JP2006063291A - 硬化性組成物及び硬化フィルム - Google Patents

硬化性組成物及び硬化フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】光導波路等の光学材料等に利用可能な、耐熱性、クラック耐性、平坦化性、及び耐剥離性に優れる硬化物を形成し得る硬化性組成物を提供する。
【解決手段】一般式:(R1p(R2qSi(X)4-p-q [式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び/又はその縮合物と、鱗片状フィラーとを含有する硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルムに関する。さらに詳しくは、光導波路等の光学材料等に利用可能な、耐熱性、クラック耐性、平坦化性及び耐剥離性に優れる硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルムに関する。
マルチメディア時代を迎え、光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化および高速化の要求から、光を伝送媒体とする伝送システムが、公衆通信網、LAN(ローカルエリアネットワーク)、FA(ファクトリーオートメーション)、コンピュータ間のインターコネクト、家庭内配線等に使用されるようになっている。これら伝送システムで用いられる光導波路は、例えば映画や動画等の大容量の情報伝達や光コンピュータ等を実現するための光デバイス、光電集積回路(OEIC)、光集積回路(光IC)等における基本構成要素である。そして、光導波路は、大量の需要があることから鋭意研究される一方、特に高性能で、低コストの製品が求められている。
このような光導波路としては、従来、石英系光導波路やポリマー系光導波路が知られている。このうち、石英系光導波路は、伝送特性としてはポリマー系光導波路に比べ優れた特性を有しているものの、酸化物微粒子の堆積に引き続いて行なわれるガラス化工程(1200℃以上)やエッチング処理を必要とするため、作製するには長時間の厳しい作製条件が要求される。他方、ポリマー系光導波路は、スピンコート法やディップコート法等により容易に薄膜を形成できる上、リアクティブイオンエッチング(RIE)やフォトリソグラフィーによって低温プロセスでの作製が可能である。特に、フォトリソグラフィーを用いた光導波路は、短時間で作製できるため、石英系光導波路と比較して、より簡単かつ低コストで形成することができるという利点がある。
該ポリマー系光導波路の材料として、耐熱性に優れるフッ素化ポリイミドが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、フッ素化ポリイミドにおいては、膜厚が薄い場合には影響は少ないが、光導波路に使用する膜厚になると、その構造上の結晶性の高さから膜が脆くなる、また、その弾性率の高さから製造過程で反りが生じる等の問題点を有しており、さらには、その屈折率が石英よりも高いために、フッ素化ポリイミドからなる光導波路を光ファイバ(石英をコア部分に使用)に接続した場合、接続部分での光損失(接続損失)を伴うという問題点を有している。
一方、ポリマー系光導波路は、温度変化の激しい条件下で長期に亘って使用した場合に、シリコンウェハ、ガラス基板等の基材から剥離が生じることがある。そのため、厳しい条件下でも剥離を生じ難くして、長期信頼性を高めることが求められている。
特開平4−9807号公報
以上のように、従来のポリマー系光導波路は、製造自体は石英系光導波路と比較して比較的容易であるものの、低い伝送損失とクラック耐性とを共に満足し、かつ、基材からの剥離やクラックが発生することなく長期的に安定して用い得る性質等を全て備えることが求められていた。本発明は、このような事情を背景として、光導波路等の光学材料等に利用可能な、耐熱性、クラック耐性、平坦化性及び基材に対する耐剥離性に優れる硬化物を形成し得る硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上と、鱗片状フィラーとを必須成分として含有する硬化性組成物においては、各加水分解性シラン化合物のケイ素原子上の結合基として長鎖アルキル基を選択することにより、塗膜に弾性を付与し、クラック耐性を向上させることが可能であり、また、スピンコートにより成膜が可能であることから平坦化性にも優れ、さらに、鱗片状フィラーを含有することから、基材に対する耐剥離性に優れる硬化物(例えば、光導波路等の光学材料等として利用可能なもの)を形成可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[4]を提供するものである。
[1]
一般式(1):
(R1p(R2qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上と、鱗片状フィラーとを含有することを特徴とする硬化性組成物。
[2]
前記鱗片状フィラーが珪酸塩からなる前記[1]の硬化性組成物。
[3]
光酸発生剤を含有する前記[1]又は[2]の硬化性組成物。
[4]
前記[1]〜[3]のいずれかの硬化性組成物から形成される硬化フィルム。
本発明の硬化性組成物によれば、耐熱性、クラック耐性、平坦化性および基材に対する耐剥離性に優れ、クラックの発生を伴うことなく100μm以上の厚膜化が可能な硬化物、特に硬化フィルムを形成可能である。
本発明の硬化性組成物は、光導波路のクラッド層およびコア部分、積層型光導波路の平坦化膜、電子回路と光回路のハイブリッド型素子の層間絶縁膜、マイクロリング共振器の平坦化膜等の光学材料等に利用可能である。
本発明の硬化性組成物を構成する成分について説明する。
[シラン化合物の加水分解物等]
本発明で用いられる「加水分解性シラン化合物の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上」(以下、「シラン化合物の加水分解物等」ともいう。)は、一般式(1):
(R1p(R2qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
で表される加水分解性シラン化合物(以下、「加水分解性シラン化合物(1)」という。)の加水分解物および/またはその縮合物である。
式中のR1は、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基である。本明細書において、非加水分解性とは、Xで示される加水分解性基が加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。かかる非加水分解性の有機基としては、例えばフッ素化アルキル基、フッ素化アリール基、又はこれらの水素原子の一部もしくは全部が、重水素や、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換された有機基等が挙げられる。
かかるフッ素化アルキル基としては、組成式:Cm+n2m2n+1 [mは0〜5の整数であり、nは1〜12の整数であり、m+nは1〜12の整数である。]で表されるフッ素化アルキル基が好ましく、本発明の硬化性組成物から形成される硬化物のパターニング性、クラック耐性等の物性をより一層向上させ、また、導波路損失を低減する観点からは、一般式:CF3(CF2n-1(CH2m [m及びnは前記定義のとおりである。]で表されるフッ素化アルキル基がより好ましい。かかるフッ素化アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でもフッ素含有量が高く、かつ長鎖のアルキル鎖を有するヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が好ましい。また、フッ素化アリール基としては、例えばペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。これらのフッ素化アルキル基及びフッ素化アリール基は、その水素原子の一部又は全部が、重水素や、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。
2は、フッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であり、かかる非加水分解性の有機基としては、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ原子を含有する有機基、重合性基を含有する有機基、又はこれらの水素原子の一部もしくは全部が、重水素や、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換された有機基等が挙げられる。これらの有機基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、重水素化フェニル基、ハロゲン化フェニル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
ヘテロ原子を含有する有機基としては、塩基性でない基が好ましく、例えばエーテル結合を含有する有機基、エステル結合を含有する有機基、スルフィド結合を含有する有機基等が挙げられる。
重合性基を含有する有機基としては、分子中にラジカル重合性基及び/又はカチオン重合性基等を含有する有機基が好ましく、例えばビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、オレフィン基、スチリル基等のラジカル重合性基を含有する有機基;ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性基を含有する有機基等が挙げられる。該重合性基を導入することにより、ラジカル重合及び/又はカチオン重合を生じさせて、硬化性組成物をより効果的に硬化させることができる。
上記一般式(1)におけるXは、同一であるか又は異なる加水分解性基である。本明細書において、加水分解性基とは、大気圧下、かつ後述の加水分解触媒および水の存在下において、0〜150℃の温度範囲内で1〜10時間加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成し得る基、又はシロキサン縮合物を形成し得る基を意味する。
Xが示す加水分解性基としては、例えば炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルオキシ基等が挙げられる。
かかる炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ベンジロキシ基等が挙げられる。これらのアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基を有するアルコキシ基としては、例えばフェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基等の(メタ)アクリロキシ基含有アルコキシ基;グリシドキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基;メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基;オキサシクロヘキシロキシ基等の6員環エーテル基を含有するアルコキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。ただし、ハロゲン原子を含有する加水分解性基を有する加水分解性シラン化合物(1)を用いる場合、得られる硬化性組成物の保存安定性を高める観点から、必要に応じて、加水分解性シラン化合物(1)の加水分解によって生成するハロゲン化水素を、中和や蒸留等の操作により除去するのが好ましい。
アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、pは1又は2であるが、1であるのが好ましい。また、qは0又は1であるが、0であるのが好ましい。
本発明に使用する加水分解性シラン化合物(1)としては、例えばトリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリクロロシラン等が挙げられる。これらの中でも、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン等が好ましい。
本明細書において、加水分解性シラン化合物(1)の加水分解物とは、加水分解反応により加水分解性シラン化合物(1)の加水分解性基の一部又は全部がシラノール基に変化した加水分解反応混合物を意味し、加水分解性シラン化合物(1)の加水分解物の縮合物とは、該加水分解反応混合物中のシラノール基同士又はシラノール基と加水分解性基との縮合反応により得られるシロキサン縮合物を意味する。
本発明の硬化性組成物の必須成分であるシラン化合物の加水分解物等の調製方法は、該組成物中のシラノール基の含有率を過大又は過少としない限り特に制限されないが、該シラノール基の含有率を後述の好適範囲内に制御する観点からは、例えば、加水分解性シラン化合物(1)、酸触媒及び溶媒を混合して得られた溶液に、空気雰囲気中、大気圧及び攪拌下、該溶液中の各成分の沸点以下の温度にて水を滴下した後、0℃〜150℃で1〜24時間、加熱攪拌する方法等に準ずるのが好ましい。なお、加熱攪拌中、必要に応じて蒸留によって反応溶液を濃縮したり、又は溶媒を置換することも好ましい。
かかる触媒としては、加水分解反応及び縮合反応を促進するものであれば特に制限はなく、例えば酸又は塩基等の触媒が挙げられる。酸としては、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸等の1価又は多価の有機酸;塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸;Ti、Zr、Al、B等の無機塩、アルコキシド、カルボキシレート等のルイス酸等が挙げられる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア等の無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。これらは単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、使用する触媒の種類によっても異なるが、通常、全シラン化合物に対して、0.001〜5質量%の範囲であるのが好ましく、0.002〜1質量%の範囲であるのがより好ましい。
かかる溶媒としては、通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有し、各成分を均一に溶解させることのできる有機溶媒であるのが好ましく、例えばエーテル;エステル;ケトン;脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素;1価アルコール、多価アルコール等のアルコール;含窒素化合物、含硫黄化合物等の含ヘテロ原子化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
溶媒の使用量は、加水分解性シラン化合物(1)100質量部に対して、1〜1000質量部であるのが好ましく、10〜100質量部であるのがより好ましい。
ここで、本発明の硬化性組成物は、その硬化物の屈折率や、硬化性、粘度等を調整するために、加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物及びその加水分解物並びにこれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上からなる組成物を含有していてもよい。この場合、加水分解性シラン化合物(1)と加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物との混合物を、上記の加水分解反応及び縮合反応に付し、両加水分解性シラン化合物から形成されるシロキサン縮合物を調製してもよい。
かかる加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物としては、例えばテトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等の4個の加水分解性基を有するシラン化合物;メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基を有するシラン化合物;ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水分解性基を有するシラン化合物等が挙げられる。
本発明で用いられるシラン化合物の加水分解物等における全ケイ素原子上の結合基数に占めるシラノール基(Si−OH)の含有率は、10〜50%の範囲であるのが好ましく、20〜40%の範囲であるのがより好ましい。シラノール基の含有率がこの範囲を外れると、アルカリ現像の際に目的とする形状のパターニングを得ることができなかったり、又は光導波路を形成した場合に導波路損失値が増大することがあり好ましくない。
なお、該シラノール基含有率は、29Si−NMR等にて定量することができる。例えば、各組成物を、NMR測定溶媒である重水素化クロロホルムに溶解させ、29Si−NMR(ジメチルシロキサン基準)にて、−120ppm〜−60ppmにかけて現れる置換基、結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにてピーク分離し、ピークの面積比から各成分のモル%を算出し、得られた各成分中のシラノール基数を掛け合わせ、全ケイ素原子上の結合基数に占めるシラノール基の含有率(%)を算出する。
本発明で用いられるシラン化合物の加水分解物等は、その硬化物のパターニング性、クラック耐性、導波路損失等の物性をより一層向上させる観点から、下記一般式(2)及び(3)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上を有することが好ましい。
Figure 2006063291
[一般式(2)又は(3)中、R3はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、R4はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示す。なお、R3とR4は同一の基であってもよい。]
3が示す、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基としては、一般式:CF3(CF2n-1(CH2m [m及びnは前記定義のとおりである。]で表される基であるのが好ましい。
また、本発明で用いられるシラン化合物の加水分解物等は、その硬化物のパターニング性、耐熱性等の物性をより一層向上させる観点から、下記一般式(4)及び(5)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上を有することが好ましい。
Figure 2006063291
[一般式(4)又は(5)中、R5はフェニル基又はフッ素化フェニル基を示し、R6はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示す。なお、R5とR6は同一の基であってもよい。]
これらの一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する加水分解性シラン化合物としては、加水分解性シラン化合物(1)又は加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物のうち、フェニル基又はフッ素化フェニル基を有する化合物が挙げられ、これらの中でも、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン等が特に好ましい。
さらに、本発明で用いられるシラン化合物の加水分解物等は、その硬化物のパターニング性、クラック耐性、耐熱性、導波路損失等の物性をより一層向上させ、さらには屈折率を制御する観点から、上記一般式(2)及び(3)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上、並びに上記一般式(4)及び(5)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上を有することが好ましい。
[鱗片状フィラー]
本発明で用いられる鱗片状フィラーは、本発明の硬化性組成物からなる光導波路等の光学部材が、温度変化の大きな環境下に長期に亘って置かれても、基材から剥離せずに良好な密着性を保持するために配合される。
鱗片状フィラーの好ましい例としては、シラン化合物の加水分解物等との相溶性の観点から、層状の構造を有する珪酸塩が挙げられる。
鱗片状フィラーは、シラン化合物の加水分解物等との相溶性を高めるために、親油性処理を施してなることが好ましい。
層状の構造を有する珪酸塩の例としては、合成スメクタイト、天然スメクタイト(例えば、モンモリロナイト等)、合成マイカ、天然マイカ、タルク、カオリン等が挙げられる。
中でも、親油性処理を施した合成スメクタイトは、他の成分(シラン化合物の加水分解物等や、溶媒等)との相溶性が良好で、かつ優れた耐剥離性を付与することができる点で、好ましく用いられる。
鱗片状フィラーの市販品としては、例えば、ルーセンタイトSPN、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSTN(以上、コープケミカル社製)等が挙げられる。
シラン化合物の加水分解物等と鱗片状フィラーの合計量中における鱗片状フィラーの配合割合は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは15〜35質量%である。該配合割合が5質量%未満では、硬化性組成物を用いて光導波路等の光学部材を作製したときに、基材に対する当該光学部材の耐剥離性が低下することがある。該配合割合が50質量%を超えると、硬化性組成物の粘性が過度に大きくなり、塗布性が悪くなるとともに、硬化後の機械的強度が低下するおそれがある。
[光酸発生剤]
本発明の硬化性組成物は、光酸発生剤を含むことができる。
光酸発生剤を含む硬化性組成物に対して放射線を照射すると、光酸発生剤が分解して、硬化性組成物を光硬化させる酸性活性物質を放出する。
ここで、放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、α線、γ線等を挙げることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大であり、しかも照射装置が比較的安価でかつ小型である観点から、紫外線を使用することが好ましい。
光酸発生剤としては、例えば、下記一般式(6)で表される構造を有するオニウム塩や、下記一般式(7)で表される構造を有するスルフォン酸誘導体等を挙げることができる。
[R 10 W]+m[MZm+n−m (6)
[一般式(6)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R、R、RおよびR10は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
−〔S(=O)−R11 (7)
[一般式(7)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R11は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0又は1、添え字tは1又は2である。]
(1)オニウム塩
一般式(6)におけるアニオン[MZm+n]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl )、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、一般式(6)におけるアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZOH]で表されるアニオンを使用することも好ましい。さらに、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO )、フルオロスルフォン酸イオン(FSO )、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
また、オニウム塩としては芳香族オニウム塩が好ましく、特に好ましくはトリアリールスルホニウム塩、下記一般式(8)で表される化合物、下記一般式(9)で表されるジアリールヨードニウム塩あるいはトリアリールヨードニウム塩である。
Figure 2006063291
[一般式(8)中、R12およびR13は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基、R14は水酸基または−OR15(但し、R15は1価の有機基である。)を示し、aは4〜7の整数、bは1〜7の整数である。ナフタレン環への各置換基の結合位置は特に限定されない。]
[R16−Ph−I−Ph−R17][Y] (9)
[一般式(9)中、R16およびR17は、それぞれ1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R16およびR17の少なくとも一方は、炭素数が4以上のアルキル基を有しており、PhおよびPhはそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Yは1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO 、CFSO から選ばれる陰イオンである。]
一般式(8)で表される化合物としては、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジヒドロキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
さらに、ジアリールヨードニウム塩としては、具体的に、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
(2)スルフォン酸誘導体
一般式(7)で表されるスルフォン酸誘導体としては、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類等を挙げることができる。
これらの中で好ましくはイミドスルホネート類であり、さらに好ましくはトリフルオロメチルスルホネート誘導体である。
光酸発生剤の配合量は、特に制限されるものではないが、シラン化合物の加水分解物等100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。該配合量が0.01質量部未満では、光硬化性が低下し、十分な硬化速度が得られない傾向がある。該配合量が15質量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する傾向がある。
[酸拡散制御剤]
本発明の硬化性組成物は、酸拡散制御剤を含むことができる。
酸拡散制御剤は、光照射によって光酸発生剤から生じた酸性活性物質の被膜中における拡散を制御し、非照射領域での硬化反応を抑制する作用を有する化合物と定義される。ただし、定義上、光酸発生剤と区別するため、酸拡散制御剤は、酸発生機能を有しない化合物である。
このような酸拡散制御剤を添加することにより、光硬化性組成物を効果的に硬化して、パターン精度を向上させることができる。
酸拡散制御剤の種類としては、形成工程中の露光や加熱処理によって塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
NR181920 (10)
[一般式(10)中、R18、R19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表す。]
また、別の含窒素有機化合物としては、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物や、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体、あるいは、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
含窒素有機化合物の具体例としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等を挙げることができる。
なお、酸拡散制御剤は、一種単独で使用することもできるし、あるいは二種以上を混合して使用することもできる。
酸拡散制御剤の配合量は、シラン化合物の加水分解物等100質量部に対して、好ましくは0.001〜15質量部、より好ましくは0.005〜5質量部である。
該配合量が0.001質量部未満では、プロセス条件によっては、光導波路のパターン形状や寸法再現性が低下することがある。該配合量が15質量部を超えると、硬化性組成物の光硬化性が低下することがある。
[塩基性化合物]
本発明の硬化性組成物は、塩基性化合物を含むことができる。
塩基性化合物としては、放射線や熱などの外部刺激に応答して、本発明の硬化性組成物を硬化させることが可能な塩基性活性物質を放出する化合物(塩基発生剤)を使用するのが好ましい。
かかる塩基性化合物としては、光塩基発生剤、熱塩基発生剤等が挙げられる。これらの中でも、光塩基発生剤が貯蔵安定性の観点から好ましい。
光塩基発生剤の例としては、2−ニトロベンジル N−シクロヘキシルカルバメイト(市販品名:NBC−101、みどり化学株式会社製)、トリフェニルスルフォニウムハイドロオキサイド(市販品名:TPS−OH、みどり化学株式会社製)、アニソイン N−シクロヘキシルカルバメイト(市販品名:ANC−101、みどり化学株式会社製)、ニフェジピン(東京化成工業株式会社製)等が挙げられる。
熱塩基発生剤の例としては、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンジイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
塩基性化合物の配合量は、特に制限されないが、シラン化合物の加水分解物等と鱗片状フィラーの合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以下である。該配合量が5質量部を超えると、急激な硬化によって、塗膜にクラックが生じやすくなり好ましくない。
[溶媒]
本発明の硬化性組成物は、溶媒を配合することによって、保存安定性を向上させることができ、また、適度な粘度を付与することができ、均一な膜厚を有する硬化フィルムを形成することができる。
かかる溶媒としては、上述のシラン化合物の加水分解物等の調製で用いる溶媒と同じものを使用することができるが、本発明の硬化性組成物の保存安定性をより向上させる観点からは、1価又は多価アルコール、ケトン、エステル、芳香族炭化水素を使用するのが好ましく、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、トルエン、キシレン、メタノール等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の硬化性組成物に配合する溶媒は、組成物の塗布方法を考慮して適宜、選択するのが好ましい。例えば、均一な厚さを有する薄膜が容易に得られることから、スピンコート法を用いることが好ましく、その場合に使用される溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類等が好ましく、これらの中でも、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物に配合する溶媒の配合量は、鱗片状フィラーの配合量によっても異なるが、シラン化合物の加水分解物等100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは2〜200質量部である。該配合量をこの範囲内とすれば、組成物の保存安定性を向上させ、かつ適度な粘度を付与することができ、均一な膜厚を有する硬化フィルムを形成することができる。
さらに、本発明の硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、例えば、熱酸発生剤、反応性希釈剤、ラジカル発生剤(光重合開始剤)、光増感剤、金属アルコキシド、無機微粒子、脱水剤、レベリング剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、高分子添加剤等を配合させることも好ましい。
本発明の硬化性組成物の粘度は、25℃において、5〜5,000mPa・sが好ましく、10〜1,000mPa・sがより好ましい。粘度が5,000mPa・sを超えると、均一な塗膜を形成することが困難となる場合があり好ましくない。本発明の硬化性組成物の粘度は、溶媒や反応性希釈剤の配合量によって、適宜調整することができる。
本発明の硬化フィルムは、基材の表面に本発明の硬化性組成物を塗布し、乾燥またはプリベークして薄膜を形成し、次いで、該薄膜に光照射及び/又は加熱して硬化させることにより形成することができる。
硬化性組成物を塗布した後、50〜200℃の温度で、例えば5分〜1時間、プリベークすることが好ましく、光照射による露光後においても30〜400℃、好ましくは50〜300℃で、例えば5分〜72時間かけて加熱処理を施すことが好ましい。これにより塗膜全面を十分に硬化させることができる。
硬化フィルムの厚さは、特に限定されないが、クラックの発生を伴うことなく厚膜化することを目的とする場合には、好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上、特に好ましくは100μm以上である。この場合、硬化フィルムの上限値は、クラック耐性の観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
該硬化フィルムの形成に用いる光は、特に制限されるものではないが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。波長200〜450nmでの照射は、照度が1〜1,000mW/cm2、照射量が0.01〜5,000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1,000mJ/cm2となるように行なわれて露光される。
照射する光の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を用いることができるが、光源の工業的な汎用性から、好ましくは200〜400nm、特に好ましくは365nmの紫外線を含む波長が好ましい。そして、照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどの広い面積を同時に照射するランプ光源と、パルス、連続発光等のレーザー光源のいずれか一方又は両方の光源から、ミラー、レンズ、光ファイバーを用いて収束光を生じさせるものを用いることができる。
ここで、本発明の硬化性組成物を基材に塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等の方法を用いることができる。これらの中でも、特に均一な厚さの薄膜が得られることから、スピンコート法を採用するのがより好ましい。
本発明の硬化性組成物から形成される硬化物の屈折率は、加水分解性シラン化合物(1)、及び必要に応じて、加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物からなる化合物群から、高屈折率を付与するモノマーである加水分解性シラン化合物、及び低屈折率を付与するモノマーである加水分解性シラン化合物を適宜選択して併用することにより、所望の値(例えば、波長1,310nmの光の屈折率として、石英と略同じ値である1.445±0.002)の値に調整することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)及びシュウ酸(0.04g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、120℃にて6時間攪拌し、シロキサンオリゴマーを生成させた。
次いで、鱗片状フィラーである親油性処理を施した合成スメクタイト(商品名:ルーセンタイトSPN、コープケミカル社製)を、シロキサンオリゴマー(固形分)との合計100質量部中で10質量部となる量だけ添加し、さらに、光酸発生剤として1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート0.32g、酸拡散制御剤としてトリ−n−オクチルアミン0.03g、組成物中の最終的な固形分濃度が65質量%となる量の1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、均一に混合して、硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物を、シリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cmの紫外線を露光機(キャノン製フォトアライナー)にて3分間照射した。さらに、200℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製した。
[実施例2〜4、比較例1]
合成スメクタイトの添加量を表1に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物および硬化フィルムを得た。
[比較例2]
合成スメクタイトに代えて、シロキサンオリゴマー(固形分)との合計100質量部中で20質量部となる量の親油性処理を施した粒状フィラー(商品名:MEK−ST、日産化学工業社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物および硬化フィルムを得た。
[物性の評価]
得られた硬化性組成物および硬化フィルムの物性を、以下のように評価した。
(1)塗布性
シリコン基板上に硬化性組成物を塗布した後、形成された硬化フィルムに対して、光学顕微鏡にて平均膜厚を測定した。硬化性組成物の粘性が小さく、塗布時の作業性が良好であって、しかも設計値(100μm)に対して、設計値±5μm以内の平均膜厚が得られた場合を「◎」、硬化性組成物の粘性がやや大きく、塗布時の作業性がやや劣るものの、設計値(100μm)に対して、設計値±5μm以内の平均膜厚が得られた場合を「○」、硬化性組成物の粘性が大きすぎて、塗布が困難であるか、あるいは、設計値(100μm)に対して、設計値±5μm以内の平均膜厚が得られなかった場合を「×」とした。
(2)冷熱サイクル試験
シリコン基板上の硬化フィルムを、前記の各種(実施例1〜4、比較例1〜2)毎に100枚ずつのチップとして用意し、温度85℃、相対湿度85%の条件下で2,000時間放置した後、温度25℃、相対湿度50%に24時間放置し、シリコン基板からの剥離が生じたかどうかを目視により確認した。サンプル100枚中、0〜10枚に剥離が生じていた場合を「◎」、11〜20枚に剥離が生じていた場合を「○」、21〜30枚に剥離が生じていた場合を「△」、31枚以上に剥離が生じていた場合を「×」とした。
結果を表1に示す。
Figure 2006063291
表1から、特定の量の鱗片状フィラーを含む硬化性組成物を用いた実施例1〜4では、冷熱サイクル試験(耐剥離性の試験)の結果が良好であるのに対し、鱗片状フィラーを含まない硬化性組成物を用いた比較例1、および粒状フィラーを含む硬化性組成物を用いた比較例2では、いずれも冷熱サイクル試験の結果が劣ることがわかる。

Claims (4)

  1. 一般式(1):
    (R1p(R2qSi(X)4−p−q (1)
    [式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
    で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上と、鱗片状フィラーとを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記鱗片状フィラーが珪酸塩からなる請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 光酸発生剤を含有する請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成される硬化フィルム。
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