JP4535654B2 - 水中油型乳化組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種食品に用いられる水中油型乳化組成物、詳しくは、粒径の大きい澱粉粒子を含有し、且つ熱可逆性ゲルによってゲル化している澱粉含有水中油型乳化組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
フラワーペーストやカスタードクリームに代表される従来の澱粉含有水中油型乳化組成物は、一般に加熱処理により糊化した澱粉のゾルを骨格とし、必要に応じて油脂、砂糖、乳製品、卵製品、乳化剤、香料等を含有するものである。室温下においても一定のボディ感を有するため、シュークリームやケーキ、パン類への充填用途等に広く使用されている。
【0003】
しかし、従来の澱粉含有水中油型乳化組成物は、一定のボディ感を維持する必要から、一方で食感が重く、口溶けが悪くなってしまう等の問題があり、軽くみずみずしい食感を求める点において満足のいくものではなかった。また、製造時の加熱処理や攪拌等の物理的ストレスによって澱粉の粒子が破壊された場合は、溶けだした澱粉糊によって、さらに重い食感を有する問題点があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、澱粉を含有して一定のボディ感を保持しながら、口溶けが良好で軽くみずみずしい食感を有し、しかも乳風味豊かな水中油型乳化組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、ホイップすることが可能で、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で溶かすことができ、これを水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とすることにより固まる性質を有する水中油型乳化組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、一定数の粒径の大きな澱粉粒子が存在し、さらに該澱粉粒子とゲル化した熱可逆性ゲルとが共存する構造をとることで、一定のボディ感を保持しながら、口溶けが良好な水中油型乳化組成物が得られることを知見した。
【0007】
本発明は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物の製造方法において、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、水相と油相とを予備乳化した後、澱粉および融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤を添加し、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製し、該予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌または滅菌し、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水中油型乳化組成物の製造方法について詳述する。
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法により得られる水中油型乳化組成物(以下、本発明の水中油型乳化組成物ともいう)は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子、好ましくは粒径が50μmよりも大きい澱粉粒子を含有するものである。上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有しないと、熱可逆性ゲルが口中で自然に崩壊せず、水中油型乳化組成物の口溶けが悪く、不自然な食感を有するので好ましくない。尚、上記澱粉粒子の粒径の上限は、200μm以下とする。
【0009】
また、本発明では、上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは1×105 個以上1×107 個未満、さらに好ましくは5×105 個以上5×106 個未満存在するのがよい。さらに、上記の粒径が50μmより大きい澱粉粒子が、水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは7×104 個以上7×106 個未満、さらに好ましくは3×105 個以上4×106 個未満存在するのが望ましい。
【0010】
上記澱粉粒子の粒径と数の測定は、例えば以下のような方法により測定する。まず、血球計測器であるJIS規格品の中央に多数の0.0025mm2 の区画があるスライドグラスとカバーグラスを用意する。上記スライドグラスにヨウ素水溶液にて澱粉粒子を着色した水中油型乳化組成物または水中油型乳化組成物の希釈液(試料)を縦15区画×横15区画=225区画中に1〜3個程度の澱粉粒子が顕微鏡下で認められる程度になるように入れ、その225区画内にある澱粉粒子の粒径と粒径が30μmより大きい澱粉粒子数を測定する。ちなみにスライドグラスの1区画あたりの容積はスライドグラスとカバーグラスとの間に0.1mm厚の空間ができるので、0.00025mm3 である。このような一連の測定を同一試料について50回行い、平均をとることにより、得られた値を澱粉粒子の粒径と数とする。同様の手段により50μmより大きい澱粉粒子の粒径と数を測定する。
また、上記澱粉粒子の粒径とは、澱粉粒子の形状が球体であればその直径を指すものであり、楕円体であればその長径と短径の平均を表すものとする。
【0011】
次に上記の水中油型乳化組成物で用いることができる配合材料について説明する。
澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉を用いる。上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉であればどのような澱粉でも構わないが、例えば馬鈴薯由来の澱粉や、馬鈴薯澱粉の化工澱粉、各種餡類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記の化工澱粉とは、エステル化、エーテル化、リン酸架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の化学変性処理をした澱粉や、アルファ化処理等の物理変性処理をした澱粉をいい、これらは単独又は2種以上組合わせて用いることができる。また、上記処理方法を2種以上重複して施した化工澱粉を用いても良い。上記の各種餡類としては、小豆、大豆、枝豆、いんげん豆、そら豆等の豆類等から作られたものが挙げられる。
【0012】
本発明の水中油型乳化組成物中の上記澱粉の含有量は、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0013】
本発明の水中油型乳化組成物は、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している。上記の融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン等があげられ、これらのゲル化剤の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0014】
本発明の水中油型乳化組成物では、上記ゲル化剤のうち、特にキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用するのが好ましい。キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用する場合の両者の配合比率は、重量比率で、好ましくはキサンタンガム:ローカストビーンガム=30:70〜70:30、さらに好ましくは40:60〜60:40、最も好ましくは45:55〜55:45である。
【0015】
本発明の水中油型乳化組成物中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.001〜2重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.001〜0. 7重量%である。
【0016】
本発明の水中油型乳化組成物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、乳脂、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品があげられる。上記油脂のうち、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのが好ましく、特に油脂として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを用いるのが好ましい。
【0017】
上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、生クリーム、ホイップクリーム、クリームチーズ、マスカルポーネ、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、バター、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳もしくはその加工品等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
本発明では、生クリーム、クリームチーズおよびマスカルポーネの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのが好ましい。特に生クリーム、クリームチーズ、マスカルポーネを冷凍処理したものを用いるのが好ましい。冷凍処理を施すことにより上記乳製品中の蛋白質が変性し、ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊離状態になるため、解凍後に蛋白質分子間架橋結合が生成し易い状態になり、これによって豊かな乳風味を有する水中油型乳化組成物となると考えられる。冷凍変性をさせるために、冷凍期間は7日間〜24ヶ月であることが望ましい。該冷凍期間が7日間より短いと、冷凍変性が不十分なため、その含有効果が十分に得られず、また24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり溶解、乳化が困難となる。また、冷凍温度は−10℃以下とするのが望ましい。
【0019】
また、上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、好ましくは油分が3〜85重量%、さらに好ましくは油分が3〜70重量%、最も好ましくは油分が3〜60重量%である乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのがよい。
【0020】
上記の油脂や油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品は、本発明の水中油型乳化組成物中の油分が好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%となるように用いるのがよい。
【0021】
また、本発明の水中油型乳化組成物中の水道水や天然水等の水の含有量は、好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%である。
【0022】
本発明の水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。斯かる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。本発明の水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。
【0023】
本発明の水中油型乳化組成物は、乳化剤としてはレシチン等の天然の乳化剤や、以下に示した合成乳化剤を使用することができる。合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。本発明の水中油型乳化組成物は、上記乳化剤を好ましくは0〜2重量%含有するのがよい。しかし、本発明の水中油型乳化組成物では、風味や、また消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記の合成乳化剤を用いないほうがより好ましく、さらに好ましくは乳化剤を用いないのがよい。
また、本発明の水中油型乳化組成物は、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を用いてもよいが、消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記のリン酸塩を用いないのが好ましい。
【0024】
本発明の水中油型乳化組成物には、その他の材料としてコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等の粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、無機塩および有機酸塩、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄および酵素処理卵黄等の卵製品、ゼラチン、グリシン、カカオおよびカカオ製品、コーヒーおよびコーヒー製品、果汁、ジャム、ナッツ加工品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
また上記の、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等の粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄および酵素処理卵黄等の卵製品、ゼラチンの中から選ばれた1種類または2種類以上を配合することで、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによって形成されるゲル骨格を阻害し、食感の調整をすることができる。
【0026】
上記の粒径が30μm以下の澱粉は本発明の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
上記の油脂を含有しない乳製品は本発明の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
上記の卵製品は本発明の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%含有するのがよい。
上記のゼラチンは本発明の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%含有するのがよい。
【0027】
次に本発明の水中油型乳化組成物の製造方法について説明する。
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法を実施するには、まず、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製する。尚、配合油脂の融点以上とは、本発明の水中油型乳化組成物において、例えば、植物油脂を用いた水中油型乳化物と生クリームを油脂として用いる場合は、植物油脂と生クリーム中の乳脂のうち、融点が高いほうの油脂の融点以上とする。
例えば、水中油型乳化組成物の油脂として生クリームのみを用い、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、生クリームの品質にもよるが、配合油脂の融点は、28〜33℃程度である。また、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、溶融状態にある水中油型乳化組成物の温度を下げていったときに、ゲル化が開始する温度のことを示している。
【0028】
全原料を混合攪拌する際、油脂を使用する場合は、油脂および必要により油溶性成分を含有する油相と、水および必要により乳製品、砂糖、水溶性成分を含有する水相とを混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。また、油分として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを使用し、油脂を使用しない場合は、水に、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品ならびに必要により砂糖および水溶性成分を混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。
【0029】
上記の予備乳化物を調製する際、澱粉や融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤は、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する。この場合、上記の澱粉やゲル化剤の一部を水相および/または油相に添加し、残りの澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加してもよい。上記の澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加せず、上記の澱粉やゲル化剤を水相および/または油相に添加した後、予備乳化物を製造すると、予備乳化物を均一に攪拌しにくく、均一に乳化させにくくなる。また、上記ゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する場合、上記ゲル化剤を糖類等の水によく溶ける原料と混合して、予備乳化物に添加することにより、上記ゲル化剤がダマになるのを防止することができる。
【0030】
本発明では、上記の澱粉やゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わないことが好ましい。これは均質化処理により、澱粉粒子が破壊されたり、ゲル化剤のゲル化力が低下しやすいためである。均質化が必要な場合は、上記ゲル化剤を添加する前に行うことが好ましい。均質化処理機としては、ホモゲナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等があげられる。尚、本発明では、製造の全工程を通じて均質化処理を行わないことが好ましい。
【0031】
次いで、上記予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌または滅菌する。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル融点とは、ゲル化した水中油型乳化組成物が融け始める温度を示している。例えば、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、水中油型乳化組成物のゲル融点は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。
【0032】
上記殺菌または滅菌は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができ、UHTによる加熱滅菌もしくは加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0033】
そして、上記の殺菌または滅菌後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することにより、本発明の水中油型乳化組成物が得られる。上記の容器への充填は、無菌充填をはじめとする衛生的な充填手法で行うのが好ましい。
尚、本発明の水中油型乳化組成物の製造方法において、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度と、水中油型乳化組成物のゲル融点という言葉を用いているが、一般的にこの2つの温度が異なっている水中油型乳化組成物が多いことがわかっている。
【0034】
このようにして得られる本発明の水中油型乳化組成物は、縦型ミキサーや連続ホイップマシーンにてホイップすることが可能である。本発明の水中油型乳化組成物のみをホイップした場合、オーバーランが10〜100のものを得ることができる。また、本発明の水中油型乳化組成物を生クリームやホイップクリーム等と併用した場合は、オーバーランが10〜200のものを得ることができる。このオーバーランとは、下記の式により得られた値である。
〔(A−B)/B〕×100
但し、Aは一定容積のクリームの重量であり、Bは一定容積のホイップ後のクリームの重量である。
【0035】
本発明の水中油型乳化組成物は、牛乳代替組成物やチーズ代替組成物、ヨーグルト代替組成物、クリーム代替組成物として各種食品に用いることができる。例えば、ホワイトソース、該ホワイトソースを使用したシチューやグラタン、カスタードクリームやホワイトクリーム等のクリーム類、該クリーム類を利用したシチューやカレー、グラタン、ババロア、プリン等のデザート類、フラワーペースト等のペースト類、マヨネーズ、その他ドレッシング類、ソース類、チーズ様食品、チョコレート類、パン、焼き菓子、洋菓子、和菓子に使用できる。パンで利用する際は、例えばカレーパンの具材類、練り込み材料としても利用可能である。和菓子に利用する際は、例えば手包みもしくは包餡機で作製した饅頭や餅類、或いは中華饅等の蒸し菓子にも使用できる。また、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、その他加工食品の練り込み用として、またフィリング材やトッピング材、サンド材、エンローピング材、スプレッド、飲料等として用いられる。
【0036】
本発明の水中油型乳化組成物は、該水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で溶かすことができ、これを該水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とすることにより固まるという性質を有している。そのため、例えば、空焼きしたタルト台に本発明の水中油型乳化組成物を充填し、焼成した場合、焼成する前に水中油型乳化組成物を平らに延ばしておかなくても、焼成後、水中油型乳化組成物が平らに充填されたものを得ることができる。
また、本発明の水中油型乳化組成物は、必要により、冷蔵もしくは冷凍状態で保存してもよい。
【0037】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。尚、以下の実施例1〜59のうち、実施例1〜11および20〜59が本発明の実施例であり、実施例12〜19は参考例である。
【0038】
(実施例1〜7)
下記表1に示す配合に従い、実施例1、2および5については、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、混合した。
実施例3、4、6および7については、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、混合した。
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表1に示した。評価方法は下記の通りである。
【0039】
(評価方法)
ボディ感
◎+;極めて良好なボディー感を有している
◎;十分なボディ感を有している
○;ボディ感を有している
×;ボディ感が不足している
口溶け
◎+;極めて良好な口溶けを有している
◎;良好な口溶けを有している
○;口溶けが良い
×;口溶けが悪い
乳風味
◎+;極めて豊かな乳風味を有している
◎;豊かな乳風味を有している
○;乳風味を有している
×;乳風味に乏しい
【0040】
【表1】
【0041】
上記表1に示したように、油脂として油脂を含有する乳製品のみを用いた実施例3、4、6および7の水中油型乳化組成物は、豊かな乳風味を有し、特に冷凍処理したクリームまたはクリームチーズを用いた実施例4および7の水中油型乳化組成物は、極めて豊かな乳風味を有していた。
【0042】
(比較例1)
下記表2に示す配合に従い、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉および砂糖を添加し、混合した。
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表2に示した。評価方法は実施例1と同じである。但し、この比較例ではゲル化剤を用いていないので、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度および水中油型乳化組成物のゲル融点は測定できなかった。
下記表2に示したように、比較例1の水中油型乳化組成物は、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを含有していないので、ボディ感に乏しく、また口溶けが悪く重い食感を有していた。
【0043】
【表2】
【0044】
(実施例8〜11)
下記表3に示す配合に従い、水を50℃に昇温し攪拌しながらクリームを添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、混合した。
次いで、上記予備乳化物を掻き取り式熱交換機(回転数1,200r.p.m.)を用いて135℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でピロー充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表3に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0045】
【表3】
【0046】
(実施例12〜15)
下記表4に示す配合に従い、水を50℃に昇温し攪拌しながら澱粉、砂糖、クリームチーズ、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを添加し、予備乳化物を調製した。
次いで、上記予備乳化物を掻き取り式熱交換機(回転数1,200r.p.m.)を用いて135℃まで加熱した。これを60℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)と評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表4に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0047】
【表4】
【0048】
(実施例16〜19)
下記表5に示す配合に従い、水を50℃に昇温し攪拌しながら澱粉、砂糖、クリームチーズ、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを添加し、予備乳化物を調製した。
次いで、上記予備乳化物を掻き取り式熱交換機(回転数1,200r.p.m.)を用いて135℃まで加熱した。これを60℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)と評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表5に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0049】
【表5】
【0050】
(実施例20)
下記表6に示す配合に従い、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモゲナイザーH−20型[三和機械(株)製]によって1段目150kg/cm2 、2段目10kg/cm2 にて均質化処理し、乳化物を得た。この乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、混合した。
次いで、上記乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表6に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0051】
(実施例21)
下記表6に示す配合に従い、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、混合した。この予備乳化物をホモゲナイザーH−20型[三和機械(株)製]によって1段目150kg/cm2 、2段目10kg/cm2 にて均質化処理し、乳化物を得た。
次いで、上記乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表6に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0052】
【表6】
【0053】
(実施例22〜29)
下記表7に示す配合に従い、実施例22、23および26については、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。
実施例24、25、27および28については、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉と、あらかじめキサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。
実施例29については、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加し、次いで異性化液糖を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味、冷凍耐性)を下記表7に示した。ボディ感、口溶け、乳風味の評価方法は実施例1と同じである。冷凍耐性の評価方法は以下の通りである。
(評価方法)
冷凍耐性
上記方法で作成した水中油型乳化組成物を−20℃の冷凍庫で12時間冷凍させた後、5℃で十分に解凍し、B型粘度計で粘度を測定した。
◎;冷凍解凍後に粘度低下が15%未満のもの
○;冷凍解凍後に粘度低下が15%〜40%のもの
×;冷凍解凍後に粘度低下が40%以上のもの
【0054】
【表7】
【0055】
表7に示したように、油脂として冷凍処理したクリームまたはクリームチーズを用いた実施例25、28および29の水中油型乳化組成物は、豊かな乳風味を有していた。実施例22〜28の水中油型乳化組成物は冷凍解凍後の粘度低下が見られるが、実施例29の水中油型乳化組成物は冷凍解凍後の粘度低下がほとんど見られなかった。
【0056】
(実施例30〜33)
下記表8に示す配合に従い、水を50℃に昇温、攪拌しながらクリームを添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉にあらかじめキサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。
次いで、上記予備乳化物を掻き取り式熱交換機(回転数1,200r.p.m.)を用いて135℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でピロー充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表8に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0057】
【表8】
【0058】
(実施例34〜37)
下記表9に示す配合に従い、水を50℃に昇温、攪拌しながらクリームチーズを添加後、澱粉、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、予備乳化物を調製した。
次いで、上記予備乳化物を掻き取り式熱交換機(回転数1,200r.p.m.)を用いて135℃まで加熱した。これを60℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)と評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表9に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0059】
【表9】
【0060】
(実施例38〜41)
下記表10に示す配合に従い、水を50℃に昇温、攪拌しながらクリームチーズを添加後、澱粉、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、予備乳化物を調製した。
次いで、上記予備乳化物を掻き取り式熱交換機(回転数1,200r.p.m.)を用いて135℃まで加熱した。これを60℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)と評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表10に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0061】
【表10】
【0062】
(実施例42)
下記表11に示す配合に従い、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモゲナイザーH−20型[三和機械(株)製]によって1段目150kg/cm2 、2段目10kg/cm2 にて均質化処理し、乳化物を得た。この乳化物に、澱粉、あらかじめキサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。
次いで、上記乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表11に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0063】
(実施例43)
下記表11に示す配合に従い、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉にあらかじめキサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。この予備乳化物をホモゲナイザーH−20型[三和機械(株)製]によって1段目150kg/cm2 、2段目10kg/cm2 にて均質化処理し乳化物を得た。
次いで、上記乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表11に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0064】
【表11】
【0065】
(実施例44〜51)
下記表12に示す配合に従い、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームチーズを添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモゲナイザーH−20型[三和機械(株)製]によって1段目150kg/cm2 、2段目10kg/cm2 にて均質化処理を行い、乳化物を得た。
次いで実施例44ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例45ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、コーンスターチ、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例46ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、ゼラチン、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例47ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、グリシン、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例48ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、次いで卵黄を混合した。実施例49ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、脱脂粉乳、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを混合した。実施例50ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、コーンスターチ、ゼラチン、グリシン、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、次いで卵黄を混合した。実施例51ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ砂糖、コーンスターチ、ゼラチン、グリシン、脱脂粉乳、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、次いで卵黄を混合した。
次いで、上記乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表12に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0066】
【表12】
【0067】
(実施例52〜59)
下記表13に示す配合に従い、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームチーズを添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモゲナイザーH−20型[三和機械(株)製]によって1段目150kg/cm2 、2段目10kg/cm2 にて均質化処理を行い、乳化物を得た。
次いで実施例52ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめキサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例53ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめコーンスターチ、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例54ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめゼラチン、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例55ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめグリシン、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例56ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめキサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、次いで卵黄を混合した。実施例57ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめ脱脂粉乳、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例58ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめコーンスターチ、ゼラチン、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加した。実施例59ではこの乳化物に、澱粉と、あらかじめコーンスターチ、ゼラチン、グリシン、脱脂粉乳、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し、次いで卵黄を混合した。
次いで上記乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物の組成(粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数および粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数)、配合油脂の融点、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度、水中油型乳化組成物のゲル融点、および評価(ボディ感、口溶け、乳風味)を下記表13に示した。評価方法は実施例1と同じである。
【0068】
【表13】
【0069】
【発明の効果】
本発明の水中油型乳化組成物は、澱粉を含有して一定のボディ感を保持しながら、口溶けが良好で軽くみずみずしい食感を有し、しかも乳風味豊かな水中油型乳化組成物である。また、ホイップすることが可能で、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で溶かすことができ、これを水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とすることにより固まる性質を有している。
Claims (5)
- 粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物の製造方法において、
配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、水相と油相とを予備乳化した後、澱粉および融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤を添加し、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製し、
該予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌または滅菌し、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。 - 上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、水中油型乳化組成物1ml中に、1×10 5 個以上1×10 7 個未満存在する請求項1記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、馬鈴薯澱粉である請求項1または2記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 澱粉および/または融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わない請求項1〜3のいずれかに記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 全工程を通じて、均質化処理を行わない請求項1〜4のいずれかに記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
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