本願発明の実施の形態を図1乃至図22に基づいて説明する。図1は、本願発明に係る地震時ロック装置の一つの実施の形態を示す側面断面図である。図2は、本願発明に係る地震時ロック装置の説明図であって、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図である。図3は、本願発明に係る地震時ロック装置の要部説明図であって、(a)は蓋部材及び係止手段を外した上面図、(b)は蓋部材を外した上面図である。図4は本願発明に係る係止装置の説明図であって、(a1)は係止解除部材が解除位置にある係止装置の上面図、(b1)は係止解除部材が非解除位置にある係止装置の上面図、(c1)は係止解除部材が非解除位置にある係止装置の側面図、(d1)は係止解除部材が解除位置にある係止装置の側面図、(e1)は係止装置の正面図、(a2)は係止解除部材が解除位置にある係止装置の上面図、(b2)は係止解除部材が非解除位置にある係止装置の上面図、(c2)は係止解除部材が非解除位置にある係止装置の側面断面図、(d2)は係止解除部材が解除位置にある係止装置の側面断面図、(e2)は係止装置の正面断面図、(c3)は係止解除部材が非解除位置にある係止装置の側面断面図である。
図5は、本願発明に係る地震時ロック装置の取付状態を説明する説明図である。図6、7は、本願発明に係る地震時ロック装置の動作を説明する側面断面図である。図8乃至12は、本願発明に係る地震時ロック装置の解除動作を説明する側面断面図である。図13は、本願発明に係る係止装置の他の実施の形態を説明する説明図である。図14は、本願発明に係る地震時ロック装置の他の実施の形態を示す説明図であって、(a)は側面断面図、(b)は正面図、(c)は(a)の動きを説明する側面断面図である。図15は、本願発明に係る地震時ロック装置の他の実施の形態を示す説明図であって、(a)は蓋部材を外した上面図、(b)は底面図である。図16は、本願発明に係る地震時ロック装置の他の実施の形態を示す説明図であって、(a)は側面断面図、(b)は正面図、(c)は(a)の動きを説明する側面断面図である。図17は、本願発明に係る地震時ロック装置の他の実施の形態を示す説明図であって、(a)は蓋部材を外した上面図、(b)は底面
図である。図18は、本願発明に係る地震時ロック装置の他の実施の形態を示す説明図であって、(a)は側面断面図、(b)は正面図、(c)は(a)の動きを説明する側面断面図である。図19は、本願発明に係る地震時ロック装置の他の実施の形態を示す説明図であって、(a)は蓋部材を外した上面図、(b)は底面図である。図20乃至22は、本願発明に係る地震時ロック装置の他の実施の形態を示す説明図であって、(a)は側面断面図、(b)は(a)の動きを説明する側面断面図である。
地震時ロック装置1、81、141は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置Aに設けられ、地震時に開き戸Eの開放を規制するものである。収納装置本体Bに取り付けられるケース2、82、142と、当該ケース2、82、142に回動可能に設けられた係止手段30、110、150と、当該ケース2、82、142に転動可能に設けられた転動体(球体)20とからなる。前記係止手段30、110、150は、非係止位置X1から係止位置X2まで回動可能であって、自重又は重錘により係止位置X2方向に付勢され、係止位置X2で開き戸Eの被係止手段50、120に係止可能である。
前記転動体(球体)20は、非地震時に前記係止手段30、110、150と係合して係止手段30、110、150を非係止位置X1で保持し、地震時に係止手段30、110、150から離脱して係止手段30、110、150を自重又は重錘により係止位置X2に回動させるように構成されている。前記ケース2、82、142の底壁6、86、146には、前記転動体(球体)20の前記係止手段30、110、150に対する非係合位置Y1から係合位置Y2まで傾斜して、転動体(球体)20を前記非係合位置Y1から前記係合位置Y2まで案内する案内面21、101、131、132、138、162が形成されている。
前記係止手段30、110は、基部31、112が前記ケース2、82に回動可能に取り付けられ、自重又は重錘により先部35、115が下方に付勢され、当該先部35、115に係止爪36、116が形成されている。前記係止爪36、116の開き戸E側には、開き戸Eの閉じる方向Pに下降傾斜している傾斜面37、117が形成されている。
前記係止手段150は、基部151が前記ケース142に回動可能に取り付けられ、重錘160により先部154が上方に付勢され、当該先部154に係止爪153が形成されており、前記係止爪153の開き戸E側には、開き戸Eの閉じる方向に上昇傾斜している傾斜面156が形成されている。
前記係止爪36,153の先端36a,158には、開き戸Eの閉じる方向Pに突出する係止凸起39,157が形成されている。前記係止手段30、110、150には、非地震時に係合位置Y2にある転動体(球体)20の上部20a(又は下部20c)と係合して非係止位置X1で保持され、地震時に非係合位置Y1にある転動体(球体)20の側部20bと係合して転動体(球体)20の係合位置Y2側への移動を阻止する係合手段46、114、161が形成されている。
前記案内面21、101、162は、開き戸Eの開閉方向に形成され、ガイド枠15、95、144で囲まれるようになっており、前記転動体(球体)20が前記ガイド枠15、95、144内で開き戸Eの開閉方向に転動可能に設けられている。前記係止手段30、110、150と係合する係合位置Y2の転動体(球体)20がガイド枠15、95、114と当接する。
案内面131、132は、開き戸Eの開閉方向に形成され、ガイド枠133で囲まれるようになっており、前記転動体(球体)20が前記ガイド枠133内で開き戸Eの開閉方向に転動可能に設けられている。前記案内面131、132は、前記係止手段110と係
合する転動体(球体)20の係合位置Y2が前記案内面131,132の中で一番低く形成されている。
前記案内面131,132,138は、ガイド枠135で囲まれるようになっており、前記転動体(球体)20が前記ガイド枠135内で開き戸Eの開閉方向及び開閉方向と略直角の方向に転動可能に設けられている。前記案内面131,132,138は、前記係止手段110と係合する転動体(球体)20の係合位置Y2が前記案内面131,132,138の中で一番低く形成されている。
前記被係止手段50は、前記係止手段30、150の係止爪36、153を係止する係止枠55を有する。当該係止枠55には、前記係止爪36、153の係止を解除する解除位置Z2と、前記係止爪36、153の係止を解除しない非解除位置Z1に移動可能な係止解除部材65が設けられている。
前記係止解除部材65は、開き戸Eの開閉方向に摺動可能に設けられ、開き戸Eの閉じる方Pの面には、前記係止爪36、153の傾斜面37、156と摺接して、前記係止爪36、153を非係止位置X1方向に移動させ、係止爪36、153の係止を解除する解除傾斜面68が形成されている。前記係止枠55には、前記係止爪36、153の係止凸起39、157を係止する係止凹部61が形成されている。
係止装置50は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置Aの開き戸Eに設けられ、地震時に開き戸付き収納装置Aに設けられた係止手段30、150の係止爪36、153によって係止され、開き戸Eの開放が規制される。係止装置50は、開き戸Eに取り付けられる係止枠55と、当該係止枠55に摺動可能に設けられた係止解除部材65とからなる。当該係止解除部材65は、前記係止爪36、153の係止を解除することができない非解除位置Z1から前記係止爪36、153の係止を解除することができる解除位置Z2に摺動可能である。
前記係止解除部材65は、開き戸Eの開閉方向に摺動可能に設けられ、開き戸Eの閉じる方Pの面には、前記係止爪36、153の傾斜面37、156と摺接して、係止爪36、153を非係止位置X1方向に移動させ、係止爪36、153の係止を解除する解除傾斜面68が形成されている。前記係止枠55には、前記係止爪36、153の係止凸起39、157を係止する係止凹部61が形成されている。
さらに地震時ロック装置について詳細に説明する。図1に示すように、地震時ロック装置1は、基枠(収納装置本体)Bに取り付けられるケース2を有する。図2に示すように、ケース2は、箱形形状で形成され、ケース本体3と、蓋部材5とで形成されている。図3に示すように、ケース本体3は、底壁6と、後壁7と、前壁9と、右壁10と、左壁11とからなり、上部が開放されて形成されている。右壁10と左壁11の内側面10a,11aであって、略中央より後方側には、軸受溝12a,13aを備えた軸受け凸起12,13が形成されている。軸受溝12aと軸受溝13aは、対向している配置されている。
図3に示すように、底壁6の内側面6aであって、略中央より前方側には、略コ字状のガイド枠15が形成されている。ガイド枠15は、前後方向に伸びる右ガイド壁16及び左ガイド壁17と、右ガイド壁16及び左ガイド壁17の後端に連接された、左右方向に伸びる後ガイド壁18とからなる。右ガイド壁16及び左ガイド壁17の前端は、前壁9に連接されている。
ガイド枠15は、球体(転動体)20を前後方向に案内できるように形成されている。
球体(転動体)20は、右ガイド壁16と左ガイド壁17によって左右方向が規制され、前壁9と後ガイド壁18の間を転動する。図1に示すように、後ガイド壁18は、球体(転動体)20の略半分の高さに形成されている。右ガイド壁16と左ガイド壁17は、球体(転動体)20と略同じ高さに形成されている。また、右ガイド壁16と左ガイド壁17の後部には、球体(転動体)20の略半分上部を露出させる切り欠き16a,17aが形成されている。
図1に示すように、ガイド枠15内の底壁6には、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜して、球体(転動体)20を後ガイド壁18側に案内する案内面21が形成されている。図3に示すように、ガイド枠15を挟んで、ケース本体3の両側には、右切り欠き22と左切り欠き23が形成されている。右切り欠き22及び左切り欠き23は、底壁6の前部と前壁9に形成されている。後壁7の上端縁内側と、前壁9の上端縁内側と、右壁10の上端縁内側と、左壁11の上端縁内側には、前記蓋部材5を嵌合する段凹部7b,9b,10b,11bが形成されている。蓋部材5は、後壁7、前壁9、右壁10、左壁11の段凹部7b,9b,10b,11bに嵌合され、ネジ、接着剤等の固定手段によりケース本体3に固定されている。後壁7の外側面左端には、第1の突片25が形成され、第1の突片25には、透孔26が形成されている。底壁6の外側面左端には、第2の突片27が形成され、第2の突片27には、前後方向に長く伸びる長孔28が形成されている。
ケース2内には、係止手段30が回動可能に設けられている。係止手段30には、基部31が形成されている。基部31は、前部右端に右アーム32が形成され、前部左端に左アーム33が形成されている。右アーム32は、右切り欠き22から突出し、左アーム33は、左切り欠き23から突出している。右アーム32の先端と左アーム33は、連結部材(先部)35により連結されている。連結部材(先部)35の下面には、係止爪36が形成されている。係止爪36の後部(開き戸Eの反対側)は、右アーム32(又は左アーム33)と略直角となる係止面38が形成されている。係止爪36の前部(開き戸E側)は、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜する(下方に行くに従って係止面38に近づくように傾斜する)傾斜面37で形成されている。係止爪36の下端、即ち係止面38の下端には、後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって突出する係止凸起39が形成されている。
係止手段30は、基部31の左右両側に支軸41,42が形成され、支軸41,42がケース本体3の軸受溝12a,13aに回動可能に差し込まれて、ケース2内に収納されている。基部31の後部には、バランサー47が形成されている。バランサー47の上部には、後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜する傾斜面43が形成されている。係止手段30は、傾斜面43が蓋部材5に当接するまで、支軸41,42を中心として回動することができる。基部31の前部上端には、球体(転動体)20の上部20aと係合可能な係合縁45を備えた係合突起46が突設されている。
図4に示すように、係止装置(被係止手段)50は、係止部材51と係止解除部材65とからなる。係止部材51は、取付板52と、取付板52の下端に取付板52と略直角となるように形成された係止枠55とからなる。取付板52には、上下方向に伸びる取付長孔53,54が形成されている。係止枠55は、略コ字状に形成され、右ガイドアーム56と、左ガイドアーム57と、右ガイドアーム56と左ガイドアーム57の先端を連結する係止アーム58とからなる。右ガイドアーム56の内側面には、凸条59が延設され、左ガイドアーム57の内側面には、凸条60が延設されている。取付板52の下部には、係合突起62,63が後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって突設形成されている。係止アーム58の内側面58a下部には、係止凹部61が形成されている。
係止解除部材65は、略三角柱状に形成され、下面66と、垂直面67と、解除傾斜面68と、右側面69と左側面70からなる。解除傾斜面68は、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P 係止アーム58側)に向かって下降傾斜している。係止解除部材65の下面66には、前記右ガイドアーム56の凸条59に摺動可能に案内される案内溝71が形成された突起72と、前記左ガイドアーム57の凸条60に摺動可能に案内される案内溝73が形成された突起74が設けられている。係止解除部材65は、突起72に形成された案内溝71を右ガイドアーム56の凸条59に摺動可能に係合し、突起74に形成された案内溝73を左ガイドアーム57の凸条60に摺動可能に係合すると、係止部材51に対して前後方向(開き戸Eの開閉方向)に摺動可能に取り付けられる。係止解除部材65は、案内溝71と凸条59が圧接し、案内溝73と凸条60が圧接するので、案内溝71と凸条59との間及び案内溝73と凸条60との間に摩擦抵抗が生じ、その摩擦抵抗に抗して、係止部材51に対して前後方向(開き戸Eの開閉方向)に摺動可能である。係止解除部材65は、取付板52に当接するまで前方(開き戸Eの開く方向Q)に摺動すると、突起72と74間に係合突起62,63が圧入され、係合突起62,63と突起72,74の摩擦抵抗により、係合突起62,63から容易に外れず、その位置で保持される。
図1、5に示すように、地震時ロック装置1は、家具、吊り戸棚、机等の開き戸付き収納装置Aに取り付けられる。家具は、箪笥、食器棚等である。開き戸付き収納装置Aは、基枠(収納装置本体)Bと、基枠(収納装置本体)Bに開閉可能に設けられた開き戸Eとからなる。図5に示すように、地震時ロック装置1は、ケース2が略水平となるようにして、基枠(収納装置本体)Bの上壁C近傍の側壁Dにネジ、接着剤等によって固定される。地震時ロック装置1の取り付け位置は、側壁Dに限定されるものではなく、上壁Cその他の壁であっても構わないのは勿論である。本実施の形態では、ケース2の第1の突片25に形成された透孔26と、第2の突片27に形成された長孔28にネジを挿通し、当該ネジを側壁Dにねじ込むことによって、地震時ロック装置1が側壁Dに固定されている。
係止装置(被係止手段)50は、開き戸Eに取り付けられる。本実施の形態では、開き戸Eは、基枠(収納装置本体)Bに引き出し可能に設けられた引き出しFの前板に相当するが、ヒンジを介して基枠(収納装置本体)Bに回動自在に取り付けられた扉であっても構わない。係止装置(被係止手段)50は、取付板52に形成された取付長孔53,54にネジを挿通し、当該ネジを開き戸Eにねじ込むことによって、開き戸Eに固定されている。係止装置(被係止手段)50が開き戸Eに固定されると、係止枠55が略水平となる。係止装置(被係止手段)50は、係止解除部材65が前方(開き戸Eの開く方向Q)に摺動させられ、突起72と74の間に係合突起62,63が圧入されており、摩擦抵抗によりその位置で保持されている。この係止解除部材65の位置は、係止手段30の係止爪36に何等作用しない非解除位置Z1である。
平常時(非地震時)においては、図1に示すように、地震時ロック装置1は、球体(転動体)20がガイド枠15の底壁6に形成された案内面21によって一番低い位置、即ち後ガイド壁18に当接している位置で静止している。この球体(転動体)20の位置は、係止手段30と係合する係合位置Y2である。係止手段30は、係合突起46の係合縁45が球体(転動体)20の上部20aと係合しており、右アーム32と左アーム33が略水平状態で保持されている。この状態で、開き戸Eを引き出したり(開いたり)、押し込んだり(閉じたり)しても、係止爪36が非係止位置X1に位置しているので、係止装置(被係止手段)50は、地震時ロック装置1の係止爪36と接触することがなく、地震時ロック装置1に何ら作用することがなく、開き戸Eはロックされない。
図6に示すように、開き戸Eが押し込まれている(閉じている)状態の時に、地震が発生すると、球体(転動体)20が地震の揺れを検知して、ガイド枠15内で前方(非係合位置Y1)に移動する。係止手段30は、球体(転動体)20が前方に移動すると、係合
突起46の係合縁45から球体(転動体)20が外れて係合が解除され、支軸41,42を中心として、傾斜面43が蓋部材5に当接するまで、時計方向(R方向 係止方向)に回動する。係止手段30が時計方向(R方向 係止方向)に回動すると、係止爪36が係止位置X2まで回動し、係止装置(被係止手段)50の係止枠55内に入り、開き戸Eがロックされ、開き戸Eの開放が阻止される。
図7に示すように、地震により開き戸Eが前方(開き戸Eの開く方向Q)に動作すると、係止爪36の係止面38に係止枠55の内側面58aが係止されるので、開き戸Eの開放が規制され、これ以上開くことがない。また、係止爪36の係止面38に係止枠55の内側面58aが係止されると、係止爪36の下端に形成された係止凸起39が係止枠55の内側面58aの下部に形成された係止凹部61に係止されるので、係止手段30は、反時計方向(S方向 反係止方向)に回動して係止を解除することができない。
図6に示すように、地震により開き戸Eが後方(開き戸Eの閉じる方向P)に動作すると、開き戸Eは、基枠(収納装置本体)Bの上壁Cに当接するが、係止手段30の係止爪36は係止装置(被係止手段)50の係止枠55内に入ったまま(係止位置X2に位置したまま)である。このように、開き戸Eが押し込まれている(閉じている)状態の時に、地震が発生すると、係止手段30の係止爪36が係止装置(被係止手段)50の係止枠55内に入り、開き戸Eがロックされて開き戸Eの開放が規制される。なお、球体(転動体)20は、地震の揺れにより後方(開き戸Eの閉じる方向P)に移動しても、後部(側部)20bが係合突起46の係合縁45に当接して、動きが規制される。係止解除部材65は、非解除位置Z1に位置しているので、係止爪36に何ら作用することがない。
次に、地震時ロック装置1の解除方法について説明する。図7に示すように、地震終了時に、開き戸Eを開いて係止手段30の係止爪36に係止装置50の係止アーム58を係止させる。図8(a)に示すように、係止装置50の係止解除部材65を、案内溝71と凸条59との間及び案内溝73と凸条60との間の摩擦抵抗に抗して、後方(開き戸Eの閉じる方向P)に摺動させ、解除位置Z2まで移動する。係止解除部材65の解除傾斜面68と係止爪36の傾斜面37は当接する。なお、係止解除部材65は、指先で移動させても構わないが、図11(a)に示すように、開き戸Eと基枠Bの上壁Cとの隙間からスプーン76の柄77を差し込み、当該柄77によって係止解除部材65を移動させても構わない。勿論スプーン76の柄77ではなく、他の細長い棒でも構わない。
図8(b)に示すように、開き戸Eを閉じる方向Pに移動させると、その移動に伴って、係止解除部材65も後方(開き戸Eを閉じる方向P)に移動し、解除傾斜面68が係止爪36の傾斜面37に摺接し、係止爪36を上方(非係止位置X1側)に移動させて開き戸Eのロックを解除する。係止解除部材65は、案内溝71と凸条59との間及び案内溝73と凸条60との間の摩擦抵抗により、前方(開き戸Eの開く方向Q)に摺動することはない。図8(c)に示すように、係止爪36が上方に移動すると、係止手段30が支軸41,42を中心として反時計方向(S方向 反係止方向)に回動し、係合突起46の係合縁45が球体(転動体)20の後部(側部)20bから外れる。球体(転動体)20は、案内面21に沿って、後方(係合位置Y2側)に移動し、ガイド枠15の底壁6に形成された一番低い位置(係合位置Y2)に移動し、即ち後ガイド壁18に当接して静止する。係止手段30は、係合突起46の係合縁45が球体(転動体)20の上部20aと係合し、右アーム32と左アーム33が略水平状態で保持され、係止爪36が非係止位置X1に位置する。このようにして、地震時ロック装置1は、係止解除部材65によって、係止爪36の係止が解除され、開き戸Eのロックが解除される。さらに、図8(d)、図11(b)に示すように、開き戸Eを閉じる方向Pに移動させると、係止爪36によって、係止解除部材65が、案内溝71と凸条59との間及び案内溝73と凸条60との間の摩擦抵抗に抗して、前方(Q方向 非解除位置Z1側)に押し戻される。なお、上記実施の形
態では、係止解除部材65が、案内溝71と凸条59との間及び案内溝73と凸条60との間の摩擦抵抗を利用して、係止爪36を上方に移動させ、係止爪36の係止解除を説明したが、係止解除部材65に逆止爪を形成し、係止部材51側に、係止解除部材65の逆止爪を断続的に係止する凹凸を連続して形成し、摩擦抵抗を生じさせるようにしても構わない。また、案内溝71と凸条59との間及び案内溝73と凸条60との間の摩擦抵抗が小さくても、図8(b)に示すように、開き戸Eを閉じる方向Pに移動させ、係止解除部材65の解除傾斜面68が係止爪36の傾斜面37に摺接すると、解除傾斜面68と略直角の方向Q1(図8(c)の右斜め前方)に向かって力が作用するため、係止解除部材65を前方(開き戸Eの開く方向Q)に押し戻す分力は小さく、係止解除部材65が前方(開き戸Eの開く方向Q)に摺動することは少ない。
図9(a)に示すように、開き戸Eが開放されている(開いている)状態の時に、地震が発生すると、上記したように、球体(転動体)20が前方(非係合位置Y1)に移動して、係止手段30の係止爪36が係止位置X2まで回動するが、係止装置(被係止手段)50の係止枠55内には入らないので開き戸Eをロックしない。開き戸Eを後方(開き戸Eの閉じる方向P)に移動させると、係止枠55も後方(開き戸Eを閉じる方向P)に移動し、係止アーム58が係止爪36の傾斜面37に摺接し、係止爪36を僅かに上方(非係止位置X1側)に移動させる。この時、係止解除部材65は、非解除位置Z1に位置しているので、係止爪36に何ら作用することがない。係止爪36は、係止アーム58を乗り越えると、係止枠55内に入ると、開き戸Eをロックする。係止爪36が係止アーム58を乗り越える際、係止手段30は反時計方向(S方向 反係止方向)に回動するが、係合突起46の係合縁45が球体(転動体)20の後部(側部)20bから外れるまで回動することがないので、係止爪36の係止は解除されない。係止アーム58の外側の面は、係止爪36と当接するので、湾曲面58bで形成しているが、図13に示すように、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜する傾斜面58cで形成しても構わない。
図9(a)に示すように、開き戸Eが開放されている(開いている)状態の時に、何らかの揺れにより、球体(転動体)20が前方(非係合位置Y1)に移動して、係止手段30の係止爪36が係止位置X2まで回動し、係止装置(被係止手段)50の係止枠55内に係止爪36が入っていない場合の解除方法について説明する。図9(a)に示すように、係止装置50の係止解除部材65を後方(開き戸Eの閉じる方向P)に摺動させ、解除位置Z2まで移動する。図9(b)に示すように、開き戸Eを閉じる方向Pに移動させると、その移動に伴って、係止枠55も後方(開き戸Eを閉じる方向P)に移動し、係止アーム58が係止爪36の傾斜面37に摺接し、係止爪36を僅かに上方(非係止位置X1側)に移動させる。係止爪36は、係止アーム58を乗り越えると、傾斜面37が係止解除部材65の解除傾斜面68に摺接し、上方(非係止位置X1側)に移動する。
図9(c)に示すように、係止爪36が上方に移動すると、係止手段30が支軸41,42を中心として反時計方向(S方向 反係止方向)に回動し、係合突起46の係合縁45が球体(転動体)20の後部(側部)20bから外れる。球体(転動体)20は、案内面21に沿って、後方(係合位置Y2側)に移動し、ガイド枠15の底壁6に形成された一番低い位置(係合位置Y2)に移動し、即ち後ガイド壁18に当接して静止する。係止手段30は、係合突起46の係合縁45が球体(転動体)20の上部20aと係合し、右アーム32と左アーム33が略水平状態で保持され、係止爪36が非係止位置X1に位置する。このようにして、地震時ロック装置1は、係止解除部材65によって、係止爪36の係止が解除される。さらに、図9(d)、図11(b)に示すように、開き戸Eを閉じる方向Pに移動させると、係止爪36によって係止解除部材65が前方(Q方向 非解除位置Z1側)に押し戻される。
なお、何らかの原因により球体(転動体)20が非係合位置Y1から戻らない場合であっても係止を解除することができる。図10(a)に示すように、係止装置50の係止解除部材65を後方(開き戸Eの閉じる方向P)に摺動させ、解除位置Z2まで移動する。係止解除部材65の解除傾斜面68と係止爪36の傾斜面37は当接する。図10(b)に示すように、開き戸Eを閉じる方向Pに移動させると、その移動に伴って、係止解除部材65も後方(開き戸Eを閉じる方向P)に移動し、解除傾斜面68が係止爪36の傾斜面37に摺接し、係止爪36を上方(非係止位置X1側)に移動させる。
図10(c)に示すように、係止解除部材65をさらに後方(開き戸Eを閉じる方向P)に押し込むと、係止アーム58と係止解除部材65の間の隙間が小さくなり、この隙間に係止爪36が入れなくなる。開き戸Eを開くと、係止爪36は、係止解除部材65の解除傾斜面68を摺接して一旦係止アーム58に載ってから、図10(d)に示すように、係止装置50から離れる。なお、係止解除部材65は、指先で移動させても構わないが、図12に示すように、開き戸Eと基枠Bの上壁Cとの隙間からスプーン76の柄77を差し込み、当該柄77によって係止解除部材65を移動させても構わない。勿論スプーン76の柄77ではなく、他の細長い棒でも構わない。
地震時ロック装置の他の実施の形態について詳細に説明する。図14,15に示すように、地震時ロック装置81は、基枠(収納装置本体)Bに取り付けられるケース82を有する。ケース82は、箱形形状で形成され、ケース本体83と、蓋部材85とで形成されている。ケース本体83は、底壁86と、後壁87と、前壁89と、右壁90と、左壁91とからなり、上部が開放されて形成されている。底壁86の左壁91近傍には、左壁91と略平行となる仕切壁88が設けられている。左壁91の内側面91aと仕切壁88の左側面88aであって、後壁87近傍には、軸受穴92,93が形成されている。軸受穴92と軸受穴93は、対向している配置されている。
ケース本体83は、底壁86と、後壁87と、前壁89と、仕切壁88と、左壁91とによって係止手段110を収納する収納枠84が形成されている。また、底壁86の略中間部には、仕切壁88と右壁90に連接された中間ガイド壁96が形成されている。この中間ガイド壁96と、底壁86と、前壁89と、仕切壁88と、右壁90とによってガイド枠95が形成されている。ガイド枠95は、球体(転動体)20を前後方向に案内できるように形成されている。球体(転動体)20は、右壁90と仕切壁88によって左右方向が規制され、前壁89と中間ガイド壁96の間を転動する。中間ガイド壁96は、球体(転動体)20の略半分の高さに形成され、後壁87と、前壁89と、仕切壁88と、左壁91、右壁90は、球体(転動体)20より若高く形成されている。ガイド枠95内の底壁86には、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜して、球体(転動体)20を中間ガイド壁96側に案内する案内面101が形成されている。
収納枠84の前部であって、底壁86の前部と前壁89には、切り欠き102が形成されている。前記蓋部材85は、後壁87、前壁89、右壁90、左壁91に嵌合され、ネジ、接着剤等の固定手段によりケース本体83に固定されている。ケース82内には、係止手段110が回動可能に設けられている。係止手段110には、細長い板状に形成されたアーム111と、アーム111の基部112に設けられた回動軸113と、アーム111の先部115に設けられた係止爪116とからなる。係止爪116は、前記切り欠き102から突出可能に形成されている。係止爪116の後部(開き戸Eの反対側)は、アーム111と略直角より内側に傾斜する係止面118が形成されている。係止爪116の前部(開き戸E側)は、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜する(下方に行くに従って係止面118に近づくように傾斜する)傾斜面117が形成されている。また、係止爪116の上端、即ち傾斜面117の上端には、前方(開き戸Eの開く方向Q)に向かって突出する解除凸起119が形成されている。
係止手段110は、基部112に設けられた回動軸113が、左壁91の内側面91aに形成された軸受穴92と、仕切壁88の左側面88aに形成された軸受穴93に回動可能に取り付けられ、収納枠84に収納されている。アーム111の略中間部上端には、球体(転動体)20の上部20aと係合可能な係合突起114が突設されている。係止装置(被係止手段)120は、係止杆121と、係止杆121の前端に形成された取付板122と、係止杆121の後端に形成された被係止爪123とからなり、一体成形によって形成されている。被係止爪123は、被係止面125と、傾斜面126を有する。傾斜面126は、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜している。被係止面125は、前記傾斜面126と較べて傾斜角は小さいが、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜している。
地震時ロック装置81は、家具、吊り戸棚、机等の開き戸付き収納装置Aに取り付けられる。開き戸付き収納装置Aは、基枠(収納装置本体)Bと、基枠(収納装置本体)Bに開閉可能に設けられた開き戸Eとからなる。地震時ロック装置81は、ケース82が略水平となるようにして、基枠(収納装置本体)Bの上壁C近傍の側壁Dにネジ、接着剤等によって固定される。係止装置(被係止手段)120は、開き戸Eに取り付けられる。本実施の形態では、開き戸Eは、基枠(収納装置本体)Bに引き出し可能に設けられた引き出しFの前板に相当するが、ヒンジを介して基枠(収納装置本体)Bに回動自在に取り付けられた扉であっても構わない。係止装置(被係止手段)120は、取付板122に形成された取付長孔にネジを挿通し、当該ネジを開き戸Eにねじ込むことによって、開き戸Eに固定されている。係止装置(被係止手段)120が開き戸Eに固定されると、係止杆121が略水平となる。
平常時(非地震時)においては、図14(a)に示すように、地震時ロック装置81は、案内面101によって、球体(転動体)20がガイド枠95の底壁86に形成された一番低い位置、即ち中間ガイド壁96に当接している位置で静止している。この球体(転動体)20の位置は、係止手段110と係合する係合位置Y2である。係止手段110は、係合突起114が球体(転動体)20の上部20aと係合しており、係止爪116がケース82内に没入した状態で保持されている。この状態で、開き戸Eを引き出したり(開いたり)、押し込んだり(閉じたり)しても、係止爪116が非係止位置X1に位置しているので、係止装置(被係止手段)120は、地震時ロック装置81の係止爪116と接触することがなく、地震時ロック装置81に何ら作用されることがなく、開き戸Eはロックされない。
図14(c)に示すように、開き戸Eが押し込まれている(閉じている)状態の時に、地震が発生すると、球体(転動体)20が地震の揺れを検知して、ガイド枠95内で前方(非係合位置Y1)に移動する。係止手段110は、球体(転動体)20が前方に移動すると、係合突起114から球体(転動体)20が外れて係合が解除され、回動軸113を中心として、時計方向(R方向 係止方向)に回動する。係止手段110が時計方向(R方向 係止方向)に回動すると、係止爪116が係止位置X2まで回動する。
地震により開き戸Eが前方(開き戸Eの開く方向Q)に動作すると、係止爪116の係止面118に被係止爪123の被係止面125が係止されるので、開き戸Eがロックされて開き戸Eの開放が規制され、これ以上開くことがない。地震により開き戸Eが後方(開き戸Eの閉じる方向P)に動作すると、開き戸Eは、基枠(収納装置本体)Bの上壁Cに当接するが、係止手段30の係止爪36は係止位置X2に位置したままである。このように、開き戸Eが押し込まれている(閉じている)状態の時に、地震が発生すると、係止手段110の係止爪116が係止位置X2に移動し、開き戸Eがロックされて開き戸Eの開放が規制される。なお、球体(転動体)20は、地震の揺れにより後方(開き戸Eの閉じ
る方向P)に移動しても、後部(側部)20bが係合突起114に当接して、動きが規制される。
次に、地震時ロック装置81の解除方法について説明する。図14(c)に示すように、地震終了時に、開き戸Eを開いて係止手段110の係止爪116に係止装置120の被係止面125を係止させる。開き戸Eと基枠Bの上壁Cとの隙間からスプーンの柄、指等を差し込み、解除凸起119を引き上げると、係止爪116が上方(非係止位置X1側)に移動して開き戸Eのロックが解除される。係止爪116が上方に移動すると、係止手段110が回動軸113を中心として反時計方向(S方向 反係止方向)に回動し、係合突起114が球体(転動体)20の後部(側部)20bから外れる。球体(転動体)20は、案内面101によって、後方(係合位置Y2側)に移動し、ガイド枠95の底壁86に形成された一番低い位置(係合位置Y2)に移動し、即ち中間ガイド壁96に当接して静止する。係止手段110は、係合突起114が球体(転動体)20の上部20aと係合し、係止爪116がケース82内に没入して非係止位置X1に位置する。このようにして、地震時ロック装置81は、解除凸起119によって、係止爪116の係止が解除され、開き戸Eのロックが解除される。
開き戸Eが開放されている(開いている)状態の時に、地震が発生すると、上記したように、球体(転動体)20が前方(非係合位置Y1)に移動して、係止手段110の係止爪116が係止位置X2まで回動する。開き戸Eを後方(開き戸Eの閉じる方向P)に移動させると、係止装置120も後方(開き戸Eを閉じる方向P)に移動し、傾斜面126が係止爪116の傾斜面117に摺接し、係止爪116を僅かに上方(非係止位置X1側)に移動させる。係止爪116は、被係止爪123を乗り越えると、被係止面125と係止可能となって開き戸Eがロックされる。係止爪116が被係止爪123を乗り越える際、係止手段110は反時計方向に回動するが、係合突起114が球体(転動体)20の後部(側部)20bから外れるまで回動することがないので、係止爪116の係止は解除されない。後は上記したように、地震時ロック装置81は、解除凸起119によって、係止爪116の係止を解除して、開き戸Eのロックを解除することができる。
上記実施の形態では、球体(転動体)20の係合位置Y2は、中間ガイド壁96と当接する位置であるが、図16,17に示すように、右壁130を短くし、中間ガイド壁96を外し、当該係合位置Y2を底壁86の中で一番低く形成し、当該係合位置Y2に向かって下降傾斜する案内面131,132を形成しても良い。ガイド枠133は、底壁86と、前壁89と、仕切壁88と、右壁130と、後壁87によって形成される。ガイド枠133は、球体(転動体)20を前後方向に案内できるように形成されている。球体(転動体)20は、右壁130と仕切壁88によって左右方向が規制され、前壁89と後壁87の間を転動する。ガイド枠133内の底壁86は、略中間部が一番低く形成されており、球体(転動体)20の係合位置Y2となっている。ガイド枠133内の底壁86には、前方から係合位置Y2(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜する前方案内面131が形成され、後方から係合位置Y2(開き戸Eの開く方向Q)に向かって下降傾斜する後方案内面132が形成されている。
図16(a)、図17に示すように、平常時(非地震時)において、地震時ロック装置81は、球体(転動体)20がガイド枠133の底壁86に形成された一番低い位置(係合位置Y2)で静止している。係止手段110は、係合突起114が球体(転動体)20の上部20aと係合しており、係止爪116がケース82内に没入した状態で保持されている。この状態で、開き戸Eを引き出したり(開いたり)、押し込んだり(閉じたり)しても、係止爪116が非係止位置X1に位置しているので、係止装置(被係止手段)120は、地震時ロック装置81の係止爪116と接触することがなく、地震時ロック装置81に何ら作用されることがない。
図16(b)に示すように、開き戸Eが押し込まれている(閉じている)状態の時に、地震が発生すると、球体(転動体)20が地震の揺れを検知して、ガイド枠95内で前方又は後方(非係合位置Y1,Y1)に移動する。係止手段110は、球体(転動体)20が前方(又は後方)に移動すると、係合突起114から球体(転動体)20が外れて係合が解除され、回動軸113を中心として、時計方向(R方向 係止方向)に回動する。係止手段110が時計方向(R方向 係止方向)に回動すると、係止爪116が係止位置X2まで回動する。
次に、地震時ロック装置81の解除方法について説明する。図16(c)に示すように、地震終了時に、開き戸Eを開いて係止手段110の係止爪116に係止装置120の被係止面125を係止させる。解除凸起119を引き上げると、係止爪116が上方(非係止位置X1側)に移動して開き戸Eのロックを解除し、係止手段110が回動軸113を中心として反時計方向に回動するので、係合突起114が球体(転動体)20の側部20bから外れる。球体(転動体)20は、前方案内面131(又は後方案内面132)に沿って、係合位置Y2側に移動し、底壁86に形成された一番低い位置(係合位置Y2側)で静止する。係止手段110は、係合突起114が球体(転動体)20の上部20aと係合し、係止爪116がケース82内に没入して非係止位置X1に位置する。このようにして、地震時ロック装置81は、解除凸起119によって、係止爪116の係止が解除され、開き戸Eのロックが解除される。
また、図18,19に示すように、右壁130を短くし、前壁136及び後壁137を長くし、中間ガイド壁96を外し、当該係合位置Y2を底壁86の中で一番低く形成し、当該係合位置Y2に向かって下降傾斜する案内面131,132,138を形成しても良い。ガイド枠135は、底壁86と、前壁136と、仕切壁88と、右壁130と、後壁137によって形成される。ガイド枠135は、球体(転動体)20を前後方向及び右方向に案内できるように形成されている。球体(転動体)20は、ガイド枠135内を転動する。ガイド枠135内の底壁86は、略中間部が一番低く形成されており、球体(転動体)20の係合位置Y2となっている。ガイド枠135内の底壁86には、前方から係合位置Y2(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜する前方案内面131が形成され、後方から係合位置Y2(開き戸Eの開く方向Q)に向かって下降傾斜する後方案内面131が形成され、さらに右方から係合位置Y2(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜する側方案内面138が形成されている。
図18(a)、図19に示すように、平常時(非地震時)において、地震時ロック装置81は、球体(転動体)20がガイド枠135の底壁86に形成された一番低い位置(係合位置Y2)で静止している。係止手段110は、係合突起114が球体(転動体)20の上部20aと係合しており、係止爪116がケース82内に没入した状態で保持されている。この状態で、開き戸Eを引き出したり(開いたり)、押し込んだり(閉じたり)しても、係止爪116が非係止位置X1に位置しているので、係止装置(被係止手段)120は、地震時ロック装置81の係止爪116と接触することがなく、地震時ロック装置81に何ら作用されることがない。
図16(b)に示すように、開き戸Eが押し込まれている(閉じている)状態の時に、地震が発生すると、球体(転動体)20が地震の揺れを検知して、ガイド枠95内で前方、後方又は右方(非係合位置Y1,Y1,Y1)に移動する。係止手段110は、球体(転動体)20が前方、後方又は右方(非係合位置Y1,Y1,Y1)に移動すると、係合突起114から球体(転動体)20が外れて係合が解除され、回動軸113を中心として、時計方向(R方向 係止方向)に回動する。係止手段110が時計方向(R方向 係止方向)に回動すると、係止爪116が係止位置X2まで回動する。
次に、地震時ロック装置81の解除方法について説明する。図18(c)に示すように、地震終了時に、開き戸Eを開いて係止手段110の係止爪116に係止装置120の被係止面125を係止させる。解除凸起119を引き上げると、係止爪116が上方(非係止位置X1側)に移動し、係止手段110が回動軸113を中心として反時計方向に回動するので、係合突起114が球体(転動体)20の後部(側部)20bから外れる。球体(転動体)20は、前方案内面131、後方案内面132又は側方案内面138に沿って、係合位置Y2側に移動し、底壁86に形成された一番低い位置(係合位置Y2側)で静止する。係止手段110は、係合突起114が球体(転動体)20の上部20aと係合し、係止爪116がケース82内に没入して非係止位置X1に位置する。このようにして、地震時ロック装置81は、解除凸起119によって、係止爪116の係止が解除され、開き戸Eのロックが解除される。
さらに地震時ロック装置の他の実施の形態について詳細に説明する。図20に示すように、地震時ロック装置141は、地震時ロック装置1を逆さまにした形態であって、基枠(収納装置本体)Bに取り付けられるケース142を有する。ケース142は、箱形形状で形成され、ケース本体143と、蓋部材145とで形成されている。ケース本体143は、底壁146と、後壁147と、前壁149と、右壁と、左壁とからなり、上部が開放されて形成されている。地震時ロック装置1と同様に、右壁と左壁の内側面であって、略中央より後方側には、軸受溝を備えた軸受け凸起が形成されている。軸受溝と軸受溝は、対向している配置されている。蓋部材145は、後壁147、前壁149、右壁、左壁に嵌合され、ネジ、接着剤等の固定手段によりケース本体143に固定されている。蓋部材145には、前壁149と後壁147の略中間に突出するガイド壁148が形成されている。このガイド壁148と、前壁149と、右壁及び左壁によって、ガイド枠144が形成される。
ケース142内には、係止手段150が回動可能に設けられている。係止手段150には、基部151が形成されている。基部151は、前部にアーム152が形成されている。アーム152は、ケース本体143に形成されてた切り欠きから先部154が突出し、先部154の上面に係止爪153が形成されている。係止爪153の後部(開き戸Eの反対側)は、アーム152と略直角となる係止面155が形成されている。係止爪153の前部(開き戸E側)は、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって上昇傾斜する(上方に行くに従って係止面155に近づくように傾斜する)傾斜面156が形成されている。係止爪153の上端、即ち係止面155の上端には、後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって突出する係止凸起157が形成されている。
係止手段150は、基部151の左右両側に支軸159が形成され、支軸159がケース本体143の前記軸受溝に回動可能に差し込まれて、ケース142内に収納されている。基部151の後部には、重錘160が形成されている。係止手段150は、重錘160により、係止爪153の係止方向(反時計方向 上方)に付勢されている。基部151の前部下端には、球体(転動体)20の下部20cと係合する係合突起161が形成されている。ガイド枠144内の底壁146には、前方から後方(開き戸Eの閉じる方向P)に向かって下降傾斜して、球体(転動体)20を係合突起161側に案内する案内面162が形成されている。係止装置(被係止手段)50は、前記したように、係止部材51と係止解除部材65とからなる。
図20に示すように、地震時ロック装置141は、家具、吊り戸棚、机等の開き戸付き収納装置Aに取り付けられる。地震時ロック装置141は、ケース142が略水平となるようにして、基枠(収納装置本体)Bの上壁C近傍の側壁Dにネジ、接着剤等によって固定される。係止装置(被係止手段)50は、開き戸Eに逆様に取り付けられる。係止装置
(被係止手段)50が開き戸Eに固定されると、係止枠55が略水平となる。係止装置(被係止手段)50の係止解除部材65は、前方(開き戸Eの開く方向Q)に摺動させられ、係止手段150の係止爪153に何等作用しない非解除位置Z1に位置している。
平常時(非地震時)においては、地震時ロック装置141は、球体(転動体)20がガイド壁148に当接して係合突起161上で静止している。この球体(転動体)20の位置は、係止手段150と係合する係合位置Y2である。係止手段150は、係合突起161が球体(転動体)20の下部20cと係合しており、アーム152が略水平状態で保持されている。この状態で、開き戸Eを引き出したり(開いたり)、押し込んだり(閉じたり)しても、係止爪153が非係止位置X1に位置しているので、係止装置(被係止手段)50は、地震時ロック装置141の係止爪153と接触することがなく、地震時ロック装置141に何ら作用されることがなく、開き戸Eはロックされない。
図20(b)に示すように、地震が発生すると、球体(転動体)20が地震の揺れを検知して、案内面162に沿って前方(非係合位置Y1)に移動する。係止手段150は、球体(転動体)20が前方に移動すると、係合突起161から球体(転動体)20が外れて係合が解除され、重錘160により、支軸159を中心として、反時計方向(上方 係止方向)に回動する。係止手段150が反時計方向(上方 係止方向)に回動すると、係止爪153が係止位置X2まで回動し、係止装置(被係止手段)50の係止枠55内に入り、開き戸Eをロックし開き戸Eの開放を阻止する。
地震により開き戸Eが前方(開き戸Eの開く方向Q)に動作すると、係止爪153の係止面155に係止枠55の内側面58aが係止されるので、開き戸Eの開放が規制され、これ以上開くことがない。また、係止爪153の係止面155に係止枠55の内側面58aが係止されると、係止爪153の上端に形成された係止凸起157が係止枠55の内側面58aの上部に形成された係止凹部61に係止されるので、係止手段150は、反時計方向(下方 反係止方向)に回動して係止を解除することができない。
地震により開き戸Eが後方(開き戸Eの閉じる方向P)に動作すると、開き戸Eは、基枠(収納装置本体)Bの上壁Cに当接するが、係止手段150の係止爪153は係止装置(被係止手段)50の係止枠55内に入ったまま(係止位置X2に位置したまま)である。このように、開き戸Eが押し込まれている(閉じている)状態の時に、地震が発生すると、係止手段150の係止爪153が係止装置(被係止手段)50の係止枠55内に入り、開き戸Eがロックされ、開き戸Eの開放が規制される。なお、球体(転動体)20は、地震の揺れにより後方(開き戸Eの閉じる方向P)に移動しても、後部(側部)20bが係合突起161に当接して、動きが規制される。この時、係止解除部材65は、非解除位置Z1に位置しているので、係止爪153に何ら作用することがない。
次に、地震時ロック装置141の解除方法について説明する。地震終了時に、開き戸Eを開いて係止手段150の係止爪153に係止装置50の係止アーム58を係止させる。係止装置50の係止解除部材65を後方(開き戸Eの閉じる方向P)に摺動させ、解除位置Z2まで移動する。係止解除部材65の解除傾斜面68と係止爪153の傾斜面156は当接する。開き戸Eを閉じる方向Pに移動させると、その移動に伴って、係止解除部材65も後方(開き戸Eを閉じる方向P)に移動し、解除傾斜面68が係止爪153の傾斜面156に摺接し、係止爪153を下方(非係止位置X1側)に移動させ、開き戸Eのロックを解除する。係止爪153が下方に移動すると、係止手段150が支軸159を中心として時計方向に回動し、係合突起161が球体(転動体)20の後部(側部)20bから外れる。球体(転動体)20は、案内面162に沿って、後方(係合位置Y2側)に移動し、係合突起161上に載り、ガイド壁148に当接して静止する。係止手段150は、係合突起161が球体(転動体)20の下部20cと係合し、アーム152が略水平状
態で保持され、係止爪153が非係止位置X1に位置する。このようにして、地震時ロック装置141は、係止解除部材65によって、係止爪153の係止が解除され、開き戸Eのロックが解除される。
係止爪153は、係止面155がアーム152に対して略直角に形成されているが、図21に示すように、傾斜面156と略平行の係止面163であっても構わない。係る場合、当該係止爪153に係止され易いように、係止装置(被係止手段)50の係止アーム58に、下端に係止縁167を備えた略逆三角形状の係止突起165を形成しても良い。また、係止爪153はアーム152に突設して形成したが、図22に示すように、アーム152に係止孔169を形成し、係止孔169の係止縁168に前記係止突起165を係止させるようにしても構わない。
地震時ロック装置1、81、141は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置Aに設けられ、非地震時には、係止手段30,110、150が転動体20と係合して非係止位置X1で保持されている。地震時ロック装置1、81、141は、地震時に、転動体20が係止手段30、110、150から離脱して係止手段30、110、150が自重又は重錘により係止位置X2に回動して、開き戸Eの被係止手段50、120を係止し、開き戸Eをロックして開き戸Eの開放を規制する。地震時ロック装置1、81、141は、係止手段30、110、150を係止位置X2から非係止位置X1に移動させると、転動体20が案内面21、101、131、132、138、162に沿って、係止手段30、110、150に対する非係合位置Y1から係合位置Y2まで移動し、係止手段30、110、150と係合して開き戸Eのロックを解除する。このように、地震時ロック装置1、81、141は、係止手段30、110、150が非係止位置X1から係止位置X2に回動するので、ケース2、82、142に係止手段30、110、150を案内する案内口が不要であり、ケース2、82、142にあまり負荷がかからないから、壊れ難くなっている。また、地震時ロック装置1、81、141は、部品点数が少ないため、簡単且つ安価に製造することができ、コンパクトで狭いスペースに取り付けることができ、従来にない新規な構造を提供することができる。
地震時ロック装置1、141は、前記係止手段30、150の基部31、151がケース2、142に回動可能に取り付けられ、自重又は重錘により先部35、154が下方(又は上方)に付勢され、当該先部35、154に係止爪36、153が形成されている。係止爪36、153の開き戸E側には、開き戸Eの閉じる方向Pに下降(又は上昇)傾斜している傾斜面37、156が形成されているので、係止手段30、150に係止される開き戸Eに設けられた被係止手段50に解除傾斜面68を形成すれば、開き戸Eを閉じることによって、被係止手段50の解除傾斜面68が係止手段30、150の傾斜面37、156と摺接して、係止手段30、150を係止位置X2から非係止位置X1に自動的に回動させ、開き戸Eのロックを解除することができる。地震時ロック装置1、141は、係止手段30、150を係止位置X2から非係止位置X1に移動させると、転動体20が、案内面21、162に沿って非係合位置Y1から係合位置Y2まで自動的に移動して係止手段30、150と係合するので、開き戸Eの閉塞(閉じる)動作により、自動的に初期状態に復帰させることができる。
地震時ロック装置1、141は、前記係止爪36、153の先端に、開き戸Eの閉じる方向Pに突出する係止凸起39、157が形成され、前記係止枠55には、前記係止爪36、153の係止凸起39、157を係止する係止凹部61が形成されているので、開き戸Eに設けられた被係止手段50の係止凹部61に係止凸起39、157が引っ掛かり、被係止手段50から外れ難くなっている。地震時ロック装置1、81、141は、前記係止手段30、110、150に、非地震時に係合位置Y2にある転動体20の上部20a(又は下部20c)と係合して非係止位置X1で保持され、地震時に非係合位置Y1にある転動体20の側部20bと係合して転動体20の係合位置Y2側への移動を阻止する係合手段46、114、161が形成されているので、地震時に転動体20が係合位置Y2に復帰する虞が少ない。
地震時ロック装置1、81、141は、前記案内面21、101、162が、開き戸Eの開閉方向に形成され、ガイド枠15、9、144で囲まれるようになっており、前記転動体20が前記ガイド枠15、9、144内で開き戸Eの開閉方向に転動可能に設けられ、前記係止手段30、110、150と係合する係合位置Y2の転動体20がガイド枠15、9、144と当接するので、係合位置Y2で転動体20を安定して静止させることができる。地震時ロック装置81は、前記案内面131、132が、開き戸Eの開閉方向に形成され、ガイド枠133で囲まれるようになっており、前記転動体20が前記ガイド枠133内で開き戸Eの開閉方向に転動可能に設けられ、前記係止手段110と係合する転動体20の係合位置Y2が前記案内面131、132の中で一番低く形成されているので、転動体20が一番低い位置で静止し、前後方向に転動可能であり、前後方向の揺れに敏感に対応させることができる。又、地震時ロック装置81は、前記案内面131、132、138が、ガイド枠135で囲まれるようになっており、前記転動体20が前記ガイド枠135内で開き戸Eの開閉方向及び開閉方向と略直角の方向に転動可能に設けられ、前記係止手段110と係合する転動体20の係合位置Y2が前記案内面131、132、138の中で一番低く形成されているので、転動体20が一番低い位置で静止し、前後左右方向に転動可能であり、前後左右方向等の多様な揺れに敏感に対応させることができる。
係止装置50は、開き戸Eに設けられ、地震時に開き戸付き収納装置Aに設けられた係止手段30、150の係止爪36、153によって係止されて開き戸Eがロックされて開き戸Eの開放を規制するものである。係止装置50は、非地震時には、係止解除部材65を前記係止爪36、153の係止を解除することができない非解除位置Z1に移動させることができる。係止装置50は、地震時に係止手段30、150の係止爪36、153によって係止された場合、この係止を解除するため、係止解除部材65を係止手段30、150の係止を解除することができる解除位置Z2まで移動させることができる。このように 係止装置50は、係止手段30、150の係止を解除する係止解除部材65を非解除位置Z1に移動させておけば、地震時に係止解除部材65が係止手段30、150の係止を解除して開き戸Eのロックを解除してしまうことがない。