JP4276401B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁駆動式の燃料噴射弁が設けられた内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばコモンレール式のディーゼル機関等に採用されているこの種の燃料噴射制御装置では、燃料噴射にかかる制御に際し、機関運転状態に基づいて噴射時期や噴射時間等といった各種制御量が求められ、それら求められた制御量に基づき燃料噴射弁が駆動制御される。これにより、基本的にはその都度の機関運転状態に適した量の燃料が内燃機関に噴射供給されるようになり、機関の運転も適正に維持される。
【0003】
ただし、よく知られているように、燃料は通常、自身の温度上昇に伴って体積弾性係数や粘性が低下する。そしてこれは、燃料噴射弁の開弁速度の低下や、燃料供給通路に設けられる各種の弁からの燃料リーク量の増大を招く等、燃料の圧送効率を低下させる原因となる。
【0004】
このため、燃料噴射弁を同じ時間だけ開弁駆動した場合であっても、燃料の温度が高いときと低いときとでは、同燃料噴射弁から異なる量の燃料が内燃機関に対して噴射供給されることとなり、ひいては内燃機関の気筒内圧力の不要な変化を招くこととなる。そしてこれは、気筒内圧力の過度な上昇による内燃機関の耐久性の低下や、機関出力の不安定化等といった不都合を招く一因となる。
【0005】
そこで従来は、例えば特開平9−60542号公報に見られるように、燃料温度を検出するとともに、検出された燃料温度に応じて燃料噴射弁の開弁時間、すなわち噴射時間(噴射量)を補正する装置なども提案されている。こうした補正処理を行うことで、燃料の温度にかかわらず、内燃機関に対して所望量の燃料を噴射供給することが可能になり、上述した気筒内圧力の不要な変化等も抑制することができるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電磁駆動式の燃料噴射弁は通常、図5に例示するように、弁体であるニードル41と、このニードル41を閉弁方向に付勢するバネ42と、電磁コイル43と、アーマチャ44と、このアーマチャ44を電磁コイル43から離間させる方向に付勢するバネ45とが、ケース46内に一体に収容される構造になっている。また、ケース46内には、内燃機関の気筒に対して燃料を噴射するための噴孔47をはじめ、それぞれ燃料の蓄圧配管(コモンレール)や燃料タンクへのリターン配管に接続される燃料通路が設けられている。
【0007】
そして、この燃料噴射弁の開弁駆動に際しては、電磁コイル43に通電を行って上記バネ45の付勢力に抗する方向、すなわち電磁コイル43側に吸引する方向にアーマチャ44を移動させる。これにより、上記コモンレールやリターン配管に接続される燃料通路間での圧力バランスが変化し、これに伴ってニードル41が上記噴孔47とコモンレールとの連通を許容する方向に移動される。すなわち、同噴孔47からの燃料噴射が開始される。
【0008】
一方、同燃料噴射弁の閉弁駆動に際しては、電磁コイル43への通電を停止する。これにより、アーマチャ44が上記バネ42の付勢力によって同図5に示される位置に移動する。このとき、上記燃料通路間も遮断されてその圧力バランスが保たれるため、上記ニードル41は、バネ42の付勢力によって上記噴孔47とコモンレールとの連通を遮断する方向に移動される。すなわち、同噴孔47からの燃料噴射が停止される。
【0009】
このような構造の燃料噴射弁にあって、内燃機関に対して所望量の燃料を精度よく噴射供給するためには、上記アーマチャ44に作用する磁束、換言すれば吸引力を電磁コイル43を通じて精度よくコントロールすることが望まれる。しかしながら、上記アーマチャ44に作用する吸引力は、電磁コイル43に供給される電流量が一定の条件下であっても、機関の低温始動直後のごく短い期間において不要に増大してしまうことが発明者らによって確認されている。
【0010】
以下、その理由について図6〜図8を参照しつつ説明する。
通常、内燃機関の運転が開始されると、これに伴って上記アーマチャ44が燃料噴射弁内での摺動を開始し、その摺動面において摩擦熱を発生するようになる。ここで、アーマチャ44は燃料噴射弁のケース46と比べてその体積が極めて小さいため、熱容量も小さい。このため、機関の低温始動時、すなわち燃料噴射弁の温度が低いときには先ず、アーマチャ44の温度が上昇するようになる。そしてその後、燃料噴射弁の駆動制御が継続されると、上記ケース46の温度も次第に上昇し、これに伴ってそれらの温度差も次第に小さくなる。換言すれば、機関の低温始動直後のごく短い期間に着目すると、アーマチャ44とケース46との熱膨張量に大きな差異が生じるようになる。
【0011】
そして、燃料噴射弁によっては、こうした熱膨張量の差異により、開弁状態における電磁コイル43とアーマチャ44とのギャップGpが一時的に小さくなる。すなわち、図6に、上記ギャップGpとアーマチャ44に作用する吸引力との関係を示すように、電磁コイル43が発生する電磁力が一定の条件下であっても、上記ギャップGpが小さくなると、アーマチャ44に作用する吸引力は大きくなる。
【0012】
このため、図7にアーマチャ44のリフト量の推移の一例を示すように、燃料噴射を開始する際に、上記ギャップGpが小さくなっている時には、図7に一点鎖線で示すように、ギャップGpが小さくなっていない定常時(実線)と比べて、アーマチャ44の開弁方向へのリフト速度やリフト時期が早くなる。その結果、燃料噴射率も、図8に示すように、実線で示す定常時の燃料噴射率に比べて、同図8に一点鎖線で示す上記ギャップGpが小さくなった時における燃料噴射率が高くなるなど、燃料噴射量の不要な増大を招くことともなる。
【0013】
しかも、こうしてアーマチャ44の開弁方向へのリフト速度やリフト時期が早くなる分だけ、一回の燃料噴射において上記アーマチャ44に作用する磁束の総量も多くなる。すなわち、電磁コイル43への通電が停止されたときの、同磁気回路に残留する磁束が大となる。このため、電磁コイル43への通電が停止された後も、アーマチャ44に作用する磁束の減少が長引き、ひいてはアーマチャ44の閉弁方向へのリフト速度やリフト時期も遅くなる(図7参照)。そしてその結果、燃料噴射率の低下もその分だけ遅くなり(図8参照)、これによっても燃料噴射量の不要な増大が避けられない。
【0014】
そして、機関低温始動時におけるこうした燃料噴射量の不要な増大も、結局は内燃機関の気筒内圧力の不要な上昇を招き、これが過度となる場合には、内燃機関としての耐久性にも影響を及ぼすようになる。
【0015】
なお、上述のように、燃料温度を検出するものにあっては、その検出される燃料温度に基づいて燃料噴射弁の各部の温度を推定し、その推定される各部の温度に基づき燃料噴射量を減量補正することで、上述した燃料噴射量の不要な増大を補償することも考えられる。しかし、上述した電磁コイル43とアーマチャ44とのギャップGpの縮小化は、機関低温始動直後のごく短い期間においてのみ生じるものであるのに対し、燃料温度の方はこのような期間内では殆ど変化しない。このため、単に燃料温度に基づいて燃料噴射量の減量補正を施したところで、上記問題の解消には至らない。
【0016】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電磁駆動される燃料噴射弁を備える内燃機関について、その低温始動時の燃料噴射態様をより的確に制御することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
先ず、請求項1に記載の発明は、電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁から噴射される燃料量の減量補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備えることをその要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、機関が低温始動されることにより、換言すれば燃料噴射弁の温度が低いときに機関が始動されることによって、電磁コイルとアーマチャとのギャップが一時的に縮小する場合であっても、同ギャップの縮小に伴う燃料噴射態様の変化を補正することが可能になる。従って、電磁駆動される燃料噴射弁を備える内燃機関について、その低温始動時の燃料噴射態様をより的確に制御することができるようになる。
【0020】
また上記構成によれば、電磁コイルとアーマチャとのギャップの一時的な縮小に伴って燃料噴射弁から噴射される燃料量が不要に増大する場合において、機関始動操作後の経過時間と燃料噴射弁の推定温度とに基づき同ギャップの縮小度合いを求め、その求められた縮小度合いに応じて上記燃料量を減量補正することが可能になる。従って、燃料噴射弁から噴射される燃料量の不要な増大を好適に補償することができるようになる。
【0022】
ここで上述したギャップの縮小度合い、ひいてはこれに伴う燃料噴射弁から噴射される燃料量の増大度合いは、機関始動操作後における経過時間が短いほど、また燃料噴射弁の温度が低いときほど大きい。この点、上記構成によれば、こうした傾向に応じた上記燃料量についての減量補正が可能になり、その不要な増大を好適に補償することができるようになる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明は、電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力の減圧補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備えるものであることをその要旨とする。
【0025】
よく知られているように、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力(噴射圧)を減圧すると、同弁から噴射される燃料量は減少する。従って、上記ギャップの縮小度合いに応じたかたちで噴射圧を減圧補正することで、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるようになる。
【0026】
また、請求項3に記載の発明は、電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大による気筒内圧力の上昇を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期の遅角補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備えるものであることをその要旨とする。
【0027】
これもよく知られているように、燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期を遅角すると、内燃機関における気筒内圧力のピーク値は低下する。従って、上記構成によれば、上記ギャップの縮小度合いに応じたかたちで噴射時期を遅角補正することで、少なくとも同ギャップの一時的な縮小に伴う気筒内圧力の不要な上昇を好適に抑制することができるようになる。
【0029】
なお、ギャップの一時的な縮小に伴って気筒内圧力が上昇する場合には、その上昇度合いは、機関始動操作後における経過時間が短いほど、また燃料噴射弁の温度が低いときほど大きい。この点、上記構成によれば、こうした傾向に応じた噴射時期の遅角補正が可能になり、気筒内圧力の不要な増大を好適に補償することができるようになる。
【0030】
また、請求項4に記載の発明は、電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大、及び同噴射量の増大による気筒内圧力の上昇のうちの少なくとも気筒内圧力の上昇を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間と前記燃料噴射弁の推定温度とに基づいて、同燃料噴射弁から噴射される燃料量の減量補正、及び同燃料噴射弁に供給される燃料の圧力の減圧補正、及び同燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期の遅角補正の少なくとも1つを実行し、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁から噴射される燃料量についてはその減量補正量を大とする補正を前記所定期間において行い、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力についてはその減圧補正量を大とする補正を前記所定期間において行い、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期についてはその遅角補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備えるものであることをその要旨とする。
【0032】
請求項4に記載の発明によれば、上記ギャップの一時的な縮小に伴う燃料噴射弁から噴射される燃料量の不要な増大と気筒内圧力の不要な上昇とを共に、若しくは、少なくとも気筒内圧力の不要な上昇を、好適に補償することができるようになる。
【0033】
なお、燃料噴射弁の温度を推定するに際しては、同温度が好適に反映される機関パラメータに基づいて推定する構成、すなわち、例えば請求項5によるように、機関の冷却水温度に基づいて推定する、といった構成や、請求項6によるように、機関に吸入される空気の温度に基づいて推定する、といった構成を採用することができる。これら冷却水温度や吸入空気の温度はいずれも、内燃機関に通常備えられるセンサにて測定可能であり、燃料噴射弁の温度推定に際し、新たなセンサの配設等も不要である。なお、空間的に、あるいはコスト的に余裕があれば、燃料噴射弁各部の温度を直接測定するセンサ等を設けるようにしても勿論よい。
【0034】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記補正手段は、前記機関の始動が完了してから前記燃料噴射弁の各部の温度がほぼ均一になるまでの所定の期間に限って前記補正を実行することをその要旨とする。
【0035】
上記構成によれば、上記ギャップの一時的な縮小が生じるおそれのある期間に限って燃料噴射態様の変化に対する補正が実行されることとなり、前記実情に沿ったより的確な補正が実現されるようになる。
【0036】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記機関が、前記燃料噴射弁に供給される燃料を畜圧する手段を備えるとともに、前記燃料噴射弁から噴射される燃料を気筒内に直接噴射供給する筒内噴射式の内燃機関であることをその要旨とする。
【0037】
通常、筒内噴射式の内燃機関では、内部圧力が高められた状態の気筒内に燃料を直接噴射供給する必要があるために、その燃料噴射弁には燃料が極めて高い圧力に蓄圧された上で供給されている。このため、上記ギャップが一時的に小さくなってアーマチャのリフト速度やリフト時期が変化すると、これに伴う燃料噴射弁から噴射される燃料量についての誤差が顕著に表れるようになる。この点、上記構成によれば、こうした筒内噴射式の内燃機関において、その燃料噴射態様の不要な変化を好適に補正することができるようになる。
【0038】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記内燃機関が、コモンレール式のディーゼル機関であることをその要旨とする。
【0039】
筒内噴射式の内燃機関のなかでもコモンレール式のディーゼル機関は、燃焼行程における気筒内圧力が極めて高いために、その噴射圧も極めて高く設定されている。このため、上記ギャップが一時的に小さくなったときには、燃料噴射弁から噴射される燃料量についての誤差が顕著に表れる上に、これに伴って気筒内圧力が上昇した場合における機関の耐久性の低下に対する懸念も大きくなる。この点、上記構成によれば、こうしたコモンレール式のディーゼル機関にあって、その耐久性に影響を及ぼすおそれのある気筒内圧力の不要な上昇についてもこれを好適に抑制することができるようになる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる内燃機関の燃焼噴射制御装置の一実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0041】
図1は、本実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置、詳しくは、車載された蓄圧式(コモンレール式)ディーゼル機関の燃料噴射にかかるシステムの概略構成を示している。
【0042】
同図1に示すように、ディーゼル機関1には、複数の気筒(本実施の形態では4つの気筒)♯1〜♯4が設けられており、各気筒♯1〜♯4の燃焼室に対して燃料を噴射する電磁駆動式の燃料噴射弁2が配設されている。燃料噴射弁2から機関1の各気筒♯1〜♯4への燃料噴射は、同弁2に設けられた電磁コイル43への通電と同通電の遮断とを切り換えることにより制御されている。なお、この燃料噴射弁2としては、先の図5に例示した構造を有する燃料噴射弁を想定している。
【0043】
この燃料噴射弁2は、各気筒共通の蓄圧配管としてのコモンレール4に接続されており、上記電磁コイル43への通電が行われている間、すなわち開弁駆動されている間、コモンレール4内の燃料が燃料噴射弁2より機関1の各気筒♯1〜♯4に噴射されるようになっている。コモンレール4には、こうした燃料噴射を可能とするだけの高い圧力の燃料が連続的に蓄積されるようになっている。
【0044】
コモンレール4は、供給配管5を介して燃料ポンプ6の吐出ポート6aに接続されている。供給配管5の途中には、逆止弁7が設けられている。この逆止弁7によって、燃料ポンプ6からコモンレール4への燃料の供給が許容され、且つコモンレール4から燃料ポンプ6への燃料の逆流が規制されるようになっている。
【0045】
燃料ポンプ6は、吸入ポート6bを介して燃料タンク8に接続されており、その途中にはフィルタ9が設けられている。この燃料ポンプ6は、機関1の回転に同期する図示しないカムによってプランジャを往復運動させることによって駆動される。これにより、燃料ポンプ6は、燃料タンク8からフィルタ9を介して燃料を吸入し、その燃料を要求される所定圧にまで高めてコモンレール4に供給する。
【0046】
さらに、燃料ポンプ6の吐出ポート6a近傍には、圧力制御弁10が設けられている。圧力制御弁10は、オン信号に応じて自身の弁体を閉じ、吐出ポート6aからコモンレール4に向かう燃料の供給を許容するようになっている。また、この圧力制御弁10は、オフ信号に応じて自身の弁体を開き、吐出ポート6aから吐出されない分の余剰燃料を、燃料ポンプ6に設けられたリターンポート6cからリターン配管11を経て燃料タンク8へと戻すようになっている。そして、こうした圧力制御弁10のオン・オフ制御(開閉弁制御)によって、吐出ポート6aからコモンレール4側へと吐出される燃料圧力(ひいては吐出量)が調整されるようになっている。
【0047】
また、コモンレール4にはリリーフ弁12が設けられており、同リリーフ弁12は所定の条件が満たされた場合に開かれるようになっている。これにより、コモンレール4内の高圧燃料がリターン配管11を経て燃料タンク8へと戻されて、コモンレール4内の圧力が低下されるようになっている。
【0048】
さて、機関1には、その状態を検出するために、以下の各種センサ等が設けられている。すなわち、アクセルペダル15の近傍には、その踏み込み量(アクセル開度)ACCを検出するためのアクセルセンサ21が設けられている。
【0049】
さらに、機関1のシリンダブロックには、その冷却水の温度THWを検出するための水温センサ22が設けられている。
併せて、機関1の吸気通路13の上流に設けられるエアクリーナ(図示略)の近傍には、機関1に吸入される空気の温度THAを検出するための吸気温センサ23が設けられている。
【0050】
加えて、上述のリターン配管11には燃料温度THFを検出するための燃温センサ24が、コモンレール4には、該コモンレール4内の燃料の圧力(ひいては噴射圧)PFを検出するための燃圧センサ25がそれぞれ設けられている。
【0051】
また、本実施の形態においては、機関1のクランクシャフト(図示略)に設けられたパルサの近傍にクランク角センサ26が設けられている。さらに、クランクシャフトの回転は、吸気弁31及び排気弁32を開閉動作させるためのカムシャフト(図示略)にタイミングベルト等を介して伝達される。
【0052】
このカムシャフトは、クランクシャフトの1/2回転の回転速度で回転するよう設定されている。このカムシャフトに設けられたパルサの近傍には、カム角センサ27が設けられている。そして、本実施の形態では、これら両センサ26,27から出力されるパルス信号により、機関回転速度NE及びクランク角が算出されるとともに、各気筒♯1〜♯4におけるピストンの上死点が算出(気筒が判別)されるようになっている。
【0053】
また、上記機関1には、同機関1を始動させるためのスタータ(図示略)が設けられている。このスタータには、その作動状態を検知するスタータスイッチ28が設けられている。スタータスイッチ28は、機関1の始動操作に際して、運転者によりイグニッションスイッチ(図示略)がOFF位置の状態からスタート位置まで操作され、スタータが作動しているとき(クランキング状態にあるとき)にスタータ信号STを「オン」として出力する。また、このスタータスイッチ28は、機関1の始動が完了すると(自律運転状態になると)、あるいは機関1の始動に失敗してイグニッションスイッチがスタート位置からON位置まで戻されると、スタータ信号STを「オフ」として出力する。
【0054】
本実施の形態においては、上記機関1の各種制御を司るための電子制御装置33が設けられている。この電子制御装置33は、前述したアクセルセンサ21、水温センサ22、吸気温センサ23、燃温センサ24、燃圧センサ25、クランク角センサ26、カム角センサ27、スタータスイッチ28等の出力信号を取り込む。そして、電子制御装置33は、これらの出力信号に基づき把握される機関1の運転条件に応じて、燃料噴射弁2、圧力制御弁10、リリーフ弁12等を制御する。
【0055】
以下、本実施の形態にかかる燃料噴射制御の概要について説明する。
上記電子制御装置33は、上記各種の制御の一環として、燃料噴射弁2からの燃料の噴射制御を行っている。この燃料噴射制御は、以下のように行われる。
【0056】
すなわち先ず、電子制御装置33は、機関1の運転状態に応じた燃料の噴射量(「最終噴射量Qf」)及び燃料噴射時期を算出する。そしてそのときの機関回転速度NEや噴射圧PFに応じて、上記算出された最終噴射量Qfに応じた量の噴射に必要な噴射時間を算出する。
【0057】
そして、ここで算出された燃料噴射時期になると、電子制御装置33は燃料噴射弁2の電磁コイル43への通電を開始して、コモンレール4より供給される高圧燃料の各気筒♯1〜♯4への噴射を開始する。その後、上記算出された噴射時間だけ電磁コイル43への通電を維持して必要な量の燃料噴射を行った後、同電磁コイル43への通電を遮断して燃料噴射を終了する。
【0058】
また、電子制御装置33は、こうした燃料噴射制御を行う一方で、コモンレール4内に蓄圧された燃料の圧力(噴射圧)の制御を併せ行っている。この噴射圧制御は、以下のように行われる。
【0059】
すなわち先ず、電子制御装置33は、そのときの機関回転速度NEや最終噴射量Qfに応じて、好ましい噴射圧である基準噴射圧を算出する。そして、電子制御装置33は、圧力制御弁10及びリリーフ弁12を制御して、コモンレール4内の燃料の圧力PFを上記算出された基準噴射圧に保持するように調整する。
【0060】
ここで、前述したように、上記機関1では、低温始動直後のごく短い期間において燃料噴射弁2のケース46とアーマチャ44と間に温度差が生じ、これに伴って電磁コイル43とアーマチャ44との間のギャップGp(図5)が一時的に縮小する。また、これに起因して燃料噴射弁2から噴射される燃料量が不要に増大するようになることについても、前述した通りである。
【0061】
そして、こうしたギャップGpの一時的な縮小についての度合いは、機関1の始動操作後における経過時間や、燃料噴射弁2の温度に応じて変化することが発明者等により確認された。具体的には、機関1の始動操作後における経過時間が一定の条件下に着目すると、燃料噴射弁2の温度が低いときほど上記温度差は大きく、上記ギャップGpも小さい。また、機関1、ひいては燃料噴射弁2の駆動制御が継続されると、それに伴って上記温度差も次第に小さくなり、ギャップGpの一時的な縮小も解消されるようになる。
【0062】
そこで、本実施の形態では、こうしたギャップGpの変化傾向に着目し、機関1の始動操作後における経過時間と燃料噴射弁2の推定温度とに基づいて最終噴射量Qfを減量補正することで、同弁2から噴射される燃料量の不要な増大を補償するようにしている。なお、本実施の形態では、上記燃料噴射弁2の温度を吸気温度THAに基づいて推定するようにしている。具体的には、上記燃料噴射弁2の推定温度として、同温度が好適に反映される機関パラメータである吸気温度THAを代用するようにしている。
【0063】
上記補正の傾向として具体的には、その補正に際して算出される補正係数K1の算出に用いるマップを図2に示すように、吸気温度THAが低いほど、且つ機関始動後における経過時間が短いほど、同補正係数K1を大きな値として算出するようにしている。なお、この補正係数K1は「1」以上の数として算出される。
【0064】
そして、上記目標噴射量Qtを、上記最終噴射量Qf及び補正係数K1に基づいて以下に示す(1)式から算出するとともに、算出した目標噴射量Qtに基づいて噴射時間を算出するようにしている。
目標噴射量Qt←Qf×(1/K1) …(1)
これにより、上記補正係数K1が大きな値として算出されるほど、目標噴射量Qtが減量される(噴射時間が短縮される)ようになり、燃料噴射弁2から噴射される燃料量についての、上記ギャップGpの一時的な縮小に伴って生じる不要な増大分が補償されるようになっている。
【0065】
以下、こうした機関1の低温始動時における補正処理を含む噴射時間の算出処理の詳細な処理手順について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、このフローチャートに示される一連の処理は、前記電子制御装置33によって所定の制御周期をもって繰り返し実行される。また、この処理は、機関1が自律運転状態となった後、すなわち始動が完了した後においてのみ実行される。
【0066】
この処理では先ず、上記各センサ21〜27及びスタータスイッチ28を通じて、各機関パラメータACC,THW,THA,THF,PF,NE,STが検出される(ステップS100)。その後、これら各機関パラメータに基づいて機関1の運転状態が判断された上で、その運転状態に応じた最終噴射量Qf、燃料噴射時期、及び基準噴射圧が、上述したように算出される(ステップS101)。
【0067】
そしてその後、上記低温始動補正処理が実行される(ステップS102〜S105)。
この処理では先ず、以下の(条件a)〜(条件c)が全て満たされるか否かが判断される(ステップS102)。
・(条件a):冷却水温度THWが所定温度T1(例えば0℃)未満である。
・(条件b):吸気温度THAが所定温度T2(例えば0℃)未満である。
・(条件c):機関始動操作後の経過時間、すなわちスタータ信号STが「オン」となった後の経過時間が所定時間C(例えば5分)未満である。
【0068】
なお、上記各所定温度T1,T2、及び所定時間Cは、機関の始動が完了してから前記燃料噴射弁の各部の温度がほぼ均一になるまでの所定の期間を(条件a)〜(条件c)を通じて判断することが可能となる値が実験等によって求められた上で、予め設定されている。具体的には、これら(条件a)〜(条件c)が全て満たされることをもって、前記ギャップGpの一時的な縮小、ひいてはこれに伴う燃料噴射弁2から噴射される燃料量の不要な増大を招くおそれがあると判断される。
【0069】
そして、これら(条件a)〜(条件c)の全てが満たされる場合には(ステップS102:YES)、燃料噴射弁2から噴射される燃料量が不要に増大するおそれがあるとして、上述したように、先の図2に示したマップに基づく補正係数K1の算出が実行される(ステップS103)。なお、上記マップは、吸気温度THA及び機関始動後の経過時間から補正係数K1を算出するためのマップであり、これら吸気温度THA、機関始動後の経過時間及び補正係数K1の関係が実験等によって求められた上で、予め電子制御装置33の適宜のメモリに記憶されている。
【0070】
一方、上記(条件a)〜(条件c)のいずれか1つでも満たされない場合には(ステップS102:NO)、燃料噴射弁2から噴射される燃料量が不要に増大するおそれはないとして、上記補正係数K1が「1」に設定される(ステップS104)。
【0071】
こうして補正係数K1が算出若しくは設定された後、この補正係数K1及び最終噴射量Qfに基づいて、上記(1)式から目標噴射量Qtが算出される(ステップS105)。
【0072】
そしてその後、機関回転速度NE、及び噴射圧PFに基づいて、上記目標噴射量Qtに応じた量の燃料を上記機関1に対して噴射供給するために必要な噴射時間が算出される(ステップS106)。
【0073】
以下、上述した燃料噴射制御が具体的にどのように行われるかを、図4に示すタイミングチャートを参照して説明する。
なお、この図4は、本実施の形態の燃料噴射制御を始動後増量処理が併せて行われる機関1に適用した場合における目標噴射量Qtについての補正量の推移の一例を示している。この始動後増量処理は、機関1が完爆状態になった直後における機関回転速度NEを安定させるために実行される処理であり、目標噴射量Qtについての補正係数K2は冷却水温度THWに基づき設定される。この補正係数K2は具体的には、冷却水温度THWが低いほど大きな値として算出される。なお、この補正係数K2は「1」以上の数として算出される。そして、目標噴射量Qtは、最終噴射量Qf、及び各補正係数K1,K2に基づいて、下式から算出される。
Qt=Qf×(1/K1)×K2
さて、機関1の始動操作がなされると(タイミングt1)、その後同機関1が自律運転状態になるまでの期間においては(タイミングt1〜t2)、上述した低温始動補正処理及び始動後増量処理は実行されず、別途の処理を通じて、機関1の自律運転状態への円滑な移行が可能な目標噴射量Qtが算出される。このため、この期間にあっては、上記目標噴射量Qtについての補正量が「0」に設定されている。
【0074】
そしてその後、機関1が自律運転状態になると(タイミングt2)、上記低温始動補正処理及び始動後増量処理の実行が共に開始される。このとき、始動後増量処理では、図4中に矢印Dで示す分だけ目標噴射量Qtを増量する値として補正係数K2が算出される。これとは逆に、低温始動補正処理では、図4中に矢印Eで示す分だけ目標噴射量Qtを減量する値として補正係数K1が算出される。従って、このときにおける目標噴射量Qtについての補正量は、それら補正係数K1,K2を乗じた値に対応する量となる(本例では、目標噴射量Qtを減量する側の量に設定される)。
【0075】
その後、機関1の稼動が継続されると(タイミングt2以降)、冷却水温度THWが徐々に上昇する。そして、これに伴って図4中に一点鎖線で示すように、始動後増量処理により算出される補正係数K2は、目標噴射量Qtについての増量度合いを徐々に減少させるように推移する。これに対して、低温始動補正処理により算出される補正係数K1は、目標噴射量Qtについての減量度合いを徐々に減少させるように推移する。そして、このときにおける上記補正量は、図4に実線で示すように、それら補正係数K1,K2を乗じた値に対応して推移する(本例では、目標噴射量Qtを徐々に増量させるように推移する)。
【0076】
そして、低温始動補正処理において、前記マップ(図2)から算出される補正係数K1が「1」になると(タイミングt3)、その後において上記補正量は、始動後増量処理により算出される補正係数K2の推移に応じて推移するようになる。すなわち、目標噴射量Qtについての増量度合いを徐々に減少させるように推移するようになる(タイミングt3以降)。
【0077】
その後、冷却水温度THWが十分に上昇し、始動後増量処理により算出される補正係数K1が「1」になると(タイミングt4)、上記補正量は「0」になる。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、機関1の始動操作後の経過時間と燃料噴射弁2の推定温度とに基づいて目標噴射量Qtを減量補正するようにしている。これにより、電磁コイル43とアーマチャ44とのギャップGpの一時的な縮小に伴って燃料噴射弁2から噴射される燃料量が不要に増大する場合において、同ギャップGpの縮小度合いを求めた上で、その求めた縮小度合いに応じた噴射時間の短縮、ひいては同弁2から噴射される燃料量の減量補正が可能になる。従って、燃料噴射弁2から噴射される燃料量の不要な増大を好適に補償することができようになって、機関1の低温始動時において同燃料量をより的確に制御することができるようになる。
【0079】
(2)また本実施の形態では、機関1の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ燃料噴射弁2の推定温度が低いほど目標噴射量Qtを減量するようにした。これにより、燃料噴射弁2の温度特性に応じたかたちで噴射時間を短縮することができるようになり、同弁2から噴射される燃料量の不要な増大を好適に補償することができるようになる。
【0080】
(3)また本実施の形態では、機関の始動が完了してから燃料噴射弁2の各部の温度がほぼ均一になるまでの所定の期間に限って目標噴射量Qtを減量補正するようにした。このため、上記ギャップGpの一時的な縮小が生じるおそれのある期間に限って噴射時間を短縮することができるようになり、低温始動補正処理を効率よく実行することができるようになる。
【0081】
(4)また本実施の形態では、上述した目標噴射量Qtの減量補正を、燃料噴射弁2から噴射される燃料を気筒内に直接噴射供給する筒内噴射式の内燃機関の燃料噴射制御装置により実行するようにした。ここで通常、筒内噴射式の内燃機関では、内部圧力が高められた状態の気筒内に燃料を直接噴射供給する必要があるために、その燃料噴射弁には燃料が極めて高い圧力に蓄圧された上で供給されている。このため、上記ギャップGpが一時的に縮小すると、これに伴う燃料噴射弁2から噴射される燃料量についての増大量も極めて多量なものとなる。これに対して、本実施の形態によれば、こうした筒内噴射式の内燃機関にあって、その燃料噴射弁2から噴射される燃料量の不要な増大を好適に補償することができるようになる。
【0082】
(5)特に本実施の形態では、上述した目標噴射量Qtの減量補正を、コモンレール式のディーゼル機関1の燃料噴射制御装置により実行するようにした。筒内噴射式の内燃機関のなかでもコモンレール式のディーゼル機関は、燃焼行程における気筒内圧力が極めて高いために、その噴射圧が極めて高く設定されている。このため、上記ギャップGpが一時的に小さくなったときには、燃料噴射弁2から噴射される燃料量についての増大量が極めて多量なものとなる上に、これに伴って生じる気筒内圧力の過度な上昇、ひいては機関1の耐久性の低下に対する懸念も大きくなる。これに対して、本実施の形態によれば、こうしたコモンレール式のディーゼル機関1にあって、その耐久性に影響を及ぼすおそれのある気筒内圧力の不要な上昇を好適に抑制することができるようになる。
【0083】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態において、所定温度T2を、気筒内圧力の過度な上昇を招くおそれがあることを(条件b)を通じて判断することが可能になる値として設定するようにしてもよい。ここで、よく知られているように、内燃機関にあっては、吸気温度THAが低いときほど気筒内への空気の充填効率が高くなって、その圧縮行程における気筒内圧力が上昇する。従って、吸気温度THAが低いときほど気筒内圧力の上昇が過度なものとなり易い。この点、上記構成によれば、このように気筒内圧力の過度な上昇を招き易い期間に限って前述した低温始動補正処理を実行することが可能になる。
【0084】
・また、気筒内圧力の過度な上昇を抑制する上では、気筒内圧力を検出するためのセンサを別途設け、気筒内圧力が所定圧力を超えて高まったときに限って目標噴射量Qtを減量補正するといった構成を採用することもできる。
【0085】
・上記実施の形態では、目標噴射量Qtを減量補正して噴射時間を短縮するようにしたが、これに代えて、基準噴射圧を減圧補正するようにしてもよい。これもよく知られているように、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力(噴射圧)を減圧すると、同弁から噴射される燃料量は減少する。従って、前記ギャップGpの縮小度合いに応じて基準噴射圧を減圧補正することで、燃料噴射弁2から噴射される燃料量の不要な増大を好適に補償することができようになり、ひいては機関1の低温始動時において同燃料量をより的確に制御することができるようになる。なお、上記基準噴射圧についての減圧補正量は、機関1の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ燃料噴射弁2の推定温度が低いほど、大とすればよい。
【0086】
・また、目標噴射量Qtを減量補正することや、基準噴射圧を減圧補正することに代えて、燃料噴射時期を遅角補正するようにしてもよい。燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期を遅角すると、内燃機関における気筒内圧力のピーク値が低下することもよく知られている。従って、上記ギャップGpの縮小度合いに応じたかたちで噴射時期を遅角補正することで、少なくとも同ギャップGpの一時的な縮小に伴う気筒内圧力の不要な上昇を好適に抑制することができるようになる。
【0087】
一方、前述したように、上記ギャップGpの一時的な縮小は、アーマチャ44のリフト速度やリフト時期が一時的に早くなることに起因して生じる。すなわち、ギャップGpの一時的な縮小が生じているときには、噴射時期が不要に早くなっている。これに対して、ギャップGpの縮小度合いに応じて噴射時期を遅角補正する上記構成によれば、こうした噴射時期の不要な早期化についてもこれを好適に補償することができるようになる。
【0088】
なお、上記気筒内圧力の不要な上昇における上昇幅、及び噴射時期の不要な早期化における進角幅は、機関1の始動操作後における経過時間が短いほど、また燃料噴射弁2の温度が低いときほど大きい。従って、機関1の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ燃料噴射弁2の推定温度が低いほど、噴射時期の遅角補正量を大とすればよい。これにより、そのときどきの気筒内圧力の上昇幅や、噴射時期の進角幅に応じて噴射時期を遅角補正することが可能になり、気筒内圧力の不要な増大や、噴射時期の不要な早期化を好適に補償することができるようになる。
【0089】
・また、上述した噴射時間の短縮補正、噴射圧の減圧補正、及び噴射時期の遅角補正のいずれか2つを組み合わせて実行する、あるいはそれら全てを併せて実行するようにしてもよい。要は、上記ギャップGpの一時的な縮小に伴って生じる噴射量や、噴射時期、あるいは噴射圧といった燃料噴射態様の変化を好適に補償することができればよい。
【0090】
・上記実施の形態では、燃料噴射弁2の温度を吸気温度THAに基づいて推定するようにした。この推定に用いる機関パラメータとしては、吸気温度THAに限らず、例えば冷却水温度THW等、燃料噴射弁2の温度が好適に反映される機関パラメータであれば適宜採用可能である。また、空間的に、あるいはコスト的に余裕があるのであれば、こうした機関パラメータに基づく燃料噴射弁2の温度の推定に代えて、新たなセンサを設ける等して同弁2各部の温度を直接測定することも勿論可能である。
【0091】
・上記実施の形態では、本発明にかかる燃料噴射制御装置を、コモンレール式のディーゼル機関1に適用するようにした。これに限らず、他の型式のディーゼル機関や、筒内噴射式のガソリン機関、あるいは吸気ポート噴射式のガソリン機関などにも、本発明にかかる燃料噴射制御装置を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置の一実施の形態についてその概略構成を示すブロック図。
【図2】補正係数の算出に用いられるマップのマップ構造を示す略図。
【図3】噴射時間を算出する処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態による目標噴射量の補正態様の推移の一例を示すタイミングチャート。
【図5】燃料噴射弁の正面断面構造を示す正面断面図。
【図6】ギャップとアーマチャに作用する吸引力との関係を示すグラフ。
【図7】アーマチャのリフト量の推移の一例を示すグラフ。
【図8】燃料噴射率の推移の一例を示すグラフ。
【符号の説明】
1…ディーゼル機関、2…燃料噴射弁、4…コモンレール、5…供給配管、6…燃料ポンプ、6a…吐出ポート、6b…吸入ポート、6c…リターンポート、7…逆止弁、8…燃料タンク、9…フィルタ、10…圧力制御弁、11…リターン配管、12…リリーフ弁、13…吸気通路、15…アクセルペダル、21…アクセルセンサ、22…水温センサ、23…吸気温センサ、24…燃温センサ、25…燃圧センサ、26…クランク角センサ、27…カム角センサ、28…スタータスイッチ、31…吸気弁、32…排気弁、33…電子制御装置、41…ニードル、42…バネ、43…電磁コイル、44…アーマチャ、45…バネ、46…ケース、47…噴孔。
Claims (9)
- 電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁から噴射される燃料量の減量補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力の減圧補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大による気筒内圧力の上昇を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期の遅角補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 電磁コイルへの通電によるアーマチャの該電磁コイル側に吸引される方向へのリフト操作に応じて開弁される電磁駆動式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁に供給される燃料の内燃機関に対する噴射時期及び噴射量が、前記電磁コイルへの通電時期及び通電時間に応じて制御される内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記機関の低温始動直後の所定期間に生じる前記電磁コイルと前記アーマチャとのギャップの一時的な縮小に起因する前記噴射量の増大、及び同噴射量の増大による気筒内圧力の上昇のうちの少なくとも気筒内圧力の上昇を補正する手段であって、前記機関の始動操作後の経過時間と前記燃料噴射弁の推定温度とに基づいて、同燃料噴射弁から噴射される燃料量の減量補正、及び同燃料噴射弁に供給される燃料の圧力の減圧補正、及び同燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期の遅角補正の少なくとも1つを実行し、前記機関の始動操作後の経過時間が短いほど、且つ、前記燃料噴射弁の推定温度が低いほど、前記燃料噴射弁から噴射される燃料量についてはその減量補正量を大とする補正を前記所定期間において行い、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力についてはその減圧補正量を大とする補正を前記所定期間において行い、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射時期についてはその遅角補正量を大とする補正を前記所定期間において行う補正手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記補正手段は、前記燃料噴射弁の温度を前記機関の冷却水温度に基づいて推定する
請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記補正手段は、前記燃料噴射弁の温度を前記機関に吸入される空気の温度に基づいて推定する
請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記補正手段は、前記機関の始動が完了してから前記燃料噴射弁の各部の温度がほぼ均一になるまでの所定の期間に限って前記補正を実行する
請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記機関が、前記燃料噴射弁に供給される燃料を畜圧する手段を備えるとともに、前記燃料噴射弁から噴射される燃料を気筒内に直接噴射供給する筒内噴射式の内燃機関である ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記内燃機関が、コモンレール式のディーゼル機関である
請求項8に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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