JP4543365B2 - 水性2液型プラスチック材料用接着剤組成物 - Google Patents

水性2液型プラスチック材料用接着剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は初期接着性、接着耐久性、経済性に優れる低VOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の接着剤組成物に関し、特に、プラスチックフィルム等のプラスチック材料同士の接着および、プラスチック材料と、木材、紙、無機板等の多孔質材料との接着に適した接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、作業環境改善や接着製品から放散する有害化学物質の低減を目的とした、接着剤の低VOC化が進んできたが、ことプラスチック材料の接着剤の低VOC化については、接着性、接着耐久性、初期接着性、経済性などの諸性能を同時に満足させることがなされていないために、いまだに不十分である。
例えば、接着耐久性に優れるトルエン・キシレンを使用しない比較的低VOCのプラスチックフィルム用接着剤としては、特許文献1および2等に記載の、酢酸ビニル・エチレン共重合樹脂エマルジョン(以下EVAエマルジョンと略)、アニオン性ポリウレタンエマルジョン、特定の溶剤(増膜助剤)、および有機ポリイソシアネートからなる接着剤が知られている。しかしながら、これらに使用されている溶剤は安全性が懸念され、沸点が240℃未満と低VOC化が不十分である。また、初期接着性が劣るために冬季には接着作業に長時間を要する欠点を残している。より低VOC化する提案として特許文献3には、増膜助剤を添加せず、高ゲル分で低TgのEVAエマルジョンとアニオン性ポリウレタンエマルジョンとの組み合わせが提案されているが、追試の結果、製造工程上ビニル共重合樹脂と比べて高価なアニオン性ポリウレタンエマルジョンの配合比率を30%以上に高めないと、プラスチックフィルムを充分に接着できず、経済性に劣るものであった。
【0003】
一方、特許文献4には、平均粒子径が0.5ミクロン以上の、1級水酸基含有モノマー・酢酸ビニルモノマー・アクリル酸エステル等疎水性モノマーの共重合樹脂とポリビニルアルコールからなる水性エマルジョンを、イソシアネートで架橋する、初期接着性、接着耐久性に優れる接着剤の技術が開示されている。1級水酸基含有モノマーの共重合により、水性高分子イソシアネート系接着剤の耐水性等の接着耐久性が向上することは、特許文献5の記載等から容易に予想され、疎水性モノマーの共重合樹脂が、水性高分子イソシアネート系接着剤の耐水接着性を向上させることも数々の文献に記載されており、この特許の新規性は、平均粒子径を0.5ミクロン以上に規定している点にある。しかしながら、例示されている組成をフィルム接着に関して追試した結果、実施例で好ましいとされるものは、プラスチックフィルムを接着できず、比較例5〜8に平均粒子径が小さいために適さないとして例示されたものがプラスチックフィルムを接着できたことから、上記平均粒子径よりも、過剰のポリビニルアルコールによる弊害が、プラスチックフィルムの接着においては重要であることが判明した。従って、この特許の技術は、木材と木材との接着には効果があるかも知れないが、プラスチック材料の接着剤としては不十分であり、少なくとも適正なポリビニルアルコールの量の上限値に関する知見が必要との結論に達した。
【0004】
【特許文献1】
特開平11‐209722号公報
【特許文献2】
特開2002−60712号公報
【特許文献3】
特開2003−64333号公報
【特許文献4】
特許第3357679号公報
【特許文献5】
特開昭49−26346号公報
【0005】
【発明が解決しうとする課題】
本発明は、これらの従来技術では低VOC化に伴って、初期接着性、経済性、接着耐久性、多種のプラスチック材料に対する接着性のいずれかが欠落していた点を克服することを目的とし、これらの4要素を全て満足する接着剤組成物を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、A)ポリビニルアルコールを固形分換算で0.5〜7.5質量%、分子内に1級ヒドロキシル基および/またはカルボニル基を有するビニル共重合樹脂を固形分換算で30〜99質量%含む水性エマルジョン100質量部に対して、B)有機ポリイソシアネート化合物を0.5〜10質量部配合してなる、ガラス転移温度が−20℃以下の2液型接着剤組成物が、所期の目的に適うものであることを見出して本発明を完成させた。
【0007】
【発明の実施の形態】
ここで用いられるポリビニルアルコール(以下PVAと略)は、従来公知のものが充当され、例えばけん化度80〜99モル%,重合度200〜8000のPVAや主鎖,側鎖あるいは分子末端に官能基を導入された所謂変性PVAも好適である。PVAを上記のA)成分中0.5〜10質量%用いることにより、良好な接着耐久性(耐熱性)、初期接着性が得られるが、0.5質量%未満では充分でない場合があり、10質量%を超えると、皮膜の弾性率が高くなりすぎるなどの理由により、プラスチックフィルムに対する接着性が損われるとともに、保水性が高すぎるために、初期接着性を低下させるので、好ましくない。
【0008】
また、ここで用いられるビニル共重合樹脂とは、エチレン性不飽和単量体を重合して得られる樹脂で、重合方法としては、従来公知のいずれの方法を用いてもよいが、経済性の面から、水中に分散させた状態で単量体を重合するいわゆる乳化重合法によって得られるものが好ましい。分子中に1級ヒドロキシル基および/またはカルボニル基を導入するには、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステル、N−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルなどの単量体を、他のエチレン性不飽和単量体と共重合させる方法によるのが好ましい。
【0009】
接着剤組成物のガラス転移温度を−20℃以下に下げることは、各種プラスチック材料に対して良好な接着性能を得るための必要条件である。このためには、ビニル共重合樹脂を共重合組成によって好ましいガラス転移温度に調整しても良いが、可塑剤として、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートおよび/または2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールジイソブチレートを用いて必要なガラス転移温度に調整することが、安全衛生面や低VOC化などの目的を損わずに、さらに各種フィルムとの接着性を向上できるので、より好ましい。2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートは、ヒドロキシル基を有するので、イソシアネートと反応した後は揮発性が無くなり、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールジイソブチレートは、沸点が約260℃と高く、かつ安全性の高い化合物として食品包装用塩化ビニル樹脂の可塑剤としてFDAに認可されているものである。これらの化合物は、最終的な組成物のガラス転移温度を−20℃以下に調整するために、A)成分およびB)成分のいずれか、もしくは任意の比率に両成分に予め配合しても良い。これらの化合物の配合量は、全組成物中0.1〜10質量%が好ましく、これ以下では、接着できるプラスチックフィルムの種類が限られ、これ以上では、接着耐久性が劣り、かつ、VOCが増加することになり、本発明の目的を達することができなくなる。
【0010】
これまで述べてきた、接着組成物中A)成分として適当な、ポリビニルアルコールを0.5〜7.5質量%および、分子中に1級ヒドロキシル基および/またはカルボニル基を有するビニル共重合樹脂を30〜99%含む水性エマルジョンを容易に得る方法としては、特許第3291624号公報に記載された方法を利用するのが、経済性、初期接着性において特に好ましい。すなわち、ビニル共重合樹脂が、ゲル分率抑制剤の存在下、全単量体100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは0.5〜6質量部のポリビニルアルコールを乳化安定剤として用い、界面活性剤を用いず、a)酢酸ビニル単量体1〜50質量%、b)(メタ)アクリル酸エステル単量体30〜95質量%、c)(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステル、N−メチロールアクリルアミド、および(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルからなる群から選ばれる1種または2種以上の単量体0.5〜20質量%、およびd)酢酸ビニルおよび/または(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体0〜30質量%を乳化共重合して得られる、ゲル分率が0〜30質量%である酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることが好ましい。
【0011】
B)成分の有機ポリイソシアネートとしては、公知のいずれのものを用いても良いが、特に、イソシアヌレート結合またはビューレット結合により3量化されたヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのTMPアダクト体、ポリメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)が好適に用いられる。イソシアヌレート結合またはビューレット結合により3量化されたヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのTMP(トリメチロールプロパン)アダクト体などは、無処理のPETフィルムやコロナ処理ポリオレフィンフィルムなどの、比較的接着の困難な材料を接着する場合や、架橋剤配合後の経時性能低下が好ましく無い場合に適し、ポリメリックMDIは、経済性や即硬化性を要する場合に適する。特に、所望の反応速度や被着材適性を得るのに、イソシアヌレート結合またはビューレット結合により3量化されたヘキサメチレンジイソシアネートまたはヘキサメチレンジイソシアネートのTMPアダクト体と、ポリメリックMDIを混合して併用することは効果的である。
水性エマルジョン100質量部に対する有機ポリイソシアネート化合物は0.5〜10質量部であり、0.5質量部未満では耐熱性、耐久性が劣り、10質量部を超えて配合しても効果は変わらず、経済的でない。
【0012】
また、イソシアネートを架橋剤とする2液型水性接着剤においては、配合液中ではイソシアネートの反応の進行が速く、配合後長時間経過するとイソシアネート自体が高分子量化して架橋反応性が低下してしまう上に、接着後に接着剤が造膜して水分が抜けてしまうと、さらに反応速度が著しく低下してしまうために、100%の性能を得るのが難しいという問題点が常につきまとう。この問題点を改善するためには、初期接着性能を損なわない範囲で、接着剤の保水性を高めることが有効である。ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーによっても保水性は向上するが、一般的な水溶性ポリマーは高いガラス転移温度を有するために、プラスチック材料との密着性を低下させるので多量に用いるのは好ましく無い。プラスチック材料との密着性を損なわずに、保水性を適度に向上するには、アニオン性ポリウレタンエマルジョンおよび/または無機充填剤を全組成物中に固形分で1〜30質量%添加することが極めて有効である。これらの保水性成分は、1%未満では、反応速度を調整する効果は顕著でなく、30質量%を超えると、保水性が高すぎて初期接着性能を損なう。
【0013】
アニオン性ポリウレタンエマルジョンの好ましい具体例としては、例えば三洋化成(株)製ユープレンUXA3004、UXA−3005、UX−306、大日本インキ化学工業(株)製ハイドランHW−111、HW−333、HW−311、HW−350、HW−337、AP−20、AP−60LM、AP−80、第―工業製薬(株)製スーパーフレックス107M、110、126、130、150、160、300、361、370、410、460、700、750、820、住友バイエルウレタン(株)製ディスパコールU−42、U−53、U−54、KA−8481、KA−8584などが挙げられる。
無機充填剤としては、水に不溶の無機化合物の粒子として公知のいずれのものも使用できるが、例えば、水酸化アルミニウム(水和アルミナ)、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカなどが例示できる。
アニオン性ポリウレタンエマルジョンと無機充填剤は、それぞれを単独で用いても良いが、アニオン性ポリウレタンエマルジョンの1種または2種以上と、無機充填剤の1種または2種以上を併用して用いることも好ましい。
【0014】
【実施例】
以下に実施例を記載し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0015】
接着試験方法
(試験サンプルの作成) 接着剤組成物を、5.5mm厚のMDF(中密度繊維板)にゴムロールを用いて、90g/m2の塗布量となるよう均一に塗布し、この接着剤組成物塗布面にA)0.05mm厚のPETフィルム(東レ株式会社製ルミラー)、B)0.05mm厚ポリオレフィン製化粧フィルム(接着面をプライマー処理)、C)0.16mm厚ポリオレフィン製化粧フィルム(接着面をプライマー処理)を貼り合わせた後、23℃雰囲気下で0.1MPaの圧力で15分間圧締した。解圧後、同温度にて5日間以上放置養生して、接着サンプルを作製した。接着難度は、A)が最も難しく、次いでB)、C)の順である。また接着剤組成物を、予め5℃に調整した5.5mm厚のMDFにゴムロールを用いて、90g/m2の塗布量となるよう均一に塗布し、この接着剤組成物塗布面に0.16mm厚ポリオレフィン製化粧フィルム(接着面をプライマー処理)を貼り合わせた後、5℃雰囲気下で0.1MPaの圧力で15分間圧締した。解圧後、同温度にて45分間放置して初期接着試験用サンプルを作製した。
【0016】
(常態剥離試験) 得られた接着サンプルを25mm(巾)×150mm(長さ)に切断し、23℃の雰囲気下で、剥離速度100mm/minにて、180度剥離試験を行った。
(耐熱クリープ試験) 得られた接着サンプルを25mm(巾)×200mm(長さ)に切断し、フィルム側を端から長さ方向に50mm剥離したあと接着サンプルのフィルム面を下にして両端を支えて水平に置き、剥離したフィルムを垂れ下げたままの状態で70℃恒温器中に1時間放置した後、剥離しているフィルムの先端に500gの荷重をかけて24時間後の剥離長さを測定した。この場合、剥離長さが短いほど耐熱クリープ特性が優れていることを示す。
【0017】
(低温剥離試験) 得られた接着サンプルを25mm(巾)×150mm(長さ)に切断し、−20℃の恒温器に24時間放置した後、直ちに手で剥離を行った際の材破状態を確認した。なお、評価は、○:木破、△:凝集はく離、×:界面剥離、とした。
(初期接着試験) 得られた初期接着試験用サンプルを直ちに25mm(巾)×150mm(長さ)に切断し、5℃の雰囲気下で、剥離速度100mm/minにて、180度剥離試験を行った。
【0018】
〔実施例1〜8〕と〔比較例1〜4〕
これらの例は、請求項1および2を説明するためのものである。
【0019】
合成例1〜4
還流冷却器付1L(リットル)4つ口フラスコに、水220gと、PVA(重合度550、けん化度88.2モル%)、非イオン界面活性剤(ノニポール200,ノニポール400、三洋化成(株)製)を第1表に示す量で添加し、95℃でPVAおよび界面活性剤を溶解した後、室温まで冷却した。次に過酸化水素0.4g,ロンガリット2gを開始剤として、酢酸ビニル(VAc)、アクリル酸2−エチルへキシル(2−EHA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、メタクリル酸−2−アセトアセトキシエチル(AAEM)を第1表に示す量で配合したものを3時間かけて連続的に添加し、乳化共重合して、ビニル共重合体エマルジョンを得た。
【0020】
得られたエマルジョンに、それぞれ、第2表に示す量のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(住友化学工業製スミカフレックス410:以下SF‐410と略。ポリビニルアルコール2%、Tg−20℃、1級ヒドロキシル基、カルボニル基を含まない、スミカフレックス480:以下SF‐480と略。ポリビニルアルコール2%、Tg−0℃、カルボニル基としてアセトアセチル基を含む)、ポリビニルアルコール(重合度1750,けん化度88.2モル%)、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、フタル酸ジ−n−ブチルを混合してA)液を作製し、このA)液100質量部に対して、B)液として、ビューレット結合により3量化されたヘキサメチレンジイソシアネート 住友バイエルウレタン製N3200を5質量部配合した。これらを配合した接着剤を用いて、ガラス転移温度の測定および接着試験を実施した。結果を第2表に示す。
【0021】
実施例1〜4と比較例1との比較により、ガラス転移温度が−20℃以下であることの必要性が、比較例2、3との比較においては、1級ヒドロキシル基含有ビニル共重合樹脂の必要性が明らかであり、これらのいずれかが欠けると、各種フィルムへの適応幅または耐熱性のいずれかが劣ることが示されている。また、実施例5〜7と比較例2、4を比較すると、1級ヒドロキシル基含有ビニル共重合樹脂の比率が高い程耐熱クリープ性能が向上し、ポリビニルアルコールが多くなるにつれて、初期接着性が低下、各種フィルムへの適応幅が狭くなる傾向が明らかであり、それぞれの含有量が本発明の範囲内である必要性を説明している。実施例4には、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートおよびまたは2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールジイソブチレートを用いずに、代わりにフタル酸ジ−n−ブチルを用いてガラス転移温度を−20℃以下に調整したものも、充分な性能を有することを示している。しかしながら、フタル酸ジ−n−ブチルは、内分泌かく乱物質の疑いのある化合物であり、安全性、低VOC化という観点からは、他の実施例に劣る。
【0022】
【表1】
Figure 0004543365
【0023】
【表2】
Figure 0004543365
【0024】
【表3】
Figure 0004543365
【0025】
〔実施例9、10〕
この例は、請求項3に記載の経済性・性能・安全性において、最も適した1級ヒドロキシル基含有ビニル共重合樹脂の作用について説明するものである。
合成例5
第3表に示した配合成分▲1▼、▲2▼、▲3▼を攪拌機、ジムロート、温度計、滴下ロートを備えた1L容量の4つ口フラスコに入れ、攪拌しながら、90℃まで加熱してポリビニルアルコールを完全に溶解させるまで保温した。その後、液温を75℃に下げ、▲4▼ゲル分率抑制剤、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを添加した。続いて▲5▼過硫酸アンモニウムを添加し、直ちに▲6▼モノマー混合液の滴下を始めた。モノマー混合液を約2時間30分かけて全量を滴下した後、内温を80℃〜85℃に保って30分間攪拌を続けた。その後▲7▼過硫酸アンモニウムを添加した後85℃に加熱し、そのまま30分間攪拌を続けた後、30℃まで冷却し取り出して目的とするエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの、ビニル共重合樹脂含量、ポリビニルアルコール含量および、ゲル分率、ガラス転移温度を第3表に示す。
【0026】
なお、ゲル分率とは、以下の方法により測定されるものをいう。エマルジョンをナス型フラスコで凍結乾燥し不揮発分を測定する。次に、室温にてアセトンを用いて3回抽出操作をおこなった(抽出分を真空乾燥したもの=アセトン可溶分を測定)後、抽出残渣を70℃の温水浴中で3回抽出(抽出分を凍結乾燥したもの=水可溶分を測定)した残渣重量(ゲル分)を測定した後、下記の計算式で求められるものである。上記各工程を図式的に示すと下記のとおり。
凍結乾燥(不揮発分▲1▼) →アセトン抽出→アセトン可溶分▲2▼
→温水抽出(70 ℃)→水可溶分▲3▼
アセトン・水不溶分▲4▼(ゲル分)
注:可溶分(+)はアセトン可溶分+水可溶分を示す。
計算式: ゲル分率(%)=〔▲4▼(ゲル分)/▲1▼(不揮発分)〕×100
【0027】
【表4】
Figure 0004543365
【0028】
得られた水性エマルジョンをそのままA)液とし、このA)液100質量部に対して、B)液として、第4表に示すものを、第4表で示したごとく配合した。これらを配合した接着剤を用いて、ガラス転移温度の測定および接着試験を実施した。結果を第4表に示す。得られた試験結果は、比較例はもとより、実施例1〜8に示したものを上回る、初期接着性、被着材適応幅、耐熱クリープ性能を示した。
【0029】
【表5】
Figure 0004543365
【0030】
〔実施例11〜23〕と〔比較例5〜6〕
以下の例は、請求項4に記載のアニオン性ポリウレタンエマルジョンおよび/または無機充填剤の作用について説明するものである。以下の実施例の内、実施例9‐2、14、17、22、23は、本発明の請求項1〜3の範囲にありかつ、請求項4については比較例となるものである。これらと、実施例11以下の他の例との比較から、アニオン性ポリウレタンエマルジョンおよび/または無機充填剤量の範囲が、1質量%未満では接着性能がやや劣り、配合後の経時性能変化が著しく、30質量%を超えると初期接着性能が著しく劣ることが明らかである。
また、比較例5、6には、特許文献3にあるSF‐410(ポリビニルアルコール含有、1級ヒドロキシル基非含有)とアニオン性ポリウレタンエマルジョンとの組み合わせの例であるが、アニオン性ポリウレタンエマルジョンの配合率を30質量%を超えて配合しないと、良好な接着性能が得られないが、この場合初期接着性能が著しく劣っており、本発明の目的を達するには、アニオン性ポリウレタンエマルジョンおよび/または無機充填剤は、所定量の1級ヒドロキシル基を含むビニル共重合樹脂と組み合わせて用いる必要があることを示している。
【0031】
第5表に示すごとく、ヒドロキシル基含有ビニル共重合樹脂エマルジョン(合成例5)、1級ヒドロキシル基非含有ビニル共重合樹脂エマルジョン(SF‐410)、アニオン性ポリウレタンエマルジョン(ポリエステル・芳香族イソシアネート系:以下PUREと略)、無機充填剤(水酸化アルミニウム粉末)を配合してA)液とし、第5表に示すごとくポリメリックMDI(住友バイエルウレタン製44V20:高反応性有機ポリイソシアネートの例、以下pMDIと略)、ビューレット結合により3量化されたヘキサメチレンジイソシアネート(住友バイエルウレタン製N3200:低反応性有機ポリイソシアネートの例、以下b3HDIと略)を単独もしくは混合してB)液とした。これらを、第5表に示す比率で配合した接着剤を用いて、ガラス転移温度の測定をおこなった。接着試験は、A)液とB)液を配合した直後および30℃で2時間放置した後に実施した。結果を第5表に示す。
【0032】
【表6】
Figure 0004543365
【0033】
【表7】
Figure 0004543365
【0034】
【表8】
Figure 0004543365
【0035】
【表9】
Figure 0004543365
【0036】
【表10】
Figure 0004543365
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、各種プラスチック材料を貼り合わせるために使用する接着剤において、作業環境改善や接着製品から放散する有害化学物質の低減を目的とした接着剤の低VOC化をはかろうとするする際に、本発明は、従来技術ではいずれかが欠如していた、幅広い材料に対する接着性、接着耐久性、初期接着性、経済性の諸性能を同時に高次元に満足することができる水性接着剤組成物である。

Claims (3)

  1. A)ポリビニルアルコールを固形分換算で0.5〜7.5質量%、分子内に1級ヒドロキシル基および/またはカルボニル基を有するビニル共重合樹脂を固形分換算で30〜99質量%含む水性エマルジョン100質量部に対して、B)有機ポリイソシアネート化合物を0.5〜10質量部配合してなり、可塑剤としてA)成分およびB)成分のいずれか、もしくは両方に、全組成物中0.1〜10質量%の2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートおよび/または2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールジイソブチレートを含むことを特徴とする、ガラス転移温度が−20℃以下の2液型接着剤組成物。
  2. ビニル共重合樹脂が、ゲル分率抑制剤の存在下、全単量体100質量部に対して0.5〜10質量部のポリビニルアルコールを乳化安定剤として用い、界面活性剤を用いず、a)酢酸ビニル単量体1〜50質量%、b)(メタ)アクリル酸エステル単量体30〜95質量%、c)(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステル、N−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルから選ばれる1種または2種以上の単量体を0.5〜20質量%および、d)酢酸ビニルおよび/または(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体0〜30質量%を乳化共重合して得られる、ゲル分率が0〜30質量%である酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. アニオン性ポリウレタンエマルジョンおよび/または無機充填剤を全組成物中に固形分で1〜30質量%含む、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
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