JP4143393B2 - 両面転写装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる1パス方式によって転写紙等の記録体の両面に画像を転写する両面転写方法、並びにこれを用いる両面転写装置、画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録体の両面にトナー像等の可視像を転写する両面転写方式として、いわゆるスイッチバック方式のものを採用した画像形成装置が知られている(例えば特許文献1等)。スイッチバック方式とは、記録体を転写手段と定着手段とに通してその一方の面だけに可視像を定着せしめた後、記録体を反転させて再び転写手段と定着手段とにスイッチバックさせる方式である。かかるスイッチバック方式を用いる画像形成装置においては、定着手段に一旦通した記録体を反転させてスイッチバックさせるための複雑なスイッチバック機構が必要になってコスト高になるという不具合があった。また、記録体のスイッチバックによって両面転写の高速化が困難になるという不具合もあった。更には、スイッチバック前の記録体を定着手段内で加熱してカールさせてしまい、スイッチバック時にジャムを発生させ易くなるという不具合もあった。
【0003】
そこで、記録体を内部の搬送経路内に1回だけ通過させる間に、その両面に可視像を転写するいわゆる1パス両面転写を行う画像形成装置が種々提案されている。かかる1パス両面転写によれば、記録体のスイッチバックを行う必要がないので、スイッチバック機構の付設によるコストアップやスイッチバック時のジャムを解消することができる。また、スイッチバックによって両面転写の高速化を妨げるといった事態も解消することができる。
【0004】
上記1パス両面転写には、像担持体上の可視像を記録体の両面に対してそれぞれ直接的に転写する直接転写方式と、少なくとも記録体の一方の面に対しては中間転写体を介して可視像を間接的に転写する間接転写方式とがある。
【0005】
上記直接転写方式の1パス両面転写を行う画像形成装置としては、例えば、特許文献2に記載のものが知られている。この画像形成装置は、互いに帯電極性(以下、単に極性という)の異なるトナーからなる2種類のトナー像をそれぞれ個別に形成するための第1感光体、第2感光体を有している。互いに極性の異なるトナー像を形成するのは、次の理由による。即ち、互いに同じ極性の2つのトナー像を、記録体を介して向かい合わせながら、それぞれ記録体に向けて静電移動させることは極めて困難である。一方のトナー像を記録体の一方の面に向けて静電移動させようとすると、もう一方のトナー像を記録体のもう一方の面から遠ざける方向に静電移動させてしまうからである。これは、2つのトナー像を両者間に介在する記録体に向けてそれぞれ反対方向に同時に静電移動させる電界を形成することができないからである。たとえ、所定の周期で方向の反転する交番電界を形成して対処しようとしても、電界の向きを途中で逆転させてしまうため、逆転時に何れか一方のトナー像を記録体から転写元に向けて逆移動させてしまう。そこで、互いに極性の異なるトナー像を形成するための第1感光体、第2感光体を対向配設し、その対向部に記録体を通すのである。すると、例えば、両感光体間に負極性のトナー像を第1感光体側から第2感光体側に静電移動させる電界を形成していれば、第1感光体上の負極性のトナー像を両感光体に挟まれている記録体一方の面に向けて静電移動させる。そして、この静電移動によって一方の面に転写することができる。同時に、記録体の反対面側では、第2感光体上の正極性のトナー像を第1感光体に向けて静電移動させて、記録体の反対面に転写することができる。しかしながら、かかる構成では、互いに極性の異なるトナー像をそれぞれ別々に形成するための2つの感光体や光書込手段を設ける必要があるため、コストアップを招来してしまう。また、これら感光体や光書込手段について、トナー極性の違いから共通仕様のものを用いることができないため、メンテナンス性を悪化させるという不具合があった。更には、互いに極性が異なるだけで色等の外見は殆ど変わらないトナーを区別して管理しなければならず、このことがメンテナンス性をより一層悪くしていた。
【0006】
一方、上記間接転写方式の1パス両面転写を行う画像形成装置としては、例えば特許文献3に記載のものが知られている。この画像形成装置は、まず、感光体と中間転写ベルトとを対向させて前段転写部において、感光体から中間転写ベルトに第1トナー像を静電転写した後、その感光体上に第1トナー像と同じ極性の第2トナー像を形成する。次に、上記前段転写部に送り込んだ記録体に対し、その第2面に感光体上の第2トナー像を密着させながら、反対側の第1面に中間転写体ベルトの第1トナー像を密着させる。そして、第2トナー像を感光体から記録体の第2面に静電転写する。感光体上の第2トナー像を記録体の第2面に静電転写する際、記録体の第1面に密着している第1トナー像に対しては第1面から離間させてベルト側に移動させる方向の電界を作用させる。このため、第1トナー像については、第1面に静電転写しないままでいる。上記前段転写部を通過させた記録体については、感光体表面から分離して中間転写ベルト表面だけに保持させるようになっており、その第2面を露出させながら後段転写部まで搬送する。この後段転写部には、転写チャージャを、中間転写ベルトの表面に保持されながら搬送される記録体の第2面に所定の間隙を介して対向させるように配設している。この転写チャージャにより、記録体の第2面にトナーとは逆極性の電荷を付与させる。そうすると、記録体の第1面に転写しないままでいた第1トナー像を、その電荷の影響によって中間転写ベルトから第1面に静電転写することができる。かかる構成の画像形成装置においては、記録体のそれぞれの面に転写するための2つのトナー像を互いに同じ極性のトナーで形成することができるので、上述したメンテナンス性の悪化を解消することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−61288号公報
【特許文献2】
特開平2−259670号公報
【特許文献3】
特開平10−142869号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献3に記載の画像形成装置においては、記録体として転写紙等の紙材を用いると、その紙材の第2面からこれに接触する感光体に紙粉を付着させることがある。そして、付着させた紙粉により、感光体表面における後の作像工程に悪影響を及ぼして画質劣化を引き起こすことがあった。更に、いわゆるタンデム方式を採用すると、重ね合わせズレを引き起こし易くなるという不具合も生ずる。このタンデム方式とは、感光体等の像担持体を複数配設しておき、移動体に保持させた記録体を各像担持体との対向部に順次通していく過程で、各トナー像を重ね合わせて静電転写してカラー画像等の多重像を形成する方式である。記録体を中間転写ベルト表面に保持させながら搬送する際、ベルト表面に厳密に追従させて移動させたいのであるが、ベルト表面で微妙にスリップさせることがある。同画像形成装置のように各トナー像を感光体から記録体に直接重ね合わせる構成にタンデム方式を採用した場合、かかるスリップが起こると、各感光体から記録体への重ね合わせ位置が相対的にずれる。このずれによって重ね合わせズレが生じてしまうのである。
【0009】
そこで、本発明者らは、2つの中間転写ベルトを用いて間接転写方式の1パス両面転写を行う画像形成装置を開発中である。この画像形成装置(以下、開発装置という)は、1次転写部、前段転写部、後段転写部という3つの転写部を有している。1次転写部では、感光体と第1中間転写ベルトとが当接しており、感光体上の第1トナー像や第2トナー像が第1中間転写ベルトに静電転写される。両可視像は互いに同極性のトナーによって形成される。前段転写部では、第1中間転写ベルトと第2中間転写ベルトとが当接しており、まず、第1中間転写ベルト上の第1トナー像が第2中間転写ベルトに静電転写される。次に、感光体上に第2トナー像が形成される。そして、タイミングを計って送られてきた記録体に対し、その第2面に感光体上の第2トナー像が密着する一方で、その第1面に第2中間転写ベルト上の第1トナー像が密着する。そして、感光体上の第2トナー像が記録体の第2面に静電転写される。このとき、第2中間転写ベルト上の第1トナー像は、上記特許文献3の画像形成装置と同様の理由により、記録体の第1面に静電転写されないままでいる。そして、後段転写部において、上記特許文献3の画像形成装置と同様に記録体の第2面に転写チャージャによるチャージがかけられることで、第2中間転写ベルトから記録体の第1面に転写される。かかる構成では、感光体と記録体とを直接接触させずに1パス両面転写を行うので、記録体から感光体に紙粉を付着させることによる画像劣化を抑えることができる。また、タンデム方式を採用した場合には、第1中間転写ベルト上で微妙にスリップする記録体に各感光体上のトナー像を重ね合わせるのではなく、第1中間転写ベルトそのものに重ね合わせることになる。このため、重ね合わせズレを起こし難い。
【0010】
ところが、この開発装置や上記特許文献3に記載の画像形成装置においては、画像からその周囲に飛び散ったトナーによる斑点状の汚れを発生させ易いという不具合があった。特に、開発装置では、この斑点状の汚れが顕著であった。そこで、本発明者らがこの原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことを見出した。即ち、これらの装置では、上述の後段転写部で転写チャージャによって記録体の第2面に電荷を付与する際の衝撃により、トナーを第2面上の第2トナー像からその周囲に飛び散らせ易くなる。また、この際、記録体を中間転写ベルト(又は第2中間転写ベルト)の表面に向けて強く押圧しておらず、記録体の第1面と中間転写ベルトとの密着性を良好に確保していない。このため、上記電荷の付与の影響によって第1面上の第1トナー像からもトナーを飛び散らせ易い。更には、重ね合わせ転写の工程や、上述の前段転写部において、いわゆる転写チリという現象が多少なりとも生じてしまう。これは、転写部の入口や出口で放電が生じたり弱電界が形成されたりして、トナー像中のトナーが周囲に飛び散ってしまう現象である。この転写チリによるトナーの飛び散りと、上記後段転写部におけるトナーの飛び散りとが累積されて、斑点状の汚れが視認される程度まで悪化し易くなっていた。特に、開発装置では、上記特許文献3に記載の画像形成装置よりも静電転写工程が1回多くなるため、斑点上の汚れが更に顕著になっていたのである。
【0011】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次に列記する事項を何れも実現することができる両面転写方法等、並びにこれを用いる両面転写装置、画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
(1)記録体のスイッチバックに起因してコストアップやジャムを生じたり、両面転写の高速化を困難にしたりといった事態を解消する。
(2)互いに極性の異なる可視像を形成するための2つの可視像形成手段を設けることによるコストアップやメンテナンス性の悪化を解消する。
(3)記録体から像担持体に紙粉を付着させることによる画質劣化を抑えるとともに、タンデム方式を採用した場合の重ね合わせズレを抑える。
(4)転写チャージャによって記録体の第2面に電荷を付与することに起因する画像周囲の斑点状の汚れを解消する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、第1中間転写体と第2中間転写体との対向部よりも上流側から該対向部を経て下流側へと延びる経路を1回だけ通過する記録体に対し、予め像担持体から第1中間転写体を介して第2中間転写体上に転写しておいた第1可視像をその第1面に転写する一方で、予め該像担持体から該第1中間転写体に転写しておいた第2可視像をその第2面に転写する両面転写装置において、上記像担持体から上記第1中間転写体、上記第1中間転写体から上記第2中間転写体、及び上記第1中間転写体から記録体の第2面については、それぞれ可視像の転写を静電転写方式で行う一方で、上記第2中間転写体から記録体の第1面については、上記第1可視像の転写を加熱転写方式による加熱転写手段で行うようにするとともに、該加熱転写手段を上記下流側で且つ上記第1中間転写体に対して非接触で配設したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の両面転写装置において、上記第1中間転写体から上記第2中間転写体への上記第1可視像の静電転写、及び、上記第1中間転写体から記録体の第2面への上記第2可視像の静電転写については、それぞれ同一の静電転写手段で行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の両面転写装置において、上記加熱転写手段として、上記静電転写手段とは別体で構成したものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の両面転写装置において、上記第2中間転写体として、表面粗さRzが20[μm]未満であるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の両面転写装置において、上記第2中間転写体として、表面粗さRzが5[μm]以上であるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、表面に可視像を担持する像担持体と、該像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、該像担持体上の可視像を記録体の両面に転写する両面転写装置とを備える画像形成装置において、上記両面転写装置として、請求項1乃至5の何れかのものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記像担持体を複数設けるとともに、上記第1可視像や第2可視像として、各像担持体上の可視像を上記第1中間転写体に重ね合わせ転写した多重像を形成させるように、上記両面転写装置を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6又は7の画像形成装置において、可視像をその軟化温度以上に昇温せしめる値まで、上記加熱転写手段による加熱温度を高く設定したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記第2中間転写体として、無端移動せしめられる第2中間転写ベルトを用いたことを特徴とするものである。
【0013】
これらの発明においては、対向部よりも上流側から対向部を経て下流側へと延びる経路を1回だけ通過する記録体に対して、その両面に可視像を転写する1パス両面転写を行う。よって、記録体のスイッチバックに起因してコストアップやジャムを生じたり、両面転写の高速化を困難にしたりといった事態を解消することができる。
また、第2中間転写体から記録体の第1面への第1可視像の転写については、転写チャージャによって記録体の第2面に電荷を付与する方式ではなく、電荷によらない加熱転写方式によって行う。このため、転写チャージャによって記録体の第2面に電荷を付与することに起因する画像周囲の斑点状の汚れを解消することができる。
また、第1可視像を記録体の第1面に対して静電力によらない加熱転写方式で転写することで、第1可視像と第2可視像とを互いに同極性の像形成物質で形成しても、両可視像を記録体のそれぞれ反対面に転写することが可能になる。よって、互いに極性の異なる可視像を形成するための2つの可視像形成手段を設けることにあるコストアップやメンテナンス性の悪化を解消することができる。
また、像担持体と記録体とを直接接触させずに1パス両面転写を行うので、記録体から像担持体に紙粉を付着させることによる画像劣化を抑えることができる。更には、タンデム方式を採用した場合には、第1中間転写体上で微妙にスリップする転写紙ではなく、第1中間転写体そのものに各可視像を重ね合わせるので、重ね合わせズレを抑えることができる。
これらの結果、上述した(1)から(4)までの事項を何れも実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの概略構成図である。図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。これらは、互いに異なる色の像形成物質たるY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット6Yを例にすると、図2に示すように、ドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電手段3Y、帯電装置4Y、現像手段5Y等を備えている。像担持体たる感光体1Yは、直径30〜100[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像手段5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に静電的に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電手段3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスユニット6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0015】
先に示した図1において、プロセスユニット6Y,M,C,Kの図中下方には、露光装置7が配設されている。潜像形成手段たる露光装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスユニット6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射して露光する。この露光により、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。
【0016】
露光装置7の図中下側には、2つの紙収容カセット41,42、これらに個々に組み込まれた給紙ローラ43,44、レジストローラ対45など有する給紙手段が配設されている。2つの紙収容カセット41,42は、それぞれ記録体たる転写紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収納しており、一番上の転写紙Pにはそれぞれ給紙ローラ43,44が当接している。給紙ローラ43,44が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pがレジストローラ対45のローラ間に向けて給紙される。レジストローラ対45は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0017】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの図中上方には、第1中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる第1転写ユニット15が配設されている。この第1転写ユニット15は、第1中間転写ベルト8の他、第1クリーニング装置10、ヒートパイプ11などを有している。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、2次転写バックアップローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども有している。第1中間転写ベルト8は、これら7つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらバイアスローラは、第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電するチャージャ方式のものであってもよい。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて静電的に1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に多色像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。かかる構成では、露光装置7や各プロセスユニット(6Y,M,C,K)によって像担持体たる感光体に可視像たるトナー像を形成する可視像形成手段が構成されている。
【0018】
上記2次転写バックアップローラ12は、後述の2次転写バイアスローラ19やニップ拡張ローラとの間に、第1中間転写ベルト8及び第2中間転写ベルト16(後述する)を挟み込んで2次転写ニップを形成している。第1中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに加熱転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに加熱転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、第1中間転写ベルト8は、そのループ外面(おもて面)側に配設された第1クリーニング装置10のクリーニングローラ10aと、そのループ内面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーがクリーニングローラ10a上に転移することでクリーニングされる。クリーニングローラ10a上に転移した転写残トナーは、第1クリーニング装置10内部の掻き取りブレード10bによって掻き取られた後、搬送スクリュウ10cによって図示しない回収部に搬送される。中間転写ベルト8は、後述する理由によって2次転写ニップで若干ながら加熱される。ヒートパイプ11は、第1クリーニング装置10よりもベルト移動方向下流側で第1中間転写ベルト8のおもて面に接触するように配設され、2次転写ニップで加熱された第1中間転写ベルト8を冷却する。なお、第1クリーニングローラ10aは、その表面粗さが第1中間転写ベルト8よりも粗くなっているローラである。転写残トナーのローラ表面への転移が困難である場合には、内部に熱源を設けてもよく、この場合、熱伝導率の良好な銅やアルミをローラ素材として用いることが可能である。
【0019】
上記第1転写ユニット15の図中右側方には、第2中間転写ベルト16を張架しながら無端移動せしめる第2転写ユニット25が配設されている。この第2転写ユニット25は、第2中間転写ベルト16の他、第2加熱ローラ18や第2クリーニング装置17などを有している。また、2次転写バイアスローラ19、ニップ拡張ローラ20、第1加熱ローラ21、第2クリーニングバックアップローラ22、テンションローラ23なども有している。第2中間転写ベルト16は、これら5つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。上述の第1転写ユニット15の2次転写バックアップローラ12は、その周面の一部に第1中間転写ベルト8を巻き掛けている。そして、その巻き掛け部分を、第2中間転写ベルト16における2次転写バイアスローラ19からニップ拡張ローラ20に至るまでの展張部分に食い込ませるように配設されている。このような食い込み配設により、第2中間転写ベルト16は第1中間転写ベルト8を介して、上記展張部分の一部を2次転写バックアップローラ12に巻き掛けて、その長さ方向において第1中間転写ベルト8に広く当接している。このように広く当接している箇所が2次転写ニップである。ここには、図3に示すように、アース接続されている2次転写バックアップローラ12と、負極性のトナーとは逆極性である正極性の2次転写バイアスが印加される2次転写バイアスローラ19との電位差によって2次転写電界が形成されている。なお、2次転写ニップのベルト周長方向の長さとしては、5〜10[mm]程度がよい。
【0020】
先に図1に示したレジストローラ対45は、転写紙Pを第1中間転写ベルト8上の4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第1面(後述のスタック部65上で上を向く面)に転写される第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップで2次転写電界の影響を受けながら押圧されて第2中間転写ベルト16上に静電2次転写される。一方、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部65上で下を向く面)に転写される第2トナー像である場合、レジストローラ対45は転写紙Pを第2トナー像に同期させるように2次転写ニップに送り出す。よって、第1中間転写ベルト8上の第2トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pの第2面に静電2次転写される。これにより、第2トナー像は転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、先に第2中間転写ベルト16上に2次転写されていた第1トナー像は、ベルトとともに一周して2次転写ニップに戻ってきているため、転写紙Pの第1面に密着している。但し、2次転写ニップには、第1面から第2中間転写ベルト16表面に向かう静電力が作用する2次転写電界が形成されているため、第1面に密着しているだけでそこに2次転写されないままでいる。
【0021】
両中間転写ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップを通過した転写紙Pは、第1中間転写ベルト8表面から分離され、第2中間転写ベルト16表面に保持されながら図中上方に向けて搬送される。そして、後述の加熱転写ニップで加熱されながら、その第1面に第2中間転写ベルト16上の第1トナー像が加熱転写された後、第2中間転写ベルト16から分離される。
【0022】
第2中間転写ベルト16から分離された転写紙Pは、反転ガイド板対50に沿って反転せしめられながら、排紙ローラ対51に送られる。そして、プリンタ筺体の上面に設けられたスタック部65に排出されてそこにスタックされる。
【0023】
2次転写ニップを通過した後の第2中間転写ベルト16は、後述の第1加熱ローラ21による張架位置を経た後、第2クリーニングバックアップローラ22と第2クリーニング装置17の間に挟み込まれる。そして、ここで、おもて面に残留していた転写残トナーがクリーニングローラ17bによってクリーニングされる。クリーニングされた転写残トナーは、第2クリーニング装置17内部で、掻き取りブレードによって掻き取られた後、搬送スクリュウによって図示しない回収部に搬送される。第2クリーニング装置17のクリーニングローラ17bが第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に静電2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置17は、図示しない揺動機構によって揺動軸17aを中心に図中矢印方向に揺動することで、そのクリーニングローラ17bを第2中間転写ベルト16に接離させるように構成されている。そして、少なくともその対向位置を第1トナー像が通過する間は、クリーニングローラ17aを第2中間転写ベルト16から離間させることで、第1トナー像のクリーニングを回避する。なお、第2クリーニングローラ17bは、その表面粗さが第2中間転写ベルト16よりも粗くなっているローラである。転写残トナーのローラ表面への転移が困難である場合には、内部に熱源を設けてもよく、この場合、熱伝導率の良好な銅やアルミをローラ素材として用いることが可能である。
【0024】
第1転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部65との間には、ボトル収容部60が配設されている。このボトル収容部60は、Y,M,C,Kトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKを収容している。ボトルBY,BM,BC,BK内のY,M,C,Kトナーは、それぞれ図示しない粉体ポンプ等の補給手段により、対応するプロセスユニット6Y,M,C,K内の現像手段に適宜補給される。
【0025】
なお、先に図3では、第1中間転写ベルト8上のトナー像を2次転写バイアスローラ19側に静電的に引き寄せる方式の静電2次転写を用いた例を示している。具体的には、2次転写バックアップローラ12をアース接続し、且つ2次転写バイアスローラ19にトナーと逆極性の2次転写バイアスを印加して、第1中間転写ベルト上のトナー像を2次転写バイアスローラ19側に引き寄せている。このように引き寄せる方式の静電2次転写方式に代えて、静電的に押し出す方式の静電2次転写方式を採用することも可能である。具体的には、図4に示すように、2次転写バックアップローラ12に対してトナーと同じ負極性の2次転写バイアスを印加して実質的にバイアスローラとしての機能をもたせる。この一方で、2次転写バイアスローラ19をアース接続して実質的にバックアップローラとして機能させる。そうすると、第1中間転写ベルト8上のトナー像を実質的にバックアップローラとして機能する2次転写バイアスローラ19側に向けて静電的に押し出して静電2次転写すことができる。
【0026】
先に示した図1において、第1トナー像は、第2トナー像に先行して形成されて第2中間転写ベルト16上に静電2次転写された後、転写紙Pの第1面に加熱転写されてスタック部65で上を向く。これに対し、第1トナー像よりも後に形成される上記第2トナー像は、転写紙Pの第2面に静電2次転写されてスタック部65で下を向く。よって、スタック部65にスタックされていく転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を下に向ける。本プリンタ100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部65において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面プリントモードを実行する際には、頁番号の小さい画像から順にそれぞれ第2トナー像として形成していく。このことにより、片面プリントモードにおいても、スタック部65で頁番号を下から順に揃えることができる。
【0027】
本プリンタ100の4つの感光体1Y,M,C,K上において、第2トナー像用の単色トナー像は、それぞれ非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された単色トナー像が、1次転写、加熱転写という2回の転写工程を経て転写紙Pに至る過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体ドラム上で正像として形成されることで、転写紙P上においても正像になるのである。これに対し、第1トナー像用の単色トナー像は、静電2次転写工程の後に更に加熱転写工程を経るため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体ドラム上で鏡像として形成される。このことにより、第1トナー像も、転写紙P上において正像となることができる。
【0028】
以上の基本的な構成を備える本プリンタ100では、第1転写ユニット15と第2転写ユニット23との組合せにより、記録体たる転写紙Pの両面に可視像たる4色トナー像を転写する両面転写装置が構成されている。また、潜像担持体たる感光体(1)と現像手段たる現像手段(5)とを有する4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kや、潜像形成手段たる露光装置7などによってトナー像形成手段が構成されている。
【0029】
次に、本プリンタ100の特徴的な構成について説明する。
上記第2転写ユニット25において、2次転写ニップよりも下流側には、第2中間転写ベルト16を張架しながら回転する第1加熱ローラ21と、これとの間に第2中間転写ベルト16を挟み込む第2加熱ローラ18とが配設されている。この挟み込みにより、第2加熱ローラ18と、第2中間転写ベルト16とが当接する加熱ニップが形成されている。第1加熱ローラ21、第2加熱ローラ18は、それぞれ内部に図示しないハロゲンランプ等の熱源を有しており、第2中間転写ベルト16を裏面、おもて面側から加熱する。2次転写ニップを通過した転写紙Pは、第2トナー像が静電2次転写せしめられた第2面を露出させ、且つ第1面と第2中間転写ベルト16との間に第1トナー像を介在させながら、加熱ニップに送られる。すると、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像が軟化しながら押圧されて転写紙Pの第1面に加熱転写され、更にはそこに定着せしめられる。また、同時に転写紙Pの第2面上の第2トナー像が軟化しながら押圧されて第2面に定着せしめられる。かかる構成では、第1加熱ローラ21と第2加熱ローラ18との組合せが、第2中間転写体上の第1トナー像を転写紙Pの第1面に加熱転写せしめる加熱転写手段として機能している。そして、転写チャージャによって転写紙Pの第2面に電荷を付与する方式ではなく、電荷によらない加熱転写方式にて第1トナー像を転写紙Pの第1面に転写する。このことにより、転写紙Pの第2面に電荷を付与することによる画像周囲の斑点状の汚れを解消することができる。なお、図1では、第1加熱ローラ21と第2加熱ローラ18とによって転写紙Pを両面から加熱する加熱転写手段の例を示したが、1つの加熱部材だけを用いて転写紙Pを片面側だけから加熱する加熱転写手段を用いてもよい。但し、この場合、熱伝導効率の観点から、転写紙Pを第1面側から加熱させるように加熱部材を設けることが望ましい。図示の例では、第1加熱ローラ21だけを設けるのである。
【0030】
図1において、転写紙Pを両面から加熱する加熱転写手段を用いているのは、次に説明する理由による。即ち、第1トナー像を転写紙Pの第1面に定着させずに、加熱転写せしめるだけであれば、定着までさせる場合よりも低い加熱温度に設定することができる。但し、第1トナー像については、少なくとも本体からの転写紙排出に先立って転写紙Pの第1面に定着させる必要がある。そこで、本プリンタ100では、加熱転写と並行して定着まで行うべく、第1加熱ローラ21の設定温度を加熱転写だけの場合よりも高く設定している。そして、このとき、同時に転写紙Pを第2面側からも加熱して第2トナー像に対する定着処理も行ってしまえば、各面で別々に定着処理を施す場合よりも効率良い両面定着処理を実施することができる。そこで、2つの加熱ローラを用いて転写紙Pを両面から加熱するようにしているのである。そうすると、効率良く両面定着処理を実施することができるとともに、加熱転写手段を加熱定着手段としても機能させることができるため、これらを別々に設ける場合よりもイニシャルコストを低減することができる。
【0031】
加熱転写におけるトナー像の転写方向は、加熱ニップでトナー像を挟み込んでいる2つの部材間における表面性の差に依存する。具体的には、例えば加熱ニップにおいて2つの部材A,Bが互いに接触しながら順方向に表面移動していると仮定する。これら部材A,B間に挟み込まれながら加熱されてガラス転移点以上まで昇温せしめられたトナー像は、部材A,Bが離間すると、表面粗さの大きい方の部材に転移する。表面粗さの大きい方の部材がその表面の凹凸によってトナー像との接触面積をより広くして、トナー離型性を発揮し難くなるからである。よって、表面粗さが「部材A>部材B」という関係であれば、トナー像は部材Aの方に転写される。
【0032】
このような加熱転写を採用する本プリンタにおいて、第1トナー像の転写元となる第2中間転写ベルト16に求められる条件は、次に列記する通りである。
・熱による伸縮率が極めて低い
・第1中間転写ベルト16からのトナー像の静電2次転写を実現するのに適した抵抗値(表面抵抗値及び体積抵抗値)である
・表面粗さが転写紙Pよりも小さい(一般的な転写紙Pの表面粗さRzは20〜40[μm]程度である)。
本プリンタ100では、これらの条件を具備させるべく、第2中間転写ベルト16として次に説明するものを用いた。即ち、厚み20〜50[μm]のシームレスポリイミドベルトのおもて面に、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)を厚み20〜100[μm]の表面層をコーティングしたものである。なお、このETFEからなる表面層の表面粗さ(RZ)は転写紙よりも小さくなっている。
【0033】
上述の2次転写ニップにおいて、2次転写バックアップローラ12と、2次転写バイアスローラ19と、ニップ拡張ローラ20との組合せは、第1トナー像を第2中間転写ベルト16に静電2次転写せしめる静電転写手段として機能している。また、第2トナー像を転写紙Pの第2面に静電2次転写せしめる静電転写手段としても機能している。本プリンタでは、第1可視像の第2中間転写体への静電転写と、第2可視像の記録体の第2面への静電転写とを同一の静電転写手段で行っているのである。かかる構成では、前者の静電2次転写と後者の静電2次転写とをそれぞれ別々の静電転写手段によって行う場合よりも、装置を小型化するとともにコストと低減することができる。
【0034】
また、本プリンタ100においては、上述の加熱転写手段(21,18)を、第1中間転写ベルト8から上記第2面や第2中間転写ベルトにトナー像を静電転写するための静電転写手段(12,19,20)とは別体で構成している。かかる構成では、両者を同一体で構成してトナー像を静電転写するときに同時に加熱してしまうことによる静電転写性能の悪化を回避することができる。
【0035】
第1加熱ローラ21と第2加熱ローラ18とからなる加熱転写手段は、何れも第1中間転写ベルト8に対して非接触で配設されている。かかる構成では、第1中間転写ベルト8に加熱転写手段を直接接触せしめて加熱してしまうことによる各感光体への熱影響を回避することができる。
【0036】
本プリンタ100においては、第1加熱ローラ21と第2加熱ローラ18とからなる加熱転写手段を加熱定着手段としても機能させるようにしている。かかる構成が可能になっているのは、加熱転写手段を2次転写ニップよりも下流側に設けているからである。第2中間転写ベルトから転写紙Pの第1面への加熱転写については、加熱定着手段を2次転写ニップよりも上流側に設け、この上流側にて、第1中間転写ベルト8上の第2トナー像を転写紙Pの第2面に静電2次転写するのに先立って実施してもよい。しかしながら、このような加熱転写では、まだ第2面に第2トナー像が転写されていない転写紙Pに対して加熱転写処理を実施するので、同時に転写紙Pに対して両面定着処理を施すことができない。これに対し、2次転写ニップよりも下流側に設けた加熱転写手段では、既に第2面に第2トナー像が転写されている転写紙Pの第1面に対して加熱転写処理を実施するので、加熱温度の設定次第で同時に両面定着処理を施すことができる。
【0037】
このように加熱転写手段を加熱定着手段としても機能させる場合には、第2中間転写体として図示のように無端移動せしめられる第2中間転写ベルトを用いることが望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、加熱定着手段については、転写紙Pの両面で定着性の差が生じないように、転写紙Pを両面から加熱するものを用いることが望ましい。そうすると、転写紙Pの第1面については、これに接している第2中間転写体側から加熱処理を施す必要がある。このため、第2中間転写体としてローラやドラム等を用いると、それ自体を内部の熱源によって発熱させて加熱転写手段又はこれの一部として機能させざるを得ない。一方、静電2次転写については、ローラやドラム等からなる第2中間転写体に2次転写バイアスを印加するなどして第2中間転写体自体を静電転写手段又はこれの一部として機能させざるを得ない。これらの結果、加熱転写手段と静電転写手段とを別体で構成することが非常に困難になる。但し、第2中間転写体として第2中間転写ベルト16を用いれば、その裏面における一部の箇所に当接する加熱部材と、他の箇所に当接するバイアス部材とを別々に設けることができるので、加熱転写手段と静電転写手段とを容易に別体で構成することができる。よって、第2中間転写体としてベルトを用いることで、加熱転写手段を加熱定着手段としても機能させつつ、転写紙Pの両面における定着性の差を抑え、且つ、加熱転写手段と静電転写手段とを容易に別体で構成することができる。
【0038】
上述のように、第2中間転写ベルト16から転写紙Pの第1面への加熱転写を実現するためには、第2中間転写ベルト16として記録体よりも表面粗さの小さなものを用いる必要がある。転写紙Pの一般的な表面粗さRzは、20〜40[μm]程度である。そこで、本プリンタ100では、第2中間転写ベルト16として、表面粗さRzを20[μm]未満に調整したものを用いている。かかる構成では、記録体として一般に最も使用頻度の高い転写紙Pが用いられている限り、「第2中間転写ベルトの表面粗さ<記録体の表面粗さ」という条件を具備しないことによる加熱転写不足を抑えることができる。
【0039】
本発明における第2中間転写体としては、加熱転写の際にその表面を良好に弾性変形させて転写紙Pとの密着性を高め、もって密着不良による加熱転写不良を抑えるという観点から、少なくとも表面を弾性材料で構成することが望ましい。一方、一般に、ゴム等の弾性材料については、現状の製造技術では表面粗さを5[μm]未満に加工することが困難である。このため、第2中間転写体の表面粗さの設計値を5[μm]未満に設定すると、歩留まりの悪い高価な第2中間転写体を用いる必要が生じ、コストアップを招来してしまう。そこで、本プリンタ100においては、第2中間転写ベルト16として、その表面粗さを5[μm]以上に調整したものを用いるようにしている。かかる構成では、第2中間転写ベルト16の表面を良好に弾性変形させてベルトと転写紙Pとの密着不良による加熱転写不良を抑えながら、歩留まりの悪い高価な第2中間転写ベルト16を用いることによるコストアップを解消することができる。
【0040】
上記第2中間転写ベルト16は、上記加熱ニップを通過する際に、第1加熱ローラ21や第2加熱ローラ18に加熱され、ほぼ定着温度に近い温度まで昇温せしめられる。このままの温度で2次転写ニップに進入してしまうと、接触熱伝導によって第1中間転写ベルト8を大きく昇温せしめ、各感光体に熱による悪影響を及ぼすおそれがある。しかしながら、加熱ニップで加熱された第2中間転写ベルト16は、2次転写ニップに進入するまでの間に、ほぼ1周に近い移動量での無端移動する。そして、このように無端移動する間にある程度まで自然冷却されるため、感光体に対する熱影響は殆ど起こらない。また、熱影響が危惧される場合には、加熱ニップから2次転写ニップに至るまでの無端移動軌道内で第2中間転写ベルト16を冷却するヒートパイプ等の冷却手段を設ければよい。
【0041】
各色のトナーとしては、平均円形度が0.90〜0.99に調整されたものを用いることが望ましい。真球からの誤差が比較的大きい平均円形度が0.90未満のトナーを用いると、静電転写における転写率(転写後重量/転写前重量)が急激に悪くなって高画質な画像を得ることが困難になるからである。また、平均円形度が0.99を越えるという真球に近いトナーを用いると、その流動性の高さから転写チリを急激に発生させ易くなるからである。なお、トナーの平均円形度については、次のようにして求めることが可能である。即ち、トナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知した光学的検知帯にて、得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値に基づいて求めるのである。具体的には、例えば、まず、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。そして、試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜1万個/μlとした被検液を得る。この被検液をフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)にて分析して、平均円形度を求めることが可能である。
【0042】
また、各色のトナーとしては、形状係数SF−1が120〜180であり、且つ形状係数SF−2が120〜190であるものを用いることが望ましい。形状係数SF−1やSF−2が120未満で真球に限りなく近づいたトナーでは、その流動性の高さから転写チリから急激に発生し易くなるからである。また、形状係数SF−1が180を超えたり、SF−2が190を越えたりして、真球からの誤差が比較的大きくなっているトナーでは、静電転写における転写率が急激に悪くなって高画質な画像を得ることが困難になるからである。
【0043】
なお、ここで言う形状係数SF−1とは、球形物質の形状の丸さの割合を示す値である。球形物質を2次元平面上に投影して出来る楕円状図形の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じたときの値で表される。つまり、形状係数SF−1は、次式で定義されるものである。
【数1】
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)
このSF−1の値が100の場合には、物質の形状が真球状となり、SF−1の値が大きくなるほど、物質の形状は不定形となる。
【0044】
また、形状係数SF−2とは、物質形状の凹凸の割合を示す数値であり、球形物質を2次元平面上に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで割って、100/4πを乗じたときの値で表される。つまり、形状係数SF−2は、次式で定義されるものである。
【数2】
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)
このSF−2の値が100の場合には、物質の表面に凹凸が存在しないことになり、SF−2の値が大きくなるほど、物質の表面の凹凸は顕著となる。
【0045】
これら形状係数SF−1や、SF−2の具体的な測定方法としては、例えば次のようなものを挙げることができる。即ち、球形物質を日立製作所製FE−SEM(S−800)により撮影して、画像として100回無作為にサンプリングする。そして、これら画像をニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入して解析して、先に示した式に基づいて算出するのである。
【0046】
各色のトナーとしては、体積平均粒径(Dv)が4〜8[μm]であり、且つ、粒度分布(体積平均粒径Dv/個数平均粒径Dn)が1.05〜1.30であるものを用いることが望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、粒度分布が1.05〜1.30の範囲にあるトナー粉体では、その中から、静電潜像のパターンに適した粒径のトナー粒子が他のトナーに優先して現像に寄与するといった現象が進みやすいため、様々なパターンの画像を安定して形成することができる。また、感光体等の像担持体に残留したトナーを回収してリサイクル使用する構成を装置に採用している場合、転写されにくい小サイズのトナー粒子が量的に多くリサイクルされる。このようなリサイクルにおいて粒度分布の比較的大きいものを用いると、新たなトナー補給から次のトナー補給に至るまでの粒度変動が大きくなり、現像性能に悪影響を及ぼしてしまう。また、体積平均粒子径(Dv)が上述の範囲よりも小さいトナーでは、二成分現像剤として用いた場合に現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させる。また、一成分現像剤として用いた場合には現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させ易くなる。逆に、体積平均粒子系(Dv)が上述の範囲よりも大きいと、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることが多くなる。
【0047】
なお、トナーの粒度分布については、コールターカウンター法による測定装置、例えば、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)によって測定することができる。具体的には、まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。電解水溶液としては1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)を用いることができる。得られた溶液に更に測定試料を2〜20mg加える。そして、その溶液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、上述した測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
【0048】
以上のようなトナー性状に鑑みて、本プリンタ100では、本体にセットするトナー粉体として、次に掲げる条件を具備するものを使用するように、ユーザーに対して指定している。
▲1▼平均円形度が0.90〜0.99である。
▲2▼形状係数SF−1が120〜180で且つ形状係数SF−2が120〜190である。▲3▼粒度分布が1.05〜1.30である。
【0049】
ユーザーに対する指定については、例えば、上に掲げた条件を具備するトナー粉体を、プリンタ本体にセットして出荷したり、プリンタ本体と一緒に梱包して出荷したりすることによって行う。また例えば、プリンタ本体やそれに付属される取扱説明書などの書類に、プリンタ本体に適用可能なトナー粉体の製品番号や商品名として、上に掲げた条件を具備するトナー粉体のものを記載することによって行う。また例えば、プリンタ本体の製造元や販売元などが、かかる製品番号や商品名と、プリンタ本体の製品番号や商品名とが関連付けられた情報を、文章や電子データをもって頒布することによって行う。
【0050】
なお、上記2次転写ニップにて静電2次転写ではなく加熱転写を行って、転写紙Pの両面に対してトナー像を加熱転写するように構成することも考えられるが、本プリンタ100はかかる構成よりも次に列記する点で優れている。即ち、2次転写ニップで加熱転写を行う場合、第1トナー像には、第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16への加熱転写、及び、第2中間転写ベルト16から転写紙Pの第1面への加熱転写という2度の加熱転写工程を施すことになる。そうすると、その度に第1トナー像を軟化させるため、面方向にダレさせてシャープ性に欠けた画像にしてしまうおそれがある。また、加熱転写では、上述したように、転写先の表面粗さを転写元よりも大きくする必要があるため、2次転写ニップでの加熱転写を行うと、第1中間転写ベルト8からの転写先となる第2中間転写ベルト16の表面粗さがかなり限定されてしまう。具体的には、本プリンタの場合、第2中間転写ベルト16は転写紙Pよりも表面粗さが小さいという条件を具備するだけでよい。しかし、2次転写ニップでの加熱転写方式の場合、この条件に加えて、第1中間転写ベルト8よりも表面粗さが大きいという条件も要求される。よって、本プリンタは、2次転写ニップで加熱転写を行うものに比べ、第2中間転写ベルト16の表面材料の選択自由度を向上させることができる。
【0051】
次に、参考形態に係るプリンタについて説明する。なお、このプリンタにおいて、以下に説明する事項の他は、実施形態に係るプリンタ100と同様である。
図5は、参考形態に係るプリンタの2次転写ニップとその周囲とを示す拡大構成図である。このプリンタ100Aには、上述の第1加熱ローラ(21)や第2加熱ローラ(18)が設けられていない。実施形態に係るプリンタ100においては、第1加熱ローラ(21)が加熱転写手段の一部として機能するとともに、第2中間転写ベルト16を張架する張架ローラとしての機能していた。本プリンタ100Aでは、このように張架ローラとしても機能していた第1加熱ローラ(21)を設けていない代わりとして、これと同じ位置に張架ローラ27を設けている。
【0052】
2次転写ニップの下流側近傍では、第1中間転写ベルト8に対して非接触に配設された加熱ローラ26が、第2中間転写ベルト16のおもて面に当接して加熱ニップを形成している。そして、この当接を第2中間転写ベルト16の裏面からバックアップするように、加熱バックアップローラ24が設けられている。加熱ローラ26は、アルミニュウム等からなる金属製の素管の外面に、弾性変形可能なゴム層等の弾性層が設けられた外径20〜40[mm]のローラである。
【0053】
2次転写ニップで第2中間転写ベルト16に静電2次転写された第1トナー像は、ベルトの無端移動に伴って1周して再び2次転写ニップに進入する前に、上記加熱ニップに進入する。レジストローラ対45は、この進入と同期させるように、転写紙Pを加熱ニップに向けて送り出す。すると、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像が加熱ローラ26によって転写紙Pを介して加熱されて、転写紙Pの第1面に加熱転写される。かかる構成では、加熱ローラ26と、加熱バックアップローラ24との組合せが加熱転写手段として機能している。なお、加熱ニップにおけるニップ圧としては、2〜10[N/cm2]程度が良好である。
【0054】
上記加熱ニップを通過した転写紙Pは、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って2次転写ニップに進入し、ここでその第2面に第1中間転写ベルト8上の第2トナー像が静電2次転写される。そして、2次転写ニップを通過した後、張架ローラ27によるベルト張架位置で第2中間転写ベルト16から分離される。
【0055】
第2転写ユニット25の図中上方には、加熱定着手段たる定着手段61が配設されている。この定着手段61は、互いに当接して定着ニップを形成しながらニップ部で順方向に表面移動するように回転駆動される定着ローラ対62を有している。定着ローラ対62の各ローラは、それぞれ図示しないハロゲンランプ等からなる熱源を有しており、定着ニップを加熱する。
【0056】
第2中間転写ベルト16から分離された転写紙Pは、上述の反転ガイド板対50に進入する前に、上記定着手段61を通過する。そして、この際、定着ニップでその両面側から加熱されて、両面に第1トナー像、第2トナー像が定着せしめられる。
【0057】
本プリンタ100Aでは、上記加熱ローラ26による加熱温度を、定着手段61による加熱定着温度(160〜200℃)よりも低く設定している。これは次に説明する理由による。即ち、本発明者らは鋭意研究により、トナー像をトナーのガラス転移点以上の温度まで昇温せしめれば加熱転写することができるのに対し、トナー像を定着せしめるにはガラス転移点よりも高いトナーの軟化温度以上まで昇温せしめる必要があることを見出した。加熱ローラ26を用いた加熱によって第1トナー像を加熱転写すると同時に定着せしめることも可能であるが、このとき、転写紙Pの第2面に第2トナー像が存在していないため、第2トナー像に対する定着処理を行うことができない。よって、せっかく第1トナー像に対して加熱ローラ26による定着処理を施しても、第2トナー像については別の定着手段によって定着処理を施す必要がある。そこで、本プリンタ100Aでは、第1トナー像については上記加熱ニップでとりあえず加熱転写するだけに留めておき、最終的に第2トナー像と一緒に上記定着手段61で定着処理を施すようにしている。すると、加熱ローラ26による加熱温度を定着に必要な温度よりも低くして、省エネルギー化を図ることができる。
【0058】
なお、加熱ローラ26と加熱バックアップローラ24とについては、図6に示すように、両者の配設位置を逆転させて、加熱ローラ26によって第2中間転写ベルト16を介して転写紙Pを加熱させるようにしてもよい。但し、この場合、図5に示したように転写紙Pを直接接触によって加熱する場合に比べ、第2中間転写ベルト16への熱伝導による熱損量が多くなる。よって、図5に示したように転写紙Pを直接接触によって加熱させるように加熱ローラ26を配設することで、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0059】
先に示した図5において、加熱定着手段たる定着手段61は、転写紙Pを両面から加熱しながら、その各面にトナー像を定着せしめている。かかる構成では、転写紙Pを片面側だけから加熱することに起因する両面での定着性の差を解消することができる。
【0060】
定着手段61の定着ローラ対62における一方の定着ローラは、転写紙Pの第1面を接触方式によって加熱する第1加熱部材として機能している。また、もう一方の定着ローラは、転写紙Pの第2面を接触方式によって加熱する第2加熱部材として機能している。そして、転写紙Pを両面から加熱している。2つの定着ローラはそれぞれ同じ構成となっている。熱源を内包する芯金の外面にシリコーンゴム層等の弾性層が設けられたローラである。弾性層の上に、テフロン(登録商標)など離型性の良い材料からなる離型促進層を設けてもよい。一般に、トナー像は加熱部材に押圧されながら加熱定着処理が施されると光沢性を帯びるが、この光沢性は加熱部材の弾性度合いや両面粗さに影響される。よって、第1加熱部材、第2加熱部材として、それぞれ表面材料の異なるものを用いると、転写紙Pの両面で定着トナー像の光沢性に差を生じてしまう。そこで、本変形例装置100Aでは、定着ローラ対62の各定着ローラとして、それぞれ同じ構成のものを用い、両加熱部材の表面材料を同じにしている。かかる構成では、両加熱部材の表面材料の違いに起因して転写紙Pの両面で定着トナー像の光沢性に差を生じてしまうといった事態を解消することができる。
【0061】
本プリンタ100Aは、転写紙Pの片面だけに画像を形成する片面モードが選択されている場合、その画像を第2トナー像として形成して転写紙Pの第2面に静電2次転写せしめるようになっている。そして、この際、加熱ローラ26の熱源への給電を停止して、加熱転写手段による加熱を行わないようになっている。かかる構成では、加熱転写の必要のない片面モードの際にも加熱転写手段の熱源を発熱させてしまうことによる無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【0062】
これまで、像担持体としてドラム状の感光体を用いた例について説明したが、ベルト状の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。また、第1中間転写体については、ベルト方式のものに限られず、ローラ方式などでも良い。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。
【0063】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、第1トナー像の静電2次転写と、第2トナー像の静電2次転写とについては、それぞれ同一の静電転写手段で行うので、別々の静電転写手段によって行う場合よりも、装置を小型化するとともにコストと低減することができる。
また、加熱転写手段として、静電2次転写用の静電転写手段とは別体で構成したものを用いているので、両者を同一体で構成してトナー像を静電転写するときに同時に加熱してしまうことによる静電転写性能の悪化を回避することができる。
また、加熱転写手段を第1中間転写ベルト8に対して非接触で配設しているので、第1中間転写ベルト8に加熱転写手段を直接接触せしめて加熱してしまうことによる各感光体への熱影響を回避することができる。
【0065】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、加熱転写手段を2次転写ニップよりも下流側に配設しているので、転写紙Pの両面に対してトナー像を同時に定着せしめる両面加熱定着手段としても加熱転写手段を機能させることができる。
【0066】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第2中間転写ベルト16として、表面粗さRzが20[μm]未満であるものを用いている。かかる構成では、記録体として一般に最も使用頻度の高い転写紙Pが用いられている限り、「第2中間転写ベルトの表面粗さ<記録体の表面粗さ」という条件を具備しないことによる加熱転写不足を抑えることができる。
また、第2中間転写ベルト16として、表面粗さRzが5[μm]以上であるものを用いている。かかる構成では、第2中間転写ベルト16の表面を良好に弾性変形させてベルトと転写紙Pとの密着不良による加熱転写不良を抑えながら、歩留まりの悪い高価な第2中間転写ベルト16を用いることによるコストアップを解消することができる。
また、像担持体たる感光体を複数設けるとともに、第1トナー像や第2トナー像として、各感光体のトナー像を第1中間転写ベルト8に重ね合わせ転写した多重像を形成させるように両面転写装置を構成している。このことにより、4色トナー像などといった多色トナー像を形成することができる。更には、加熱転写方式を併用していることで、単色トナー像よりもトナー付着量の多くなる多色トナー像を形成する場合であっても、画像の周囲における斑点状の汚れが目立たない高画質の画像を形成することができる。
【0068】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、転写紙Pの両面に転写されたトナー像をそれぞれトナーの軟化温度以上まで昇温せしめ得る程度に、第1加熱ローラ21と第2加熱ローラ18とからなる加熱転写手段による加熱温度を高く設定しているので、加熱転写手段を加熱定着手段としても機能させることができる。そして、このことにより、装置構成の簡素化を図って、コストを低減することができる。
また、第2中間転写体として、無端移動せしめられる第2中間転写ベルト16を用いているので、加熱転写手段を加熱定着手段としても機能させつつ、転写紙Pの両面における定着性の差を抑え、且つ、加熱転写手段と静電転写手段とを容易に別体で構成することができる。
【0069】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、装置本体にセットするトナー粉体として、平均円形度が0.90〜0.99であるものを指定しているので、安定した静電転写率を発揮して転写不足を抑えながら、転写チリをも抑えた高画質の画像を形成することができる。
また、装置本体にセットするトナー粉体として、形状係数SF−1が120〜180で且つ形状係数SF−2が120〜190であるものを指定しているので、転写不足と転写チリとを更に抑えた高画質の画像を形成することができる。
また、装置本体にセットするトナー粉体として、粒度分布が1.05〜1.30であるものを指定しているので、安定した現像性能で現像された高画質の画像を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】
請求項1乃至9の発明によれば、上述した(1)から(4)までの事項を何れも実現することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】 同プリンタのY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】 同プリンタにおける2次転写ニップとその周囲構成を示す拡大構成図。
【図4】 押し出し転写方式を採用した場合の同2次転写ニップとその周囲構成を示す拡大構成図。
【図5】 参考形態に係るプリンタの2次転写ニップとその周囲構成とを示す拡大構成図。
【図6】 加熱転写手段の加熱ローラと加熱バックアップローラとの配設位置を逆にした場合の同2次転写ニップとその周囲構成とを示す拡大構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K:感光体(像担持体)
6Y,M,C,K:プロセスユニット(可視像形成手段の一部)
7:露光装置(可視像形成手段の一部)
8:第1中間転写ベルト(第1中間転写体)
12:2次転写バックアップローラ(静電転写手段の一部)
19:2次転写バイアスローラ(静電転写手段の一部)
20:ニップ拡張ローラ(静電転写手段の一部)
15:第1転写ユニット(両面転写装置の一部)
16:第2中間転写ベルト(第2中間転写体)
18:第2加熱ローラ(加熱転写手段の一部)
21:第1加熱ローラ(加熱転写手段の一部)
24:加熱バックアップローラ(加熱転写手段の一部)
25:第2転写ユニット(両面転写装置の一部)
26:加熱ローラ(加熱転写手段の一部)
61:定着手段(加熱定着手段)
62:定着ローラ対(第1、第2加熱部材)
P:転写紙(記録体)
Claims (9)
- 第1中間転写体と第2中間転写体との対向部よりも上流側から該対向部を経て下流側へと延びる経路を1回だけ通過する記録体に対し、予め像担持体から第1中間転写体を介して第2中間転写体上に転写しておいた第1可視像をその第1面に転写する一方で、予め該像担持体から該第1中間転写体に転写しておいた第2可視像をその第2面に転写する両面転写装置において、
上記像担持体から上記第1中間転写体、上記第1中間転写体から上記第2中間転写体、及び上記第1中間転写体から記録体の第2面については、それぞれ可視像の転写を静電転写方式で行う一方で、上記第2中間転写体から記録体の第1面については、上記第1可視像の転写を加熱転写方式による加熱転写手段で行うようにするとともに、
該加熱転写手段を上記下流側で且つ上記第1中間転写体に対して非接触で配設したことを特徴とする両面転写装置。 - 請求項1の両面転写装置において、
上記第1中間転写体から上記第2中間転写体への上記第1可視像の静電転写、及び、上記第1中間転写体から記録体の第2面への上記第2可視像の静電転写については、それぞれ同一の静電転写手段で行うことを特徴とする両面転写装置。 - 請求項2の両面転写装置において、
上記加熱転写手段として、上記静電転写手段とは別体で構成したものを用いたことを特徴とする両面転写装置。 - 請求項1、2又は3の両面転写装置において、
上記第2中間転写体として、表面粗さRzが20[μm]未満であるものを用いたことを特徴とする両面転写装置。 - 請求項4の両面転写装置において、
上記第2中間転写体として、表面粗さRzが5[μm]以上であるものを用いたことを特徴とする両面転写装置。 - 表面に可視像を担持する像担持体と、該像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、該像担持体上の可視像を記録体の両面に転写する両面転写装置とを備える画像形成装置において、
上記両面転写装置として、請求項1乃至5の何れかのものを用いたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6の画像形成装置において、
上記像担持体を複数設けるとともに、上記第1可視像や第2可視像として、各像担持体上の可視像を上記第1中間転写体に重ね合わせ転写した多重像を形成させるように、上記両面転写装置を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6又は7の画像形成装置において、
可視像をその軟化温度以上に昇温せしめる値まで、上記加熱転写手段による加熱温度を高く設定したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項8の画像形成装置において、
上記第2中間転写体として、無端移動せしめられる第2中間転写ベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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