JP4604760B2 - 交流電動機駆動システム - Google Patents
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Description
図4において、スイッチング素子及び受動素子によって構成される電力変換器1は、交流または直流の電源4から電力を供給されて電力変換を行い、回転機としての交流電動機3に電力を供給している。
電力変換器1は、制御部2によって制御されている。交流電動機3は、回転子に界磁極を有しているため、端子を開放した状態で回転子を回転させると誘起電圧を発生する。このような電動機を、本明細書ではまとめて界磁付き電動機(界磁付同期電動機)と呼ぶ。
しかし、信頼性、耐環境性、コスト等の観点から、これらの位置センサを使用しないで回転子位置を推定する、いわゆるセンサレス駆動が要求されている。
まず、21は電流変換処理部である。この電流変換処理部21は、交流電動機3の電流センサ5A,5Bから得られた二相の電流から三相電流を合成し、この三相電流を直交回転座標に変換する。
すなわち、図4に示したように、制御系では交流電動機3の電流に基づいて制御を行っているため、電力変換器1が停止していて電流が流れていない状態では、交流電動機3の情報が全く得られない。回転子が停止していれば、例えばある位相で電流が通流するように電力変換器1の出力電圧を調整し、これによって回転子の位置を引き込んでから運転を開始することができる。
そして、電力変換器1の起動後は、通常動作に移行するために、切替スイッチ24によってフリーラン起動演算部23側から制御演算器22側に処理が切り替えられる。この切替スイッチ24の操作は、制御部2の動作を統括する制御切替部25が行っている。
この従来技術は、三相インバータにより回転子位置センサを有しないブラシレスDC電動機を駆動する方法において、空転中のブラシレスDC電動機の回転子速度及び回転子位相を検出する際に、インバータ内の直列接続された二つのスイッチング素子のオン・オフ比率を制御することによって確定される出力電圧値が三相とも同一になるように電圧を出力し、かつ、その際の少なくとも二相分の電動機電流検出値を利用するものである。
これらの点に鑑み、多相交流電動機の空転時において、多相のうちの一部の相の巻線を短絡して流れる電流に基づいて回転子や可動子の位置を推定する具体的手段を開示し、電力変換器の起動を確実かつ簡便に行えるようにした交流電動機用電力変換装置が、本出願人による特願2004−306890として出願されている。
図5において、10は、IGBT等の自己消弧型スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qz、及び、これらにそれぞれ逆並列接続されたダイオードDu,Dv,Dw,Dx,Dy,Dzからなる三相の電力変換器(インバータ)、30は電力変換器10により運転される交流電動機である。
電動機30の空転時において、図5に示す如く、U相(スイッチング素子Qu,Qxからなる相)の下アームのスイッチング素子Qxにのみオン信号を与え、残りのスイッチング素子にはオフ信号を与える状態を考える。なお、どのスイッチング素子をオンさせる場合にも、以下の説明は同様に当てはまる。
電動機30の各相の誘起電圧が三相平衡正弦波であるものとし、回転子における磁極のN極の方向をd軸とし、d軸とU相巻線の励磁軸との間の角度(電気角)をθとすると、回転子が正転する場合(θが増大する方向)には各相の誘起電圧は図7のようになり、また、以上の関係をベクトル図で表すと図9のようになる。すなわち、各相の誘起電圧の値を、それぞれ120°の位相差をもつU,V,W軸に投影し、これら三つのベクトルを合成したものとして図9の誘起電圧ベクトルeが定義される。この誘起電圧ベクトルeは、一般にd軸と直交するq軸に現れ、d−q座標系と共に速度ωで回転する。
ここで、図7に示すように360°を60°ずつに6分割することにより、それぞれを領域<I>〜領域<VI>とする。なお、図7、図9(及び、後述の回転子逆転時に関する図8)において、電気角θ、誘起電圧、及び各領域の位置は整合している。
(1)電流が流れない。(誘起電圧の状態:領域<III>,<IV>)
(2)ある二相にのみ電流が流れる。(誘起電圧の状態:領域<II>,<V>)
(3)三相すべてに電流が流れる。(誘起電圧の状態:領域<I>,<VI>)
上記(1)〜(3)の現象を利用して電流の流れ方を観測することにより、誘起電圧位相が領域<I>〜領域<VI>のどの状態になっているかを判別することができる。例えば、上述したスイッチング素子Qxのみをオンする場合には、オンした際に(1)〜(3)のうち何れの現象が現れるかによって、対応する誘起電圧の状態が決まり、しかも誘起電圧位相は回転子の位置と同期しているため、回転子の位置を知ることができる。
回転子が逆転する場合(θが減少する方向)には、各相の誘起電圧は図8のようになり、この場合でも、正転時と同様の現象が現れることは明らかである。
例えば、上記の例で回転子が正転する場合には、スイッチング素子Qxのみをオンした際に電流が流れない場合、図7から、誘起電圧ベクトルeは領域<III>または領域<IV>に存在すると判定することができる。この判定を行った後に、スイッチング素子Qxのオン状態を継続または断続する。その間、電流が流れなければ、誘起電圧ベクトルeは領域<III>または領域<IV>に存在し続けていることになる。
一方、上記の例で回転子が逆転する場合には、スイッチング素子Qxのみをオンした際に電流が流れなければ、図8から、誘起電圧ベクトルeはやはり領域<III>または領域<IV>に存在すると判定することができる。
W相誘起電圧ew>U相誘起電圧eu>V相誘起電圧ev
であることになるため、図7から分かるように、回転子が正転していること、及び、そのときの電気角が150°であることを直ちに判定することができる。
一方、電流ゼロの状態からW相電流が通流してV相電流はゼロのままという状態に変化した場合、すなわちダイオードDzに電流が流れ、ダイオードDyには電流が流れない状態に変化した場合には、各相誘起電圧の大小関係は、
V相誘起電圧ev>U相誘起電圧eu>W相誘起電圧ew
であることになるため、この場合には回転子が逆転していること、及び、そのときの電気角が210°であることを直ちに判定することができる。
また、回転速度の大きさ│ω│については、流れた短絡電流の振幅から計算すればよい。すなわち、無負荷誘起電圧の振幅は速度に比例し、また今回の状況では位相が既知であるため、電流の振幅も回転速度によって一義的に決まるからである。
[数式1]
θs=θ0+ω(ts−t0)
ただし、θ0;時刻t0において判定された回転子の位置
ここで、一連の動作はごく短時間に行われるため、回転子の回転速度ωは一定と見なせるものとしている。
[数式2]
ω=(θ1−θ0)/(t1−t0)
上記説明の中で、電流が無通流状態にてスイッチング素子Qxのオン状態を継続し、電流が通流した時点で誘起電圧の位相が判別できることを述べた。このことから、次にどのスイッチング素子をオンした場合に電流が流れない状態になるかを特定することができる。
例えば、電流検出の結果、回転方向が正転で、誘起電圧ベクトルeが時刻t0において領域<IV>から<V>に切り替わったことを判別したとする。この場合、誘起電圧ベクトルeは領域<V>に存在するため、各相の誘起電圧誘起電圧の大小関係は、
W相誘起電圧ew>U相誘起電圧eu>V相誘起電圧ev
となっている。
U相誘起電圧eu>W相誘起電圧ew>V相誘起電圧ev
となるため、電流が通流する。
また、2回目にオンするスイッチング素子をQyとすれば、回転子が電気角で120°回転した時点で領域<I>に移り、各相の誘起電圧誘起電圧の大小関係は、
U相誘起電圧eu>V相誘起電圧ev>W相誘起電圧ew
となるため、電流が通流する。
検出タイミングの誤差を考慮した場合、より長い期間にわたって電流無通流状態が続くQyオンのモードを選択する方が、速度の検出誤差は小さくなる。一方、Qwをオンさせるモードを選択すれば、電流がより早く通流するため、電力変換器10の起動までの時間を短くすることができる。
更に、2回目以降に選ぶスイッチング素子はどれでもよいが、オン・オフを繰り返すスイッチング素子を最初に選んだスイッチング素子に限定すれば、新たにスイッチング素子を選ぶ手間が省け、操作を簡単化できる。また、回転子が回転している限り、一つのスイッチング素子のオン・オフを繰り返していればやがて誘起電圧の位相変化によって電流は流れなくなるため、効率的な回転子位置推定を確実に実施することができる。
図10において、GDUu,GDUxはそれぞれスイッチング素子Qu,Qxの駆動回路、C1はコンデンサ、V1は直流電源、D1はダイオードである。上記駆動回路Qu,Qxの電源の負極すなわち基準電位は、スイッチング素子Qu,Qxの負極(図のようにIGBTを用いる場合はエミッタ)にそれぞれ接続される。従って、上アームのスイッチング素子Quの基準電位は、上下アームのスイッチング素子Qu,Qxのスイッチングによって切り替わる。このことから、上アームのスイッチング素子Quの駆動回路GDUuの電源を下アームのスイッチング素子Qx用の電源と共用することができず、両電源は独立したものを用意する必要がある。これを最も単純に実現するには、上アームのスイッチング素子Qu用の電源として、下アームのスイッチング素子Qx用の電源とは絶縁された電源を用いればよいが、一般に絶縁された電源は高価である。
下アームのスイッチング素子Qx用の電源には、通常の直流電源V1が使用されるが、上アームのスイッチング素子Qu用の電源にはコンデンサC1が使用される。このコンデンサC1には、下アームのスイッチング素子Qx、電源V1及びダイオードD1の作用により、駆動回路GDUuに電力を供給するための電荷が断続的に蓄積(チャージアップ)される。ここでは、このような動作をするための回路をチャージアップ回路と呼ぶ。このチャージアップ回路は、インバータの直流電圧部の負極の電位を基準電位とするものである。
従って、インバータの通常動作である上下アームのスイッチング素子のオン・オフの繰り返しにより上記チャージアップ動作も同時に行われ、上アームのスイッチング素子Qu用の駆動回路GDUuが常時動作可能な状態に維持される。
なお、図11において、Qu1,Qu2,Qx1,Qx2はスイッチング素子、Du1,Du2,Dx1,Dx2,D1’,D2’,D3’はダイオード、GDUu1,GDUu2,GDUx1,GDUx2は駆動回路、Cu1,Cu2,Cx1はコンデンサ、V1’は直流電源である。
なお、以上のようにスイッチング素子の駆動用電源としてチャージアップ回路を用いる場合には、インバータの通常動作を開始する前に、チャージアップ動作を実施しておく必要がある。
また、本発明は、電動機の回転方向が正逆何れでもよい場合に、電動機と電力変換器との接続端子の組み合わせを任意とした交流電動機駆動システムを提供することも課題とする。
前記各スイッチング素子の駆動回路は、前記直流電圧部の負極の電位を基準電位とするチャージアップ回路によって電力を供給され、
前記電動機の空転状態における前記電動機の回転子位置情報を得るために前記スイッチング素子の少なくとも1個をオンする動作が、前記チャージアップ回路のチャージアップ動作を、少なくとも部分的に兼ねることを特徴とする。
前記電動機の空転状態における前記電動機の回転子位置情報を得るために、前記スイッチング素子のうち、各アーム部における前記電動機との接続点よりも負極側にある全てのスイッチング素子をオンするものである。
前記スイッチング素子としての自己消弧型半導体スイッチング素子にダイオードを並列に接続し、
前記電動機の空転状態における前記電動機の回転子位置情報を得るために、
前記スイッチング素子のうち、一つの相のアーム部における前記電動機の接続点よりも負極側にある全ての下アームスイッチング素子をオンし、これにより前記電動機に電流が通流した場合には前記下アームスイッチング素子のうち少なくとも1個のスイッチング素子をオフして電流を消滅させ、前記下アームスイッチング素子をオンしても電流が通流しなくなるまで前記オン・オフ動作を繰り返し、前記下アームスイッチング素子をオンしても電流が通流しなくなったら前記下アームスイッチング素子のオン状態を断続または継続し、
再び電流が通流したら、前記下アームスイッチング素子のうち少なくとも1個のスイッチング素子をオフし、かつ、オンしても電流が通流しない別の相の下アームのスイッチング素子のオン状態を断続または継続し、
上記と同様の動作を全ての相について実施した後にシステムを起動するものである。
前記電動機の相数が3であり、
前記電力変換器の電流検出手段が三相のうち二相に設けられており、残りの一相の電流を、前記電流検出手段により検出された他の二相の電流値から検出する場合に、
最初にスイッチング素子をオンするアーム部の相を、前記電流検出手段が設けられていない相とするものである。
多相交流電動機を運転する電力変換器と、前記電動機の巻線電流を所定値に制御するために前記電力変換器を構成するスイッチング素子にオン・オフ信号を生成して出力する制御手段と、を備え、かつ、
前記電動機の回転子の空転時に、前記制御手段により、前記スイッチング素子のうち少なくとも1個をオンさせて前記電動機の巻線を短絡させ、その際に流れる巻線電流に基づき回転子の位置及び回転方向を推定して前記電力変換器を起動する交流電動機駆動システムにおいて、
前記電力変換器の起動後に、その起動前に前記起動手段により推定した回転方向に基づいて運転を継続することにより、前記電動機の各相端子と前記電力変換器の各相出力端子との接続を任意に組み合わせ可能としたものである。
すなわち、電動機の回転方向がどちらでもよい場合、例えば発電機に適用する場合に、フリーラン起動技術を用いることによって電動機と電力変換器とのそれぞれの接続端子の組み合わせを任意としたものである。
また、電動機と電力変換器との接続端子の組み合わせを任意にすることにより、使い勝手や汎用性を向上させることが可能である。
ここで、以下の説明は、界磁付き電動機の相数が3であり、かつ電力変換器として各アーム部が上下アームとも1個ずつのスイッチング素子により構成されるインバータを用いた構成について行うものとする。ただし、本発明は上述した電動機の相数や、スイッチング素子の数を始めとした電力変換器の構成に何ら限定されるものではない。
前述したチャージアップ動作は、何れかのアーム部の下アームのスイッチング素子をオンさせることにより行われ、また、界磁付き電動機の回転子位置を推定するために巻線を少なくとも部分的に短絡して電流を通流させる動作は、何れかのアーム部の上下アームのうちの少なくとも1個のスイッチング素子をオンすることにより行われる。
従って、回転子位置を推定するために巻線を短絡する動作を下アームのスイッチング素子をオンさせて行うことにより(言い換えれば、空転状態の電動機の回転子位置情報を得るために電力変換器のスイッチング素子の少なくとも1個をオンする動作が、チャージアップ回路のチャージアップ動作を少なくとも部分的に兼ねることにより)、回転子位置の推定動作とチャージアップ動作とを一度に実施することができ、これによって、両動作を効率よく確実に実現可能となる。
このような着想を具体化すると、以下の通りである。
この3回のオン・オフ動作により、同時に、各相の上アームのスイッチング素子Qu,Qv,Qwの電源としてのコンデンサ(例えばスイッチング素子Quについては、図10におけるコンデンサC1)がチャージアップされ、やがて、図1に示す如く、各相の上アームのスイッチング素子Qu,Qv,Qwの電源としての各コンデンサの電圧が下アームの駆動電源電圧値に等しくなるため、上アームのスイッチング素子Qu,Qv,Qwの駆動回路が動作可能となる。
このように、下アームのスイッチング素子Qx,Qy,Qzをオン・オフさせることで、回転子位置等の推定及びチャージアップ動作を同時に行うことができ、システムを起動する準備が整うため、速やかに通常動作に移行することができる。
本実施形態によれば、全相同時短絡によって回転子位置等の推定及びチャージアップ動作と位置推定を行えるため、起動時間を短くできるという利点がある。
本実施形態は、多相のうちの一部の相のみを短絡させる部分相短絡によって回転子位置を推定する場合のものであり、前述した先願に係る特願2004−306890に記載された技術を応用している。
すなわち、スイッチング素子Qxをオンさせた場合、図6〜図8により、正転時には回転子位置が電気角で30°〜150°、逆転時には210°〜330°の範囲内にあれば電流が流れず、このままスイッチング素子Qxのオンを維持すると、U相とV相またはW相との大小関係が入れ替わって電流の通流が開始する。このタイミングを検出すれば回転子位置が150°または210°にあることを検出でき、更に、V相またはW相のどちらに通流したかによって回転方向を判別することができる。図2の場合には、スイッチング素子Qxのオンを維持することによりU相及びV相に通流しているので、このとき回転子位置が150°であり、回転方向は正転であると判別できる。
図2のタイミングチャートは、上述したスイッチング素子Qxのオン・オフを繰り返して電流が通流しないことを確認した後の動作を示している。
こうして2回の電流通流の間に、回転子は電気角で120°回転するため、その間の所要時間で120°を割ることにより、単位時間当たりの回転角度、すなわち回転速度を知ることができる。
以上により、回転子の位置、速度及び回転方向が分かるため、システムを速やかに起動することが可能である。
これを数式で表すと、検出する二相の電流をiv,iw、計算で求める一相の電流をiuとすれば、次のようになる。
[数式3]
iu=−(iv+iw)
通常のセンサレス駆動システムでは、電動機の端子をインバータの特定の出力端子に結合する。すなわち、電動機とインバータとの両端子に、三相の場合には例えばU,V,Wと名前を付け、これらが一致するように結線を行う。このことにより、各相端子にある相順で電流を通流した場合に、回転子が意図した方向に回転する。
しかし、例えば発電機のように外力によって駆動される場合には、回転方向は外力によって決まるため、センサレス駆動システム側で決定する必要はない。
例えば、インバータの出力端子:U,V,Wを電動機端子:V,U,Wに順次接続するように設定してもよく、あるいは、インバータの出力端子:U,V,Wを電動機端子:V,W,Uに順次接続するように循環させてもよい。
すなわち、発電機端子のインバータ出力端子への結合が一対一でありさえすれば、接続端子の組合せがどのようになされていてもよいことになり、これによって汎用性の向上、及び製造コストや調整コストの低減を図ることができる。
Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz:ダイオード
10:電力変換器(インバータ)
20:フリーラン起動演算部
30:交流電動機(界磁付き電動機)
40v,40w:電流検出器
50:電流演算部
Claims (5)
- 直流電圧部と、少なくとも2個のスイッチング素子を直列に接続してなりその両端が前記直流電圧部に並列接続された複数個のアーム部と、からなる電力変換器と、
この電力変換器により駆動され、かつ、前記複数個のアーム部におけるスイッチング素子同士の接続点に端子がそれぞれ接続される多相の界磁付き電動機と、
を有する交流電動機駆動システムにおいて、
前記各スイッチング素子の駆動回路は、前記直流電圧部の負極の電位を基準電位とするチャージアップ回路によって電力を供給され、
前記電動機の空転状態における前記電動機の回転子位置情報を得るために前記スイッチング素子の少なくとも1個をオンする動作が、前記チャージアップ回路のチャージアップ動作を、少なくとも部分的に兼ねることを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 請求項1に記載した交流電動機駆動システムにおいて、
前記電動機の空転状態における前記電動機の回転子位置情報を得るために、前記スイッチング素子のうち、各アーム部における前記電動機との接続点よりも負極側にある全てのスイッチング素子をオンすることを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 請求項1に記載した交流電動機駆動システムにおいて、
前記スイッチング素子としての自己消弧型半導体スイッチング素子にダイオードを並列に接続し、
前記電動機の空転状態における前記電動機の回転子位置情報を得るために、
前記スイッチング素子のうち、一つの相のアーム部における前記電動機の接続点よりも負極側にある全ての下アームスイッチング素子をオンし、これにより前記電動機に電流が通流した場合には前記下アームスイッチング素子のうち少なくとも1個のスイッチング素子をオフして電流を消滅させ、前記下アームスイッチング素子をオンしても電流が通流しなくなるまで前記オン・オフ動作を繰り返し、前記下アームスイッチング素子をオンしても電流が通流しなくなったら前記下アームスイッチング素子のオン状態を断続または継続し、
再び電流が通流したら、前記下アームスイッチング素子のうち少なくとも1個のスイッチング素子をオフし、かつ、オンしても電流が通流しない別の相の下アームのスイッチング素子のオン状態を断続または継続し、
上記と同様の動作を全ての相について実施した後にシステムを起動することを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 請求項3に記載した交流電動機駆動システムにおいて、
前記電動機の相数が3であり、
前記電力変換器の電流検出手段が三相のうち二相に設けられており、残りの一相の電流を、前記電流検出手段により検出された他の二相の電流値から検出する場合に、
最初にスイッチング素子をオンするアーム部の相を、前記電流検出手段が設けられていない相とすることを特徴とする交流電動機駆動システム。 - 多相交流電動機を運転する電力変換器と、前記電動機の巻線電流を所定値に制御するために前記電力変換器を構成するスイッチング素子にオン・オフ信号を生成して出力する制御手段と、を備え、かつ、
前記電動機の回転子の空転時に、前記制御手段により、前記スイッチング素子のうち少なくとも1個をオンさせて前記電動機の巻線を短絡させ、その際に流れる巻線電流に基づき回転子の位置及び回転方向を推定して前記電力変換器を起動する起動手段を有する交流電動機駆動システムにおいて、
前記電力変換器の起動後に、その起動前に前記起動手段により推定した回転方向に基づいて運転を継続することにより、前記電動機の各相端子と前記電力変換器の各相出力端子との接続を任意に組み合わせ可能としたことを特徴とする交流電動機駆動システム。
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