JP2007056818A - 内燃機関の燃料温度推定装置及び内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料温度を内燃機関の運転状態に関わりなく正確に推定することができる燃料温度推定装置及び内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】 コモンレール内圧に応じて燃料温度上昇値を求める。エンジン冷却水温度に基づいてエンジンの暖機運転状態を認識する。温間時には、上記燃料温度上昇値になまし係数を乗算した燃料温度上昇量最終値を、サプライポンプの出口側燃料温度に加算してインジェクタ内推定温度とする。冷間時には、エンジン冷却水温度に応じたオフセット量だけ上記燃料温度上昇値を補正し、それになまし係数を乗算した燃料温度上昇量最終値を、サプライポンプの出口側燃料温度に加算してインジェクタ内推定温度とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車等に搭載される内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ場合もある)に適用される燃料温度推定装置及び内燃機関の制御装置に係る。特に、本発明は、燃料温度推定動作の信頼性を高めるための対策に関する。
従来より、例えば多気筒ディーゼルエンジン等の燃料供給系では、エンジンの高出力化及び燃料消費率の改善を目的として、エンジン回転数やエンジン負荷等に基づいて目標空燃比が演算され、実際の空燃比が目標空燃比に近付くように燃料噴射量を補正するフィードバック制御が行われている。
ところで、気筒内に噴射される燃料の噴射量は、所定燃料噴射圧力においてインジェクタ開弁時間を変更することにより調整(例えばDuty制御)されるようになっている。つまり、燃料噴射量を多くする場合にはインジェクタ開弁時間を長くし、逆に、燃料噴射量を少なくする場合にはインジェクタ開弁時間を短くするようにしている。このため、燃料の密度や物性が異なれば、インジェクタ開弁時間及び燃料噴射圧力が同一であっても、実際に気筒内に導入される燃料の質量には差が生じることになる。つまり、燃料温度(以下、燃温と呼ぶ場合もある)が高くなるほど燃料が膨張して燃料密度が小さくなるため、インジェクタから同じ体積の燃料が噴射されても、燃料温度が異なれば、噴射した燃料の質量に差が生じ、実空燃比が目標空燃比からずれてしまうことになる。
このため、燃料の密度を大きく左右する要因である燃料温度を正確に認識しておき、この燃料温度に応じたインジェクタ開弁時間を設定して、適切な量(質量)の燃料を気筒内に導入することが重要である。
特に、ディーゼルエンジンにあっては、ガソリンエンジンに比べて燃料噴射圧力が高く、燃料温度の変動の影響による気筒内への燃料導入量のずれが大きくなる傾向があるため、上記燃料温度を正確に認識しておくことの要求は大きい。
尚、このディーゼルエンジンの燃料供給システムとして、近年、コモンレールを使用した蓄圧式燃料噴射システムが注目されている。この蓄圧式燃料噴射システムは、燃料タンクから取り出した燃料をサプライポンプによって高圧にした後、この高圧燃料をコモンレール内に蓄積しておき、このコモンレール内の高圧燃料を各インジェクタからエンジンの燃焼室内に噴射する構成となっている(下記の特許文献1を参照)。
以下、従来の蓄圧式燃料噴射システムにおける燃料温度の推定動作について説明する。図3は、従来の燃料温度推定システムの制御ブロック図である。先ず、コモンレールに備えられたレール圧センサによってコモンレール内部圧力(レール圧)を検出する(図中A)。そして、予め記憶されている燃温上昇値推定マップ(1次元マップ)を用いて、上記検出したコモンレール内部圧力に応じた燃料温度上昇値を求める(図中B)。つまり、燃料は加圧されるほど高温になるので、コモンレール内部圧力が高いほど燃料温度上昇値も高い値として求められる。このようにして求められた燃料温度上昇値に対し、燃料温度の上昇遅れ等を考慮した時定数である「なまし係数」を乗算して(図中C)、燃料温度上昇量最終値を算出する(図中D)。
一方、上記サプライポンプの出口側(サプライポンプのリターンポートから燃料タンクへの戻し側)の燃料温度が温度センサによって検知されている(図中E)。そして、この検知されたサプライポンプの出口側の燃料温度に対し、上記算出した燃料温度上昇量最終値を加算することにより、インジェクタ内推定燃温を算出している(図中F)。つまり、サプライポンプの出口側の燃料温度とインジェクタ内燃温との温度差はコモンレール内部圧力によって左右されることを考慮し、このコモンレール内部圧力の値に応じた燃料温度の上昇分だけ、サプライポンプの出口側の燃料温度に対して加算し、インジェクタ内推定燃温を求めるようにしている。
そして、このようにして算出されたインジェクタ内推定燃温に応じて、上記インジェクタの開弁時間を補正して適切な燃料噴射量が得られるようにしている。具体的に、コモンレール内部圧力が比較的低い場合には、インジェクタ内推定燃温も低い値で算出され、インジェクタの開弁時間は短いものとなる。一方、コモンレール内部圧力が比較的高い場合には、インジェクタ内推定燃温も高い値で算出され、インジェクタの開弁時間を長くして、燃料の密度が低いことによる燃料噴射量の不足を回避している。
尚、上述した如く、コモンレールの内部温度やインジェクタの内部温度を直接的に検知するのではなく、温度センサによって検知したサプライポンプ出口側温度に対し、コモンレール内部圧力に応じた燃料温度上昇値(実際には燃料温度上昇量最終値)を加算してインジェクタ内推定燃温を求めるようにしている理由は、サプライポンプ出口側は比較的圧力が低いため(燃料タンク内圧と略同一圧となっている)、温度センサにより高精度で温度検知ができるのに対し、コモンレール内部やインジェクタ内部は圧力が高く、温度センサによる高精度な温度検知が難しいためである。
尚、上述したように燃料温度を正確に認識することで適切な量の燃料を気筒内に導入することが可能となるといった技術はディーゼルエンジンに限らずガソリンエンジンにも適用できるものである。例えば、下記の特許文献2には、デリバリパイプを備えたガソリンエンジンにおいて燃料温度を認識することが開示されている。
特開2004−245047号公報 特開2003−35181号公報
しかしながら、上述した従来の燃料温度推定動作にあっては、サプライポンプ出口側温度に対する温度補正値(上記の場合は燃料温度上昇値に「なまし係数」を乗算したもの)がコモンレール内部圧力のみによって決定されていたため、以下に述べる課題があった。
先ず、エンジンの暖機運転完了後の温間時にあっては、燃料温度もある程度高くなっているため、コモンレール内部圧力の上昇に伴って燃料温度も迅速に上昇していくことになり、上記燃料温度上昇値は、コモンレール内部圧力のみに応じて決定しても適切な値として求められ、その結果、インジェクタ内推定燃温も正確に得ることが可能である。
ところが、エンジンの暖機運転が未だ完了していない冷間時にあっては、燃料温度が外気温程度の低い温度になっているため、ドライバがアクセル開度を大きくするなどしてコモンレール内部圧力が上昇したとしても、それに伴って燃料温度が上昇するまでには大きな時間遅れを生じてしまう。このため、この冷間時に、コモンレール内部圧力が上昇した場合、燃料温度上昇値は実際の燃料温度上昇値よりも高い値として求められてしまい、つまり、燃料の密度が高い状態であるにも拘わらず、密度が低いものとしてインジェクタの開弁時間が設定されてしまうことになる。その結果、密度が高い燃料が必要時間以上に気筒内に噴射されることになり、実空燃比が目標空燃比よりも大幅にリッチ側にずれてしまう可能性がある。
尚、上記特許文献2には、高圧燃料を蓄圧しているデリバリパイプ内の燃料温度を温度センサによって直接的に検知することが開示されているが、上述した如く、高圧の環境下では温度センサによる高精度な温度検知が難しいため、燃料温度推定動作の信頼性が十分に得られない可能性がある。
また、この特許文献2には、燃料タンク内温度とエンジン冷却水温度とに基づいて燃料温度を推定することも開示されているが、コモンレール内部圧力(ガソリンエンジンの場合はデリバリパイプ内部圧力)の変動に応じて燃料温度が変化することや、その変化状態は冷間時と温間時とでは異なっていることを考慮して高精度な温度推定を行うといった技術的思想にまでは至っていない。
また、燃料温度推定動作において、燃料温度が正確に推定できていないことによる不具合は、上述したエンジンの冷間時の場合ばかりでなく、エンジンの温間時にも招くことがある。つまり、温間状態からエンジンが停止すると、このエンジンが熱源となって燃料供給系内の燃料が加熱され、燃料温度が上昇する。このため、燃料の一部が沸騰してベーパを発生し、次回のエンジン運転時には、このベーパを含んだ燃料がインジェクタから噴射されることになり、そのベーパ分だけ燃料噴射質量が減少して、空燃比がリーンになってしまう。しかしながら、従来の燃料温度推定動作にあっては、コモンレール内部圧力によって燃料温度上昇値が決定されるため、上記ベーパが発生している状況であってもコモンレール内部圧力が低い状況では燃料温度上昇値も低い値として求められてしまい、つまり、上記ベーパ分だけ燃料噴射質量が減少しているにも拘わらず燃料密度が高いものとしてインジェクタの開弁時間が設定されてしまうことになる。その結果、十分なインジェクタの開弁時間が得られず、実空燃比が目標空燃比よりも大幅にリーン側にずれてしまう可能性がある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関の運転状態(冷間時及び温間時)に関わりなく燃料温度を正確に推定することができる燃料温度推定装置及び内燃機関の制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、内燃機関の燃料供給系の低圧部分で検知した燃料温度に対して補正する温度補正量を、内燃機関暖機運転状態に応じて切り換えるようにしている。つまり、例えば内燃機関の温間時には燃料供給系の高圧部分の圧力より求められる補正量のみを加算する温度補正を行う一方、内燃機関の冷間時には燃料供給系の高圧部分の圧力より求められる補正量と内燃機関暖機運転状態に応じた補正量(負の補正量の場合もある)との合算量を加算する温度補正を行うようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、内燃機関に備えられる燃料供給系の高圧領域における燃料温度を推定するための燃料温度推定装置を前提とする。この燃料温度推定装置に対し、低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段、運転状態認識手段、高圧燃料温度推定手段を備えさせている。低圧燃料温度検知手段は、上記燃料供給系の低圧領域における燃料温度を検知する。高圧燃料圧力検知手段は、上記燃料供給系の高圧領域における燃料圧力を検知する。運転状態認識手段は、上記内燃機関の暖機運転状態を認識する。そして、高圧燃料温度推定手段は、上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記高圧領域における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対し、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算して燃料温度上昇補正値を算出し、この燃料温度上昇補正値を上記低圧領域における燃料温度に加算した値に基づいて燃料供給系の高圧領域内における燃料温度を推定するものとなっている。
ここでいう、燃料供給系の高圧領域とは、燃料を加圧するポンプの下流側(吐出側)の領域であり、例えば上記コモンレールの内部やインジェクタの内部である。また、燃料供給系の低圧領域とは、燃料を加圧するポンプの上流側(吸入側)の領域であり、例えばポンプ吸入ポートの内部や燃料タンクに繋がる配管の内部である。
また、上記解決手段を蓄圧式燃料噴射システムに適用した場合の構成としては以下のものが挙げられる。つまり、高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器と、この蓄圧容器に蓄えられた燃料を噴射するインジェクタと、燃料タンクから汲み上げた燃料を加圧して上記蓄圧容器に供給するサプライポンプとを備えた燃料供給系の上記インジェクタ内部における燃料温度を推定するための内燃機関の燃料温度推定装置を前提とする。この燃料温度推定装置に対し、低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段、運転状態認識手段、高圧燃料温度推定手段を備えさせている。低圧燃料温度検知手段は、上記サプライポンプから燃料タンクへ余剰燃料を戻す戻し流路内における燃料温度を検知する。高圧燃料圧力検知手段は、上記蓄圧容器内における燃料圧力を検知する。運転状態認識手段は、上記内燃機関の暖機運転状態を認識する。そして、高圧燃料温度推定手段は、上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記蓄圧容器内における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対し、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算して燃料温度上昇補正値を算出し、この燃料温度上昇補正値を上記戻し流路内における燃料温度に加算した値に基づいてインジェクタ内部における燃料温度を推定するものとなっている。
これら特定事項により、内燃機関の暖機状態による(温間時であるのか、または冷間時であるのかによる)燃料温度の推定値のずれを解消することができる。つまり、先ず、燃料供給系の高圧領域(蓄圧容器内)における燃料圧力に基づいて燃料温度上昇値を求めておく。そして、この燃料温度上昇値に対する補正分を内燃機関の暖機状態に応じて変化させる。例えば、内燃機関の冷間時には、燃料温度が外気温程度の低い温度になっているため、燃料供給系の高圧領域の圧力が上昇したとしても、それに伴って燃料温度が上昇するまでには大きな時間遅れを生じてしまう。このため、この冷間時に、高圧領域の圧力が上昇した場合、燃料温度上昇値は実際の燃料温度上昇値よりも高い値として求められてしまう可能性がある。つまり、燃料の密度を実際のものよりも低いものとして誤認識してしまう可能性がある。このような状況において、本発明では燃料温度上昇値に対する補正分を負の値とし、燃料温度上昇値を実際の燃料温度上昇値に近付けるような補正動作を行う。このようにして実際の燃料温度に近付くように燃料温度上昇値が補正された燃料温度上昇補正値を使用して燃料温度を推定するようにしているため、燃料温度を正確に推定することができ、その結果、燃料の密度に適した燃料噴射量を得ることができるので、実空燃比を目標空燃比に近付けることが可能になる。
上述した高圧燃料温度推定手段による燃料温度の推定動作として具体的には以下のものが挙げられる。先ず、運転状態認識手段が、内燃機関の冷却水温度に基づいて内燃機関の暖機運転状態を認識して、内燃機関が冷間時であるか温間時であるかを判断するようにしておく。そして、高圧燃料温度推定手段が、温間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対する温度補正分を「0」に設定する一方、冷間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対して減算する温度補正分を、上記冷却水温度が低いほど大きな値として設定する構成としている。
また、運転状態認識手段が、内燃機関の潤滑油温度に基づいて内燃機関の暖機運転状態を認識して、内燃機関が冷間時であるか温間時であるかを判断するようにしておく。そして、高圧燃料温度推定手段が、温間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対する温度補正分を「0」に設定する一方、冷間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対して減算する温度補正分を、上記潤滑油温度が低いほど大きな値として設定する構成としている。
これら特定事項のように、冷間時には、冷却水温度または潤滑油温度が低いほど、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対する減算量を大きくする。つまり、推定燃料温度が低い値として求められるようにする。これは、上述したように、冷却水温度または潤滑油温度が低いほど燃料温度も低くなっており、燃料供給系の高圧領域の圧力が上昇したとしても、それに伴って燃料温度が上昇するまでの時間遅れも大きくなることを考慮したものである。つまり、燃料供給系の高圧領域の圧力に基づけば燃料温度が高くなっていると判断できる状況であっても、冷間時では、実際の燃料温度は低い状態となっており、この状態は、冷却水温度や潤滑油温度が低いほど顕著に現れることを考慮したものである。
また、上記の目的を達成するために講じられた他の解決手段としては以下のものが挙げられる。つまり、内燃機関に備えられる燃料供給系の高圧領域における燃料温度を推定するための燃料温度推定装置を前提とする。この燃料温度推定装置に対し、低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段、運転状態認識手段、高圧燃料温度推定手段を備えさせている。低圧燃料温度検知手段は、上記燃料供給系の低圧領域における燃料温度を検知する。高圧燃料圧力検知手段は、上記燃料供給系の高圧領域における燃料圧力を検知する。運転状態認識手段は、上記内燃機関の暖機運転状態を認識する。そして、高圧燃料温度推定手段は、上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記内燃機関の温間時には、上記低圧領域における燃料温度に対して、高圧領域における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算した値に基づいて燃料供給系の高圧領域内における燃料温度を推定する一方、内燃機関の冷間時には、上記低圧領域における燃料温度に対して、高圧領域における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算すると共に、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算した値に基づいて燃料供給系の高圧領域内における燃料温度を推定するものとなっている。
また、この解決手段を蓄圧式燃料噴射システムに適用した場合の構成としては以下のものが挙げられる。つまり、高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器と、この蓄圧容器に蓄えられた燃料を噴射するインジェクタと、燃料タンクから汲み上げた燃料を加圧して上記蓄圧容器に供給するサプライポンプとを備えた燃料供給系の上記インジェクタ内部における燃料温度を推定するための内燃機関の燃料温度推定装置を前提とする。この燃料温度推定装置に対し、低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段、運転状態認識手段、高圧燃料温度推定手段を備えさせている。低圧燃料温度検知手段は、上記サプライポンプから燃料タンクへ余剰燃料を戻す戻し流路内における燃料温度を検知する。高圧燃料圧力検知手段は、上記蓄圧容器内における燃料圧力を検知する。運転状態認識手段は、上記内燃機関の暖機運転状態を認識する。そして、高圧燃料温度推定手段は、上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記内燃機関の温間時には、上記戻し流路内における燃料温度に対して、蓄圧容器内における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算した値に基づいてインジェクタ内部における燃料温度を推定する一方、内燃機関の冷間時には、上記戻し流路内における燃料温度に対して、蓄圧容器内における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算すると共に、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算した値に基づいてインジェクタ内部における燃料温度を推定するものとなっている。
これら特定事項によっても上述した解決手段の場合と同様に、内燃機関の暖機状態による燃料温度の推定値のずれを解消することができ、燃料の密度に適した燃料噴射量を得ることができて、実空燃比を目標空燃比に近付けることが可能になる。
また、上述した各解決手段に係る燃料温度推定装置によって推定された燃料温度に応じて気筒内への燃料噴射量を補正する内燃機関の制御装置の構成としては以下のものが挙げられる。つまり、燃料供給系は、燃料噴射弁の開弁時間を変更することによって気筒内への燃料噴射量を調整するようになっており、上記推定された燃料温度が高いほど燃料噴射弁の開弁時間を長く設定する構成としている。つまり、燃料の密度に適した燃料噴射量を得ることができ、燃料噴射制御の制御性を改善できる。
本発明では、内燃機関の燃料供給系の低圧部分で検知した燃料温度に対して、補正加算する温度補正量を、内燃機関暖機運転状態に応じて切り換えるようにしている。つまり、実際の燃料温度に近付くように燃料温度上昇値が補正された燃料温度上昇補正値を使用して燃料温度を推定するようにしている。このため、燃料温度を正確に推定することができ、その結果、燃料の密度に適した燃料噴射量を得ることができるので、実空燃比を目標空燃比に近付けることが可能になって、エンジンの高出力化及び燃料消費率の改善を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば4気筒)ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成説明−
先ず、本実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の概略構成について説明する。図1は本実施形態に係るエンジン1及びその制御系統の概略構成図である。
このエンジン1におけるシリンダ1aとピストン1bとの間で形成される燃焼室3には、吸気系として、吸気バルブ4aを介して吸気通路4が接続されている。この吸気通路4には、上流側より、吸入空気を濾過するエアクリーナ6、吸入空気量を検出するための吸入空気量センサ8、吸入空気の温度を検出するための吸気温センサ10、燃焼室3内に導入される吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ14がそれぞれ設けられている。
スロットルバルブ14は駆動機構16によって開閉駆動される。この駆動機構16は、ステップモータ18及び、このステップモータ18とスロットルバルブ14とを駆動連結するギア群を備えて構成されている。尚、ステップモータ18は、エンジン1の各種制御を行うための電子制御装置(以下「ECU」という)20によって駆動制御される。また駆動機構16には、スロットルバルブ14が全開位置となることでオン状態となる全開スイッチ22が設けられている。
一方、上記燃焼室3には、排気系として、排気バルブ24aを介して排気通路24が接続されている。この排気通路24からはEGR(排気再循環)通路26が分岐している。このEGR通路26は、吸気通路4におけるスロットルバルブ14の下流側に接続されている。EGR通路26には、ECU20によって制御されるアクチュエータ28により開閉駆動されるEGRバルブ30が設けられている。上記スロットルバルブ14によって吸入空気量を、また、このEGRバルブ30によってEGR量をそれぞれ調整することで、燃焼室3内に導入される吸入空気量とEGR量との割合を自在に設定することが可能となる。このことによりエンジン1の全運転領域にわたって適切な吸入空気量及びEGR量の制御が行えるようになっている。
エンジン1には、複数の気筒(本実施形態のものは4気筒であるが、1気筒のみ図示している)♯1,♯2,♯3,♯4が設けられており、各気筒♯1〜♯4の燃焼室3に対してインジェクタ32がそれぞれ配設されている。インジェクタ32からエンジン1の各気筒♯1〜♯4への燃料噴射は、噴射制御用電磁弁32aのオン・オフにより制御される。
上記インジェクタ32は、各気筒共通の蓄圧容器としてのコモンレール34に接続されており、上記噴射制御用電磁弁32aが開いている間(インジェクタ開弁期間)、コモンレール34内の燃料がインジェクタ32より燃焼室3内へ噴射されるようになっている。上記コモンレール34には、燃料噴射圧に相当する比較的高い圧力が蓄積されている。この蓄圧を実現するために、コモンレール34は、供給配管35を介してサプライポンプ36の吐出ポート36aに接続されている。また、供給配管35の途中には、逆止弁37が設けられている。この逆止弁37の存在により、サプライポンプ36からコモンレール34への燃料の供給が許容され、且つ、コモンレール34からサプライポンプ36への燃料の逆流が規制されている。
上記サプライポンプ36は、吸入ポート36bを介して燃料タンク38に接続されており、その途中にはフィルタ39が設けられている。サプライポンプ36は、燃料タンク38からフィルタ39を介して燃料を吸入する。また、これとともに、サプライポンプ36は、エンジン1の出力軸であるクランク軸からの回転駆動力を受けてプランジャを往復運動させ、燃料圧力を要求される圧力にまで高め、高圧燃料をコモンレール34に供給している。
更に、サプライポンプ36の吐出ポート36a近傍には、圧力制御弁40が設けられている。この圧力制御弁40は、吐出ポート36aからコモンレール34へ吐出される燃料圧力(すなわち噴射圧力)を制御するためのものである。この圧力制御弁40が開かれることにより、吐出ポート36aから吐出されない分の余剰燃料が、サプライポンプ36に設けられたリターンポート36cからリターン配管(戻し流路)41を経て燃料タンク38へと戻されるようになっている。
以上の如く、燃料タンク38、サプライポンプ36、コモンレール34、インジェクタ32を主要構成部材としてエンジン1の燃料供給系が構成されている。
また、上記エンジン1の燃焼室3には、グロープラグ42が配設されている。このグロープラグ42は、エンジン1の始動直前にグローリレー42aに電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置である。
尚、エンジン1のクランク軸には、このクランク軸の回転に同期して回転するロータが設けられ、このロータの外周面に形成された凸部を検出してその回転速度に対応したパルス信号を出力する電磁ピックアップからなる回転数センサ44が設けられている。この回転数センサ44の出力は、エンジン1の回転数の算出に寄与する信号としてECU20に取り込まれる。
上記ECU(Electronic Control Unit)20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びバックアップRAM、タイマーやカウンタ等を備え、これらと、A/D(Analog/Digital)変換器を含む外部入力回路及び外部出力回路とが双方向性バスにより接続されて構成される。
このように構成されたECU20は、各種センサの検出信号を、外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいてエンジン1の燃料噴射等についての基本制御等、エンジン1の運転状態に関する各種制御を実行する。具体的には、ECU20には、上述した吸入空気量センサ8によって検出される吸入空気量情報や吸気温センサ10によって検出される吸気温度情報をはじめ、アクセル開度センサ46によって検出されるアクセル開度情報(アクセルペダルの踏み込み量情報)やIG(イグニッション)スイッチ48のオン・オフ情報、スタータスイッチ50のオン・オフ情報、ウォータジャケット2aに設けられた冷却水温センサ52によって検出される冷却水温度情報、トランスミッションに設けられたシフトポジションセンサ54によって検出されるシフトポジション情報及び車速センサ56の信号により検出されている車速情報、インジェクタ32から延びるリターン配管41に設けられた燃温センサ58により検出される燃料温度情報、上記リターンポート36c付近に設けられた燃温センサ(低圧燃料温度検知手段)59により検出される燃料温度情報、コモンレール34に設けられた燃圧センサ(高圧燃料圧力検知手段)60により検出される燃料の圧力(噴射圧力PC)情報等の情報も併せて取り込まれ、これら情報に基づいてエンジン1の運転状態に関する各種制御を実行するようになっている。
−燃料噴射動作−
次に、上記ECU20によって実行される燃料噴射動作について説明する。
先ず、ECU20は、エンジン1の運転条件に応じた最適な燃料噴射圧力、つまりコモンレール内部圧力を演算し、ポンプ駆動回路を介してサプライポンプ36の圧力制御弁40を制御する。すなわち、ECU20は、上記回転数センサ44によって検出されたエンジン回転数(NE)及びアクセル開度センサ46によって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報に基づいて目標コモンレール圧(Pt)を算出し、燃圧センサ60によって検出された実コモンレール圧(PC)と上記目標コモンレール圧(Pt)との圧力差に応じて目標ポンプ圧送量を演算して、その演算結果に基づき、圧力制御弁40に対して駆動制御信号を出力する。つまり、燃圧センサ60によって検出される実コモンレール圧(PC)がエンジン1の運転条件によって決定される上記目標コモンレール圧(Pt)と略一致するように、ポンプ駆動信号(駆動電流)をフィードバック制御により出力するようになっている。
また、ECU20は、回転数センサ44によって検出されたエンジン回転数(NE)及びアクセル開度センサ46によって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報に基づいて目標噴射量(基本噴射量)を算出し、エンジン回転数(NE)及び目標噴射量に基づいて燃料噴射時期(噴射制御用電磁弁32aに対する通電開始時期及び通電継続時間)を算出する。そして、実コモンレール圧(PC)及び目標噴射量(Q)に応じて噴射パルス幅(Tq)を算出し、各気筒のインジェクタ32の噴射制御用電磁弁32aにインジェクタ噴射パルスを印加する。これにより、各気筒のインジェクタ32は噴射制御用電磁弁32aの開弁時間だけその気筒内に燃料を噴射することになる。具体的には、ECU20は、上記エンジン回転数、吸気管負圧、エンジン負荷等のエンジン運転状態を座標とし所定条件を満たすように燃料噴射量を規定する燃料噴射量マップを有しており、この燃料噴射量マップ上の燃料噴射量を規定する噴射量値として、噴射制御用電磁弁32aに加える制御パルス信号のパルス幅を規定する時間を設定することになる。
そして、本実施形態では、上記気筒内に噴射する燃料の噴射量を適切に得るために、燃料温度(インジェクタ32の内部における燃料温度)を推定し、つまり、燃料の密度を大きく左右する燃料温度を推定し、この推定した燃料温度に応じて噴射制御用電磁弁32aの開弁時間の補正、つまり燃料噴射量の補正を行うようにしている。以下、この燃料温度を推定するための動作について説明する。
−燃料温度推定動作−
図2は、本実施形態における燃料温度推定システムの制御ブロック図である。この図2では、従来の燃料温度推定システムの制御ブロック図(図3)と同一のブロックについては同一の符号を付している。また、図2では、従来の燃料温度推定システムの制御ブロックとは異なる部分を破線で囲っている。
先ず、コモンレール34に備えられている燃圧センサ(レール圧センサ)60によってコモンレール34の内部圧力(本発明でいう高圧領域の燃料圧力)を検出する(図中A)。そして、ECU20に予め記憶されている燃温上昇値推定マップ(1次元マップ)を用いて、上記検出したコモンレール34の内部圧力に応じた燃料温度上昇値を求める(図中B及びB1)。燃料は加圧されるほど高温になるので、コモンレール34の内部圧力が高いほど燃料温度上昇値も高い値として求められるよう上記燃温上昇値推定マップは作成されている。
次に、上記冷却水温センサ52によって検出されたウォータジャケット2a内の冷却水温度を読み込み(図中G)、この冷却水温度に基づいてエンジン1の暖機運転状態を認識する(本発明でいう運転状態認識手段による暖機運転状態の認識動作)。具体的には、冷却水温度が所定の閾値よりも低い場合にはエンジン1の暖機運転が未だ完了していない冷間時であると判断する一方、冷却水温度が所定の閾値以上である場合にはエンジン1の暖機運転は完了した温間時であると判断する(図中H)。尚、この閾値としては、例えば80℃に設定される。この閾値は、この値に限られるものではなく任意に設定可能である。また、上記冷間時であるのか温間時であるのかの判定を正確且つ迅速に行うために、上記冷却水温センサ52の取り付け位置としては、ウォータジャケット2aの出口側(ラジエータへの戻り側であり、冷却水が最も高温になっている部分)に設定することが好ましい。
そして、エンジン1が温間時である場合(図中の「II」が選択された場合)には、上述の如く求められた燃料温度上昇値に対し、燃料温度の上昇遅れ等を考慮した時定数である「なまし係数」を乗算して(図中C)、燃料温度上昇量最終値を算出する(図中D)。
一方、エンジン1が冷間時である場合(図中の「I」が選択された場合)には、上述の如く求められた燃料温度上昇値に対して、ECU20に予め記憶されている燃温上昇値オフセット量マップを用いて、上記検出した冷却水温度に応じた燃温上昇値オフセット量を求める(図中J)。
つまり、エンジン1が冷間時である場合、燃料温度が外気温程度の低い温度になっているため、ドライバがアクセル開度を大きくするなどしてコモンレール34の内部圧力が上昇したとしても、それに伴って燃料温度が上昇するまでには大きな時間遅れが生じる。つまり、この冷間時に、コモンレール34の内部圧力が上昇した場合、上記燃温上昇値推定マップのみでは燃料温度上昇値は実際の燃料温度上昇値よりも高い値として求められてしまい、つまり、燃料の密度が高い状態であるにも拘わらず、密度が低いものとしてインジェクタ32の開弁時間が設定されてしまうことになる。その結果、密度が高い燃料が必要時間以上に気筒内に噴射されることになり、実空燃比が目標空燃比よりも大幅にリッチ側にずれてしまう可能性がある。
この点を考慮し、本実施形態では、冷間時(上記「I」が選択された場合)には、コモンレール34の内部圧力が上昇したとしても、燃料の密度は高い状態にあると判断し、この密度が高い状態でのインジェクタ32の開弁時間が設定されるように、推定燃料温度を、上記燃温上昇値オフセット量マップより求められる燃温上昇値オフセット量により補正するようにしている。そして、このようにして求められた燃温上昇値オフセット量をもって燃料温度上昇値を補正して燃料温度上昇補正値を算出する。具体的に、この冷間時には、上記燃温上昇値オフセット量が「負」の値として求められることになり、燃料温度上昇値が減算されて燃料温度上昇補正値が算出されることになる。また、この燃温上昇値オフセット量の絶対値としては冷却水温度が低いほど大きな値として求められるように燃温上昇値オフセット量マップは作成されている。つまり、冷却水温度が低いほど燃料温度上昇補正値は低い値として算出されるようになっている。
そして、この燃料温度上昇補正値に対し、燃料温度の上昇遅れ等を考慮した時定数である「なまし係数」を乗算して(図中C)、燃料温度上昇量最終値を算出する(図中D)。
一方、上記サプライポンプ36の出口側(サプライポンプ36のリターンポート36cから燃料タンク38への戻し側であって、本発明でいう低圧領域)の燃料温度が燃温センサ59によって検知されている(図中E)。そして、この検知されたサプライポンプ36の出口側の燃料温度に対し、上記算出した燃料温度上昇量最終値(エンジン1の温間時と冷間時とでは異なる値となっている)を加算することにより、インジェクタ内推定燃温を算出する(図中F:高圧燃料温度推定手段による燃料温度の推定動作)。
このようにして算出されたインジェクタ内推定燃温に応じて、上記インジェクタ32の開弁時間を補正して適切な燃料噴射量が得られるようになっている。具体的に、上記基本噴射量となるように設定されたインジェクタ32の開弁時間に対し、コモンレール34の内部圧力が比較的低い場合にはインジェクタ内推定燃温も低い値で算出されインジェクタ32の開弁時間は短いものとなる。一方、コモンレール34の内部圧力が比較的高い場合にはインジェクタ内推定燃温も高い値で算出されインジェクタ32の開弁時間を長くし、燃料の密度が低いことによる燃料噴射量の不足を回避するようにしている。それに加えて、本実施形態では、上述した如くエンジン1が冷間時である場合には、燃温上昇値オフセット量マップにより求められた燃温上昇値オフセット量により燃料温度上昇値を補正し、この補正後の燃料温度上昇補正値を使用して燃料温度上昇量最終値を算出する。そして、この推定された燃料温度が低いほどインジェクタ32の開弁時間を短くするように補正することになる。
以上説明したように、本実施形態では、エンジン1の暖機状態に応じた補正値を用いてインジェクタ32の内部温度を推定するようにしているため、燃料温度を正確に推定することができる。その結果、燃料の密度に適した燃料噴射量を得ることができ、実空燃比を目標空燃比に近付けることが可能になる。
また、本実施形態によれば、上述したような冷間時における燃料温度を正確に推定できるばかりでなく、温間時における燃料温度も正確に推定できるため、以下に述べる不具合を解消することができる。
つまり、温間状態からエンジン1が停止すると、このエンジン1が熱源となって燃料供給系内の燃料が加熱され、燃料温度が上昇することになる。このため、燃料の一部が沸騰してベーパを発生し、次回のエンジン運転時には、このベーパを含んだ燃料がインジェクタ32から噴射されることになり、そのベーパ分だけ燃料噴射質量が減少して、空燃比がリーンになってしまう可能性がある。従来の燃料温度推定動作にあっては、コモンレール内部圧力によって燃料温度上昇値が決定されるため、上記ベーパが発生している状況であってもコモンレール内部圧力が低い状況では燃料温度上昇値も低い値として求められてしまい、つまり、上記ベーパ分だけ燃料噴射質量が減少しているにも拘わらず燃料密度が高いものとしてインジェクタの開弁時間が設定されてしまうことになる。その結果、十分なインジェクタの開弁時間が得られず、実空燃比が目標空燃比よりも大幅にリーン側にずれてしまう可能性があった。これに対し、本実施形態のようにエンジン1の暖機運転状態に応じて燃料温度を正確に推定できるようになれば、上記ベーパが発生する状況となっているか否かを正確に認識することができる。このため、ベーパが発生する状況となっている場合(燃料温度が非常に高い場合)には、燃料噴射量を増加させるように制御して空燃比がリーンになってしまうといった状況を回避することが可能になる。
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒ディーゼルエンジン1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の形式のディーゼルエンジンやガソリンエンジン(例えばデリバリパイプを備えたもの)にも適用可能である。また、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型やV型等の別)についても特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、インジェクタ32の内部における燃料温度を推定できるように、上記燃温上昇値推定マップや燃温上昇値オフセット量マップを作成していたが、燃料温度を推定する箇所としては、インジェクタ32の内部に限らず、コモンレール34の内部や、このコモンレール34とインジェクタ32とを接続する燃料供給配管の内部を対象としてもよい。
また、上記実施形態では、エンジン1が冷間時であるのか温間時であるのかの判断を冷却水温度によって行うようにしていた。本発明はこれに限らず、エンジン1の冷間時と温間時とで状態に差が生じているものであれば他の手法を用いてもよい。例えば、潤滑油温度によって冷間時であるのか温間時であるのかを判断することが可能である。また、アイドリング運転時の燃料噴射量制御としては、冷間時には燃料噴射量が多めに設定され、その後、温間時になると燃料噴射量が減量されることになる。つまり、アイドル目標回転数が変更されるので、この燃料噴射量の指令信号を読み込むことでエンジンが冷間時であるのか温間時であるのかを判断することも可能である。
更に、上記実施形態では、エンジン1の冷間時においてのみ燃温上昇値オフセット量マップを使用して燃料温度上昇値を所定のオフセット量だけ補正するようにしたが、温間時にも同様に燃料温度上昇値を補正するようにしてもよい。この場合、温間時には燃料温度上昇値に対して正側にオフセット量を加算することになる。
本発明の実施形態に係るエンジン及びその制御系統の概略構成図である。 実施形態における燃料温度推定システムの制御ブロック図である。 従来の燃料温度推定システムの制御ブロック図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
32 インジェクタ
36 サプライポンプ
38 燃料タンク
41 リターン配管(戻し流路)
52 冷却水温センサ
59 燃温センサ(低圧燃料温度検知手段)
60 燃圧センサ(高圧燃料圧力検知手段)

Claims (7)

  1. 内燃機関に備えられる燃料供給系の高圧領域における燃料温度を推定するための燃料温度推定装置において、
    上記燃料供給系の低圧領域における燃料温度を検知する低圧燃料温度検知手段と、
    上記燃料供給系の高圧領域における燃料圧力を検知する高圧燃料圧力検知手段と、
    上記内燃機関の暖機運転状態を認識する運転状態認識手段と、
    上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記高圧領域における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対し、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算して燃料温度上昇補正値を算出し、この燃料温度上昇補正値を上記低圧領域における燃料温度に加算した値に基づいて燃料供給系の高圧領域内における燃料温度を推定する高圧燃料温度推定手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の燃料温度推定装置。
  2. 高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器と、この蓄圧容器に蓄えられた燃料を噴射するインジェクタと、燃料タンクから汲み上げた燃料を加圧して上記蓄圧容器に供給するサプライポンプとを備えた燃料供給系の上記インジェクタ内部における燃料温度を推定するための内燃機関の燃料温度推定装置において、
    上記サプライポンプから燃料タンクへ余剰燃料を戻す戻し流路内における燃料温度を検知する低圧燃料温度検知手段と、
    上記蓄圧容器内における燃料圧力を検知する高圧燃料圧力検知手段と、
    上記内燃機関の暖機運転状態を認識する運転状態認識手段と、
    上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記蓄圧容器内における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対し、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算して燃料温度上昇補正値を算出し、この燃料温度上昇補正値を上記戻し流路内における燃料温度に加算した値に基づいてインジェクタ内部における燃料温度を推定する高圧燃料温度推定手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の燃料温度推定装置。
  3. 上記請求項1または2記載の内燃機関の燃料温度推定装置において、
    運転状態認識手段は、内燃機関の冷却水温度に基づいて内燃機関の暖機運転状態を認識して、内燃機関が冷間時であるか温間時であるかを判断するようになっており、
    高圧燃料温度推定手段は、温間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対する温度補正分を「0」に設定する一方、冷間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対して減算する温度補正分を、上記冷却水温度が低いほど大きな値として設定するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の燃料温度推定装置。
  4. 上記請求項1または2記載の内燃機関の燃料温度推定装置において、
    運転状態認識手段は、内燃機関の潤滑油温度に基づいて内燃機関の暖機運転状態を認識して、内燃機関が冷間時であるか温間時であるかを判断するようになっており、
    高圧燃料温度推定手段は、温間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対する温度補正分を「0」に設定する一方、冷間時には、燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値に対して減算する温度補正分を、上記潤滑油温度が低いほど大きな値として設定するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の燃料温度推定装置。
  5. 内燃機関に備えられる燃料供給系の高圧領域における燃料温度を推定するための燃料温度推定装置において、
    上記燃料供給系の低圧領域における燃料温度を検知する低圧燃料温度検知手段と、
    上記燃料供給系の高圧領域における燃料圧力を検知する高圧燃料圧力検知手段と、
    上記内燃機関の暖機運転状態を認識する運転状態認識手段と、
    上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記内燃機関の温間時には、上記低圧領域における燃料温度に対して、高圧領域における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算した値に基づいて燃料供給系の高圧領域内における燃料温度を推定する一方、内燃機関の冷間時には、上記低圧領域における燃料温度に対して、高圧領域における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算すると共に、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算した値に基づいて燃料供給系の高圧領域内における燃料温度を推定する高圧燃料温度推定手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の燃料温度推定装置。
  6. 高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器と、この蓄圧容器に蓄えられた燃料を噴射するインジェクタと、燃料タンクから汲み上げた燃料を加圧して上記蓄圧容器に供給するサプライポンプとを備えた燃料供給系の上記インジェクタ内部における燃料温度を推定するための内燃機関の燃料温度推定装置において、
    上記サプライポンプから燃料タンクへ余剰燃料を戻す戻し流路内における燃料温度を検知する低圧燃料温度検知手段と、
    上記蓄圧容器内における燃料圧力を検知する高圧燃料圧力検知手段と、
    上記内燃機関の暖機運転状態を認識する運転状態認識手段と、
    上記低圧燃料温度検知手段、高圧燃料圧力検知手段及び運転状態認識手段の出力を受け、上記内燃機関の温間時には、上記戻し流路内における燃料温度に対して、蓄圧容器内における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算した値に基づいてインジェクタ内部における燃料温度を推定する一方、内燃機関の冷間時には、上記戻し流路内における燃料温度に対して、蓄圧容器内における燃料圧力に基づいて求められる燃料温度上昇値を加算すると共に、内燃機関の暖機運転状態に応じた温度補正分を加算または減算した値に基づいてインジェクタ内部における燃料温度を推定する高圧燃料温度推定手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の燃料温度推定装置。
  7. 上記請求項1〜6のうち何れか一つに記載の内燃機関の燃料温度推定装置によって推定された燃料温度に応じて気筒内への燃料噴射量を補正する内燃機関の制御装置において、
    燃料供給系は、燃料噴射弁の開弁時間を変更することによって気筒内への燃料噴射量を調整するようになっており、上記推定された燃料温度が高いほど燃料噴射弁の開弁時間を長く設定する構成とされていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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