JP4590761B2 - 永久磁石形同期電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石形同期電動機の制御装置に関し、特に回転子の磁極位置を検出するための位置検出器、及び電動機の端子電圧を検出する電圧検出器を使用しない永久磁石形同期電動機を対象として、インバータが停止している状態で回転子が空転している場合でも電動機の確実な起動を可能にした永久磁石形同期電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータなどの電力変換器を用いた永久磁石形同期電動機の制御では、一般にエンコーダやレゾルバなどの位置検出器により回転子の磁極位置を検出し、それに合わせて電動機の電圧や電流を制御する必要がある。
これに対して制御装置の低コスト化を目的として、位置検出器を用いずに、電動機の電圧や電流の情報から電気的に磁極位置を推定演算するセンサレス制御が提案されている。このセンサレス制御において、一般に高価である電圧検出器を不要にして更なる低コスト化を図るために、電圧指令値と電圧実際値(端子電圧実際値)とは等しいという前提のもとに、電圧指令値と電流検出値とを用いて磁極位置を推定演算する方法がある。
【0003】
インバータを運転している状態では、確かに電圧実際値が電圧指令値とほぼ等しくなるように制御が行われている。しかるに、インバータが停止していて電動機が回転している場合、すなわち電動機が空転している場合には、電動機に誘起電圧が発生しているにもかかわらず電圧指令値はゼロまたは不定な値になるので、前述した電圧指令値と電圧実際値とがほぼ等しいという前提は成立しない。
このような状態でインバータを起動すると、磁極位置が分からないので電動機の誘起電圧と端子電圧の各瞬時値間に大きな差が生じて過電流が流れたり、起動直後に電動機が脱調したりして運転不能になる。
【0004】
上記問題を解決する方法として、特開平11−75394号公報に記載された交流回転機用電力変換装置が知られている。
この公知技術では、その請求項1,2に記載されているように、電動機の回転子が空転中にインバータを構成する半導体スイッチング素子をオンさせて電機子巻線を短絡させる。その際、回転子が空転していれば誘起電圧の作用によって電機子巻線に電流が流れ、この電流値は磁極位置と回転速度とに依存するので、上記電流値に基づいて回転子の磁極位置を推定する原理を用いている。また、上記従来技術の請求項3,4に記載されている如く、電機子巻線を短絡してから一定時間後に半導体スイッチング素子を全てオフさせることとし、これらの短絡、全てオフの一連の動作を2回行い、2回の短絡時に流れる電流ベクトルの角度差から回転子の速度を演算するものである。
【0005】
上述した公知技術によれば、位置検出器や速度検出器、電圧検出器を持たない同期電動機が空転している場合でも、演算による磁極位置検出を可能にしてインバータを支障なく起動することが可能である。
なお、本明細書では、電動機が空転中にインバータを起動することを、以後、「空転起動」と呼ぶことにする。
【0006】
ここで、今後の理解を容易にするために用語を説明する。
図4は、静止座標系であるα−β座標系と、回転座標系であるd−q座標系の説明図であり、α軸とd軸との角度差であるθが回転子30Aの磁極位置に相当する。α軸とは電動機のU相巻線に正の電流を流したときに生じる磁束の方向にとった座標軸であり、α軸電流とは電流ベクトルのα軸方向成分である。また、α軸と直交方向にβ軸を定義し、β軸方向成分の電流をβ軸電流と呼ぶ。
【0007】
更に、d軸とは回転子30Aの磁極が作る磁束の方向にとった座標軸であり、d軸電流とは電流ベクトルのd軸方向成分である。電圧に関しても同じように定義し、d軸電圧とは電圧ベクトルのd軸方向成分である。また、d軸と直交方向にq軸を定義し、電流ベクトル、電圧ベクトルのq軸方向成分をそれぞれq軸電流、q軸電圧と呼ぶ。但し、制御装置では推定したd軸やq軸の電圧、電流の情報しか得られないが、以下では簡単のため、例えば推定したd軸電流も単にd軸電流と呼ぶことにする。
【0008】
図5は本発明の従来技術を示す制御ブロック図であり、電気学会論文誌D「産業応用部門誌」の1997年1月号に掲載された論文「速度起電力推定に基づくセンサレス突極形ブラシレスDCモータ制御」に記載されているセンサレス制御方式に、前述の特開平11−75394号公報記載の機能(点線で囲んだ空転起動制御部50)を付加したものである。
【0009】
図5において、10は交流電源、20は交流−直流変換及び直流−交流変換を行うインバータ、30は永久磁石形同期電動機、41は電動機30の各相電機子電流i,i,iを検出する電流検出器、42は各相電流i,i,iをα−β座標系の電流iα,iβに変換する相数変換器、43はα−β座標系の電流iα,iβをd−q座標系の電流i,iに変換する座標変換器、44は電動機30の回転速度を推定する速度推定器、45は速度推定値ωから磁極位置推定値θを求める積分器、46はインバータ20の半導体スイッチング素子に対するゲートパルスを生成し、このゲートパルスを切換スイッチ47を介してインバータ20に供給するための電流調節部である。
【0010】
また、後に動作を説明する空転起動制御部50は、電流iα,iβが入力される空転起動速度推定器51及び空転起動位置推定器52とこれらの推定器51,52の出力側に設けられた速度・位置推定値プリセットスイッチ53と、各スイッチ47,53及び電機子巻線短絡制御部55を制御する状態制御部54と、電機子巻線短絡制御部55とから構成されている。
【0011】
この従来技術の動作を、以下に説明する。
まず、そのセンサレス制御方式は、電流調節部46から出力される同期電動機30の端子電圧成分であるd軸電圧v及びq軸電圧vと、座標変換器43から出力される電機子電流成分であるd軸電流i及びq軸電流iとに基づいて、速度推定器44が回転子の速度を推定し、演算された速度推定値ωを積分器45により積分して回転子の磁極位置推定値θを演算する。
ここで、通常の運転時には、ゲートパルス切換スイッチ47が電流調節部46側(A側)に接続されており、電流調節部46から得られる電圧指令値(v ,v )を用いてセンサレスベクトル制御を行う。
【0012】
一方、空転起動時には、インバータ20が停止していることを検出した状態制御部54からのゲートパルス切換信号によって、ゲートパルス切換スイッチ47を通常運転時のA側からB側に切り換える。
電機子巻線短絡制御部55は、状態制御部54からの制御信号aにより、電機子巻線のうち少なくとも2相を短絡するように半導体スイッチング素子をオンするゲートパルスを作成し、次に半導体スイッチング素子を全てオフするように、ゲートパルスを作成する。
【0013】
その際、回転子が空転していれば、誘起電圧の作用によって電機子巻線に電流が流れるので、このときの電流i,i,iを検出し、相数変換器42によりα軸電流Iα、β軸電流Iβを演算する。そしてこれらの電流値から、磁極位置θを空転起動位置推定器52により、回転子の速度ωr1を空転起動速度推定器51により演算する。
【0014】
更に、上記の動作によって得られた演算結果を用いて空転起動を行うために、状態制御部54からの制御信号bにより速度・位置推定値プリセットスイッチ53をオンし、速度推定値及び位置推定値の初期値ωr1,θを設定する。同時に、状態制御部54からのゲートパルス切換信号によってゲートパルス切換スイッチ47をA側に戻し、インバータ20を制御して同期電動機30の空転起動が実行される。
【0015】
続いて、電機子巻線を短絡することによって流れるα軸電流iα,β軸電流iβに基づいて、空転時の速度及び磁極位置を推定する方法について説明する。
まず、速度演算方法について説明する。電機子巻線を短絡し、次に半導体スイッチング素子を全てオフする一連の動作を2回行い、1回目の短絡により検出されたα軸電流iα,β軸電流iβが最大となる位相をθi1、同じく2回目の短絡による位相をθi2とし、1回目の短絡開始から2回目の短絡開始までの間隔をTとすると、数式1から速度ωr1が求まる。
【0016】
【数1】
Figure 0004590761
【0017】
ここで、1回目の短絡によって流れる電機子電流の最大値のα,β軸成分を前述の如くiα,iβとし、同じく2回目をiα,iβとすると、θi1,θi2は数式2から求まる。
【0018】
【数2】
Figure 0004590761
【0019】
ただし、この従来技術では、前述した特開平11−75394号公報の請求項5に記載されているように、間隔Tを、回転子が最大速度で空転している際に電気角で180°進む時間よりも短くする必要がある。そうしないと、例えば、回転子が正転方向に160°回転したときと、逆転方向に200°回転したときとで位相差(θi2−θi1)が等しくなるため、どちらが正しいか判別できなくなる。
【0020】
次に、磁極位置の演算方法について説明する。2回目の短絡により検出されたα軸電流iα,β軸電流iβが最大となる位相をθi2とし、そのときのd軸電流をid2,q軸電流をiq2とすると、数式3により磁極位置θが求まる。
【0021】
【数3】
Figure 0004590761
【0022】
ここで、id2,iq2は、短絡する時間をt、回転子の磁極による磁束をφ、d軸及びq軸方向のインダクタンスをそれぞれL,L、上記速度推定演算で求めた速度推定値をωr1とすると、数式4により演算される。
【0023】
【数4】
Figure 0004590761
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
特開平11−75394号公報記載の公知技術を用いた図5等の従来技術では、原理的に短絡直前の電機子電流が零でなければ電機子電流ベクトルの位相を正確に演算することができず、速度や磁極位置を演算することができない。そのため、この従来技術では、1回目の短絡から2回目の短絡を開始するまでに電機子電流がほぼ零に減衰している必要がある。
【0025】
また、インバータの出力電圧以上に誘起電圧が高くなる速度領域で回転子が空転している場合には、空転起動に当たって電機子巻線を短絡し、半導体スイッチング素子を全てオフして電機子電流を零に減衰させようとしても、インバータの出力電圧以上に誘起電圧が高いため、電機子電流が零に減衰するまでに時間がかかる。
そのため、電機子電流が減衰するまで2回目の短絡開始を待つ必要があるが、余り長い時間待ち過ぎると前述した間隔Tが電気角180°を越えてしまい、速度の極性を誤って演算するおそれがある。
【0026】
そこで本発明は、インバータの出力電圧以上に誘起電圧が高くなるような速度領域で回転子が空転しているときでも、迅速かつ正確に空転速度及び磁極位置を推定して電動機の空転起動を可能にした永久磁石形同期電動機の制御装置を提供しようとするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、回転子の磁極位置を検出する位置検出器、及び端子電圧を検出する電圧検出器を有しない永久磁石形同期電動機をインバータにより駆動するための制御装置において、
前記インバータが停止していて回転子が空転している時に前記インバータを構成する半導体スイッチング素子をオンさせて電機子巻線の少なくとも2相を短絡させる手段と、この短絡動作の後に半導体スイッチング素子を全てオフさせる手段と、電機子電流をベクトルとしてとらえ、前記オフ期間中に流れる電機子電流を検出する手段と、前記オフ期間中に流れる電機子電流のベクトル回転方向から速度極性を検出する手段と、前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値から速度絶対値を演算する手段と、前記速度極性と前記速度絶対値とから回転子の空転速度を推定する手段と、回転子の空転速度から磁極位置を推定する手段と、を備えたものである。
【0028】
請求項2記載の発明は、インバータが停止していて回転子が空転している時にインバータを構成する半導体スイッチング素子をオンさせて電機子巻線の少なくとも2相を短絡させる手段と、この短絡動作の後に半導体スイッチング素子を全てオフさせる手段と、電機子電流をベクトルとしてとらえ、前記オフ期間中に流れる電機子電流を検出する手段と、前記短絡動作及びオフ動作からなる一連の動作を少なくとも2回行ない、前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値が所定値以下であれば、従来技術と同様に各短絡時に流れる電機子電流の位相及び各短絡動作の時間間隔を用いて回転子の空転速度を推定する手段と、前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値が所定値を越えていれば、請求項1記載の発明と同様に、前記オフ期間中に流れる電機子電流のベクトル回転方向から検出した速度極性と、前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値から演算した速度絶対値とを用いて回転子の空転速度を推定する手段と、回転子の空転速度から磁極位置を推定する手段と、を備えたものである。
【0029】
請求項3記載の発明は、インバータが停止していて回転子が空転している時にインバータを構成する半導体スイッチング素子をオンさせて電機子巻線の少なくとも2相を短絡させる手段と、この短絡動作の後に半導体スイッチング素子を全てオフさせる手段と、電機子電流をベクトルとしてとらえ、前記オフ期間中に流れる電機子電流を検出する手段と、前記短絡動作及びオフ動作からなる一連の動作を少なくとも2回行ない、2回目の動作の開始直前に流れている電機子電流の大きさが所定値以下であれば、従来技術と同様に各短絡時に流れる電機子電流の位相及び各短絡動作の時間間隔を用いて回転子の空転速度を推定する手段と、2回目の動作の開始直前に流れている電機子電流の大きさが所定値を越えていれば、請求項1記載の発明と同様に、前記オフ期間中に流れる電機子電流のベクトル回転方向から検出した速度極性と、前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値から演算した速度絶対値とを用いて回転子の空転速度を推定する手段と、回転子の空転速度から磁極位置を推定する手段と、を備えたものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は本発明の第1実施形態を示す制御ブロック図であり、請求項1に記載した発明の実施形態に相当する。この図1において、50Aは空転起動制御部である。
【0031】
図5の従来技術と異なる点は、空転起動速度推定器51に代えて、速度極性検出器56a、速度絶対値演算器56b、及び乗算器56cから構成される空転起動速度推定器56が用いられている点であり、その他の構成要素については図5と同一である。なお、相数変換器42から出力されるα軸電流iα及びβ軸電流iβは、座標変換器43以外に、速度極性検出器56a、速度絶対値演算器56b、及び空転起動位置推定器52に入力されている。
以下では、空転起動速度推定器56を中心として本実施形態の動作を説明する。
【0032】
空転起動速度推定器56において、速度極性検出器56aは、電機子巻線を短絡することによって流れる電機子電流のベクトル回転方向から速度極性sgn(ωr2)を検出し、これを乗算器56cに出力する。速度絶対値演算器56bは、電機子電流の最大値から速度絶対値|ωr2|を個別に演算し、これを乗算器56cに出力する。
乗算器56cは、速度極性sgn(ωr2)及び速度絶対値|ωr2|を掛け合わせて空転速度ωr2(=sgn(ωr2)×|ωr2|)を演算する。
このとき、インバータ20が停止していることを検出した状態制御部54からの制御信号bにより、速度・位置推定値プリセットスイッチ53はオン状態であるため、演算された空転速度ωr2はプリセットスイッチ53を介して速度推定器44に入力される。
【0033】
本実施形態では、回転子の速度極性、つまり回転子の回転方向を、半導体スイッチング素子を全てオフする期間中の電機子電流ベクトルの回転方向から速度極性検出器56aにより検出しているため、従来技術のように、1回目の短絡開始から2回目の短絡開始までの間隔Tに回転子が電気角で180°以上動くことによって回転子の回転方向を誤検出するおそれがない。
【0034】
次に、この実施形態における速度極性及び速度絶対値の演算方法について説明する。まず、半導体スイッチング素子を全てオフする期間中に流れる電機子電流の最大値のα軸成分,β軸成分をIα,Iβとし、その後のある時刻におけるα軸,β軸電流をIα,Iβとすると、速度極性sgn(ωr2)は数式5から検出することができる。ここで、ある時刻とは、回転子が電気角で180°以上動くことがないような短い期間経過後の時刻であることは言うまでもない。
【0035】
【数5】
Figure 0004590761
【0036】
また、前記Iα,Iβを用い、更に磁極による磁束をφ、d軸,q軸方向のインダクタンスをL,L、短絡の期間をtとすると、速度絶対値|ωr2|は、数式6により演算できる。
【0037】
【数6】
Figure 0004590761
【0038】
数式6において、√(Iα +Iβ )は電機子電流の大きさであるから、半導体スイッチング素子が全てオフする期間中に流れる電機子電流の最大値がわかれば、数式6により|ωr2|を演算することができる。
【0039】
図5の従来技術と同様に、空転起動時には、状態制御部54からのゲートパルス切換信号によりゲートパルス切換スイッチ47を通常運転時のA側からB側に切り換え、電機子巻線短絡制御部55から、電機子巻線のうち少なくとも2相を短絡するように半導体スイッチング素子をオンするゲートパルスを作成し、次に半導体スイッチング素子を全てオフするように、ゲートパルスを作成する。
【0040】
そして、回転子空転時の電機子電流からα軸電流Iα、β軸電流Iβを演算し、これらの電流を用いて空転速度ωr2を演算する手順は前述したとおりである。
また、磁極位置θについては、空転起動位置推定器52が前述の数式3、数式4を用いて演算する。
更に、状態制御部54からのゲートパルス切換信号によってゲートパルス切換スイッチ47をA側に戻し、インバータ20を制御することによって同期電動機30の空転起動が実行される。
なお、この実施形態における通常運転時のセンサレス制御方式は図5の従来技術と同様である。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態を図2に基づいて説明する。この実施形態は請求項2に記載した発明の実施形態に相当する。図2において、50Bは空転起動制御部である。
第2実施形態では、図5における空転起動速度推定器51及び空転起動位置推定記52に加えて、図1に示した空転起動速度推定器56と、空転起動速度推定器51の出力ωr1と空転起動速度推定器56の出力ωr2とを切り換える速度推定値切換スイッチ58と、このスイッチ58を切換制御する速度推定値切換器57とが付加されている。
なお、速度推定値切換スイッチ58によって選択された速度推定値ωr1またはωr2が、速度推定値ωとして速度・位置推定値プリセットスイッチ53に入力されている。
【0042】
また、相数変換器42から出力されるα軸電流iα及びβ軸電流iβは、空転起動速度推定器51,56、空転起動位置推定器52及び速度推定値切換器57に入力されている。
以下では、図5の従来技術及び図1の第1実施形態と異なる部分を中心として動作を説明する。
【0043】
速度推定値切換器57は、半導体スイッチング素子を全てオフする期間中に流れる電機子電流の最大値が所定の値以下であれば、速度推定値切換スイッチ58のC側を接続して空転起動速度推定器51の出力ωr1を速度推定値ωとして速度・位置推定値プリセットスイッチ53に入力する。これにより、図2の回路は実質的に図5の従来技術と同一の動作を行う。
【0044】
逆に、電機子電流の最大値が所定の値を越えていれば、速度推定値切換スイッチ58のD側を接続して空転起動速度推定器56の出力ωr2を速度推定値ωとして速度・位置推定値プリセットスイッチ53に入力する。これにより、図2の回路は実質的に図1の回路と同一の動作を行う。
ここで、速度推定値切換スイッチ58を切り換える所定の値とは、例えば、空転状態の電動機の誘起電圧がインバータの最大出力電圧と等しくなる速度を数式6に代入して求めた電機子電流の大きさとすればよい。
【0045】
次いで、本発明の第3実施形態を図3に基づいて説明する。この実施形態は請求項3に記載した発明の実施形態に相当する。
図3において、50Cは空転起動制御部であり、図2の第2実施形態と異なるのは、速度推定値切換器57に代わって速度推定値切換器59が用いられている点である。すなわち、速度推定値切換器の機能が第2実施形態と異なっている。
以下では、図2の第2実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0046】
第3実施形態における速度推定値切換器59は、電機子巻線を短絡し、次に半導体スイッチング素子を全てオフする一連の動作の2回目開始直前に流れている電機子電流のα,β軸成分を検出して、そのときの電機子電流の大きさが所定の値以下であれば、速度推定値切換スイッチ58のC側を接続して空転起動速度推定器51の出力ωr1を速度推定値ωとして速度・位置推定値プリセットスイッチ53に入力する。これにより、図3の回路は実質的に図5の従来技術と同一の動作を行う。
【0047】
逆に、電機子電流の大きさが所定の値を越えていれば、速度推定値切換スイッチ58のD側を接続して空転起動速度推定器56の出力ωr2を速度推定値ωとして速度・位置推定値プリセットスイッチ53に入力する。これにより、図3の回路は実質的に図1の回路と同一の動作を行う。
ここで、所定の値とは、例えば、短絡によって流れる電機子電流が減衰している状態での値、すなわちほぼ零とすればよい。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、位置検出器及び電圧検出器を用いないでインバータにより永久磁石形同期電動機を運転する制御装置において、インバータの出力電圧の限界以上に誘起電圧が高くなる速度領域で回転子が空転しているときでも、回転子の速度及び磁極位置を迅速に検出して同期電動機を空転起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施形態を示す制御ブロック図である。
【図2】本願発明の第2実施形態を示す制御ブロック図である。
【図3】本願発明の第3実施形態を示す制御ブロック図である。
【図4】α−β座標系及びd−q座標系を説明する図である。
【図5】従来技術を示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
10 交流電源
20 インバータ
30 永久磁石形同期電動機
41 電流検出器
42 相数変換器
43 座標変換器
44 速度推定器
45 積分器
46 電流調節器
50A,50B,50C 空転起動制御部
51,56 空転起動速度推定器
52 空転起動位置推定器
53 速度・位置推定値プリセットスイッチ
54 状態制御部
55 電機子巻線短絡制御部
56a 速度極性検出器
56b 速度絶対値演算器
56c 乗算器
57,59 速度推定値切換器
58 速度推定値切換スイッチ

Claims (3)

  1. 回転子の磁極位置を検出する位置検出器、及び端子電圧を検出する電圧検出器を有しない永久磁石形同期電動機をインバータにより駆動するための制御装置において、
    インバータが停止していて回転子が空転している時にインバータを構成する半導体スイッチング素子をオンさせて電機子巻線の少なくとも2相を短絡させる手段と、
    この短絡動作の後に半導体スイッチング素子を全てオフさせる手段と、
    電機子電流をベクトルとしてとらえ、
    前記オフ期間中に流れる電機子電流を検出する手段と、
    前記オフ期間中に流れる電機子電流のベクトル回転方向から速度極性を検出する手段と、
    前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値から速度絶対値を演算する手段と、
    前記速度極性と前記速度絶対値とから回転子の空転速度を推定する手段と、 回転子の空転速度から磁極位置を推定する手段と、
    を備えたことを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
  2. 回転子の磁極位置を検出する位置検出器、及び端子電圧を検出する電圧検出器を有しない永久磁石形同期電動機をインバータにより駆動するための制御装置において、
    インバータが停止していて回転子が空転している時にインバータを構成する半導体スイッチング素子をオンさせて電機子巻線の少なくとも2相を短絡させる手段と、
    この短絡動作の後に半導体スイッチング素子を全てオフさせる手段と、
    電機子電流をベクトルとしてとらえ、
    前記オフ期間中に流れる電機子電流を検出する手段と、
    前記短絡動作及びオフ動作からなる一連の動作を少なくとも2回行ない、
    前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値が所定値以下であれば、各短絡時に流れる電機子電流の位相及び各短絡動作の時間間隔を用いて回転子の空転速度を推定する手段と、
    前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値が所定値を越えていれば、前記オフ期間中に流れる電機子電流のベクトル回転方向から検出した速度極性と、前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値から演算した速度絶対値とを用いて回転子の空転速度を推定する手段と、
    回転子の空転速度から磁極位置を推定する手段と、
    を備えたことを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
  3. 回転子の磁極位置を検出する位置検出器、及び端子電圧を検出する電圧検出器を有しない永久磁石形同期電動機をインバータにより駆動するための制御装置において、
    インバータが停止していて回転子が空転している時にインバータを構成する半導体スイッチング素子をオンさせて電機子巻線の少なくとも2相を短絡させる手段と、
    この短絡動作の後に半導体スイッチング素子を全てオフさせる手段と、
    電機子電流をベクトルとしてとらえ、
    前記オフ期間中に流れる電機子電流を検出する手段と、
    前記短絡動作及びオフ動作からなる一連の動作を少なくとも2回行ない、
    2回目の動作の開始直前に流れている電機子電流の大きさが所定値以下であれば、各短絡時に流れる電機子電流の位相及び各短絡動作の時間間隔を用いて回転子の空転速度を推定する手段と、
    2回目の動作の開始直前に流れている電機子電流の大きさが所定値を越えていれば、前記オフ期間中に流れる電機子電流のベクトル回転方向から検出した速度極性と、前記オフ期間中に流れる電機子電流の最大値から演算した速度絶対値とを用いて回転子の空転速度を推定する手段と、
    回転子の空転速度から磁極位置を推定する手段と、
    を備えたことを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
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