JP2004345873A - ペースト、その製造方法、積層型セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥性に優れるとともに、製造過程における凝集物などの発生を抑制あるいは防止したペーストを提供する。
【解決手段】段差吸収用のセラミックグリーン層5を形成するためのセラミックペーストは、無機粉末と第1の有機溶剤とを分散処理する1次分散工程と、1次分散工程の後に、第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤と、有機バインダの一部とを加えた2次混合物を、分散処理する2次分散工程と、2次分散工程の後、2次混合物を加熱処理することによって、第1の有機溶剤を除去する除去工程と、除去工程で加熱処理された2次混合物に、有機バインダの残部を加える工程とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】段差吸収用のセラミックグリーン層5を形成するためのセラミックペーストは、無機粉末と第1の有機溶剤とを分散処理する1次分散工程と、1次分散工程の後に、第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤と、有機バインダの一部とを加えた2次混合物を、分散処理する2次分散工程と、2次分散工程の後、2次混合物を加熱処理することによって、第1の有機溶剤を除去する除去工程と、除去工程で加熱処理された2次混合物に、有機バインダの残部を加える工程とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト、その製造方法、積層型セラミック電子部品およびその製造方法に関し、更に詳しくは、グラビア印刷工法などに好適な乾燥性に優れたペースト、その製造方法、積層型セラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、積層型セラミック電子部品を製造する場合、複数のセラミックグリーンシートが用意され、これらセラミックグリーンシートが積み重ねられる。特定のセラミックグリーンシート上には、得ようとする積層型セラミック電子部品の機能に応じて、コンデンサ、抵抗、インダクタ、バリスタ、フィルタなどを構成するための導体膜、抵抗体膜のような内部回路要素膜が形成されている。
【0003】
近年、移動体通信機器をはじめとする電子機器は、小型化かつ軽量化が進み、このような電子機器において、例えば、積層型セラミック電子部品が回路素子として用いられる場合、このような電子部品に対しても、小型化、薄型化、軽量化が強く要求されるようになっている。例えば、積層セラミックコンデンサの場合には、小型化かつ大容量化の要求が高まっている。
【0004】
積層セラミックコンデンサを製造しようとする場合、典型的には、誘電体セラミック粉末、有機バインダ、可塑剤および有機溶剤を混合してセラミックスラリーを作製し、このセラミックスラリーを、剥離剤としてのシリコン樹脂などがコーティングされた、例えば、ポリエステルフィルムのような支持体となるベースフィルム上で、ドクターブレード法などを適用して、例えば、厚さ数μm〜数10μmのシート状となるように成形することにより、セラミックグリーンシートが作製され、次で、このセラミックグリーンシートが乾燥される。
【0005】
次に、上述したセラミックグリーンシートの主面上に、互いに間隔を隔てた複数のパターンをもって、導電性ペーストをスクリーン印刷によって付与する。これを乾燥することにより、内部回路要素膜としての内部電極がセラミックグリーンシート上に形成される。図5には、上述のように複数箇所に、分布して内部電極1が形成されたセラミックグリーンシート2の一部が平面図で示されている。
【0006】
次に、セラミックグリーンシート2が支持体から剥離され、適当な大きさに切断された後、図4に一部示すように、所定の枚数だけセラミックグリーンシート2が積み重ねられ、さらに、この積み重ねの上下に内部電極1を形成していないセラミックグリーンシートが所定の枚数だけ積み重ねられることによって、生の積層体3が作製される。
【0007】
この生の積層体3は、積層方向にプレスされた後、図6に示すように、個々の積層セラミックコンデンサのための積層体チップ4となるべき大きさに切断され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程に付され、最終的に外部電極が形成されることによって、積層セラミックコンデンサが完成される。
【0008】
このような積層セラミックコンデンサにおいて、その小型化かつ大容量化に対する要求を満足させるためには、セラミックグリーンシートおよび内部電極の積層数の増大およびセラミックグリーンシートの薄層化を図ることが必要となってくる。
【0009】
しかしながら、上述のような多層化および薄層化が進めば進むほど、内部電極1の各厚みの累積の結果、内部電極1が位置する部分とそうでない部分との間、あるいは、内部電極1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部分との間での厚みの差がより顕著になり、例えば、図6に示すように、得られた積層体チップ4の外観に関しては、その主面が凸状となるような変形が生じてしまう。
【0010】
積層体チップ4において図6に示すような変形が生じていると、内部電極1が位置していない部分、あるいは比較的少数の内部電極1しか積層方向に配列されていない部分においては、プレス工程の際に比較的大きな歪みがもたらされており、また、セラミックグリーンシート2間の密着性が劣っているため、焼成時に引き起こされる内部ストレスによって、デラミネーションや微小クラックなどの構造欠陥が発生しやすい。
【0011】
また、図6に示すような積層体チップ4の変形は、内部電極1を望ましくない状態に不当に変形させる結果を招き、これによって、ショート不良が生じるおそれがある。
【0012】
このような不都合は、積層セラミックコンデンサの信頼性を低下させる原因となっている。
【0013】
上述のような問題を解決するため、例えば、図2に示されるように、セラミックグリーンシート2上の内部電極1が形成されていない領域に、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成し、この段差吸収用セラミックグリーン層5によって、セラミックグリーンシート2上での内部電極1の厚みによる段差を実質的になくすことが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0014】
上述のように、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成することによって、図1に一部を示すように、生の積層体3aを作製したとき、内部電極1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、図3に示すように、得られた積層チップ4aにおいて、図6に示すような望まない変形が生じにくくなる。その結果、前述したようなデラミネーションや微小クラックなどの構造欠陥および内部電極1の変形によるショート不良といった問題を生じにくくすることができ、得られた積層セラミックコンデンサの信頼性を高めることができる。
【0015】
上述した段差吸収用セラミックグリーン層5は、セラミックグリーンシート2の場合と同様の組成を有し、誘電体セラミック粉末、有機バインダ、可塑剤および有機溶剤を含むセラミックペーストを付与することによって形成されるが、例えば、厚み2μm以下といった内部電極と同程度の厚みを有するように、段差吸収用セラミックグリーン層5を高精度に印刷等によって形成するためには、セラミックペースト中におけるセラミック粉末の分散性を優れたものとしなければならない。
【0016】
この段差吸収用セラミックグリーン層のような極めて薄いセラミックグリーン層を形成するのに適したセラミックペーストおよびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0017】
このセラミックペーストの製造方法は、少なくともセラミック粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に有機バインダを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記第1の有機溶剤より相対蒸発速度が小さい第2の有機溶剤を、前記1次混合物および/または前記2次混合物に含ませる工程と、前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理することによって、前記第1の有機溶剤を選択的に除去する除去工程とを備えるものである。
【0018】
この方法によれば、1次分散工程では、有機バインダを未だ加えていないので、低粘度下での分散処理が可能となって無機粉末の分散性を高めることができ、また、2次分散工程では、1次分散工程で得られた無機粉末の高い分散性を維持したまま、有機バインダを十分かつ均一に混合させることができる。さらに、相対蒸発速度が大きい第1の有機溶剤の除去が2次分散工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階においても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくことが可能であり、したがって、分散効率を比較的高く維持しておくことができるとともに、2次分散工程の段階で加えられる有機バインダの溶解性を高めることができる。これによって、セラミック粉末の分散性に優れたセラミックペーストを得ることが可能となる。
【0019】
【特許文献1】
特開昭56−94719号公報
【特許文献2】
特開平3−74820号公報
【特許文献3】
特開平9−106925号公報
【特許文献4】
特開2001−237140号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近、前述の内部電極印刷や段差吸収用セラミックグリーン層の印刷工程における生産性を向上させるために、その印刷手段を、スクリーン印刷工法から、それよりも印刷速度が10倍程度速いグラビア印刷工法へ変更することが検討されている。そのため、これら印刷工程に用いられる前述のようなペーストにおいても、その乾燥性を高めることが望まれている。
【0021】
そこで、上述のセラミックペーストの製造方法で得られるペーストの乾燥性を改善するために、上述の第2の有機溶剤として、相対蒸発速度の高い、すなわち、沸点の低い有機溶剤を用いることが考えられる。
【0022】
しかしながら、沸点の低い有機溶剤を、第2の有機溶剤として使用すると、上述の2次分散工程の後の2次混合物を加熱処理する工程において、第1の有機溶剤のみならず、第2の有機溶剤も除去されてしまう。その結果、加熱処理後のセラミックペースト中の有機バインダの濃度が高まって凝集物やゲル化物などが発生するという課題がある。
【0023】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みて為されたものであって、乾燥性に優れるとともに、製造過程における凝集物などの発生を抑制あるいは防止したペースト、その製造方法並びに前記ペーストを用いた積層型セラミック電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0025】
すなわち、本発明のペーストの製造方法は、無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤と、前記有機バインダの一部とを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された2次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程とを備えている。
【0026】
また、本発明のペーストの製造方法は、無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記有機バインダの一部を加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記2次分散工程を経た前記2次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤を加えた3次混合物を分散処理する3次分散工程と、前記3次分散工程を経た前記3次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された前記3次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程とを備えている。
【0027】
また、本発明のペーストの製造方法は、無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤の一部と、前記有機バインダの一部とを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記2次分散工程を経た前記2次混合物に、前記第2の有機溶剤の残部を加えた3次混合物を分散処理する3次分散工程と、前記3次分散工程を経た前記3次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された前記3次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程とを備えている。
【0028】
ここで、有機バインダの一部とは、ペーストを製造するために加えるべき有機バインダの一部をいい、加えるべき有機バインダの1/2未満であってもよいし、1/2以上であってもよい。
【0029】
また、有機バインダの残部とは、前記一部以外の部分をいい、この残部は、一度に加えるのが好ましいが、分けて加えてもよい。
【0030】
本発明によると、1次分散工程では、有機バインダを未だ加えていないので、低粘度下での分散処理が可能となって無機粉末の分散性を高めることができ、また、2次分散工程では、1次分散工程で得られた無機粉末の高い分散性を維持したまま、有機バインダを十分かつ均一に混合させることができる。さらに、低沸点の第1の有機溶剤の除去が2次分散工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階においても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくことが可能であり、したがって、分散効率を比較的高く維持しておくことができるとともに、2次分散工程の段階で加えられる有機バインダの溶解性を高めることができる。
【0031】
しかも、有機バインダを、第1の有機溶剤を除去する加熱処理の前後に分けて加えているので、ペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤として沸点の低い有機溶剤を用いて前記加熱処理でその一部が除去されたとしても、有機バインダの濃度の上昇を、従来例に比べて抑制できることになり、これによって、加熱処理後に、凝集物やゲル化物などが発生するのを抑制あるいは防止することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様においては、前記有機バインダの残部を加える工程では、前記有機バインダと共に第3の有機溶剤を加えている。
【0033】
この実施態様によると、有機バインダの残部を加える際に、第3の有機溶剤を併せて加えるので、有機バインダのみを加える場合に比べて、有機バインダの濃度を低くすることができ、凝集物などの発生を一層確実に抑制あるいは防止できる。
【0034】
本発明の一実施態様においては、前記第3の有機溶剤が、前記第2の有機溶剤よりも沸点が低いものである。
【0035】
なお、この第3の有機溶剤は、同じく第2の有機溶剤よりも沸点の低い第1の有機溶剤と同一のものであってもよく、あるいは、第1の有機溶剤よりも沸点の低いものであってもよい。
【0036】
この実施態様によると、第3の有機溶剤の沸点が低いので、得られたペーストの乾燥性が一層向上する。
【0037】
本発明の他の実施態様においては、前記有機バインダの一部を添加した前記2次混合物において、無機粉末に対する前記有機バインダの濃度が、1重量%以上9重量%以下である。
【0038】
この実施態様によると、2次混合物における無機粉末に対する有機バインダの濃度が、1重量%以上9重量%以下となるように、有機バインダの一部を加えるので、有機バインダの一部と残部との分割の割合が適切となり、凝集物などの発生を一層確実に抑制あるいは防止することができる。
【0039】
本発明の好ましい実施態様においては、前記無機粉末が、セラミック粉末である。
【0040】
本発明のペーストは、本発明の製造方法によって得られるものである。
【0041】
本発明によると、セラミック等の無機粉末の分散性が良好であって、しかも、乾燥性に優れたペーストを得ることができる。
【0042】
本発明の積層型セラミック電子部品の製造方法は、セラミックスラリー、導電性ペーストおよび本発明のペーストをそれぞれ準備し、前記セラミックスラリーを成形することによって得られたセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシートの主面上に前記導電性ペーストを付与することによって形成された内部回路要素膜と、前記内部回路要素膜の厚みによって生じた段差を実質的になくすように前記セラミックグリーンシートの前記主面上であって前記内部回路要素膜が形成されない領域に、前記ペーストを付与することによって形成された段差吸収用グリーン層とを備える複数の複合構造物を作製し、前記複合構造物を積層して生の積層体を作製し、前記生の積層体を焼成するものである。
【0043】
本発明によると、セラミックグリーンシート上の内部回路要素膜が形成されていない領域に、段差吸収用グリーン層を形成するので、セラミックグリーンシート上での内部回路要素膜の厚みによる段差を実質的になくすことができ、不所望な変形が生じにくくなり、これによって、構造欠陥が生じにくく、信頼性の高い積層型セラミック電子部品を提供できる。さらに、段差吸収用グリーン層は、本発明のペーストによって形成されるので、ペースト印刷の際のペーストの乾燥が早くなり、グラビア印刷工法などを用いることが可能となって生産性が向上する。
【0044】
本発明の積層型セラミック電子部品は、本発明の製造方法によって得られるものである。
【0045】
本発明によると、構造欠陥が生じにくく、信頼性の高い積層型セラミック電子部品を得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、積層セラミックコンデンサの製造方法に適用して説明する。この実施の形態の積層セラミックコンデンサの製造方法は、上述の図1〜図3を参照しながら説明することができる。
【0047】
この実施形態の製造方法を実施するにあたり、セラミックグリーンシート2の成形のためのセラミックスラリー、内部電極1の形成のための導電性ペーストおよび段差吸収用セラミックグリーン層5の形成のための本発明のセラミックペーストがそれぞれ準備される。
【0048】
上述のセラミックスラリーは、誘電体セラミック粉末、有機バインダ、可塑剤および有機溶剤を混合することによって作製される。このセラミックスラリーからセラミックグリーンシート2を得るため、剥離剤としてのシリコン樹脂などによってコーティングされた、例えば、ポリエステルフィルムのような支持体としてのベースフィルム(図示せず)上で、セラミックスラリーがドクターブレード法などによって成形され、次いで乾燥される。セラミックグリーンシート2の厚みは、乾燥後において、例えば、数μmとされる。
【0049】
上述のようなセラミックグリーンシート2の主面上には、複数箇所に分布するように、内部電極1が乾燥後において、例えば約1μmの厚みをもって形成される。内部電極1は、例えば、スクリーン印刷等によって導電性ペーストを付与し、これを乾燥することによって形成される。この内部電極1は、それぞれ所定の厚みを有している。したがって、セラミックグリーンシート2上には、この厚みによる段差がもたらされる。
【0050】
次に、上述した内部電極1の厚みによる段差を実質的になくすように、セラミックグリーンシート2の主面上であって、内部電極1が形成されていない領域に、段差吸収用セラミックグリーン層5が形成される。段差吸収用セラミックグリーン層5は、内部電極1のネガティブパターンをもって、上述のセラミックペーストをグラビア印刷などによって付与することにより形成され、次いで乾燥される。
【0051】
このセラミックペーストは、本発明に係るものであって、その組成および製法などの詳細は、後述する。
【0052】
段差吸収用セラミックグリーン層5は、上述の説明では、内部電極1を形成した後に段差吸収用セラミックグリーン層5を形成したが、逆に、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成した後に内部電極1を形成するようにしてもよい。
【0053】
上述のように、セラミックグリーンシート2上に、内部電極1および段差吸収用セラミックグリーンシート層5が形成された図2に示すような複合構造物6は、複数用意され、これら複合構造物6は、ベースフィルムより剥離された後、適当な大きさに切断され、所定の枚数だけ積み重ねられ、その上下に内部電極1および段差吸収用セラミックグリーン層5が形成されていないセラミックグリーンシートを積み重ねることによって、図1に一部を示すような生の積層体3aが作製される。
【0054】
この生の積層体3aは、積層方向にプレスされた後、図3に示すように、個々の積層セラミックコンデンサのための積層体チップ4aとなるべき大きさに切断され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程に付され、最終的に外部電極が形成されることによって、積層コンデンサが完成される。
【0055】
上述のように、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成することによって、図1に一部を示すように、生の積層体3aにおいて、内部電極1が位置する部分とそうでない部分との間、あるいは内部電極1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、図3に示すように、積層体チップ4aにおいて、望まれない変形が生じにくくなる。その結果、得られた積層セラミックインダクタにおいて、デラミネーションや微小クラックなどの構造欠陥およびショート不良といった問題を生じにくくすることができる。
【0056】
この実施形態において、セラミックグリーンシート2の成形のためのセラミックスラリーは、セラミック粉末と、有機溶剤と、有機バインダとを含んでいる。
【0057】
また、内部電極1の形成のための導電性ペーストは、導電性粉末と、有機溶剤と、有機バインダとを含んでいる。
【0058】
本発明は、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成するためのセラミックペーストの製造方法に特徴を有しており、このセラミックペーストの製造方法によれば、セラミックペーストに含まれるセラミック粉末の分散性を高めることができるとともに、セラミックペーストの乾燥性を高めることができる。
【0059】
しかも、セラミックペーストの製造過程で、凝集物やゲル化物などが殆んど発生することがない。
【0060】
すなわち、この発明では、セラミックペーストを製造するために、セラミック粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、有機バインダの一部を加えた2次混合物を、分散処理する2次分散工程と、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤を、前記1次混合物および/または前記2次混合物に含ませる工程と、前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理することによって、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された2次混合物に、前記有機バインダの残部を加える工程とが実施される。
【0061】
このように、1次分散工程では、有機バインダを未だ加えていないので、低粘度下での分散処理が可能となり、これによって、セラミック粉末の分散性を高めることが容易である。この1次分散工程では、セラミック粉末の表面に吸着している空気が低沸点の第1の有機溶剤で置換され、セラミック粉末を低沸点の第1の有機溶剤で十分に濡らした状態とすることができるとともに、セラミック粉末の凝集状態を十分に解砕することができる。
【0062】
また、2次分散工程では、上述のように、1次分散工程で得られたセラミック粉末の高い分散性を維持したまま、有機バインダを十分かつ均一に混合させることができ、また、セラミック粉末のさらなる粉砕効果も期待できる。
【0063】
また、低沸点の第1の有機溶剤の除去が2次分散工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階においても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくことが可能であり、したがって、分散効率を比較的高く維持しておくことができるとともに、2次分散工程の段階で加えられる有機バインダの溶解性を高めることができる。
【0064】
さらに、有機バインダを、第1の有機溶剤を除去する加熱処理の前後に分けて加えているので、セラミックペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤として沸点の低い有機溶剤を用いて前記加熱処理でその一部が除去されたとしても、有機バインダの濃度の上昇を、従来例に比べて抑制できることになり、これによって、凝集物やゲル化物などの発生を防止することができる。
【0065】
有機バインダの分け方は、特に規定はないが、加熱処理の前に、全体の5%〜95%を加え、加熱処理の後に、残部を加えるのが好ましい。さらに好ましくは、加熱処理の前に、全体の10%〜90%を加え、加熱処理の後に、残部を加えるのが、より好ましい。
【0066】
また、有機バインダの一部を加えた2次混合物において、無機粉末に対する有機バインダの濃度が、1重量%以上9重量%以下になるように、有機バインダを分けて加えるのが好ましく、この場合には、加熱処理前に加える有機バインダの量が多過ぎたり、少な過ぎたりすることがなく、適正な割合で分割されることになり、凝集物やゲル化物などの発生を一層確実に防止することができる。
【0067】
さらに、本発明では、有機バインダの残部を加える際には、第3の有機溶剤を同時に加えてもよい。
【0068】
このように第3の有機溶剤を併せて加えることによって、有機バインダのみを加える場合に比べて、有機バインダの濃度を低くすることができ、凝集物やゲル化物などの発生を一層確実に防止できる。
【0069】
この第3の有機溶剤は、セラミックペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤よりも沸点の低い方が好ましく、第1の有機溶剤と同一のものを用いてもよいし、あるいは、第1の有機溶剤よりも沸点の低いものを用いてもよい。
【0070】
この発明における第1次分散工程および第2次分散工程では、例えば、ボールミルのようなメディアを用いる通常の分散処理機を適用して分散処理することができる。
【0071】
第1の有機溶剤は、第2の有機溶剤よりも沸点の低いものが選ばれる。それは、除去工程において、加熱処理による第1の有機溶剤のみの選択的な除去をより容易にするためである。ここで、第1の有機溶剤の沸点と、第2の有機溶剤の沸点の差は、20℃以上であることが好ましい。
【0072】
上述した低沸点の第1の有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、トルエン、ベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、およびこれらの混合物を用いることができる。沸点は、120℃以下であるのが、分留しやすいので、好ましい。
【0073】
また、第2の有機溶剤としては、例えば、6−メチルヘプタン−2−オン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、α−ピネン、p−サイメン、酢酸イソアミル、ブタノール、ジイソプロピルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、炭酸ジエチル、およびこれらの混合物を用いることができ、さらに、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテートなどを用いることができる。
【0074】
この第2の有機溶剤は、第1の有機溶剤よりも沸点が高いものが選ばれる。
【0075】
第3の有機溶剤は、第1の有機溶剤よりも沸点が高い必要はなく、上述の第1の有機溶剤を用いてもよいし、第2の有機溶剤を用いてもよい。
【0076】
この第3の有機溶剤は、セラミックペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤よりも沸点が低いのが好ましい。
【0077】
また、第2,第3の有機溶剤は、セラミックペーストの印刷工法によって選択される。例えば、スクリーン印刷工法の場合には、第2,第3の有機溶剤としては、沸点が140℃〜250℃が好ましく、例えば、沸点が210℃のジヒドロターピネオール、沸点が220℃のジヒドロターピネオールアセテートが挙げられ、これらを組み合わせて用いることができる。
【0078】
また、グラビア印刷工法の場合には、第2,第3の有機溶剤としては、沸点が、60℃〜170℃であるのが好ましく、例えば、沸点が127℃の炭酸ジエチル、沸点が167℃の6−メチルヘプタン−2−オン、沸点が168℃の1,1−ジメトキシシクロヘキサンなどが挙げられ、これらを組み合わせて用いることができる。
【0079】
上述のように分割して加えられる有機バインダとしては、例えば、ポリビニルブチラール等のポリアセタール類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、エチルセルロース等の変成セルロース類、アルキッド類、ビニリデン類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂類、ウレタン樹脂類、ポリアミド樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリアミドイミド樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリサルフォン樹脂類、液晶ポリマー類、ポリイミダゾール樹脂類、ポリオキサゾリン樹脂類等があるが、ブチラール樹脂またはアクリル樹脂またはエチルセルロース樹脂またはそれらの内の2種以上からなる混合物であることがより好ましい。
【0080】
セラミックグリーンシート2を成形するためのセラミックスラリーに含まれるセラミック粉末は、段差吸収用セラミックグリーン層5のためのセラミックペーストに含まれるセラミック粉末と実質的に同じ組成を有するものであることが好ましい。段差吸収用セラミックグリーン層5とセラミックグリーンシート2との間で焼結性を一致させるためである。
【0081】
なお、実質的に同じ組成を有するとは、主成分が同じであることをいう。
【0082】
本発明では、無機粉末、および/または金属粉末を用いることができる。
【0083】
無機粉末としては、代表的なものとしてアルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト−マンガンなどの酸化物系微粉末、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロンなどの非酸化物系セラミック微粉末が挙げられる。金属粉末としては、銀、白金、パラジウム、ニッケル、銅等が用いられる。粉末粒径としては平均5μm以下、好ましくは0.1〜1μmの球径、粉砕状のものが使用される。
【0084】
以下に、この発明を、実施例に基づいて、より具体的に説明する。
【0085】
【実施例】
(セラミック粉末の準備)
炭酸バリウム(BaCO3)および酸化チタン(TiO2)を、1:1のモル比となるように秤量し、ボールミルを用いて湿式混合した後、脱水乾燥させた。次いで、温度1000℃で2時間仮焼した後、粉砕することによって、誘電体セラミック粉末を得た。
【0086】
(セラミックスラリーの準備およびセラミックグリーンシートの作製)
先に準備したセラミック粉末100重量部と、ポリビニルブチラール(中重合品)7重量部と、可塑剤としてのDOP(フタル酸ジオクチル)3重量部と、メチルエチルケトン30重量部と、エタノール20重量部と、トルエン20重量部とを直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とともに、ボールミルに投入し、20時間湿式混合を行って、セラミックスラリーを得た。
【0087】
そして、このセラミックスラリーに対して、ドクターブレード法を適用して、厚さ約3μm(焼成後の厚みは2μm)のセラミックグリーンシートを成形した。乾燥は、80℃で、5分間行った。
【0088】
(導電性ペーストの準備)
内部電極ペーストは、Niの金属粉末100重量部に、エチルセルロース4重量部と、アルキッド樹脂2重量部と、ブチルカルビトールアセテート35重量部とを、3本ロールで混練した後、テルピネオール35重量部を加えて粘度調整を行って、導電性ペーストを得た。
【0089】
(段差吸収用セラミックグリーン層のためのセラミックペーストの準備)
〔実施例1〜4、8、9〕
先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行って、1次混合物を得た。
【0090】
次に、同じポットに、第2の有機溶剤としての6−メチルヘプタン−2−オン100重量部と、有機バインダの一部として、ブチラール樹脂の一部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部とを添加し、さらに、ボールミルにて16時間の混合・分散工程を行うことによって、2次混合物を得た。
【0091】
なお、2次分散工程におけるブチラール樹脂は、セラミック粉末に対してバインダ濃度が表1となるように添加されている。
【0092】
次いで、この2次混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを完全に除去した。その後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部と、有機バインダの残部としてブチラール樹脂の残部を添加し、3時間攪拌機で攪拌することによって誘電体ペーストを得た。
【0093】
〔実施例5〕
この実施例5は、上述の実施例1において、有機バインダを、ブチラール樹脂からアクリル樹脂に置き換えたものであって、その他は、実施例1と同様である。
【0094】
〔実施例6〕
この実施例6は、上述の実施例1において、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを、エタノールに、第2の有機溶剤である6−メチルヘプタン−2−オンを、1,1−ジメトキシシクロヘキサンに、それぞれ置き換えたものであって、その他は、実施例1と同様である。
【0095】
〔実施例7〕
この実施例7は、上述の実施例1において、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを、エタノールに、第2の有機溶剤である6−メチルヘプタン−2−オンを、スクリーン印刷工法用のジヒドロターピネオールに、それぞれ置き換えるとともに、第3の有機溶剤としての炭酸ジエチルを省略したものであって、その他は、実施例1と同様である。
【0096】
〔実施例10〕
先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行って、1次混合物を得た。
【0097】
次に、同じポットに有機バインダの一部としてブチラール樹脂の一部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部とを添加し、さらに、ボールミルにて16時間の混合・分散工程を行うことによって、2次混合物を得た。
【0098】
なお、2次分散工程におけるブチラール樹脂の一部は、セラミック粉末に対してバインダ濃度が5重量%となるように調整されている。
【0099】
次いで、この2次混合物を、第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤として、6−メチルヘプタン−2−オンを100重量部加えた3次混合物をボールミルに投入し、3時間の混合・分散工程を行なった。
【0100】
次いで、この3次混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを完全に除去した。その後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部と、有機バインダの残部としてブチラール樹脂の残部を添加し、3時間攪拌機で攪拌することによって誘電体ペーストを得た。
【0101】
〔実施例11〕
先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行って、1次混合物を得た。
【0102】
次に、同じポットに第2の有機溶剤の一部としての6−メチルヘプタン−2−オンを50重量部と、有機バインダの一部としてブチラール樹脂の一部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部とを添加し、さらに、ボールミルにて16時間の混合・分散工程を行うことによって、2次混合物を得た。
【0103】
なお、2次分散工程におけるブチラール樹脂の一部は、セラミック粉末に対してバインダ濃度が5重量%となるように調整されている。
【0104】
次いで、この2次混合物に、第2の有機溶剤の残部として、6−メチルヘプタン−2−オンを50重量部加えた3次混合物をボールミルに投入し、3時間の混合・分散工程を行なった。
【0105】
次いで、この3次混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを完全に除去した。その後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部と、有機バインダの残部としてブチラール樹脂の残部を添加し、3時間攪拌機で攪拌することによって誘電体ペーストを得た。
【0106】
〔比較例1〕
この比較例1は、従来例であって、先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行った。
【0107】
続いて、同じポットに、第2の有機溶剤としての6−メチルヘプタン−2−オン100重量部と、有機バインダの全部として、ブチラール樹脂10重量部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部を添加し、さらに、16時間混合を行った。
【0108】
次いで、このセラミックスラリー混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、メチルエチルケトンを完全に除去した後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部を添加し、3時間攪拌機で攪拌し、誘電体ペーストを得た。
【0109】
(積層コンデンサの作製)
先に用意した誘電体グリーンシートの主面上に、内部電極を形成するため、導電性ペーストをグラビア印刷し連続して80℃の乾燥炉に通して乾燥した。その後、連続して誘電体グリーンシートの主面上に段差吸収用誘電体グリーン層を形成するため、上述の実施例1〜6,8〜11、比較例1に係る各誘電体ペーストをグラビア印刷し連続して80℃の乾燥炉に通して乾燥した。また、実施例7については、スクリーン印刷を行った。なお、内部電極および段差吸収用グリーン層の寸法、形状および位置は、後の工程で得られる積層体チップに適合するように設定した。内部電極および段差吸収用誘電体グリーン層の各厚みは、約2μmになるようにした。
【0110】
次に、上述のように内部電極および段差吸収用誘電体グリーン層を形成している400枚の誘電体グリーンシートを、内部電極等が付与されていない数10枚の誘電体グリーンシートで挟み込むように積み重ねて、生の積層体を作製し、この積層体を、80℃で1000kg/cm2の加圧条件で熱プレスした。その後、焼成後において、長さ3.2mm×幅1.6mm×厚み1.6mmの寸法となるように、上述の生の積層体を切断刃によって切断することによって、複数の積層体チップを得た。
【0111】
次いで、ジルコニア粉末が少量散布された焼成用セッター上に、上述の複数の積層体チップを整列させ、室温から250℃まで24時間かけて昇温させ、有機バインダを除去した後、積層体チップを、焼成炉に投入し、最高1300℃で約20時間のプロフィールにて焼成を行った。
【0112】
次に、得られた焼結体チップをバレルに投入し、端面研磨を施した後、焼結体の両端部に外部電極を設けて、試料となる積層セラミックコンデンサを完成させた。
【0113】
(特性の評価)
上述した実施例1〜11、比較例1に係るセラミックペーストおよび積層セラミックコンデンサについて、各種特性を評価した。その結果が、その主要な組成と共に、表1に示されている。
【0114】
また、表1においては、総合評価として、「良」、「可」、「不可」を、「◎」、「○」、「×」で示している。
【0115】
表1における特性評価は、次のように行った。
【0116】
「バインダ濃度」:2次分散工程時の2次混合物において、無機粉末の重量(B)に対する添加された有機バインダの重量(A)であって、次式で示される。
【0117】
バインダ濃度(重量%)={有機バインダの重量(A)/無機粉末の重量(B)}×100
「粘度」:第1の有機溶剤を除去する加熱処理後であって、有機バインダおよび第3の有機溶剤を加える前のセラミックペーストの粘度を、25℃±2℃において、B型粘度計を用いて6rpm、120secの値として測定した。
【0118】
「凝集物」:セラミックペーストを、厚み1μmに印刷し、表面粗さ計を使用して、10mm2内にある高さ0.5μm以上の突起の個数を評価した。この評価には、三次元形状計測装置を使用した。
【0119】
「ゲル化物」:第1の有機溶剤を除去する加熱処理後に底に固まりがあるかどうかを目視で判定する。ゲル化物は、ペーストを、目開き150μm及び25μmのメッシュを通過させたときに、メッシュ上に残る塊である。
【0120】
「ろ過詰まり」:第1の有機溶剤を除去する加熱処理後のペーストを、絶対ろ過精度5μm、および3μmのフィルタに通した場合に、詰まってろ過できない状態が発生するかどうかを評価している。
【0121】
「D90粒子径」:レーザー回折式粒度分布測定器を使用して測定した。
【0122】
「ショート率」:完成した積層コンデンサ(素子厚み1.5μm×400層)を、LCRメータにより0.5Vの電圧を3秒印加して100個について測定して通電のあるものをショートとした。
【0123】
【表1】
表1に示されるように、有機バイダを、加熱処理の前後に分けて加える実施例1〜11は、加熱処理の前に全量を加える従来例である比較例1に比べて、凝集物やゲル化物の発生が低減されるとともに、ショート率も低減されている。
【0124】
このように、有機バインダを、第1の有機溶剤を除去するための加熱処理の前後に分けて加えるので、加熱処理後にペースト中の有機バインダの濃度が高くならず、凝集物やゲル化物の発生が低減される。
【0125】
特にバインダ濃度が、1重量%以上9重量%以下の範囲にある実施例1〜7、及び10、11では、25μm〜150μmの凝集物、ゲル化物も発生しておらず、3μmフィルタでのろ過詰まりの発生は、殆んど認められず、これらを積層コンデンサの段差吸収用グリーン層として用いた場合、ショート率も大幅に低減された。
【0126】
なお、実施例1〜11は、セラミック粉末の分散性は、良好であった。
【0127】
また、実施例1〜6、及び8〜11は、セラミックペーストの乾燥性に優れ、グラビア印刷工法に適したものであった。
【0128】
以上、この発明に係るセラミックペーストに含まれるセラミック粉末として、誘電体セラミック粉末および積層コンデンサに適用して説明したが、本発明は、用いられるセラミック粉末の電気的特性に左右されるものではなく、したがって、例えば、磁性体セラミック粉末や圧電体セラミック粉末などを用いても、同様の効果を期待できるセラミックペーストを得ることができる。
【0129】
なお、ペーストとしては、本実施の形態のような段差吸収用のセラミックペーストとして用いられるだけでなく、例えば、チップ部品の外部電極用導電性ペースト等として用いることができる。
【0130】
また、本発明は、段差を緩和するためのセラミックペースト、及び、金属粉末を含んだ電極用ペーストにも用いることができる。要は、無機粉末を含むあらゆるペーストに適用可能である。
【0131】
本発明のペーストは、スクリーン印刷にも用いられるが、グラビア印刷などの速乾性が求められる方法に特に有用である。
【0132】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、有機バインダを、加熱処理の前後で分割して加えるので、製造過程で凝集物やゲル化物などが発生するのを抑制あるいは防止して乾燥性に優れたペーストを得ることができる。
【0133】
これによって、積層型セラミック電子部品を製造するために用いられるペーストの印刷にグラビア印刷工法を適用して生産性を向上させることができる。また、構造欠陥が生じにくく、信頼性の高い積層型セラミック電子部品が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る生の積層体の断面図である。
【図2】図1の複合構造物6の一部を破断して示す平面図である。
【図3】図1の実施の形態に係る積層体チップの断面図である。
【図4】従来例の生の積層体の断面図である。
【図5】図4のセラミックグリーンシートの平面図である。
【図6】従来例の積層体チップの断面図である。
【符号の説明】
1 内部電極(内部回路要素膜)
2 セラミックグリーンシート
3,3a 生の積層体
4,4a 積層体チップ
5 段差吸収用セラミックグリーン層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト、その製造方法、積層型セラミック電子部品およびその製造方法に関し、更に詳しくは、グラビア印刷工法などに好適な乾燥性に優れたペースト、その製造方法、積層型セラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、積層型セラミック電子部品を製造する場合、複数のセラミックグリーンシートが用意され、これらセラミックグリーンシートが積み重ねられる。特定のセラミックグリーンシート上には、得ようとする積層型セラミック電子部品の機能に応じて、コンデンサ、抵抗、インダクタ、バリスタ、フィルタなどを構成するための導体膜、抵抗体膜のような内部回路要素膜が形成されている。
【0003】
近年、移動体通信機器をはじめとする電子機器は、小型化かつ軽量化が進み、このような電子機器において、例えば、積層型セラミック電子部品が回路素子として用いられる場合、このような電子部品に対しても、小型化、薄型化、軽量化が強く要求されるようになっている。例えば、積層セラミックコンデンサの場合には、小型化かつ大容量化の要求が高まっている。
【0004】
積層セラミックコンデンサを製造しようとする場合、典型的には、誘電体セラミック粉末、有機バインダ、可塑剤および有機溶剤を混合してセラミックスラリーを作製し、このセラミックスラリーを、剥離剤としてのシリコン樹脂などがコーティングされた、例えば、ポリエステルフィルムのような支持体となるベースフィルム上で、ドクターブレード法などを適用して、例えば、厚さ数μm〜数10μmのシート状となるように成形することにより、セラミックグリーンシートが作製され、次で、このセラミックグリーンシートが乾燥される。
【0005】
次に、上述したセラミックグリーンシートの主面上に、互いに間隔を隔てた複数のパターンをもって、導電性ペーストをスクリーン印刷によって付与する。これを乾燥することにより、内部回路要素膜としての内部電極がセラミックグリーンシート上に形成される。図5には、上述のように複数箇所に、分布して内部電極1が形成されたセラミックグリーンシート2の一部が平面図で示されている。
【0006】
次に、セラミックグリーンシート2が支持体から剥離され、適当な大きさに切断された後、図4に一部示すように、所定の枚数だけセラミックグリーンシート2が積み重ねられ、さらに、この積み重ねの上下に内部電極1を形成していないセラミックグリーンシートが所定の枚数だけ積み重ねられることによって、生の積層体3が作製される。
【0007】
この生の積層体3は、積層方向にプレスされた後、図6に示すように、個々の積層セラミックコンデンサのための積層体チップ4となるべき大きさに切断され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程に付され、最終的に外部電極が形成されることによって、積層セラミックコンデンサが完成される。
【0008】
このような積層セラミックコンデンサにおいて、その小型化かつ大容量化に対する要求を満足させるためには、セラミックグリーンシートおよび内部電極の積層数の増大およびセラミックグリーンシートの薄層化を図ることが必要となってくる。
【0009】
しかしながら、上述のような多層化および薄層化が進めば進むほど、内部電極1の各厚みの累積の結果、内部電極1が位置する部分とそうでない部分との間、あるいは、内部電極1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部分との間での厚みの差がより顕著になり、例えば、図6に示すように、得られた積層体チップ4の外観に関しては、その主面が凸状となるような変形が生じてしまう。
【0010】
積層体チップ4において図6に示すような変形が生じていると、内部電極1が位置していない部分、あるいは比較的少数の内部電極1しか積層方向に配列されていない部分においては、プレス工程の際に比較的大きな歪みがもたらされており、また、セラミックグリーンシート2間の密着性が劣っているため、焼成時に引き起こされる内部ストレスによって、デラミネーションや微小クラックなどの構造欠陥が発生しやすい。
【0011】
また、図6に示すような積層体チップ4の変形は、内部電極1を望ましくない状態に不当に変形させる結果を招き、これによって、ショート不良が生じるおそれがある。
【0012】
このような不都合は、積層セラミックコンデンサの信頼性を低下させる原因となっている。
【0013】
上述のような問題を解決するため、例えば、図2に示されるように、セラミックグリーンシート2上の内部電極1が形成されていない領域に、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成し、この段差吸収用セラミックグリーン層5によって、セラミックグリーンシート2上での内部電極1の厚みによる段差を実質的になくすことが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0014】
上述のように、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成することによって、図1に一部を示すように、生の積層体3aを作製したとき、内部電極1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、図3に示すように、得られた積層チップ4aにおいて、図6に示すような望まない変形が生じにくくなる。その結果、前述したようなデラミネーションや微小クラックなどの構造欠陥および内部電極1の変形によるショート不良といった問題を生じにくくすることができ、得られた積層セラミックコンデンサの信頼性を高めることができる。
【0015】
上述した段差吸収用セラミックグリーン層5は、セラミックグリーンシート2の場合と同様の組成を有し、誘電体セラミック粉末、有機バインダ、可塑剤および有機溶剤を含むセラミックペーストを付与することによって形成されるが、例えば、厚み2μm以下といった内部電極と同程度の厚みを有するように、段差吸収用セラミックグリーン層5を高精度に印刷等によって形成するためには、セラミックペースト中におけるセラミック粉末の分散性を優れたものとしなければならない。
【0016】
この段差吸収用セラミックグリーン層のような極めて薄いセラミックグリーン層を形成するのに適したセラミックペーストおよびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0017】
このセラミックペーストの製造方法は、少なくともセラミック粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に有機バインダを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記第1の有機溶剤より相対蒸発速度が小さい第2の有機溶剤を、前記1次混合物および/または前記2次混合物に含ませる工程と、前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理することによって、前記第1の有機溶剤を選択的に除去する除去工程とを備えるものである。
【0018】
この方法によれば、1次分散工程では、有機バインダを未だ加えていないので、低粘度下での分散処理が可能となって無機粉末の分散性を高めることができ、また、2次分散工程では、1次分散工程で得られた無機粉末の高い分散性を維持したまま、有機バインダを十分かつ均一に混合させることができる。さらに、相対蒸発速度が大きい第1の有機溶剤の除去が2次分散工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階においても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくことが可能であり、したがって、分散効率を比較的高く維持しておくことができるとともに、2次分散工程の段階で加えられる有機バインダの溶解性を高めることができる。これによって、セラミック粉末の分散性に優れたセラミックペーストを得ることが可能となる。
【0019】
【特許文献1】
特開昭56−94719号公報
【特許文献2】
特開平3−74820号公報
【特許文献3】
特開平9−106925号公報
【特許文献4】
特開2001−237140号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近、前述の内部電極印刷や段差吸収用セラミックグリーン層の印刷工程における生産性を向上させるために、その印刷手段を、スクリーン印刷工法から、それよりも印刷速度が10倍程度速いグラビア印刷工法へ変更することが検討されている。そのため、これら印刷工程に用いられる前述のようなペーストにおいても、その乾燥性を高めることが望まれている。
【0021】
そこで、上述のセラミックペーストの製造方法で得られるペーストの乾燥性を改善するために、上述の第2の有機溶剤として、相対蒸発速度の高い、すなわち、沸点の低い有機溶剤を用いることが考えられる。
【0022】
しかしながら、沸点の低い有機溶剤を、第2の有機溶剤として使用すると、上述の2次分散工程の後の2次混合物を加熱処理する工程において、第1の有機溶剤のみならず、第2の有機溶剤も除去されてしまう。その結果、加熱処理後のセラミックペースト中の有機バインダの濃度が高まって凝集物やゲル化物などが発生するという課題がある。
【0023】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みて為されたものであって、乾燥性に優れるとともに、製造過程における凝集物などの発生を抑制あるいは防止したペースト、その製造方法並びに前記ペーストを用いた積層型セラミック電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0025】
すなわち、本発明のペーストの製造方法は、無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤と、前記有機バインダの一部とを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された2次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程とを備えている。
【0026】
また、本発明のペーストの製造方法は、無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記有機バインダの一部を加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記2次分散工程を経た前記2次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤を加えた3次混合物を分散処理する3次分散工程と、前記3次分散工程を経た前記3次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された前記3次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程とを備えている。
【0027】
また、本発明のペーストの製造方法は、無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤の一部と、前記有機バインダの一部とを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、前記2次分散工程を経た前記2次混合物に、前記第2の有機溶剤の残部を加えた3次混合物を分散処理する3次分散工程と、前記3次分散工程を経た前記3次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された前記3次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程とを備えている。
【0028】
ここで、有機バインダの一部とは、ペーストを製造するために加えるべき有機バインダの一部をいい、加えるべき有機バインダの1/2未満であってもよいし、1/2以上であってもよい。
【0029】
また、有機バインダの残部とは、前記一部以外の部分をいい、この残部は、一度に加えるのが好ましいが、分けて加えてもよい。
【0030】
本発明によると、1次分散工程では、有機バインダを未だ加えていないので、低粘度下での分散処理が可能となって無機粉末の分散性を高めることができ、また、2次分散工程では、1次分散工程で得られた無機粉末の高い分散性を維持したまま、有機バインダを十分かつ均一に混合させることができる。さらに、低沸点の第1の有機溶剤の除去が2次分散工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階においても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくことが可能であり、したがって、分散効率を比較的高く維持しておくことができるとともに、2次分散工程の段階で加えられる有機バインダの溶解性を高めることができる。
【0031】
しかも、有機バインダを、第1の有機溶剤を除去する加熱処理の前後に分けて加えているので、ペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤として沸点の低い有機溶剤を用いて前記加熱処理でその一部が除去されたとしても、有機バインダの濃度の上昇を、従来例に比べて抑制できることになり、これによって、加熱処理後に、凝集物やゲル化物などが発生するのを抑制あるいは防止することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様においては、前記有機バインダの残部を加える工程では、前記有機バインダと共に第3の有機溶剤を加えている。
【0033】
この実施態様によると、有機バインダの残部を加える際に、第3の有機溶剤を併せて加えるので、有機バインダのみを加える場合に比べて、有機バインダの濃度を低くすることができ、凝集物などの発生を一層確実に抑制あるいは防止できる。
【0034】
本発明の一実施態様においては、前記第3の有機溶剤が、前記第2の有機溶剤よりも沸点が低いものである。
【0035】
なお、この第3の有機溶剤は、同じく第2の有機溶剤よりも沸点の低い第1の有機溶剤と同一のものであってもよく、あるいは、第1の有機溶剤よりも沸点の低いものであってもよい。
【0036】
この実施態様によると、第3の有機溶剤の沸点が低いので、得られたペーストの乾燥性が一層向上する。
【0037】
本発明の他の実施態様においては、前記有機バインダの一部を添加した前記2次混合物において、無機粉末に対する前記有機バインダの濃度が、1重量%以上9重量%以下である。
【0038】
この実施態様によると、2次混合物における無機粉末に対する有機バインダの濃度が、1重量%以上9重量%以下となるように、有機バインダの一部を加えるので、有機バインダの一部と残部との分割の割合が適切となり、凝集物などの発生を一層確実に抑制あるいは防止することができる。
【0039】
本発明の好ましい実施態様においては、前記無機粉末が、セラミック粉末である。
【0040】
本発明のペーストは、本発明の製造方法によって得られるものである。
【0041】
本発明によると、セラミック等の無機粉末の分散性が良好であって、しかも、乾燥性に優れたペーストを得ることができる。
【0042】
本発明の積層型セラミック電子部品の製造方法は、セラミックスラリー、導電性ペーストおよび本発明のペーストをそれぞれ準備し、前記セラミックスラリーを成形することによって得られたセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシートの主面上に前記導電性ペーストを付与することによって形成された内部回路要素膜と、前記内部回路要素膜の厚みによって生じた段差を実質的になくすように前記セラミックグリーンシートの前記主面上であって前記内部回路要素膜が形成されない領域に、前記ペーストを付与することによって形成された段差吸収用グリーン層とを備える複数の複合構造物を作製し、前記複合構造物を積層して生の積層体を作製し、前記生の積層体を焼成するものである。
【0043】
本発明によると、セラミックグリーンシート上の内部回路要素膜が形成されていない領域に、段差吸収用グリーン層を形成するので、セラミックグリーンシート上での内部回路要素膜の厚みによる段差を実質的になくすことができ、不所望な変形が生じにくくなり、これによって、構造欠陥が生じにくく、信頼性の高い積層型セラミック電子部品を提供できる。さらに、段差吸収用グリーン層は、本発明のペーストによって形成されるので、ペースト印刷の際のペーストの乾燥が早くなり、グラビア印刷工法などを用いることが可能となって生産性が向上する。
【0044】
本発明の積層型セラミック電子部品は、本発明の製造方法によって得られるものである。
【0045】
本発明によると、構造欠陥が生じにくく、信頼性の高い積層型セラミック電子部品を得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、積層セラミックコンデンサの製造方法に適用して説明する。この実施の形態の積層セラミックコンデンサの製造方法は、上述の図1〜図3を参照しながら説明することができる。
【0047】
この実施形態の製造方法を実施するにあたり、セラミックグリーンシート2の成形のためのセラミックスラリー、内部電極1の形成のための導電性ペーストおよび段差吸収用セラミックグリーン層5の形成のための本発明のセラミックペーストがそれぞれ準備される。
【0048】
上述のセラミックスラリーは、誘電体セラミック粉末、有機バインダ、可塑剤および有機溶剤を混合することによって作製される。このセラミックスラリーからセラミックグリーンシート2を得るため、剥離剤としてのシリコン樹脂などによってコーティングされた、例えば、ポリエステルフィルムのような支持体としてのベースフィルム(図示せず)上で、セラミックスラリーがドクターブレード法などによって成形され、次いで乾燥される。セラミックグリーンシート2の厚みは、乾燥後において、例えば、数μmとされる。
【0049】
上述のようなセラミックグリーンシート2の主面上には、複数箇所に分布するように、内部電極1が乾燥後において、例えば約1μmの厚みをもって形成される。内部電極1は、例えば、スクリーン印刷等によって導電性ペーストを付与し、これを乾燥することによって形成される。この内部電極1は、それぞれ所定の厚みを有している。したがって、セラミックグリーンシート2上には、この厚みによる段差がもたらされる。
【0050】
次に、上述した内部電極1の厚みによる段差を実質的になくすように、セラミックグリーンシート2の主面上であって、内部電極1が形成されていない領域に、段差吸収用セラミックグリーン層5が形成される。段差吸収用セラミックグリーン層5は、内部電極1のネガティブパターンをもって、上述のセラミックペーストをグラビア印刷などによって付与することにより形成され、次いで乾燥される。
【0051】
このセラミックペーストは、本発明に係るものであって、その組成および製法などの詳細は、後述する。
【0052】
段差吸収用セラミックグリーン層5は、上述の説明では、内部電極1を形成した後に段差吸収用セラミックグリーン層5を形成したが、逆に、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成した後に内部電極1を形成するようにしてもよい。
【0053】
上述のように、セラミックグリーンシート2上に、内部電極1および段差吸収用セラミックグリーンシート層5が形成された図2に示すような複合構造物6は、複数用意され、これら複合構造物6は、ベースフィルムより剥離された後、適当な大きさに切断され、所定の枚数だけ積み重ねられ、その上下に内部電極1および段差吸収用セラミックグリーン層5が形成されていないセラミックグリーンシートを積み重ねることによって、図1に一部を示すような生の積層体3aが作製される。
【0054】
この生の積層体3aは、積層方向にプレスされた後、図3に示すように、個々の積層セラミックコンデンサのための積層体チップ4aとなるべき大きさに切断され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程に付され、最終的に外部電極が形成されることによって、積層コンデンサが完成される。
【0055】
上述のように、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成することによって、図1に一部を示すように、生の積層体3aにおいて、内部電極1が位置する部分とそうでない部分との間、あるいは内部電極1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、図3に示すように、積層体チップ4aにおいて、望まれない変形が生じにくくなる。その結果、得られた積層セラミックインダクタにおいて、デラミネーションや微小クラックなどの構造欠陥およびショート不良といった問題を生じにくくすることができる。
【0056】
この実施形態において、セラミックグリーンシート2の成形のためのセラミックスラリーは、セラミック粉末と、有機溶剤と、有機バインダとを含んでいる。
【0057】
また、内部電極1の形成のための導電性ペーストは、導電性粉末と、有機溶剤と、有機バインダとを含んでいる。
【0058】
本発明は、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成するためのセラミックペーストの製造方法に特徴を有しており、このセラミックペーストの製造方法によれば、セラミックペーストに含まれるセラミック粉末の分散性を高めることができるとともに、セラミックペーストの乾燥性を高めることができる。
【0059】
しかも、セラミックペーストの製造過程で、凝集物やゲル化物などが殆んど発生することがない。
【0060】
すなわち、この発明では、セラミックペーストを製造するために、セラミック粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、有機バインダの一部を加えた2次混合物を、分散処理する2次分散工程と、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤を、前記1次混合物および/または前記2次混合物に含ませる工程と、前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理することによって、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、前記除去工程で加熱処理された2次混合物に、前記有機バインダの残部を加える工程とが実施される。
【0061】
このように、1次分散工程では、有機バインダを未だ加えていないので、低粘度下での分散処理が可能となり、これによって、セラミック粉末の分散性を高めることが容易である。この1次分散工程では、セラミック粉末の表面に吸着している空気が低沸点の第1の有機溶剤で置換され、セラミック粉末を低沸点の第1の有機溶剤で十分に濡らした状態とすることができるとともに、セラミック粉末の凝集状態を十分に解砕することができる。
【0062】
また、2次分散工程では、上述のように、1次分散工程で得られたセラミック粉末の高い分散性を維持したまま、有機バインダを十分かつ均一に混合させることができ、また、セラミック粉末のさらなる粉砕効果も期待できる。
【0063】
また、低沸点の第1の有機溶剤の除去が2次分散工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階においても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくことが可能であり、したがって、分散効率を比較的高く維持しておくことができるとともに、2次分散工程の段階で加えられる有機バインダの溶解性を高めることができる。
【0064】
さらに、有機バインダを、第1の有機溶剤を除去する加熱処理の前後に分けて加えているので、セラミックペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤として沸点の低い有機溶剤を用いて前記加熱処理でその一部が除去されたとしても、有機バインダの濃度の上昇を、従来例に比べて抑制できることになり、これによって、凝集物やゲル化物などの発生を防止することができる。
【0065】
有機バインダの分け方は、特に規定はないが、加熱処理の前に、全体の5%〜95%を加え、加熱処理の後に、残部を加えるのが好ましい。さらに好ましくは、加熱処理の前に、全体の10%〜90%を加え、加熱処理の後に、残部を加えるのが、より好ましい。
【0066】
また、有機バインダの一部を加えた2次混合物において、無機粉末に対する有機バインダの濃度が、1重量%以上9重量%以下になるように、有機バインダを分けて加えるのが好ましく、この場合には、加熱処理前に加える有機バインダの量が多過ぎたり、少な過ぎたりすることがなく、適正な割合で分割されることになり、凝集物やゲル化物などの発生を一層確実に防止することができる。
【0067】
さらに、本発明では、有機バインダの残部を加える際には、第3の有機溶剤を同時に加えてもよい。
【0068】
このように第3の有機溶剤を併せて加えることによって、有機バインダのみを加える場合に比べて、有機バインダの濃度を低くすることができ、凝集物やゲル化物などの発生を一層確実に防止できる。
【0069】
この第3の有機溶剤は、セラミックペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤よりも沸点の低い方が好ましく、第1の有機溶剤と同一のものを用いてもよいし、あるいは、第1の有機溶剤よりも沸点の低いものを用いてもよい。
【0070】
この発明における第1次分散工程および第2次分散工程では、例えば、ボールミルのようなメディアを用いる通常の分散処理機を適用して分散処理することができる。
【0071】
第1の有機溶剤は、第2の有機溶剤よりも沸点の低いものが選ばれる。それは、除去工程において、加熱処理による第1の有機溶剤のみの選択的な除去をより容易にするためである。ここで、第1の有機溶剤の沸点と、第2の有機溶剤の沸点の差は、20℃以上であることが好ましい。
【0072】
上述した低沸点の第1の有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、トルエン、ベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、およびこれらの混合物を用いることができる。沸点は、120℃以下であるのが、分留しやすいので、好ましい。
【0073】
また、第2の有機溶剤としては、例えば、6−メチルヘプタン−2−オン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、α−ピネン、p−サイメン、酢酸イソアミル、ブタノール、ジイソプロピルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、炭酸ジエチル、およびこれらの混合物を用いることができ、さらに、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテートなどを用いることができる。
【0074】
この第2の有機溶剤は、第1の有機溶剤よりも沸点が高いものが選ばれる。
【0075】
第3の有機溶剤は、第1の有機溶剤よりも沸点が高い必要はなく、上述の第1の有機溶剤を用いてもよいし、第2の有機溶剤を用いてもよい。
【0076】
この第3の有機溶剤は、セラミックペーストの乾燥性を高めるために、第2の有機溶剤よりも沸点が低いのが好ましい。
【0077】
また、第2,第3の有機溶剤は、セラミックペーストの印刷工法によって選択される。例えば、スクリーン印刷工法の場合には、第2,第3の有機溶剤としては、沸点が140℃〜250℃が好ましく、例えば、沸点が210℃のジヒドロターピネオール、沸点が220℃のジヒドロターピネオールアセテートが挙げられ、これらを組み合わせて用いることができる。
【0078】
また、グラビア印刷工法の場合には、第2,第3の有機溶剤としては、沸点が、60℃〜170℃であるのが好ましく、例えば、沸点が127℃の炭酸ジエチル、沸点が167℃の6−メチルヘプタン−2−オン、沸点が168℃の1,1−ジメトキシシクロヘキサンなどが挙げられ、これらを組み合わせて用いることができる。
【0079】
上述のように分割して加えられる有機バインダとしては、例えば、ポリビニルブチラール等のポリアセタール類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、エチルセルロース等の変成セルロース類、アルキッド類、ビニリデン類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂類、ウレタン樹脂類、ポリアミド樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリアミドイミド樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリサルフォン樹脂類、液晶ポリマー類、ポリイミダゾール樹脂類、ポリオキサゾリン樹脂類等があるが、ブチラール樹脂またはアクリル樹脂またはエチルセルロース樹脂またはそれらの内の2種以上からなる混合物であることがより好ましい。
【0080】
セラミックグリーンシート2を成形するためのセラミックスラリーに含まれるセラミック粉末は、段差吸収用セラミックグリーン層5のためのセラミックペーストに含まれるセラミック粉末と実質的に同じ組成を有するものであることが好ましい。段差吸収用セラミックグリーン層5とセラミックグリーンシート2との間で焼結性を一致させるためである。
【0081】
なお、実質的に同じ組成を有するとは、主成分が同じであることをいう。
【0082】
本発明では、無機粉末、および/または金属粉末を用いることができる。
【0083】
無機粉末としては、代表的なものとしてアルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト−マンガンなどの酸化物系微粉末、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロンなどの非酸化物系セラミック微粉末が挙げられる。金属粉末としては、銀、白金、パラジウム、ニッケル、銅等が用いられる。粉末粒径としては平均5μm以下、好ましくは0.1〜1μmの球径、粉砕状のものが使用される。
【0084】
以下に、この発明を、実施例に基づいて、より具体的に説明する。
【0085】
【実施例】
(セラミック粉末の準備)
炭酸バリウム(BaCO3)および酸化チタン(TiO2)を、1:1のモル比となるように秤量し、ボールミルを用いて湿式混合した後、脱水乾燥させた。次いで、温度1000℃で2時間仮焼した後、粉砕することによって、誘電体セラミック粉末を得た。
【0086】
(セラミックスラリーの準備およびセラミックグリーンシートの作製)
先に準備したセラミック粉末100重量部と、ポリビニルブチラール(中重合品)7重量部と、可塑剤としてのDOP(フタル酸ジオクチル)3重量部と、メチルエチルケトン30重量部と、エタノール20重量部と、トルエン20重量部とを直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とともに、ボールミルに投入し、20時間湿式混合を行って、セラミックスラリーを得た。
【0087】
そして、このセラミックスラリーに対して、ドクターブレード法を適用して、厚さ約3μm(焼成後の厚みは2μm)のセラミックグリーンシートを成形した。乾燥は、80℃で、5分間行った。
【0088】
(導電性ペーストの準備)
内部電極ペーストは、Niの金属粉末100重量部に、エチルセルロース4重量部と、アルキッド樹脂2重量部と、ブチルカルビトールアセテート35重量部とを、3本ロールで混練した後、テルピネオール35重量部を加えて粘度調整を行って、導電性ペーストを得た。
【0089】
(段差吸収用セラミックグリーン層のためのセラミックペーストの準備)
〔実施例1〜4、8、9〕
先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行って、1次混合物を得た。
【0090】
次に、同じポットに、第2の有機溶剤としての6−メチルヘプタン−2−オン100重量部と、有機バインダの一部として、ブチラール樹脂の一部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部とを添加し、さらに、ボールミルにて16時間の混合・分散工程を行うことによって、2次混合物を得た。
【0091】
なお、2次分散工程におけるブチラール樹脂は、セラミック粉末に対してバインダ濃度が表1となるように添加されている。
【0092】
次いで、この2次混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを完全に除去した。その後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部と、有機バインダの残部としてブチラール樹脂の残部を添加し、3時間攪拌機で攪拌することによって誘電体ペーストを得た。
【0093】
〔実施例5〕
この実施例5は、上述の実施例1において、有機バインダを、ブチラール樹脂からアクリル樹脂に置き換えたものであって、その他は、実施例1と同様である。
【0094】
〔実施例6〕
この実施例6は、上述の実施例1において、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを、エタノールに、第2の有機溶剤である6−メチルヘプタン−2−オンを、1,1−ジメトキシシクロヘキサンに、それぞれ置き換えたものであって、その他は、実施例1と同様である。
【0095】
〔実施例7〕
この実施例7は、上述の実施例1において、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを、エタノールに、第2の有機溶剤である6−メチルヘプタン−2−オンを、スクリーン印刷工法用のジヒドロターピネオールに、それぞれ置き換えるとともに、第3の有機溶剤としての炭酸ジエチルを省略したものであって、その他は、実施例1と同様である。
【0096】
〔実施例10〕
先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行って、1次混合物を得た。
【0097】
次に、同じポットに有機バインダの一部としてブチラール樹脂の一部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部とを添加し、さらに、ボールミルにて16時間の混合・分散工程を行うことによって、2次混合物を得た。
【0098】
なお、2次分散工程におけるブチラール樹脂の一部は、セラミック粉末に対してバインダ濃度が5重量%となるように調整されている。
【0099】
次いで、この2次混合物を、第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤として、6−メチルヘプタン−2−オンを100重量部加えた3次混合物をボールミルに投入し、3時間の混合・分散工程を行なった。
【0100】
次いで、この3次混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを完全に除去した。その後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部と、有機バインダの残部としてブチラール樹脂の残部を添加し、3時間攪拌機で攪拌することによって誘電体ペーストを得た。
【0101】
〔実施例11〕
先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行って、1次混合物を得た。
【0102】
次に、同じポットに第2の有機溶剤の一部としての6−メチルヘプタン−2−オンを50重量部と、有機バインダの一部としてブチラール樹脂の一部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部とを添加し、さらに、ボールミルにて16時間の混合・分散工程を行うことによって、2次混合物を得た。
【0103】
なお、2次分散工程におけるブチラール樹脂の一部は、セラミック粉末に対してバインダ濃度が5重量%となるように調整されている。
【0104】
次いで、この2次混合物に、第2の有機溶剤の残部として、6−メチルヘプタン−2−オンを50重量部加えた3次混合物をボールミルに投入し、3時間の混合・分散工程を行なった。
【0105】
次いで、この3次混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、第1の有機溶剤であるメチルエチルケトンを完全に除去した。その後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部と、有機バインダの残部としてブチラール樹脂の残部を添加し、3時間攪拌機で攪拌することによって誘電体ペーストを得た。
【0106】
〔比較例1〕
この比較例1は、従来例であって、先に準備したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック粉末100重量部と、低沸点の第1の有機溶剤としてのメチルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸系分散剤2重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行った。
【0107】
続いて、同じポットに、第2の有機溶剤としての6−メチルヘプタン−2−オン100重量部と、有機バインダの全部として、ブチラール樹脂10重量部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2重量部を添加し、さらに、16時間混合を行った。
【0108】
次いで、このセラミックスラリー混合物を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸留することにより、メチルエチルケトンを完全に除去した後、第3の有機溶剤として、炭酸ジエチル100重量部を添加し、3時間攪拌機で攪拌し、誘電体ペーストを得た。
【0109】
(積層コンデンサの作製)
先に用意した誘電体グリーンシートの主面上に、内部電極を形成するため、導電性ペーストをグラビア印刷し連続して80℃の乾燥炉に通して乾燥した。その後、連続して誘電体グリーンシートの主面上に段差吸収用誘電体グリーン層を形成するため、上述の実施例1〜6,8〜11、比較例1に係る各誘電体ペーストをグラビア印刷し連続して80℃の乾燥炉に通して乾燥した。また、実施例7については、スクリーン印刷を行った。なお、内部電極および段差吸収用グリーン層の寸法、形状および位置は、後の工程で得られる積層体チップに適合するように設定した。内部電極および段差吸収用誘電体グリーン層の各厚みは、約2μmになるようにした。
【0110】
次に、上述のように内部電極および段差吸収用誘電体グリーン層を形成している400枚の誘電体グリーンシートを、内部電極等が付与されていない数10枚の誘電体グリーンシートで挟み込むように積み重ねて、生の積層体を作製し、この積層体を、80℃で1000kg/cm2の加圧条件で熱プレスした。その後、焼成後において、長さ3.2mm×幅1.6mm×厚み1.6mmの寸法となるように、上述の生の積層体を切断刃によって切断することによって、複数の積層体チップを得た。
【0111】
次いで、ジルコニア粉末が少量散布された焼成用セッター上に、上述の複数の積層体チップを整列させ、室温から250℃まで24時間かけて昇温させ、有機バインダを除去した後、積層体チップを、焼成炉に投入し、最高1300℃で約20時間のプロフィールにて焼成を行った。
【0112】
次に、得られた焼結体チップをバレルに投入し、端面研磨を施した後、焼結体の両端部に外部電極を設けて、試料となる積層セラミックコンデンサを完成させた。
【0113】
(特性の評価)
上述した実施例1〜11、比較例1に係るセラミックペーストおよび積層セラミックコンデンサについて、各種特性を評価した。その結果が、その主要な組成と共に、表1に示されている。
【0114】
また、表1においては、総合評価として、「良」、「可」、「不可」を、「◎」、「○」、「×」で示している。
【0115】
表1における特性評価は、次のように行った。
【0116】
「バインダ濃度」:2次分散工程時の2次混合物において、無機粉末の重量(B)に対する添加された有機バインダの重量(A)であって、次式で示される。
【0117】
バインダ濃度(重量%)={有機バインダの重量(A)/無機粉末の重量(B)}×100
「粘度」:第1の有機溶剤を除去する加熱処理後であって、有機バインダおよび第3の有機溶剤を加える前のセラミックペーストの粘度を、25℃±2℃において、B型粘度計を用いて6rpm、120secの値として測定した。
【0118】
「凝集物」:セラミックペーストを、厚み1μmに印刷し、表面粗さ計を使用して、10mm2内にある高さ0.5μm以上の突起の個数を評価した。この評価には、三次元形状計測装置を使用した。
【0119】
「ゲル化物」:第1の有機溶剤を除去する加熱処理後に底に固まりがあるかどうかを目視で判定する。ゲル化物は、ペーストを、目開き150μm及び25μmのメッシュを通過させたときに、メッシュ上に残る塊である。
【0120】
「ろ過詰まり」:第1の有機溶剤を除去する加熱処理後のペーストを、絶対ろ過精度5μm、および3μmのフィルタに通した場合に、詰まってろ過できない状態が発生するかどうかを評価している。
【0121】
「D90粒子径」:レーザー回折式粒度分布測定器を使用して測定した。
【0122】
「ショート率」:完成した積層コンデンサ(素子厚み1.5μm×400層)を、LCRメータにより0.5Vの電圧を3秒印加して100個について測定して通電のあるものをショートとした。
【0123】
【表1】
表1に示されるように、有機バイダを、加熱処理の前後に分けて加える実施例1〜11は、加熱処理の前に全量を加える従来例である比較例1に比べて、凝集物やゲル化物の発生が低減されるとともに、ショート率も低減されている。
【0124】
このように、有機バインダを、第1の有機溶剤を除去するための加熱処理の前後に分けて加えるので、加熱処理後にペースト中の有機バインダの濃度が高くならず、凝集物やゲル化物の発生が低減される。
【0125】
特にバインダ濃度が、1重量%以上9重量%以下の範囲にある実施例1〜7、及び10、11では、25μm〜150μmの凝集物、ゲル化物も発生しておらず、3μmフィルタでのろ過詰まりの発生は、殆んど認められず、これらを積層コンデンサの段差吸収用グリーン層として用いた場合、ショート率も大幅に低減された。
【0126】
なお、実施例1〜11は、セラミック粉末の分散性は、良好であった。
【0127】
また、実施例1〜6、及び8〜11は、セラミックペーストの乾燥性に優れ、グラビア印刷工法に適したものであった。
【0128】
以上、この発明に係るセラミックペーストに含まれるセラミック粉末として、誘電体セラミック粉末および積層コンデンサに適用して説明したが、本発明は、用いられるセラミック粉末の電気的特性に左右されるものではなく、したがって、例えば、磁性体セラミック粉末や圧電体セラミック粉末などを用いても、同様の効果を期待できるセラミックペーストを得ることができる。
【0129】
なお、ペーストとしては、本実施の形態のような段差吸収用のセラミックペーストとして用いられるだけでなく、例えば、チップ部品の外部電極用導電性ペースト等として用いることができる。
【0130】
また、本発明は、段差を緩和するためのセラミックペースト、及び、金属粉末を含んだ電極用ペーストにも用いることができる。要は、無機粉末を含むあらゆるペーストに適用可能である。
【0131】
本発明のペーストは、スクリーン印刷にも用いられるが、グラビア印刷などの速乾性が求められる方法に特に有用である。
【0132】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、有機バインダを、加熱処理の前後で分割して加えるので、製造過程で凝集物やゲル化物などが発生するのを抑制あるいは防止して乾燥性に優れたペーストを得ることができる。
【0133】
これによって、積層型セラミック電子部品を製造するために用いられるペーストの印刷にグラビア印刷工法を適用して生産性を向上させることができる。また、構造欠陥が生じにくく、信頼性の高い積層型セラミック電子部品が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る生の積層体の断面図である。
【図2】図1の複合構造物6の一部を破断して示す平面図である。
【図3】図1の実施の形態に係る積層体チップの断面図である。
【図4】従来例の生の積層体の断面図である。
【図5】図4のセラミックグリーンシートの平面図である。
【図6】従来例の積層体チップの断面図である。
【符号の説明】
1 内部電極(内部回路要素膜)
2 セラミックグリーンシート
3,3a 生の積層体
4,4a 積層体チップ
5 段差吸収用セラミックグリーン層
Claims (10)
- 無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、
前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、
前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤と、前記有機バインダの一部とを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、
前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、
前記除去工程で加熱処理された2次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程と、
を備えることを特徴とするペーストの製造方法。 - 無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、
前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、
前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記有機バインダの一部を加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、
前記2次分散工程を経た前記2次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤を加えた3次混合物を分散処理する3次分散工程と、
前記3次分散工程を経た前記3次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、
前記除去工程で加熱処理された前記3次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程と、
を備えることを特徴とするペーストの製造方法。 - 無機粉末、および/または金属粉末、有機バインダおよび有機溶剤を含むペーストの製造方法であって、
前記無機粉末と第1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、
前記1次分散工程を経た前記1次混合物に、前記第1の有機溶剤よりも沸点の高い第2の有機溶剤の一部と、前記有機バインダの一部とを加えた2次混合物を分散処理する2次分散工程と、
前記2次分散工程を経た前記2次混合物に、前記第2の有機溶剤の残部を加えた3次混合物を分散処理する3次分散工程と、
前記3次分散工程を経た前記3次混合物を加熱処理することにより、前記第1の有機溶剤を除去する除去工程と、
前記除去工程で加熱処理された前記3次混合物に、前記有機バインダの残部を加えて分散処理する工程と、
を備えることを特徴とするペーストの製造方法。 - 前記有機バインダの残部を加える工程では、前記有機バインダと共に第3の有機溶剤を加える請求項1〜3のいずれかに記載のペーストの製造方法。
- 前記第3の有機溶剤が、前記第2の有機溶剤よりも沸点が低い請求項4記載のペーストの製造方法。
- 前記有機バインダの一部を添加した前記2次混合物において、無機粉末に対する前記有機バインダの濃度が、1重量%以上9重量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のペーストの製造方法。
- 前記無機粉末が、セラミック粉末である請求項1〜6のいずれかに記載のペーストの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法によって製造されたペースト。
- セラミックスラリー、導電性ペーストおよび請求項8に記載のペーストをそれぞれ準備し、
前記セラミックスラリーを成形することによって得られたセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシートの主面上に前記導電性ペーストを付与することによって形成された内部回路要素膜と、前記内部回路要素膜の厚みによる段差を実質的になくすように前記セラミックグリーンシートの前記主面上であって前記内部回路要素膜が形成されない領域に、前記ペーストを付与することによって形成された段差吸収用グリーン層とを備える複数の複合構造物を作製し、
前記複合構造物を積層して生の積層体を作製し、
前記生の積層体を焼成することを特徴とする積層型セラミック電子部品の製造方法。 - 請求項9に記載の製造方法によって製造された積層型セラミック電子部品。
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