JP2005255923A - 電気光学性組成物及び光導波路用光学材料 - Google Patents

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祐一 江利山
Hideaki Takase
英明 高瀬
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Takashi Kouho
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Abstract

【課題】光導波路を構成するクラッド層の如き部分の材料と、光変調、光スイッチ等の機能を有するための材料とを兼用することができる組成物であって、耐熱性、伝送特性(低い伝送損失)、耐クラック性等に優れた電気光学性組成物を提供する。
【解決手段】本発明の電気光学性組成物は、一般式:(R(RSi(X)4−p−q(式中、Rはフッ素原子を含む非加水分解性の有機基、Rはフッ素原子を含まない非加水分解性の有機基、Xは加水分解性基、pは1又は2、qは0又は1ある。)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物又は該加水分解物の縮合物からなる含フッ素ポリシロキサンと、電気光学性有機化合物を含む。該組成物は、光導波路1の上部クラッド層6の材料として用いた場合、電極3,7による電圧印加によって屈折率が変化し、光変調、光スイッチ等に応用できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電場の変化により屈折率が変化する光導波路用光学材料、及び該材料を形成するための電気光学性組成物に関する。
マルチメディア時代を迎え、光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化及び高速化の要求から、光を伝送媒体とする伝送システムが、公衆通信網、LAN(ローカルエリアネットワーク)、FA(ファクトリーオートメーション)、コンピュータ間のインターコネクト、家庭内配線等に使用されつつある。
かかる伝送システムを構成する要素の中で、光導波路は、映画や動画等の大容量の情報伝達や光コンピュータ等を実現するための光デバイスや、光電集積回路(OEIC)や、光集積回路(光IC)等における基本構成要素である。
光導波路の応用例の一つとして、周囲環境変化に対する屈折率変化が小さく、かつ、光伝搬損失の小さな低屈折率変化材料からなるコア部と、このコア部の周りの一部等に設けられ、周囲環境変化に対する屈折率変化係数が上記低屈折率変化材料より大きな高屈折率変化材料(具体的には、電気光学効果を示す材料)からなる高屈折率変化部と、上記コア部及び上記高屈折率変化部の周り等に設けられたクラッド部と、上記クラッド部の周りの一部等に設けられた周囲環境変化を引き起こす機能部(具体的には、電圧が印加される上下電極)とを有する導波形光機能装置が、提案されている(特許文献1)。
この導波形光機能装置は、基板上に形成された光導波路を用いて、光変調、光スイッチ等を行うためのものである。
なお、この導波形光機能装置に用いられる前記高屈折率変化材料の一例として、ポリメチルメタクリレートにアゾ色素を添加した有機材料が、記載されている。
特開平9−318978号公報
前記文献に記載された導波形光機能装置は、コア部及びクラッド部に加えて、これら各部とは異なる材料で形成された高屈折率変化部等を備えている。そのため、コア部及びクラッド部のみからなる通常の光導波路と比べて、必要とされる材料の種類や、製造工程の数が多い。この点、材料の種類や製造工程の数を減らすことができれば、製造効率の向上等を図ることができ、好都合である。
一方、クラッド部等を形成するためのポリマー系材料(例えば、ポリメチルメタクリレート)は、一般に、耐熱性、伝送特性、耐クラック性等の物性の全てに優れることが困難である。そのため、耐熱性、伝送特性、耐クラック性等に優れた材料が求められている。
したがって、本発明の目的は、光導波路を構成するクラッド層の如き部分の材料と、光変調、光スイッチ等の機能を有するための材料とを兼用することができる組成物であって、耐熱性、伝送特性(低い伝送損失)、耐クラック性等に優れた電気光学性組成物を提供することにある。
本発明者等は、特定の重合性化合物の中に電気光学性有機化合物を含ませてなる電気光学性組成物を用いれば、前記課題を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の電気光学性組成物は、含フッ素ポリシロキサン及び電気光学性有機化合物を含むことを特徴とする。
該電気光学性組成物の好ましい一例として、前記含フッ素ポリシロキサンが、下記一般式(1):
(R(RSi(X)4−p−q (1)
[式中、Rはフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Rは炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]
で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上であるものが挙げられる。
ここで、前記含フッ素ポリシロキサンは、下記一般式(2)及び(3)からなる群のうち少なくとも1種以上の構造を有することができる。
Figure 2005255923
[式中、Rはフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Rはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であって、Rと同じでもよい。]
また、前記含フッ素ポリシロキサンは、さらに下記一般式(4)及び(5)からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の構造を有することができる。
Figure 2005255923
[式中、Rはフェニル基又はフッ素化フェニル基、Rはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であって、Rと同じでもよい。]
前記電気光学性有機化合物は、好ましくは、電子供与性基及び電子求引性基を有するものである。
このような2つの基を有する電気光学性有機化合物の好ましい例としては、電子供与性基が、アミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノまたはアルコキシアルキルアミノであり、かつ、電子求引性基が、ニトロ、ジシアノビニルまたはトリシアノビニルであるものが挙げられる。
このような2つの基を有する電気光学性有機化合物は、好ましくは、芳香環等を主骨格とするものであり、具体的には、アニリン誘導体、スチルベン誘導体、アゾベンゼン誘導体、イミン誘導体等である。
本発明の電気光学性組成物は、好ましくは、光酸発生剤を含むことができる。
本発明の光導波路用光学材料は、電場の変化により屈折率が変化する光導波路用光学材料であって、前記電気光学性組成物の硬化物からなることを特徴とする。
本発明の電気光学性組成物によれば、従来、異なる材料で形成していた2つの部分を同一の材料で形成することができる。例えば、本発明の組成物を光導波路のクラッド層の材料として用いた場合には、光変調、光スイッチ等の機能を有するとともに、電気光学性有機化合物を含むことによる悪影響を生じることなく、優れた耐熱性、伝送特性(低い伝送損失)等を発揮することができる。
また、本発明の電気光学性組成物は、光酸発生剤を含む場合、優れたパターニング性を発揮することができる。
また、本発明の電気光学性組成物は、特定の含フッ素ポリシロキサンを用いた場合、優れた耐クラック性、長期信頼性等を有することができる。
さらに、本発明の電気光学性組成物は、電場の変化により屈折率が変化する材料として、光導波路の構成部分(クラッド層等)の他、光導波路同士の間に介在する光スイッチ用の結合部分など、光導波路用光学材料として広く適用することができる。
なお、本明細書中、「光導波路用光学材料」の語は、光導波路自体の材料と、光導波路の周辺構造の材料(光導波路と関連する部分の材料)を含む意で用いる。
本発明の電気光学性組成物は、(A)含フッ素ポリシロキサン、(B)電気光学性有機化合物、(C)光酸発生剤、及び(D)有機溶媒を含む。なお、成分(C)及び成分(D)は、必要に応じて配合される成分である。以下、各成分を詳しく説明する。
[A.含フッ素ポリシロキサン]
本発明で用いる含フッ素ポリシロキサンは、−Si−O−の構成単位を2つ以上含むもの(主に、オリゴマー)である。
成分(A)(含フッ素ポリシロキサン)の好ましい一例は、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上からなるものであり、好ましくは、シラノール基含量が1〜10mmol/gのものである。ここで、加水分解性シラン化合物の加水分解物とは、例えば加水分解反応によりアルコキシ基がシラノール基に変化した生成物を意味するばかりでなく、一部のシラノール基同士、あるいはシラノール基とアルコキシ基が縮合した部分縮合物をも意味するものである。

(R(RSi(X)4−p−q (1)
[一般式(1)中、Rはフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Rは炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]

成分(A)は、一般に、一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、またはこれと一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物との混合物を加熱することにより得ることができる。加熱によって加水分解性シラン化合物が加水分解されて加水分解物となり、あるいは該加水分解物が縮合反応を起こして、成分(A)が生成する。
(1) 有機基R
一般式(1)におけるRは、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基である。ここで、非加水分解性とは、加水分解性基Xが加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。このような非加水分解性の有機基として、フッ素化アルキル基やフッ素化アリール基等を挙げることができる。具体的なフッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。また、具体的なフッ素化アリール基としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
これらのうち、より好ましくは、C2n+12m[mは0〜5の整数、nは1〜12の整数であり、m+nは1〜12である。]で表されるフッ素化アルキル基であり、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等のようなフッ素含有量が大きく、かつ長鎖のものが特に好ましい。
一般式(1)中の添え字pは1又は2の整数であるが、好ましくは1である。
(2) 有機基R
一般式(1)におけるRは、炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)である。Rとしては、非重合性の有機基と重合性の有機基のいずれを選択してもよい。
ここで、非重合性の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はこれらを重水素化若しくはハロゲン化したもの等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、重水素化アリール基、ハロゲン化アリール基等が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
さらに、非重合性の有機基として、ヘテロ原子を含む構造単位を有する基を用いてもよい。該構造単位としては、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合等を例示することができる。また、ヘテロ原子を含む場合、非塩基性であることが好ましい。
一方、重合性の有機基は、分子中にラジカル重合性の官能基およびカチオン重合性の官能基の両方あるいはいずれか一方を有する有機基であることが好ましい。このような官能基を導入することにより、ラジカル重合やカチオン重合を生じさせて、組成物をより効果的に硬化させることができる。
また、重合性の有機基におけるラジカル重合性の官能基、およびカチオン重合性の官能基のうち、より好ましいものは、カチオン重合性の官能基である。光酸発生剤により、シラノール基における硬化反応のみならず、カチオン重合性の官能基における硬化反応を同時に生じさせることができるからである。
ここで、一般式(1)中の添え字qは0又は1の整数であるが、好ましくは0である。
(3) 加水分解性基X
一般式(1)におけるXは、加水分解性基である。ここで、加水分解性基とは、通常、1気圧でかつ触媒および過剰の水の存在下において、0〜150℃の温度範囲内で1〜10時間加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基である。
ここで触媒としては、酸触媒、又はアルカリ触媒が挙げられる。酸触媒としては、例えば1価もしくは多価の有機酸や無機酸、ルイス酸等が挙げられる。有機酸の具体例としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸等が挙げられる。ルイス酸の具体例としては、金属化合物、Ti、Zr、Al、B等の無機塩、アルコキシド、カルボキシレート等が挙げられる。アルカリ触媒の具体例としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物や、アミン類、酸性塩、塩基性塩等が挙げられる。加水分解に必要な触媒の添加量は、全シラン化合物に対して、0.001〜5%が好ましく、0.002〜1%であることがより好ましい。
加水分解性基Xの具体例としては、例えば、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルオキシ基等が挙げられる。
ここで、炭素数1〜12のアルコキシ基の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基などの他、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基や、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基や、オキサシクロヘキシロキシ等の6員環エーテル基を有するアルコキシ基等を挙げることができる。
また、好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。
(4) 一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の具体例
一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチル−3,3,3,−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3,−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。これらの中で、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランや3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン等が好ましい。
(5) その他の加水分解性シラン化合物
上記以外の加水分解性シラン化合物として、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等の4個の加水分解性基を有するシラン化合物;メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基を有するシラン化合物;あるいはジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水分解性基を有するシラン化合物等が挙げられる。
(6) (A)成分の調製
一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を加熱して成分(A)を得る方法は、後述のシラノール基含量を過大、もしくは過少にしない限り、特に限定されないが、一例として、以下に示す1)〜3)の工程からなる方法を挙げることができる。ただし、一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解物において、一部未加水分解の加水分解性基が残っていてもよく、その場合は、加水分解性シラン化合物と加水分解物との混合物となる。
1)一般式(1)に示す加水分解性シラン化合物と酸触媒とを、攪拌機付の容器内に収容する。
2)次いで、得られた溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中において、有機溶媒もしくは加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で攪拌しながら、水を滴下した後、0〜150℃で、1〜24時間の間加熱攪拌する。なお、加熱攪拌中、必要に応じて蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは有機溶媒を置換することも好ましい。ここで、最終硬化物の屈折率や、組成物の硬化性、粘度等を調整するために、上記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を混合させて、シロキサンオリゴマーを調製することもできる。この場合、上記1)の工程で一般式(1)の加水分解性シラン化合物とそれ以外の加水分解性シラン化合物とを添加して混合した後に、加熱し反応させることができる。
(7) 成分(A)の好ましい態様
成分(A)は、下記一般式(2)及び(3)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
Figure 2005255923
[式中、Rはフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Rはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であって、Rと同じでもよい。]

成分(A)が上記構造を有していると、本発明の電気光学性組成物を用いて作製される光導波路等の硬化物の耐クラック性等の物性をより一層向上させることができる。
さらに、前記一般式(1)のRが、CF(CF(CH[mは0〜5の整数、nは1〜11の整数であり、m+nは1〜11である。]であることが好ましい。Rがこのような構造であると、本発明の組成物を用いてフォトリソグラフィー法により光導波路等を製造する際のパターニング性、該光導波路等の耐クラック性、および材料損失(導波路損失)等をより一層向上させることができる。
が上記構造である場合において、(A)成分はさらに、下記一般式(4)及び(5)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
Figure 2005255923
[式中、Rはフェニル基、あるいはフッ素化フェニル基、Rはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であってRと同じでもよい。]

これらの一般式(4)または一般式(5)の構造を有する加水分解性化合物の具体例としては、上述の一般式(1)、または一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物の具体例のうち、フェニル基またはフッ素化フェニル基を有する化合物が挙げられる。これらのうち、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン等が特に好ましい。
成分(A)が上記構造を有していると、本発明の組成物を用いて形成される光導波路等の耐熱性やパターニング性をより一層向上させることができる。
[B.電気光学性有機化合物]
成分(B)(電気光学性有機化合物)は、電気光学効果を有する化合物である。
成分(B)を用いることによって、電場を変化させた時に、本発明の電気光学性組成物の硬化物の屈折率を可逆的に変化させることができる。
成分(B)としては、電気光学効果を有する化合物であれば特に限定されないが、非局在化電子を有する共役系の骨格を有し、かつこの主骨格に結合する電子供与性基及び電子求引性基を有する化合物が好ましい。
ここで、非局在化電子を有する共役系の骨格の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデン等の芳香族化合物や、フラン、ピロール、チオフェン、オキサザール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、γ−ピラン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン等の複素環式化合物や、芳香族化合物同士を−CH=CH−、−N=N−等の不飽和結合含有構造を介して結合したものや、ブタジエン等の共役ポリエン等が挙げられる。
電子供与性基としては、アミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ、アルコキ
シアルキルアミノ等が挙げられる。
電子求引性基としては、ニトロ、ジシアノビニル、トリシアノビニル等が挙げられる。
成分(B)の例としては、p−ジブチルアミノニトロベンゼン等のアニリン誘導体や、4−ニトロ−4’−アミノスチルベン等のスチルベン誘導体や、1−[p−(ジブチルアミノ)フェニルビニル−4−トリシアノビニル]チオフェン、1−(p−ジブチルアミノフェニル)−4−トリシアノビニル−エチレン、1−(p−ジブチルアミノフェニル)−4−トリシアノビニル−1,3−ブタジエン等のスチレン誘導体や、4−ニトロ−4’−(N−エチル−N−ヒドロキシエチル)アミノアゾベンゼン、4−ジシアノビニル−4’−(N−エチル−N−ヒドロキシエチル)アミノアゾベンゼン、4−ジシアノビニル−4’−(N,N−ジメチル)アミノアゾベンゼン等のアゾベンゼン誘導体や、N−(p−ジブチルアミノ)ベンジリデン−p−トリシアノビニルアニリン等のイミン誘導体等が挙げられる。
成分(B)の配合量は、成分(A)100重量部当たり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。該配合量が0.1重量部未満では、十分な電気光学効果を得ることが困難になる。該配合割合が10重量部を超えると、透明性が低下して、光導波路の材料として用いた場合に伝送特性が低下することがある。
[C.光酸発生剤]
成分(C)(光酸発生剤)は、放射線を照射することにより分解して、成分(A)を光硬化させる酸性活性物質を放出する。
ここで、放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、α線、γ線等を挙げることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大であり、しかも照射装置が比較的安価でかつ小型である観点から、紫外線を使用することが好ましい。
成分(C)としては、例えば、下記一般式(6)で表される構造を有するオニウム塩や、下記一般式(7)で表される構造を有するスルフォン酸誘導体等を挙げることができる。

[R 10 W]+m[MZm+n−m (6)
[一般式(6)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R、R、RおよびR10は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]

−〔S(=O)−R11 (7)
[一般式(7)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R11は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0又は1、添え字tは1又は2である。]
(1) オニウム塩
一般式(6)におけるアニオン[MZm+n]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl )、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、一般式(6)におけるアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZOH]で表されるアニオンを使用することも好ましい。さらに、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO )、フルオロスルフォン酸イオン(FSO )、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
また、オニウム塩としては芳香族オニウム塩が好ましく、特に好ましくはトリアリールスルホニウム塩、下記一般式(8)で表される化合物、下記一般式(9)で表されるジアリールヨードニウム塩あるいはトリアリールヨードニウム塩である。
Figure 2005255923
[一般式(8)中、R12およびR13は、それぞれ独立して水素又はアルキル基、R14は水酸基または−OR15(但し、R15は1価の有機基である。)を示し、aは4〜7の整数、bは1〜7の整数である。ナフタレン環への各置換基の結合位置は特に限定されない。]

[R16−Ph−I−Ph−R17][Y] (9)
[一般式(9)中、R16およびR17は、それぞれ1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R16およびR17の少なくとも一方は、炭素数が4以上のアルキル基を有しており、PhおよびPhはそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Yは1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO 、CFSO から選ばれる陰イオンである。]
一般式(8)で表される化合物としては、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジヒドロキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
さらに、ジアリールヨードニウム塩としては、具体的に、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
(2) スルフォン酸誘導体
一般式(7)で表されるスルフォン酸誘導体としては、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類等を挙げることができる。
これらの中で好ましくはイミドスルホネート類であり、さらに好ましくはトリフルオロメチルスルホネート誘導体である。
成分(C)(光酸発生剤)の配合量は特に制限されるものではないが、通常、成分(A)100重量部当たり0〜15重量部である。
ただし、紫外線等で電気光学性組成物を光硬化させる場合、成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部当たり、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。該配合量が0.1重量部未満では、光硬化性が低下し、十分な硬化速度が得られない傾向がある。一方、該配合量が15重量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する傾向がある
[D.有機溶媒]
成分(D)(有機溶媒)を配合することによって電気光学性組成物の保存安定性を向上させ、かつ適当な粘度を付与することができ、均一な厚さを有する硬化物(例えば、光導波路)を形成することができる。
成分(D)の例としては、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒等が挙げられる。通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有し、各成分を均一に溶解させることのできる有機溶媒を用いることが、好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、モノアルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、含窒素系溶媒、含硫黄系溶媒等を用いることができる。これらの有機溶媒は、一種単独あるいは二種以上を組み合わせて用いられる。
これらの(C)有機溶媒の中では、アルコール類およびケトン類が好ましい。組成物の保存安定性をより向上させることができるからである。
また、より好ましい有機溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、トルエン、キシレン、およびメタノールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物が挙げられる。
成分(D)(有機溶媒)の種類は、好ましくは、電気光学性組成物の塗布方法を考慮して選択される。例えば、均一な厚さを有する薄膜が容易に得られることから、塗布方法としてスピンコート法を用いることが好ましいが、その場合に使用する有機溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類等を使用することが好ましく、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルイソブチルケトンおよびメチルアミルケトンを使用することが好ましい。
成分(D)の配合量は、成分(A)100重量部当たり、0〜300重量部、好ましくは1〜300重量部、より好ましくは2〜200重量部である。該配合量を1〜300重量部とすれば、組成物の保存安定性を向上させ、かつ適当な粘度を付与することができ、均一な厚さを有する光導波路を形成することができる。
なお、成分(D)の添加方法は、特に制限されるものではないが、例えば、成分(A)を製造する際に添加してもよいし、成分(A)〜(C)を混合する際に添加してもよい。
[組成物中のシラノール基含量]
本発明の電気光学性組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール基の含有率は、好ましくは10〜50%、より好ましくは20〜40%である。この範囲内とすれば、アルカリ現像の際のパターニング性が特に良好になり、また、光導波路を形成した場合に材料損失を小さくすることができる。
[その他の成分]
さらに、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、酸拡散制御剤、反応性希釈剤、ラジカル発生剤(光重合開始剤)、光増感剤、金属アルコキシド、無機微粒子、脱水剤、レベリング剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、高分子添加剤等を配合させることも好ましい。
本発明の電気光学性組成物の粘度は、25℃において、好ましくは5〜5,000mPa・s、より好ましくは10〜1,000mPa・sである。該粘度が5,000mPa・sを超えると、均一な塗膜を形成することが困難となる場合がある。該粘度は、有機溶媒の配合量等を調整することによって、適宜調整することができる。
[電気光学性組成物を用いた光導波路の作製方法]
次に、本発明の電気光学性組成物を用いた光導波路の作成方法を、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の電気光学性組成物を用いて作製された光導波路の一例を示す断面図である。
(1)下部クラッド層の形成
まず、イオンスパッタリングにより基板2の上面に電極3の形成を行なう。その後、基板2の表面に、下部クラッド層を形成させるための含フッ素ポリシロキサン組成物を塗布し、乾燥またはプリベークして、下部クラッド層用薄膜を形成する。そして、この下部クラッド層用薄膜に、紫外線等の光を照射して硬化させ、下部クラッド層4を形成する。
なお、基板の種類としては、特に制限されるものではないが、本発明の電気光学性組成物との接着性等に鑑み、例えばシリコン基板やガラス基板等を用いることが好ましい。
また、基板の上面への電極の形成法としては、例えば、イオンスパッタリング法等を用いることができる。
電極の材料としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IWO、ICO、InTiO、ZnU、AZO、GZO等の透明電極が好ましく用いられる。中でも、ITOが好ましく用いられる。
(2)コア部の形成
次に、下部クラッド層4上に、コア部を形成させるための含フッ素ポリシロキサン組成物(硬化後にクラッド層よりも屈折率が大きくなるもの)を塗布し、乾燥またはさらにプリベークして、コア部用薄膜を形成する。
その後、コア部用薄膜の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して紫外線等の光照射を行う。
これにより、光が照射された箇所のみが硬化するので、それ以外の未硬化の部分を現像液によって現像除去すれば、下部クラッド層上に、パターニングされた硬化膜からなるコア部5が形成される。
(3)上部クラッド層の形成
コア部5が上方に形成された下部クラッド層4の表面に、本発明の電気光学性組成物からなる上部クラッド層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークする。次いで、光を照射して硬化させると、上部クラッド層6が形成される。
上部クラッド層6には、必要に応じて、さらにポストベークを施すことが好ましい。ポストベークすることにより、硬度及び耐熱性に優れた上部クラッド層を得ることができる。
その後、上部クラッド層6の上面に電圧印加用の電極7を形成させると、電気光学効果を有する光導波路1が完成する。
なお、電極7の材料としては、Au、Ag、Cu、Co、Ta、Mo、Ti、Pt、Cr、Al等の導電性が高くかつ熱伝導率が高い金属が好ましく用いられる。中でも、Au(金)が好ましく用いられる。
光導波路1においては、コア部5の屈折率の値を、下部クラッド層4及び上部クラッド層6の屈折率よりも大きくすることが必要である。具体的には、より優れた導波特性を得るために、波長1,300〜1,600nmの光に対して、コア部5の屈折率を1.450〜1.650、下部クラッド層4及び上部クラッド層6の屈折率を1.400〜1.648に定めるとともに、コア部5の屈折率を下部クラッド層4及び上部クラッド層6の屈折率よりも0.002〜0.5大きく定めることが好ましい。
本発明の電気光学性組成物は、光導波路を構成するクラッド層等の材料として用い得るのみならず、光導波路同士の間に介在させる光スイッチ用結合部材等の光変調又は光スイッチ用材料として広く適用することができる。
以下、本発明を実験例に基づいて説明する。
[成分(A)の調製]
[調製例1]
撹拌機、還流管付のフラスコに、メチルトリメトキシシラン(2.97g)、フェニルトリメトキシシラン(29.01g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(25.64g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)(31.00g)、及びシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.35g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして最終的に、固形分が70重量%に調整された、シロキサンオリゴマーを含有する1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液1」とする。
[調製例2]
撹拌機、還流管付のフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(29.93g)、及びシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、溶液を90℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を65重量%に調整したシロキサンオリゴマーを含有する1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液2」とする。
[電気光学性組成物の調製]
[組成物1]
シロキサンオリゴマー溶液2(固形分及び有機溶媒)100gに対し、光酸発生剤(DBNST)0.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.0gを添加し、均一に混合することにより、固形分濃度を65重量%に調整した組成物1を得た。
[組成物2]
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分及び有機溶媒)100gに対し、4−ジブチルアミノニトロベンゼン1.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.2gを添加し、均一に混合することにより、固形分濃度を65重量%に調整した組成物を得た。
[組成物3]
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分及び有機溶媒)100gに対し、4−ジブチルアミノニトロベンゼン1.0g、ジブチルスズジラウレート0.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.3gを添加し、均一に混合することにより、固形分濃度を65重量%に調整した組成物を得た。
[組成物4]
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分及び有機溶媒)100gに対し、4−ジブチルアミノニトロベンゼン1.0g、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン0.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.3gを添加し、均一に混合することにより、固形分濃度を65重量%に調整した組成物を得た。
[組成物5]
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分及び有機溶媒)100gに対し、4−ジブチルアミノニトロベンゼン1.0g、光酸発生剤(DBNST)0.32g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.4gを添加し、均一に混合することにより、固形分濃度を65重量%に調整した組成物を得た。
[組成物6]
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分及び有機溶媒)100gのみからなる組成物を、組成物6とした。
組成物1〜6の成分組成を表1に示す。
Figure 2005255923
[実施例1]
シロキサンオリゴマー溶液1を、ITOをスパッタリングした透明電極付きガラス基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機にて3分間照射した。さらに、200℃にて1時間加熱することにより、厚み15μmの下部クラッド層を形成した。この下部クラッド層における波長1,550nmの光の屈折率は1.439であった。
次いで、組成物1を下部クラッド層の上にスピンコータで塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、幅9μmの光導波路パターンを刻んだフォトマスクを用いて、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機にて1分間照射することにより、露光を行った。その後、この基板を100℃にて1分間加熱した後、5%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(TMAH)水溶液よりなる現像液中に浸漬して未露光部を溶解、水洗浄した。その後、紫外線を3分間照射した後、200℃にて1時間加熱することにより、厚さ8μmのコア部を形成した。コア部における波長1,550nmの光の屈折率は、1.445であった。
さらに、コア部を有する下部クラッド層の上面に、組成物2をスピンコータで塗布し、100℃で10分間乾燥させた後、200℃にて1時間加熱することにより、厚み10μmの上部クラッド層を形成した。この上部クラッド層の上面にAu(金)電極を蒸着で形成し、電極付き光導波路を完成した。
[実施例2]
上部クラッド層に組成物3を用いた以外は実施例1と同様にして、電極付き光導波路を作製した。
[実施例3]
上部クラッド層に組成物4を用いた以外は実施例1と同様にして、電極付き光導波路を作製した。
[実施例4]
上部クラッド層の形成方法として、スピンコータで組成物5を塗布し、100℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機にて1分間照射後、200℃にて1時間加熱する方法を採用した以外は実施例1と同様にして、電極付き光導波路を作製した。
[比較例1]
上部クラッド層用材料として組成物6(シロキサンオリゴマー溶液1)を用いた以外は実施例1と同様にして、電極付き光導波路を作製した。
[評価]
[挿入損失及び材料損失の測定]
得られた光導波路の両端をダイシングにより長さ10mmに切断し、1,550nmの光を導波路の一端から入射させたときに他端から出射する光を光量パワーメータ(アンリツ社製MT9810A)により測定することで挿入損失(dB)を求めた。また、材料損失(dB/cm)は、導波路をへき開にてカットすることで、各長さにおける損失を測定し、長さに対して損失をプロットすることで、その傾きから算出した(カットバック法)。
[電圧応答性]
得られた光導波路を加熱炉により80℃に加温し、1kV以上の電圧を印加し、挿入損失を測定した。挿入損失が0.3dB以上増加したものを○、0.1dB以下の増加であったものを×と判定した。
[界面剥離]
作製した光導波路をへき開した端面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、基板/下部クラッド層、下部クラッド層/コア部、コア部/上部クラッド層、および下部クラッド層/上部クラッド層間の剥離の有無を判定した。さらに、光導波路の上方から光学顕微鏡により、コアライン上での剥離の有無を観察した。いずれの場合でも剥離が観察されなかった場合を「○」、いずれかで剥離が観察された場合を「×」とした。
[クラック耐性]
作製した光導波路を300℃にて1時間加熱、自然冷却し、光学顕微鏡にて光導波路全体のクラック発生の有無を観察し、クラックが確認されなかった場合を「○」、クラックがコアとクラッドのいずれかで確認された場合を「×」とした。
[長期信頼性]
作製した光導波路を、温度85℃、相対湿度85%の条件下で2,000時間放置した後、温度25℃、相対湿度50%に24時間放置し、挿入損失を測定し、材料損失を算出した。材料損失が、波長1,310nmおよび1,550nmのいずれにおいても0.5dB/cm以下の場合を「○」、それ以外を「×」とした。
結果を表2に示す。
Figure 2005255923
[評価結果]
表2に示すように、実施例1〜4では、電場がない時に、挿入損失が0.6dB以下であり、良好な伝送特性を示し、かつ、クラック耐性等にも優れること、及び、電圧印加によって電場を生じさせた時に、挿入損失が0.3dB以上増加し、電場の変化に対する応答性が認められることから、光スイッチ等に応用できることがわかる。
一方、比較例1では、電圧印加によって電場を生じさせた時に、挿入損失がほとんど増加せず、光スイッチ等に応用できないことがわかる。
本発明の電気光学性組成物を用いて作製された光導波路の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 光導波路
2 基板
3 基板側電極
4 下部クラッド層
5 コア部
6 上部クラッド層
7 上部クラッド層側電極

Claims (9)

  1. 含フッ素ポリシロキサン及び電気光学性有機化合物を含むことを特徴とする電気光学性組成物。
  2. 前記含フッ素ポリシロキサンが、下記一般式(1):
    (R(RSi(X)4−p−q (1)
    [式中、Rはフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Rは炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]
    で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上である請求項1に記載の電気光学性組成物。
  3. 前記含フッ素ポリシロキサンが、下記一般式(2)及び(3)からなる群のうち少なくとも1種以上の構造を有する請求項2に記載の電気光学性組成物。
    Figure 2005255923
    [式中、Rはフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Rはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であって、Rと同じでもよい。]
  4. 前記含フッ素ポリシロキサンが、さらに下記一般式(4)及び(5)からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の構造を有する請求項3に記載の電気光学性組成物。
    Figure 2005255923
    [式中、Rはフェニル基又はフッ素化フェニル基、Rはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であって、Rと同じでもよい。]
  5. 前記電気光学性有機化合物が、電子供与性基及び電子求引性基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気光学性組成物。
  6. 前記電子供与性基が、アミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ及びアルコキシアルキルアミノからなる群より選ばれる基であり、かつ、前記電子求引性基が、ニトロ、ジシアノビニル及びトリシアノビニルからなる群より選ばれる基である請求項5に記載の電気光学性組成物。
  7. 前記電気光学性有機化合物が、アニリン誘導体、スチルベン誘導体、スチレン誘導体、アゾベンゼン誘導体及びイミン誘導体からなる群より選ばれる請求項6に記載の電気光学性組成物。
  8. 光酸発生剤を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気光学性組成物。
  9. 電場の変化により屈折率が変化する光導波路用光学材料であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気光学性組成物の硬化物からなることを特徴とする光導波路用光学材料。
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