JP4450403B2 - 吸気消音装置及びこれを備えた船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機のエンジンに搭載するに好適な吸気消音装置及びこれを備えた船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
船外機のエンジンに用いる吸気消音装置として、従来、特開平8−93433号公報に開示されている技術が知られている。
この技術は、複数のエアホーンを内方に突設したフラットな基板と、該基板を覆うケースとからなり、基板とケースとを接合・一体化して箱状体を形成し、吸気消音装置を構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来技術は、吸気消音装置の基板にエンジンのスロットル弁装置と連通する接続吸気通路を構成するエアホーンを吸気消音装置の内方空間に突出するように設けており、エアホーンの外端面はフラットであり、これにスロットル弁装置の吸気通路(吸気道)端縁部を接続することは難しく、又接続部のシールも難しく、高精度のシール性を確保することが難しい。
又内方空間にエアホーンを突設し、スロットル弁装置の吸気通路との接続を容易化、確実化するため、エアホーンの外端面に口金状の接続部を設けることも考えられるが、吸気消音装置の基板の構造が複雑化し、且つ製作も煩雑、面倒なものとなる。
【0004】
又吸気消音装置に接続吸気通路以外に外気取入れ口を設ける必要があるが、従来では、箱状の吸気消音装置に孔を設けたりしているが、孔では吸気効率の点で問題があり、従って、外気取入れ口の管長効果を得るために筒状部材を嵌め込むことが好ましいが、これによると部品点数が多くなり、又筒状部材と吸気消音装置の本体との間のシール構造が必要となり、この点でも部品点数が多くなり、構造が複雑化し、コスト的にも不利でもある。
以上の外、クランクシャフト縦置きのバーチカルエンジンの前後方向の一方に吸気消音装置を配設しているので、エンジンを含む船外機の前後方向の寸法が大型化する。
【0005】
本発明は、以上の課題を解決すべくなされたもので、その目的とする処は、ボックス状の吸気消音装置本体を製作する段階で、別部品を要することなく、スロットル弁装置に接続する筒状の接続口及び管長効果を有する筒状の外気取入れ口を一体に備える吸気消音装置を提供する。
又本発明の目的とする処は、接続管、筒状の外気取入れ口を備える吸気消音装置の製作の容易化、構造の簡素化を図った吸気消音装置を提供する。
更に本発明の目的とする処は、スロットル弁装置の吸気通路に接続する接続管を吸気消音装置に一体に備えさせ、スロットル弁装置の吸気通路との間のシール性の向上、吸気消音装置自身のシール性の向上が図れ、且つ部品点数を増やすことなく管長効果を有する筒状の外気取入れ口を一体に設け得るようにした吸気消音装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1は、エンジンのスロットル弁装置の吸気通路に接続される接続口と、外気取入れ口とを備えるエンジンの吸気消音装置であって、吸気消音装置は、凹皿状の2つ割の部材を接合した箱状部材で構成し、2つ割の部材の一方の部材の一部に前記吸気通路と該部材内部とを接続する筒状の接続口を外方に突出するように一体に設け、2つ割の部材の双方に、突き合せることで筒状部を構成する樋状部を対称的に外方に突出するように設け、各部材を接合することで該樋状部で外方に突出する筒状の外気取入れ口を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項1では、凹皿状の2つの部材を接合してボックス状の吸気消音装置本体を製作する段階で、上下の部材以外の別部品を要することなく、スロットル弁装置に接続する筒状の接続口及び管長効果を有する筒状の外気取入れ口を一体に設けることができる。
【0008】
請求項2は、請求項1において、筒状の接続口は1個であり、筒状の外気取入れ口は複数個であることを特徴とする。
請求項2では、スロットル弁装置の吸気通路の1個に対する1個の筒状接続口に対して、外気取入れ口が複数備えるので、吸気効率の向上と、吸気騒音低減上有利である。
【0009】
請求項3は、請求項1又は請求項2において、2つ割の部材は上下に2分割された部材であり、吸気通路に接続する筒状の接続口と筒状の外気取入れ口とは横向きであることを特徴とする。
請求項3では、吸気消音装置の本体を上下に2分割した部材を上下に重ね合わせて接合、一体化するので、吸気消音装置を、高さを最少に抑えつつ形成することができ、船外機のエンジンにおいては、エンジンを含む船外機の高さを可及的に抑制し、小型化することができる。
【0010】
請求項4は、請求項3において、エンジンは平面視V型多気筒バーチカルエンジンであって船外機のエンジンであり、吸気消音装置は、該エンジンの上方に配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項4では、平面視V型のエンジンの上面に吸気消音装置を配置するので、吸気消音装置を配置は、エンジンの上面を利用し、且つV型バンク間を利用することも可能であり、薄形大容量の吸気消音装置をエンジンの高さを可及的に低く抑えつつ配置することができ、V型複数気筒エンジンの船外機の高さ方向を小型化することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、吸気消音装置の上面斜視図である。
吸気消音装置1は、実施の形態では後述するように船外機のエンジンの吸気消音装置として用いられ、クランクシャフト縦置きの4ストロークV型複数気筒バーチカルエンジンの上方に配設される。図において、右方が船外機の前方Frで、左方が後方Rrである。
【0015】
吸気消音装置1の本体2は偏平な箱状をなし、上下2つ割の部材3,4(上下に半体)の接合、一体化した構造体からなる。底は概ね平面形状で、略々平坦である。
本体2の後部の左右方向の中間部に後方(船外機の推進方向の後方)に開口する1個の筒状の接続口5が、接続口5の筒状の吸気通路の中心線に対し、任意の角度でもって傾斜した線に沿って後部の左右に斜め後外方に傾斜して延出した2個の外気取入れ口6,6を備える。
偏平箱状の本体の前部には、前方に延びるカバー部7が延出され、カバー部7は下部材4の前部を前方に延長して設けた。
【0016】
図2は、吸気消音装置1を構成する本体2の分解斜視図である。
下部材4は周囲に起立壁片4aを囲繞するように備える凹皿状をなす。起立壁片4aの図の手前側の後壁片4bの中間部には、断面が高さ寸法よりも左右方向の幅寸法が大きい横長の長円状で筒状の接続口5が、凹皿状の部材4の内部と連通するように一体に後方に延出するように設けられている。
接続口5は、前後方向に長さを有し、後端部5aが後方に開口5cし、又部材4の起立片4bに開口した上流部の開口5b(図5、図6参照)し、開口5cと5bとの間を横向きのダクト部5dで連結している。
【0017】
又後壁片4b接続口5の左右には、各外側に指向するように所定長さの上向きに開放した樋状部を構成する凹溝部4c,4cが部材4と一体に形成されている。
凹溝部4c,4cは、凹皿状の部材4の内部と外部とを連通するように、後壁片4bの両側と左右の側壁片4f,4fの後端部の境界部分に設けた。
下部材4の底片4dの前半部には、上方に膨出する平面視半円形の庇部9を該底片4dと一体に形成し、庇部9の前方の部分に前壁片4eが横断するように臨み、前壁片4eは左右の側壁片4f,4fに連続する。
【0018】
前記した接続口5は、後述するように後端部5aの後部開口5cが後方に開口し、前部は同径のまま後壁片4bに開口5bしている。
又前記した凹溝部4c,4cは、上方及び後方部、並びに後壁片4bの両側に開放されており、下部材4の内外を連通する。
【0019】
上部材3は下部材4と対称形状をなし、頂片3dの周囲から垂下してこれを囲繞する垂下壁片3aを備え、皿を逆さにしたような形状である。
壁片3aの後壁片3bの左右には、前記下部材4の凹溝部4c,4cに対応する下向きに開放する樋状部を構成する樋を逆さにしたような形状の凹溝部3c,3cを、該上部材3と一体に突設した。
凹溝部3c,3cは、後壁片3bの左右と左右の側壁片3f、前片3eの境界部との間に後方に突出するように一体に形成した。
【0020】
以上の上下の部材3,4を重ね併せて接合、一体化する。
例えば、下部材4の壁片4aの上縁部4g間にシール材2aを介装し、縁部4gに接着剤を貼着し、上部材3の壁片3aの下縁部3gと突き合せ、上下の部材3,4を接着する。接着に代え、振動溶着等で溶着してもよく、必要に応じてボルト止めしてもよい。
【0021】
以上のように、上下の部材3,4を重ね合せ、部材2,4の周縁部の壁片4a,3aを接合、一体化し、図1で示した偏平薄形の箱状本体2を形成する。
上下の部材3,4の接合、一体化で、対称的に形成された前記の凹溝部3c,3c,4c,4cは重ね合わされ、重ね合わせることにより、前記した筒状で、外部と本体2内を連通させる外気取入れ口6,6が形成される(図1参照)。
【0022】
外気取入れ口6,6は、図1、図4に示すように後方に向けて平面視で接続口5を挟んで「ハ」字形に配設され、端面は図8に示したように実施の形態では下半部が角形の凹状で、上半部が略々三角形の逆凹状で、これを上下で接続した開口形状をなす。
筒上の接続口5は、この間にあって後方に延出して後方に開口し、後述するスロットル弁装置の吸気通路と連通、接続され、又本体2内部の吸気消音室と連通する。
これら上下の部材3,4を接合、一体化するに際し、フレームアレスタを構成する網部材10をこの間に介装して挟持、固定する。
【0023】
図3は、下部材4の平面図である。
図2と併せて説明すると、下部材4の後壁片4bの内側であって、接続口5の裏面側には、下辺、両側辺の3辺を備える正面視凹型の保持枠部11を形成し、保持枠部11の内側の3辺には連続する係止溝11aを設ける。
網部材10は金属、例えばステンレス線材等で形成され、実施の形態では横長の矩形板状をなし、これの左右縁、下縁10a,10a,10bを保持枠11の係止溝11aに上から挟み入れ、網部材10の上縁10c上から横長キャップ状の押え部材12を被せ、網部材10を保持枠部11に挟持、固定する。
【0024】
図4は、吸気消音装置1の本体2の平面図、図5は図4の5−5線断面図である。
図5に示すように、本体2の下部材4の底片4dの幅方向中間部で前半部には、前記したように、底片4dから上方に膨出する平面視半円形の庇部9が設けられており、又下部材4の前部には、前方に延びるカバー部7が一体に設けられている。
庇部9の天井9aとカバー部7の天井7aとは同レベルで連続し、実施の形態では庇部9の天井9aの中央部に上方への突出凹部9bが形成されており、又カバー部7の天井7aの前部には、通気開口7bが設けられている。
【0025】
以上の本体2の底面に形成した庇部9及びカバー部7は、吸気消音装置1をエンジンの上方に配設した際、ベルトに対し、高さ方向の干渉を吸収し、回避し、故にエンジンルーム全体の小型化という要望に対し、これを満足するものとなっている。また、左右に幅広の吸気消音装置をベルト上方に配置することによって、ベルトカバーを省略可能としている。
エンジン上方に突出した駆動プーリ及び発電機の被動プーリ並びにこの間を繋ぐベルトカバーを構成するものである。これについては、後述する。
以上の本体2内に吸気消音室13が形成され、吸気消音室13は、接続口5を介してスロットル弁装置の吸気通路に連通接続し、又外気取入れ口6,6を介して外気と連通する。
【0026】
図6は、網部材10の挟持構造の詳細を示す図5の要部の拡大図である。図7は図6の7−7線断面図である。図6及び図7に従って網部材10の挟持構造を説明する。
網部材10の保持枠部11は、下部材4の後壁片4bに設けた接続口5の上流開口5bの左右及び下方を囲むように、該吸気口下流開口5bに近接して対向するように設けられ、図7に示したように上方を開放した凹型をなす。凹型の保持枠部11の内側に係止溝11aは正面視凹状に形成されている。
【0027】
網部材10は、保持枠部11の係止溝11aにその左右の側縁10a,10a、下縁10bが係合するように挿入し、上から押え部材12を被せて網部材10の上縁10cの保護と保持を行なう。
このように、フレームアレスタを構成する網部材10は、上下の部材3,4を重ね合わせて接合一体化する過程で、この間に挟持する。
【0028】
図8は、上記した吸気消音装置1の後面図である。
後方に向けて中間部の接続口5が開口し、奥にフレームアレスタを構成する網部材10が配設されており、又左右に2個の外気取入れ口6,6が配設されていることが理解できる。
【0029】
図9及び図10は、本発明の他の実施の形態を示す図で、図9は、吸気消音装置の平面図、図10は、同後面図である。
本実施の形態は、上下の部材3,4を接合、一体化するに際し、上下の部材3,4の接合部である縁部3g,4gの複数箇所にボス部14…を設け、該ボス部14…にビス15…を通し、縁部3g,4g相互をネジ止めして一体的に接合したものである。
このように接着や溶着に加えて、または代えて上下の部材3,4をネジ結合して一体化し、本体2を形成してもよい。
【0030】
図11は、網部材の他の実施の形態を示す正面図である。図12は、図11の12−12線断面図である。
網部材110は、ステンレス線材等で中央部を膨出するように編んだ網体110aの周辺部を囲枠材110bで保持し、正面視略々矩形の網部材110を形成したものである。
【0031】
次に、本発明に係る吸気消音装置を設置したエンジンの一例として、船外機のV型複数気筒のバーチカルエンジンの例を説明する。
図13は、船外機の外観斜視図である。
船外機20の外形は、上部のエンジンカバー21、この下のアンダーカバー22、この下のエクステンションケース23、この下のギヤケース24からなる。ギヤケース24の後方にはスクリュー25が設けられており、又アンダーカバー22とエクステンションケース23との間の前方部には、スイベル軸27を中心として旋回動可能にスターンブラケット26が設けられている。
【0032】
図14は、船外機20のエンジンカバー21、アンダーカバー22の一部を破断し、吸気消音装置1を破断した要部の拡大図である。
エンジン30及び補機類の外側をエンジンカバー21で覆い、エンジンルームSを構成する。
エンジン30は複数のシリンダ31a…を上下に配置したシリンダブロック31、該シリンダブロック31の後面に配置されたシリンダヘッド32、この後面に配置されたシリンダヘッドカバー33、シリンダブロック31の前面に配置されたクランクケース34、シリンダブロック31、クランクケース34の下面に配置したマウントケース35、シリンダ31a…内のピストン36…、クランクシャフト37等からなる。
【0033】
マウントケース35はアンダーカバー22で覆われたエクステンションケース38に支持され、エクステンションケース38内にはオイルパン39が配設されている。
又シリンダヘッド32の排気ポートに接続されるエキゾーストマニホールド40は排気管41に接続され、排気管41は下方を向いてエクステンションケースの下方に排気を排出する。
クランクケース34の前面の上部には発電機(ACG)42を取付、支持し、シリンダブロック31の上面にはクランクシャフト37で駆動される駆動プーリ43を、シリンダヘッド32の上面にはカムシャフト駆動プーリ44を設け、プーリ43と44とを中間のテンションプーリ45を介してタイミングベルト46で連結し、カムシャフトを駆動する。
【0034】
カムシャフト駆動プーリ44の上側はプーリカバーで覆われている。
カムシャフトプーリ44の前方のテンションプーリ45、上下の駆動プーリ43,47、発電機プーリ48の上方には吸気消音装置1の底が臨み、カムシャフトプーリ44以外のプーリ及びベルトを覆う。
【0035】
ベルト46は、図16に示すようにテンションプーリ45,45,55でエンジンルーム内において左右方向の幅が狭くなるように配置されており、これにより吸気消音装置1の下面の両側とエンジン30の上面との間には空間が確保される。
従って、エンジンの上面と吸気消音装置との間の側方からエアは放出され、ベルト・プーリ機構の放熱性に高いものが得られる。
又吸気消音装置によって、カムシャフトプーリ以外のプーリにカバーが不要なので、ベルトカバーが削減できる。
【0036】
前記駆動プーリ43には、同軸に大径駆動プーリ47を連設し、これを前記発電機42の被動プーリ48にタイミングベルト49を介して連結し、発電機42を駆動する。
シリンダヘッドカバー33の後方には、吸気マニホールド50を縦向きに配設し、吸気マニホールド50の上端部に、吸気道が横向となるようにスロットル弁装置51を配設し、吸気道の上流部は前方を向く。
【0037】
前記した吸気消音装置1をエンジン30のシリンダブロック31、クランクケース34の上方に配設する。
吸気消音装置1の本体2は、前記した取付スティ部8…を介してエンジン側に取付、支持され、本体2の底面に形成した前述の庇部9の下方に前記した大径駆動プーリ47が臨み、カバー部7の天井7aに設けた通気開口7bの下方に発電機42の被動プーリ48が臨み、庇部9及びカバー部7は、プーリのカバー部材を構成する。
従って、上述したように吸気消音装置は、プーリのカバー部材を構成するとともに、駆動プーリ側に対してはカバーが不要となる。
【0038】
吸気消音装置1の本体2の後方に設けた接続口5は後方を向き、該接続口5はグロメット52を介してスロットル弁装置51の吸気通路を構成するスロットルボディの吸気道に連通接続する。
スロットル弁装置51の吸気通路との接続は、接続口5が筒状で後方に突出したり、筒状部を吸気通路に嵌合してなされ、筒状の吸気通路との間の接続も、グロメット52により行なうので、シール性が容易に確保し易く、確実、容易なシールを行なうことができる。
尚、エンジンカバー21の前部には冷却エア取入れ通路21aが、又後部の上部には外気取入れ通路21bが設けられており、内部の取入れ開口21cを介して外気はダクト53を介してエンジンカバー21内に導入される。
【0039】
図15は、船外機20のエンジンカバー21の上部を破断して示したエンジンの平面図である。
エンジン30は、実施の形態ではシリンダブロック31,31を平面視V型に配置した平面視V型のエンジンである。
図14では、上下にシリンダ31a…を3個備え、これを平面視V型に配設することで、実施の形態では4ストロークV型6気筒のバーチカルエウエンジンを構成した。
【0040】
シリンダブロック31のVバンク30aは後方を向いて拡開し、Vバンク30a内に前記した吸気消音装置1の本体2後方に向けて突設した接続口5を臨ませ、スロットル弁装置51もVバンク30a内に臨ませ、Vバンク30aの拡開した後方部に吸気マニホールド50を配設し、各シリンダヘッド32,32への吸入管50a,50aは、Vバンク30a内に配置した。
尚図面中54は、エンジンカバー内を、シリンダヘッド側と前方とで区画するシール材である。
【0041】
図16は、説明の便宜上、図15に示した船外機20のエンジンカバー21の上部を破断して示したエンジンの平面図から、吸気消音器1、吸気系を取り除いて示した説明的平面図である。
平面視V型に配置されたシリンダヘッド32,32の排気ポート32a.32aに接続されるエキゾーストマニホールド40は、エンジンルームS内を下方に延び、排気管41に接続され、排気管41は図14に示したように下方を向いてアンダーカバー22の下方延設され、アンダーカバー22、エクステンションケース23内を通って排気を排出する。
図では、吸気消音装置1の下面に配設されたベルト・プーリ機構が明確に示され、図中55は、ベルトの緊張力を調整するテンションプーリである。
【0042】
図17は、エンジン要部の拡大縦断面図である。
エンジン30は、前記したように横向きの各シリンダブロック31に上下に3個のシリンダ31a…を備え、各シリンダ31a…内には横向きにピストン31b…を嵌装し、横向きのコンロッド31c…は前記したクランクシャフト37に連結されている。
各シリンダ31a…の天井部には燃焼室32bを備え、点火プラグ56、2個の吸気弁57、2個の排気弁58を備え、3個の燃焼室32bの夫々にこれ等を具備し、説明の便宜上3個の燃焼室32bの夫々に個々に2組づつ示した。
【0043】
シリンダヘッド32の後方にカムシャフト59を配設し、カムシャフト59は前記したカムシャフト駆動プーリ44で駆動される。これの左右には、吸・排気弁を開閉駆動するバルブロッカーアームを支持するロッカーアームシャフト60を配設し、これ等の外方をシリンダヘッドカバー33で覆っている。
【0044】
図18は、吸気マニホールド50を含むエンジン要部の後面図であり、エンジンカバー21を取り除いた状態の図である。
吸気マニホールド50は容量が大きく、エンジン30の後方に拡開したVバンク30aの後方に配置されている。
吸気マニホールド50は、左右で上下各3本、都合6本の吸入管50a…でエンジン30の各シリンダ30a…の前記した吸気弁57…に接続され、吸気マニホールド50は上流部を前記したスロットル弁装置51に接続し、スロットル弁装置51は、グロメット52を介して吸気消音装置1の接続口5に接続され、接続口5には前記したようにフレームアレスタを構成する網部材11は配設されている。
【0045】
図19は、吸気消音装置の他の実施の形態の上面斜視図であり、同後面図である。
本実施の形態は、外気取入れ口を変更したもので、他の構成は前記と同様なので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略した。
外気取入れ口は端面206aを図20に明示したように閉塞して形成した筒状部206,206とする。
【0046】
端面206aを閉じた各筒状部206,206の後端部に近い下面の左右方向に長い横長矩形の外気取入れ口206bを設ける。
この実施の形態のように、外気取入れ口を下方に開口した構造でも良く、又側方、或いは上方に開口した構造でも良い。
【0047】
以上、実施の形態について詳述したが、吸気消音装置の実施の対象は、上記した平面視V型の多気筒バーチカルエンジン及びこれの実施対象である船外機に限られず、直列多気筒バーチカルエンジン、更にはシリンダが横向きの通常形式のエンジンの吸気消音装置として採用することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、エンジンの燃料供給装置の吸気通路に接続される接続口と、外気取入れ口とを備えるエンジンの吸気消音装置であって、吸気消音装置は、凹皿状の2つ割の部材を接合した箱状部材で構成し、2つ割の部材の一方の部材の一部に前記吸気通路と該部材内部とを接続する筒状の接続口を外方に突出するように一体に設け、2つ割の部材の双方に、突き合せることで筒状部を構成する樋状部を対称的に外方に突出するように設け、各部材を接合することで該樋状部で外方に突出する筒状の外気取入れ口を設けた。
【0049】
請求項1では、凹皿状の2つの部材を接合してボックス状の吸気消音装置本体を製作する段階で、上下の部材以外の別部品を要することなく、スロットル弁装置に接続する筒状の接続口及び管長効果を有する筒状の外気取入れ口を一体に設けることができる。
筒状の接続口及び筒状の外気取入れ口を備える吸気消音装置を、筒状の接続口、筒状の外気取入れ口部材を別途組み付けることなく、容易に製作することができ、又別部品を必要としないことから部品の削減も図れ、コスト的に有利である。
【0050】
更に吸気消音装置の本体を凹皿状に2分割して形成し、一方の部材に筒状接続口を一体に成形し、且つ外気取入れ口の半体を構成する樋状部を一体に成形し、他方の部材に外気取入れ口の半体を構成する樋状部を一体に成形し、従って、2分割部材の構造、成形も簡素であり、筒状接続口及び筒状外気取入れ口を有する吸気消音装置の半体を容易に成形することができる。爾後の吸気消音装置の製作も、部材相互を接着、ネジ止め等の手段で接合するだけなので、筒状の接続口、外気と位入れ口を備える吸気消音装置を容易に製作することができる。
又筒状の接続口、筒状の外気取入れ口は、吸気消音装置の本体と一体に形成され、外方に延出するので、吸気消音装置の接続口自身、外気取入れ口自身のシール性の点においても優れたものが得られ、又スロットル弁装置の吸気通路と接続する接続口は外方に突出した筒状なので、吸気通路への接続が容易、確実になされ、シール性も良好なものが得られる。
【0051】
請求項2は、請求項1において、筒状の接続口は1個であり、筒状の外気取入れ口は複数個とした。
【0052】
請求項2では、請求項1の効果に加えるに、スロットル弁装置の吸気通路の1個に対する1個の筒状接続口に対して、外気取入れ口を複数備えるので、スロットル弁装置の吸気効率の向上と、吸気消音装置の吸気騒音低減上有利で、効果的な吸気消音装置を得ることができる。
【0053】
請求項3は、請求項1又は請求項2において、2つ割の部材は上下に2分割された部材であり、吸気通路に接続する筒状の接続口と筒状の外気取入れ口とは横向きであることを特徴とする。
【0054】
請求項3では、請求項1又は請求項2の効果に加えるに、吸気消音装置の本体を上下に2分割した部材を上下に重ね合わせて接合、一体化し、筒状接続口、筒状外気取入れ口が横向きなので、吸気消音装置の接続口、外気取入れ口は上下向きとならず、吸気消音装置の高さを最少に抑えつつ形成することができ、船外機のエンジンにおいては、エンジンを含む船外機の高さを可及的に抑制し、小型化することができる。
【0055】
請求項4は、請求項3において、エンジンは平面視V型多気筒バーチカルエンジンであって船外機のエンジンであり、吸気消音装置は、該エンジンの上方に配置した。
【0056】
請求項4では、平面視V型のエンジンの上面に吸気消音装置を配置するので、吸気消音装置を配置は、エンジンの上面を利用して配置することができ、且つV型バンク間を利用して配置することが可能で、外形の寸法に制約がある船外機のスペース上有利である。
又薄形大容量の吸気消音装置を、エンジンの高さを可及的に低く抑えつつ配置することができ、V型複数気筒エンジンの船外機の高さ方向を可及的に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸気消音装置の上面斜視図
【図2】吸気消音装置を構成する本体の分解斜視図
【図3】吸気消音装置本体の下部材の平面図
【図4】吸気消音装置の本体の平面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】網部材の挟持構造の詳細を示す図5の要部の拡大図
【図7】図6の7−7線断面図
【図8】吸気消音装置の後面図
【図9】本発明の他の実施の形態を示す吸気消音装置の平面図、
【図10】図9の吸気消音装置の後面図
【図11】網部材の他の実施の形態を示す正面図
【図12】図11の12−12線断面図
【図13】船外機の外観斜視図
【図14】船外機のエンジンカバー、アンダーカバーの一部を破断し、吸気消音装置を破断した要部の拡大図
【図15】船外機のエンジンカバーの上部を破断して示したエンジンの平面図
【図16】図15に示した船外機のエンジンカバーの上部を破断して示したエンジンの平面図から、吸気消音器、吸気系を取り除いて示した説明的平面図
【図17】エンジン要部の拡大縦断面図
【図18】吸気マニホールドを含むエンジン要部の後面図で、エンジンカバーを取り除いた状態の図
【図19】吸気消音装置の他の実施の形態の上面斜視図
【図20】図19の吸気消音装置の後面図
【符号の説明】
1…船外機、 2…吸気消音装置、 3,4…上下の部材、 3c,4c…樋状部、 5…接続口、 6…外気取入れ口、 30…エンジン、 44…カムシャフトプーリ、 44a…カムシャフトプーリのカバー、 45,55…テンションプーリ。
Claims (4)
- エンジンのスロットル弁装置の吸気通路に接続される接続口と、外気取入れ口とを備えるエンジンの吸気消音装置であって、
前記吸気消音装置は、凹皿状の2つ割の部材を接合した箱状部材で構成し、
前記2つ割の部材の一方の部材の一部に前記吸気通路と該部材内部とを接続する筒状の接続口を外方に突出するように一体に設け、
前記2つ割の部材の双方に、突き合せることで筒状部を構成する樋状部を対称的に外方に突出するように設け、各部材を接合することで該樋状部で外方に突出する筒状の外気取入れ口を設けた、
ことを特徴とする吸気消音装置。 - 前記筒状の接続口は1個であり、前記筒状の外気取入れ口は複数個であることを特徴とする請求項1に記載の吸気消音装置。
- 前記2つ割の部材は、上下に2分割された部材であり、前記吸気通路に接続する筒状の接続口と筒状の外気取入れ口とは横向きであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸気消音装置。
- 前記エンジンは平面視V型多気筒バーチカルエンジンであって船外機のエンジンであり、前記吸気消音装置は、該エンジンの上方に配置したことを特徴とする請求項3に記載の船外機のエンジンに用いる吸気消音装置。
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