JP6891239B2 - 食品用組成物およびそれを含む食品 - Google Patents

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Description

本発明は、食品用組成物およびそれを含む食品に関する。
口溶けの良いなめらかな食感を有するプリン、ムースなどのデザート類を得ること、および上記デザート類の品質を保持することなどを目的として、上記デザート類を調製する際に所謂ゲル化剤または安定化剤を用いることが公知である。たとえば特開平05−317008号公報(特許文献1)は、ソフトな食感のデザートを調製することが可能な低強度寒天に関する発明が提案されている。しかしながら上記低強度寒天は、寒天自体に起泡性がないため、起泡性を有するデザート類を調製することに不適である。さらに寒天は、酸乳安定性を有さないため、果汁などを含むことによって酸性を呈するデザート類を調製することにも不適である。すなわち上記デザート類を製造する場合、製造しようとする製品が有する起泡性などの性状、および酸性、アルカリ性などの性質に応じ、適切な種類のゲル化剤または安定化剤を都度選択している現状である。ここで「酸乳安定性」とは、酸性化された乳成分を含む食品中の乳たん白などが、上記食品中にて電荷を失うことにより、凝集(不溶化)することを防ぐ性質(安定化作用)を意味する。
特開平05−317008号公報 特開2018−196331号公報
上述した現状に対し、生産性の向上および省力化などを目的として口溶けの良いなめらかな食感を単独で多種のデザート類に対し付与することができるゲル化剤および安定化剤が要請されている。さらに上記ゲル化剤および安定化剤を用い、起泡性を有するデザート類などに対し、冷凍保管を可能とする冷凍耐性を付与することも要請されている。特開2018−196331号公報(特許文献2)は、加工澱粉、ゼラチンおよび酸性多糖類を含み、もっちり感および口溶けの良さを付与することができる食品組成物を開示し、当該食品組成物が冷解凍の前後で物性を維持する作用を有することを教示している。しかしながら上記特許文献2の食品組成物は、起泡性を有する製品、酸乳安定性が必要な製品などにもっちり感および口溶けの良さを付与することができるかどうか不明である。したがって起泡性を有する製品、酸乳安定性が必要な製品などを含む多種のデザート類に対し、単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる食品用組成物は未だ実現されておらず、その開発が切望されている。
上記実情に鑑み、本発明は、多種のデザート類に対して単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる食品用組成物およびそれを含む食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。具体的には、ゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤の4成分を必須成分とし、これらが所定の比率で配合された食品用組成物を想到した。この食品用組成物が、驚くべきことに多種のデザート類に対して単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができることを知見し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下のとおりの特徴を有する。
本発明に係る食品用組成物は、ゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤を必須成分として含む食品用組成物であって、上記食品用組成物に含まれる上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤の合計量を100質量部とした場合、上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、食品中に合計で1質量%以上5質量%以下含まれる。
上記ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチンであることが好ましい。
上記食品用組成物は、上記食品用組成物に含まれる上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤の合計量を100質量部とした場合、上記ゼラチンを35質量部以上60質量部以下含有し、上記加工澱粉を20.9質量部以上43.4質量部以下含有し、上記HMペクチンを6.7質量部以上20質量部以下含有し、上記乳化剤を6.7質量部以上20質量部以下含有することが好ましい。
本発明に係る食品は、上記食品用組成物を含み、上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤が合計で1質量%以上5質量%以下含まれる。
本発明によれば、多種のデザート類に対して単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる食品用組成物およびそれを含む食品を提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態(以下、「本実施形態」とも記す)について、さらに詳細に説明する。ここで本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。本明細書において「プリン」とは、食品学的にプディング(pudding)と称される料理の総称を意味する。上記「プリン」の概念には、たとえば卵、牛乳および砂糖を主な材料とし、卵が加熱により固まる性質を利用することにより製造されるデザート類その他の食品をはじめ、上記材料に含まれる卵に代えてゲル化剤または安定化剤が添加される場合、上記ゲル化剤または安定化剤が加熱または冷却によって固まる性質を利用することにより製造されるデザート類その他の食品なども含まれる。本明細書において「ムース」とは、卵白、牛乳、生クリーム、砂糖、ならびに必要に応じて添加されるゲル化剤または安定化剤などを含む材料を、ホイッパーなどで撹拌することによって起泡させることにより製造され、この起泡させた状態を気体と液体とに分離させずに一様な組織として維持したデザート類その他の食品を意味する。
〔食品用組成物〕
本実施形態に係る食品用組成物は、ゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤を必須成分として含む食品用組成物である。本実施形態に係る食品用組成物は、上記食品用組成物に含まれる上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤(以下、これらの4成分を総称して「必須4成分」とも称する)の合計量を100質量部とした場合、上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有する。さらに上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、合計で食品中に1質量%以上5質量%以下含まれる。このような特徴を備える食品用組成物は、これを含む食品が起泡性などの性状を有するか否か、および酸性、アルカリ性などの性質を有するか否かにかかわらず、上記食品に対し口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。すなわち上記食品用組成物は、多種の食品(デザート類)に対して単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。
ここで本明細書において「口溶けの良いなめらかな食感」とは、食品が口の中で容易に溶けるが、その溶解物が口の中でべたつかない食感をいう。口溶けの良いなめらかな食感は、その有無について後述する官能評価試験により判別される。「冷凍耐性」とは、食品の解凍後において、鬆が入ったようなボロボロ感、水っぽさおよびざらつきなどの不良な食感が生じず、上述した口溶けの良いなめらかな食感が維持され、かつ離水の発生、皺の発生および乳化の破壊などの性状変化が現れないなどの特性を意味する。この冷凍耐性の有無についても、後述する官能評価試験および性状評価試験により判別される。
さらに本実施形態に係る食品用組成物は、上記食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、上記ゼラチンを35質量部以上60質量部以下含有し、上記加工澱粉を20.9質量部以上43.4質量部以下含有し、上記HMペクチンを6.7質量部以上20質量部以下含有し、上記乳化剤を6.7質量部以上20質量部以下含有することが好ましい。この場合、上記食品用組成物を含む食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感および冷凍耐性をより十分に付与することができる。さらに上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、合計で食品中に1.2質量%以上3.3質量%以下含まれることが好ましい。以下、上記必須4成分であるゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤について具体的に説明する。
<ゼラチン>
本実施形態に係る食品用組成物は、ゼラチンを含む。上記食品用組成物は、上述のように食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有する。
ゼラチンは、牛、豚などの哺乳動物の骨、皮部分、ダチョウなどの鳥類の骨または皮部分、およびサメ、ティラピアなどの魚類の骨、皮、鱗部分などのコラーゲンを含有する材料を、塩酸、硫酸などの無機酸もしくは石灰などの無機塩基を用いて処理することにより得ることができる。一般に、無機酸を用いて処理することにより得たゼラチンを酸処理ゼラチン(アルカリ性ゼラチン)と称し、無機塩基を用いて処理することにより得たゼラチンをアルカリ処理ゼラチン(酸性ゼラチン)と称する。酸処理ゼラチン(アルカリ性ゼラチン)は、pH8〜9が等イオン点であり、その等イオン点の分布はブロードとなる。これに対し、アルカリ処理ゼラチン(酸性ゼラチン)は、ほぼpH5が等イオン点であり、その等イオン点の分布は非常にシャープである。上記ゼラチンを水に溶解することにより得られるゼラチン水溶液は、等イオン点より低pH側で+、高pH側では−に荷電する。
上記食品用組成物に含まれるゼラチンとしては、哺乳動物、鳥類および魚類のいずれの動物種から得たものも制限なく用いることができる。さらにゼラチンとしては、上記アルカリ処理ゼラチンおよび上記酸処理ゼラチンのどちらも用いることができる。ただし本実施形態においてゼラチンは、アルカリ処理ゼラチンであることが好ましい。ゼラチンとしてアルカリ処理ゼラチンを用いる場合、上記食品用組成物を含む食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感をより十分に付与することができる。さらに上記食品用組成物を含む食品に対し、食品の形状を維持する性質を意味する保形性を向上させることができる。
ゼラチンは、一般に種々のゼリー強度(JIS K 6503:2001(にかわ及びゼラチン)に規定)を有するが、特定範囲のゼリー強度に限定されない。ただし、口溶けの良いなめらかな食感を付与する観点からゼリー強度(単位はg)が、100〜300であるゼラチンを用いることが好ましい。
本実施形態に係る食品用組成物においてゼラチンは、上述のように食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、33.4質量部以上62.5質量部以下の含有量となる。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し、ゼラチンの含有量が33.4質量部未満である場合、ゼラチンが過少であるために口溶けの良いなめらかな食感を付与することが困難となる傾向がある。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量に対し、ゼラチンの含有量が62.5質量部を超える場合、ゼラチンが過多であるために、なめらかというよりもむしろ固い食感が付与される傾向がある。さらに上記食品用組成物を含む食品中で、食品用組成物が凝集する場合がある。ゼラチンは、上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し35質量部以上60質量部以下の含有量となることが好ましい。
さらにゼラチンは、上記食品用組成物を含む食品中に0.7〜1.5質量%含まれることが好ましく、上記食品中に0.8〜1質量%含まれることがさらに好ましい。この場合、上記食品に対して上述した食感を付与することができ、かつ上記食品の形状を維持する保形性を向上させることができる。
<加工澱粉>
本実施形態に係る食品用組成物は、加工澱粉を含む。上記食品用組成物は、上述のように食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有する。
「加工澱粉」とは、澱粉が有する物理的性質を改変することによって、高い粘度を備えさせたり、冷却時にゲル化する性質を備えさせたりするなどの処理を施した澱粉を意味する。加工澱粉は、具体的には、生澱粉に対して加熱処理などの物理的加工、アミラーゼなどの酵素による酵素的加工、または各種の化学物質と反応させることによる化学的加工が加えられることにより、上述した物理的性質が改変された澱粉の総称である。上記食品用組成物に含まれる加工澱粉は、化学的加工が加えられた澱粉であることが好ましい。上記化学的加工には、たとえば澱粉のアセチル化、リン酸化、酸化、オクテニルコハク酸化、ヒドロキシプロピル化、リン酸モノエステル化などが例示される。
具体的な加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウムなどが例示される。上記食品用組成物に含まれる加工澱粉としては、上述した種類の加工澱粉を単独で、または2種以上混合して用いることができる。この中で上記食品用組成物に含まれる加工澱粉としては、ヒドロキシプロピル澱粉およびヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉の少なくともいずれか一方であることが好ましい。さらに上記食品用組成物に含まれる加工澱粉としては、ヒドロキシプロピル澱粉およびヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉の両方であることがより好ましい。加工澱粉として、これらの澱粉を選択した場合、上記食品用組成物を含む食品に対し、冷凍耐性を付与することができ、もって冷解凍の前後で食感および性状を維持することができる。さらに加工澱粉は、上記食品用組成物に含まれるゼラチンとの相乗効果によって、上記食品用組成物を含む食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感をより十分に付与することができる。
ここで加工澱粉は、澱粉である限り、その由来となる原材料が限定されるべきではない。たとえば由来となる原材料として、馬鈴薯、タピオカ、コーン、ワキシーコーン、小麦、米、甘藷(サツマイモ)、サゴなどが例示される。
本実施形態に係る食品用組成物において加工澱粉は、上述のように上記食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、20質量部以上47.6質量部以下の含有量となる。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し、加工澱粉の含有量が20質量部未満である場合、加工澱粉が過少であるために、冷凍耐性を付与することが不十分となる傾向がある。さらにゼラチンの固い食感が優位となり、口溶けの良いなめらかな食感を付与することが困難となる傾向がある。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し、加工澱粉の含有量が47.6質量部を超える場合、加工澱粉が過多であるために、口溶けの良いなめらかな食感を付与できなくなる傾向がある。加工澱粉は、上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し20.9質量部以上43.4質量部以下の含有量となることが好ましい。
さらに加工澱粉は、上記食品用組成物を含む食品中に0.3〜1質量%含まれることが好ましく、上記食品中に0.5〜0.8質量%含まれることがさらに好ましい。この場合、上記食品に対して口溶けの良いなめらかな食感をより十分付与することができる。上記食品に対してより十分な冷凍耐性も付与することができる。
<HMペクチン>
本実施形態に係る食品用組成物は、HMペクチンを含む。上記食品用組成物は、上述のように食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有する。ここでHMペクチンにおける「ペクチン」とは、10個以上の単糖が結合することにより構成され、かつ化学構造においてカルボキシル基を有する酸性多糖類に分類される糖類の一種をいう。具体的には「ペクチン」とは、ガラクツロン酸がα−1,4結合したポリガラクツロン酸を主成分とし、かつ上記ガラクツロン酸の一部のカルボキシル基がメチルエステル化された糖類を意味する。上記ペクチンは、上記カルボキシル基のエステル化度によってLMペクチンとHMペクチンとの2種類に分類される。LMペクチンは、上記エステル化度が50未満であり、HMペクチンは、上記エステル化度が50以上である。上記「エステル化度」とは、ガラクツロン酸とガラクツロン酸メチルエステルとを構成単位とするペクチンの1分子全体に占めるガラクツロン酸メチルエステルの割合をいう。
上記LMペクチンおよびHMペクチンのうち、本実施形態に係る食品用組成物に含まれるペクチンは、HMペクチンである。ペクチンとしてHMペクチンを用いる場合、上記食品用組成物を含む食品に対し酸乳安定性を付与することができ、もって酸性のデザート類を調製する際に各種タンパク質の分離および凝集を防ぎ、ざらつきの無い口溶けの良いなめらかな食感を付与することができる。さらにHMペクチンは、上記食品用組成物に含まれるゼラチンとの相乗効果によって、上記食品用組成物を含む食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感をより十分に付与することができる。詳細なメカニズムは不明ながら、HMペクチンが作用することによってゼラチンのゲルの連続性が壊され、もって上記ゲルが脆くなることにより、口溶けの良いなめらかな食感がより十分に得られるものと推定される。HMペクチンを用いる場合、上記食品用組成物を含む食品に対し冷凍耐性を付与することもできる。
本実施形態に係る食品用組成物においてHMペクチンは、上述のように上記食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、5.9質量部以上22.2質量部以下の含有量となる。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し、HMペクチンの含有量が5.9質量部未満である場合、HMペクチンが過少であるために、酸乳安定性の付与が不十分となり、乳たん白または食品中の素材由来のタンパク質が凝集または沈殿することによってざらつきの無い口溶けの良いなめらかな食感を付与できなくなる傾向がある。さらに上記食品用組成物を含む食品中で食品用組成物同士が凝集する場合、上記食品中のその他成分と食品用組成物とが凝集する場合、ならびに上記食品中のその他成分同士が反応して凝集する場合などが発生する恐れがある。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し、HMペクチンの含有量が22.2質量部を超える場合、HMペクチンが過多であるために、ゼラチンのゲルの脆化が過度となり、なめらかというよりもむしろ粘性のある液体の食感が付与される傾向がある。HMペクチンは、上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し6.7質量部以上20質量部以下の含有量となることが好ましい。
さらにHMペクチンは、上記食品用組成物を含む食品中に0.1〜0.4質量%含まれることが好ましく、上記食品中に0.2〜0.3質量%含まれることがさらに好ましい。この場合、上記食品に対してより十分な酸乳安定性を付与することができ、冷凍耐性を付与することもできる。
<乳化剤>
本実施形態に係る食品用組成物は、乳化剤を含む。上記食品用組成物は、上述のように食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有する。ここで「乳化剤」とは、本質的に混じり合いにくい水と油とを、一方の液中に他方を分散させることによって混合可能とする作用(乳化作用)を有する薬剤の総称を意味する。乳化剤は、一般に合成品からなる乳化剤と天然物由来の乳化剤とに分類される。合成品からなる乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが例示される。天然物由来の乳化剤としては、レシチン、サポニン、カゼインナトリウムなどが例示される。
食品用組成物に含まれる乳化剤としては、上記合成品からなる乳化剤および上記天然物由来の乳化剤をいずれも用いることができる。上記食品用組成物に含まれる乳化剤としては、上述した種類の乳化剤を単独で、または2種以上混合して用いることができる。この中で上記食品用組成物に含まれる乳化剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびグリセリン脂肪酸エステルの少なくともいずれか一方であることが好ましい。さらに上記食品用組成物に含まれる乳化剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびグリセリン脂肪酸エステルの両方であることがより好ましい。この場合、上記食品用組成物を含む食品に対し、ゼラチンとの相乗効果によってホイップした際の起泡力を大幅に向上させることができ、もって口溶けの良いなめらかな食感を効果的に付与することができる。上記食品用組成物に乳化剤が含まれる場合、上記食品用組成物を含む食品に対し冷凍耐性を付与することもできる。
本実施形態に係る食品用組成物において乳化剤は、上述のように上記食品用組成物に含まれる必須4成分の合計量を100質量部とした場合、5.9質量部以上22.2質量部以下の含有量となる。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し、乳化剤の含有量が5.9質量部未満である場合、乳化剤が過少であるために、ホイップした際の起泡力の付与が不十分となる傾向がある。上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し、乳化剤の含有量が22.2質量部を超える場合、乳化剤が過多であるために、口溶けの良いなめらかな食感を付与することが困難となる傾向がある。乳化剤は、上記食品用組成物に含まれる必須4成分100質量部に対し6.7質量部以上20質量部以下の含有量となることが好ましい。
さらに乳化剤は、上記食品用組成物を含む食品中に0.1〜0.4質量%含まれることが好ましく、上記食品中に0.2〜0.3質量%含まれることがさらに好ましい。この場合、上記食品に対してホイップした際の起泡力を大幅に向上させることができ、もって口溶けの良いなめらかな食感をより十分に付与することができる。上記食品に対してより十分な冷凍耐性を付与することもできる。
<その他の成分>
本実施形態に係る食品用組成物は、上述した必須4成分に加え、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で他の成分を含むことができる。他の成分としては、pH調整剤、香料、着色料、甘味料、保存料、増粘剤、酸味料、調味料、栄養強化剤などを挙げることができる。たとえば上記食品用組成物は、上述した必須4成分に加え、必要に応じてpH調整剤としてのクエン酸、増粘剤としてのLMペクチン、メタリン酸ナトリウムおよびネイティブジェランガムなどを適量添加することができる。
〔食品〕
本実施形態に係る食品は、上記食品用組成物を含む。上記食品は、上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤が合計で1質量%以上5質量%以下含まれる。上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記ペクチンおよび上記乳化剤は、上記食品中に合計で1.2質量%以上3.3質量%以下含まれることが好ましい。上記食品は、上記食品用組成物を含むことにより、口溶けの良いなめらかな食感を備えることができ、かつ冷凍耐性を備えることもできる。特に上記食品は、上記食品用組成物を含むことにより、上記食品が有する起泡性などの性状、および酸性、アルカリ性などの性質にかかわらず上述した口溶けの良いなめらかな食感および冷凍耐性を備えることが可能となる。
したがって上記食品用組成物は、口溶けの良いなめらかな食感および冷凍耐性が要請される様々な食品に適用することができる。たとえば本実施形態に係る食品としては、デザート、フィリング、ソース、ジャムまたは菓子などを挙げることができる。さらに上記食品としては、好ましくはデザート類として果汁を含む酸性プリン、卵、牛乳などを含む中性プリン、起泡性を有するムースなどが提供される。さらに上記食品は、プリンおよびムースのほか、ゼリー、ヨーグルト、杏仁豆腐、水ようかん、わらび餅などとして提供される場合がある。
上記ムースとしては、たとえばババロア、パンナコッタ、ブランマンジェ、ティラミスなどの食品形態を例示することができる。これらの食品形態には各種のフレーバー(香料、着色料など)を添加することが可能である。さらに上記プリンとしては、たとえばミルクプリン、バニラプリン、カスタードプリン、コーヒープリン、チョコレートプリン、ココアプリン、キャラメルプリン、抹茶プリン、ほうじ茶プリン、サツマイモプリン、紫芋プリン、カボチャプリン、マロンプリン、ココナッツミルクプリン、杏仁豆腐プリン、ミルクティープリン、メープルプリン、蜂蜜プリン、桜プリン、豆乳プリン、黒ごまプリン、黒蜜プリン、きなこプリン、エダマメプリン、バナナプリン、マンゴープリン、レモンプリン、オレンジプリン、マスカットプリン、ヨーグルトプリン、チーズプリン、イチゴプリンなどの食品形態を例示することができる。なお本実施形態に係る食品は、上述した例示に限定されるものではない。
〔物性評価〕
本実施形態に係る食品用組成物は、上述のように多種の食品(たとえばデザート類)に対して単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。上記食品用組成物が口溶けの良いなめらかな食感を付与できるか否かについては、上記食品用組成物を含む食品が口溶けの良いなめらかな食感を有するか否かを、以下に説明する第1官能評価試験で確認することによって判別することができる。さらに上記食品用組成物が冷凍耐性を付与できるか否かについては、上記食品用組成物を含む食品が冷凍耐性を有するか否かを、以下に説明する第2官能評価試験および性状評価試験で確認することによって判別することができる。
まず上記食品用組成物が、口溶けの良いなめらかな食感を付与できるか否かについては、上記食品用組成物を含む食品に対し、少なくとも9名のパネラーによる第1官能評価試験を実行することにより判別することができる。具体的には、第1官能評価試験では上記食品の「冷凍前の食感」について、上記パネラーに食品が口の中で容易に溶け、かつ口の中でべたつかないことにより、口溶けの良いなめらかな食感と称することに違和感を有するか否かを尋ねる。その結果、過半数以上のパネラーから違和感がない旨の回答を得た場合、食品用組成物が口溶けの良いなめらかな食感を付与できると評価することができる。
さらに上記食品用組成物が冷凍耐性を付与できるか否かについては、上記食品用組成物を含む食品に対し、「解凍後の食感」について少なくとも9名のパネラーによる第2官能評価試験を実行し、かつ「解凍後の性状」について少なくとも9名のパネラーによる性状評価試験を実行することにより判別することができる。具体的には、第2官能評価試験では上記食品の「解凍後の食感」について、上記パネラーに、鬆がはいったようなボロボロ感、水っぽさおよびざらつきがなく、かつ口溶けの良いなめらかな食感が維持されていると称することに違和感を有するか否かを尋ねる。その結果、3名以上のパネラーから違和感がない旨の回答を得た場合、食品用組成物が「解凍後の食感」において冷凍耐性を有すると評価することができる。さらに性状評価試験では、上記食品の「解凍後の性状」について、上記パネラーに離水の発生、皺の発生および乳化の破壊などの性状変化が現れているかを観察させる。その結果、過半数以上のパネラーから性状変化が現れていない旨の回答を得た場合、食品用組成物が「解凍後の性状」において冷凍耐性を有すると評価することができる。そして上記食品用組成物を含む食品に対し、「解凍後の食感」および「解凍後の性状」の両方において冷凍耐性を有すると評価された場合に限り、上記食品用組成物は冷凍耐性を付与できると評価することができる。
ここで本明細書において「冷凍」とは、食品用組成物を含む食品をマイナス18℃以下の温度雰囲気に静置することにより内部まで、その水分を完全に固体化させた状態をいう。さらに「解凍」とは、冷凍をした上記食品用組成物を含む食品を冷蔵(5℃)に戻し、12時間以上静置することにより内部の水分を完全に液体化させた状態をいう。
上記食品用組成物におけるゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤の含有量は、常法に従うことにより求めることができる。さらに上記食品用組成物を含む食品におけるゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤の含有量についても常法に従うことにより求めることができる。
[食品用組成物の製造方法]
本実施形態に係る食品用組成物は、原料となるゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤の必須4成分と、必要に応じてその他の成分とを準備した後、これらの成分を上記必須4成分がそれぞれ所定の含有量となるように考慮した上で、従来公知の混合方法により混合することにより製造することができる。
[食品の製造方法]
本実施形態に係る食品は、上記食品用組成物を従来のゲル化剤および安定化剤と同様に扱うことにより上記食品を製造することができる。すなわち上記食品用組成物を食品の原料とともに添加し、その後、常法に従うことにより上記食品を製造することができる。
[作用]
本実施形態に係る食品用組成物は、必須4成分としてゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤を含み、かつ上記必須4成分の合計量を100質量部とした場合に、上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有する。さらに上記食品用組成物における上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、合計で食品中に1質量%以上5質量%以下含まれる。これにより、上記食品用組成物を含む食品が起泡性などの性状を有するか否か、および酸性、アルカリ性などの性質を有するか否かにかかわらず、単独で上記食品に対し口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。すなわち本発明により、多種の食品(典型的には多種のデザート類)に対して単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる食品用組成物を提供することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例1〜実施例4における各試料に関し、総合評価が「AB」である試料の食品用組成物は、本発明の効果が顕著に得られることを意味し、総合評価が「BB」である試料の食品用組成物は、本発明の効果が十分に得られることを意味し、総合評価が「BC」である試料の食品用組成物は、本発明の効果が得られることを意味する。総合評価が「CC」である試料の食品用組成物は、本発明の効果が十分には得られないことを意味する。
〔実施例1:中性プリン(ミルクプリン)〕
<試料1〜試料16>
(食品用組成物の調製)
必須4成分として酸処理ゼラチン(商品名:「APH−250微粉」、新田ゼラチン株式会社製)、アルカリ処理ゼラチン(商品名:「ゼラチンSRC」、新田ゼラチン株式会社製)、ヒドロキシプロピル澱粉およびヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(いずれも市販品)を等量含む加工澱粉、HMペクチン(市販品)ならびにプロピレングリコール脂肪酸エステルおよびグリセリン脂肪酸エステルの両者を乳化剤の有効成分として合計で33質量%含む製剤(商品名:「エマアップKM−100」、理研ビタミン株式会社製)を準備した。さらに必要に応じて添加するその他の成分としてLMペクチン(市販品)、メタリン酸ナトリウム(市販品)およびネイティブジェランガム(市販品)を準備した。
上述のように準備した各成分を表1に示した含有量(単位は、質量部)に対応する比率となるように混合することによって試料1〜試料16の食品用組成物を調製した。
ここで試料1〜試料16の食品用組成物に含まれる上記ゼラチン(酸処理ゼラチンまたはアルカリ処理ゼラチン)、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、これらの合計量を100質量部とした場合、それぞれ上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有する(表1参照)。さらに上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、後述する食品(中性プリン)中に合計で1質量%以上5質量%以下含まれる(表2参照)。したがって試料1〜試料16の食品用組成物は、すべて実施例である。なお試料13〜試料16の食品用組成物は本来、その他の成分が必要に応じて含まれた状態で調製されるが、本実施例では便宜のため、後述する中性プリンの製造時に必要量を添加した。
(中性プリンの製造)
各試料において、製造しようとする中性プリンにおける含有量が表2に示した含有量(単位は、質量%)となるように上記食品用組成物、上記その他の成分および砂糖を混合することにより粉状物を得た。次に、上記粉状物に水、全脂加糖練乳および牛乳を上記中性プリンにおける含有量が表2に示した含有量となるように加え、かつこれを混合することにより上記食品用組成物が均一に分散した分散液を得た。さらに上記分散液を80℃で10分間加熱撹拌した後、これにクリームおよび水飴を上記中性プリンにおける含有量が表2に示した含有量となるように加えることにより中性プリン原液を得た。次に、中性プリン原液に対して水を加えることより全量を100質量%とした中性プリン前駆液を得た。
最後に、上記中性プリン前駆液を上面が開放された円柱状容器(底面の直径4.4cm、開放天面の直径6cm、容量90mL)に充填した後、これを冷却することにより、試料1〜試料16の中性プリンを製造した。
<試料101〜試料112>
(比較組成物の調製)
表3に示すように、上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤(必須4成分)の少なくともいずれかを含まないか、あるいは上記必須4成分の合計量を100質量部とした場合、上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有すること、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有すること、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有すること、および上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有することのいずれかの条件を満たさないこと以外、上述した試料1〜試料16の食品用組成物と同じ調製方法により、試料101〜試料112の比較組成物を調製した。したがって試料101〜試料112の比較組成物は、すべて比較例である。
(中性プリンの製造)
上述した試料1〜試料16の中性プリンと同じ製造方法を用い、かつ各試料において製造しようとする中性プリンにおける含有量を表4に示した含有量とすることにより、試料101〜試料112の中性プリンを製造した。
<物性評価>
上述した第1官能評価試験に沿って、試料1〜試料16の中性プリンおよび試料101〜試料112の中性プリンが口溶けの良いなめらかな食感を有するか否かを評価した。上述した第2官能評価試験および性状評価試験に沿って、試料1〜試料16の中性プリンおよび試料101〜試料112の中性プリンが冷凍耐性を有するか否かを評価した。
さらに本実施例では、試料1〜試料16の中性プリンおよび試料101〜試料112の中性プリンに対し、「冷凍前の保形性」について9名のパネラーによる第2性状評価試験を実行した。この第2性状評価試験では、上記中性プリンの「冷凍前の保形性」について、中性プリンが収容されている上記円柱状容器を90度傾けた場合に、上記中性プリンが上記円柱状容器から流出するか否かを観察させた。その結果、過半数以上のパネラーから流出しなかった旨の回答を得た場合、上記中性プリンが保形性に優れ、もって食品用組成物が保形性を付与することができると評価した。各種の物性評価に関する結果を表2および表4に示す。
表2および表4中、「冷凍前の食感」の項が第1官能評価試験の結果を示し、「解凍後の食感」の項が第2官能評価試験の結果を示し、「解凍後の性状」の項が性状評価試験の結果を示し、「冷凍前の保形性」の項が第2性状評価試験の結果を示す。さらに表2および表4中、「A」は、9名のパネラーのうち7名以上から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「B」は、9名のパネラーのうち5〜6名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「C」は、9名のパネラーのうち3〜4名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「D」は、9名のパネラーのうち2名以下から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「Y」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から肯定的な回答(流出しなかった、性状変化がないなど)を得たことを表し、「N」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から否定的な回答(流出した、性状変化したなど)を得たことを表す。表2および表4中、「−」は、表中に示す該当成分を含まないこと、または「冷凍前の保形性」もしくは「冷凍前の食感」の少なくともいずれかにおいて本発明の効果が得られないことが判明したため、表中に示す評価試験を実行しなかったことを表す。さらに、すべての試験項目において「A」または「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「AB」で表した。すべての試験項目において「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BB」で表した。すべての試験項目において「B」または「C」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BC」で表した。各試験項目の少なくとも1項目でも「D」または「N」のいずれかの結果を含む場合、当該試料の総合評価を「CC」で表した。
Figure 0006891239
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<考察>
表1〜表4によれば、試料1〜試料16の中性プリンは、試料101〜試料112の中性プリンに比べ、優れた口溶けの良いなめらかな食感を有し、かつ優れた冷凍耐性を有することが理解される。したがって、試料1〜試料16の食品用組成物は、中性の性質を有する食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。
〔実施例2:酸性プリン(クエン酸含有プリン)〕
<試料31〜試料45>
(食品用組成物の調製)
各成分を表5に示した含有量(単位は、質量%)に対応する比率となるように混合したこと以外、上述した試料1〜試料16の食品用組成物と同じ調製方法により、試料31〜試料45の食品用組成物を調製した。
ここで試料31〜試料45の食品用組成物に含まれる上記ゼラチン(酸処理ゼラチンまたはアルカリ処理ゼラチン)、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、その合計量を100質量部とした場合、それぞれ上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有する(表5参照)。さらに上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、後述する食品(酸性プリン)中に合計で1質量%以上5質量%以下含まれる(表6参照)。したがって試料31〜試料45の食品用組成物は、すべて実施例である。なお試料42〜試料45の食品用組成物は本来、その他の成分が必要に応じて含まれた状態で調製されるが、本実施例では便宜のため、後述する酸性プリンの製造時に必要量を添加した。
(酸性プリンの製造)
各試料において、80℃で10分間加熱撹拌した分散液に対し、クリームおよび水飴を酸性プリンにおける含有量が表6に示した含有量となるように加え、かつ50質量%濃度のクエン酸を添加することにより酸性プリン原液を得たこと、ならびに上記酸性プリン原液に対して水を加えることより全量を100質量%としたpH4の酸性プリン前駆液を得たこと以外、上述した試料1〜試料16の中性プリンと同じ製造方法により、試料31〜試料45の酸性プリンを製造した。
<試料301〜試料312>
(比較組成物の調製)
表7に示すように、上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤(必須4成分)の少なくともいずれかを含まないか、あるいは上記必須4成分の合計量を100質量部とした場合、上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有すること、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有すること、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有すること、および上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有することのいずれかの条件を満たさないこと以外、上述した試料31〜試料45の食品用組成物と同じ調製方法により、試料301〜試料312の比較組成物を調製した。したがって試料301〜試料312の比較組成物は、すべて比較例である。
(酸性プリンの製造)
上述した試料31〜試料45の酸性プリンと同じ製造方法を用い、かつ各試料において製造しようとする酸性プリンにおける含有量を表8に示した含有量とすることにより、試料301〜試料312の酸性プリンを製造した。
<物性評価>
上述した第1官能評価試験に沿って、試料31〜試料45の酸性プリンおよび試料301〜試料312の酸性プリンが口溶けの良いなめらかな食感を有するか否かを評価した。上述した第2官能評価試験および性状評価試験に沿って、試料31〜試料45の酸性プリンおよび試料301〜試料312の酸性プリンが冷凍耐性を有するか否かを評価した。
さらに本実施例では、試料31〜試料45の酸性プリンおよび試料301〜試料312の酸性プリンに対し、「冷凍前の保形性」について9名のパネラーによる第2性状評価試験を実行した。この第2性状評価試験では、上記酸性プリンの「冷凍前の保形性」について、酸性プリンが収容されている上記円柱状容器を90度傾けた場合に、上記酸性プリンが上記円柱状容器から流出するか否かを観察させた。その結果、過半数以上のパネラーから流出しなかった旨の回答を得た場合、上記酸性プリンが保形性に優れ、もって食品用組成物が保形性を付与することができると評価した。
加えて本実施例では、試料31〜試料45の酸性プリンおよび試料301〜試料312の酸性プリンに対し、「冷凍前の安定性」について9名のパネラーによる第3性状評価試験を実行した。この第3性状評価試験では、上記酸性プリンの「冷凍前の安定性」について、酸性プリンを目視した場合に、上記酸性プリン中にタンパク質(たとえば乳成分など)の凝集が認められるか否かを観察させた。その結果、過半数以上のパネラーからタンパク質が凝集しなかった旨の回答を得た場合、上記酸性プリンが安定性に優れ、もって食品用組成物が安定性を付与することができると評価した。各種の物性評価に関する結果を表6および表8に示す。
表6および表8中、「冷凍前の食感」の項が第1官能評価試験の結果を示し、「解凍後の食感」の項が第2官能評価試験の結果を示し、「解凍後の性状」の項が性状評価試験の結果を示す。また「冷凍前の保形性」の項が第2性状評価試験の結果を示し、「冷凍前の安定性」の項が第3性状評価試験の結果を示す。さらに表6および表8中、「A」は、9名のパネラーのうち7名以上から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「B」は、9名のパネラーのうち5〜6名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「C」は、9名のパネラーのうち3〜4名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「D」は、9名のパネラーのうち2名以下から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「Y」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から肯定的な回答(流出しなかった、性状変化しなかった、タンパク質が凝集しなかったなど)を得たことを表し、「N」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から否定的な回答(流出した、性状変化した、タンパク質が凝集したなど)を得たことを表す。表6および表8中、「−」は、表中に示す該当成分を含まないこと、または「冷凍前の保形性」、「冷凍前の安定性」、「冷凍前の食感」もしくは「解凍後の食感」の少なくともいずれかにおいて本発明の効果が得られないことが判明したため、表中に示す評価試験を実行しなかったことを表す。さらに、すべての試験項目において「A」または「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「AB」で表した。すべての試験項目において「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BB」で表した。すべての試験項目において「B」または「C」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BC」で表した。各試験項目の少なくとも1項目でも「D」または「N」のいずれかの結果を含む場合、当該試料の総合評価を「CC」で表した。
Figure 0006891239
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Figure 0006891239
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<考察>
表5〜表8によれば、試料31〜試料45の酸性プリンは、試料301〜試料312の酸性プリンに比べ、優れた口溶けの良いなめらかな食感を有し、かつ優れた冷凍耐性を有することが理解される。したがって、試料31〜試料45の食品用組成物は、酸性の性質を有する食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。
〔実施例3:中性ムース(ミルクムース)〕
<試料51〜試料63>
(食品用組成物の調製)
各成分を表9に示した含有量(単位は、質量%)に対応する比率となるように混合したこと以外、上述した試料1〜試料16の食品用組成物と同じ調製方法により、試料51〜試料63の食品用組成物を調製した。
ここで試料51〜試料63の食品用組成物に含まれる上記ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン)、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、その合計量を100質量部とした場合、それぞれ上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有する(表9参照)。さらに上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、後述する食品(中性ムース)中に合計で1質量%以上5質量%以下含まれる(表10参照)。したがって試料51〜試料63の食品用組成物は、すべて実施例である。なお試料60〜試料63の食品用組成物は本来、その他の成分が必要に応じて含まれた状態で調製されるが、本実施例では便宜のため、後述する中性ムースの製造時に必要量を添加した。
(中性ムースの製造)
各試料において、製造しようとする中性ムースにおける含有量が表10に示した含有量(単位は、質量%)となるように上記食品用組成物、上記その他の成分、砂糖、水、全脂加糖練乳、牛乳、クリームおよび水飴を混合することにより中性ムース原液を得た。この中性ムース原液に対して80℃で10分間加熱撹拌した後、水を加えることより全量を100質量%とした中性ムース前駆液を得た。
次いで、氷水上に配置したボウル内に収容した15℃の上記中性ムース前駆液に対し、電動ホイッパー(商品名:「スマートパワーハンドミキサー」、コンエアージャパン合同会社製)を用い、上記電動ホイッパーが備える5段階の速度のうち3段階目の速度で3分間ホイップすることにより、試料51〜試料63の中性ムースを製造した。この試料51〜試料63の中性ムースについては、それぞれ上記円柱状容器に充填した。
<試料501〜試料504>
(比較組成物の調製)
表11に示すように、上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤(必須4成分)の少なくともいずれかを含まないこと以外、上述した試料51〜試料63の食品用組成物と同じ調製方法により、試料501〜試料504の比較組成物を調製した。したがって試料501〜試料504の比較組成物は、すべて比較例である。
(中性ムースの製造)
上述した試料51〜試料63の中性ムースと同じ製造方法を用い、かつ各試料において製造しようとする中性ムースにおける含有量を表12に示した含有量とすることにより、試料501〜試料504の中性ムースを製造した。
<物性評価>
上述した第1官能評価試験に沿って、試料51〜試料63の中性ムースおよび試料501〜試料504の中性ムースが口溶けの良いなめらかな食感を有するか否かを評価した。さらに上述した第2官能評価試験および性状評価試験に沿って、試料51〜試料63の中性ムースおよび試料501〜試料504の中性ムースが冷凍耐性を有するか否かを評価した。
さらに本実施例では、試料51〜試料63の中性ムースおよび試料501〜試料504の中性ムースに対し、「起泡の安定性」について9名のパネラーによる第4性状評価試験を実行した。この第4性状評価試験では、各試料の中性ムースを5℃で24時間載置した後、上記中性ムースが収容されている円柱状容器を側面から目視した場合に、上記中性ムース中の起泡が気体と液体とに分離することにより生じる液相が認められるか否かを観察させた。その結果、過半数以上のパネラーから上記液相が認められなかった旨の回答を得た場合、上記中性ムースが起泡の安定性に優れ、もって食品用組成物が起泡の安定性を付与することができると評価した。各種の物性評価に関する結果を表10および表12に示す。
表10および表12中、「冷凍前の食感」の項が第1官能評価試験の結果を示し、「解凍後の食感」の項が第2官能評価試験の結果を示し、「解凍後の性状」の項が性状評価試験の結果を示し、「起泡の安定性」の項が第4性状評価試験の結果を示す。さらに表10および表12中、「A」は、9名のパネラーのうち7名以上から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「B」は、9名のパネラーのうち5〜6名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「C」は、9名のパネラーのうち3〜4名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「D」は、9名のパネラーのうち2名以下から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「Y」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から肯定的な回答(液相が認められなかった、性状変化がないなど)を得たことを表し、「N」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から否定的な回答(液相が認められた、性状変化したなど)を得たことを表す。表10および表12中、「−」は、表中に示す該当成分を含まないこと、または「起泡の安定性」もしくは「冷凍前の食感」の少なくともいずれかにおいて本発明の効果が得られないことが判明したため、表中に示す評価試験を実行しなかったことを表す。さらに、すべての試験項目において「A」または「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「AB」で表した。すべての試験項目において「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BB」で表した。すべての試験項目において「B」または「C」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BC」で表した。各試験項目の少なくとも1項目でも「D」または「N」のいずれかの結果を含む場合、当該試料の総合評価を「CC」で表した。
Figure 0006891239
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Figure 0006891239
<考察>
表9〜表12によれば、試料51〜試料63の中性ムースは、試料501〜試料504の中性ムースに比べ、優れた口溶けの良いなめらかな食感を有し、かつ優れた冷凍耐性を有することが理解される。したがって、試料51〜試料63の食品用組成物は、起泡性の性状および中性の性質を有する食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。
〔実施例4:酸性ムース(クエン酸含有ムース)〕
<試料71〜試料83>
(食品用組成物の調製)
各成分を表13に示した含有量(単位は、質量%)に対応する比率となるように混合したこと以外、上述した試料1〜試料16の食品用組成物と同じ調製方法により、試料71〜試料83の食品用組成物を調製した。
ここで試料71〜試料83の食品用組成物に含まれる上記ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン)、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、その合計量を100質量部とした場合、それぞれ上記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、上記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、上記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、上記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有する(表13参照)。さらに上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤は、後述する食品(酸性ムース)中に合計で1質量%以上5質量%以下含まれる(表14参照)。したがって試料71〜試料83の食品用組成物は、すべて実施例である。なお試料80〜試料83の食品用組成物は本来、その他の成分が必要に応じて含まれた状態で調製されるが、本実施例では便宜のため、後述する酸性ムースの製造時に必要量を添加した。
(酸性ムースの製造)
各試料において、製造しようとする酸性ムースにおける含有量が表14に示した含有量(単位は、質量%)となるように上記食品用組成物、上記その他の成分、砂糖、水、全脂加糖練乳、牛乳、クリームおよび水飴を混合することにより得た酸性ムース原液に対し、80℃で10分間加熱撹拌した後、水および50質量%濃度のクエン酸を加えることより全量を100質量%としたpH4の酸性ムース前駆液を得たこと以外、上述した試料51〜試料63の中性ムースと同じ製造方法により、試料71〜試料83の酸性ムースを製造した。
<試料701〜試料704>
(比較組成物の調製)
表15に示すように、上記ゼラチン、上記加工澱粉、上記HMペクチンおよび上記乳化剤(必須4成分)の少なくともいずれかを含まないこと以外、上述した試料71〜試料83の食品用組成物と同じ調製方法により、試料701〜試料704の比較組成物を調製した。したがって試料701〜試料704の比較組成物は、すべて比較例である。
(酸性ムースの製造)
上述した試料71〜試料83の酸性ムースと同じ製造方法を用い、かつ各試料において製造しようとする酸性ムースにおける含有量を表16に示した含有量とすることにより、試料701〜試料704の酸性ムースを製造した。
<物性評価>
上述した第1官能評価試験に沿って、試料71〜試料83の酸性ムースおよび試料701〜試料704の中性ムースが口溶けの良いなめらかな食感を有するか否かを評価した。上述した第2官能評価試験および性状評価試験に沿って、試料71〜試料83の酸性ムースおよび試料701〜試料704の酸性ムースが冷凍耐性を有するか否かを評価した。
さらに本実施例では、試料71〜試料83の酸性ムースおよび試料701〜試料704の酸性ムースに対し、「起泡の安定性」について9名のパネラーによる第4性状評価試験を実行した。この第4性状評価試験では、各試料の酸性ムースを5℃で24時間載置した後、上記中性ムースが収容されている円柱状容器を側面から目視した場合に、上記酸性ムース中の起泡が気体と液体とに分離することにより生じる液相が認められるか否かを観察させた。その結果、過半数以上のパネラーから上記液相が認められなかった旨の回答を得た場合、上記酸性ムースが起泡の安定性に優れ、もって食品用組成物が起泡の安定性を付与することができると評価した。各種の物性評価に関する結果を表14および表16に示す。
表14および表16中、「冷凍前の食感」の項が第1官能評価試験の結果を示し、「解凍後の食感」の項が第2官能評価試験の結果を示し、「解凍後の性状」の項が性状評価試験の結果を示し、「起泡の安定性」の項が第4性状評価試験の結果を示す。さらに表14および表16中、「A」は、9名のパネラーのうち7名以上から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「B」は、9名のパネラーのうち5〜6名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「C」は、9名のパネラーのうち3〜4名から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「D」は、9名のパネラーのうち2名以下から違和感がない旨の回答を得たことを表す。「Y」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から肯定的な回答(液相が認められなかった、性状変化がないなど)を得たことを表し、「N」は、9名のパネラーのうち過半数(5名以上)から否定的な回答(液相が認められた、性状変化したなど)を得たことを表す。表14および表16中、「−」は、表中に示す該当成分を含まないこと、または「起泡の安定性」もしくは「冷凍前の食感」の少なくともいずれかにおいて本発明の効果が得られないことが判明したため、表中に示す評価試験を実行しなかったことを表す。さらに、すべての試験項目において「A」または「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「AB」で表した。すべての試験項目において「B」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BB」で表した。すべての試験項目において「B」または「C」または「Y」のいずれかの結果を得られた場合、当該試料の総合評価を「BC」で表した。各試験項目の少なくとも1項目でも「D」または「N」のいずれかの結果を含む場合、当該試料の総合評価を「CC」で表した。
Figure 0006891239
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<考察>
表13〜表16によれば、試料71〜試料83の酸性ムースは、試料701〜試料704の酸性ムースに比べ、優れた口溶けの良いなめらかな食感を有し、かつ優れた冷凍耐性を有することが理解される。したがって、試料71〜試料83の食品用組成物は、起泡性の性状および酸性の性質を有する食品に対し、口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。
〔まとめ〕
実施例1〜実施例4の結果を鑑みれば、本発明に係る食品用組成物は、これを含む食品が起泡性などの性状を有するか否か、および酸性、アルカリ性などの性質を有するか否かにかかわらず、上記食品に対し口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができることが理解される。すなわち上記食品用組成物は、多種の食品(デザート類)に対して単独で口溶けの良いなめらかな食感を付与することができ、かつ冷凍耐性を付与することができる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (4)

  1. ゼラチン、加工澱粉、HMペクチンおよび乳化剤の4成分を必須成分として含む食品用組成物であって、
    前記食品用組成物に含まれる前記ゼラチン、前記加工澱粉、前記HMペクチンおよび前記乳化剤の合計量を100質量部とした場合、
    前記ゼラチンを33.4質量部以上62.5質量部以下含有し、
    前記加工澱粉を20質量部以上47.6質量部以下含有し、
    前記HMペクチンを5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、
    前記乳化剤を5.9質量部以上22.2質量部以下含有し、
    前記ゼラチン、前記加工澱粉、前記HMペクチンおよび前記乳化剤は、食品中に合計で1質量%以上5質量%以下含まれ
    前記食品は、デザート、フィリング、ソース、ジャムまたは菓子である、食品用組成物。
  2. 前記ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチンである、請求項1に記載の食品用組成物。
  3. 前記食品用組成物に含まれる前記ゼラチン、前記加工澱粉、前記HMペクチンおよび前記乳化剤の合計量を100質量部とした場合、
    前記ゼラチンを35質量部以上60質量部以下含有し、
    前記加工澱粉を20.9質量部以上43.4質量部以下含有し、
    前記HMペクチンを6.7質量部以上20質量部以下含有し、
    前記乳化剤を6.7質量部以上20質量部以下含有する、請求項1または請求項2に記載の食品用組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の食品用組成物を含み、
    前記ゼラチン、前記加工澱粉、前記HMペクチンおよび前記乳化剤が合計で、1質量%以上5質量%以下含まれる、食品であって、
    前記食品は、デザート、フィリング、ソース、ジャムまたは菓子である、食品。
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