JP4520624B2 - ドリル兼掘削装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドリル及び掘削装置の工具のための駆動軸と、この駆動軸に平行に配置した中間軸と、この中間軸に相対回転不能に連結しかつ駆動モータの駆動ピニオンに回転駆動連結して連係動作する駆動ピニオンと、前記中間軸に支承した打撃機構のための揺動駆動装置と、前記中間軸に支承しかつ切替素子によって軸線方向に移動自在の切替スリーブとを具え、前記切替スリーブは、第１歯部によって前記揺動駆動装置の対応の対向歯部及び前記駆動軸に相対回転不能に連結した歯車に駆動連結することができるようにしたドリル及び掘削装置に関するものである。本明細書においてドリル及び掘削装置とは、回転ドリル穿孔および打撃掘削（たがね）の双方を行うドリル兼掘削装置を意味する。
【０００２】
【従来の技術】
コンクリート、岩石、組積構造、または同様の材料を加工するため、ドイツ国特許第３３２２９６３号には、駆動モータにより駆動される駆動スピンドル（駆動軸）、並びにこの駆動スピンドルに連結した打撃機構を有し、この打撃機構が駆動スピンドルを介してドリル及び掘削工具に軸線方向の打撃を加えるドリル及び掘削装置が記載されている。駆動スピンドルに平行に、駆動モータに連結することができる他のスピンドルにドリルチャックを設け、このドリルチャックをドリル工具の収容部として作用させ、打撃を伴わないドリル作業のみに使用することができるようにする。この他のスピンドルは駆動スピンドルよりも高い回転数で駆動することができる。
【０００３】
駆動スピンドル及び他のスピンドルにそれぞれ１個の歯車を相対回転不能に連結し、駆動スピンドルに配置した歯車の直径を他のスピンドルに配置した歯車よりも大きい直径とする。双方の歯車は、伝動装置を介して駆動モータの駆動ピニオンに回転駆動連結可能とする。
【０００４】
ドリル及び掘削装置の伝動装置には、双方のスピンドルに平行に配置した中間軸を設け、この中間軸に駆動ピニオンを設け、この中間軸の駆動ピニオンを駆動モータの駆動ピニオンに回転連結駆動して連係動作するようにしている。この中間軸には打撃機構のための揺動駆動装置を回転自在に支承する。切替素子によって軸線方向に移動自在の切替スリーブも中間軸に相対回転不能に連結する。この切替スリーブには環状のカラーを設け、この環状カラーに周方向溝を設け、この周方向溝に切替素子の切替フォークを突入させる。切替スリーブを介してドリル及び掘削装置を２個の互いに異なる動作モードに調整可能となり、第１の動作モードでは切替スリーブの第１歯部が揺動駆動装置の対向歯部、及び駆動スピンドルの歯車に回転駆動連結して連係動作する。第２動作モードでは切替スリーブは他のスピンドルの歯車にのみ回転駆動連結して連係動作する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従来のドリル及び掘削装置の大きな欠点は、２個の異なる動作モードにした調整できないため利用可能性が制限される点である。第１の動作モードでは駆動スピンドルの回転数が低く、揺動駆動装置は高い周波数で動作する。第２の動作モードでは駆動スピンドルの回転数が高く、揺動駆動装置は動作しない。特に、例えば、多数の中空室が存在する中空のれんがブロックからなる基礎構造においては、この従来のドリル及び掘削装置では品質のよい孔又は例えば、だぼアンカーの形式の固定素子の良好な保持能力を得ることはできない。打撃なしで穿孔する際の穿孔進捗度は極めてゆっくりとしており、また他のスピンドルの高い回転数に基づいてドリルの先端と基礎構造との間の摩擦が高く、ドリル工具のドリル先端に焼き付きを生ずる。更に、ドリル及び掘削装置の打撃強度を変更することができず、上述の焼成れんがによりなる組積構造の作業では、中空室を確定するウェブを崩壊させ、従って、固定素子の固定の役に立たなくなる。
【０００６】
従って、本発明の目的は、多くの用途に使用することができ、良質の孔を形成することができ、駆動スピンドルの回転数が同一であっても打撃エネルギを変更できる構成簡単かつ動作が確実なドリル及び掘削装置を得るにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明ドリル及び掘削装置は、前記中間軸に第１及び第２の２個の外歯部を設け、第１外歯部を前記切替スリーブの第２歯部に回転駆動連結することができるように、また第２外歯部を、前記駆動軸に相対回転不能に連結した第２歯車に回転駆動連結することができるようにしたことを特徴とする。
【０００８】
本発明ドリル及び掘削装置によれば、４つの異なる動作モードに調整することができる。即ち、
第１動作モード：駆動スピンドル（駆動軸）の回転数が低く、揺動駆動装置が高い揺動周波数で動作する。
第２動作モード：駆動スピンドル（駆動軸）の回転数が低く、揺動駆動装置が動作しない。
第３動作モード：駆動スピンドル（駆動軸）の回転数が低く、揺動駆動装置が低い揺動周波数で動作する。
第４動作モード：駆動スピンドル（駆動軸）の回転数が高く、揺動駆動装置が動作しない。
【０００９】
これらの動作モードは、中間軸に対して軸線方向に移動自在の切替スリーブによって切替フォークによって４個の異なる調整位置に中間軸に沿って移動自在となる。中間軸に設けた２個の外歯部により、一方では中間軸の回転運動を切替スリーブに直接伝達し、他方では駆動軸の第２歯車に直接伝達する。第１、第２、及び第３の動作モードでは、中間軸の第２外歯部が駆動スピンドル（駆動軸）の第２歯車に常に回転駆動連結し、この駆動スピンドルを３つの異なる動作モードにおいて一定の回転数で回転する。切替スリーブの内歯として構成した第１歯部も、３つのすべての動作モードにおいて、揺動駆動装置の外歯として構成した対向歯部に回転駆動連結する。このことを可能にするためには、対向歯部の軸線方向長さを第１歯部の軸線方向長さ及び切替スリーブの移動行程に対応させる。
【００１０】
第１動作モードでは、切替スリーブによって中間軸と揺動駆動装置との間に回転駆動連結を生ずる。この場合、内歯として構成した切替スリーブの第２歯部が中間軸の第１外歯部に回転駆動連結して連係動作する。切替スリーブが中間軸と直接回転駆動連結する状態であるため、中間軸と揺動駆動装置の回転数は同一でありかつ高い。揺動駆動装置の揺動周波数は高い。
【００１１】
本発明によるドリル及び掘削装置によれば、第２動作モードに調整するためには、切替スリーブを中間軸に沿って穿孔方向に移動する。これにより、切替スリーブの第２歯部と中間軸の第１外歯部との回転駆動連結が解離し、中間軸の回転運動はもはや切替スリーブに伝達されず、また従って、切替スリーブから揺動駆動装置にも伝達されない。
【００１２】
第３動作モードでは、第１動作モードにおけるよりも低い揺動周波数並びに小さい打撃エネルギを生じるために、揺動駆動装置の回転数を低くすることが必須である。このことは、切替スリーブによって達成することができ、この第３動作モードでは切替スリーブが駆動スピンドル（駆動軸）の歯車に回転駆動連結して連係動作する。このとき、駆動スピンドル（駆動軸）の第２歯車は中間軸の第２外歯部に回転駆動連結する。切替スリーブの回転数を小さくするためには、好適な実施例においては、前記第２の歯車の直径を、前記切替スリーブと回転連結を生ずることができる歯車の直径よりも大きくする。第３動作モードでは切替スリーブの内面に配置した第２歯部は中間軸の第１外歯部に回転駆動連結しない。
【００１３】
製造上の理由から、前記切替スリーブと小さい方の歯車との間に回転駆動連結を生ずるための第３歯部を前記切替スリーブに設けると好適である。
【００１４】
切替スリーブの切替行程を短くすることができるようにするためには、前記第２の歯車と切替スリーブとの間に前記歯車を配置すると好適である。
【００１５】
切替スリーブの第１歯部と中間軸の第１外歯部との間に回転駆動連結を生ずることができるようにするためには、前記第１外歯部を、前記揺動駆動装置の前記対向歯部と同様の構成とすると好適である。
【００１６】
ドリル及び掘削装置の構造的な長さ寸法をできるだけ小さくするためには、前記双方の歯車を一体構成の構造ユニットとして構成すると好適である。これにより、２個の歯車が同軸状に互いに僅かに離して配置することができる。
【００１７】
第４動作モードで揺動駆動装置を動作させることなく、駆動スピンドル（駆動軸）を高い回転数にするため、中間軸、切替スリーブ及び駆動スピンドル（駆動軸）を連係動作させる。一方、構造ユニットの大きい方の歯車を中間軸の第２外歯部に対して掛合から外れることができるようにするため、前記構造ユニットを前記駆動軸に沿って前記切替素子によって穿孔方向にばねの力に抗して移動自在にすると好適である。
【００１８】
切替スリーブの中間軸に沿う正確な移動、及び２個の歯車の双方の駆動スピンドル（駆動軸）に沿う正確な移動を保証するためには、切替素子に、切替フォークと、穿孔方向に対向する止め部とを設け、前記切替フォークを切替スリーブのカラーに設けた溝に掛合させ、また前記止め部を、前記構造ユニットの穿孔方向とは反対側の端面に連結することができるようにする。切替素子は、例えば、ドリル及び掘削装置の外側で動作する回転ノブに連結し、この回転ノブによって４個の異なる動作モードに調整する。回転ノブと切替素子との間に、例えば、偏心子を配置し、この偏心子によって回転ノブの回転運動を切替素子に作用する長手方向の直線運動に転換する。
【００１９】
【発明の実施の形態】
次に、図面につき本発明の好適な実施の形態を説明する。
【００２０】
図１〜図４に示す詳細には示さないドリル及び掘削（たがね）装置の駆動装置は中間軸１を有し、中間軸１の端部領域に設けた２個の軸受部分２，３を、ハウジング２４の対応する対向軸受部に回転自在に支承する。中間軸１を駆動するため、詳細には示さない駆動モータの駆動ピニオン１４を、中間軸１に回転不能に連結した駆動ピニオン１５に回転駆動連結する。中間軸１に対して回転可能に支承した揺動（斜板）駆動装置７を駆動ピニオン１５に対して穿孔方向に隣接させる。
【００２１】
揺動駆動装置７の穿孔方向側の端部領域に、ほぼ円筒状に構成した突出部を設け、この突出部の外側輪郭部に対向歯部８を設ける。駆動ピニオン１５及び振動駆動装置７は中間軸１の第１部分に設け、この第１部分の直径は第２部分の直径よりも小さくする。第１部分よりも大きい直径を有する第２部分は第１部分に対して穿孔方向側に隣接させる。中間軸１の第２部分には２個の外歯部４，６を設け、このうち揺動駆動装置７に近い側の第１外歯部４は揺動駆動装置の対向歯部８と同様の構成とする。
【００２２】
中間軸１の周りにこの中間軸１に沿って移動自在の切替スリーブ９の穿孔方向側とは反対側の端部領域に内歯の形式の第１歯部１０を設け、この第１歯部１０を揺動駆動装置７の対向歯部８又は中間軸の第１外歯部４と回転連結を生ずることができるようにする。切替スリーブ９の内面には第２歯部１１を設け、この第２歯部１１を第１歯部１０と同様にする。第２歯部１１は第１歯部１０から間隔を空けて配置する。穿孔方向に対向する切替スリーブ９の端部領域には外歯の形式の第３歯部１２を設ける。切替スリーブ９は中間軸１に沿って切替素子２０によって移動自在にする。切替素子２０の切替フォーク２１を切替スリーブ９の周囲に設けたカラーの周方向溝１３に突入させる。切替素子２０の穿孔方向に対向する側に止め部２２を設け、この止め部２２を、２個の歯車１７，１８を設けた一体構成の構造部分または構造ユニット１６の穿孔方向とは反対側の端面との連結を生ずるようにする。切替素子２０の移動は、例えば、ドリル及び掘削装置のハウジング２４の外側面に設けた詳細には示さない回転ノブにより生ずるようにし、この回転ノブは例えば、偏心子によって切替素子２０と連係動作するようにする。
【００２３】
中間軸１に平行に、図示しないドリル及び掘削装置のための駆動軸１９を配置し、この駆動軸１９をハウジング２４の対応の軸受位置に収容する。駆動軸１９に同軸状に図示しない打撃機構を配置し、この打撃機構を揺動駆動装置７によって駆動可能にし、また軸線方向の打撃を駆動軸１９に連結することができるドリル及び掘削工具に伝達することができるようにする。２個の歯車１７，１８を設けた一体構成の構造部分または構造ユニット１６に駆動軸１９を相対回転不能に連結し、この構造部分または構造ユニット１６は、駆動軸１９に沿って配置したばね２３の力に抗して穿孔方向に移動自在にする。双方の歯車１７，１８は異なる直径にする。大きい方の歯車１８は、第１、第２及び第３の動作モードで中間軸１の第２外歯部６と回転駆動連結する。
【００２４】
図１に示す第１動作モードでは切替スリーブ９によって揺動駆動装置７が動作し、このとき第１歯部１０が揺動駆動装置７の対向歯部８と回転駆動連結し、第２歯部１１が中間軸１の第１外歯部４に回転駆動連結を生じて連係動作する。
【００２５】
図２に示す第２動作モードでは揺動駆動装置は動作せず、このとき、第２歯部１１は第１外歯部４に回転駆動連結を生じない。ただし、切替スリーブ９の第１歯部１０は揺動駆動装置７の対向歯部８には掛合している。
【００２６】
図３に示す第３動作モードでは切替スリーブ９による構造ユニット１６の小さい方の歯車１７の駆動を生じ、このとき切替スリーブ９の第３歯部１２がこの歯車１７と回転駆動連結を生じて連係動作する。切替スリーブ９の第１歯部１０は揺動駆動装置７の対向歯部８と回転駆動連結して連係動作する。第２外歯部６と他方の歯車１８との間、並びに歯車１７と第３歯部１２との間に、異なる伝達経路に基づいて、揺動駆動装置７に作用する回転運動の回転数は、中間軸１の回転数よりも小さい。この結果、打撃機構の揺動周波数及び打撃エネルギは低いものとなる。
【００２７】
図４に示す第４動作モードでは揺動駆動装置７はもはや動作しない。切替スリーブ９の第１歯部１０は中間軸１の第１外歯部４に回転駆動連結して連係動作する。切替スリーブ９の第３歯部１２は第２歯車１７と回転駆動連結し、このとき構造ユニット１６全体は切替素子２０によって穿孔方向にばね２３の力に抗して移動している。歯車１８は中間軸１の第２外歯部６には掛合しない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるドリル及び掘削装置の実施の形態の第１の動作モードであって、駆動軸の回転数が低く、揺動駆動装置が高い揺動周波数で動作している状態を示す説明図である。
【図２】 図１のドリル及び掘削装置の第２動作モードであって、駆動軸の回転数が低く、揺動駆動装置が動作しない状態を示す説明図である。
【図３】 図１のドリル及び掘削装置の第３動作モードであって、駆動軸の回転数が低く、揺動駆動装置が低い揺動周波数で動作している状態を示す説明図である。
【図４】 図１のドリル及び掘削装置の第４動作モードであって、駆動軸の回転数が高く、揺動駆動装置が動作しない状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 中間軸
2 軸受部分
3 軸受部分
4 第１外歯部
6 第２外歯部
7 揺動（斜板）駆動装置
8 対向歯部
9 切替スリーブ
10 第１歯部
11 第２歯部
12 第３歯部
13 周方向溝
14 駆動ピニオン
15 駆動ピニオン
16 構造部分
17 歯車
18 歯車
19 駆動軸
20 切替素子
21 切替フォーク
22 止め部
23 ばね
24 ハウジング

Claims (8)

1. ドリル兼掘削装置の工具のための駆動軸（１９）と、この駆動軸（１９）に平行に配置した中間軸（１）と、この中間軸（１）に相対回転不能に連結しかつ駆動モータの駆動ピニオン（１４）に回転駆動連結して連係動作する駆動ピニオン（１５）と、前記中間軸（１）に支承した打撃機構のための揺動駆動装置（７）と、前記中間軸（１）に支承しかつ切替素子（２０）によって軸線方向に移動自在の切替スリーブ（９）とを具え、前記切替スリーブ（９）は、第１歯部（１０）によって前記揺動駆動装置（７）の対応の対向歯部（８）及び前記駆動軸に相対回転不能に連結した歯車（１７）に駆動連結することができるようにしたドリル及び掘削装置において、前記中間軸（１）に第１及び第２の２個の外歯部（４，６）を設け、第１外歯部（４）を前記切替スリーブ（９）の第２歯部（１１）に回転駆動連結することができるように、また第２外歯部（６）を、前記駆動軸（１９）に相対回転不能に連結した第２歯車（１８）に回転駆動連結することができるようにしたことを特徴とするドリル兼掘削装置。
2. 前記第２の歯車（１８）の直径を、前記切替スリーブ（９）と回転連結を生ずることができる歯車（１７）の直径よりも大きくした請求項１記載のドリル兼掘削装置。
3. 前記切替スリーブ（９）と前記歯車（１７）との間に回転駆動連結を生ずるための第３歯部（１２）を前記切替スリーブ（９）に設けた請求項１又は２記載のドリル兼掘削装置。
4. 前記第２の歯車（１８）と切替スリーブ（９）との間に前記歯車（１７）を配置した請求項３記載のドリル兼掘削装置。
5. 前記第１外歯部（４）を、前記揺動駆動装置（７）の前記対向歯部（８）と同様の構成とした請求項１乃至４のうちのいずれか一項に記載のドリル兼掘削装置。
6. 前記双方の歯車（１７，１８）を、一体構成の構造ユニット（１６）として構成した請求項１乃至５のうちのいずれか一項に記載のドリル兼掘削装置。
7. 前記構造ユニット（１６）を前記駆動軸（１９）に沿って前記切替素子（２０）によって穿孔方向にばね（２３）の力に抗して移動自在にした請求項６記載のドリル兼掘削装置。
8. 切替素子（２０）に、切替フォーク（２１）と、穿孔方向に対向する止め部（２２）とを設け、前記切替フォーク（２１）を切替スリーブ（９）のカラーに設けた溝（１３）に掛合させ、また前記止め部（２２）を、前記構造ユニット（１６）の穿孔方向とは反対側の端面に連結することができるようにした請求項７記載のドリル兼掘削装置。

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