まず、セラミック粉体を溶媒に分散させた泥漿に、
バインダと呼ばれる接着性の樹脂を溶媒に溶かした溶液
を混合し、セラミックスラリを作製する。
【0003】作製したセラミックスラリをドクターブレ
ード、グラビアコータ、マイクログラビア、リバースロ
ールコータ、ダイコータなどの成形方法により、PET
フィルムなどのキャリアフィルム上に塗布し、乾燥して
シート状成形体(グリーンシート)を作製する。従来、
電子部品で使用されるシート状成形体の厚みは5〜20
μm程度である。
【0004】そして、このシート状成形体にNi、A
g、Pd等を含有する電極ペーストをスクリーン印刷な
どで印刷して電極パターンを形成し、この電極パターン
が形成されたシート状成形体を複数積層し、所定形状に
カットした後、脱バインダ工程、焼成工程を経て、内部
電極と導通する外部電極を形成し、電子部品を得る。
【0005】ところで、近年、電子部品の小型化、大容
量化が進むにつれて、シート状成形体の薄層化が必要と
なり、3.5μm以下の膜厚のものが要求されるように
なってきている。
【0006】しかしながら、従来のシート状成形体の製
法では、要求される膜厚が薄くなるとキャリアフィルム
からのシート状成形体の剥離が困難になるという問題が
あった。このような剥離困難なシート状成形体は膜厚を
薄くすることによるテープ強度の低下により、剥離時に
シート状成形体の破れ、欠陥等が発生し、積層が不可能
となっている。
【0007】このように薄層化したシート状成形体の製
法に関し、例えば、特開平11−26289号公報に開
示されるようなものが知られている。この公報に開示さ
れたシート状成形体の製法では、表面が離型性を有する
キャリアフィルム上に、予め、セラミックスラリと濡れ
性の良い樹脂層を形成し、その樹脂層上にセラミックス
ラリを塗布し、シート状成形体を成形することによりシ
ート状成形体の欠陥を抑制する方法がとられてきた。こ
の方法では、剥離性を付与させたキャリアフィルム上
に、予め、厚み1.5μm以下の樹脂層となる膜を形成
し、その膜上にセラミックスラリを塗布することによ
り、キャリアフィルム上の剥離剤の影響により生じる濡
れ性悪化のためのセラミックスラリのハジキを抑制して
シート状成形体を形成するという方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−26289号公報に開示されたようなシート状成
形体の製法においては、特開平11−144992号公
報にも示されているとおり、シート状成形体の薄層化に
伴ってバインダの凝集沈降が起こり、このシート状成形
体のキャリアフィルム側表面のバインダ密度が表面付近
に比較して相対的に高くなることが知られている。
【0009】上記シート状成形体の製法においては、シ
ート状成形体欠陥の発生は抑制されるが、キャリアフィ
ルム側にセラミックスラリの濡れ性の良いバインダの膜
が存在するため、セラミックスラリの塗布の際、セラミ
ックスラリのバインダがこのバインダ膜に引かれ、シー
ト状成形体底部のバインダ密度がさらに高くなることが
懸念される。この結果、シート状成形体表面は粗さが増
し、バインダ密度も低下するため、表面にオープンボイ
ドやピンホール等の欠陥ができ、このシート状成形体の
欠陥部へ電極パターン印刷の際に電極ペーストの浸透が
発生し、高温負荷寿命、および耐電圧等の信頼性が低下
するという問題があった。
【0010】この電極ペーストの浸透に対して、特開平
7−111223号公報に開示されているように2組の
キャリアフィルムを用い、第1のキャリアフィルム上に
形成されたシート状成形体を第2のキャリアフィルム上
に巻き取ることにより、第1のキャリアフィルム側の面
を表面にし、その面上に電極パターンを印刷し、電極ペ
ーストの浸透を抑制する方法も知られている。しかし、
かかる方法では2組のキャリアフィルムを使用しなけれ
ばならない工程の煩雑さとコストの増大が懸念され、特
に積層数が増える小型高容量および大容量の積層セラミ
ックコンデンサではコスト増大が顕著になる。また、厚
み3.5μm以下のシート状成形体を用いた電子部品に
対してはその効果が明確でないのが現状である。
【0011】従って、本発明は、薄層化しても剥離性に
優れ、且つグリーンシートの表面、剥離面(裏面)とも
平滑にし、またグリーンシート内部にも欠陥のない均一
なグリーンシートの製法および電子部品の製法を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のグリーンシート
の製法では、キャリアフィルム上に、セラミック粉末、
バインダおよび溶媒を含有するセラミックスラリを塗布
し、シート状成形体を形成する工程と、該シート状成形
体上に、バインダと溶媒を含有する樹脂液を塗布して樹
脂層を形成する工程とを具備する方法である。
【0013】この製法において、予め、キャリアフィル
ム上に形成したシート状成形体の表面全面に、樹脂を溶
かした樹脂液を塗布することにより、シート状成形体上
面のセラミック粒子の再移動が起こり、シート状成形体
上面のオープンボイドやピンホール等の欠陥がなくな
り、また、シート状成形体表面の全面に樹脂層が形成さ
れているため、電極ペーストを印刷する際に、この樹脂
層がバリア層となり、電極ペーストのシート状成形体へ
の浸透が抑制される。このことから電子部品の製造にお
ける歩留まりや、この電子部品の信頼性を飛躍的に向上
することができる。
【0014】本発明のグリーンシートの製法では、シー
ト状成形体が、セラミックスラリを塗布した後、室温か
ら該セラミックスラリに含まれる溶媒の蒸発温度以上の
温度まで加熱乾燥して形成される。
【0015】この製法では、キャリアフィルム上に、溶
媒を含んだセラミックスラリを塗布し乾燥させる場合
に、室温から各溶媒の蒸発温度以上の温度まで加熱して
乾燥する方法である。即ち、室温から溶媒が完全に揮発
する蒸発温度以上に、温度を上げて加熱し、徐々に乾燥
させることで、溶媒の沸騰痕による表面、また剥離面の
荒れや、低温での長時間乾燥によるバインダの凝集沈降
物を低減したシート状成形体を形成できる。
【0016】従って、得られたシート状成形体では、内
部に形成されるピンホール、膜切れ等の欠陥やバインダ
の凝集物が減少し、つまり均質性を高くできる。
【0017】本発明のグリーンシートの製法では、シー
ト状成形体および樹脂層中に含まれるバインダの合量
が、シート状成形体中に含まれるセラミック粉末100
重量部に対して、6〜18重量部であることが望まし
い。この範囲とすることにより、グリーンシート内部に
ピンホール、膜切れ等の欠陥やバインダの凝集物が形成
されず、また、表面および裏面の平滑性が良く剥離性も
良好とすることができる。
【0018】本発明の電子部品の製法は、シート状成形
体と電極パターンが交互に積層された積層成形体を作製
する工程と、該積層成形体を焼成する工程とを具備する
電子部品の製法であって、前記積層成形体が、前記シー
ト状成形体の上面と前記電極パターンの下面との間に樹
脂層を形成して構成された製法である。
【0019】この製法において、シート状成形体表面の
全面にバリア層として樹脂層が形成され、その上面に電
極パターンが形成されているため、積層圧着や脱バイン
ダ工程での加熱においても、電極パターンによるシート
アタックを抑制し、電子部品の製造における歩留まり
や、この電子部品の信頼性を飛躍的に向上することがで
きる。
【0020】本発明の電子部品の製法では、積層成形体
が、上記した製法により得られたグリーンシートの樹脂
層上に電極ペーストを塗布して電極パターンを形成する
工程と、該電極パターンが形成されたグリーンシートを
複数積層する工程とを具備して構成されているものであ
る。
【0021】即ち、シート状成形体の上面にバリア層と
して樹脂層が形成されているために、このグリーンシー
トへの電極パターン形成時において、電極パターンのバ
インダ、溶媒および金属粒子によるグリーンシートへの
シートアタックを抑制でき、電子部品の製造における歩
留まりや、この電子部品の信頼性を飛躍的に向上でき
る。
【0022】本発明の電子部品の製法では、電極パター
ンが形成されたグリーンシートは、シート状成形体に樹
脂液を塗布した後、室温から前記樹脂液に含まれる溶媒
の蒸発温度以上の温度まで加熱乾燥して樹脂層を形成
し、該樹脂層上に電極ペーストを塗布して形成される。
【0023】この製法は、予め、キャリアフィルム上に
形成されたシート状成形体上に、溶媒を含んだ樹脂液を
塗布し乾燥させる場合に、室温から各溶媒の蒸発温度以
上の温度まで加熱して乾燥するものである。即ち、室温
から溶媒が完全に揮発する蒸発温度以上に、温度を上げ
て加熱し、徐々に乾燥させることで、溶媒の沸騰痕によ
る表面、また剥離面の荒れもなく、低温での長時間乾燥
によるバインダの沈降もなく、バインダの凝集物もない
均一な樹脂層を形成できる。
【0024】従って、得られたグリーンシートでは、内
部にはピンホール、膜切れ等の欠陥やバインダの凝集物
が無く、つまり均一で、また表面、裏面の平滑性が良く
剥離性も良好とすることができる。
【0025】本発明の電子部品の製法では、シート状成
形体の厚みは3.5μm以下であることが望ましい。こ
れは、3.5μm以上では内部欠陥が減少し、上記方法
の効果が弱くなるとともに、薄層化したシート状成形体
こそが小型高容量の電子部品に好適に用いられるからで
ある。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明のグリーンシートの製法
は、電子部品の一つである積層セラミックコンデンサに
好適に用いられる。
【0027】先ず、キャリアフィルム上にセラミックス
ラリを塗布し、シート状成形体が形成される。ここで用
いるキャリアフィルムとして、例えば、PETフィルム
からなるキャリアフィルムが用いられ、薄層化したシー
ト状成形体の剥離性を良くするために、その表面にシリ
コン樹脂をコーティングして離型処理されていることが
望ましい。
【0028】また、セラミックスラリは、例えば、セラ
ミック粉末と、ポリビニルブチラール樹脂からなるバイ
ンダと、このバインダを溶解する溶媒として、トルエン
とエチルアルコールとを混合したものが好適に用いられ
る。その他のバインダとしては、セラミック粉末や溶媒
との分散性、シート状成形体の強度、脱バインダ性の点
でアクリル樹脂を用いることもできる。ここで用いるセ
ラミック粉末としてはガラスを含有したものも含まれ
る。
【0029】次に、このシート状成形体上に、樹脂液を
塗布して樹脂層を形成し、グリーンシートを形成する。
この場合、樹脂液に用いられるバインダおよび溶媒は、
予め形成したシート状成形体中に含まれるバインダと、
溶媒と同一のものが望ましいが、シート状成形体中のバ
インダを溶解し、粒子の再移動を起こすものであれば、
樹脂液に含まれるバインダとして、エポキシ樹脂を、ま
た、溶媒として、メチルエチルケトン(MEK)を用い
ることができる。
【0030】作製されたこのグリーンシート上には電極
パターンがを形成される。例えば、電子部品の内部電極
層となる電極パターンに用いられる金属粉末として、小
型、高容量および低コストの点でNi金属が望ましく、
内部電極層の薄層化のために、粒子径は0.4μm以下
であることが好ましい。
【0031】上記の製法により形成したグリーンシート
1は、図1(a)に示しているように、キャリアフィル
ム3の離型層2の表面にシート状成形体5が形成され、
さらに、その上に樹脂層7が形成されている。このグリ
ーンシート1では、樹脂液を塗布した際に粒子の再移動
が起こっているため、樹脂液を塗布しない場合(図1
(b))に、キャリアフィルム3側に見られたバインダ
の凝集沈降物11や、表面側のオープンボイド13、ピ
ンホール15等の欠陥がなく、均一で平滑なグリーンシ
ート1を形成することができる。
【0032】このため、図1(c)に示すように、グリ
ーンシート1上に直接電極ペーストを印刷して電極パタ
ーン17を形成する場合においても、オープンボイド1
3やピンホール15等への電極ペーストの浸透がなく、
グリーンシート1の表面は平滑に保たれる。
【0033】また、離型処理したキャリアフィルム3は
濡れ性が悪いため、セラミックスラリを塗布した直後の
膜は多孔性となるが、上記のように、予め形成したシー
ト状成形体5上に樹脂液を塗布することにより、シート
状成形体5中のバインダが溶解して、粒子の再移動が起
こるため、セラミック粉末やバインダの凝集物のないシ
ート状成形体5を形成できる。
【0034】本発明のグリーンシートの製法を用いて電
子部品を製造する方法について述べる。
【0035】電子部品の製法においては、離型処理した
キャリアフィルム3上に塗布されたセラミックスラリや
樹脂液は、いずれの工程においても、室温からその溶媒
の蒸発温度以上の温度まで加熱して乾燥される。
【0036】加熱温度は、例えば、室温、60℃、溶媒
の蒸発温度以上の100℃のように段階的に加熱する。
このように段階的に加熱することにより、液体状のスラ
リ膜から、均一に、また、徐々に溶媒を乾燥させ、高温
での急激な乾燥による溶媒の沸騰痕による表面、また剥
離面の粗さを無くすことができる。
【0037】また、乾燥部の最終ゾーンでは、乾燥温度
が溶媒の蒸発温度以上に設定されているため、低温での
長時間乾燥によるバインダの沈降やバインダの凝集物が
なく、ピンホール15、膜切れ等の欠陥もない均一なグ
リーンシート1を形成できる。
【0038】本発明は、シート状成形体5の厚みを3.
5μm以下とする時に有効である。樹脂液の塗布により
シート状成形体5の表面に薄い樹脂層7を形成するた
め、図1(c)に示すように、電極パターン17とシー
ト状成形体5との直接的な接触がなくなり、電極パター
ン17の表面粗さも良好となる。
【0039】また、樹脂層7の厚みは、シート状成形体
5に形成されたオープンボイド13やピンホール15を
埋め、グリーンシート1の表面を平滑にする程度の厚み
として、0.05〜0.3μmが好ましい。
【0040】さらに、シート状成形体5上に樹脂層を形
成した効果として、シート状成形体5の成形時に、この
シート状成形体5の底部にバインダの凝集や沈降が顕著
になる3.5μm以下のシート状成形体5に、特に有効
である。このように電子部品を作製するためのシート状
成形体5の成形工程において、3.5μm以下の厚みの
シート状成形体5を形成する場合にこそ、本発明を用い
る意義を有する。
【0041】また、シート状成形体5および樹脂層7中
に含まれるバインダの合量は、シート状成形体5中に含
まれるセラミック粉末100重量部に対して、6〜18
重量部が好ましい。バインダの合量が6重量部以下で
は、シート状成形体5の強度が保たれなくなり、印刷、
積層時のシートアタックや破れ等を引き起こす恐れがあ
る。一方、バインダの合量が18重量部以上では、シー
ト状成形体5全体のバインダ樹脂の熱分解が不十分にな
り、電子部品の信頼性が低下する。このようにシート状
成形体5の強度や脱バインダ性に対して、シート状成形
体5および樹脂層7中に含まれるバインダの合量は、特
に、8〜15重量部が望ましい。
【0042】次に、電極パターン17を形成したグリー
ンシート1をキャリアフィルム3から剥離し、積層圧着
した後、所定の電子部品サイズに切断し積層成形体を作
製し、この積層成形体を焼成して電子部品本体を作製す
る。尚、焼成後には、樹脂層7は焼失する。
【0043】積層成形体20の断面は、図2に示すよう
に、シート状成形体5と電極パターン17が交互に積層
され、このシート状成形体5の上面と電極パターン17
の下面との間に樹脂層7が形成されている。この樹脂層
7は、シート状成形体5を形成した時にできるオープン
ボイド13やピンホール15を埋めるとともに、シート
状成形体5の表面を平滑にできる。また、樹脂層7の上
面に印刷される電極ペーストの浸透を抑制するととも
に、電極パターン17のグリーンシート1に対する密着
性を向上することができる。このように電極パターン1
7をグリーンシート1上に形成した場合においても、そ
の表面が平滑であるために、積層成形体20において、
電極パターン17が形成されたグリーンシート1同士の
密着性を高めることができる。
【0044】図3(a)は本発明のシート状成形体5の
製造装置を示す構成図である。成形装置としては、シー
ト状成形体5を均一な膜厚で薄層化するためにダイコー
タが好適に用いられる。シート状成形体5の薄層化を可
能とするものであれば、その他の成形装置として、ドク
ターブレード、グラビアコータ、マイクログラビアおよ
びリバースロールコータを用いることもできる。
【0045】図3を用いて説明すると、先ず、引出しロ
ール21からキャリアフィルム3であるPETフィルム
を引き出し、次に、塗工部23においてPETフィルム
の上面に順にセラミックスラリと樹脂液を塗布する。最
後方部にはキャリアフィルム3上に成形されたグリーン
シート1をPETフィルムごと巻き取るロール連携方式
の巻取りロール25が設けられている。そして、これら
の引出しロール21と巻取りロール25の間に、塗布し
たセラミックスラリや樹脂液を乾燥させる乾燥部27が
設けられている。
【0046】ここで塗工部23における塗布形式として
は、薄層化が可能ならば、ドクターブレード、グラビア
コータ、マイクログラビアおよびリバースロールコータ
法等のテープ成形装置の何れでも良く、乾燥部27は少
なくとも2室以上の乾燥室があれば良く、この図3
(a)では、乾燥部27は3つの乾燥室27a、27
b、27cの3室に分割されていて、それぞれ個別の温
度の設定が可能である。
【0047】まず、シート状成形体5を形成する工程で
は、塗工部23でPETフィルム上にセラミックスラリ
を所定の厚さ(例えば、厚み3.5μm)となるように
塗布し、乾燥部27で乾燥の後、巻取りロール25で巻
き取る。
【0048】このとき、乾燥室27aは室温の温風を吹
き付け、乾燥室27cではセラミックスラリに含有され
る溶媒の蒸発温度以上の温風(例えば溶媒の蒸発温度が
80℃であれば100℃)を吹き付ける。乾燥室27b
では、例えば、中間の60℃で温風を吹き付ける。
【0049】この後、樹脂層7を形成するためには、巻
取りロール25で巻き取られた厚み3.5μmのシート
状成形体5が形成されたPETフィルムを、引出しロー
ル21側に再度設置し、塗工部23で樹脂液を所望の厚
さ(例えば、0.1μm)となるように塗布し、乾燥部
27で乾燥の後、巻取りロール25で再び巻き取り、所
望のグリーンシート1を得る。このとき、乾燥部27で
の乾燥条件は、樹脂液塗布で用いられる溶媒がシート状
成形体5の形成工程で使用した溶媒と同じであれば、同
様の乾燥温度とすることができる。
【0050】また、シート状成形体5の製造装置が2台
あれば、図3(b)に示すように装置を連結し、シート
状成形体5と樹脂層7の形成を連続して行うこともでき
る。
【0051】図3(b)において、符号31、33は、
それぞれ引出しロールおよび巻取りロールであり、符号
35はシート状成形体5形成工程の塗工部であり、符号
37はシート状成形体形成工程での乾燥部であり、符号
39は樹脂層7形成工程における樹脂液の塗工部であ
り、符号41は樹脂層7形成工程での乾燥部である。乾
燥部37は、例えば室温、60℃、80℃にそれぞれ加
熱する乾燥室37a、乾燥室37b、乾燥室37cを有
し、また、乾燥部41は、例えば室温、60℃、80℃
にそれぞれ加熱する乾燥室41a、乾燥室41b、乾燥
室41cを有している。
【0052】
【実施例】次に本発明における実施例を以下に示す。セ
ラミック粉末として、平均粒径が0.4μmのBaTi
3粉体を用い、溶媒としてトルエンとエタノールを
1:1の重量比で混合した混合溶媒に、BaTiO3
末をボールミルにより分散させてセラミック泥漿を作製
した。
【0053】ポリビニルブチラール樹脂、可塑剤、およ
び分散剤を、表1に示す組成になるように溶解してバイ
ンダ溶液を作製した。セラミックスラリは、BaTiO
3粉末を分散させたセラミック泥漿に上記のバインダ溶
液を、1:1の重量比で混合して作製した。
【0054】
【表1】
【0055】一方、樹脂液は、メチルエチルケトン10
0重量部とエポキシ樹脂5重量部を混合して作製した。
【0056】まず、セラミックスラリを用いて厚み2.
5μmと3.5μmのシート状成形体5を成形した。即
ち、図3(a)に示すようなシート状成形体5の製造装
置を用い、上記セラミックスラリをダイコータ方式の塗
工部23でキャリアフィルム3上に塗布し、この塗布膜
を、乾燥室27aが30℃、乾燥室27bが60℃、乾
燥室27cが100℃に設定された乾燥部27で、段階
的に加熱し、乾燥した。
【0057】次に、この厚み2.5μmと3.5μmの
シート状成形体5上に、同じくダイコータを用いて、樹
脂層7の厚みが0.1μmになるように塗布し、この塗
布膜を、乾燥室27aが30℃、乾燥室27bが50
℃、乾燥室27cが80℃に設定された乾燥部27で、
段階的に加熱し、乾燥した。
【0058】このグリーンシート1にNiを含有する電
極ペーストを塗布して電極パターン17を形成し、電極
パターン17が形成されたグリーンシート1をキャリア
フィルム3から剥離し、これを300層積層し、上下に
内部電極パターン17が形成されていないシート状成形
体5を積層し、これを切断し、積層成形体20を作製
し、脱脂処理後、還元雰囲気にて焼成を行った。
【0059】次に、この焼結体の両端面に外部電極ペー
ストを塗布し、焼き付けて外部電極を形成し、縦2.0
mm×横1.2mmサイズの積層セラミックコンデンサ
を作製した。
【0060】評価として、グリーンシート1のバインダ
の合量はグリーンシート1を大気中600℃で加熱し、
加熱前後の重量変化から求めた。
【0061】グリーンシート1の表面状態の評価では、
電極パターンを印刷したグリーンシート1について、印
刷面の平均中心線粗さ(Ra)を測定し評価した。ま
た、電子部品の電気特性の評価として、耐電圧(n=
5)と高温負荷試験(125℃、12.6V、100時
間後の故障率(絶縁抵抗>105Ωが目安)、n=10
0)を評価した。
【0062】一方、比較例として、その表面に樹脂層7
を形成していない試料No.7、8のシート状成形体5
を用いて、同様の電子部品を作製し、同様の評価を行っ
た。その結果を本発明の結果とともに表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】表2の結果から明らかなように、シート状
成形体5の表面に樹脂層7を形成し、グリーンシート1
中に含まれるバインダの合量を6〜18重量部とした試
料No.1〜6では、シート状成形体5の表面に樹脂層
7を形成したことにより、表面ボイドやピンホールがな
くなり、シート状成形体5中への電極ペーストの浸透が
抑制されたため、電極印刷面の表面粗さが140nm以
下と低くなり、電子部品の耐電圧が50V以上と高く、
且つ、高温負荷試験での故障率が30%に低下した。
【0065】また、シート状成形体5の厚みを3.5μ
mとし、バインダの合量を10〜18重量部とした試料
No.4〜6では、グリーンシート1中のバインダの合
量の増加とともに、表面粗さが140nmから110n
mまで低下し、電子部品の耐電圧が高くなり、高温負荷
試験での故障率が低下し、特に、試料No.5および6
では故障率が0%となった。
【0066】一方、厚み2.5μmと3.5μmのシー
ト状成形体5について、比較例として作製し樹脂層7を
形成しなかった試料No.7、8では、電極印刷面上の
表面粗さが本発明の試料に比較して約2倍の値を示し、
電極ペーストがシート状成形体5中に浸透したため、耐
電圧や信頼性評価において、故障率が著しく高くなるこ
とがわかる。
【0067】特に、2.5μmのシート状成形体5で
は、バインダの凝集沈降で、シート強度が保てず、また
電極ペーストからのシートアタックが起こり、シートの
破れ等が発生しやすくなり、キャリアフィルムからの剥
離が困難であった。
【0068】このように、本発明によるグリーンシート
1の製法によれば、従来に比べ3.5μm以下の薄層化
が可能であり、また従来に比べて薄層化においても飛躍
的に製品品質と歩留まりが向上することがわかる。
【0069】
【発明の効果】本発明のグリーンシートの製法および電
子部品の製法は、キャリアフィルム上に、セラミック粉
末、バインダおよび溶媒を含有するセラミックスラリを
塗布してシート状成形体を形成する工程と、このシート
状成形体上に、バインダと溶媒を含有する樹脂液を塗布
して樹脂層を形成する工程とを具備することにより、例
えば、シート状成形体の膜厚を3.5μm以下に薄層化
しても、剥離性に優れ、且つ、グリーンシートの表面お
よび剥離面(裏面)とも平滑にし、またグリーンシート
内部にも欠陥のない均一なグリーンシートを作製するこ
とができるため、電極ペーストの浸透を抑制することが
でき、電子部品の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のグリーンシートの断面図、
(b)は本発明のグリーンシートを形成する前のシート
状成形体の断面図、(c)は本発明のグリーンシートを
形成した後に電極パターンを形成した電極シートの断面
図である。
【図2】本発明の積層成形体の断面図である。
【図3】(a)は本発明のグリーンシートの製造装置を
示す構成図、(b)はシート状成形体と樹脂層の製造装
置を2台連結した状態を示す構成図である。
【符号の説明】
1 グリーンシート 2 離型層 3 キャリアフィルム 5 シート状成形体 7 樹脂層 11 凝集沈降物 13 オープンボイド 15 ピンホール 17 電極パターン 20 積層成形体 21、31 引出しロール 23、35、39 塗工部 25、33 巻取りロール 27、37、41 乾燥部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/46 H05K 3/46 H Fターム(参考) 4G052 DA02 DA05 4G055 AA08 AA10 AB00 AC01 AC09 BA12 BA36 BA40 5E001 AB03 AC09 AE02 AE03 AF06 AH01 AH05 AH06 AH09 AJ01 AJ02 5E082 AA01 AB03 BC38 EE04 EE23 EE35 FG06 FG26 FG27 FG46 FG54 GG10 GG28 JJ03 JJ23 LL02 LL03 MM22 MM24 PP03 PP09 5E346 AA12 AA15 AA38 BB01 CC17 CC31 DD02 DD34 EE24 EE29 GG03 GG04 HH11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャリアフィルム上に、セラミック粉末、
    バインダおよび溶媒を含有するセラミックスラリを塗布
    し、シート状成形体を形成する工程と、該シート状成形
    体上に、バインダと溶媒を含有する樹脂液を塗布して樹
    脂層を形成する工程とを具備することを特徴とするグリ
    ーンシートの製法。
  2. 【請求項2】シート状成形体が、セラミックスラリを塗
    布した後、室温から該セラミックスラリに含まれる溶媒
    の蒸発温度以上の温度まで加熱乾燥して形成されること
    を特徴とする請求項1記載のグリーンシートの製法。
  3. 【請求項3】シート状成形体および樹脂層中に含まれる
    バインダの合量が、前記シート状成形体中に含まれるセ
    ラミック粉末100重量部に対して、6〜18重量部で
    あることを特徴とする請求項1または2記載のグリーン
    シートの製法。
  4. 【請求項4】シート状成形体と電極パターンが交互に積
    層された積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を
    焼成する工程とを具備する電子部品の製法であって、前
    記積層成形体が、前記シート状成形体の上面と前記電極
    パターンの下面との間に樹脂層を形成して構成されてい
    ることを特徴とする電子部品の製法。
  5. 【請求項5】積層成形体が、請求項1または2記載の製
    法により得られたグリーンシートの樹脂層上に電極ペー
    ストを塗布して電極パターンを形成する工程と、該電極
    パターンが形成されたグリーンシートを複数積層する工
    程とを具備して形成されることを特徴とする請求項4記
    載の電子部品の製法。
  6. 【請求項6】電極パターンが形成されたグリーンシート
    は、シート状成形体に樹脂液を塗布した後、室温から前
    記樹脂液に含まれる溶媒の蒸発温度以上の温度まで加熱
    乾燥して樹脂層を形成し、該樹脂層上に電極ペーストを
    塗布して形成されることを特徴とする請求項5記載の電
    子部品の製法。
  7. 【請求項7】シート状成形体の厚みは3.5μm以下で
    あることを特徴とする請求項4乃至6のうちいずれかに
    記載の電子部品の製法。
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