JP4135392B2 - ステープラー - Google Patents
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- Mechanical Engineering (AREA)
- Portable Nailing Machines And Staplers (AREA)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、綴じ用紙を貫通したステープルの脚によって下方向に移動させられる可動式のクリンチャを備えたステープラーにおいて、クリンチャの傾きを抑止してステープル脚の座屈を防止し得るステープラーに関する。
【０００２】
【従来の技術】
複数枚の綴じ用紙を貫通させたコ字状のステープルの脚部を、綴じ用紙の下面側で綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げるようにしたステープラーにおいては、ステープルの脚部に当接して脚部を折り曲げるためのクリンチャが上下方向に可動に支持されており、ステープルの脚が綴じ用紙を貫通した後でステープルの脚をクリンチャと係合させることにより折り曲げるようにされている。図６に示すように、クリンチャ１は用紙載置部材２に形成された開口に収容されて用紙載置部材２に対して上下方向に移動できるように配置されており、クリンチャ１の下面とアームカバー３の底面との間に介装されているバネ４によって上方に向けて付勢されている。
【０００３】
用紙載置部材２は、クリンチャアーム５に沿って前後方向にスライド可能なスライダ６がアームカバー３に形成された支持片７と用紙載置部材２の間に介在されていることによって、綴じ操作の開始時にはアームカバー３に対して上方位置に保持されており、クリンチャ１の上端面のステープル誘導溝８が用紙載置部材２に形成された開口９の上端縁に望んだ位置に配置されている。
【０００４】
用紙載置部材２の上面に配置された綴じ用紙に対してステープルが打ち込まれて、ステープルの脚先端が綴じ用紙を貫通して綴じ用紙の裏面側に貫通すると、ステープルの先端がクリンチャ１の上端面と当接してクリンチャ１を用紙載置部材２に対して下方へ移動させる。用紙載置部材２上に支持されている綴じ用紙をステープルが貫通した後、スライダ６が後方側に作動されて用紙載置部材２が下側へ揺動自由となり、ステープルが更に下方へ移動されて、ステープルの脚部がクリンチャ１によって一気に折り曲げられるようにされている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
図７（ａ）に示すように、従来のクリンチャ１はアームカバー３の側壁の内側に配置されて上下方向に揺動可能な用紙載置部材２に形成されている開口９内に収容されており、クリンチャ１の下端部の幅方向の寸法を大きくすることができない。このため、クリンチャがアームカバーの底面に着いたときにステープルによる偏荷重でクリンチャにモーメントが発生して同図（ｂ）のように、クリンチャが傾いたままになってしまい、従ってクリンチャのステープル誘導溝が傾いた状態となって、この結果、スライダが後方へ移動して用紙載置部材とともにステープルが下方向に下降した際にステープルの脚部を座屈させてしまうことがあった。
【０００６】
本発明は、可動式のクリンチャを備えたステープラーにおいて、クリンチャがステープルの脚によって下方へ移動される際にクリンチャが大きく傾いてしまうことを防止して、ステープルの脚が座屈してしまう現象をなくするようにしたステープラーを提供することを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のステープラーは、多数のステープルを収容するマガジンと、該マガジン内に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すドライバを備えたハンドル部と、前記マガジンから打ち出されて綴り用紙を貫通したステープルの脚部先端部を用紙の裏面に沿って屈曲させるクリンチャ部を上下動可能に設けたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させたステープラーにおいて、前記クリンチャ部が、前記クリンチャアームの底面及び側面を覆うようにアームカバーを形成し、該アームカバーの両側壁間に用紙載置部材を揺動自在に配置し、前記アームカバーと用紙載置部材の間に配置されるクリンチャを上部が幅狭く且つ下部を両側方向に張り出させて形成するとともに、該クリンチャの幅狭い上部を前記用紙載置部材に貫通形成した開口内に収容させ、クリンチャの下部の張り出し部の側縁部を前記アームカバーの両側壁の内面に形成したガイド溝に収容させて、クリンチャ下降時の案内を少なくとも前記アームカバーのガイド溝により案内させるように構成したことを特徴とする。
【０００８】
また、請求項２に記載の発明は、上記クリンチャの上部の幅と両側方向に張り出させた下部の幅が、クリンチャ上部に加わるステープルの偏荷重による回転モーメントに対してクリンチャが傾斜されることのない幅比に形成されていることを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施例に従って本発明の実施の形態を説明する。図１は本発明のステープラーの実施例であり、多数のステープルを収容するマガジン１０と、前記マガジン１０内に装填されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すドライバ１１を備えたハンドル部１２、および前記マガジン１０から打ち出されて綴り用紙を貫通したステープルの脚部先端部を綴り用紙の裏面に沿って屈曲させるクリンチャ部１３を先端側に備えたクリンチャアーム１４がそれぞれの後端部において支持軸１５によって回動自在に支持されている。
【００１０】
マガジン１０の前端部には収容された先頭のステープルをマガジン１０の下面に配置される綴じ用紙に向けて打ち出す打出口１６が形成されており、更にマガジン１０内にはマガジン１０内に収容されたステープルを前記打出口１６に向けて押圧付勢させるプッシャ１７が配置されている。プッシャ１７はマガジン１０内に配置されたガイドロッド１８に沿って摺動自在に支持されており、プッシャ１７の後面側に配置されたプッシャバネ１９によりマガジン１０の前方へ向けて付勢されている。
【００１１】
ハンドル部１２の上面側に配置されている操作ハンドル２０を押圧操作することによりドライバ１１を介してマガジン１０内のステープルが打出口１６から打ち出されて、ステープルの脚部がマガジン１０とクリンチャ部１３の間に配置された綴じ用紙を貫通し、綴じ用紙を貫通したステープルの脚部が前記クリンチャ部１３によって綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げられて綴じ用紙が綴じられるようにされている。
【００１２】
綴じ用紙を貫通したステープルの脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げさせるクリンチャ部１３は、前記クリンチャアーム１４の下面側を覆うようにクリンチャアーム１４に装着されたアームカバー２１の前端部分に上下方向に移動できるように配置されているクリンチャ２２を備えており、該クリンチャ２２の上端面にはステープルの脚部と係合して脚部を綴じ用紙の裏面に沿って互いに内側に向けて折り曲げるように誘導させるクリンチャ溝２３が形成されている。前記アームカバー２１の上方に後端部がクリンチャアーム１４に対して揺動自在に支持されている用紙載置部材２４が配置されており、この用紙載置部材２４の前部に形成された開口２５内に前記クリンチャ２２が収容されている。更にクリンチャ２２下面とアームカバー２１の底面との間に介在されているバネ２６によってクリンチャ２２は上方へ向けて付勢されている。
【００１３】
用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４との間に介在されているバネ２７によって用紙載置部材２４は上方へ向けて付勢されており、更に、用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４との間にはクリンチャアーム１４に沿って前後方向にスライド可能なスライダ２８が介在されており、ステープラーによる綴じ操作の開始時にはバネ２９によって前方に配置されたスライダ２８の支持部３０が用紙載置部材２４の下面に進入して用紙載置部材２４が下方向へ揺動するのを阻止している。この状態で、用紙載置部材２４はアームカバー２１に対して上方位置に保持されており、クリンチャ２２の上端面のクリンチャ溝２３が用紙載置部材２４に形成された開口２５の上端縁に望んだ位置に配置されている。
【００１４】
図２に示すように、クリンチャ２２の下部は前記用紙載置部材２４の両側へ突出されるように両側面方向に張り出されて幅広く形成されており、この両側の張り出し部２２ａがアームカバー２１の両側壁３１の内壁面に形成されているガイド溝３２に収容されて、このガイド溝３２によってクリンチャ２２が上下方向への移動の案内が行われるようにされている。なお、クリンチャ２２の上部を用紙載置部材２４の開口２５によって案内させてもよい。
【００１５】
図４及び図５により、クリンチャ２２の下部の張り出し部２２ａの寸法設定について説明する。傾いたクリンチャ２２がアームカバー２１の底面に着座してステープルＳの傾きを矯正させる作用は、クリンチャ２２の上面に形成されているクリンチャ溝２３の高さｈと、前記クリンチャ溝２３に傾いたステープルＳの脚が設置する位置から下部の張り出し部２２ａの側端までの寸法ｄとの寸法比に関係する。実験で求めた結果によれば、図５のグラフ図に示すように、張り出し部の寸法ｄ＝０．３２・クリンチャの高さｈの関係を境にして、張り出し部２２ａの張り出し寸法ｄがこれより小さいと座屈の発生頻度が多くなることが判明した。従って張り出し部２２ａの張り出し寸法ｄをクリンチャの高さｈの０．３２倍以上に設定することにより座屈の発生を防止することができる。
【００１６】
以下、図３に基づいて上記実施例の作動状態を説明する。図３（ａ）に示すように用紙載置部材２４の上面に配置された綴じ用紙ＰにステープルＳが打ち込まれると、綴じ用紙Ｐを貫通したステープルＳの脚がクリンチャ２２の上面と当接して、クリンチャ２２をバネ２６の付勢力に抗して下方向に移動させる。なお、上記綴じ操作の初期においては、用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４の間にスライダ２８が配置されており、用紙載置部材２４は上方位置に支持されている。
【００１７】
図３（ｂ）に示すように、ステープルＳの脚が綴じ用紙Ｐを貫通する際にステープルＳに傾きが発生した場合には、ステープルＳの一方の脚がクリンチャ２２と係合してクリンチャ２２の片側を下側に押圧して傾かせるようにして下方向に作動させるが、クリンチャ２２の下部はアームカバー２１の両側壁３１に形成されたガイド溝３２内で案内されているため、クリンチャ２２の傾きが大きくなることなく下方向に移動される。
【００１８】
図３（ｃ）に示すように、ステープルＳの脚部が綴じ用紙Ｐを貫通した後、スライダ２８が後方側へ作動されて用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４の間から退避し、これによって用紙載置部材２４が下方向へ揺動可能となる。
【００１９】
図３（ｄ）に示すように、図３（ｃ）の偏荷重を受けた状態で更にステープルＳと綴じ用紙Ｐが下方向へ押圧されアームカバー２１の底面にクリンチャ２２の下面が着座してクリンチャ２２は傾くことなく綴じ用紙Ｐの下面に貫通したステープルＳの脚が座屈せず、クリンチャ溝２３によって互いに内側に向けて誘導されて綴じ用紙Ｐの下面に沿って折り曲げられて綴じ用紙Ｐが綴じられる。
【００２０】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、アームカバーに上下方向に移動可能に保持されたクリンチャの下部を両側方向に張り出させて張り出し部を形成し、このクリンチャの上部を用紙載置部材に形成した開口内に収容し、下部の張り出し部をアームカバーの両側壁に形成したガイド溝に収容させて案内させるようにしているので、クリンチャの下部の幅方向の寸法を用紙載置部材の幅寸法よりも大きく設定することが可能となり、クリンチャを傾かせることなくクリンチャの下面とアームカバーの底面とを当接させることで、ステープルの座屈を有効に防止することが可能となる。
【００２１】
また、クリンチャが用紙載置部材に対して下方向に移動する際にも、クリンチャの上部と下部を用紙載置部材とアームカバーによってクリンチャの移動範囲の全領域で案内させることが可能であり、クリンチャが大きく傾いてしまうことが防止でき、座屈の発生を有効に防止し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例を示すステープラーの縦断側面図。
【図２】図１のステープラーのクリンチャ部の分解斜視図。
【図３】図１のステープラーによる作動状態を示すもので、（ａ）は綴じ作動の初期段階でステープルが綴じ用紙を貫通した直後の状態、（ｂ）は綴じ用紙を貫通したステープル脚によってクリンチャが下方向に移動されている状態、（ｃ）は用紙載置部材が揺動可能となり綴じ用紙とステープルがクリンチャを更に下方向へ移動させた状態、（ｄ）はステープル脚が綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げられた状態を示す。
【図４】クリンチャによる矯正態様を示す説明図。
【図５】クリンチャ溝の高さと、クリンチャ溝に傾いたステープルの脚が設置する位置から下部の張り出し部の側端までの寸法との寸法比の関係を示すグラフ図。
【図６】従来のステープラーのクリンチャアーム部を示す縦断側面図。
【図７】図６のクリンチャアームによる作動状態を示すもので、（ａ）は綴じ作動の初期状態、（ｂ）は綴じ用紙を貫通したステープル脚によってクリンチャが下方向に移動されている状態を示す。
【符号の説明】
１３ クリンチャ部
１４ クリンチャアーム
２１ アームカバー
２２ クリンチャ
２３ クリンチャ溝
２４ 用紙載置部材
２５ 開口
２６ バネ
２７ バネ
２８ スライダ
２９ バネ
３０ 支持部
３１ 両側壁
３２ ガイド溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、綴じ用紙を貫通したステープルの脚によって下方向に移動させられる可動式のクリンチャを備えたステープラーにおいて、クリンチャの傾きを抑止してステープル脚の座屈を防止し得るステープラーに関する。
【０００２】
【従来の技術】
複数枚の綴じ用紙を貫通させたコ字状のステープルの脚部を、綴じ用紙の下面側で綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げるようにしたステープラーにおいては、ステープルの脚部に当接して脚部を折り曲げるためのクリンチャが上下方向に可動に支持されており、ステープルの脚が綴じ用紙を貫通した後でステープルの脚をクリンチャと係合させることにより折り曲げるようにされている。図６に示すように、クリンチャ１は用紙載置部材２に形成された開口に収容されて用紙載置部材２に対して上下方向に移動できるように配置されており、クリンチャ１の下面とアームカバー３の底面との間に介装されているバネ４によって上方に向けて付勢されている。
【０００３】
用紙載置部材２は、クリンチャアーム５に沿って前後方向にスライド可能なスライダ６がアームカバー３に形成された支持片７と用紙載置部材２の間に介在されていることによって、綴じ操作の開始時にはアームカバー３に対して上方位置に保持されており、クリンチャ１の上端面のステープル誘導溝８が用紙載置部材２に形成された開口９の上端縁に望んだ位置に配置されている。
【０００４】
用紙載置部材２の上面に配置された綴じ用紙に対してステープルが打ち込まれて、ステープルの脚先端が綴じ用紙を貫通して綴じ用紙の裏面側に貫通すると、ステープルの先端がクリンチャ１の上端面と当接してクリンチャ１を用紙載置部材２に対して下方へ移動させる。用紙載置部材２上に支持されている綴じ用紙をステープルが貫通した後、スライダ６が後方側に作動されて用紙載置部材２が下側へ揺動自由となり、ステープルが更に下方へ移動されて、ステープルの脚部がクリンチャ１によって一気に折り曲げられるようにされている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
図７（ａ）に示すように、従来のクリンチャ１はアームカバー３の側壁の内側に配置されて上下方向に揺動可能な用紙載置部材２に形成されている開口９内に収容されており、クリンチャ１の下端部の幅方向の寸法を大きくすることができない。このため、クリンチャがアームカバーの底面に着いたときにステープルによる偏荷重でクリンチャにモーメントが発生して同図（ｂ）のように、クリンチャが傾いたままになってしまい、従ってクリンチャのステープル誘導溝が傾いた状態となって、この結果、スライダが後方へ移動して用紙載置部材とともにステープルが下方向に下降した際にステープルの脚部を座屈させてしまうことがあった。
【０００６】
本発明は、可動式のクリンチャを備えたステープラーにおいて、クリンチャがステープルの脚によって下方へ移動される際にクリンチャが大きく傾いてしまうことを防止して、ステープルの脚が座屈してしまう現象をなくするようにしたステープラーを提供することを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のステープラーは、多数のステープルを収容するマガジンと、該マガジン内に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すドライバを備えたハンドル部と、前記マガジンから打ち出されて綴り用紙を貫通したステープルの脚部先端部を用紙の裏面に沿って屈曲させるクリンチャ部を上下動可能に設けたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させたステープラーにおいて、前記クリンチャ部が、前記クリンチャアームの底面及び側面を覆うようにアームカバーを形成し、該アームカバーの両側壁間に用紙載置部材を揺動自在に配置し、前記アームカバーと用紙載置部材の間に配置されるクリンチャを上部が幅狭く且つ下部を両側方向に張り出させて形成するとともに、該クリンチャの幅狭い上部を前記用紙載置部材に貫通形成した開口内に収容させ、クリンチャの下部の張り出し部の側縁部を前記アームカバーの両側壁の内面に形成したガイド溝に収容させて、クリンチャ下降時の案内を少なくとも前記アームカバーのガイド溝により案内させるように構成したことを特徴とする。
【０００８】
また、請求項２に記載の発明は、上記クリンチャの上部の幅と両側方向に張り出させた下部の幅が、クリンチャ上部に加わるステープルの偏荷重による回転モーメントに対してクリンチャが傾斜されることのない幅比に形成されていることを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施例に従って本発明の実施の形態を説明する。図１は本発明のステープラーの実施例であり、多数のステープルを収容するマガジン１０と、前記マガジン１０内に装填されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すドライバ１１を備えたハンドル部１２、および前記マガジン１０から打ち出されて綴り用紙を貫通したステープルの脚部先端部を綴り用紙の裏面に沿って屈曲させるクリンチャ部１３を先端側に備えたクリンチャアーム１４がそれぞれの後端部において支持軸１５によって回動自在に支持されている。
【００１０】
マガジン１０の前端部には収容された先頭のステープルをマガジン１０の下面に配置される綴じ用紙に向けて打ち出す打出口１６が形成されており、更にマガジン１０内にはマガジン１０内に収容されたステープルを前記打出口１６に向けて押圧付勢させるプッシャ１７が配置されている。プッシャ１７はマガジン１０内に配置されたガイドロッド１８に沿って摺動自在に支持されており、プッシャ１７の後面側に配置されたプッシャバネ１９によりマガジン１０の前方へ向けて付勢されている。
【００１１】
ハンドル部１２の上面側に配置されている操作ハンドル２０を押圧操作することによりドライバ１１を介してマガジン１０内のステープルが打出口１６から打ち出されて、ステープルの脚部がマガジン１０とクリンチャ部１３の間に配置された綴じ用紙を貫通し、綴じ用紙を貫通したステープルの脚部が前記クリンチャ部１３によって綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げられて綴じ用紙が綴じられるようにされている。
【００１２】
綴じ用紙を貫通したステープルの脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げさせるクリンチャ部１３は、前記クリンチャアーム１４の下面側を覆うようにクリンチャアーム１４に装着されたアームカバー２１の前端部分に上下方向に移動できるように配置されているクリンチャ２２を備えており、該クリンチャ２２の上端面にはステープルの脚部と係合して脚部を綴じ用紙の裏面に沿って互いに内側に向けて折り曲げるように誘導させるクリンチャ溝２３が形成されている。前記アームカバー２１の上方に後端部がクリンチャアーム１４に対して揺動自在に支持されている用紙載置部材２４が配置されており、この用紙載置部材２４の前部に形成された開口２５内に前記クリンチャ２２が収容されている。更にクリンチャ２２下面とアームカバー２１の底面との間に介在されているバネ２６によってクリンチャ２２は上方へ向けて付勢されている。
【００１３】
用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４との間に介在されているバネ２７によって用紙載置部材２４は上方へ向けて付勢されており、更に、用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４との間にはクリンチャアーム１４に沿って前後方向にスライド可能なスライダ２８が介在されており、ステープラーによる綴じ操作の開始時にはバネ２９によって前方に配置されたスライダ２８の支持部３０が用紙載置部材２４の下面に進入して用紙載置部材２４が下方向へ揺動するのを阻止している。この状態で、用紙載置部材２４はアームカバー２１に対して上方位置に保持されており、クリンチャ２２の上端面のクリンチャ溝２３が用紙載置部材２４に形成された開口２５の上端縁に望んだ位置に配置されている。
【００１４】
図２に示すように、クリンチャ２２の下部は前記用紙載置部材２４の両側へ突出されるように両側面方向に張り出されて幅広く形成されており、この両側の張り出し部２２ａがアームカバー２１の両側壁３１の内壁面に形成されているガイド溝３２に収容されて、このガイド溝３２によってクリンチャ２２が上下方向への移動の案内が行われるようにされている。なお、クリンチャ２２の上部を用紙載置部材２４の開口２５によって案内させてもよい。
【００１５】
図４及び図５により、クリンチャ２２の下部の張り出し部２２ａの寸法設定について説明する。傾いたクリンチャ２２がアームカバー２１の底面に着座してステープルＳの傾きを矯正させる作用は、クリンチャ２２の上面に形成されているクリンチャ溝２３の高さｈと、前記クリンチャ溝２３に傾いたステープルＳの脚が設置する位置から下部の張り出し部２２ａの側端までの寸法ｄとの寸法比に関係する。実験で求めた結果によれば、図５のグラフ図に示すように、張り出し部の寸法ｄ＝０．３２・クリンチャの高さｈの関係を境にして、張り出し部２２ａの張り出し寸法ｄがこれより小さいと座屈の発生頻度が多くなることが判明した。従って張り出し部２２ａの張り出し寸法ｄをクリンチャの高さｈの０．３２倍以上に設定することにより座屈の発生を防止することができる。
【００１６】
以下、図３に基づいて上記実施例の作動状態を説明する。図３（ａ）に示すように用紙載置部材２４の上面に配置された綴じ用紙ＰにステープルＳが打ち込まれると、綴じ用紙Ｐを貫通したステープルＳの脚がクリンチャ２２の上面と当接して、クリンチャ２２をバネ２６の付勢力に抗して下方向に移動させる。なお、上記綴じ操作の初期においては、用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４の間にスライダ２８が配置されており、用紙載置部材２４は上方位置に支持されている。
【００１７】
図３（ｂ）に示すように、ステープルＳの脚が綴じ用紙Ｐを貫通する際にステープルＳに傾きが発生した場合には、ステープルＳの一方の脚がクリンチャ２２と係合してクリンチャ２２の片側を下側に押圧して傾かせるようにして下方向に作動させるが、クリンチャ２２の下部はアームカバー２１の両側壁３１に形成されたガイド溝３２内で案内されているため、クリンチャ２２の傾きが大きくなることなく下方向に移動される。
【００１８】
図３（ｃ）に示すように、ステープルＳの脚部が綴じ用紙Ｐを貫通した後、スライダ２８が後方側へ作動されて用紙載置部材２４とクリンチャアーム１４の間から退避し、これによって用紙載置部材２４が下方向へ揺動可能となる。
【００１９】
図３（ｄ）に示すように、図３（ｃ）の偏荷重を受けた状態で更にステープルＳと綴じ用紙Ｐが下方向へ押圧されアームカバー２１の底面にクリンチャ２２の下面が着座してクリンチャ２２は傾くことなく綴じ用紙Ｐの下面に貫通したステープルＳの脚が座屈せず、クリンチャ溝２３によって互いに内側に向けて誘導されて綴じ用紙Ｐの下面に沿って折り曲げられて綴じ用紙Ｐが綴じられる。
【００２０】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、アームカバーに上下方向に移動可能に保持されたクリンチャの下部を両側方向に張り出させて張り出し部を形成し、このクリンチャの上部を用紙載置部材に形成した開口内に収容し、下部の張り出し部をアームカバーの両側壁に形成したガイド溝に収容させて案内させるようにしているので、クリンチャの下部の幅方向の寸法を用紙載置部材の幅寸法よりも大きく設定することが可能となり、クリンチャを傾かせることなくクリンチャの下面とアームカバーの底面とを当接させることで、ステープルの座屈を有効に防止することが可能となる。
【００２１】
また、クリンチャが用紙載置部材に対して下方向に移動する際にも、クリンチャの上部と下部を用紙載置部材とアームカバーによってクリンチャの移動範囲の全領域で案内させることが可能であり、クリンチャが大きく傾いてしまうことが防止でき、座屈の発生を有効に防止し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例を示すステープラーの縦断側面図。
【図２】図１のステープラーのクリンチャ部の分解斜視図。
【図３】図１のステープラーによる作動状態を示すもので、（ａ）は綴じ作動の初期段階でステープルが綴じ用紙を貫通した直後の状態、（ｂ）は綴じ用紙を貫通したステープル脚によってクリンチャが下方向に移動されている状態、（ｃ）は用紙載置部材が揺動可能となり綴じ用紙とステープルがクリンチャを更に下方向へ移動させた状態、（ｄ）はステープル脚が綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げられた状態を示す。
【図４】クリンチャによる矯正態様を示す説明図。
【図５】クリンチャ溝の高さと、クリンチャ溝に傾いたステープルの脚が設置する位置から下部の張り出し部の側端までの寸法との寸法比の関係を示すグラフ図。
【図６】従来のステープラーのクリンチャアーム部を示す縦断側面図。
【図７】図６のクリンチャアームによる作動状態を示すもので、（ａ）は綴じ作動の初期状態、（ｂ）は綴じ用紙を貫通したステープル脚によってクリンチャが下方向に移動されている状態を示す。
【符号の説明】
１３ クリンチャ部
１４ クリンチャアーム
２１ アームカバー
２２ クリンチャ
２３ クリンチャ溝
２４ 用紙載置部材
２５ 開口
２６ バネ
２７ バネ
２８ スライダ
２９ バネ
３０ 支持部
３１ 両側壁
３２ ガイド溝
Claims (2)
- 多数のステープルを収容するマガジンと、該マガジン内に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すドライバを備えたハンドル部と、前記マガジンから打ち出されて綴り用紙を貫通したステープルの脚部先端部を用紙の裏面に沿って屈曲させるクリンチャ部を上下動可能に設けたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させたステープラーにおいて、前記クリンチャ部が、前記クリンチャアームの底面及び側面を覆うようにアームカバーを形成し、該アームカバーの両側壁間に用紙載置部材を揺動自在に配置し、前記アームカバーと用紙載置部材の間に配置されるクリンチャを上部が幅狭く且つ下部を両側方向に張り出させて形成するとともに、該クリンチャの幅狭い上部を前記用紙載置部材に貫通形成した開口内に収容させ、クリンチャの下部の張り出し部の側縁部を前記アームカバーの両側壁の内面に形成したガイド溝に収容させて、クリンチャ下降時の案内を少なくとも前記アームカバーのガイド溝により案内させるように構成したことを特徴とするステープラー。
- 上記クリンチャの上部の幅と両側方向に張り出させた下部の幅が、クリンチャ上部に加わるステープルの偏荷重による回転モーメントに対してクリンチャが傾斜されることのない幅比に形成されていることを特徴とする請求項１に記載のステープラー。
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