JP2002322359A - ウレタン−アクリル複合フィルムとその製造法 - Google Patents

ウレタン−アクリル複合フィルムとその製造法

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JP2002322359A
JP2002322359A JP2001124737A JP2001124737A JP2002322359A JP 2002322359 A JP2002322359 A JP 2002322359A JP 2001124737 A JP2001124737 A JP 2001124737A JP 2001124737 A JP2001124737 A JP 2001124737A JP 2002322359 A JP2002322359 A JP 2002322359A
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acrylic
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acryl
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Yohei Maeno
洋平 前野
Hiroko Yamamoto
裕子 山本
Yoshitoku Yoshida
良徳 吉田
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性にすぐれ、かつ強度および伸び特性な
どにすぐれて、これら特性の設計が容易である、表面保
護用粘着シートの支持体などに適したウレタン−アクリ
ル複合フィルムを製造する。 【解決手段】 ポリオール成分にガラス転移温度が26
3K以上のカルボキシル基含有アクリルポリオール成分
を混合し、これにポリイソシアネート成分を反応させて
イソシアネートプレポリマーを生成し、このプレポリマ
ーを上記カルボキシル基を中和して水に分散させ、イソ
シアネート基の反応による主鎖延長を行って、ウレタン
−アクリル水分散体を得、またこれにさらに(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマーを加
えて重合処理して、水分散体を得、これらの水分散体を
フィルム化して、ウレタン−アクリルポリマーまたはこ
れとアクリルポリマーを含有するウレタン−アクリル複
合フィルムを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面保護用粘着シ
ートの支持体などとして用いられるウレタン−アクリル
複合フィルムとその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】粘着シートの支持体には、ポリオレフィ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リウレタン、不織布、ゴムなどの各種ポリマーフィルム
や紙などが用いられている。このような支持体の片面ま
たは両面に粘着剤層を設けた各種の粘着シートが実用化
され、多くの用途で利用されている。
【0003】ポリウレタンは、ポリオールやポリイソシ
アネートの種類などにより、物性を大きく変化できるの
で、フィルムのみならず、塗料や接着剤など、工業的に
広く利用されている。また、アクリルポリマーは、耐候
性や耐熱性にすぐれるため、広く応用されているが、熱
可塑性ポリマーであるが故に、感温性に劣ることも認め
られている。このため、従来より、上記両ポリマーの特
徴を生かす工夫が行われ、アクリルポリオールを用いた
ポリウレタンが耐候性にすぐれたものとして、シーリン
グ材などに実用化されている。
【0004】また、近年、環境対策面から、有機溶剤を
用いないポリウレタンの合成も検討されており、たとえ
ば、特開平10−53709号公報などにおいて、水分
散型のポリウレタンの検討がなされている。しかし、水
媒体中での主鎖延長が十分に行われにくく、物性的に限
度があり、また高分子量のポリウレタンを水に分散させ
るには有機溶剤が必要となつたり、乳化剤を使用する必
要があり、耐水性などに悪影響を与える問題があった。
一方、アクリルポリマーは、乳化重合が容易であり、そ
れにより高分子量体を得ることができるが、乳化剤を使
用する必要があるため、物性や耐水性に悪影響を与える
問題があった。
【0005】このような物性や耐水性を解決する方法と
して、米国特許第5173526号明細書に、アクリル
とウレタンをハイブリッド化する試みがなされている。
また、乳化剤を用いない手法として、特開2000−1
19508号公報に、カルボン酸を持つアクリル成分を
分散剤として用いる手法が提案されている。しかし、こ
れらの方法によっても、ポリマー物性を調整するのは容
易ではなく、とくに強度や伸び特性にすぐれたものは得
られにくく、粘着シートの支持体などに適したポリマー
物性を十分に発揮させることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
照らし、ウレタン−アクリルポリマーまたはこれとアク
リルポリマーとが乳化剤を用いることなく水に安定に分
散された水分散体を得、これをフィルム化して、耐水性
にすぐれ、かつ強度および伸び特性などにすぐれて、こ
れら特性の設計が容易である、表面保護用粘着シートの
支持体などに適したウレタン−アクリル複合フィルムを
得ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、ポリオール成分
と特定のカルボキシル基含有アクリルポリオール成分と
ポリイソシアネート成分とからイソシアネートプレポリ
マーを得、これを水媒体中で主鎖延長してウレタン−ア
クリルポリマーを生成させるか、これにさらにアクリル
系モノマーを加えて重合処理してアクリルポリマーを生
成させると、ウレタン−アクリルポリマーまたはこれと
アクリルポリマーとが乳化剤を用いることなく水に安定
に分散された水分散体が得られ、これをフイルム化する
ことにより、耐水性にすぐれ、かつ強度および伸び特性
などにすぐれて、これら特性の設計が容易に行える、表
面保護用粘着シートの支持体などに適したウレタン−ア
クリル複合フィルムが得られることを見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、ポリオール成分10
〜50重量%、ポリイソシアネート成分2〜20重量%
およびガラス転移温度が263K以上のカルボキシル基
含有アクリルポリオール成分40〜88重量%からなる
ウレタン−アクリルポリマーを必須成分としたことを特
徴とするウレタン−アクリル複合フィルムに係るもので
ある。また、本発明は、上記のウレタン−アクリルポリ
マーのほかに、アクリルポリマーを含有してなり、両者
の合計量中、ウレタン−アクリルポリマーが20〜90
重量%、アクリルポリマーが80〜10重量%である上
記構成のウレタン−アクリル複合フィルムに係るもので
ある。
【0009】とくに、本発明は、ポリオール成分が、ポ
リエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールで
ある上記構成のウレタン−アクリル複合フィルム、カル
ボキシル基含有アクリルポリオール成分が、構成モノマ
ーとしてポリマーのガラス転移温度が313K以上とな
るモノマーを含んでいる上記構成のウレタン−アクリル
複合フィルム、破断強度が17N/mm2 以上で、破断伸
びが350%以上である上記構成のウレタン−アクリル
複合フィルムに係るものである。
【0010】また、本発明は、上記各構成のウレタン−
アクリル複合フィルムの製造法として、ポリオール成分
にガラス転移温度が263K以上のカルボキシル基含有
アクリルポリオール成分を混合し、これにポリイソシア
ネート成分を反応させてイソシアネートプレポリマーを
生成し、このプレポリマーを上記カルボキシル基を中和
して水に分散させ、イソシアネート基の反応による主鎖
延長を行って、ウレタン−アクリル水分散体を得、これ
をフィルム化することを特徴とするウレタン−アクリル
複合フィルムの製造法と、上記方法で得たウレタン−ア
クリル水分散体に、さらに(メタ)アクリル酸アルキル
エステルを主成分とするモノマーを加えて重合処理し、
これをフィルム化することを特徴とするウレタン−アク
リル複合フィルムの製造法とに係るものである。
【0011】さらに、本発明は、上記各構成のウレタン
−アクリル複合フィルムを支持体とし、この支持体の片
面または両面に粘着剤層を設けたことを特徴とする粘着
シートを提供できるものである。また、本発明は、この
粘着シートからなることを特徴とする表面保護用粘着シ
ートを提供できるものである。なお、本発明における
「粘着シート」および「表面保護用粘着シート」には、
通常幅広のシート状物のほか、これを幅狭に裁断したテ
ープ状物や、その他ラベル状物としたものなど、任意形
状の粘着製品を含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリオール成分
は、1分子中に2個またはそれ以上の水酸基を有するも
のであつて、ポリエーテルポリオールまたはポリエステ
ルポリオールを主体としたものが好ましく用いられる。
このポリオール成分の分子量は、ゲルパーミエーシヨン
クロマトグラフイー(GPC)により測定される数平均
分子量が500〜4,000の範囲にあるのが好まし
い。ポリオール成分の分子量が小さすぎると、ウレタン
のハードセグメントが多くなり、生成ポリマーが硬くな
りすぎ、また分子量が大きすぎると、水への分散性に劣
りやすい。
【0013】上記のポリエーテルポリオールとしては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレング
リコールなどの2価アルコール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アル
コールなどの低分子ポリオールまたはこれらの環状低分
子ポリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイド、テトラヒドロフランなどを付加重合させてなる
ものが用いられる。また、上記のポリエステルポリオー
ルとしては、上記の2価アルコール、ジプロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールと、
アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸
との重縮合物などが用いられる。
【0014】本発明におけるポリイソシアネート成分と
しては、芳香族、脂肪族または脂環式のポリイソシアネ
ートをいずれも使用できる。ポリオール成分との速やか
な反応および水との反応の抑制の点から、イソホロンジ
イソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシネ
ートなどの脂環式ポリイソシアネートを使用するのがと
くに好ましい。また、ポリイソシアネート成分は、上記
のようなジイソシアネートが好ましいが、必要によりト
リ以上のポリイソシアネートを使用することもできる。
【0015】本発明におけるカルボキシル基含有アクリ
ルポリオール成分は、分子内に水分散を容易にする中和
用のカルボキシル基とポリイソシアネート成分との反応
に関与する水酸基とを有するアクリル重合体であって、
ガラス転移温度が263K以上、好ましくは280K以
上、さらに好ましくは300K以上(通常は、376K
まで)であるものが用いられる。ガラス転移温度が26
3Kに満たないものでは、強度などの物性にすぐれるウ
レタン−アクリル複合フィルムを得ることが難しくな
る。
【0016】カルボキシル基含有アクリルポリオール成
分は、GPCによる数平均分子量が3,000〜20,
000、カルボキシル基が0.0007〜0.003当
量/g、水酸基が0.00005〜0.0007当量/
gであるのがよい。分子量が低すぎるとポリマーが硬く
なりすぎ、高すぎると水への分散性に劣りやすい。カル
ボキシル基が少なすぎると水への分散性に劣り、多すぎ
ると水を吸収するだけで分散しなくなる。水酸基が少な
すぎるとポリイソシアネート成分に対するポリオール成
分との共反応性に劣り、ウレタン−アクリル成分の相分
離が起こってポリマー物性が不安定となり、多すぎると
ポリマーが硬くなる。
【0017】このようなカルボキシル基含有アクリルポ
リオール成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
を主成分とし、これにカルボキシル基含有モノマーを加
えたモノマー混合物で、そのコポリマーのガラス転移温
度が263K以上となるものを使用し、このモノマー混
合物を、重合開始剤と水酸基を有する連鎖移動剤を用い
て、常法により共重合させることにより、得ることがで
きる。
【0018】コポリマーのガラス転移温度Tgは、通
常、下記の式: 1/Tg=W1 /Tg1 +W2 /Tg2 +………+Wn /Tgn Tg:コポリマーのガラス転移温度 W1 〜Wn :各モノマーの重量分率 Tg1 〜Tgn :各モノマーのホモポリマーのガラス転
移温度 で表される。このため、モノマー組成を選択することに
より、得られるコポリマーのガラス転移温度を任意に設
定することができる。
【0019】このようなモノマー混合物の中でも、主成
分である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、
ポリマー(ホモポリマー)のガラス転移温度が313K
以上となるモノマーを含み、これにカルボキシル基含有
モノマーを加えたモノマー混合物を使用するのが好まし
い。上記のポリマーのガラス転移温度が313K以上と
なるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸t−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどがある。ま
た、上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、(メ
タ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などがある。
【0020】また、主成分となる(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルとしては、上記のほかに、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチ
ル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イ
ソノニルなどを使用することができる。
【0021】さらに、モノマー混合物中、50重量%を
超えない範囲で、共重合可能な他のモノマーを併用して
もよい。たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モ
ノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレンま
たはその誘導体、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸
のモノまたはジエステル、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N
−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、オ
リゴエステル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクト
ン(メタ)アクリレートなどが用いられる。
【0022】上記の共重合に際し、水酸基を有する連鎖
移動剤の量を調整し、温度や時間などの重合条件を選択
することにより、アクリルポリオールの分子量を前記範
囲に容易に設定できる。また、この分子量の設定に加え
て、カルボキシル基含有モノマーの量を調整することに
より、アクリルポリオールの分子内に含まれるカルボキ
シル基の量を前記範囲に容易に設定できる。さらに、水
酸基を有する連鎖移動剤の量を調整することにより、分
子量の設定とともに、アクリルポリオールの分子内に含
まれる水酸基の量を前記範囲に容易に設定できる。
【0023】また、水酸基を有する連鎖移動剤を用いる
と、この水酸基がアクリルポリオールの分子末端に導入
されることになり、このように分子末端に導入すると、
これとポリイソシアネート成分との反応により分子鎖長
の長いウレタンプレポリマーが生成し、最終的に高分子
量化したときの物性に好結果が得られる。なお、この水
酸基を有する連鎖移動剤とともに、必要により、前記し
た水酸基含有モノマーを用いて、このモノマーに由来す
る水酸基を重合体分子内の任意の位置に導入させてもよ
い。アクリルポリオールの分子内に含まれる水酸基の量
には、上記の任意位置に導入される水酸基も当然含まれ
るものである。
【0024】水酸基を有する連鎖移動剤としては、2−
メルカプトエタノール、1−メルカプト−2−プロパノ
ール、3−メルカプト−1−プロパノール、p−メルカ
プトフエノールなどが挙げられる。重合開始剤として
は、2,2−アゾビスイソブロニトリルなどのアゾ系開
始剤や、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパ
ーオキサイドなどの過酸化物系開始剤が用いられる。こ
れらの重合開始剤は、重合体の分子量などに応じて、適
量の使用量が選択される。
【0025】なお、上記したカルボキシル基含有アクリ
ルポリオール成分の製造は、ポリオール成分の存在下で
行う、つまり、ポリオール成分に上記のモノマー混合
物、重合開始剤および水酸基を有する連鎖移動剤を加え
て共重合させるのが望ましい。この方法では、ポリオー
ル成分が重合溶媒として機能するため、有機溶剤などを
使用することなく、穏やかな重合反応を安定に進めるこ
とができ、また生成したアクリルポリオール成分の一部
がポリオール成分にグラフトするため、ポリオール成分
とアクリルポリオール成分との相溶性に好結果が得られ
る。
【0026】このような方法により、ポリオール成分と
カルボキシル基含有アクリルポリオール成分との混合物
が得られるが、上記両成分の割合は、ポリオール成分が
20〜80重量%、カルボキシル基含有アクリルポリオ
ール成分が80〜20重量%であるのがよく、このよう
な割合となるように、共重合前にポリオール成分とモノ
マー混合物の使用量を適宜決めればよい。ポリオール成
分が過少では水分散性に劣り、過多となると水分散体の
安定性が悪くなる。なお、カルボキシル基含有アクリル
ポリオール成分の製造をポリオール成分の非存在下で行
う場合には、共重合後にポリオール成分と混合して、上
記同様の混合物を調製する。
【0027】本発明においては、このようなポリオール
成分とカルボキシル基含有アクリルポリオール成分との
混合物にポリイソシアネート成分を反応させてイソシア
ネートプレポリマーを生成し、このプレポリマーを上記
のアクリルポリオール成分に含まれるカルボキシル基を
中和して、水に分散させたのち、イソシアネート基の反
応による上記プレポリマーの主鎖延長を行って、分子鎖
長の長いウレタン−アクリルポリマーを生成させ、この
ウレタン−アクリルポリマーが乳化剤を用いることなく
水中に安定に分散されたウレタン−アクリル水分散体を
得る。
【0028】上記の反応にあたり、ポリイソシアネート
成分は、混合物中の水酸基の全量に対して、2〜5倍当
量、好ましくは2.1〜3倍当量の使用量とするのがよ
く、過少ではこの段階で主鎖延長が起こって高粘度とな
るため水分散が難しくなり、過多となると未反応のポリ
イソシアネート成分が残存する心配がある。さらに、上
記の反応は、反応系内の水分を除去したのち、ジブチル
チンジラウレートなどの適宜の反応触媒を加えて加熱処
理する方式で行えばよい。
【0029】また、中和には、トリエチルアミンやアン
モニアなどの塩基が用いられる。分散は、中和後の上記
プレポリマーに水を加えるか、中和後の上記プレポリマ
ーを水に加えて行えばよく、その際、攪拌しながら均一
に分散させる。さらに、上記の主鎖延長に際しては、エ
チレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミンなどのポリアミンを、上記ウレタンプレポリマ
ーに残存するイソシアネート基に対し、当量となる割合
で用いて、反応させるのが望ましい。
【0030】このようなウレタン−アクリル水分散体を
得るにあたり、原料成分の各割合としては、ウレタン−
アクリルポリマーの水分散性やフィルム化物の強度や伸
び特性などの面より、ポリオール成分が10〜50重量
%、好ましくは20〜40重量%、ポリイソシアネート
成分が2〜20重量%、好ましくは5〜15重量%であ
り、カルボキシル基含有アクリルポリオール成分が40
〜88重量%、好ましくは50〜75重量%であるのが
よい。
【0031】ポリオール成分が10重量%未満では水へ
の分散性に劣り、50重量%を超えるとポリマーの初期
弾性率が十分なものとなりにくい。また、ポリイソシア
ネート成分は、上記のポリオール成分に対応して、その
使用量が決められるが、この使用量が2重量%未満とな
ると水への分散性に劣り、20重量%を超えるとポリマ
ーの伸びが小さくなりやすい。また、カルボキシル基含
有アクリルポリオール成分が40重量%未満となるとポ
リマーの引張弾性率や応力低下率が悪くなり、88重量
%を超えると水への分散性に劣りやすい。
【0032】本発明においては、このようにして得られ
るウレタン−アクリル水分散体に、さらに(メタ)アク
リル酸アルキルエステルを主成分とするモノマーを加え
て重合処理することにより、ウレタン−アクリルポリマ
ーとともにアクリルポリマーを含有する水分散体を調製
することができる。
【0033】上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを主成分とするモノマーは、そのポリマ―(ホモポリ
マーまたはコポリマー)のガラス転移温度が273K以
上、とくに300K以上となるモノマーであるのが望ま
しい。具体的には、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸イソボルニルなどを主体としたモノ
マーが好ましく用いられる。このようなモノマーを加え
て重合処理することにより、生成ポリマーの水分散性、
フイルム化物の強度や伸び特性などの物性をより容易に
調整できるという格別の効果が奏される。
【0034】上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを主成分とするモノマーの使用量は、ウレタン−アク
リル水分散体に含まれるウレタン−アクリルポリマー2
0〜90重量%、好ましくは30〜80重量%に対し
て、上記モノマーを重合処理して得られるアクリルポリ
マーが80〜10重量%、好ましくは70〜20重量%
となるような割合とするのがよい。この範囲外となる
と、重合処理中に凝集物が発生するなど、安定な水分散
体が得られにくい。
【0035】重合処理は、ウレタン−アクリル水分散体
に上記のモノマーを加え、このモノマーを上記水分散体
のウレタン−アクリルポリマー粒子に十分に吸収させ、
重合開始剤を加えて常法により加熱処理する方法によ
り、行うことができる。重合開始剤としては、一般の乳
化重合に使用される過硫酸アンモニウムなどの過酸化物
や水溶性のアゾ化合物が用いられるが、水中にイオン生
成物を発生しないアゾ化合物を用いるのが最も好まし
い。また、油溶性の重合開始剤を使用するときは、あら
かじめ上記のモノマーに混合して添加すればよい。
【0036】このようして得られる水分散体は、ウレタ
ン−アクリルポリマーまたはこれとアクリルポリマーと
が乳化剤を使用することなく水中に均一に分散された、
固形分濃度が通常25〜60重量%の水分散体であつ
て、この水分散体には、必要に応じて、架橋剤、充填
剤、顔料、繊維状物質、発泡剤などを配合してもよく、
また、老化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤を配合す
ることもできる。
【0037】本発明においては、この水分散体を剥離性
基材上に塗布し乾燥するなどして、フィルム化し、厚さ
が通常10〜200μmの非粘着性のウレタン−アクリ
ル複合フィルムとする。この複合フィルムは、耐水性に
すぐれ、かつ強度や伸び特性などにすぐれており、とく
に引張試験(幅約20mm、長さ10mm、300mm/分の
引張速度)による破断強度が17N/mm2 以上、好まし
くは20N/mm2 以上(通常35N/mm2 以下)であ
り、破断伸びが350%以上、好ましくは400%以上
(通常1,000%以下)となるものである。また、こ
れら物性は、原料組成(ウレタン−アクリル水分散体を
構成するポリオール成分、ポリイソシアネート成分およ
びカルボキシル基含有アクリルポリオール成分、重合処
理時に加えるアクリルモノマーの種類や量)により、容
易に調整できる。
【0038】本発明のウレタン−アクリル複合フィルム
は、上記すぐれた特性を有していることにより、表面保
護用粘着シートの支持体として、とくに好適に用いられ
る。この場合、ウレタン−アクリル複合フィルムからな
る支持体の片面または両面にアクリル系やウレタン−ア
クリル系などの適宜の粘着剤組成物を塗布し乾燥して厚
さが通常2〜50μmの粘着剤層を設けて、粘着シート
とすればよい。この粘着シートは、表面保護用粘着シー
トとして好適に用いられるが、場合によって、表面保護
用以外の用途に使用することもできる。
【0039】また、本発明のウレタン−アクリル複合フ
ィルムは、粘着シート以外の各種の用途に使用できるも
のであり、たとえば、ドレッシング、救急絆、外科用テ
ープなどの医療用テープの支持体などとしても有用であ
る。これらの用途に使用する際、ウレタン−アクリル複
合フィルムをこれ単独で使用してもよいし、他のプラス
チツクフィルムや紙などとの積層体としても使用しても
よい。さらに、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製
する前のウレタン−アクリル水分散体などを不織布など
の材料に含浸させた形態で使用することもできる。
【0040】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重
量部を意味する。
【0041】実施例1 ポリオール成分として、数平均分子量3,000のポリ
テトラメチレングリコール(水酸基0.00067当量
/g)を用いた。このポリオール成分100部に、アク
リル酸ブチル45部、メタクリル酸イソボルニル45部
およびアクリル酸10部からなるモノマー混合物(コポ
リマーのTg302K)、水酸基を有する連鎖移動剤と
して2−メルカプトエタノール2部、重合開始剤として
2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え
て、窒素気流下、60℃で2時間、70℃で1時間共重
合反応を行い、粘稠液体を得た。
【0042】この粘稠液体は、GPCによる測定で、ポ
リオール成分(ポリテトラメチレングリコール)に由来
する数平均分子量3,000のピークと、カルボキシル
基含有アクリルポリオール成分に由来する数平均分子量
7,500のピークが認められ、ポリオール成分とカル
ボキシル基含有アクリルポリオール成分との混合物であ
ることが確認された。上記アクリルポリオール成分のカ
ルボキシル基は0.0014当量/g、水酸基は0.0
0025当量/gであった。
【0043】このような混合物からなる粘稠液体を、1
00℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した
のち、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート36.31部(全水酸基に対してイソシアネート基
が3.0倍当量)を加え、さらにジブチルチンジラウレ
ート0.05部を加えて、65℃で1時間反応させるこ
とにより、イソシアネートプレポリマーを合成した。
【0044】つぎに、このイソシアネートプレポリマー
に、トリエチルアミン14.04部(カルボキシル基に
対して等当量)を加えて、カルボキシル基を中和したの
ち、攪拌しながら、水400部を加えて、上記プレポリ
マーを水に分散させた。ついで、エチレンジアミンを加
えて、65℃で1時間反応させて、主鎖延長を行うこと
により、ウレタン−アクリルポリマーが水に安定に分散
されたウレタン−アクリル水分散体を得た。このように
して得たウレタン−アクリル水分散体を、剥離処理した
ポリエステルフィルム上に塗布し、130℃で3分間乾
燥して、厚さが50μmである均一なウレタン−アクリ
ル複合フィルムを作製した。
【0045】実施例2 実施例1で得たウレタン−アクリル水分散体148.8
部に、水76.6部を加え、均一に攪拌したのち、アク
リル酸イソボルニル(ホモポリマーのTg367K)2
5部を加え、窒素気流下で1時間撹拌して、上記モノマ
ーをウレタン−アクリルポリマー粒子に吸収させた。5
0℃に昇温し、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾ
リン−2−イル)〕プロパン0.025部を加え、重合
反応を開始し、50℃で2時間保持し、さらに60℃に
昇温して1時間保持して、冷却した。この重合処理によ
り、ウレタン−アクリルポリマーとアクリルポリマーと
が水に安定に分散された水分散体が得られた。この水分
散体を用いて、以下、実施例1と同様にして、ウレタン
−アクリル複合フィルムを作製した。
【0046】実施例3 ポリオール成分として、数平均分子量3,000のポリ
テトラメチレングリコール(水酸基0.00067当量
/g)を用いた。このポリオール成分100部に、アク
リル酸エチル45部、メタクリル酸イソボルニル45部
およびアクリル酸10部からなるモノマー混合物(コポ
リマーのTg326K)、水酸基を有する連鎖移動剤と
して2−メルカプトエタノール2部、重合開始剤として
2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、
窒素気流下、60℃で2時間、70℃で1時間共重合反
応を行い、粘稠液体を得た。
【0047】この粘稠液体は、GPCによる測定で、ポ
リオール成分(ポリテトラメチレングリコール)に由来
する数平均分子量3,000のピークと、カルボキシル
基含有アクリルポリオール成分に由来する数平均分子量
7,300のピークが認められ、ポリオール成分とカル
ボキシル基含有アクリルポリオール成分との混合物であ
ることが確認された。上記アクリルポリオール成分のカ
ルボキシル基は0.0014当量/g、水酸基は0.0
0025当量/gであった。
【0048】このような混合物からなる粘稠液体を、1
00℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した
のち、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート36.31部(全水酸基に対してイソシアネート基
が3.0倍当量)を加え、さらにジブチルチンジラウレ
ート0.05部を加えて、65℃で1時間反応させるこ
とにより、イソシアネートプレポリマーを合成した。
【0049】つぎに、このイソシアネートプレポリマー
に、トリエチルアミン14.04部(カルボキシル基に
対して等当量)を加えて、カルボキシル基を中和したの
ち、攪拌しながら、水400部を加え、上記プレポリマ
ーを水に分散させた。エチレンジアミンを加え、65℃
で1時間反応させて、主鎖延長を行い、ウレタン−アク
リルポリマーが水に安定に分散されたウレタン−アクリ
ル水分散体を得た。この水分散体を使用して、以下、実
施例1と同様にして、ウレタン−アクリル複合フィルム
を作製した。
【0050】実施例4 実施例3で得たウレタン−アクリル水分散体148.4
部に、水76.6部を加え、均一に攪拌したのち、メタ
クリル酸イソボルニル(ホモポリマーのTg453K)
25部を加え、窒素気流下で1時間撹拌して、上記モノ
マーをウレタン−アクリルポリマー粒子に吸収させた。
50℃に昇温し、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダ
ゾリン−2−イル)〕プロパン0.025部を加え、重
合反応を開始し、50℃で2時間保持し、さらに60℃
に昇温して1時間保持して、冷却した。この重合処理に
より、ウレタン−アクリルポリマーとアクリルポリマー
とが水に安定に分散された水分散体が得られた。この水
分散体を用いて、以下、実施例1と同様にして、ウレタ
ン−アクリル複合フィルムを作製した。
【0051】比較例1 ポリオール成分として、数平均分子量3,000のポリ
テトラメチレングリコール(水酸基0.00067当量
/g)を用いた。このポリオール成分100部に、アク
リル酸ブチル45部、アクリル酸メチル45部およびア
クリル酸10部からなるモノマー混合物(コポリマーの
Tg256K)、水酸基を有する連鎖移動剤として2−
メルカプトエタノール2部、重合開始剤として2,2−
アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、窒素気流
下、60℃で2時間、70℃で1時間共重合反応を行
い、粘稠液体を得た。
【0052】この粘稠液体は、GPCによる測定で、ポ
リオール成分(ポリテトラメチレングリコール)に由来
する数平均分子量3,000のピークと、カルボキシル
基含有アクリルポリオール成分に由来する数平均分子量
7,400のピークが認められ、ポリオール成分とカル
ボキシル基含有アクリルポリオール成分との混合物であ
ることが確認された。上記アクリルポリオール成分のカ
ルボキシル基は0.0014当量/g、水酸基は0.0
0025当量/gであった。
【0053】このような混合物からなる粘稠液体を、1
00℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した
のち、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート36.31部(全水酸基に対してイソシアネート基
が3.0倍当量)を加え、さらにジブチルチンジラウレ
ート0.05部を加えて、65℃で1時間反応させるこ
とにより、イソシアネートプレポリマーを合成した。
【0054】つぎに、このイソシアネートプレポリマー
に、トリエチルアミン14.04部(カルボキシル基に
対して等当量)を加えて、カルボキシル基を中和したの
ち、攪拌しながら、水400部を加えて、上記プレポリ
マーを水に分散させた。ついで、エチレンジアミンを加
えて、65℃で1時間反応させて、主鎖延長を行い、ウ
レタン−アクリルポリマーが水に安定に分散されたウレ
タン−アクリル水分散体を得た。この水分散体を使用し
て、以下、実施例1と同様にして、ウレタン−アクリル
複合フィルムを作製した。
【0055】比較例2 比較例1で得たウレタン−アクリル水分散体142.9
部に、水82.2部を加え、均一に攪拌したのち、アク
リル酸イソボルニル25部を加え、窒素気流下で1時間
撹拌して、上記モノマーをウレタン−アクリルポリマー
粒子に吸収させた。50℃に昇温し、2,2−アゾビス
〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)〕プロパン0.
025部を加え、重合反応を開始し、50℃で2時間保
持し、さらに60℃に昇温して1時間保持して、冷却し
た。この重合処理により、ウレタン−アクリルポリマー
とアクリルポリマーとが水に安定に分散された水分散体
が得られた。この水分散体を用いて、以下、実施例1と
同様にして、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製し
た。
【0056】比較例3 ポリオール成分として、数平均分子量3,000のポリ
テトラメチレングリコール(水酸基0.00067当量
/g)を用いた。このポリオール成分100部に、アク
リル酸ブチル45部、メタクリル酸ブチル45部および
アクリル酸10部からなるモノマー混合物(コポリマー
のTg259K)、水酸基を有する連鎖移動剤として2
−メルカプトエタノール2部、重合開始剤として2,2
−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、窒素気
流下、60℃で2時間、70℃で1時間共重合反応を行
い、粘稠液体を得た。
【0057】この粘稠液体は、GPCによる測定で、ポ
リオール成分(ポリテトラメチレングリコール)に由来
する数平均分子量3,000のピークと、カルボキシル
基含有アクリルポリオール成分に由来する数平均分子量
7,700のピークが認められ、ポリオール成分とカル
ボキシル基含有アクリルポリオール成分との混合物であ
ることが確認された。上記アクリルポリオール成分のカ
ルボキシル基は0.0014当量/g、水酸基は0.0
0025当量/gであった。
【0058】このような混合物からなる粘稠液体を、1
00℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した
のち、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート36.31部(全水酸基に対してイソシアネート基
が3.0倍当量)を加え、さらにジブチルチンジラウレ
ート0.05部を加えて、65℃で1時間反応させるこ
とにより、イソシアネートプレポリマーを合成した。
【0059】つぎに、このイソシアネートプレポリマー
に、トリエチルアミン14.04部(カルボキシル基に
対して等当量)を加えて、カルボキシル基を中和したの
ち、攪拌しながら、水400部を加えて、上記プレポリ
マーを水に分散させた。ついで、エチレンジアミンを加
えて、65℃で1時間反応させて、主鎖延長を行い、ウ
レタン−アクリルポリマーが水に安定に分散されたウレ
タン−アクリル水分散体を得た。この水分散体を使用し
て、以下、実施例1と同様にして、ウレタン−アクリル
複合フィルムを作製した。
【0060】比較例4 比較例3で得たウレタン−アクリル水分散体142.9
部に、水82.2部を加え、均一に攪拌したのち、アク
リル酸イソボルニル25部を加え、窒素気流下で1時間
撹拌して、上記モノマーをウレタン−アクリルポリマー
粒子に吸収させた。50℃に昇温し、2,2−アゾビス
〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)〕プロパン0.
025部を加え、重合反応を開始し、50℃で2時間保
持し、さらに60℃に昇温して1時間保持して、冷却し
た。この重合処理により、ウレタン−アクリルポリマー
とアクリルポリマーとが水に安定に分散された水分散体
が得られた。この水分散体を用いて、以下、実施例1と
同様にして、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製し
た。
【0061】上記の実施例1〜4および比較例1〜4の
各ウレタン−アクリル複合フィルムについて、下記の方
法により、引張試験を行い、その引張弾性率、100%
モジュラス、破断強度および破断伸びを測定した。これ
らの測定結果は、後記の表1に示されるとおりであつ
た。
【0062】<引張試験>ウレタン−アクリル複合フィ
ルムを断面積約2mm2 となるようにサンプリングし、引
張試験機としてオートグラフAGS−50D型(島津製
作所製)を用い、チャック間距離10mmで、300mm/
分の引張速度で引張試験を行い、そのときの応力−ひず
み曲線を得る。その応力−ひずみ曲線の最初の直線部分
から、下記の式にしたがつて、引張弾性率を計算した。
また、100%モジュラスを求め、さらに、破断強度お
よび破断伸びを読み取つた。 F:引張応力 A:断面積 ΔL:歪み(伸び)の変化量 Lo:サンプルの初期長さ
【0063】
【0064】以上の結果から明らかなように、実施例1
〜4のウレタン−アクリル複合フィルムは、乳化剤を使
用することなく、ウレタン−アクリルポリマーまたはこ
れとアクリルポリマーとが水に安定に分散された水分散
体を調製し、これをフィルム化したものであるため、耐
水性にすぐれているとともに、引張り特性を高度に満足
しており、とくに破断強度が17N/mm2 以上、破断伸
びが350%以上というすぐれた特性を発揮するもので
あることがわかる。
【0065】これに対して、ウレタン−アクリル水分散
体の調製時に、カルボキシル基含有アクリルポリオール
成分としてガラス転移温度が263K未満となるものを
使用した比較例1〜4のウレタン−アクリル複合フィル
ムでは、上記の引張り特性に劣り、とくに破断強度が低
下するものであることがわかる。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、ポリ
オール成分とガラス転移温度が263K以上のカルボキ
シル基含有アクリルポリオール成分とポリイソシアネー
ト成分とからイソシアネートプレポリマーを得、このプ
レポリマーを水媒体中で主鎖延長してウレタン−アクリ
ルポリマーを生成させることにより、またこれにアクリ
ル系モノマーを加えて重合処理してアクリルポリマーを
生成させることにより、ウレタン−アクリルポリマーま
たはこれとアクリルポリマーとが乳化剤を用いることな
く水に安定に分散された水分散体を調製し、これを常法
によりフィルム化することにより、耐水性にすぐれ、か
つ強度および伸び特性などにすぐれて、これら特性の設
計が容易である、表面保護用粘着シートの支持体などに
適したウレタン−アクリル複合フィルムを得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 33/08 C08L 33/08 4J026 C09J 7/02 C09J 7/02 Z (72)発明者 吉田 良徳 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA33 AA53 AA77 AA86 AF15Y AF21Y AH04 BA06 BB02 BC01 4F100 AK25B AK41A AK51B AK51K AL01B AL05B AT00A BA02 BA04 BA07 BA10C BA10D EH462 GB90 JA05B JB07 JK01 JK08 JL13C JL13D YY00B 4J002 BG04X BG07X BN20W CK02W GG02 4J004 AA10 AA14 CA04 CA06 CB03 CC02 EA05 FA04 FA09 4J011 PA95 PB06 PC02 PC07 4J026 AB02 AC34 AC36 BA27 DB03 DB08 DB12 FA07 GA06 GA08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオール成分10〜50重量%、ポリ
    イソシアネート成分2〜20重量%およびガラス転移温
    度が263K以上のカルボキシル基含有アクリルポリオ
    ール成分40〜88重量%からなるウレタン−アクリル
    ポリマーを必須成分としたことを特徴とするウレタン−
    アクリル複合フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリオール成分は、ポリエーテルポリオ
    ールまたはポリエステルポリオールである請求項1に記
    載のウレタン−アクリル複合フィルム。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基含有アクリルポリオール
    成分は、構成モノマーとしてポリマーのガラス転移温度
    が313K以上となるモノマーを含んでいる請求項1ま
    たは2に記載のウレタン−アクリル複合フィルム。
  4. 【請求項4】 破断強度が17N/mm2 以上で、破断伸
    びが350%以上である請求項1〜3のいずれかに記載
    のウレタン−アクリル複合フィルム。
  5. 【請求項5】 ウレタン−アクリルポリマーのほかに、
    アクリルポリマーを含有してなり、両者の合計量中、ウ
    レタン−アクリルポリマーが20〜90重量%、アクリ
    ルポリマーが80〜10重量%である請求項1〜4のい
    ずれかに記載のウレタン−アクリル複合フィルム。
  6. 【請求項6】 ポリオール成分にガラス転移温度が26
    3K以上のカルボキシル基含有アクリルポリオール成分
    を混合し、これにポリイソシアネ―ト成分を反応させて
    イソシアネートプレポリマーを生成し、このプレポリマ
    ーを上記カルボキシル基を中和して水に分散させ、イソ
    シアネート基の反応による主鎖延長を行って、ウレタン
    −アクリル水分散体を得、これをフィルム化して、請求
    項1〜4のいずれかに記載のウレタン−アクリル複合フ
    ィルムを製造することを特徴とするウレタン−アクリル
    複合フィルムの製造法。
  7. 【請求項7】 請求項6の方法で得たウレタン−アクリ
    ル水分散体に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを
    主成分とするモノマーを加えて重合処理し、これをフィ
    ルム化して、請求項5に記載のウレタン−アクリル複合
    フィルムを製造することを特徴とするウレタン−アクリ
    ル複合フィルムの製造法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載のウレタ
    ン−アクリル複合フィルムを支持体とし、この支持体の
    片面または両面に粘着剤層を設けたことを特徴とする粘
    着シート。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の粘着シートからなるこ
    とを特徴とする表面保護用粘着シート。
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