JP4242359B2 - レアチーズケーキ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レアチーズケーキ及びその製造方法に関する。
チーズケーキは、ベイクドチーズケーキとレアチーズケーキに大別される。
レアチーズケーキは、一般に、クリームチーズを溶解し、ゼラチンや、必要に応じて砂糖などの呈味成分等を混合し、冷蔵庫で冷却することにより製造されている。
工業的にレアチーズケーキを製造する場合には、さらに、チーズが広範囲から所望する風味に応じて選択されること、冷却によりゲル化する素材がゼラチンに限定されずに広範囲から選択されること、チーズを溶解する際に溶融塩が添加されること、原材料の溶解と混合と殺菌とを兼ねてチーズクッカーが使用されること等の製造方法が採られている。
上記のような工業的製造方法では、殺菌処理を行う必要がある。しかし、従来の工業的製造方法では、黴、酵母、大腸菌や乳酸菌等の非芽胞形成菌は死滅するものの、耐熱性菌を死滅させることは困難であるため、品質保持期限が短いという問題があった。
そこで、品質保持期限を長くできる、細菌的保存性の良好なレアチーズケーキ及びその製造方法が求められている。
上記要求に対して、例えば、殺菌効果を高める方法として、特定の原材料を必須とし、かつ製造工程の順序を限定することにより、UHT(超高温加熱処理)法(120〜150℃で1秒以上5秒以内の保持)の殺菌を可能にする提案(特許文献1参照)等がされている。
特開2004−236588号公報
特許文献1の提案では、UHT法の殺菌処理により、殺菌効果が高く、細菌的保存性が改善されたレアチーズケーキを製造することができる。
しかしながら、原材料及び製造工程の順序が限定され、製品の組成及び製造性の自由度が低いという欠点がある。
さらに、従来のUHT法による殺菌処理では、その殺菌温度が高いために、熱によってチーズに含まれるたんぱく質等の変性により凝集物が生じ、滑らかな食感が得られず、粉っぽくなる等の問題が生じてしまう。
また、熱による加熱臭が生じ、風味が悪くなるという問題も生じてしまう。
さらに、UHT殺菌機の加熱部に、前記凝集物が焦げついて付着し、UHT殺菌機を長時間運転することが困難になることもある。
そのため、殺菌効果に優れるUHT殺菌機を用いて風味や食感の良好なレアチーズケーキを製造することは、これまで困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、UHT殺菌機で殺菌が可能であり、滑らかな食感で、脂肪浮上が無く、細菌的保存性の良好なレアチーズケーキ及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意検討を行った結果、レアチーズケーキの原材料に、乳化安定剤としてカードランを含むことにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、前記課題を解決する本発明の第一の発明は、チーズ、増粘安定剤、乳化安定剤及びゲル化剤を含有し、UHT(超高温加熱処理)殺菌機で殺菌処理されたレアチーズケーキにおいて、前記乳化安定剤としてカードランを含むことを特徴とするレアチーズケーキである。
た、前記課題を解決する本発明の第二の発明は、チーズ、増粘安定剤、乳化安定剤及びゲル化剤を含有し、UHT(超高温加熱処理)殺菌機で殺菌処理するレアチーズケーキの製造方法において、前記乳化安定剤としてカードランを含むことを特徴とするレアチーズケーキの製造方法である。
なお、本発明において「乳化安定剤」とは、主としてレアチーズケーキ中の脂肪浮上(クリーミング)を抑制する効果を発揮する成分をいう。例えば、水と油の乳化に寄与する界面活性剤等の乳化剤や溶融塩、乳化物の分散安定に寄与する成分を包含する。
本発明によれば、UHT殺菌機で殺菌が可能であり、滑らかな食感で、脂肪浮上が無く、細菌的保存性の良好なレアチーズケーキ及びその製造方法を提供することができる。
≪レアチーズケーキ≫
本発明のレアチーズケーキは、主な原材料として、チーズ、増粘安定剤、乳化安定剤である多糖類及びゲル化剤を含有し、UHT殺菌機で殺菌処理された生菓子である。
<チーズ>
チーズは膨大な種類があり、高脂肪、低脂肪、硬質、軟質、高発酵、低発酵、非発酵、ナチュラル、フレッシュ、プロセス等のタイプに分類される。
本発明では、いずれのタイプのチーズでも使用可能であるが、中でも、クリームチーズ、マスカルポーネ、カマンベールチーズ、ブリーチーズ等の高脂肪で軟質タイプのチーズが食感的に良好であり、好ましく用いられる。これらのチーズは、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
チーズの配合量は、所望の風味によって適宜調整することができる。通常、レアチーズケーキ全質量に対して10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。チーズの配合量を10質量%以上とすることにより適度なチーズ風味が得られる。他方、チーズの配合量を40質量%以下とすることにより粘性の増加が抑えられ、殺菌機適性が良好なものとなり、またチーズ由来の食塩による風味低下が抑制される。
〔脂肪〕
本発明では、レアチーズケーキ中に含まれる脂肪の由来は、チーズ由来だけに限定されず、チーズ以外の乳製品由来の乳脂肪を含む食用動物油脂であってもよく、食用植物油脂であってもよく、これらの混合であってもよい。
脂肪の含有量は、所望の風味によって適宜調整することができる。通常、チーズと、その他由来の脂肪との合計量が、レアチーズケーキ全質量に対して5〜15質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。脂肪の含有量を5質量%以上とすることにより滑らかな食感が得られる。他方、チーズの含有量を15質量%以下とすることにより食感が油っぽくなることが抑えられる。
<増粘安定剤>
増粘安定剤は、食品に添加可能なものであれば特に制限はなく、例えば、ハイメトキシルペクチン、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類、キサンタンガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。中でも、レアチーズケーキ組成系におけるたんぱく質の凝集防止効果が高いことから、ハイメトキシルペクチン、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類、アルギン酸プロピレングリコールエステルが好ましく用いられる。これらの増粘安定剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
増粘安定剤の配合量は、レアチーズケーキ中に含まれるたんぱく質に対して15〜20質量%が好ましい。増粘安定剤の配合量が15質量%以上であることにより、たんぱく質の凝集防止効果が向上するとともに食感が良好になる。他方、増粘安定剤の配合量が20質量%以下であることにより、粘性の増加が抑えられ、殺菌機適性が良好なものとなる。
なお、増粘安定剤の配合によりたんぱく質の凝集防止(分散安定化)を図る際には、各増粘安定剤について至適pH領域が存在する。そのため、効果的に凝集防止(分散安定化)を図るには、レアチーズケーキ組成物のpHを考慮し、増粘安定剤を選択することが好ましい。また、増粘安定剤は酸味にも影響することから、所望する酸味も考慮し、増粘安定剤を選択することがより好ましい。
以下に、増粘安定剤と対応する至適pH領域を例示する。
ハイメトキシルペクチン:pH4.0〜4.3
カルボキシメチルセルロース:pH4.3〜4.6
大豆多糖類:pH3.5〜4.0
アルギン酸プロピレングリコールエステル:pH3.8〜4.4
<乳化安定剤>
本発明では、乳化安定剤として多糖類を含む。該多糖類を含むことにより、製造工程の順序を任意としても、またUHT殺菌機による殺菌処理を行っても脂肪浮上が無いレアチーズケーキを製造することができる。
乳化安定剤として機能する多糖類としては、オクテニルコハク酸でん粉ナトリウム、カードラン、アラビアガム、ラムダカラギーナン等が挙げられる。中でも、レアチーズケーキ中に含まれる脂肪の浮上の防止効果が高いことから、オクテニルコハク酸でん粉ナトリウム及び/又はカードランが好ましく用いられる。
〔オクテニルコハク酸でん粉ナトリウム〕
オクテニルコハク酸でん粉ナトリウムは、『でん粉は基本的には親水性高分子で乳化能はなく,高分子特性を利用して乳化物の安定剤として用いられるに過ぎない.しかし,でん粉に乳化能を付与できれば高分子特性を有する乳化剤となり,乳化と乳化安定化の2つの機能が具備できる.オクテニルコハク酸でん粉はこのような機能をもつ加工でん粉である.でん粉懸濁液をアルカリ性下,オクテニルコハク酸無水物で処理すると,親水基と疎水基が共存するオクテニルコハク酸でん粉が得られる.』(でん粉製品の知識、p112、高橋禮治、幸書房、1996年)の記述にあるように、分子内に親水基と疎水基を持ち、本発明においては主として、レアチーズケーキ中に含まれる脂肪の乳化と、脂肪の乳化物の分散安定化の両作用に寄与するものと推測される。
〔カードラン〕
カードランは、『微生物(Alcaligenes faecalis var. myxogenes,Agrobacterium 菌株など)が生産する発酵多糖類である。本多糖類の特徴は,水に不溶で,水懸濁液を加熱すると,熱時凝固して,ゲルを形成すること(加熱凝固性),えられたゲルは,レトルト(120℃加熱)時にも溶融しないこと(耐熱性)にある。このように加熱凝固性と耐熱性を併せもつ〜』(月刊フードケミカル、1989年3月号 Vol.5,No.3、p67)の記述にある多糖類(β−1,3−グルカン)である。本発明においてカードランは、主として、レアチーズケーキ中に含まれる脂肪の乳化物の分散安定化に寄与し、またUHT殺菌機の殺菌処理熱に対して構造を維持できる耐熱性を有しているものと推測される。
多糖類の配合量は、レアチーズケーキ中に含まれる脂肪に対して3質量%以上が好ましく、3〜7質量%がより好ましく、3〜5質量%がさらに好ましい。多糖類の配合量を3質量%以上とすることにより脂肪浮上が充分に抑えられるようになり、他方、多糖類の配合量を7質量%以下とすることにより粘性の増加が抑えられ、殺菌機適性が良好なものとなる。
本発明では、上述の多糖類以外にも乳化安定剤を用いることができる。例えば、通常用いられている乳化剤(界面活性剤等)や、プロセスチーズ製造等の際に原料チーズを溶解するために添加される溶融塩等が挙げられる。
〔乳化剤〕
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン等が挙げられる。中でも、レアチーズケーキの食感が低下しないことから、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステルが好ましく用いられる。
〔溶融塩〕
溶融塩としては、例えば、クエン酸3ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。
溶融塩の添加量は、チーズの種類と、たんぱく質の含有量によって異なるが、チーズを溶融できる量であればよく、通常、チーズ全質量に対して2〜3質量%であることが好ましい。溶融塩の添加量を更に多くすると、チーズの溶融性は増すが、塩味が強くなる。そのため、溶融塩の添加量は、チーズを溶解できる最小量とすることが好ましい。
〔乳化安定化メカニズム〕
本発明のレアチーズケーキは、乳化安定剤として多糖類を含むことにより、脂肪浮上が無いレアチーズケーキを製造することができる。この作用効果が得られる理由については、定かではないが、次のように考えられる。
レアチーズケーキ組成系は、酸性下、たんぱく質はプラスに、脂肪(球状を形成)の表面はマイナスに帯電していると考えられる。両者間では静電的な相互作用が働き、脂肪はたんぱく質と共に系中に均一に安定分散しているものと考えられる。
一方、増粘安定剤は、マイナスに電離する官能基を有している。そして、たんぱく質のプラス部位に増粘安定剤のマイナス部位が作用することにより、たんぱく質が増粘安定剤により取り囲まれ、たんぱく質同士の凝集が防止されると考えられている。
しかしながら、脂肪においては、たんぱく質との相互作用が失われ、浮上してしまうものと推測される。この脂肪浮上は、あらたに脂肪を添加した場合に顕著に生じるものである。
ここで、乳化安定剤として従来から汎用の乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等)だけを用いた場合、脂肪は、乳化剤に保護された乳化物のまま浮上してしまう。
これに対し、乳化安定剤として多糖類を含む場合、高分子特性を持つ多糖類は、多糖類自身が系中にゲルネットワークを形成し得る。そして、多糖類自体の乳化作用あるいは撹拌等による脂肪の乳化物は、前記ゲルネットワークにより浮上が抑えられ、系中に均一に安定分散されるものと考えられる。また、前記ゲルネットワークは耐熱性をも有するものであるため、UHT殺菌機による殺菌処理に対しても上記効果が維持される。
したがって、上述の理由から、レアチーズケーキ組成系では、乳化安定剤として多糖類を含むことにより、脂肪浮上が無いレアチーズケーキを製造することができるものと推察される。
<ゲル化剤>
ゲル化剤は、食品に添加可能なものであれば特に制限はなく、例えば、寒天、ファーセルラン、カラギーナン、ジェランガム、ゼラチン、ローメトキシルペクチン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等が挙げられる。中でも、レアチーズケーキの食感が良好なことから、寒天、ファーセルラン、カラギーナン、ジェランガム、ゼラチンが好ましく用いられる。これらのゲル化剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
ゲル化剤の配合量は、製造したレアチーズケーキが常温で流動しない固形状を呈するのに必要かつ充分な含有量であればよく、また、所望の食感によってゲル化剤の種類と配合量が選択されることが好ましい。
例えば、レアチーズケーキ全質量に対して、寒天であれば0.2〜0.3質量%、ファーセルランであれば0.2〜0.3質量%、カラギーナンであれば0.15〜0.25質量%、ジェランガムであれば0.05〜0.15質量%、ゼラチンであれば0.6〜1.5質量%とすることが好ましい。
<その他の原材料>
本発明のレアチーズケーキの原材料としては、上述以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の原材料を必要に応じて添加することができる。
例えば、食品素材として、乳及び乳製品、油脂類、糖類、でん粉類、卵・卵加工品、豆・豆加工品、果実・野菜類、ナッツ類、酒類等を用いることができる。
その他の添加物として、酸味料、甘味料、香料、着色料、調味料、強化剤等を用いることができる。
〔酸味料〕
酸味料は、レアチーズケーキのpHを増粘安定剤の至適pH領域に調整するために好ましく用いることができる。酸味料は、食品添加物の酸味料であれば特に制限はなく、例えば、アジピン酸、イタコン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸及びこれらのナトリウム塩、食酢、果汁などの酸性食品等が挙げられる。中でも、レアチーズケーキの風味に適することから、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸及びこれらのナトリウム塩、果汁を好ましく用いることができる。
≪レアチーズケーキの製造方法≫
本発明のレアチーズケーキの製造方法は、レアチーズケーキの主な原材料として、チーズ、増粘安定剤、乳化安定剤である多糖類及びゲル化剤を含有し、UHT殺菌機で殺菌処理する方法である。
本発明の製造方法では、従来、原材料の混合溶解等の製造工程の順序が限定されていたものを任意の順序とすることができる。一例として、用いる原材料を、はじめにすべて混合溶解し、その後に冷却して製造する方法を選択することができる。該方法により製造しても、脂肪浮上の無いレアチーズケーキを製造することができる。
以下、本発明の製造方法について、<混合・溶解工程>、<加熱・殺菌・均質化・冷却工程>、<充填・密封工程>、<冷却・冷蔵工程>の工程ごとに詳述する。
<混合・溶解工程>
混合・溶解は、全原材料を投入後、混合撹拌できる溶解装置(例えば、商品名:スーパーミキサー;ヤスダファインテ社製)等によりまとめて混合し、必要に応じて加温し、溶解する。
なお、原料を順次投入する場合でも、投入順序は任意であってよい。
<加熱・殺菌・均質化・冷却工程>
加熱・殺菌・均質化・冷却は、溶解した原料混合物に対して、UHT殺菌機、好ましくは均質機を内蔵するUHT殺菌機(例えば、商品名:均質機付きプレート式UHT殺菌機;森永エンジニアリング社製)により行う。
図1に、本発明において好ましく用いられるプレート式UHT殺菌機の概略図を示す。
このプレート式UHT殺菌機において、第1加熱部3、第2加熱部5、第1冷却部7、熱交換部9、最終冷却部10は、一般的には、波形あるいは半球凹凸を有するプレートを複数重ねた構造を有している。加熱する場合には原料混合物と加圧蒸気、冷却するときには殺菌された原料混合物と冷媒(例えば水)が、それぞれ1枚おきに薄膜状になって各プレートの間を流れるようになっている。
この殺菌機では、原料混合物は、まず、バランスタンク1から遠心ポンプ2を経て、第1加熱部3に送られ、80〜90℃に加熱され、ホールディングチューブ4で数秒間保持される。次いで、第2加熱部(最高加熱部)5で最終温度(120〜150℃)に加熱され、ホールディングチューブ6で1〜5秒間保持され、殺菌される。
ホールディングチューブ6を通過した原料混合物は、第1冷却部7で70〜90℃程度まで冷却される。冷却された原料混合物は、無菌仕様のホモジナイザー8で均質化された後、熱交換部9を通り、さらに最終冷却部10を通ってゲル化温度よりわずかに高い温度まで冷却される。
なお、最終冷却部10の出口には、流量調整バルブ11が設けられており、系に背圧がかかるようになっている。
以下、詳述する。
〔加熱〕
UHT殺菌機の加熱方式には、直接加熱式ではインフュージョン及びインジェクションがあり、間接加熱式ではプレート式、チューブラ式、掻き取り式、多重管式等がある。
直接加熱式では、加熱後に、エクスパンジョンベッセル(加熱時に加えた蒸気を減圧して除く装置)を通過する際に、蒸気と共にフレーバー成分が揮発してしまう。そのため、本発明では間接加熱式の方が好ましく用いられる。間接加熱式では、加熱時間が短く、熱媒体との温度差が比較的小さいプレート式が最も適しており、好ましい。
〔殺菌〕
殺菌の条件は、UHT殺菌機の最高加熱部5の温度が120〜135℃で2秒間保持に相当することが好ましい。また、UHT殺菌機の最高加熱部5の温度が120〜130℃で2秒間保持に相当することがより好ましい。
UHT殺菌機の最高加熱部5の温度が120℃以上であることより、殺菌効果が向上し、細菌的保存性が良好となる。他方、UHT殺菌機の最高加熱部5の温度が135℃以下であることより、加熱部5での焦げ付きを少なくでき、長時間運転が可能となる。
ここで「120〜135℃で2秒間保持に相当」の殺菌条件とは、Z値(D値を1/10にする温度上昇幅。D値:ある温度である細菌の数を1/10にする熱殺菌の保持時間)を10℃と仮定すると、例えば、HTST(高温短時間)殺菌機で、最高加熱部での保持時間を15秒とした場合には、最高加熱部の温度を114.4〜129.4℃とすることである(保持時間が7.5倍になっているので、107.5/10≒5.6℃ 温度を下げることとなる。)。
上記殺菌方法により、作業効率や殺菌効果が高いことのほかに、レアチーズケーキ中の成分の熱変性等の損傷を低減することが可能であり、良好な風味や食感を損なわないものとすることができる。
〔均質化〕
均質化は、UHT殺菌機に好ましく内蔵される高圧均質機8により行うことができる。
均質機8付きの殺菌機には、Down Homo(最高加熱部5の後工程の冷却部7の途中に設置)とUp Homo(最高加熱部5の前工程の加熱部3の途中に設置)があるが、どちらでも使用可能である。
Up Homoを用いる場合には、原料混合物を、最高加熱部5の前工程の加熱部3で80〜90℃に加熱して取り出し、高圧均質機8により均質化して加熱部3の後工程へと戻す。
Down Homoを用いる場合には、原料混合物を、最高加熱部5の後工程の冷却部7で90〜70℃に冷却して取り出し、高圧均質機8で均質化して冷却部7の後工程へと戻す。
高圧均質機8による均質化効果は、ホモバルブの構造、及び被均質化物の連続相と液滴の表面張力によって変化する。そのため、ホモバルブに掛ける圧力だけで均質化効果を制御することはできない。
均質化効果の目安は、脂肪球の平均粒子径が2μm以下になることであり、脂肪球が2μm以下になるように、均質機8の運転条件を試行して決定することが好ましい。
〔冷却〕
冷却は、UHT殺菌機の冷却部10で行なう。
冷却温度は、使用するゲル化剤のゲル化温度以上の温度に設定する。ゲル化温度は、原料液の水分、pH、ミネラル濃度等で変化する。
本発明において好ましいゲル化剤のゲル化温度は、寒天であれば40〜45℃、ファーセルランであれば35〜40℃、カラギーナンであれば35〜40℃、ジェランガムであれば40〜45℃、ゼラチンであれば15〜20℃であり、これらを目安として冷却温度を設定することが好ましい。
冷却温度を上記ゲル化温度以上とすることにより、ゲル化剤のゲル化能力が良好に発揮され、適度な硬度が得られる。他方、冷却温度が高過ぎると、充填・密封後の冷却に時間を要し、レアチーズケーキ成分の分離や凝集が起こる場合がある。
また、冷却では、ゲル化剤のゲル化温度以下に冷却して完全にゲル化能力を失わせて、タンク(例えば、商品名:アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に貯蔵し、次の充填・密封工程の直前に、再加温・再冷却してゲル化剤のゲル化能力を復活させる工程をとってもよい。
この場合には、本発明において好ましいゲル化剤の溶解温度は、寒天であれば90〜100℃、ファーセルランであれば80〜90℃、カラギーナンであれば80〜90℃、ジェランガムであれば90〜100℃、ゼラチンであれば25〜35℃であり、これらを目安として再加温温度を設定することが好ましい。
再冷却温度は、前記の冷却温度と同一である。
再加温・再冷却には、短時間での加温・冷却が可能であり、凝集や焦げ付き等が起こり難いことから、熱交換部9にて熱交換機(例えば、商品名:プレート式熱交換機;森永エンジニアリング社製)が好ましく使用される。
再加温・再冷却の工程を採用することにより、<混合・溶解工程>から<加熱・殺菌・均質化・冷却工程>に至る工程と、再加温から<冷却・冷蔵工程>に至る工程とをタンク貯蔵を挟んで分割することができる。これにより、製造の前半と後半を時間的に独立させることができ、生産計画や要員配置等の自由度が得られるようになる。
<充填・密封工程>
充填・密封は、カップ充填機(例えば、商品名:DOGAseptic;GASTI社製)を使用して、プラスチックカップ(例えば、商品名:PPデザートカップ;大日本印刷社製)に充填し、アルミリッド(例えば、商品名:アルミ箔蓋ロール;東洋アルミニウム社製)を被せ、充填機のシール部で熱圧シールして行うことが好ましい。
<冷却・冷蔵工程>
冷却・冷蔵は、冷蔵庫等により行うことができる。
上記工程にて密封されたカップは、冷蔵庫等に搬入され、食に供せられるまでの間、保管される。
本発明によれば、UHT殺菌機で殺菌が可能であり、滑らかな食感で、脂肪浮上が無く、細菌的保存性の良好なレアチーズケーキ及びその製造方法を提供することができる。
また本発明では、乳化安定剤として多糖類を含むことにより、優れた脂肪浮上の防止効果が得られる。これにより、製造工程の順序が限定されないレアチーズケーキ及びその製造方法を提供することができる。
さらに本発明によれば、プレート式殺菌機の使用により、滅菌レベルの殺菌が可能となる。これにより、レアチーズケーキ組成の水分活性を任意とすることができる。また、再加温・再冷却の工程を採用することができるため、製造工程を前半と後半とに分けることが可能となり、生産計画の自由度を高めることができる。
以下に、試験例及び実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、配合割合(配合比)の単位は質量部であり、%は質量%を示す。
また、以下の試験例および実施例において、各原料としては、特に断りのない限り表1のものを用いた。
Figure 0004242359
≪試験例≫
下記それぞれの目的のための試験例1〜6について、各レアチーズケーキを調製し、UHT殺菌機適性、沈殿量、脂肪浮上、細菌的保存性、食感の官能評価(試験例1のみ)の評価を行った。
試験例1:本発明の効果を発揮する構成成分の検索
試験例2:乳化安定剤として機能する成分の種類の検索
試験例3:増粘安定剤の種類の検索
試験例4:ゲル化剤の種類の検索
試験例5:乳化安定剤として機能する多糖類の配合量の検索
試験例6:UHT殺菌機の殺菌温度の検索
<試験例1>
下記表2の配合割合に従って試料を調製し、下記評価を行った。得られた評価結果を表2に示す。
(目的)
UHT殺菌機で殺菌が可能であり、滑らかな食感で、脂肪浮上が無く、細菌的保存性の良好なレアチーズケーキの構成成分を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
ヤシ油を70℃に加温し、脂肪浮上の評価の際に判定しやすいように、油溶性のカロチン色素製剤を添加して、ヤシ油を着色した。
この着色したヤシ油をその他の原料と混合溶解した。
該混合溶解した混合液に対して、均質機を内蔵するプレート式UHT殺菌機(商品名:MAU;森永エンジニアリング社製)により、プレート式UHT殺菌機の最高加熱部(第2加熱部)の温度が125℃で2秒間保持の殺菌処理を行った。
次いで、80℃に冷却した後、内蔵する均質機により15MPaの条件で均質化した。その後、冷却部で50℃に冷却して、容器に充填し、冷蔵庫で10℃に冷却してレアチ
ーズケーキを調製した。
(評価方法)
1)UHT殺菌機適性
UHT殺菌機に対する殺菌機適性については、各試料の混合溶解した混合液を30分間殺菌し、殺菌開始時と殺菌終了時の最高加熱部(第2加熱部)出口の圧力を測定した。
評価は、殺菌開始時の圧力に対する殺菌終了時の圧力の差を下記基準にて判定した。
殺菌機適性良好:0.1MPa未満の場合
殺菌機適性不良:0.1MPa以上低下した場合(最高加熱部の付着量が多い)
2)食感の官能評価
順位法の検定表を用いる方法(古川秀子、おいしさを測る−食品官能検査の実際−、p28,幸書房、1994年)に基づき、10人の訓練された風味パネラーに、食感が滑らかな順に試料に順位をつけさせた。各試料の順位合計を求め、各試料間の順位合計差の絶対値を求め、その数値を基に順位法の検定表から有意水準を判定した。
**:1%の危険率で有意差あり
*:5%の危険率で有意差あり
3)沈殿量
水で希釈して10質量%溶液となるように試料を採取し、70℃に加温溶解した。
次いで、高速撹拌機(商品名:TKホモミキサー;特殊機化工業社製)で2分間撹拌し、25℃に冷却して評価試料とした。
この評価試料から30mlを採取し、遠心分離機(商品名:HITACHI CENTRIFUGE;日立工機社製)により、2000rpmで10分間遠心分離し、沈殿量を測定した。
4)脂肪浮上
試料を縦方向に切断し、側面を目視確認した。
試料表面が、試料内部と比較して、黄色い色調(カロチン色素)が強くなっているものを脂肪浮上「有り」と判定した。
5)細菌的保存性
各試料10個を30℃のインキュベーターで5日間保存し、風味検査により、腐敗の有無を検査した。
表2より、
・UHT殺菌機適性:試料No.2,4は圧力の差が0.1MPa未満であった。試料No.1,3は圧力の差が0.1MPa以上であった。
・食感の官能評価:食感が滑らかな順位は、試料No.4≧2>3≧1であった。
ここで、「>」は記号の左右で統計的有意差があることを表す。「≧」は記号の左が右より上位であるが、統計的有意差が無いことを表す。
・沈殿量:試料No.1,3は沈殿量が1mlを超え、試料No.2,4は0.5ml以下であった。
・脂肪浮上:試料No.2で脂肪浮上が認められた。
・細菌的保存性:いずれの試料も、腐敗したものは無かった。
試験例1の結果より、UHT殺菌機適性が良好であり、滑らかな食感で、脂肪浮上が無く、細菌的保存性の良好な試料は、試料No.4であった。
この試料No.4の組成は、寒天(ゲル化剤)と共に、ハイメトキシルペクチン(増粘安定剤)及びオクテニルコハク酸でん粉ナトリウム(多糖類)が併用されていることが分かった。
これより以後の試験例では、ゲル化剤、増粘安定剤、多糖類の併用系において各検索を実施することとした。
また、食感の滑らかさ(粉っぽさ)の指標について、試験例1では沈殿量と食感の官能評価とが相関していた。そのため以後の試験では、沈殿量が1ml未満の試料の食感は「良好」と判定することとし、沈殿量が0.5ml未満の試料の食感は「特に良好」と判定することとした。
Figure 0004242359
<試験例2>
下記表3の配合割合に従って、試験例1と同様に試料を調製した。評価は、1)UHT殺菌機適性、3)沈殿量、4)脂肪浮上、5)細菌的保存性について、試験例1と同様の方法で行った。
得られた評価結果を表3に示す。
(目的)乳化安定剤として機能する成分の種類を検索する目的で実施した。
表3より、
・UHT殺菌機適性:いずれの試料も、圧力の差は0.1MPa未満であった。
・沈殿量:いずれの試料も、沈殿量は1ml未満であった。
・脂肪浮上:試料No.11〜13で脂肪浮上が認められ、試料No.14,15では認められなかった。
・細菌的保存性:いずれの試料も、腐敗したものは無かった。
試験例2の結果より、脂肪浮上が無い試料は、カードランとオクテニルコハク酸でん粉ナトリウムをそれぞれ含有していた。これら多糖類は、レアチーズケーキ中の脂肪浮上(クリーミング)を防止する効果を有することが確認された。
Figure 0004242359
<試験例3>
下記表4の配合割合に従って、試験例1と同様に試料を調製した。評価は、試験例2と同じ評価項目について、試験例1と同様の方法で行った。得られた評価結果を表4に示す。
(目的)増粘安定剤の種類を検索する目的で実施した。
表4より、
・UHT殺菌機適性:いずれの試料も、圧力の差は0.1MPa未満であった。
・沈殿量:試料No.21〜24は沈殿量が1ml未満であり、試料No.25は1ml以上であった。
・脂肪浮上:いずれの試料も、脂肪浮上は認められなかった。
・細菌的保存性:いずれの試料も、腐敗したものは無かった。
試験例3の結果より、沈殿量が1ml未満の試料は、ハイメトキシルペクチン、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類及びアルギン酸プロピレングリコールエステルをそれぞれ含有していた。また、該沈殿量はいずれも0.5ml未満であり、食感については特に良好であることが確認された。
Figure 0004242359
<試験例4>
下記表5の配合割合に従って、試験例1と同様に試料を調製した。評価は、試験例2と同じ評価項目について、試験例1と同様の方法で行った。得られた評価結果を表5に示す。
(目的)ゲル化剤の種類を検索する目的で実施した。
表5より、
・UHT殺菌機適性:いずれの試料も、圧力の差は0.1MPa未満であった。
・沈殿量:試料No.31〜35は沈殿量が1ml未満であり、試料No.36,37は1ml以上であった。
・脂肪浮上:いずれの試料も、脂肪浮上は認められなかった。
・細菌的保存性:いずれの試料も、腐敗したものは無かった。
試験例4の結果より、沈殿量が1ml未満の試料は、カラギーナン、ファーセルラン、寒天、ゼラチン及びジェランガムをそれぞれ含有していた。また、該沈殿量はいずれも0.5ml未満であり、食感については特に良好であることが確認された。
Figure 0004242359
<試験例5>
下記表6の配合割合に従って、試験例1と同様に試料を調製した。評価は、試験例2と同じ評価項目について、試験例1と同様の方法で行った。得られた評価結果を表6に示す。
なお、試料中の脂肪に対する多糖類率(%)は、
多糖類率(%)=(オクテニルコハク酸でん粉ナトリウム量/脂肪量)×100
により算出した。脂肪量は、レアチーズケーキ中に11.6質量%であった。
(目的)乳化安定剤として機能する多糖類の配合量を検索する目的で実施した。
表6より、
・UHT殺菌機適性:いずれの試料も、圧力の差は0.1MPa未満であった。
・沈殿量:いずれの試料も、沈殿量は1ml未満であった。
・脂肪浮上:試料No.41,42で脂肪浮上が認められ、試料No.43〜47では認められなかった。
・細菌的保存性:いずれの試料も、腐敗したものは無かった。
試験例5の結果より、オクテニルコハク酸でん粉ナトリウムの配合割合が、試料中の脂肪に対して3質量%以上であることにより、より脂肪浮上が起こりにくくなることが分かった。
但し、オクテニルコハク酸でん粉ナトリウムの配合割合が増すとともに、UHT殺菌機の最高加熱部(第2加熱部)出口の圧力が低下する傾向が認められ、UHT殺菌機適性がやや低下する傾向にあることも分かった。
Figure 0004242359
<試験例6>
表2の試料No.4の配合割合に従って、UHT殺菌機の殺菌温度を除いては試験例1と同様に試料を調製した。UHT殺菌機の殺菌温度は、表7に示す各温度で各試料を調製した。評価は、試験例2と同じ評価項目について、試験例1と同様の方法で行った。
得られた評価結果を表7に示す。
(目的)UHT殺菌機の殺菌温度を検索する目的で実施した。
下記表7より、
・UHT殺菌機適性:試料No.51〜56は圧力の差が0.1MPa未満であり、試料No.57は0.1MPa以上であった。
・沈殿量:試料No.51〜54は沈殿量が0.5ml未満であり、試料No.55は0.5ml以上1ml未満であり、試料No.56,57は1ml以上であった。
・脂肪浮上:いずれの試料も、脂肪浮上は認められなかった。
・細菌的保存性:試料No.51で1/10の腐敗が認められ、試料No.52〜57では腐敗したものは無かった。
試験例6の結果より、UHT殺菌機による殺菌温度は120〜135℃が好ましく、さらに沈殿量が0.5ml未満である120〜130℃がより好ましいことが分かった。
Figure 0004242359
≪実施例≫
上述の試験例の結果を基に、乳化安定剤として機能する多糖類、増粘安定剤、ゲル化剤について、その種類と配合割合を選定し、かつUHT殺菌機の殺菌条件を設定し、下記表8に示す実施例1〜3のレアチーズケーキを製造した。ただし、実施例1は参考例である。
以下、実施例1〜3の製造方法について説明する。
<実施例1>
表8のNo.61の配合割合に従って製造した。
原料を混合溶解し、均質機付きプレート式UHT殺菌機(商品名:MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)により、プレート式UHT殺菌機の最高加熱部の温度が130℃で2秒間保持の殺菌処理を行った。
次いで、殺菌処理した原料液を15MPa,80℃で均質化し、50℃に冷却し、カップ充填機(商品名:DOGAseptic:GASTI社製)により滅菌したプラスチックカップ(商品名:PPカップ;大日本印刷社製)に80gずつ充填した。そして、滅菌したアルミリッド(商品名:アルミ箔蓋ロール;東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃に冷却して、レアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、6000L/Hのプレート式UHT殺菌機により、原料液12トン分に対して2時間の連続殺菌処理を行ったが、第2加熱部(プレート式UHT殺菌機の最高加熱部)出口の圧力低下は認められなかった。
このようにして製造したレアチーズケーキ2000個を30℃のインキュベーションルームに入れ、5日間増菌試験を行った後、風味試験により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
さらに、このレアチーズケーキは、粉っぽい食感が無く、脂肪浮上が無く、風味及び食感はいずれも良好であった。
<実施例2>
表8のNo.62の配合割合に従って製造した。
原料を混合溶解し、均質機付きチューブラ式UHT殺菌機(商品名:MOチューブラー殺菌機;森永エンジニアリング社製)により、チューブラ式UHT殺菌機の最高加熱部の温度が120℃で3.5秒間保持の殺菌処理を行った。
次いで、殺菌処理した原料液を10MPa,80℃で均質化し、55℃に冷却し、カップ充填機(商品名:MTYパッカー;トーワテクノ社製)によりプラスチックカップ(商品名:PPカップ;大日本印刷社製)に80gずつ充填した。そして、アルミリッド(商品名:アルミ箔蓋ロール;東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃に冷却して、ストロベリーレアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、2000L/Hのチューブラ式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)により、原料液4トン分に対して2時間の連続殺菌処理を行ったが、第2加熱部(チューブラ式UHT殺菌機の最高加熱部)出口の圧力低下は認められなかった。
このようにして製造したストロベリーレアチーズケーキ2000個を30℃のインキュベーターに入れ、5日間増菌試験を行った後、風味試験により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
さらに、このストロベリーレアチーズケーキは、滑らかで、脂肪浮上が無く、風味及び食感はいずれも良好であった。
<実施例3>
表8のNo.63の配合割合に従って製造した。
原料を混合溶解し、均質機付きプレート式UHT殺菌機(商品名:MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)により、プレート式UHT殺菌機の最高加熱部の温度が125℃で2秒間保持の殺菌処理を行った。
次いで、殺菌処理した原料液を15MPa,85℃で均質化し、25℃に冷却し、タンク(商品名:Aタンク;ヤスダファインテ社製)に2日間貯蔵した。そして、多管式熱交換機(商品名:スピフレックス;新光産業社製)により80℃に再加温し、その後、50℃に冷却して、カップ充填機(商品名:BK Cup Filler;HAMBA社製)により滅菌したプラスチックカップ(商品名:PPカップ;大日本印刷社製)に80gずつ充填した。そして、プラスチックリッド(商品名:PET蓋ロール;東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃に冷却して、カマンベール風味のレアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、8000L/Hのプレート式UHT殺菌機により、原料液8トン分に対して1時間の連続殺菌を行ったが、第2加熱部(プレート式UHT殺菌機の最高加熱部)出口の圧力低下は認められなかった。
このようにして製造したカマンベール風味のレアチーズケーキ2000個を30℃のインキュベーターに入れ、5日間増菌試験を行った後、風味試験により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
さらに、このカマンベール風味のレアチーズケーキは、滑らかで、脂肪浮上が無く、風味及び食感はいずれも良好であった。
Figure 0004242359
本発明において用いられるUHT殺菌機の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 バランスタンク
2 遠心ポンプ
3 第1加熱部
4 ホールディングチューブ
5 第2加熱部(最高加熱部)
6 ホールディングチューブ
7 第1冷却部
8 ホモジナイザー
9 熱交換部
10 最終冷却部
11 流量調整バルブ

Claims (2)

  1. チーズ、増粘安定剤、乳化安定剤及びゲル化剤を含有し、UHT(超高温加熱処理)殺菌機で殺菌処理されたレアチーズケーキにおいて、前記乳化安定剤としてカードランを含むことを特徴とするレアチーズケーキ。
  2. チーズ、増粘安定剤、乳化安定剤及びゲル化剤を含有し、UHT(超高温加熱処理)殺菌機で殺菌処理するレアチーズケーキの製造方法において、前記乳化安定剤としてカードランを含むことを特徴とするレアチーズケーキの製造方法。
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