JP4174987B2 - 光導波路形成用光硬化性組成物、光導波路の形成方法、および光導波路 - Google Patents

光導波路形成用光硬化性組成物、光導波路の形成方法、および光導波路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路形成用光硬化性組成物およびそれを用いた光導波路、および光導波路の形成方法に関する。より詳細には、光増感基を含有するポリシロキサンと光酸発生剤を含有する汎用光源に対する感度が高く、高精度のパターンを形成でき、光学特性が良好な光導波路を形成できる保存安定性が良好な光導波路形成用光硬化性組成物とこれを用いることを特徴とする光導波路の製造法、および光導波路に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチメディア時代を迎え、光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化および高速化の要求から、光の伝送媒体として光導波路が注目されている。このような目的で使用される光導波路は、伝送損失などの光学特性が良好なことに加え、その性能が外部環境に影響せず長期に安定していること、また、微細かつ複雑な形状の光導波路を環境汚染することなく、低エネルギー、短時間、少ない工程で歩留まりよく製造することが望まれている。
このような光導波路としては、石英系導波路が代表的であり、一般に以下の工程により製造されている。
▲1▼シリコン基板上に、火炎堆積法(FHD)やCVD法等の手法によりガラス膜よりなる下部クラッド層を形成する。
▲2▼下部クラッド層上に、これと屈折率の異なる無機質の薄膜を形成し、この薄膜を反応性イオンエッチング法(RIE)を利用してパターニングすることによりコア部分を形成する。
▲3▼更に、火炎堆積法によって上部クラッド層を形成する。
【0003】
しかしながら、このような石英系導波路の製造方法では、光学特性、耐久性は良好であるとされるが、製造には、特殊な装置が必要であるとともに、多数の複雑な工程と製造時間が長くかかり、かつ歩留まりも低いなどの問題が見られた。
光導波路の製造時間の短縮、工程数の削減、歩留まりの向上を目的に、感光性の光導波路材料を使用する技術が、開示されている。
例えば、特開平10-254140号公報においては加水分解性シランの縮合物、光酸発生剤、脱水剤からなる光硬化性組成物、特開2000-180643においてはエポキシ基含有のシラン化合物、有機オリゴマー、重合開始剤からなる感光性組成物、特開2001―288364においては加水分解性シランの縮合物、光酸発生剤、塩基性の酸拡散制御剤からなる放射線硬化性組成物が開示されている。これら技術は感光性組成物を用いることで光導波路の生産性を高め、高精度のパターン形成を可能にすることを開示しているが、工業的製造において使われる安価な高圧水銀灯やメタルハライドランプなどの360nm以上の波長の光を高照度で放出する汎用の光源に対する感光性を高めて生産性を高めたいという要求に対しては十分なものではない。すなわち、そのような汎用光源に高感度の光酸発生剤は同時に太陽光や蛍光灯などの光の暴露により光分解しやすい為取り扱いが難しく、酸拡散制御剤などのパターン精度を高める場合に添加される塩基性物質の共存下では熱的に不安定であるという問題を有する。感度、安定性、取り扱いの容易さを両立する為、光酸発生剤と増感剤との併用することが例えば、特開2001―288364の実施例において開示されている。しかしながら、光増感剤として用いられる縮合芳香族化合物はアルコール類など汎用の有機溶剤に対して溶解性が低い為、添加量を高めると組成物中に析出し、光導波路の光学特性を低下させる。また、少ない添加量では感度が低いという問題があった。すなわち、光増感剤添加による感度向上は限定されるのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情を背景としてなされたものであって、従来技術で開示される、加水分解性シラン縮合物、光酸発生剤、酸拡散制御剤、光増感剤からなる光導波路形成用光硬化性組成物の課題である、取り扱いの容易な光酸発生剤を用い、汎用の光源に対して高感度で、パターン精度、光学特性、保存安定性が良好な光導波路形成用光硬化性組成物、およびこれを用いた光導波路、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
以上述べた従来技術の課題を解決することを目的に鋭意検討した本発明に示す光導波路形成用光硬化性組成物およびこれを用いた光導波路、およびその製造方法を発明するにいたった。
【0006】
以下に、本発明の各成分、実施形態を図面を適時参照しながら具体的に説明する。
本発明の光導波路形成用光硬化性組成物は、(A)アントラセン類の化合物から水素原子を除いた1価の有機基である光増感基を有するポリシロキサン(B)光酸発生剤、および、( E )プロピレンエーテル単位、またはα - もしくはβ - ヒドロキシカルボニル構造単位を含有する有機化合物からなる溶剤、を含有することを特徴とする。
(A)成分の光増感基を含有するポリシロキサン中の光増感基とは、光酸発生剤の光分解反応を誘起する光の波長領域を拡大し、分解効率を高める機能を有する1価の有機基であり、共有結合によりポリシロキサンと結合していることを特徴とする。光増感基の構造としてはこの目的に合致する範囲で特に限定されるものではないが、波長300nm以下に光吸収極大を有する光酸発生剤を使用する場合、波長300nm以上の光に対する光分解効率は低下する為、波長300nm以上に吸収を有する有機基から選ばれる。波長300nm以上に吸収を有する有機基の構造的特徴を例示すると、縮合芳香族基である。この縮合芳香族基は例えば酸素、硫黄、窒素、リン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などのヘテロ原子を有していてもよい。光増感基の波長300nm以上での吸収率は、試料濃度をモル/リットル、セル長が1cmで測定した場合のモル吸光係数により定義することができ、好ましいモル吸光係数はモル吸光係数が100未満の場合、増感効果が小さいことから、光増感基のモル吸光係数は好ましくは1000以上、より好ましくは10000以上である。
光増感基の含有量は(A)成分100重量部に対して、0.0001〜1重量部、好ましくは、0.001〜0.1部である。
光増感基は下記に示す波長300nm以上に吸収を有する母体化合物の水素原子を除いた1価の有機基から選ぶことができる。
【0007】
波長300nm以上に吸収を有する母体化合物の具体例としては、アントラセン、シアノアントラセン、ブロムアントラセン、クロルアントラセン、2-エチル―910―ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、ビニルアントラセン、などのアントラセン類を挙げることができる。
【0008】
光増感基をポリシロキサンに化学結合する方法は特に限定されるものではないが具体例を示すと下記の1)〜4)の方法が挙げられる。
1)ヒドロキシ置換の光増感剤とポリシロキサン原料の加水分解性シラン化合物を混合後加水分解、縮合することにより製造する方法。
2)アルコキシ基もしくは水酸基を有するポリシロキサンに対してヒドロキシ置換の光増感剤を加え、加熱により製造する方法。
3)分子内に加水分解性シリル基を有する光増感剤とポリシロキサンの原料である加水分解性シラン化合物とを混合後、加水分解、共縮合する方法。
4)分子内にヒドロシラン(Si―H)結合を有するポリシロキサンに対して、ビニル基を含有する光増感剤と、ヒドロシリル化触媒を混合し、加熱により製造する方法。
【0009】
1)の製造法はヒドロキシ置換の光増感剤を加水分解性シラン化合物の加水分解、縮合時に共存させることでアルコキシ基としてケイ素原子に結合させる方法であり、2)の製造法は製造したポリシロキサン中の水酸基もしくはアルコキシ基を置換することを特徴とする製造法である。この製造法においても1)と同様に光増感基はアルコキシ基としてポリシロキサン中のケイ素原子と結合する。従って、特に2)の製造法においては、エステル交換反応触媒として有効な触媒類を添加して光増感基の反応効率を高めることが好ましい。その際の反応温度は通常、20℃〜200℃で常圧下で加温後、減圧処理で水およびアルコール類を除去することにより効率的に光増感基の置換が実施される。エステル化触媒の例としては後述する加水分解性シラン化合物の加水分解、縮合触媒と同様の触媒を用いることができるが、好ましくは、テトラブトキシジルコニム、テトラブトキシチタニウム、トリブトキシアルミニウムなどの金属アルコキシド、ジブチルスズジラウレート、ブチルスズオキサイド、などの有機金属、p-トルエンスルフォン酸ナトリウム、メタンスルフォン酸ナトリウムなどのスルフォン酸塩を挙げることができる。
【0010】
1)および2)の製造方法において用いられるヒドロキシ置換の光増感剤の具体例としては、9−ヒドロキシメチルアントラセンなどを挙げることができる。3)の製法に用いられる分子内に加水分解性シリル基を有する光増感剤の具体例としては、2−トリメトキシシリルエチルアントラセン、2−トリエトキシシリルエチルアントラセンなどを挙げることができる。これらのシラン化合物は対応するビニル化合物に対するSi―H基を有するアルコキシシラン、クロルシランとのヒドロシリル化反応により製造することができる。4)において用いられるビニル基を含有する光増感剤としては、ビニルアントラセンなどを挙げることができる。
【0011】
(A)成分の光増感基を含有するポリシロキサンは光増感基以外の構成成分として、下記構造単位(1)〜(3)のいずれか1種を含み、ケイ素原子に結合した水酸基および/もしくはアルコキシ基を含有するポリシロキサンから選ばれる。
【0012】
(1)
【化1】
Figure 0004174987
【0013】
(2)
【化2】
Figure 0004174987
【0014】
(3)
【化3】
Figure 0004174987
【0015】
構造単位(1)〜(3)式中、 R1、R2、R3は1価の有機基であり、同一または異なっていてもよく、炭素数1〜12の非加水分解性の環状、分岐状、直鎖状のアルキル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる。 R1、R2、R3上の水素原子の一部もしくは総てが重水素、フッ素、塩素置換されていてもよい。
R1、R2、R3の具体例を示すと、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ドデシル、およびこれらの重水素置換体、アリール基としてはフェニル、ビフェニル、ナフチル、およびこれらの重水素、フッ素、塩化物アラルキル基としてはトリル、キシリル、メシチル、およびこれらの重水素、フッ素、塩化物が挙げられる。好ましいアルキル基としてはメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル、トリジュテリオメチル、好ましいアリール基としては、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタジューテリオフェニル、好ましいアラルキル基としては、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニルを挙げることができる。
【0016】
(A)成分における構造単位(1)、(2)、(3)の比率は構造単位(2)を100モルとしたとき、構造単位(1)が0〜100、構造単位(3)が0〜50である範囲で選ばれる。
【0017】
ケイ素原子に結合した水酸基およびアルコキシ基は構造単位(1)〜(3)中の酸素原子末端の一部もしくは総てが水素原子もしくはアルキル基、アリール基、アラルキル基で結合した構造として(A)成分中に含まれる。水酸基の含有量は(A)成分100重量部中、0〜70重量部であり、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは、1〜10重量部である。アルコキシ基の含有量は、(A)成分100重量部中、0〜90重量部、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
【0018】
光増感基を含有するポリシロキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は、500〜50000であり、好ましくは、1000〜10000である。重量平均分子量が500未満の場合は光導波路の光学特性が低下し、50000を越えると光硬化性組成物の保存安定性が低下する為好ましくない。
【0019】
(A)成分中の構造単位(1)を構成するシラン化合物の具体例を挙げると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ(2-メタクリロキシエトキシ)シラン、テトラ(2-アクリロキシエトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアミノシラン、主たる構成成分として好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシランがある。
(A)成分中の構造単位(2)を構成するシラン化合物の具体例を挙げると、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、トリジューテリオメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリアミノシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリクロロシラン、ペンタジューテリオフェニルトリメトキシシラン、ペンタジューテリオフェニルトリアセトキシシラン、ペンタジューテリオフェニルトリクロロシラン、ペンタジューテリオフェニルトリエトキシシシラン、キシリルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルフェニルトチメトキシシラン、ビフェニルトリメトキシシラン、ビフェニルトリクロロシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N―アミノエチルプロピルトリメトキシシラン、グリシジロキシトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどがあり、主たる構成成分として好ましい具体例としては、メチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランがある。
【0020】
(A)成分中の構造単位(3)を構成するシラン化合物の具体例を挙げると、ビス(トリジューテリオメチル)ジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、などを挙げることができ、主たる構成成分として好ましい具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランを挙げることができる。
【0021】
その他、(A)成分を構成できる加水分解性シランの例を挙げると、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N―アミノエチルプロピルトリメトキシシラン、3−(N―アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4―アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N―(2−アミノエチル)―3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(m―アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m―アミノフェニルトリメトキシシラン、p―アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(2―ヒドロキシエチル)―3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、(N、N―ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、などのアミノ基がアルキレンを介してケイ素原子と結合している加水分解性シラン化合物や、
ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ビニルエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ビニルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルメチルケトキシム)メチルイソプロポキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシランなどのアミノ基が直接ケイ素原子と結合している加水分解性シラン化合物、
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、などのアクリル置換シラン、グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルシクロヘキセンオキシドなどのエポキシ官能性のシラン化合物を挙げることができる。
【0022】
(A)成分の加水分解性シラン化合物の加水分解、縮合させる為の条件は、加水分解性基がアルコキシ基である場合、加水分解によりアルコールを副生する為、特に溶剤を添加することなく実施することができる。一方、加水分解性基がハロゲン基などの場合、希釈溶剤となる副生成物を生成せず、また、触媒となる酸を副生する為、有機溶剤を予め添加して希釈した状態で加水分解、縮合反応を実施することが望ましい。その場合、多量の酸を残した状態で光導波路形成用光硬化性組成物を調製した場合、保存安定性が低下することから、例えば、塩基性物質による中和後、生成する塩を洗浄又は、イオン交換樹脂の添加などにより除去する工程を加えることにより安定な光硬化性組成物にすることが好ましい。
【0023】
以下に加水分解性基がアルコキシ基である場合のシラン化合物の加水分解、縮合工程を一例として示す。すなわち、下記1)〜4)の工程によって実施される。1)加水分解性シラン化合物を容器に収容する。
2)次いで、所定量の水および触媒を攪拌しながら滴下する。
3)ついで、所定温度で所定時間加熱攪拌する。
4)所定の溶剤を加え希釈する。
【0024】
上記1)の工程における温度は通常0℃〜50℃、乾燥雰囲気下で実施される。
上記2)の工程は加水分解性シランの加水分解を開始する工程であり、工程1)と同じ温度で乾燥雰囲気下で行われる。添加する水の量をPモル、加水分解性シラン化合物中の総加水分解性基のモル数をQとした場合、 P/Q比が小さすぎると加水分解、縮合物の収量と分子量が低下する結果、形成される光導波路の耐久性が低下する。一方、 P/Q比が大きすぎる場合、分子量が適正範囲を越えることで光硬化性組成物の保存安定性が低下する。このことから、通常、0.1<P/Q<7の範囲、好ましくは0.3<P/Q<4、より好ましくは0.3<P/Q<2の範囲で行われる。添加する水は通常イオン交換水、蒸留水を用いるが、反応を加速する目的で触媒を添加してもよい。触媒の添加量は(A)成分の加水分解性シラン100重量部に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは、0.001〜1重量部である。
【0025】
触媒の添加方法は特に規定されないが好ましくは水溶液として加える。触媒としては蟻酸、酢酸、蓚酸、乳酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、ピロメリット酸、p―トルエンスルフォン酸、メタンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、などの1価、2価、3価の有機酸、塩酸、リン酸、硝酸、フッ酸、臭素酸、塩素酸、過塩素酸、などの無機酸、周期律表でアルカリ金属、アルカリ土類の水酸化物、4級アルキルアンモニウムの水酸化物や炭酸塩、1〜3級アミン類などのアルカリ、アンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムスルフォネートなどの酸性塩、次亜塩素酸ナトリウム、塩基性塩、スズ、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、硼素などのケイ素以外の金属アルコキシドおよびそれらのキレート錯体、などで反応促進効果があるが、有機酸、無機酸、金属アルコキシド、金属アルコキシドのキレート化合物など酸性触媒が好ましく、有機酸が特に好ましい。
【0026】
上記3)の工程は加水分解性シランの加水分解、縮合を実施する工程であり、反応温度はシラン化合物、水、および加水分解により副生するアルコールの沸点以下で行われ、通常0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃、乾燥雰囲気下で行われる。反応時間は通常1時間〜12時間である。
上記4)工程においては所定の溶剤による希釈もしくは置換をおこなうが、光導波路を形成するに適切な希釈溶剤への置換をこの段階で行うことが好ましい。希釈溶剤は(A)成分100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは40〜250重量部用いられる。溶剤置換の方法は特に制限されないが、常圧下で蒸留置換する方法、減圧下で蒸留する方法などを挙げることができる。希釈溶剤は各成分を均一に溶解し、良好な光導波路を形成できる有機溶剤から選ぶことができる。
【0027】
(B)成分の光酸発生剤の種類としては、一般式(4)で表される構造を有するオニウム塩(第1群の化合物)や、一般式(5)で表される構造を有するスルホン酸誘導体(第2群の化合物)を挙げることができる。特に有効な化合物は芳香族オニウム塩である。例えば特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報などに記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報、特開昭55−125105号公報などに記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報などに記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報などに記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号公報などに記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号明細書に記載のチオビリリウム塩などが好ましい。また、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤なども挙げることができる。
【0028】
[R4 a5 b6 c 7 W]+m[MZm+n m (4)
[一般式(4)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、または−N≡Nであり、 R4、R5、R6、R7は同一または異なる有機基であり、a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はW+mの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは例えば、F、Cl、Brなどのハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である]
【0029】
S―[S(=O)2―R8t (5)
[一般式(5)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R8は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0または1、添え字tは1又は2である]
【0030】
まず、第1群の化合物であるオニウム塩は光を受けることにより酸性活性物質を放出することができる化合物である。
ここで一般式(4)における[MZm+n]の具体例として、テトラフルオロボレート(BF4 )、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6 )、ヘキサフルオロアンチモネート(Sb6 )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 )、このようなオニウム塩のうち、(B)成分としヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 )、テトラフェニルボレート(BPh4 )、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート[B(CF −Ph)4 ]、ペンタキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(B(C F 4 )などが挙げられる。
また、一般式(4)に使用するアニオン[MZm+n]のかわりに、一般式(MZnOH)で表されるアニオンを使用することもできる。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 )、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 )、フルオロスルフォン酸(FSO3 )、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸イオン、などの他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
次に第2群の化合物について説明する。
一般式(5)で表されるスルフォン酸誘導体の例を示すと、ジスルフォン酸類、ジスルフォニルジアゾメタン類、ジスルフォニルメタン類、スルフォニルベンゾイルメタン類、イミドスルフォネート類、ベンゾインスルフォネート類、1−オキシー2―ヒドロキシ3−プロピルアルコール、のスルフォネート類、ピロガロールトリスルフォネート類、ベンジルスルフォネート類を挙げることができる。
また、一般式(5)で表されるスルフォン酸誘導体の中で、より好ましくはイミドスルフォネート類であり、さらに好ましくはトリフルオロメタンスルフォネート誘導体である。
【0031】
光酸発生剤として好適に使用できる化合物の市販品としては、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012、KI85(以上、サートマー社製)、DS―100、 DS―101、 DAM―101、 DAM―102、 DAM―105、 DAM―201、DSM―301、DTS−103、NAI−100、 NAI−101、 NAI−105、 NAI−106、PAI―101、SI―100、 SI―101、 SI―105、 SI―106、PI―105、NDI―105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ―101、 MBZ―301、PYR―100、PYR―200、DNB―101、NB―101、NB―201、NDS−103、NAT―103、NAT―105、NDS―103、 NDS―105、 NDS―155、 NDS―165、CMS―105、TPS−102、TPS−103、TPS−105、MDS−103、MDS−105、MDS−205、MDS−305、DTS−103、MPI−103、BBI―101、BBI―102、BBI−103、BBI―105、 BBI―106、 BBI―109、 BBI―201、DPI―105、 DPI―109、 DPI―201、MPI―103、 MPI―105、 MPI―106、 MPI―109(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(以上三和ケミカル(株)製)などを挙げることができる。
これらのうち、さらに好ましい光酸発生剤としては、波長200nm以上の吸収極大が360nm以下にある第1群の化合物であるオニウム塩の光酸発生剤をあげることができる。
光酸発生剤の添加量は(A)成分100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは、0.1〜5重量部、より好ましくは、0.1〜1部である。0.01部重量部未満では光硬化性が不十分となり、10重量部を越えると光導波路としての光学特性が低下する。
【0032】
本発明の光導波路形成用光硬化性組成物においては、前述(A)成分および(B)以外に下記の成分(C)〜(I)を配合することができる。以下、これらについて説明する。
(C)酸拡散制御剤
(C)成分の酸拡散制御剤は光照射により光酸発生剤から生じた酸性活性物質の被膜中における拡散を制御し、非照射領域での硬化反応を抑制する作用を有する化合物と定義される。ただし、定義上、光酸発生剤と区別するため、(C)成分の酸拡散制御剤は酸発生機能を有しない化合物である。
このような酸拡散制御剤を添加することにより、光硬化性組成物を効果的に硬化して、パターン精度を向上せしめることができる。
【0033】
(1)種類
(C)成分の酸拡散制御剤としては、形成工程中の露光や加熱処理によって塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)が挙げられる。
NR91011 (6)
[一般式(6)中、R9、R10およびR11は相互に独立であって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表している。]
【0034】
また、別の含窒素有機化合物としては、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)や、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、あるいは、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
ここで、含窒素化合物(I)としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類; トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等を挙げることができる。
【0035】
また、含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0036】
また、含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
また、アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
また、ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0037】
また、含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;
ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(I)、含窒素複素環化合物等が好ましい。また、含窒素化合物(I)の中では、トリアルキルアミン類が特に好ましく、含窒素複素環化合物の中では、ピリジン類が特に好ましい。
なお、酸拡散制御剤は、一種単独で使用することもできるし、あるいは二種以上を混合して使用することも好ましい。
【0038】
(5)添加量
また、酸拡散制御剤の添加量を、(A)成分100重量部に対して、0.001〜15重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる酸拡散制御剤の添加量が0.001重量部未満では、プロセス条件によっては、光導波路のパターン形状や寸法再現性が低下する場合があるためであり、一方、かかる酸拡散制御剤の添加量が15重量部を超えると、(A)成分の光硬化性が低下する場合があるためである。
したがって、酸拡散制御剤の添加量を、(A)成分100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.005〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0039】
(D)表面張力低下剤
(D)成分の表面張力低下剤は本発明の光硬化性組成物のコーティングする工程における塗膜のはじき、凹凸、うねりなど、表面張力の不適合に由来するコーテイング性能を改善する目的で添加され、微量の添加で表面張力を低減する機能を有する化合物から選ばれる。
そのような表面張力低下剤は市販されている界面活性剤、レベリング材、消泡剤、脱泡剤、整泡剤および塗料添加剤の中から選ぶことができる。表面張力低下剤は基本的には極性基と疎水性基の両者を含有する化合物である。構造的にはシリコーン系、有機系、フッ素系の製品が市販されており、これらは極性基のイオン性から、それぞれアニオン系、ノニオン性、カチオン性、両性、に類別される。表面張力低下剤は以上述べた化合物の中から選択することができるが、本発明の主たる構成成分である光増感基を含有するポリシロキサンとの相溶性が高いことと微量で効果が得られることから、シリコーン系もしくはフッ素系の表面張力低下剤が好ましい。
【0040】
シリコーン系表面張力低下剤としてはポリエーテル変性シリコーン類、ポリエステルシリコーン類、アルキル変性シリコーン類、アクリルシリコーン類などから選ばれるが、より好ましくはこれらの中でノニオン系であり特にポリエーテル変性シリコーン類の表面張力低下剤が選ばれる。また、フッ素系としてはフルオロアルキルシリコーン類、フルオロアルキルカルボン酸類、フルオロアルキルアルコール類、フルオロアルキルエーテル類、フルオロアルキル4級アンモニウム塩などから選ばれる。これらの中から単独もしくは2種以上混合して配合することができる。表面張力低下剤の添加量は光導波路形成用組成物100重量部に対して、0.1〜0.0001部、好ましくは0.1〜0.001部である。また、組成物中の乾燥後の固形分100重量部に対しては、1〜0.001部、好ましくは1〜0.01部である。表面張力低下剤の添加量が0.0001未満の場合、本発明の光導波路の均質性、平滑性が低下する場合があり、一方、0.1を越えて添加する場合、光導波路の耐久性が低下する。
【0041】
表面張力低下剤の添加時期は本発明の組成物製造のどの段階でもよいがが、化学反応による消泡剤の純度低下を防ぐ為、(A)成分の光増感基を含有するポリシロキサン製造後に添加することが好ましい。また、添加方法は表面張力低下剤が組成物中均一に溶解するならば制限を受けないが、予め有機溶剤で希釈した後添加する方法が均一化までの時間を短縮できる為好ましい。
【0042】
市販されている製品を例示すると、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のシリコン系製品では、シリコーン塗料添加剤として製品化されているSH200、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH21PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST83PA、ST86PA、ST90PA、ST94PA、ST96PA、ST97PA、ST101PA、ST102PA、ST103PA、ST105PA、ST110PA、SH550、SH710、など、また、シリコーン消泡剤として製品化されているSH200、FS1265、SH203、SD5591、SH7PA、化粧品用シリコーンとして製品化されているSH3746、SH3771C、SH3772C、SH3773C、SH3775C、SH3748、SH3749、などを挙げることができる。
また、ビックケミー・ジャパン(株)製のシリコーン系表面調整剤として製品化されているBYK-300、BYK-301、BYK-335、BYK-302、BYK-331、BYK-306、BYK-330、BYK-341、BYK-344、BYK-307、BYK-332、BYK-333、BYK-310、シリコーン系レベリング剤として製品化されているBYK-077、BYK-315、BYK-320、BYK-325、BYK-322、BYK-323、など反応性シリコーン系表面調整剤として製品化されているBYK-370、BYK-371、BYK-373、BYK-375など、紫外線硬化型用表面調整剤として製品化されているBYK-UV3500、BYK-UV3510、BYK-UV3530、また、溶剤型および無溶剤型塗料用非シリコーン系消泡剤として製品化されているBYK-051、BYK-052、BYK-053、BYK-055、BYK-057、などをあげることができる。また、フッ素系塗料添加剤として製品化されている例をあげると共栄社油脂化学工業(株)製フローレンAC-300、フローレンAC-900、フローレンAO-3、フローレンAKS、フローノンSB-110N、フローノンSB-210、フローノンSB-510、フローノンSB-551、新秋田化成(株)製EF-305、EF-306A、などがあり、界面活性剤として製品化されているものには、例えば、花王(株)製エマール0、エマールAD-25R、エマールTD、エマールE-27C、エマールNC-35、レオドールMS-50、レオドールSP-L10、レオドールAO-10、レオドールTW-L120、レオドールTW-O120、レオドールスーパーTW-S120、レオドール430、ネオペレックスF-25、ネオペレックスNo25、エマノーン1112、エマノーン4110EMANO-NN3299、エマゾールL-10H、エマゾールP-120、エマゾールO-120、など、花王アトラス(株)製エマルゲン105、エマルゲン108、エマルゲン147、エマルゲン210、エマルゲン320P、エマルゲン404、エマルゲン430、エマルゲン903、エマルゲン906、エマルゲン920、エマルゲン950、エマルゲン705、エマルゲンPP-150、エマルゲンPP-230、エマルゲンPP-250、エマルゲンPP-290、アミート105、アミート308、アミート320、コータミン24P、コータミンD-86P、アンヒトール24B、アンヒトール86Bなどを挙げることができる。なお、これら界面活性剤として製品化されているもの中では特にノニオン性のものが好ましい。
【0043】
(E)有機溶剤
(E)成分のプロピレンエーテル単位、α-もしくはβ-ヒドロキシカルボニル構造単位を含有する有機溶剤は、(A)成分の光増感基を含有するポリシロキサンの製造時に希釈溶剤として好適に用いることができ、同時に本発明の光導波路形成用光硬化性組成物の溶剤成分として好ましい溶剤である。その一つは、プロピレンエーテル単位を有する有機化合物であり、さらに好ましくはプロピレンエーテル単位を構成単位とするエーテル含有アルコール類である。他の一つはα-もしくはβ-ヒドロキシカルボニル構造単位を含有する有機化合物であり、具体的にはα-ヒドロキシエステル類とβ-ヒドロキシケトン類である。これらの溶剤は変異原性がなく、(A)成分に対する良好な溶解性を有し、かつ良好な光導波路を形成できる特徴がある為に好適に用いられる。
【0044】
エーテル含有アルコール類の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどがある。
α-ヒドロキシエステル類の具体例としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸アミル、乳酸オクチルなどがある。
β-ヒドロキシケトン類の具体例としては、4−ヒドロキシー4−メチルー2−ペンタノン、4−ヒドロキシー2−ペンタノン、5−ヒドロキシー5−メチルー3−ヘプタノン、などがある。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
(F)金属アルコキシド
(F)成分として、金属アルコキシドを本発明の光導波路の屈折率を制御する目的で添加することができる。そのような金属アルコキシドを例示すると、Ge、Sn、B、Al、Ga、In、Sb、Ti、Zrであり、アルコキシ基としては炭素数1〜12の直鎖状、分枝上、環状のアルコキシ基から選ばれる。
具体例を示すと、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム、メチルトリエトキシゲルマニウム、フェニルトリメトキシゲルマニウム、テトラブトキシスズ、テトラブトキシスズ、メチルトリブトキシスズ、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリブトキシボラン、トリブトキシアルミニウム、トリス(エチルアセトアセトナト)アルミニウム、ジブトキシ(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリイソプロポキシガリウム、トリブトキシガリウム、トリイソプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム、トリイソプロポキシアンチモン、トリブトキシアンチモン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジアセチルアセトナト(ジブトキシ)チタン、テトラキス(エチルアセトアセトナト)チタニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセトナト)ジルコニウムなどを挙げることができる。
これらの金属アルコキシドの添加量は(A)成分100重量部に対して、50〜0.01部であり、(A)成分の光増感基を含有するポリシロキサンの製造後もしくは製造前に添加する。製造前に添加する場合はポリシロキサン製造時の加水分解性シラン化合物と同時に混合後、加水分解、共縮合することが好ましい。
【0046】
(G)無機微粒子
(G)成分として本発明の光導波路の強度を高めることを目的として、無機微粒子を添加することができる。無機微粒子を構成する元素としては、特に限定されないが、酸化物、窒化物が好ましく、酸化物としては例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、窒化物としては窒化ケイ素、窒化硼素などを挙げることができる。これら無機微粒子の平均粒子径は1〜100nm、好ましくは5〜50nmであり、粒子径が1nm未満の材料は安定に存在せず、一方、100nmを越えると光導波路の平滑性が低下することにより光学特性が低下する。添加量は(A)成分のアミノポリシロキサン100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部加えることができる。添加量が1重量部未満では強度向上の効果が低く、一方200重量部を越えると強度が低下する為好ましくない。
【0047】
無機微粒子は粉体又は溶剤分散のコロイド液として入手されるが、組成物中での分散性が良好な為、溶剤分散のコロイド液がより好ましい。また、光導波路における光散乱による光伝送損失を損なわない為、無機微粒子と(A)成分の光増感基を含有するポリシロキサンとの屈折率差は0.03以下、より好ましくは0.003以下にすることが好ましい。市販されている無機微粒子の製品例のうちコロイダルシリカの例を挙げると、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、スノーテックスN、メタノールシリカゾル、IPA-ST、MEK-ST、NBA-ST、DMAC-ST、などを挙げることができる。
【0048】
(H)脱水剤
(H)成分の脱水剤は、本発明の光導波路形成用光硬化性組成物の保存安定性、硬化性を高める目的で添加することができる。組成物中に多量の水分が含まれる場合、光増感基を含有するポリシロキサン中に含まれる未加水分解基は保管中に分解され、架橋によりゲル体を生じることが推定される。また、水はカチオン重合などの酸性活性物質による重合反応の連鎖移動剤となることが知られている。従って架橋密度の高い光硬化物を形成する為には光照射時の水分量は少ないことが好ましい。このような理由により、本発明の組成物の保存安定性と光硬化性を高めることを目的として脱水剤を添加することができる。
また、そのような脱水剤は光導波路形成時の乾燥条件において蒸発して除去でき、かつ、脱水性を有する有機化合物から選ばれる。そのような有機化合物の具体例を挙げると、例えば、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、などのオルトエステル類、アセトンのジメチルアセタール、アセトンのジエチルアセタールシクロヘキサンのジメチルアセタール、シクロヘキサンのジエチルアセタールなどのケトンのアセタール類を挙げることができる。これらオルトエステル類、ケトンのアセタール類は水との反応により、それぞれ揮発性の高い、エステル/アルコール、ケトン/アルコールに分解することから好ましい。脱水剤の添加量は(A)成分100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満では保存安定性、硬化性の向上効果はなく、一方100重量部を越えると効果が飽和する為経済的でない。
【0049】
(I)架橋性化合物
(I)成分として、(A)成分以外の架橋性の化合物を本発明の組成物に配合することができる。そのような架橋性化合物としては、以下のものを例示することができる。
第1の例として、(A)成分以外の酸性活性物質で重合、架橋する加水分解性シラン化合物もしくはその縮合物を例示すると、例えば、シランカップリング剤として市販されている、グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジロキシプロピルジメチルメトキシシラン、とり2−トリメトキシシリルエチルシクロヘキセンオキシド、2−トリエトキシシリルエチルシクロヘキセンオキシド、等のエポキシ置換アルコキシシラン類、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシトリメトキシシランなどのアクリル置換アルコキシシラン類、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプト置換アルコキシシラン類、アミノプロピルトリエトキシシラン、N-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ置換アルコキシシラン類、およびこれらの加水分解、縮合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を挙げることができる。
【0050】
第2の例として、分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエンなどを例示することができる。
【0051】
第3の例として、分子中に1個以上のオキセンタン基を含有するオキセタン化合物としては、例えば、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−メチルオキシ)ブタンなどのオキセタン類を挙げることができる。
【0052】
第4の例として、分子中に1個以上のビニルエーテル基を含有するビニルエーテル化合物として、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル類を挙げることができる。
【0053】
第5の例として、分子中に1個以上のエポキシ、オキセタン、ビニルエーテル基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれる一つ以上の基を含有するビニル系重合体を挙げることができる。これらの基は1分子中に0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%含有することができる。これらの官能基の共重合は、これら官能基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類を主構成成分のビニルモノマーとラジカル共重合する方法、もしくは、カルボン酸、エポキシ基、ヒドロキシ基を含有するビニル系重合体にポリマー反応により導入する方法などにより製造される。
【0054】
例えば、加水分解性シリル基含有のビニル系重合体の製造においては、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをラジカル共重合する方法に加え、カルボン酸含有ビニル系重合体とグリシジロキシプロピルトリメトキシシランを反応させる方法、ヒドキシ含有ビニル系重合体にトリメトキシシリルプロピルイソシアネートを反応させる方法、エポキシ基含有ビニル系重合体にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させる方法などにより製造される。これら架橋性基を含有したビニル系重合体のGPCによる重量平均分子量は500〜100000、好ましくは、1000〜50000、より好ましくは、3000〜10000である。
【0055】
ビニル系重合体の主構成成分となるビニルモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、などの芳香族不飽和エチレン含有化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、N―ビニルピロリドン、N―ビニルカプロラクタムなどのN―ビニルラクタム類、(メタ)アクリロイルモルフォリン、N、N―ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類などを挙げることができる。
これら、ビニル系重合体の製造はビスアゾバレロニトリルなどのジアゾ系の熱ラジカル重合開始剤、ビニルモノマー、有機溶剤の混合液を50℃〜150℃の範囲で1〜10時間加熱攪拌する公知の方法により製造される。
【0056】
成分(I)の添加方法は(A)成分〜(H)のいずれか1成分以上を含有する混合物に添加、混合する方法が用いられるが、加水分解性シリル基含有のビニル系重合体を成分(I)として配合する場合、(A)成分のアミノポリシロキサンを製造する際に原料の加水分解性シランと加水分解性シリル基含有のビニル系重合体とを混合物を混合の後、加水分解、縮合することで配合することが好ましい。
本発明においては、発明の効果を損なわない範囲で前述の(C)〜(I)成分以外の成分を配合することができる。
【0057】
本発明において光導波路を製造するにあたり、下部クラッド層、コア部分および上部クラッド層の各層を形成する工程を含むとともに、少なくとも一つの工程が、第1の実施形態で説明した(A)および(B) 成分を含有してなる光導波路形成用光硬化性組成物を塗工した後、放射線により硬化させる工程である。
【0058】
1.光導波路形成用光硬化性組成物の調製
光導波路を構成する下部クラッド層、コア部分および上部クラッド層を形成するための光導波路形成用光硬化性組成物、すなわち下層用組成物、コア用組成物および上層用組成物は、それぞれ、第1の実施形態で説明したアミノポリシロキサンや光酸発生剤等を、常法にしたがって混合撹拌することにより、調製することができる。
また、調製された下層用組成物、コア用組成物および上層用組成物としては、それぞれ、最終的に得られる各部の屈折率の関係が、光導波路に要求される条件を満足するように、互いに異なる光導波路形成用光硬化性組成物を用いることが好ましい。
【0059】
したがって、(A)成分の加水分解性シラン化合物の種類等を適宜選択することにより、異なる屈折率を有する硬化膜が得られる光導波路形成用光硬化性組成物とすることができる。そして、屈折率の差が適宜の大きさとなるような二種または三種の光導波路形成用光硬化性組成物を用い、最も高い屈折率の硬化膜を与える光導波路形成用光硬化性組成物をコア用組成物とし、他の組成物を下層用組成物および上層用組成物として用いることが好ましい。
ただし、下層用組成物と上層用組成物とは同一の光導波路形成用光硬化性組成物であってもよく、通常は同一の組成物であることが、経済的に有利であり、製造管理も容易となることからより好ましい。
また、各光導波路形成用光硬化性組成物を調製する際に、その粘度を、1〜10,000cps(25℃)の範囲内の値とすることが好ましく、5〜8,000cps(25℃)の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜5,000cps(25℃)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、各光導波路形成用光硬化性組成物の粘度がこれらの範囲外の値となると、取り扱いが困難になったり、均一な塗膜を形成することが困難となる場合があるためである。
なお、光導波路形成用光硬化性組成物の粘度は、反応性希釈剤や有機溶媒の配合量によって、適宜調整することができる。
【0060】
2.形成方法
本発明において光導波路10は、図2に示すような工程を経て形成される。すなわち、下部クラッド層13、コア部分15および上部クラッド層(図示せず。)を、いずれも、それらの層を形成するための光導波路形成用光硬化性組成物を塗工したのち、光硬化することにより形成することが好ましい。
なお、以下の形成例では、下部クラッド層、コア部分および上部クラッド層を、それぞれ硬化後において屈折率が異なる硬化物が得られる光導波路形成用光硬化性組成物である下層用組成物、コア用組成物、および上層用組成物から形成することを想定して、説明する。
【0061】
▲1▼基板の準備
まず、図2(a)に示すように、平坦な表面を有する基板12を用意する。この基板12の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、シリコン基板やガラス基板等を用いることができる。
▲2▼下部クラッド層の形成工程
用意した基板12の表面に、下部クラッド層13を形成する工程である。具体的には、図2(b)に示すように、基板12の表面に、下層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて下層用薄膜を形成する。そして、この下層用薄膜に、光を照射することにより硬化させて、下部クラッド層13を形成することができる。
コア層およびクラッド層の形成に用いる光は、特に制限されるものでは無いが、通常200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。200〜450nm での照度は1〜1000mW/cm2、照射量が0.01〜5000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1000mJ/cm2なるように照射して、露光される。
ここに、照射される光の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を用いることができるが、光源の工業的な汎用性から特に紫外線、好ましくは200〜400nm、特に好ましくは365nmの紫外線を含む波長が好ましい。そして、照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどの広い面積を同時に照射するランプ光源、パルス、連続発光のレーザー光源、および、両者のいずれかの光源から、ミラー、レンズ、光ファイバーを用いて収束光を用いることができる。収束光を用いて光導波路を形成する場合、収束光もしくは被照射体を移動させることにより光導波路の形状に露光することができる。これらの光源の中で365nmの紫外線強度の高い光源が好ましく、例えば、ランプ光源としては高圧水銀ランプ、レーザー光源としてはアルゴンレーザーが好ましい。
なお、下部クラッド層13の形成工程では、薄膜の全面に光を照射し、その全体を硬化することが好ましい。
ここで、下層用組成物を塗布方法としては、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法等の方法を用いることができる。このうち、特に均一な厚さの下層用薄膜が得られることから、スピンコート法を採用することがより好ましい。
【0062】
また、下層用組成物のレオロジー特性を塗布方法に適切に対応したものとするために、表面張力低下剤以外の添加剤を必要に応じて配合することができる。
また、下層用組成物からなる下層用薄膜は、塗布後、50〜200℃でプリベークすることが好ましい。
なお、下部クラッド層の形成工程における塗布方法や、レオロジー特性の改良等については、後述するコア部分の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においてもあてはまる内容である。
また、露光後に、塗膜全面が十分硬化するように、さらに加熱処理(以下、「ポストベーク」という。)を行うことが好ましい。この加熱条件は、光導波路形成用光硬化性組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜400℃、好ましくは50〜300℃で、例えば5分間〜72時間の加熱条件とすれば良い。
なお、下部クラッド層の形成工程における光の照射量、種類、および照射装置等については、後述するコア部分の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においてもあてはまる内容である。
【0063】
▲3▼コア部分の形成
次に、この下部クラッド層13上に、図2(c)に示すように、コア用組成物を塗布し、乾燥またはさらにプリベークさせてコア用薄膜14を形成する。
その後、図2(d)に示すように、コア用薄膜14の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスク19を介して放射線16の照射を行うことが好ましい。
これにより、光が照射された箇所のみが硬化するので、それ以外の未硬化の部分を現像除去することにより、図2(e)に示すように、下部クラッド層13上に、パターニングされた硬化膜よりなるコア部分15を形成することができる。
また、コア部分15を形成するためのコア用薄膜14に対する光16の照射は、所定のパターンを有するフォトマスク19に従って行われた後、現像液により未露光部分を現像することにより、未硬化の不要な部分が除去され、これによってコア部分15が形成される。
このように所定のパターンに従って光の照射を行う方法としては、光の透過部と非透過部とからなるフォトマスクを用いる方法に限られず、例えば、以下に示すa〜cの方法が挙げられる。
a.液晶表示装置と同様の原理を利用した、所定のパターンに従って光透過領域と不透過領域とよりなるマスク像を電気光学的に形成する手段を利用する方法。
b.多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を照射する方法。
c.レーザ光、あるいはレンズ、ミラー等の集光性光学系により得られる収束光を走査させながら光硬化性組成物に照射する方法。
【0064】
なお、露光後、露光部分の硬化を促進させるために、加熱処理(以下、「PEB」という。)を行うことが好ましい。その加熱条件は、光導波路形成用光硬化性組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
一方、露光前に、光導波路形成用光硬化性組成物からなる塗膜を、室温条件に、1〜10時間放置するだけで、コア部分の形状を半円形とすることができる。したがって、半円形のコア部分を得たい場合には、このように露光前に、室温条件に、数時間放置することが好ましい。
このようにして所定のパターンに従ってパターン露光し、選択的に硬化させた薄膜に対しては、硬化部分と未硬化部分との溶解性の差異を利用して、現像処理することができる。したがって、パターン露光後、未硬化部分を除去するとともに、硬化部分を残存させることにより、結果として、コア部分を形成することができる。
【0065】
ここで、現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エタノールアミン、N―メチルエタノールアミン、N、N―ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどの塩基性物質と水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N、N―ジメチルホルムアミド、 N、N―ジメチルアセトアミド、などの溶媒で希釈された溶液を用いることができる。
また、現像液中の塩基性物質の濃度を、通常0.05〜25重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
【0066】
また、現像時間は、通常30〜600秒間であり、また現像方法は液盛り法、ディッピング法、シャワー現像法などの公知の方法を採用することができる。
現像液として有機溶媒を用いた場合はそのまま風乾することにより、また、アルカリ水溶液を用いた場合には流水洗浄を、例えば30〜90秒間行い、圧縮空気や圧縮窒素等で風乾させることによって表面上の水分を除去することにより、パターン状被膜が形成される。
【0067】
次いで、パターニング部をさらに硬化させるために、ホットプレートやオーブンなどの加熱装置により、例えば30〜400℃の温度で5〜600分間ポストベーク処理し、硬化されたコア部分が形成されることになる。
なお、コア用組成物には、下層用組成物や上層用組成物よりも、アミノ基含有量の高いアミノポリシロキサンを用いることが好ましい。
このように構成することにより、コア部分のパターン精度をより向上させることができる一方、下層用組成物や上層用組成物では、優れた保存安定性が得られるとともに、比較的少ない放射線照射量で、十分に硬化させることができる。
【0068】
▲4▼上部クラッド層の形成
次いで、コア部分15が形成された下部クラッド層13の表面に、上層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて上層用薄膜を形成する。この上層用薄膜に対し、光を照射して硬化させることにより、図1に示したように上部クラッド層17を形成することができる。
また、放射線の照射によって得られる上部クラッド層は、必要に応じて、さらに上述したポストベークすることが好ましい。ポストベークすることにより、硬度および耐熱性に優れた上部クラッド層を得ることができる。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[光増感基含有ポリシロキサン溶液1(PS1)の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(76.9g、0.39モル)と、メチルトリメトキシシラン(101.7g、0.75モル)と、9−ヒドロキシメチルアントラセン(0.27g、1.3ミリモル)、(シュウ酸(0.1g、1.1×ミリモル)とを収容した後、80℃、3時間加熱攪拌後冷却し、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)を加え、60℃で6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランの加水分解、縮合を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液162gを得た。示差屈折率計でモニターしたGPCで求めたポリスチレン換算重量平均分子量は2000であった。一方、368nmの励起光を照射しながら測定した同試料の393nmの蛍光GPCスペクトルは示差屈折率計でモニターしたGPCスペクトルと同じ波形を示し、ポリシロキサン全分子量領域に原料の9−ヒドロキシメチルアントラセンが分布していることから、9−ヒドロキシメチルアントラセンが結合したポリシロキサンが生成していることを示した。これを「ポリシロキサン溶液1(PS1)」とする。
【0070】
[光増感基含有ポリシロキサン溶液2(PS2)の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(103.65g、0.52モル)と、メチルトリメトキシシラン(136.99g、1.00モル)と、ジメチルジメトキシシラン(24.32g、0.20モル)と、9−ヒドロキシメチルアントラセン(0.41g、2.0ミリモル)、テトラブトキシジルコニウム(0.15g、0.39ミリモル)とを収容した後、80℃、3時間攪拌することでテトラキス(アントラニルメトキシ)ジルコニウムを調製した。溶液を室温まで冷却後、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(90.0g、5.0モル)を添加、60℃で6時間、加熱攪拌することにより、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランおよびテトラキス(アントラニルメトキシ)ジルコニウムの加水分解、共縮合を行った。次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液246gを得た。 GPCで求めた重量平均分子量は1800であった。一方、368nmの励起光を照射しながら測定した同試料の393nmの蛍光GPCスペクトルは示差屈折率計でモニターしたGPCスペクトルと同じ波形を示し、ポリシロキサン全分子量領域に原料の9−ヒドロキシメチルアントラセンが分布していることから、9−ヒドロキシメチルアントラセンが結合したポリシロキサンが生成していることを示した。
これを「ポリシロキサン溶液2(PS2)」とする。
【0071】
[光増感基含有ポリシロキサン溶液3(PS3)の製造]
撹拌機付き容器内に、メチルメタクリレート(450g, 4.50モル)、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50g, 0.20モル)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(600g)、そして2,2'-アゾビス−(2.4−ジメチルバレロニトリル)(35g, 0.14モル)を収容した後、系内を窒素置換する。その後、反応容器内温度が70℃に設定し6時間撹拌する。最終的に固形分濃度を45重量%に調製しアクリルポリマーを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。 GPCで求めた重量平均分子量は8000であった。
別の撹拌機付き容器内にメチルトリメトキシシラン(231.36g, 1.70モル)、フェニルトリメトキシシラン(193.48g, 0.97モル)、テトラブトキシジルコニウム(0.15g、0.39ミリモル)を加え、80℃で3時間加熱攪拌することでテトラキス(アントラニルメトキシ)ジルコニウムを含有する溶液を得た。冷却後、前述の加水分解性シラン含有アクリルポリマー溶液(133.33g)と電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(108.48g、6.0モル)を収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラキス(アントラニルメトキシ)ジルコニウム、およびアクリルポリマー溶液の加水分解、共縮合を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を45重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。 GPCで求めた重量平均分子量は12000であった。一方、368nmの励起光を照射しながら測定した同試料の393nmの蛍光GPCスペクトルは示差屈折率計でモニターしたGPCスペクトルと類似の波形を示し、ポリシロキサン全分子量領域に原料の9−ヒドロキシメチルアントラセンが分布していることから、9−ヒドロキシメチルアントラセンが結合したポリシロキサンが生成していることを示した。これを「ポリシロキサン溶液3(PS3)」とする。
【0072】
[光増感基含有ポリシロキサン溶液4(PS4)の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(76.9g、0.39モル)と、メチルトリメトキシシラン(101.7g、0.75モル)と、9−ヒドロキシメチルアントラセン(2.5g、12.0ミリモル)、およびテトラブトキシジルコニウム(1.0g、0.0026モル)に加え、80℃で3時間加熱攪拌することでテトラキス(アントラニルメトキシ)ジルコニウムを含有する溶液を得た。冷却後電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)を収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびテトラキス(アントラニルメトキシ)ジルコニウムの加水分解、縮合を行った。 次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液162gを得た。GPCで求めた重量平均分子量は3000であった。一方、368nmの励起光を照射しながら測定した同試料の393nmの蛍光GPCスペクトルは示差屈折率計でモニターしたGPCスペクトルと類似の波形を示し、ポリシロキサン全分子量領域に原料の9−ヒドロキシメチルアントラセンが分布していることから、9−ヒドロキシメチルアントラセンが結合したポリシロキサンが生成していることを示した。これを「ポリシロキサン溶液4(PS4)」とする。
【0073】
[比較ポリシロキサン溶液5(S1)の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(76.9g、0.39モル)と、メチルトリメトキシシラン(101.7g、0.75モル)と、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)と、シュウ酸(0.1g、1.1×ミリモル)とを収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランの加水分解、縮合を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液162gを得た。GPCで求めた重量平均分子量は2000であった。これを「比較ポリシロキサン溶液5(S1)」とする。
【0074】
[比較ポリシロキサン溶液6(S2)の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(103.65g、0.52モル)と、メチルトリメトキシシラン(136.99g、1.00モル)と、ジメチルジメトキシシラン(24.32g、0.20モル)と、テトラブトキシジルコニウム(0.15g、0.39ミリモル)、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(90.0g、5.0モル)を添加、60℃で6時間、加熱攪拌することにより、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、およびジメチルジメトキシシランの加水分解、共縮合を行った。次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液246gを得た。 GPCで求めた重量平均分子量は1900であった。
これを「ポリシロキサン溶液6(PS2)」とする。
【0075】
[光導波路形成用硬化組成物Aの調製]
ポリシロキサン溶液1(PS1)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Aを得た。
【0076】
[光導波路形成用硬化組成物Bの調製]
ポリシロキサン溶液2(PS2)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Bを得た。
【0077】
[光導波路形成用硬化組成物Cの調製]
上述したポリシロキサン溶液1(PS1)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(サートマー社製製 CD―1012)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、をそれぞれ添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Cを得た。
[光導波路形成用硬化組成物Dの調製]
上述したポリシロキサン溶液3(PS3)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(サートマー社製製 CD―1012))1重量部、を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Dを得た。
[光導波路形成用硬化組成物Eの調製]
上述したポリシロキサン溶液1(PS1)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Eを得た。
[光導波路形成用硬化組成物Fの調製]
上述した加水分解性シリル基含有のポリシロキサン溶液3(PS3)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Fを得た。
上述したポリシロキサン溶液4(PS4)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部、を添加し、均一に混合した後、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Gを得た。
[光導波路形成用硬化組成物Hの調製]
上述したポリシロキサン溶液4(PS4)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部、脱水剤としてオルト酢酸エチル(3重量部)を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Hを得た。
[光導波路形成用硬化組成物Iの調製]
上述したポリシロキサン溶液2(PS2)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部、IPA分散シリカ微粒子(日産化学工業(株)製 IPA-ST、固形分30%、粒径12nm)67重量部、および脱水剤としてオルト酢酸エチル(3重量部)を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、光導波路形成用硬化組成物Iを得た。
【0078】
[比較の光導波路形成用硬化組成物Jの調製]
上述したポリシロキサン溶液5(S1)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、比較の光導波路形成用硬化組成物Jを得た。
[比較の光導波路形成用硬化組成物Kの調製]
上述したポリシロキサン溶液6(S2)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、比較の光導波路形成用硬化組成物Jを得た。
[比較の光導波路形成用硬化組成物Lの調製]
上述したポリシロキサン溶液5(S1)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤として9−ヒドロキシメチルアントラセン0.3重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、比較の光導波路形成用硬化組成物Lを得た。
[比較の光導波路形成用硬化組成物Mの調製]
上述したポリシロキサン溶液6(S2)の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤として9−ヒドロキシメチルアントラセン0.3重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、比較の光導波路形成用硬化組成物Lを得た。
以上のように調製した光導波路形成用硬化組成物(A)〜(M)の組成を表1および表2に示す。これら組成物を用いて、実施例に示す光導波路のコア、クラッドを構成した。
また、製造した光導波路形成用光硬化性組成物およびこれらを用いて製造した光導波路の性能を後述する試験法に従い評価した結果を表1および表2に示す。
【0079】
[評価]
[光導波路形成用光硬化性組成物の保存安定性の評価]
製造した光導波路形成用光硬化性組成物を密栓して30℃で2週間暗所に保管後、シリコンウエハー上に厚さ10μmにコートした塗膜を大気下、CANON社製アライナー(PLA501F)とUSHIO社製、高圧水銀ランプ(USH−250D)を用いて(356nmでの照度は7mW/cm2)、ライン/スペース=10μm/30μmのアライナー用マスクを介し、光量を50mJ/cm2照射後、アルカリ水溶液にて未露光部を洗浄した。得られたラインパターンを倍率200の光学顕微鏡で観察し、ラインパターンの評価した。ラインパターンが初期と変化ないものを○、それ以外を×とした
【0080】
[光硬化性の評価]
製造した光導波路形成用光硬化性組成物をシリコンウエハー上に厚さ10μmにコートした塗膜を大気下、CANON社製アライナー(PLA501F)とUSHIO社製、高圧水銀ランプ(USH−250D)を用いて(365nmでの照度は7mW/cm2)、ライン/スペース=10μm/30μmのアライナー用マスクを介し、光量を50mJ/cm2照射後、アルカリ水溶液にて未露光部を洗浄した。得られたラインパターンを倍率200の光学顕微鏡で観察し、光硬化性をラインパターンの有無から評価した。ラインパターンが残るものを○、ラインパターンが消失するものを×とした。
【0081】
[パターン性能評価]
シリコンウエハー上に厚さ10μmにコートした塗膜を大気下、CANON社製アライナー(PLA501F)とUSHIO社製、高圧水銀ランプ(USH−250D)を用いて(365nmでの照度は7mW/cm2)、ライン/スペース=10μm/30μmのアライナー用マスクを介し、光量を50mJ/cm2照射後、アルカリ水溶液にて未露光部を洗浄した。得られたラインパターンを倍率200の光学顕微鏡で観察し、ラインパターンの評価した。マスク寸法との誤差が±0.2μm以内のものを○、それ以外を×とした。
【0082】
[光導波路の伝送損失の評価]
波長1.31μmの単色光を用いて、カットバック法により求めた伝送損失から接続損失を差し引くことで光伝送損失を評価した。
【0083】
[光導波路形成用光硬化性組成物およびこれを用いた光導波路の評価結果]
前述した試験方法に基づき、光導波路形成用光硬化性組成物ならびに光導波路を評価した結果を表3に示す。表3より、光増感基を含有するポリシロキサンと光酸発生剤からなる組成物は光硬化性、パターニング性、光導波路の光学特性が良好なのに対し、比較例―1に示すように、光増感剤を含有しないポリシロキサンと光酸発生剤からなる組成物は光硬化性が低く試験条件では光導波路パターンを形成できなかった。また、比較例―2に示すように、光増感剤を含有しないポリシロキサン、光酸発生剤、光増感剤からなる組成物は保存安定性が低く、これを用いて形成した光導波路は伝送損失が大きいことが明らかである。一方、同条件で酸拡散制御剤、表面張力低下剤、金属アルコキシド、無機微粒子、架橋性の化合物を配合した組成物は同様に良好な保存安定性、光硬化性、パターニング性、および光学特性を示した。
【0084】
【表1】
Figure 0004174987
【0085】
【表2】
Figure 0004174987
b-1;ミドリ化学(株)製TPS-105、b-2;サートマー社製CD-1012、c-1;トリオクチルアミン、d-1;東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH28PA、e-1;プロピレングリコールモノメチルエーテル、f-1;テトラブトキシジルコニウム(f-1はPS4製造時に配合)、g-1;日産化学工業(株)製IPA分散シリカゾル(IPA-ST)、h-1;オルト酢酸エチル、i-1;加水分解性シリル基含有ポリメチルメタクリレート(i-1はPS3製造時に配合)、j-1;9-ヒドロキシメチルアントラセン
【0086】
【表3】
Figure 0004174987
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、光増感基を含有するポリシロキサンと光酸発生剤からなる光硬化性組成物を用いることで汎用の光源に対して高感度で、取り扱いが容易で、パターン精度、光学特性が良好な光導波路を形成することができる。
【0088】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路の断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、光導波路の製造方法の一部工程図である。
【符号の説明】
10 光導波路
12 基板
13 下部クラッド層
14 コア用薄膜
15 コア部分
16 放射線
17 上部クラッド層
19 フォトマスク

Claims (6)

  1. (A)アントラセン類の化合物から水素原子を除いた1価の有機基である光増感基を有するポリシロキサン(B)光酸発生剤、および、( E )プロピレンエーテル単位、またはα - もしくはβ - ヒドロキシカルボニル構造単位を含有する有機化合物からなる溶剤、を含有する光導波路形成用光硬化性組成物。
  2. (C)成分として酸拡散制御剤をさらに含有することを特徴とする請求項1記載の光導波路形成用光硬化性組成物。
  3. (D)成分として表面張力低下剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の光導波路形成用光硬化性組成物。
  4. (F)成分として金属アルコキシドを含有することを特徴とする請求項1記載の光導波路形成用光硬化性組成物。
  5. 下部クラッド層、コア層、上部クラッド層とを含む光導波路において、少なくとも1層が下記(A)成分(B)成分、および (E) 成分を含有する光硬化性組成物の硬化物であることを特徴とする光導波路の製造方法。
    (A)アントラセン類の化合物から水素原子を除いた1価の有機基である光増感基を有するポリシロキサン
    (B)光酸発生剤
    (E) プロピレンエーテル単位、またはα - もしくはβ - ヒドロキシカルボニル構造単位を含有する有機化合物からなる溶剤
  6. 請求項記載の方法で製造された光導波路。
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