JP4135325B2 - ハイブリッド式駆動源を備える移動体 - Google Patents

ハイブリッド式駆動源を備える移動体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの駆動源を使い分けて移動する移動体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料電池を電源とする電動機によって走行する車両が提案されている。燃料電池とは、水素と酸素の電気化学反応によって発電する装置をいう。燃料電池から排出されるのは主として水蒸気であり、有害な成分が含まれないため、環境性に非常に優れるという利点がある。
【0003】
燃料電池の他に、駆動源として熱機関とを併用する車両も提案されている。かかる車両は、特性の異なる駆動源を2種類備えることにより、両者の長所を組み合わせて効率的な運転を実現することができる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池と熱機関とを備える車両について、従来、燃料電池はバッテリの充電にのみ使用されたり、高負荷時の熱機関のアシスト源として使用されたりするに過ぎなかった。燃料電池および熱機関の運転効率は運転状態によって変化するが、こうした変化を考慮した両者の使い分けは実現されていなかった。従って、運転効率向上という観点から、改善の余地が残されていた。また、この際、エネルギ効率の観点のみならず、エミッションの排出など多面的な効率改善の実現が望まれていた。
【0005】
本発明は、燃料電池と熱機関のように、2以上の駆動源を備える移動体に対し、両者の使い分けにより運転効率を高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、次の構成を採用した。
本発明の移動体は、
該移動体の運転状態と効率との間に第1の関係を有する第1の駆動源と、
該移動体の運転状態と効率との間に第2の関係を有する第2の駆動源と、
該移動体の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
検出された運転状態に応じて、前記第1の駆動源と第2の駆動源の効率比較に基づき、いずれかの駆動源を利用して駆動を行う制御手段とを備えることを要旨とする。
ここでいう移動体には、例えば、車両、航空機、船舶が含まれる。
【0007】
運転状態検出手段は、移動体の運転状態を表す種々のパラメータを検出する手段である。パラメータには、例えば、移動速度、要求トルク、駆動源の残燃料、温度などが含まれる。
【0008】
本発明の移動体では、駆動源の効率比較に基づいて駆動源を選択するため、移動体の効率を向上することができる。
【0009】
制御手段は、例えば第1および第2の駆動源の運転効率を運転状態ごとに予め比較した上で駆動源を特定したマップを用意し、これを参照して上記使い分けを行うものとしてもよい。また、両者の運転効率を逐次求めて両者の使い分けを行うものとしてもよい。
【0010】
後者の態様は、例えば、
前記制御手段は、
前記運転状態に基づいて、前記第1の駆動源を用いて駆動を行う場合の第1の効率を求める第1の効率特定手段と、
前記運転状態に基づいて、前記第2の駆動源を用いて駆動を行う場合の効率を求める第2の効率特定手段と、
前記第1および第2の駆動源のうち、効率の高い側の出力を利用して駆動を行う駆動制御手段とを備えることにより実現される。
【0011】
かかる効率特定手段を設ける場合には、
前記第1の関係を記憶する第1の記憶手段と、
前記第2の関係を記憶する第2の記憶手段とを備え、
前記第1の効率特定手段および前記第2の効率特定手段は、それぞれ前記第1の記憶手段、第2の記憶手段を参照して前記効率を求めるものとすることが望ましい。
記憶手段には、運転状態を表す所定のパラメータと、効率との関係を、関数、テーブルなどの形式で予め記憶させておけばよい。
【0012】
本発明の移動体において、
前記第1の関係および第2の関係の少なくとも一方は、各駆動源の運転状態に応じて変動する関係である場合には、
前記制御手段は、前記駆動源の運転状態をも考慮して前記効率比較を行うことが望ましい。
駆動源の効率は、温度その他の運転状態に応じて変動する場合がある。かかる場合には、その運転状態を考慮することにより、より精度良く効率比較を行うことが可能となる。例えば、第1または第2の記憶手段において、運転状態に関するパラメータを含めて、多元的に関係を記憶しておくことにより容易に実現することができる。別の方法として、標準の運転状態を想定して効率を算出した後、運転状態に応じた補正を施すものとしてもよい。
【0013】
本発明の移動体において、例えば、
前記第1の駆動源は、熱機関であり、
前記第2の駆動源は、燃料電池を電源とする電動機であるものとすることができる。
【0014】
熱機関の効率は、回転数、トルク、温度に応じて変動することが知られている。熱機関を駆動源とする場合には、前記第1の記憶手段には、これらのパラメータと効率との関係を、関数、テーブルなどの形式で予め記憶しておくことが望ましい。また、熱機関についての効率特定手段は、例えば、該熱機関の少なくとも原動機効率を考慮して効率を求める手段、少なくとも燃料効率を考慮して効率を求める手段、少なくとも原動機効率および燃料効率を考慮して効率を求める手段などの態様で構築可能である。
【0015】
燃料電池の効率には、燃料電池自体の効率の他、電動機の効率も含まれる。燃料電池についての効率特定手段は、燃料電池に要求された出力、電動機の回転数、トルクなどのパラメータと効率との関係を予め記憶しておき、これを参照することによって運転効率を特定する。また、燃料電池についての効率特定手段は、例えば、少なくとも該燃料電池のシステム温度を考慮して効率を特定する手段、少なくとも発電量を考慮して効率を特定する手段、少なくとも始動からの経過時間を考慮して効率を特定する手段、少なくとも燃料電池の劣化度に関与する所定のパラメータ値を考慮して効率を特定する手段、およびこれらを組み合わせて考慮して効率を特定する手段など種々の態様で構築することができる。ここで、システム温度には、燃料電池自体の温度の他、改質器などの温度を含めることもできる。
【0016】
本発明の移動体においては、例えば、
前記効率は、エネルギ効率、経済効率、および排出物抑制効率の少なくとも一つを用いて表されるものとすることができる。駆動源の使い分け時に着目する効率により、各効率の向上を図ることができる。
【0017】
エネルギ効率とは、単位燃料当たりに出力可能な理想的エネルギと、実際に出力されるエネルギとの比を言う。エネルギ効率が高い程、消費燃料が少なくなる。エネルギ効率は、単位駆動力の出力に消費される燃料の逆数で表すこともできる。従って、駆動源の使い分け時に、エネルギ効率を考慮することにより、燃料消費の抑制を図ることができる。
【0018】
経済効率とは、単位駆動力の出力対価の逆数に相当する。駆動力の出力時に消費される燃料量と燃料単価によって決定される。例えば、エネルギ効率が高く燃料消費量が少ない駆動源であっても、燃料単価が高ければ、経済効率は低くなる可能性がある。従って、経済効率を考慮することにより、ユーザの経済的負担の軽減を図ることができる。
【0019】
なお、経済効率の特定時には、燃料単価を入力する必要がある。従って、移動体には、燃料単価を入力するためのインタフェースを備えておくことが望ましい。例えば、運転者が入力するためのタッチパネルなどを用いることができる。また、外部からの無線通信によって、燃料単価を取得する手段を設けても良い。
【0020】
排出物抑制効率とは、単位駆動力の出力時に排出される排出物、いわゆるエミッションの量の逆数に相当する。エミッションが少ない程、排出物抑制効率が高いことを意味する。従って、駆動源の使い分け時に、排出物抑制効率を考慮することにより、環境性に優れた運転を実現することができる。ここでは、エミッションの量を例示したが、移動体から発せられる騒音をパラメータとしてもよい。
【0021】
本発明の移動体においては、
前記制御手段は、前記第1および第2の駆動源について、複数種類の前記効率を比較して前記駆動を行うものとすることができる。
【0022】
こうすることにより、複数の効率を総合的に考慮した駆動源の使い分けを行うことができる。一例として、先に例示したエネルギ効率、経済効率、排出物抑制効率の3種類を考慮することができる。これらの効率に予め重みを設定しておくことにより、3種類の効率を総合的に最大にする駆動源の使い分けを実現することができる。
【0023】
複数種類の効率を考慮する場合には、
前記制御手段は、前記複数種類の効率を、所定の優先順位に従って考慮するものとしてもよい。
移動体の運転状態等に応じて優先順位を変更させてもよい。
【0024】
また、運転者が、前記複数種類の効率の少なくとも一部について、前記制御時における考慮の可否または前記優先順位を設定可能な設定手段を備えるものとしてもよい。
【0025】
このように優先順位を考慮したり、運転者に設定自由度を認めることにより、運転時の環境、運転者の意図などの実情に即した駆動源の使い分けを行うことが可能となる。
【0026】
本発明の移動体においては、
前記第1の駆動源の使用可否を判定する第1の使用可否判定手段と、
前記第2の駆動源の使用可否を判定する第2の使用可否判定手段とを備え、
前記制御手段は、該第1および第2の駆動源の双方が使用可能な状態にあると判定される場合にのみ前記制御を実行する手段であるものとすることが望ましい。こうすることにより、運転効率算出の負担軽減を図ることができる。
【0027】
使用可否は、熱機関および燃料電池の故障の有無、暖機状態、残燃料などに基づいて判断することができる。「使用否」に相当する状態は、必ずしも熱機関、燃料電池が一切運転できない場合に限定する必要はない。駆動源としての使用を制限すべきものとして設定された任意の状態が該当する。例えば、燃料電池の残燃料が一定値に満たなくなった時点で使用否と判断しても良い。このとき、燃料電池は、本発明の制御上は「使用否」と判断されるが、他の制御では使用される可能性を残っていることになる。例えば、使用可否は、燃料電池のみならず燃料電池からの電源で駆動する電動機の状態に基づいて判断してもよい。これらの観点から、第2の使用可否判定手段は、例えば、少なくとも燃料電池を電源として駆動する電動機の出力定格を考慮して使用可否を判定する手段、少なくとも燃料電池の発電定格を考慮して使用可否を判定する手段、これらを組み合わせて使用可否を判定する手段など種々の態様で構築することができる。
【0028】
本発明の移動体においては、
前記第1の駆動源は、熱機関であり、
前記第2の駆動源は、燃料電池を電源とする電動機であり、
更に、前記燃料電池の代替電源となる蓄電器と、
前記運転状態に基づいて、該蓄電器の出力を用いて駆動する場合の運転効率を求める蓄電器効率特定手段とを備え、
前記制御手段は、前記燃料電池が使用不可状態にある場合には、前記熱機関と蓄電器のうち、運転効率の高い側の出力を利用して駆動を行う手段であるものとすることもできる。蓄電器には、二次電池、キャパシタなどが含まれる。
【0029】
これは、2種類の電源、即ち燃料電池と蓄電器について、燃料電池を蓄電器よりも優先的に使いつつ、電動機と熱機関との駆動源の使い分けを実現する態様である。蓄電器は、電力の放電時の損失だけでなく、充電時にも有る程度の損失を伴うのが通常である。従って、燃料電池を蓄電器よりも優先使用することにより、効率を向上することができる。燃料電池が使用不能な状態では、蓄電器と熱機関との効率比較により、状況に応じて効率的な運転を実現することができる。蓄電器効率特定手段は、例えば、運転状態と効率との関係を予め記憶しておくなどの態様で構成することができる。蓄電器を利用した場合の運転効率は、消費電力を熱機関により充電した場合の効率に換算して求めることができる。
【0030】
本発明においては、エネルギ出力源、即ち熱機関、燃料電池、蓄電器の使用状態の頻繁な切り替えを抑制する抑制手段を制御手段に適用することもできる。例えば、抑制手段は、エネルギ出力源の切り替えが行われた後、所定の条件が成立しない間は切り替えを抑制する手段である。この際の条件としては、切り替え後の経過期間、切り替え後の走行距離、切り替え後の操作部の操作状態などを適用することができる。操作部の操作状態としては、例えば、変速機のシフトポジションがニュートラルになることを適用できる。
【0031】
本発明においては、例えば、所定の走行状態においては、効率の比較に関わらずいずれかのエネルギ出力源を使用する制御を適用してもよい。
【0032】
本発明は上述した移動体の他、該移動体の制御方法、駆動源を使い分ける制御方法など種々の態様で構成可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、ハイブリッド車両に適用した実施例を、以下の項目に分けて説明する。
A.装置の構成:
B.一般的動作:
C.運転制御:
【0034】
A.装置の構成:
図1は実施例としてのハイブリッド車両の概略構成図である。本実施例のハイブリッド車両の動力源は、エンジン10とモータ20である。図示する通り、本実施例のハイブリッド車両の動力系統は、上流側からエンジン10、入力クラッチ18、モータ20、トルクコンバータ30、および変速機100を直列に結合して構成されている。変速機100の出力軸15はディファレンシャルギヤ16を介して車軸17に結合されている。入力クラッチ18は、エンジン10のクランクシャフト12とモータ20間の動力の伝達を断続する機構である。
【0035】
エンジン10は種々の熱機関を適用できる。本実施例では通常のガソリンエンジンとした。モータ20は、直流モータ、交流モータのいずれも適用できる。本実施例では、三相の同期モータを用いた。トランジスタインバータとして構成された駆動回路52で生成される三相交流によってモータ20は回転する。モータ20の電源としては、バッテリ50と燃料電池54とが備えられている。主電源は燃料電池54であり、バッテリ50は燃料電池54の発電が不十分な状況下でこれを補償する電源として使用される。バッテリ50の電力は、制御ユニット70や、照明装置などの電力機器に主として供給される。燃料電池54は、水素と酸素の電気化学反応で発電する装置であり、種々のタイプを適用可能であるが、本実施例では、固体高分子型を用いるものとした。燃料電池54に供給される水素は直接貯蔵するものとしてもよいが、所定の原料を改質して生成してもよい。本実施例では、燃料電池54用の燃料タンクFCに貯蔵されたメタノールを改質して水素を生成するものとした。改質用の原料としては、天然ガス、ガソリンなどの炭化水素系化合物、メタノールその他のアルコール、アルデヒドなどを用いることが可能である。
【0036】
トルクコンバータ30はいわゆる流体継手である。変速機100は、前進5段、後進1段の有段変速機を用いた。変速機100の変速段の切り替えは、油圧制御部104がポンプ102から変速機100への油圧系統を切り替えることにより実現される。なお、運転者がシフトレバーを操作することによって変速段の切り替え範囲を調整することができる。シフトレバーは、パーキング(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)、ドライブポジション(D)、および4ポジション〜Lポジションの各ポジションを選択可能である。変速段は、各シフトポジションに応じて予め設定された範囲で行われる。
【0037】
車軸17への動力伝達系統の他に、エンジン10には補機駆動装置82が結合されている。補機には、エアコンのコンプレッサやパワーステアリング用のポンプ、燃料電池54の冷却用のポンプなどが含まれる。ここでは、エンジン10の動力を利用して駆動される補機類をまとめて補機駆動装置82として示した。補機駆動装置82は、具体的にはエンジン10のクランクシャフトに補機クラッチ19を介して設けられたプーリにベルトを介して結合されており、クランクシャフトの回転動力によって駆動される。
【0038】
補機駆動装置82には、補機駆動用モータ80も結合されている。補機駆動用モータ80は、直流モータ、交流モータのいずれも適用できる。本実施例では、三相同期モータとした。補機駆動用モータ80は、トランジスタインバータとして構成された駆動回路56で、バッテリ50および燃料電池54を電源として生成された三相交流により回転する。エンジン10が運転を停止している時は、補機駆動用モータ80により、補機駆動装置82を駆動することができる。このときは、負荷軽減のため、クラッチ19が解放される。補機駆動用モータ80は、エンジン10の動力によって発電する発電機としても機能する。こうして発電された電力は、バッテリ50に充電することができる。
【0039】
駆動回路52、56と各電源との間には、接続状態を3カ所に切り替え可能な切替スイッチ51,55が設けられている。切替スイッチ55の動作により、燃料電池54は、駆動回路56に接続された状態(図中の回路a)、駆動回路52に接続された状態(図中の回路b)、バッテリ50に接続された状態(図中の回路c)の3通りの接続状態を実現することができる。同様に、切替スイッチ51の動作により、バッテリ50は、選択先を駆動回路56、駆動回路52、燃料電池54の3通りに切り替えることができる。
【0040】
上述した各ユニットの動作は、制御ユニット70により制御される。制御ユニットは、内部にCPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータとして構成されている。制御ユニット70には、制御の実行上必要となる種々の信号が入力される。入力される信号としては、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、パーキングブレーキなどの操作部74の各操作状態を検出する操作状態センサ73からの信号、エンジン10用の燃料タンクEGのガソリン残量を検出する残量センサ75、燃料電池54用の燃料タンクFCのFC燃料残量を検出する残量センサ76、車速センサ78などが挙げられる。その他種々のセンサからの信号が制御ユニット70に入力されるが、ここでは図示を省略した。
【0041】
制御ユニット70には、制御を実現するための種々の機能ブロックが用意されている。図1中には、本実施例に特徴的な機能ブロックとして、効率演算部71と駆動制御部72を示した。効率演算部71は、操作部74の状態に基づいて定まる要求トルクや車速などに基づいて、その運転状態での動力源のエネルギ効率を算出する。効率演算部71は、エンジン10のエネルギ効率、燃料電池54を電源としてモータ20を駆動する場合のエネルギ効率、バッテリ50を電源としてモータ20を駆動する場合のエネルギ効率をそれぞれ算出する。駆動制御部72は、算出されたエネルギ効率を比較して、動力源の使い分けを行う。これらの機能ブロックにより実現される制御処理については、後に詳述する。本実施例では、これらの機能ブロックは、ソフトウェア的に構成されているが、もちろん、ハードウェア的に構築しても構わない。
【0042】
B.一般的動作:
本実施例のハイブリッド車両は、車速およびトルクに応じて2つの動力源、即ちエンジン10とモータ20を使い分けて走行する。両者の使い分けは予めマップとして設定され、制御ユニット70内のROMに記憶されている。
【0043】
図2は車両の走行状態と動力源との関係を示す説明図である。図中の領域MGはモータ20とエンジン10とを使い分けて走行する領域である。領域MGの外側の領域、即ちEG領域は、エンジン10を動力源として走行する領域である。本実施例の車両は、エンジン10とモータ20の双方を動力源として走行することも可能ではあるが、かかる運転モードは原則的には使用しないものとした。
【0044】
MG領域でモータ20が動力源として選択されると、ハイブリッド車両は、入力クラッチ18をオフにしてモータ20の動力により発進する。車速およびアクセル開度が、領域MGと領域EGの境界近傍の走行状態に達すると、制御ユニット70は、入力クラッチ18をオンにするとともに、エンジン10を始動する。その後は、エンジン10のみを動力源として走行する。エンジン走行中は、モータ20は単に空回りした状態となる。MG領域内での動力源の使い分けに関する判断は、頻繁に行われる。従って、MG領域内でモータ20からエンジン10へ、またはその逆に動力源が切り替わることもある。なお、例えば、図2に示したマップ中の領域Aのように、特定の領域では必ずモータ20を動力源とするものとしてもよい。かかる領域を設けない制御も可能である。
【0045】
制御ユニット70は、動力源の使い分けとともに、変速段の切り替え制御も行う。変速段の切り替えは、車両の走行状態に予め設定されたマップに基づいてなされる。図2にはDポジションにおけるマップを示した。図示するように制御ユニット70は、車速が増すにつれて変速比が小さくなるように変速段の切り替えを実行する。
【0046】
C.運転制御:
MG領域における動力源の使い分けは以下に示す制御処理によって実現される。図3は駆動制御処理ルーチンのフローチャートである。車速および要求トルクがMG領域(図2参照)にある場合に、制御ユニット70内のCPUが他の制御処理と共に繰り返し実行する処理である。
【0047】
CPUはFC燃料残量、ガソリン残量に応じて、次の4通りに制御内容を切り替える。FC燃料残量が十分あり(ステップS10)、ガソリンの残量が不足している場合(ステップS12)には、燃料電池54を電源としてモータ20を駆動して走行する(ステップS18)。FC燃料残量、ガソリン残量が十分あるか不足しているかの判断は、各燃料に対応して設けられた所定値と残量との大小関係に応じて行われる。
【0048】
FC燃料残量およびガソリン残量が共に十分あると判断された時は(ステップS10、S12)、運転効率に基づいて、燃料電池54とエンジン10との使い分けを行う。CPUは、燃料電池54でモータ20を駆動した場合の運転効率ηfと、エンジン10で駆動した場合の運転効率ηeをそれぞれ計算し(ステップS14)、運転効率の高い側を動力源として選択する。つまり、「ηe>ηf」の場合は、エンジン10を動力源として走行し(ステップS16,S20)、その他の場合には、燃料電池54を電源とするモータ20を動力源として走行する(ステップS16,S18)。
【0049】
ここで、運転効率ηe、ηfの算出方法について説明する。一般に運転効率は、車速、要求トルク、各ユニットの温度など種々のパラメータによって変動する。また、出力された動力を車軸17に伝達する際の損失も考慮する必要がある。本実施例では、動力の出力に関与するいくつかの要素ごとに運転効率への影響(以下、「要素効率」と呼ぶ)を予め求めておき、これらの乗算によって総合効率を算出するものとした。
【0050】
具体的に、エンジン10を動力源とした場合の運転効率ηeは次式で与えられる。
ηe=ηeng×ηm×ηg;
各要素効率ηeng、ηm、ηgの内容は、それぞれ次の通りである。
ηeng(0<ηeng<1.0の実数)は、エンジン10の熱機関としてのエネルギ効率を示しており、単位体積の燃料から各運転状態でエンジン10が出力可能な動力と、最も効率の良い状態で出力可能な動力との比を表している。つまり、運転状態の相違が運転効率に与える影響を表す値である。
【0051】
ηm(0<ηm<1.0の実数)は、トルクコンバータ30、変速機100、ディファレンシャルギヤ16などで構成される動力伝達系統における動力伝達効率、即ち車軸17に伝達された動力とエンジン10から出力された動力との比である。
【0052】
ηg(0<ηg<1.0の実数)は、ガソリン効率を表しており、単位体積辺りのガソリンからエンジン10が現実に取り出せるエネルギと理想的な状態で取り出すことができるエネルギとの比である。
【0053】
燃料電池54によりモータ20を駆動した場合の運転効率ηfは次式で与えられる。
ηf=ηmot×ηm×ηL×ηa;
各要素効率ηmot、ηm、ηL、ηaの内容は、それぞれ次の通りである。
ηmot(0<ηmot<1.0の実数)は、電動機による運転効率である。つまり、モータ20から出力される動力と消費電力との比である。モータ20の温度、回転数、トルクに応じて変動する値である。
【0054】
ηm(0<ηm<1.0の実数)は、既に説明した動力伝達効率である。本実施例では、エンジン10とモータ20の動力伝達効率がほぼ同等とみなせるが、構成によっては、運転効率ηeの算出時とは異なる値を用いることができる。
【0055】
ηL(0<ηL<1.0の実数)は、FC燃料効率である。燃料電池54が単位体積当たりのFC燃料から実際に出力される電力と、理想的な運転状態で出力可能な電力との比である。
【0056】
ηa(0<ηa<1.0の実数)は、燃料電池54の発電効率である。各運転状態において燃料電池54が実際に出力できる電力と、理想的な運転状態で出力できる電力との比である。燃料電池54の温度、発電量、始動からの経過時間、燃料電池の劣化度などに応じて変化する値となる。一般に、発電効率は、温度が低いほど低下する。燃料電池54の定格に対し小さすぎても大きすぎても、発電効率は低下する。始動開始直後の暖機が十分に完了していない状態では、発電効率は低い。長期間使用された燃料電池では性能が低下し、発電効率が低くなる。発電効率ηaは、これらのパラメータに応じて予め用意された関数またはマップに基づいて設定される。
【0057】
運転効率ηe、ηfの算出に用いられる各要素効率は、回転数、トルク、エンジン水温、燃料電池温度など運転状態を表すパラメータに応じて予めマップまたは関数として用意され、制御ユニット70内のメモリに記憶されている。CPUは、このマップ等を参照して各要素効率を算出し、上式によって運転効率ηe、ηfを求めることができる。なお、上式を用いた運転効率ηeの計算は、一例に過ぎず、更に多くの要素効率を考慮するものとしてもよいし、運転状態を表すパラメータから直接運転効率ηe、ηfを与えるマップまたは関数を用意しておく方法を採っても良い。
【0058】
図4は運転効率を与えるマップを例示する説明図である。説明の便宜のため、簡略化したマップを示した。曲線CE1〜CE3はエンジン10の運転効率ηeを与えるマップである。運転効率ηeは、動力に応じて変化する。実際には、同じ動力であっても回転数およびトルクが変われば運転効率が変動する。また、エンジン10の水温、過給器の作動有無、空燃比がリーン状態かストイキ状態かの差違などの運転状態によっても変動する。これらの運転状態に応じて、図中の曲線CE1〜CE3に示すように運転効率を与えるマップは、複数用意される。以下の説明では、エンジン10の運転状態が曲線CE2に対応しているものとする。
【0059】
曲線C1〜C3は燃料電池54の運転効率ηfを与えるマップである。燃料電池54の温度に応じて3段階の曲線を例示した。実際には、更に多くのパラメータに応じて曲線が描かれることになる。それぞれ要求される負荷、即ち電力に応じて効率が変動する。なお、燃料電池54の運転効率が所定以下の負荷範囲で描かれているのは、運転領域をこの範囲に制限しているからであり、エンジン10と同程度の広範囲で効率を求めることも可能である。かかるマップは、予め実験的または解析的に設定される。
【0060】
このマップによれば、燃料電池54の温度が曲線C1に相当する場合には、負荷が値aよりも低い領域では燃料電池54の運転効率が上回り、値aより大きい領域ではエンジン10の運転効率が上回る。温度が曲線C2に相当する場合については値b、温度が曲線C3に相当する場合については値cの負荷を境界として燃料電池54とエンジン10の運転効率が逆転する。各運転状態で、このようにマップを参照することにより、運転効率に基づき燃料電池54とエンジン10との使い分けを実現することができる。
【0061】
図3に戻り、駆動制御処理について引き続き説明する。ステップS10,S12において、FC燃料残量が不足しており、ガソリン残量が十分あると判断された時は、燃料電池54の使用が避けられる。CPUは、運転効率に基づいて、バッテリ50とエンジン10との使い分けを行う。CPUは、バッテリ50でモータ20を駆動した場合の運転効率ηbと、エンジン10で駆動した場合の運転効率ηeをそれぞれ計算し(ステップS26)、運転効率の高い側を動力源として選択する。つまり、「ηe>ηb」の場合は、エンジン10を動力源として走行し(ステップS28,S20)、その他の場合には、バッテリ50を電源とするモータ20を動力源として走行する(ステップS28,S30)。
【0062】
エンジン10の運転効率の算出方法は、ステップS14と同じである。バッテリ50の運転効率ηbは、次式により与えられる。
ηb=ηech×ηgen×ηout×ηmot×ηm;
各要素効率の内容は、それぞれ次の通りである。
【0063】
ηech(0<ηech<1.0の実数)は、バッテリ50を充電する際のエンジン10の運転効率である。バッテリ50は主として補機駆動用モータ80を用いた発電により充電されるものと仮定して充電効率を算出した。この値は、ステップS26の演算が行われる運転状態におけるエンジン10の運転効率ではなく、バッテリ50の充電時の比較的高率が高い状態での運転効率である。
【0064】
ηgen(0<ηgen<1.0の実数)は、補機駆動用モータ80による発電効率である。発電される電力と、充電用にエンジン10から出力される動力との比に相当する。
【0065】
ηout(0<ηout<1.0の実数)は、バッテリ50の放電効率である。各運転状態においてバッテリ50から現実に出力される電力と、理論的に出力可能な電力との比に相当する。ηmotおよびηmは、先に説明した通りである。
【0066】
ステップS10,S12において、FC燃料残量およびガソリン残量が共に不足していると判断された時は、燃料電池54、エンジン10ともに使用不能であるため、動力源の運転を停止する(ステップS24)。バッテリ50の電力が十分に残っている場合には、非常時の運転モードとして、電力を過度に消費しない範囲で、バッテリ50を電源とするモータ20の駆動を行うものとしてもよい。
【0067】
なお、図3のフローチャートには明示しなかったが、動力源の頻繁な切り替えを回避するため、その使い分けの判断処理(ステップS10,S12,S22,S16,S28)には一定のヒステリシスを設けることが望ましい。同じ目的で、駆動制御処理の実行周期を比較的長くしてもよい。一例として、走行距離または走行時間が所定値に達する度に実行するようにしてもよい。さらに、車両の操作部が動力源切り替えへの影響が低い所定の状態にあるときにのみ駆動制御処理を実行するようにしてもよい。例えば、変速機100のシフトレバーがニュートラルポジションなど、所定の状態にあるときにのみ実行するようにしてもよい。
【0068】
以上で説明した本実施例のハイブリッド車両によれば、各運転状態における運転効率に基づいて燃料電池54とエンジン10との使い分けを行うことができる。従って、効率的な運転を実現することができる。図3に示した処理から明らかな通り、FC燃料とガソリンが共に十分残っている場合にのみ、燃料電池54、エンジン10の効率比較を行うため、これらの運転効率計算による負荷増大を回避できる。FC燃料、ガソリンが十分残っているか否かの判断基準値を適宜設定することにより、駆動制御処理における各燃料の浪費を回避することもできる。
【0069】
本実施例では、FC燃料が不足した状況では、バッテリ50とエンジン10の運転効率比較により、両者の使い分けを行う。従って、燃料電池54が使用できない状況下でも、可能な範囲で効率的な運転を実現することができる。
【0070】
また、本実施例では、FC燃料が十分に残っている状態、即ち、燃料電池54とバッテリ50の双方が利用可能な状態にあるときは、燃料電池54を優先的に使用する。燃料電池54の方がバッテリ50よりもエネルギ効率が高いことが多いため、かかる使い分けを行うことにより、効率的な運転を実現できる。
【0071】
D.第2実施例:
第1実施例では、運転効率、即ちエネルギ効率を考慮して駆動源を使い分ける制御を例示した。第2実施例では、エネルギ効率も含め複数種類の効率を総合的に判断して駆動源の使い分けを行う制御を例示する。一例として、第2実施例では、経済効率、エネルギ効率、エミッション抑制効率の3種類を考慮する制御を例示する。
【0072】
図5は第2実施例の概略構成図である。第2実施例は、制御ユニット70の効率演算部71への入力要素が増える点で第1実施例と相違する。その他の構成については、第1実施例と同じである。
【0073】
第2実施例では、駆動制御時に経済効率を考慮するか否かを、タッチパネル90によって運転者が設定可能となっている。制御ユニット70に設けられたパネル表示部79は、タッチパネル90を用いたデータの入出力を司る。パネル表示部79の作用により、タッチパネル90には、図示する通り、経済効率のオン・オフおよび燃料単価を設定するためのインタフェースが表示される。図の状態は、経済効率の設定がオン、即ち後述する制御において、経済効率が考慮される状態に設定されている。運転者は、タッチパネル90の操作によって、経済効率設定をオフに切り換えることが可能である。経済効率設定用のスイッチは、必ずしもタッチパネルを用いる必要はなく、オン・オフの2つの状態を採り得る押しボタンその他のスイッチを用いても良い。
【0074】
燃料単価設定は、経済効率を算出する際に用いられる値である。本実施例のハイブリッド車両では、エンジン10の燃料としてガソリン、燃料電池54の燃料としてメタノールが用いられるから、それぞれの単価を入力可能となっている。これらの単価は、運転者が入力するものとしてもよいし、パネル表示部79に無線通信機能を持たせ、ネットワークNETを介して外部の情報センターICから取得するものとしてもよい。
【0075】
図6は第2実施例としての駆動制御処理のフローチャートである。ここでは、燃料電池54およびエンジン10の双方が運転可能な状態であることを前提とした処理を例示した。図6に示す処理に先立ち、第1実施例と同様、FC燃料、ガソリンの残量に基づいて、双方が運転可能であるか否かの判断を行うものとしてもよい。また、図6では、燃料電池54とエンジン10の使い分けを例示したが、燃料電池54が使用不能である場合には、バッテリとエンジン10の使い分けを行うものとしてもよい。
【0076】
駆動制御が開始されると、制御ユニット70のCPUは、経済効率を優先するモードが設定されているか否かを判断する(ステップS110)。これは、図5に示したタッチパネル90での設定に基づいて判断される。経済効率設定がオンとなっている場合には、燃料電池54とエンジン10の経済効率を比較して、両者の使い分けを実行する。即ち、CPUは、燃料電池54の経済効率εfとエンジン10の経済効率εeを算出し(ステップS112)、経済効率の高い方を駆動源として選択する(ステップS114,S116,S118)。
【0077】
経済効率の算出方法を説明する。第1実施例で説明した式によってエンジン10のエネルギ効率ηeおよび燃料電池64のエネルギ効率ηfが算出される。エネルギ効率は、単位体積の燃料から得られるエネルギについて、理論値と実際の値の比を表している。単位体積の燃料から得られるエネルギの理論値は、既知であるから、この理論値とエネルギ効率を用いることにより、燃料消費率を求めることができる。もちろん、運転状態と燃料消費率との関係を予めマップ等で保持しておいてもよい。これらの方法によって得られた燃料消費率に対し、各燃料の単価を乗じることにより、単位エネルギを得るためのコストが算出される。経済効率は、このコストの逆数を採ることによって得られる。従って、経済効率が高い程、低コストでエネルギが得られることを意味する。
【0078】
一方、ステップS110において、経済効率設定がオフと判断された場合には、CPUは、エミッション抑制効率とエネルギ効率を考慮して、駆動源の使い分けを実行する。CPUは車両の運転状態がエミッション抑制効率を優先すべき状態にあると判断すると(ステップS120)、燃料電池を駆動源として選択する(ステップS126)。エミッション抑制効率を優先すべきか否かの判定方法は、後述する。CPUは、ステップS120において、エミッション抑制効率を優先する必要がないとすると、燃料電池64のエネルギ効率ηf、エンジンのエネルギ効率ηeを算出し(ステップS122)、エネルギ効率の高い方を駆動源として選択する(ステップS124,S126,S118)。エネルギ効率の算出方法は、第1実施例と同じである。
【0079】
ステップS120の判定方法について説明する。エミッション抑制効率とは、単位エネルギの出力に対するエミッション量の逆数を意味する。低エミッションでエネルギを出力できる程、エミッション抑制効率が高くなる。燃料電池64は、エミッションが極端に少ないため、本実施例では、エンジン10のエミッションが許容範囲にあるか否かでエミッション抑制効率の判定を行うものとした。つまり、エンジン10のエミッションが許容範囲にある場合には、エミッション抑制効率を優先する必要はなく、許容範囲を外れる場合には、エミッション抑制効率を優先するものとした。本実施例では、車両の速度およびトルクに基づく第1の条件、車両が走行している地域に基づく第2の条件、時間帯に基づく第3条件のいずれか一つを満足する時に、エミッション抑制効率を優先すべきものと判断される。
【0080】
第1の条件について説明する。エンジン10は、例えば、比較的低車速、低トルクの時には、エミッションの排出量が多いことが知られている。車速およびトルクとの関係で予め目標量を上回るエミッションが排出される領域を設定しておき、車両の走行状態がこの運転領域に属している場合には、第1の条件が満足されていると判断される。
【0081】
第2の条件について説明する。エミッションの許容量は、車両の走行地域によって変動する。例えば、大都市圏、住宅街、病院内などでは、エミッションの許容量は低い。予めエミッションを抑制すべき地域を設定しておき、車両がこれらの地域を走行中には、第2の条件が満足されていると判断される。車両の走行地域は、ナビゲーションシステムから取得することが可能である。
【0082】
第3の条件について説明する。エミッションの許容量は、走行する時間帯によっても変動する。例えば、早朝や深夜などにはエミッションの許容量は低い。これらの時間帯は、エミッションのみならず騒音も抑制すべき時間帯である。ここでは、双方を考慮し、エミッションの許容量で代表させて扱った。現在の時刻が、早朝や深夜など予め設定された時間帯に属する場合には、第3の条件が満足されていると判断される。
【0083】
以上で説明した第2実施例の制御によれば、経済効率、エミッション抑制効率、エネルギ効率を所定の優先順位で考慮することにより、車両の走行に関する種々の事情に即した運転を実現することができる。例えば、経済効率を考慮することにより、運転者の経済的負担を軽減することができる。エミッション抑制効率を考慮することにより、状況に応じて環境に配慮した運転を実現することができる。
【0084】
E.変形例:
実施例では、マップまたは関数によって燃料電池54、エンジン10、バッテリ50の運転効率を逐次求める場合を例示した。これに対し、運転状態に応じて予め駆動源を特定するマップを用いるものとしてもよい。負荷、燃料電池54の温度、エンジン水温などの運転状態を表すパラメータに、駆動源を特定するフラグが対応づけられたマップを利用することができる。かかるマップを利用することにより、駆動源の特定時の演算負荷を軽減することができる。
【0085】
実施例では、バッテリ50も電源として使用可能な車両を例示した。本発明は、バッテリ50を搭載しない車両にも適用可能である。この場合には、図3において、ステップS26,S28,S30の処理を省略するとともに、ガソリンの有無(ステップS22)に応じてエンジン駆動(ステップS20)と運転停止(ステップS24)とを切り替えるように構成した制御処理を適用することができる。
【0086】
エンジン10の運転効率ηeの特定は、実施例で例示した要素効率を全て考慮する場合の他、原動機効率ηeng、ガソリン効率ηgのいずれか一方を考慮して求めるものとしてもよい。運転効率ηeは、その他種々の態様で特定可能である。
【0087】
燃料電池54の運転効率ηfは、実施例で例示した要素効率を全て考慮する場合の他、燃料電池のシステム温度、発電量、始動からの経過時間、燃料電池の劣化度に関与する所定のパラメータ値のいずれかを少なくとも考慮する種々の態様で特定することができる。これらのパラメータは、先に例示した要素効率ごとに適用してもよいし、要素効率に分けることなく運転効率ηfを特定するように適用してもよい。システム温度は、燃料電池54単体の温度の他、改質器などが備えられている場合には、その温度も考慮することができる。
【0088】
実施例では、FC燃料の有無で燃料電池54の使用可否判定を行う場合を例示した(図3のステップS10)。使用可否は、燃料電池54の発電定格を考慮して使用可否を判定する態様を採ることもできる。その他、燃料電池54の温度などを考慮してもよい。また、燃料電池54を電源とするモータ20の出力定格を考慮して燃料電池54の使用可否を判定してもよい。モータ20の出力定格が要求トルクおよび回転数に満たない場合には、燃料電池54を電源とする駆動方法が適用できないという意味で、燃料電池54を使用不可と判定することができる。
【0089】
第2実施例においては、例示した3つの効率に限らず、種々の観点からの効率を含めることができる。また、複数の効率を考慮する優先順位も、例示した順位に限定されない。例えば、優先順位を運転者が設定可能としてもよい。
【0090】
以上の実施例では、燃料電池およびエンジンを駆動源とする場合を例示したが、本発明は、運転状態と効率に関する特性の異なる2以上の駆動源を併用する種々の移動体に適用可能である。実施例では、エンジン10とモータ20を直列的に結合したハイブリッド車両を例示したが、これに限らず両者が動力源となる種々の構成を採用可能である。
【0091】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフトウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としてのハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】車両の走行状態と動力源との関係を示す説明図である。
【図3】駆動制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図4】運転効率を与えるマップを例示する説明図である。
【図5】第2実施例における制御ユニット70近傍の概略構成図である。
【図6】第2実施例における駆動制御処理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10…エンジン
12…クランクシャフト
15…出力軸
16…ディファレンシャルギヤ
17…車軸
18…入力クラッチ
19…補機クラッチ
20…モータ
30…トルクコンバータ
50…バッテリ
51,55…切替スイッチ
52、56…駆動回路
54…燃料電池
70…制御ユニット
71…効率演算部
72…駆動制御部
73…操作状態センサ
74…操作部
75、76…残量センサ
78…車速センサ
79…パネル表示部
80…補機駆動用モータ
82…補機駆動装置
90…タッチパネル
100…変速機
102…ポンプ
104…油圧制御部

Claims (12)

  1. 移動体であって、
    第1の駆動源と、
    第2の駆動源と、を備え、
    前記第1の駆動源は、第1の燃料を使用して駆動され、前記第1の燃料による駆動の第1の効率と前記移動体の運転状態との間に第1の関係を有し、
    前記第2の駆動源は、前記第1の燃料とは異なる第2の燃料を使用して駆動され、前記第2の燃料による駆動の第2の効率と前記移動体の運転状態との間に第2の関係を有し、
    前記移動体は、さらに、
    該移動体の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    前記運転状態に基づいて、前記第1の駆動源を用いて駆動を行う場合の前記第1の効率を求める第1の効率特定手段と、
    前記運転状態に基づいて、前記第2の駆動源を用いて駆動を行う場合の前記第2の効率を求める第2の効率特定手段と、
    前記第1および第2の効率のうち効率の高い方の駆動源を利用して駆動を行う制御手段とを備える移動体。
  2. 請求項1記載の移動体であって、
    前記第1の関係を記憶する第1の記憶手段と、
    前記第2の関係を記憶する第2の記憶手段とを備え、
    前記第1の効率特定手段および前記第2の効率特定手段は、それぞれ前記第1の記憶手段、第2の記憶手段を参照して前記効率を求める移動体。
  3. 請求項1記載の移動体であって、
    前記第1の関係および第2の関係の少なくとも一方は、各駆動源の運転状態に応じて変動する関係であり、
    前記制御手段は、前記駆動源の運転状態をも考慮して前記効率比較を行う移動体。
  4. 請求項3記載の移動体であって、
    前記運転状態は、移動速度、要求トルク、駆動源の残燃料、前記駆動源の運転温度の少なくとも一つをパラメータとして表される移動体。
  5. 請求項1記載の移動体であって、
    前記第1の駆動源は、熱機関を含み
    前記第2の駆動源は、燃料電池と、前記燃料電池を電源とする電動機とを含む、移動体。
  6. 請求項1記載の移動体であって、
    前記効率は、エネルギ効率、経済効率、および排出物抑制効率の少なくとも一つを用いて表される移動体。
  7. 請求項1記載の移動体であって、
    前記制御手段は、前記第1および第2の駆動源について、前記第1と第2の効率を含む複数種類効率を比較して前記駆動を行う移動体。
  8. 請求項7記載の移動体であって、
    前記制御手段は、前記複数種類の効率を、所定の優先順位に従って考慮する移動体。
  9. 請求項8記載の移動体であって、
    運転者が、前記複数種類の効率の少なくとも一部について、前記制御時における考慮の可否または前記優先順位を設定可能な設定手段を備える移動体。
  10. 請求項1記載の移動体であって、
    前記第1の駆動源の使用可否を判定する第1の使用可否判定手段と、
    前記第2の駆動源の使用可否を判定する第2の使用可否判定手段とを備え、
    前記制御手段は、該第1および第2の駆動源の双方が使用可能な状態にあると判定される場合にのみ前記制御を実行する手段である移動体。
  11. 請求項10記載の移動体であって、
    前記第1の駆動源は、熱機関を含み
    前記第2の駆動源は、燃料電池と、前記燃料電池を電源とする電動機とを含み
    更に、前記燃料電池の代替電源となる蓄電器と、
    前記運転状態に基づいて、該蓄電器の出力を用いて駆動する場合の運転効率を求める蓄電器効率特定手段とを備え、
    前記制御手段は、前記燃料電池が使用不可状態にある場合には、前記熱機関と蓄電器のうち、運転効率の高い側の出力を利用して駆動を行う手段である移動体。
  12. 移動体におい第1の駆動源第2の駆動源との使い分けを実現する制御方法であって、
    前記第1の駆動源は、第1の燃料を使用して駆動され、前記第1の燃料による駆動の第1の運転効率と前記移動体の運転状態との間に第1の関係を有し、
    前記第2の駆動源は、前記第1の燃料とは異なる第2の燃料を使用して駆動され、前記第2の燃料による駆動の第2の運転効率と前記移動体の運転状態との間に第2の関係を有し、
    前記制御方法は、
    (a) 前記移動体の運転状態を検出する工程と、
    (b) 検出された運転状態に基づいて、前記第1の駆動源の出力を用いて駆動を行う場合の、前記第1の運転効率を求める工程と、
    (c) 検出された運転状態に基づいて、前記第2の駆動源の出力を用いて駆動を行う場合の、前記第2の運転効率を求める工程と、
    (d) 前記第1および第2の運転効率のうち運転効率の高い方の駆動源、使用すべき駆動源として選択する工程とを備える制御方法。
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