JP4064328B2 - レアチーズケーキ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工業的に製造されるレアチーズケーキで、UHT(超高温加熱処理)殺菌が可能なレアチーズケーキ及びその製造方法に関する。
チーズケーキには、大別して、ベイクドチーズケーキとレアチーズケーキがあり、レアチーズケーキは、一般に、クリームチーズを溶解し、ゼラチン、及び必要に応じて砂糖等の呈味成分を混合して、冷蔵庫で冷却することにより製造されている(非特許文献1参照)。
レアチーズケーキを工業的に製造する場合には、上記の方法に加えて、
・冷却ゲル化する素材をゼラチンに限定せず、広範囲のハイドロコロイドの中から、所望する組織と食感に応じて選択する、
・使用するチーズをクリームチーズに限定せず、広範囲のチーズの中から所望する風味に応じて選択する、
・チーズを溶解するに当って、プロセスチーズの製法で使われる溶融塩を添加する方法(非特許文献2参照。)を応用する、
・チーズ溶解には、溶解、混合、殺菌を兼ねて、チーズクッカーを使用する、
等の製造方法が採られている。
しかし、これらの製造方法においては、耐熱性菌を殺菌することが困難である。即ち、例えばチーズクッカーを用いた場合の殺菌方法としては、例えば、プロセスチーズの溶融と殺菌に用いられる条件で、90〜100℃で1〜10分保持する条件が用いられるが、この殺菌方法では、黴、酵母、大腸菌や乳酸菌等の非芽胞形成菌は死滅するものの、耐熱性菌を死滅させることが困難であり、耐熱性菌を殺菌できる程度に温度を上げると、チーズ等に含まれるタンパク質の変性等により凝集物が生じてしまい、滑らかな組織ができないという欠点がある。
また、細菌増殖を抑制して品質保持期限を長くする方法も考えられている。その具体的な方法としては、
(1)保存料又は日持ち向上剤を添加する、
(2)固形分を高め水分活性を下げる、
(3)密封包装し、空気と接触させない、
等の方法が採られている。
しかし、(1)の方法は、添加物の味が製品の風味への影響するという欠点がある。また、(2)の方法は、レアチーズケーキの水分量が限定され、風味・食感が限定されるという欠点がある。また、(3)の方法は、レアチーズケーキの包装が、アルミ箔包装、カップの満量充填包装等の包装に限定されており、製品形態の自由度が少ないという欠点がある。
例えば、特許文献1には、チーズ原料を低pHにして殺菌効率を上げ、比較的低い温度で殺菌し、pH緩衝能のある塩類を含むゲル化剤を添加しpHを引き上げた後、加熱殺菌する方法が開示されている。しかし、この方法は、酸で一旦pHを下げ緩衝塩でpHを引き戻すので、チーズケーキの塩味が強くなるという欠点がある。また、最後の加熱殺菌が、内容物を容器に充填した後に殺菌する静置加熱により行われるため、内容物を容器に充填する前に連続的に殺菌することができず、生産効率がよくない。
また、特許文献2には、チーズに加工澱粉を配合して、流動性と曳糸性をコントロールしたポーションタイプのチーズケーキが開示されているが、加工澱粉を配合するため、風味があまりよくないという欠点がある。また、この方法は、ポーションタイプの充填機に適した物性にコントロールする方法であり、製品形態の自由度が少ない。
また、特許文献3には、水分活性をコントロールすることにより、保存寿命を長くしたチーズケーキが開示されている。しかし、この方法は、水分活性を低くすることにより食感または風味が限定され、水分量が40%以上の洋生菓子(食品衛生小六法、p1736,食品衛生研究会編,新日本法規出版,2002)を作るのは困難である。
また、特許文献1〜3等に記載される殺菌方法では数十分間の殺菌時間が必要である。そのため、殺菌に時間がかかり、また、原料混合物を連続的に殺菌することは難しかった。
チーズの知識と応用、p112,東畑朝子他、グラフ社、1996年 新設チーズ科学、p120,中澤勇二・細野明義、食品資材研究会、1989年 特開2002−176912号公報 特開2000−245342号公報 特開2000−262219号公報
上記のような問題に対し、殺菌・冷却工程に、短時間で殺菌でき、加熱の途中又は冷却の途中で均質化できる均質機を内蔵したUHT殺菌機を用いることが考えられる。
UHT殺菌機では、UHT(超高温加熱処理)法(120〜150℃で1秒以上5秒以内)による殺菌が行われるため、殺菌効果が高く、主に、牛乳、ジュース等の液状食品の殺菌に使用されている。
しかし、UHT殺菌機を用いた場合、殺菌温度が高いために、チーズに含まれるタンパク質が熱変性する等によって凝集物が生じてしまい、レアチーズケーキが粉っぽい組織になる等の食感上の問題が生じてしまう。また、UHT殺菌機の加熱部に凝集物が付着し、UHT殺菌機を長時間運転することが困難になる。そのため、これまで、UHT殺菌機を用いて食感の良好なレアチーズケーキを製造することは困難であった。
したがって、本発明の課題は、チーズを原料として使用したレアチーズケーキの製造においてUHT殺菌が可能であり、保存性が良好で、水分活性が限定されず、食感が良好なレアチーズケーキ及びその製造方法を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、材料として、少なくとも、チーズ、溶融塩、チーズホエー由来のタンパク質、ゲル化剤及び酸味料を含有するレアチーズケーキの製造には、複数の工程を特定の手順で行うことが好適であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決する本発明の第の発明は、少なくともチーズ、溶融塩、チーズホエー由来タンパク質、ゲル化剤及び酸味料を含有するレアチーズケーキの製造方法であって、
以下の工程(a)〜(g):
(a)チーズと溶融塩と水とを混合し、加熱溶解する工程、
(b)前記チーズホエー由来タンパク質の含有量が、前記チーズに由来するタンパク質1gに対して、0.1〜0.4gとなる量で、前記工程(a)で得られた溶解物とチーズホエー由来タンパク質とゲル化剤とを混合する工程、
(c)前記工程(b)で得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5の範囲内に調整する工程、
(d)前記工程(c)で得られた原料混合物を間接加熱式のUHT殺菌機で殺菌する工程、および
(e)前記工程(d)で殺菌された前記原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる工程、
を有することを特徴とするレアチーズケーキの製造方法である。
また、本発明の第2の発明は、前記第1の発明のレアチーズケーキの製造方法により製造されるレアチーズケーキである。
本発明により、チーズを原料として使用したレアチーズケーキの製造においてUHT殺菌が可能であり、保存性が良好で、水分活性が限定されず、食感が良好なレアチーズケーキが提供される。
また、本発明のレアチーズケーキの製造方法により、前記本発明のレアチーズが好適に製造される。
さらに、本発明においては、レアチーズケーキの原料混合物を、滅菌レベルで殺菌することが可能であるため、仕込みから充填までの工程を連動して行う必要が無い。そのため、生産計画の自由度を増すことができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。なお、本明細書において、百分率及び濃度の表示は特に断りのない限り質量による値である。
レアチーズケーキの製造方法及びレアチーズケーキ>
本発明のレアチーズケーキの製造方法は、少なくともチーズ、溶融塩、チーズホエー由来タンパク質、ゲル化剤及び酸味料を含有するレアチーズケーキの製造方法であって、
以下の工程(a)〜(g):
(a)チーズと溶融塩と水とを混合し、加熱溶解する工程、
(b)前記チーズホエー由来タンパク質の含有量が、前記チーズに由来するタンパク質1gに対して、0.1〜0.4gとなる量で、前記工程(a)で得られた溶解物とチーズホエー由来タンパク質とゲル化剤とを混合する工程、
(c)前記工程(b)で得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5の範囲内に調整する工程、
(d)前記工程(c)で得られた原料混合物を間接加熱式のUHT殺菌機で殺菌する工程、および
(e)前記工程(d)で殺菌された前記原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる工程、
を有することを特徴とする。
本発明のレアチーズケーキは、前記レアチーズケーキの製造方法により製造されるものである
チーズとしては、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズのいずれでも使用可能であり、目的とする風味に応じて適宜選択すればよい。
チーズの種類としては、例えば、クリームチーズ、カッテージチーズ、モツァレラ、マスカルポーネ、フロマージュブラン、プティ・スイス、ドゥミ・セル、ブルサン、クワルク、ホエーチーズ等の非熟成タイプのチーズ;リンバーガー、ハント、ブルソ、フェタ、カマンベール、ブリー、ヌシャーテル、トーマヴァルグヴィア、カプリーノスタジョナート等の熟成タイプのチーズ等を挙げることができる。これらのチーズは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
チーズの配合量は、レアチーズケーキにチーズの風味を付与し得る範囲であればよいが、レアチーズケーキの総質量に対し、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。チーズの含有量が5質量%未満の場合、チーズの風味が不足し、コクがないものとなるおそれがある。またチーズの含有量が60質量%を超えると、チーズの風味が過剰となり、レアチーズケーキとしてはくどい味となるおそれがある。
溶融塩は、従来、プロセスチーズの製造において原料チーズを溶解させる際に乳化剤としてチーズに添加されており、乳化作用のほかに、Ca封鎖作用やpH緩衝作用、解膠水和作用などを有することが知られており、製造中や保存中のプロセスチーズのpHを一定範囲に保つ作用を有する。
本発明に使用される溶融塩としては、このようなプロセスチーズの製造等において一般的に用いられているものが使用可能である。中でも、ナトリウム塩は、カリウム塩に比べて苦味が弱く、チーズケーキのような嗜好品に適していること、及びカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、鉄塩等の他価イオンの塩に比べてチーズ中のCaの置換効果が高いことなどの理由から、好ましく用いられる。
溶融塩として、より具体的には、クエン酸三ナトリウム等のクエン酸塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のオルソリン酸ナトリウム;ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩等を挙げることができる。
特に、チーズ中のCaをNaで置換する効果が高いこと、及びチーズのpHを引き上げる効果が高いことから、タンパク質の溶融効果が高いという理由で、クエン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びポリリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
チーズに対する溶融塩の配合量は、チーズの種類とタンパク質の含有量によって異なるが、チーズを溶融できる量であれば良く、通常、チーズに対して2〜3質量%の量を使用する。溶融塩の添加量を更に増せば、チーズの溶融性は増すが、上記の溶融塩はアルカリ性であるため、原料液のpHを4.2〜4.5にするための酸の添加量も増し、結果的に塩の総量が増して塩味が強くなり、風味上好ましくなくなる。
チーズホエーは、チーズ製造の過程でカードを分離した後に残る水溶液である。チーズホエーは、原料乳の組成や製造条件等によって異なるが、一般的には6〜7%程度の固形分を含有し、そのうち最も多いのが全固形分の約70%以上を占める乳糖で、その他に、アルブミン、グロブリン等のタンパク質(チーズホエー由来タンパク質)が約13%、灰分が約10%、その他、脂肪や水溶性ビタミン等が含まれている。
本発明においては、チーズホエー由来タンパク質を含有することにより、UHT殺菌機による殺菌を行っても食感が良好である、食感を悪くせずにタンパク質を強化できる等の効果がある。
本発明において、チーズホエー由来タンパク質は、チーズホエー由来タンパク質そのもの、すなわちチーズホエーから単離されたタンパク質が配合されてもよく、また、該チーズホエー由来タンパク質を含有するもの、例えば、チーズホエー自体や、そのタンパク質濃度を高めた濃縮物、それらの乾燥物等のチーズホエー由来タンパク質含有物として配合されてもよい。
このようなチーズホエー由来タンパク質含有物としては、例えば森永乳業(株)の商品名「ホエーパウダー」(タンパク質含有率13質量%)、「WPC−34」(タンパク質含有率34質量%)、「WPC−75」(タンパク質含有率75質量%)、「WPI」(タンパク質含有率90質量%)等が市販されている。
これらのチーズホエー由来タンパク質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
レアチーズケーキ中におけるチーズホエー由来タンパク質の含有量は、レアチーズケーキに配合されるチーズに由来するタンパク質1gに対して、0.1〜0.4gであり、0.2〜0.3gであることがより好ましい。
ゲル化剤としては、食品に添加可能なものであれば特に制限はないが、好ましくは、寒天(ゲル化温度:約30〜40℃)、ジェランガム(ゲル化温度:約40〜50℃)、ローメトキシル(LM)ペクチン(ゲル化温度:約30〜40℃)、アルギン酸ナトリウム(ゲル化温度:約30〜40℃)、ゼラチン(ゲル化温度:約15〜20℃)からなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。これらのゲル化剤を配合した場合、得られるレアチーズケーキの食感が特に良好であり、好ましい。
ゲル化剤の配合量は、レアチーズケーキが常温で流動しない固形状を呈するに必要かつ十分な含有量であればよく、例えば、レアチーズケーキの総質量に対して、寒天であれば0.15〜0.6質量%程度、ジェランガムであれば0.05〜0.2質量%程度、LMペクチンであれば0.3〜1.0質量%程度、アルギン酸ナトリウムであれば0.3〜0.6質量%程度、ゼラチンであれば1.2〜3.0質量%程度とすることが好ましい。
酸味料としては、食品に添加可能なものであれば特に制限はなく、アジピン酸、イタコン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、α-ケトグルタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸が使用でき、また、食酢、果汁等の酸性食品であっても良いが、レアチーズケーキの風味に適する酸味料は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸及び果汁が望ましい。
酸味料の配合量は、特に制限はないが、レアチーズケーキのpHが4.2〜4.5、より好ましくは4.2〜4.4の範囲内となる量が好ましい。
pH調整の為の酸の添加量には、チーズの溶解の為に添加する溶融塩の種類と添加量が関与する。
本発明のレアチーズケーキは、必要に応じて他の任意成分を含んでいてもよい。
任意成分としては、食品に添加可能なものであれば特に制限はなく、例えば上記原料に含まれない乳成分原料、例えば牛乳、クリーム、練乳、発酵乳、粉乳等や;ハイメトキシル(HM)ペクチン、大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等の増粘安定剤;グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン等の乳化剤;ショ糖、トレハロース、スクラロース、ソルビトール、アスパルテーム、ステビア等の甘味料;植物性油脂、果汁、果肉、酒類、香料、香辛料(乾燥オニオン、乾燥ハーブ等)等が挙げられる。
本発明のレアチーズケーキは、本発明の製造方法により製造されるものであり、得られるレアチーズケーキの食感が特に高く、生産計画の自由度が得られる等の利点を有する。
発明のレアチーズケーキの製造方法は、上述した工程(a)〜(g)を有することを特徴とする。以下、各工程をより詳細に説明する。
・工程(a)
まず、工程(a)では、チーズと溶融塩と水とを混合し、これを加熱溶解する。
水の混合量は、特に制限はないが、チーズ:水(質量比)が好ましくは2:1〜1:4、より好ましくは1:1〜1:3の範囲内となるように混合することが好ましい。水の混合量を上記範囲内とすることにより、チーズの溶融を容易にするという効果がある。
チーズと溶融塩と水との混合には、レアチーズケーキの製造に用いられている一般的な手段、例えばミキサー、クッカー、プロペラ撹拌機等の混合手段を用いることができる。
なお、これらの原料を混合するにあたっては、原料の混合時又は混合後に、ホモジナイザー、ホモミキサー等の均質化手段を用いて均質化処理を施すことが好ましい。これによって、さらになめらかな食感を有するレアチーズケーキが得られる。
次に、上述のようにして得られた混合物を加熱溶解する。この混合物を加熱溶解するにあたって、加熱温度は、チーズが溶解し得る温度であればよく、特に制限はないが、100℃より高い温度で加熱すると、溶解途中のチーズが焦げ付くおそれがあるので、好ましくは、80℃以下であって、チーズが溶解し得る温度とすることが好ましい。チーズが溶解し得る温度は、チーズによって異なるが、例えばクリームチーズの場合は50〜70℃程度である。
・工程(b)
次に、前記工程(a)で得られた溶解物とチーズホエー由来タンパク質とゲル化剤とを混合する。
チーズホエー由来タンパク質は、前記溶解物中のチーズに由来するタンパク質1gに対して、0.1〜0.4gとなる量で混合され、0.2〜0.3g混合することがより好ましい。これにより、その後の工程の酸の添加及びUHT殺菌機による加熱殺菌によって、チーズ由来のタンパク質が凝集塊を形成するのを軽減することができる。
ゲル化剤の混合量は、製造したレアチーズケーキが常温で流動しない固形状を呈するに必要かつ十分な含有量であればよく、例えば、混合物の総質量に対して、寒天であれば0.15〜0.6質量%程度、ジェランガムであれば0.05〜0.2質量%程度、LMペクチンであれば0.3〜1.0質量%程度、アルギン酸ナトリウムであれば0.3〜0.6質量%程度、ゼラチンであれば1.2〜3.0質量%程度とすることが好ましい。
チーズホエー由来タンパク質とゲル化剤とは、それぞれ同時に前記溶解物に添加、混合してもよく、別々に添加、混合してもよい。また、チーズホエー由来タンパク質およびゲル化剤の混合物を前記溶解物に添加、混合してもよい。
チーズホエー由来タンパク質およびゲル化剤と溶解物との混合には、前記工程(a)と同様の混合手段を用いることができる。
なお、チーズホエー由来タンパク質およびゲル化剤の混合と同時、又は混合前もしくは混合後に、必要に応じて、上述したような各種任意成分を添加してもよい。
なかでも、増粘剤および/または乳化剤を、チーズホエー由来タンパク質およびゲル化剤の混合前に添加すると、得られるレアチーズケーキの食感が特に良好であり、好ましい。
好ましい増粘安定剤としては、例えば、ハイメトキシル(HM)ペクチン、大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができ、特に、HMペクチンを配合した場合は、得られるレアチーズケーキの食感が特に良好であり、好ましい。溶融物に混合する増粘安定剤の量は、溶融物の総質量に対して、好ましくは0.05〜0.4質量%、より好ましくは0.1〜0.3質量%が好ましい。混合量を上記範囲内とすることにより、溶融させたチーズ由来のタンパク質を安定化させることができること、及びUHT殺菌機で殺菌可能な粘度(200mPa・s以下程度)とすることができること等の効果がある。
好ましい乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン等を挙げることができ、特に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン有機酸エステルのうちの少なくとも一種を配合した場合は、得られるレアチーズケーキの食感が特に良好であり、好ましい。溶融物に混合する乳化剤の量は、溶融物の総質量に対して、好ましくは0.02〜0.3質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%が好ましい。混合量を上記範囲内とすることにより、チーズ由来の脂肪の浮上がないこと、不溶性固形分の凝集物を生じないこと、乳化剤の苦味を生じないこと等の効果がある。
・工程(c)
次に、前記工程(b)で得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5、より好ましくは4.2〜4.4の範囲内に調整して原料混合物を得る。
・工程(d)
次に、前記工程(c)で得られた原料混合物を間接加熱式のUHT殺菌機で殺菌する。
間接加熱式のUHT殺菌機としては、一般的に液状食品の殺菌に用いられている任意の間接加熱式のUHT殺菌機が使用可能である。
間接加熱式のUHT殺菌機は、処理対象を、加熱媒体(加圧蒸気等)を用い、隔壁を介した熱交換によって加熱するものである
間接加熱式のUHT殺菌機としては、プレート式UHT殺菌機、チューブラー式UHT殺菌機、掻き取り式UHT殺菌機などが一般的に使用されているが、本発明においては、好ましくはプレート式UHT殺菌機又はチューブラー式UHT殺菌機、より好ましくはプレート式UHT殺菌機が用いられる。これは、プレート式UHT殺菌機は、加熱媒体と原料混合物との温度差が少なく、熱交換部表面へのチーズ由来タンパク質等の焦げ付きが少なく、長時間の運転が可能となるためである。また、製品の品質への悪影響も少なく、得られるレアチーズケーキの食感も良好なものとなる。
図1に、本発明において好ましく用いられるプレート式UHT殺菌機の概略図を示す。
このプレート式UHT殺菌機において、第1加熱部3、第2加熱部5、第1冷却部7、熱交換部9、最終冷却部10は、一般的には、波形あるいは半球凹凸を有するプレートを複数重ねた構造を有しており、加熱する場合には原料混合物と加圧蒸気、冷却するときには殺菌された原料混合物と冷媒(例えば水)がそれぞれ1枚おきに薄膜状になって各プレートの間を流れるようになっている。
この殺菌機では、原料混合物は、まず、バランスタンク1から遠心ポンプ2を経て、第1加熱部3に送られ、80〜90℃に加熱され、ホールディングチューブ4で数秒間保持される。次いで、第2加熱部(最高加熱部)5で最終温度(120〜150℃、好ましくは120〜130℃)に加熱され、ホールディングチューブ6で1〜5秒間、好ましくは約2秒間保持され、殺菌される。
このとき、殺菌条件、すなわち、第2加熱部における最終温度及びホールディングチューブ6に保持される時間は、120〜130℃で2秒間保持に相当する殺菌条件であることが好ましい。なお、「120〜130℃で2秒間保持に相当する」とは、120〜130℃で2秒間保持した場合と同等の殺菌効果を発揮する殺菌条件であり、例えば、最終温度が130℃より高い場合には、保持時間は2秒未満であってもよい。
一般に、中性食品の乳製品を滅菌するためには、例えば、牛乳ではUHT殺菌機で135〜145℃で2秒の条件で行うのが通例である。これに比較して、本発明のレアチーズケーキは、酸味料が配合されて酸性、例えばpHが4.2〜4.5の範囲となっているため、耐熱性菌のD値が1/50〜1/100程度になっていると考えられる。例えば、バチルス属の芽胞菌では、D値(細菌数が1/10に減少する殺菌時間)が1/50〜1/150に減少している。これをZ値(D値を1/10にする殺菌温度上昇幅)10と仮定して温度換算すると、14〜21℃に相当する。即ち、本発明のレアチーズケーキでは、14〜21℃殺菌温度を下げても、中性食品の牛乳の殺菌条件と同等の効果が得られると推定できる。必要以上に殺菌温度を上げることは、食品の風味・食感を損ねるので、本発明のレアチーズケーキでは、120〜130℃で2秒相当の殺菌条件で殺菌するのが妥当である。
ホールディングチューブ6を通過した原料混合物は、第1冷却部7で70〜90℃程度まで冷却される。冷却された原料混合物は、無菌仕様のホモジナイザー8で均質化された後、熱交換部9を通り、さらに最終冷却部10を通ってゲル化温度よりわずかに高い温度まで冷却される。
なお、最終冷却部10の出口には、流量調整バルブ11が設けられており、系に背圧がかかるようになっている。
・工程(e)
前記工程(d)で殺菌された前記原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる。
すなわち、上述のようにして殺菌された原料混合物は、該原料混合物に配合されたゲル化剤のゲル化温度よりも高い温度状態で、無菌的に、UHT殺菌機から充填機に送られ、所定の容器に充填される。
容器の形状及び材質には特に制限はない。
容器に充填された原料混合物を冷却固化させるにあたっては、容器充填後に室温で放置してもよいし、あるいは原料混合物を冷水中、冷蔵庫内等の低温雰囲気で保持して積極的に冷却し、速やかに固化させてもよい。
以上の工程によって得られるレアチーズケーキは、チーズを原料として使用したレアチーズケーキの製造においてUHT殺菌が可能であり、保存性が良好で、水分活性が限定されず、食感が良好なものである。
また、本発明のレアチーズケーキの製造方法においては、殺菌にUHT殺菌機を用いることにより、原料混合物の殺菌を、短時間で連続的に行うことができるので、レアチーズケーキの製造効率が向上する。
次に試験例及び実施例を示して本発明を詳述する。
試験例1
(目的)
この試験は、本発明のレアチーズケーキの構成成分が、UHT殺菌機で殺菌しても粉っぽい食感にならないようなレアチーズケーキを製造するために必須であることを示す目的で実施された。
(試料の調製)
表1の配合割合と調製手順に従い夫々を混合溶解し、図1に示したのと同様の構造のプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)の最高加熱部で125℃、2秒保持の殺菌を行い、均質機(HOMOGENIZER;三丸機械工業社製)で、80℃,15MPaの条件で均質化し、冷却部で50℃に冷却して、容器に充填し、冷蔵庫で10℃冷却して試料(レアチーズケーキ)を調製した。
Figure 0004064328
(評価方法)
(1)UHT殺菌機の殺菌機適性について、各液を30分間殺菌し、殺菌開始時と殺菌終了時の第2加熱部(最高加熱部)出口圧力を調べた。これは、殺菌開始時の圧力に対する、殺菌終了時の圧力の低下の程度が大きいほど、熱により最高加熱部へ付着する付着物の量が多いと考えられるためで、殺菌開始時の圧力に対し、殺菌終了時の圧力が0.1MPa以上低下した場合には、殺菌機適性不良と判定した。一方、圧力の低下が0.1MPa未満の場合は、殺菌機適性良好と判定した。
(2)官能評価は、順位法の検定表を用いる方法(古川秀子、おいしさを測る−食品官能検査の実際−、p28,幸書房、1994年)に基づき、10人の訓練された味覚パネラーに、食感の良い順に、試料に順位をつけさせ、各試料の順位合計を求め、各試料間の順位合計差の絶対値を求め、その数値から順位法の検定表から有意水準を判定することによって行った。
(3)遠沈量、すなわち試料を下記手順で遠心分離した際に生じる沈殿量の評価を行った。
まず、試料を水で希釈して10質量%溶液とし、70℃に加温溶解し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)で2分間攪拌し、25℃に冷却して評価試料とした。この評価資料から30mlを採取し、遠心分離機(HITACHI CENTRIFUGE;日立工機社製)で、2000rpmで10分間遠心分離し、沈殿量を測定した。
(4)保存性の評価として、各試料10個を30℃のインキュベーターで5日間保持し、風味検査により、腐敗の有無を検査した。
(結果)
この試験の結果を表2〜5に示す。
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
表2より、チーズ(クリームチーズ)、溶融塩(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、チーズホエー由来タンパク質(ホエーパウダー)、ゲル化剤(寒天)及び酸味料(クエン酸)をすべて含有するテストNo.4の圧力低下が0.1MPa以下であった。
表3より、食感の良い順位は、テストNo.4>3=>2=>1であった。(>:記号の左右で統計的に有意差あり、=>:記号の左が右より上位であるが、統計的有意差は無かった。)
表4より、遠沈量が1ml未満であるのは、テストNo.4のみであった。
表5より、テストNo.1〜4まで、腐敗したものは無かった。
(考察)
これらの結果より、プレート殺菌機適性が良好であり、細菌的保存性が良く、粉っぽさが少ないのは、チーズ、溶融塩、チーズホエー由来タンパク質、ゲル化剤、酸味料が全て添加されたものであることが分かった。
なお、遠沈量と食感の官能評価が相関していたので、以後の試験では、遠沈量が1ml未満のものを食感良好と判定し、0.5ml未満のものを特に良好とすることとした。
試験例2
(目的)
この試験は、レアチーズケーキを構成する成分の添加順序を調べる目的で実施された。
(試料の調製)
表6の配合割合と添加順序に従い、試験例1と同一方法で調製された。
尚、順序を検討するに当って、構成成分を、チーズ及びチーズを溶解する成分(チーズ、メタリン酸及び水)、安定化に関与する成分(ホエーパウダー及び寒天)、酸以外の調味成分(砂糖)、pHを調整する酸成分(クエン酸)の4群に分けた。
Figure 0004064328
(評価方法)
試験1に示した評価方法の内、(1)、(3)および(4)と同一の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表7〜9に示す。
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
表7より、プレート式殺菌機の第二加熱部の圧力低下は、テストNo.11〜16の何れも0.1MPa未満であった。
表8より、遠沈量は、テストNo.11〜13は1ml未満以下であった。テストNo.14〜16は1ml以上であった。
表9より、インキュベーションテストでは、テストNo.11〜16の何れも腐敗したものは無かった。
(考察)
この試験の結果より、殺菌機適性及び細菌的保存性は原料の混合手順に影響されないが、食感については、原料の混合手順が、
・チーズと溶融塩と水を混合した後、加熱溶解し、
・チーズホエー由来のタンパク質及びゲル化剤を添加した後、
・酸味料を混合する、
という順である場合に良好であり、酸味料以外の調味成分(砂糖)はどの順序で添加しても良いことが分かった。
試験例3
(目的)
この試験は、酸味料で調整するpHの範囲を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
表10に示す配合割合と仕込み手順に従い、試験例1と同一の方法で調製した。
Figure 0004064328
(評価方法)
試験例1に示した評価方法の内、(1)、(3)および(4)と同一の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表11〜13に示す。
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
表11より、プレート式殺菌機の第二加熱部の圧力低下は、テストNo.21,22は0.1MPa以上であった。テストNo.23〜27は0.1MPa未満であった。
表12より、遠沈量は、テストNo.21,22,26,27は1ml以上であった。
テストNo.23〜25は1ml未満であった。
表13より、インキュベーションテストでは、テストNo.21〜27の何れも腐敗したものは無かった。
(考察)
この試験の結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、酸味料でpHを4.2〜4.5に調整したものであることが分かった。
試験例4
(目的)
この試験は、チーズホエー由来タンパク質の量を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
表14に示す配合割合と仕込み手順に従い、試験例1と同一の方法で調製した。
Figure 0004064328
(評価方法)
試験例1に示した評価方法の内、(1)、(3)および(4)と同一の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表15〜17に示す。
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
表15より、プレート式殺菌機の第二加熱部の圧力低下は、テストNo.31,32,37は0.1MPa以上であった。テストNo.33〜36は0.1MPa未満であった。
表16より、遠沈量は、テストNo.31,32,37は1ml以上であった。テストNo.33〜36は遠沈量が1ml未満であった。
表17より、インキュベーションテストでは、テストNo.31〜37の何れも腐敗したものは無かった。
(考察)
この試験の結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、チーズホエー由来のタンパク質の量がチーズ由来のタンパク質1gに対して0.1〜0.4gであることが分かった。
試験例5
(目的)
この試験は、チーズホエー由来タンパク質の種類を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
表18に示す配合割合と仕込み手順に従い、試験例1と同一の方法で調製した。
Figure 0004064328
(評価方法)
試験例1に示した評価方法の内、(1)、(3)および(4)と同一の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表19〜21に示す。
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
表19より、プレート式殺菌機の第二加熱部の圧力低下は、テストNo.41〜46の何れも0.1MPa未満であった。
表20より、遠沈量は、テストNo.41〜46の何れも1ml未満であった。
表21より、インキュベーションテストでは、テストNo.41〜46の何れも腐敗したものは無かった。
(考察)
この試験の結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、チーズホエー由来のタンパク質が、ホエーパウダー、WPC−34,75及びWPIの何れでもよく、また、それらの混合でもよいことが分かった。
試験例6
(目的)
この試験は、ゲル化剤の種類を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
表22に示す配合割合と仕込み手順に従い、試験例1と同一の方法で調製した。
Figure 0004064328
(評価方法)
試験例1に示した評価方法の内、(1)、(3)および(4)と同一の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表23〜25に示す。
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
表23より、プレート式殺菌機の第二加熱部の圧力低下は、テストNo.51〜58の何れも0.1MPa未満であった。
表24より、遠沈量は、テストNo.51〜55は1ml未満であった。テストNo.56〜58は1ml以上であった。
表25より、インキュベーションテストでは、テストNo.51〜58の何れも腐敗したものは無かった。
(考察)
この試験の結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好であるのは、ゲル化剤が、寒天、ジェランガム、ローメトキシルペクチン、アルギン酸ナトリウム及びゼラチンであることが分かった。
試験例7
(目的)
この試験は、殺菌機の種類と殺菌温度を検索する目的で実施された。
(試料の調製)
試験例1のテストNo.4と同一の配合及び調製手順で調製し、殺菌条件以外は試験例1と同一の方法で行った。
殺菌条件は、クッカー(UMC5;ステファン社製)、プレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)、チューブラー式UHT殺菌機(MOチューブラ式殺菌機:森永エンジニアリング社製)を用い、表26に示した条件で行った。
尚、プレート式UHT殺菌機については、殺菌条件を検索する目的で、第二加熱部の温度を110℃〜140℃まで5℃毎の7段階で実施した。
また、クッカーによるバッチ式殺菌は従来法の一例として、UHT殺菌機に対する比較例として行った。
(評価方法)
試験例1に示した評価方法の内、(1)、(3)および(4)と同一の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表26〜28に示す。
Figure 0004064328
Figure 0004064328
Figure 0004064328
表26より、殺菌機の第二加熱部の圧力低下は、テストNo.61〜65及び68は0.1MPa未満であった。テストNo.66及び67は0.1MPa以上であった。
表27より、遠沈量は、テストNo.61〜65,68及び69は1ml未満であった。テストNo.66及び67は1ml以上であった。
表28より、インキュベーションテストでは、テストNo.63〜68は腐敗したものが無かった。テストNo.61,62及び69は腐敗が認められた。
(考察)
テストNo.61〜67の結果より、UHT殺菌機の第二加熱部温度について、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、120〜130℃であることがわかる。
テストNo.68の結果より、UHT殺菌機種類の熱交換方式がチューブラ式であっても良好であることが分かる。
テストNo.61〜69の結果より、UHT殺菌機の第二加熱部温度を120〜130℃に設定すれば、従来法より良好な細菌的保存性が得られることが分かる。
実施例1
表29に示した配合割合と仕込み手順に従い原料を混合溶解し、均質機付きプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で、130℃,2秒の殺菌を行い、15MPa,80℃で均質化し、50℃に冷却し、カップ充填機(DOGAseptic:GASTI社製)で滅菌したプラスチックカップ(大日本印刷社製)に80gづつ充填し、滅菌したアルミリッド(東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃冷却して、レアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、6000L/Hのプレート式殺菌機で原料液を12トン殺菌し、2時間の連続殺菌を行ったが、第二加熱部の圧力低下は認められなかった。
この様にして製造したレアチーズケーキの2000個を30℃のインキュベーションルームに入れ、5日間増菌させた後、風味試験により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
更に、このレアチーズケーキは、粉っぽい食感が無く風味及び食感は良好であった。
Figure 0004064328
実施例2
表30に示した配合割合と仕込み手順に従い原料を混合溶解し、均質機付きチューブラ式UHT殺菌機(MOチューブラー殺菌機;森永エンジニアリング社製)で、120℃,3.5秒の殺菌を行い、10MPa,80℃で均質化し、55℃に冷却し、カップ充填機(MTY充填機:トーワテクノ社製)でプラスチックカップ(大日本印刷社製)に80gづつ充填し、アルミリッド(東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃冷却して、ストロベリーレアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、2000L/Hのチューブラ式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)で原料液を4トン殺菌し、2時間の連続殺菌を行ったが、第二加熱部の圧力低下は認められなかった。
この様にして製造したストロベリーレアチーズケーキの2000個を30℃のインキュベーターに入れ、5日間増菌試験を行った後、風味検査により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
更に、このストロベリーレアチーズケーキは、粉っぽい食感が無く風味及び食感は良好であった。
Figure 0004064328
実施例3
表31に示した配合割合と仕込み手順に従い原料を混合溶解し、均質機付きプレートUHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で、125℃、2秒の殺菌を行い、15MPa,85℃で均質化し、25℃に冷却し、タンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に2日貯蔵後、多管式熱交換機(スピフレックス;新光産業社製)で80℃に再加温し50℃に冷却して、カップ充填機(BK Cup Filler:HAMBA社製)で、滅菌したプラスチックカップ(大日本印刷社製)に80gづつ充填し、アルミリッド(東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃冷却して、カマンベール風味のレアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、8000L/Hのプレート式UHT殺菌機で原料液を4トン殺菌し、30分の連続殺菌を行ったが、第二加熱部の圧力低下は認められなかった。
この様にして製造したレアチーズケーキの2000個を30℃のインキュベーターに入れ、5日間増菌試験を行った後、風味検査により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
更に、このカマンベール風味のレアチーズケーキは、粉っぽい食感が無く風味及び食感は良好であった。
Figure 0004064328
また、実施例3では、別途、原料液を殺菌機で殺菌後、ゲル化剤のゲル化温度以下でタンクに貯蔵し、ゲル化能力を復活させるために再加温し、ゲル化温度を少し上回る温度まで再冷却して充填した。殺菌工程で滅菌レベルの殺菌がなされている為、タンクで2日間貯蔵しても、細菌増殖が認められなかった。このように、タンクでの貯蔵が可能になることにより、仕込みから殺菌までの工程と再加温から充填に至る工程を連動して行う必要がなくなる為、生産計画に自由度を増すことができる。
本発明において用いられるUHT殺菌機の一例を示す概略図である。
符号の説明
1…バランスタンク、2…遠心ポンプ、3…第1加熱部、4…ホールディングチューブ、5…第2加熱部、6…ホールディングチューブ、7…第1冷却部、8…ホモジナイザー、9…熱交換部、10…最終冷却部、11…流量調整バルブ

Claims (3)

  1. 少なくともチーズ、溶融塩、チーズホエー由来タンパク質、ゲル化剤及び酸味料を含有するレアチーズケーキの製造方法であって、
    以下の工程(a)〜(g):
    (a)チーズと溶融塩と水とを混合し、加熱溶解する工程、
    (b)前記チーズホエー由来タンパク質の含有量が、前記チーズに由来するタンパク質1gに対して、0.1〜0.4gとなる量で、前記工程(a)で得られた溶解物とチーズホエー由来タンパク質とゲル化剤とを混合する工程、
    (c)前記工程(b)で得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5の範囲内に調整する工程、
    (d)前記工程(c)で得られた原料混合物を間接加熱式のUHT殺菌機で殺菌する工程、および
    (e)前記工程(d)で殺菌された前記原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる工程、
    を有することを特徴とするレアチーズケーキの製造方法。
  2. 前記間接加熱式のUHT殺菌機が、プレート式UHT殺菌機又はチューブラー式UHT殺菌機である請求項1記載のレアチーズケーキの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のレアチーズケーキの製造方法により製造されるレアチーズケーキ。
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