JP4096798B2 - 発泡ポリイミド成型体およびその製法 - Google Patents
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Description
この発明は、発泡ポリイミド成型体およびその製法に関し、さらに詳しくは耐熱性を有するとともに任意の形状に成型された発泡ポリイミド成型体およびその製法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、発泡体としては、ウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系のものがよく知られている。これらの発泡体から成型体とする場合、発泡体をチップ化してこれを再度バインダ−によって椅子のクッションや工業用断熱材として使用されている。
これらの発泡成型体は、耐熱性が100℃程度であり、使用温度範囲が限定されていた。
【0003】
そこで、高温下、特に300℃以上の温度で使用可能な耐熱性を有する工業用断熱発泡材が求められてきた。
このため、耐熱性発泡体としてポリイミド系が種々検討され、ポリイミド成型体が提案された(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第4241193号明細書
【特許文献2】
特開昭61−195126号公報
【特許文献3】
特開平1−313537号公報
【特許文献4】
特開平2−24326号公報
【特許文献5】
特開平4−211440号公報
【0005】
しかし、これらの発泡ポリイミド成型体は、発泡と成型とを同時に行うことによって得られるものであり、形状や大きさに制限を受け、ポリイミド発泡成型体の用途に制限を受ける。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、耐熱性を有するとともに任意の形状に成型された発泡ポリイミド成型体およびその製法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、予め発泡されたポリイミド樹脂塊を破砕し、これを耐熱性バインダ−と混合し、この混合物を所定の型枠に投入後、所定の密度まで加圧、焼成してなる発泡ポリイミド成型体に関する。
また、この発明は、予め発泡されたポリイミド樹脂塊を破砕し、これを耐熱性バインダ−と混合し、この混合物を所定の型枠に投入後、所定の密度まで加圧して成型して、焼成することを特徴とする発泡ポリイミド成型体の製法に関する。この明細書において、耐熱性バインダ−とは300℃で60分間の加熱試験後に劣化が実質的に認められないものをいう。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を次に示す。
1)300℃で60分間の耐熱性試験を行って外観変化がなく、質量減少が1%以下の耐熱性を有する上記の発泡ポリイミド成型体。
2)密度が0.01〜0.8g/cm3である上記の発泡ポリイミド成型体。3)形状がシ−ト状、パイプ状、柱状、キュ−ブ状および箱状のいずれかである上記の発泡ポリイミド成型体。
4)パイプの形状を有し、内径が10〜1000mmで、外径が15〜2000mmである上記の発泡ポリイミド成型体。
【0009】
5)辺A、B、Cからなるブロックの形状を有し、A、B、Cが各々独立に10〜3000mmである上記の発泡ポリイミド成型体。
6)予め発泡されたポリイミド樹脂塊が、芳香族テトラカルボン酸成分として2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を必須成分として得られるポリマ−である上記の発泡ポリイミド成型体の製法。
7)耐熱性バインダ−が、ポリアミック酸である上記の発泡ポリイミド成型体の製法。
【0010】
8)耐熱性バインダ−が、芳香族テトラカルボン酸成分として2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を必須成分として得られるポリアミック酸である上記の発泡ポリイミド成型体の製法。
9)耐熱性バインダ−が、使用時の温度で50センチポイズ以下の溶液粘度である上記の発泡ポリイミド成型体の製法。
10)耐熱性バインダ−が、予め発泡されたポリイミド樹脂塊の破砕物に対して2〜30質量%の割合で混合される上記の発泡ポリイミド成型体の製法。
【0011】
11)予め発泡されたポリイミド樹脂塊が、0.0005〜0.1g/cm3の密度を有するものである上記の発泡ポリイミド成型体の製法。
12)発泡ポリイミド成型体が、シ−ト状、パイプ状、柱状、キュ−ブ状、箱状などの任意の形状である上記の発泡ポリイミド成型体の製法。
【0012】
この発明において予め発泡されたポリイミド樹脂塊は、好適には、芳香族テトラカルボン酸二無水物とアルコ−ルとを反応させた芳香族テトラカルボン酸のハ−フエステルとジアミンとアルコ−ルとを含むポリイミド発泡前駆体混合物を蒸発乾固、粉末化し、予備成型して適当なグリ−ン体を作成し、さらに加熱して発泡させることによって得られる。前記の加熱の前に、マイクロ波加熱を行ってもよい。
【0013】
前記の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物などが挙げられる。
特に、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50%以上含むものが好ましい。
【0014】
前記のジアミンとしては、2芳香核ジアミンまでを主成分とすることが好ましく、これによって発泡ポリイミドのTgが300℃以上を達成することが容易になる。多置換アミン成分は高温での発泡の収縮防止、発泡強度(発泡中に割れにくい)増大のために、必須なものではないが一部含まれている方が好ましい。ジアミノジシロキサンは界面活性剤的に作用し、発泡均一化のために0.1〜10モル%の範囲、好ましくは0.2〜5モル%は必要である。少量では発泡が均一化しづらく、多量ではTg低下および熱安定性の低下をまねく。
【0015】
前記のポリイミド発泡前駆体混合物として、好適には2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記することもある。)のハ−フエステルと芳香族ジアミン、例えば、p−フェニレンジアミン(以下、PPDと略記することもある。)および/または4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(以下、ODAと略記することもある。)と、発泡均一化のための成分、例えばジアミノジシロキサンおよびさらに必要ならば分子内に3個以上のアミノ基を有するアミン化合物、例えば芳香族トリアミン化合物または芳香族テトラアミン化合物、特にテトラアミノビフェニルをエステル化溶媒、例えばメタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、n−ブタノ−ルなどの低級一級アルコ−ル、好適にはメタノ−ルあるいはエタノ−ルと均一混合して溶解して、全量中の不揮発成分量が10%〜50%程度の混合物として得ることができる。
【0016】
前記のポリイミド発泡前駆体混合物には、1,2−ジメチルイミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、置換ピリジンなどのイミド化触媒を加えてもよい。
また、他の公知の添加剤、例えば、無機フィラ−、無機あるいは有機顔料などを加えてもよい。
【0017】
上記混合物を蒸発乾固し、粉末化を行う工程においては、実験室的にはエバポレ−タ、工業的にはスプレ−ドライヤ−などが使用できる。この蒸発温度は100℃未満、好ましくは80℃以下の状態に保たれることが好ましい。高温乾燥では発泡性が極端に低下する。乾燥の際、常圧でも、加圧下でも、あるいは減圧下でもよい。
【0018】
前記の適当なグリ−ン体を成型する工程においては、例えば、室温での圧縮成形、スラリ−溶液として流延乾固、マイクロ波に不活性な容器への充填を行う。この際に、蓋はしなくともよい(すなわち、完全に固める必要はない。)。概略均一な状態のグリ−ン体であれば、発泡時の均一化は達成できる。
【0019】
前記のマイクロ波加熱による加熱においては、一般的には約2.45GHzで行うことが好ましい。これは日本の国内法(電波法)に基く。粉末重量当たりのマイクロ波出力を目安とすることが好ましい。これは実験を重ねることによって定義すべきである。例えば、100g/1kW程度で約1分で発泡を開始し、2〜3分で発泡は収束する。この状態では非常に脆い発泡体である。
【0020】
次いでマイクロ波加熱体を熱風等の加熱により、200℃程度から徐々に昇温する(一応の目安として、100℃/10分程度の昇温速度)。最終は加熱によって生成するポリイミドのガラス転位温度(Tg)+αの温度にて5〜60分間、好適には10分間程度加熱する。
上記の各工程によって加熱発泡することによって、形状は不定形とはなるが、均一な発泡状態の弾力性がありかつ復元力に優れた発泡体が得られる。
【0021】
前記の方法において、固体状態のポリイミド前駆体の加熱を、発泡のための加熱と熱固定(高分子量化)のための加熱の2段階とすることが好ましい。
また、前記の発泡ポリイミドの製法において、発泡のための加熱を、加熱均一性向上のためにマイクロ波加熱によって行うことが好ましい。
そして、熱固定(高分子量化)のための加熱を、発泡ポリイミドのガラス転移温度(Tg)以上の温度、好適には310℃より高く500℃以下の温度で5〜60分間程度加熱して行うことが好ましい。
【0022】
前記の発泡工程によって得られる発泡されたポリイミド樹脂塊は、発泡倍率を任意に調整することができるが、好適には0.0005〜0.1g/cm3の密度を有するものが好ましい。
【0023】
この発明においては、前記の予め発泡されたポリイミド樹脂塊を破砕し、これを耐熱性バインダ−と混合し、この混合物を所定の形状を有する型枠に投入後、所定の密度まで加圧、焼成することによって、発泡ポリイミド成型体を得る。
【0024】
前記の方法におけるポリイミド樹脂発泡塊を破砕する方法としては、特に制限はなく、例えばプラスティック成形体の解砕機を適宜使用することができる。
前記の方法によって、ポリイミド樹脂発泡塊として球に換算してφ(直径)が1mm〜50mm程度の大きさの破砕品とすることが好ましい。
【0025】
この発明においては、前記の破砕品を耐熱性バインダ−と混合することが重要である。
前記の耐熱性バインダ−としては、ポリイミドの耐熱性を維持しつつバインダ−として機能する必要性からポリアミック酸が好適である。
特に、前記のバインダ−用ポリアミック酸として、芳香族テトラカルボン酸成分、好適には非対称性の芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミンとから得られるポリアミック酸あるいは芳香族テトラカルボン酸成分とメタ置換の芳香族ジアミンとから得られるポリアミック酸などの、耐熱性の熱融着性ポリイミドを与えるポリアミック酸が好適である。
前記の方法において、バインダ−のポリアミック酸はポリアミック酸の粉末状で使用してもよく、あるいは溶媒溶液として使用してもよい。ポリアミック酸の溶媒溶液として使用する場合にはポリアミック酸の濃度は1〜20質量%程度であることが適当である。
【0026】
前記の芳香族テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3’,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3’,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物やこれらの酸またはエステル、好適には非対称性芳香族テトラカルボン酸成分、例えば2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3’,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3’,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物やこれらの酸またはエステル、特に2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
【0027】
前記の芳香族テトラカルボン酸成分と反応させる芳香族ジアミンとしては、特に制限はないがベンゼン環を3〜4個有する芳香族ジアミン、例えば1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、好適には1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)を挙げることができる。前記の非対称性の芳香族テトラカルボン酸二無水物の80モル%以下を対称性の芳香族テトラカルボン酸成分で置き換えてもよく、また前記のベンゼン環を3〜4個有する芳香族ジアミンの80モル%以下をベンゼン環を1〜2個有する芳香族ジアミンで置き換えてもよい。
【0028】
前記の方法において、耐熱性バインダ−の使用量は、固形分換算でポリイミド樹脂発泡塊の破砕品100質量部に対して、2〜30質量部であることが好ましい。
前記のポリイミド樹脂発泡塊の破砕品と耐熱性バインダ−とを混合する方法としては特に制限はなく、例えばポリイミド樹脂発泡塊の破砕品と耐熱性バインダ−の粉末とをニ−ダ−で混合する方法、あるいはポリイミド樹脂発泡塊の破砕品に耐熱性バインダ−の溶液を噴霧する方法が挙げられる。
【0029】
この発明においては、ポリイミド樹脂発泡塊の破砕品と耐熱性バインダ−との混合物を所定の形状を有する型枠に投入後、所定の密度まで加圧、焼成することによって、発泡ポリイミド成型体を得ることができる。
前記の型枠としては、耐熱性素材製、例えば金属製、好適にはステンレス製の型枠が使用できる。
【0030】
前記の加圧、焼成は、例えば型枠内に耐熱性バインダ−を混合したポリイミド樹脂発泡塊の破砕品をガス抜きを備えたステンレス製の型枠内に投入し、押さえ蓋で所定寸法(例えば高さ)に圧縮し、押さえ蓋を固定した後、250℃以上でポリイミド発泡体のガラス転位温度以下の温度、好適には300℃以上400℃以下の温度に加熱した加熱炉内に10〜120分間程度置くことによって行うことが好ましい。
【0031】
この発明のポリイミド成型体は、好適には300℃で60分間の耐熱性試験を行って外観変化がなく、質量減少が1%以下の耐熱性を有するものである。
また、この発明のポリイミド成型体は、成型条件を選択することによって、密度が0.01〜0.8g/cm3である。
また、この発明の発泡ポリイミド成型体は、型枠を選択することによって、形状がシ−ト状、パイプ状、柱状、キュ−ブ状、箱状のいずれでもするることができ、特にパイプの形状を有し、内径が10〜1000mmで、外径が15〜2000mmであるもの、あるいは辺がA、B、Cからなるブロックの形状を有し、A、B、Cが各々独立に10〜3000mmである発泡ポリイミド成型体とすることができる。
【0032】
【実施例】
実施例および比較例における物性測定法を以下に示す。
ガラス転移温度:DSC(セイコ−電子工業社製、DSC220C)を用い、N2雰囲気下、20℃/分の昇温速度にて測定。
発泡倍率:真密度/見かけ密度より算出。
真密度は、同組成のポリイミドフィルムを常法により作製し、密度勾配管を用いて測定した値を用いた。
見かけ密度は、立方体または四角形シ−ト状に切断したものをノギスにより計測して体積を求め、また天秤により質量を計測し、質量/体積により求めた。
引張強度:150mmL×25mmW×10mmTの短冊状サンプルを切り出し、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製)を使用し、引張速度10mm/分で測定した。
引張伸び:引張強度測定試験と同様のサンプル、測定機および測定条件で測定した。
耐熱試験:オ−ブン中に60分放置後の外観、質量変化を求めた。
【0033】
以下の記載において、各略号は次の化合物を意味する。
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PPD:p−フェニレンジアミン
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
DADSi:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
DMZ:1,2−ジメチルイミダゾ−ル
【0034】
実施例1
500mlナス型フラスコにa−BPDA180mmol、メタノ−ル70g、触媒としてDMZ2.44gを仕込み、90℃オイルバス中で還流させながら90分間加熱攪拌を行い、均一溶液とした。次に、この溶液を30℃以下に冷却した後、PPD189mmol、DADSi2mmol、メタノ−ル30gを加え均一溶液とした。この溶液をエバポレ−タ−で濃縮し、60℃減圧乾燥して固形物を得た。
この固形物を粉砕粉末化して圧縮成型機を使用してグリ−ン体を成型し、このグリ−ン体をマイクロ波加熱装置を使用して、発泡倍率が130倍である発泡体を得た。この発泡体を450℃で15分間加熱し、ポリイミド発泡体を得た。
このポリイミド発泡体を解砕機で略φ5mm径の大きさに解砕したチップを得た。
【0035】
このチップに、耐熱性バインダ−としてa−BPDAと1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンとをジメチルアセトアミド中で5.5質量%の濃度で重合して得た粘度が9cpのポリアミック酸溶液を使用し、該チップ15gに対して該耐熱性バインダ−溶液27gを噴霧機を使用し該チップを攪拌しながら噴霧し、約10分間混合攪拌して、チップと耐熱性バインダ−との混合物を得た。この混合物のチップを高さ250mm、幅150mm、長さ200mmのステンレス製の型に投入し、ガス抜きを備えた押さえ蓋で高さが200mmまで圧縮し、押さえ蓋を固定した。この容器をオ−ブン中に投入し、350℃で30分間焼成した。冷却後、型から発泡ポリイミド成型体を取り出した。
このポリイミド発泡成型体について、密度、引張強度、300℃オ−ブン中に60分間放置後の外観、質量変化を調べた。結果をまとめて表1に示す。
【0036】
実施例2
ジアミン成分としてDADEを使用した他は実施例1と同様にして、発泡倍率140倍の発泡ポリイミドを得た。この発泡ポリイミド発泡体を使用した他は実施例1と同様にして、発泡ポリイミド成型体を得た。
このポリイミド発泡成型体について、密度、引張強度、300℃オ−ブン中に60分間放置後の外観、質量変化を調べた。結果をまとめて表1に示す。
【0037】
実施例3
発泡倍率を変えた他は実施例1と同様にして、密度が0.015g/cm3の発泡ポリイミド成型体を得た。
このポリイミド発泡成型体について、密度、引張強度、300℃オ−ブン中に60分間放置後の外観、質量変化を調べた。結果をまとめて表1に示す。
【0038】
実施例4
耐熱性バインダ−として、芳香族テトラカルボン酸成分としてa−BPDA80molとs−BPDA20mol%との組成とした他は実施例1と同様にして得られたポリアミック酸溶液を使用した他は実施例1と同様にして、発泡ポリイミド成型体を得た。
このポリイミド発泡成型体について、密度、引張強度、300℃オ−ブン中に60分間放置後の外観、質量変化を調べた。結果をまとめて表1に示す。
【0039】
実施例5
型枠の形状を変えた他は実施例1と同様にして、図2に示す寸法の発泡ポリイミド成型体を得た。
このポリイミド発泡成型体について、密度、引張強度、300℃オ−ブン中に60分間放置後の外観、質量変化を調べた。結果をまとめて表1に示す。
【0040】
比較例1
耐熱性バインダ−として、ウレタン系バインダ−を使用し、バインダ−量としてチップに対して10質量%の量で噴霧し、実施例1に記載の型枠を使用して、密度0.03g/cm3の成型体を成型し、次いで100℃のスチ−ムで加熱しウレタンバインダ−を硬化させて、ウレタンバインダ−製発泡ポリイミド成型体を得た。常法に従って60℃雰囲気下で乾燥した後、評価を行った。。結果をまとめて表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から、実施例1〜5によれば、密度が0.01g/cm3以上0.1g/cm3以下で、300℃で60分間の耐熱試験によって、外観変化なく、質量減少が1%以下の耐熱性を有するポリイミド発泡成型体が得られたことを示している。
これに対し、耐熱性の低いバインダ−を使用した比較例1によれば、上記の耐熱性試験によって、一部炭化して外観変化があり、質量減少が1%より多い耐熱性を有さないポリイミド発泡成型体が得られたことを示している。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、耐熱性を有するとともに任意の形状に成型された発泡ポリイミド成型体を得ることができる。
また、この発明の方法によれば、簡単な操作で前記の特長を有する発泡ポリイミドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一例である発泡ポリイミド成型体の写真である。
【図2】図2は、この発明の一例である実施例5で得られた発泡ポリイミド成型体の寸法である。
Claims (13)
- 予め発泡されたポリイミド樹脂塊を破砕し、これを耐熱性バインダ−としてのポリアミック酸と混合し、この混合物を所定の型枠に投入後、所定の密度まで加圧、焼成してなる発泡ポリイミド成型体。
- 300℃で60分間の耐熱性試験を行って外観変化がなく、質量減少が1%以下の耐熱性を有する請求項1に記載の発泡ポリイミド成型体。
- 密度が0.01〜0.8g/cm3である請求項1に記載の発泡ポリイミド成型体。
- 形状がシ−ト状、パイプ状、柱状、キュ−ブ状および箱状のいずれかである請求項1に記載の発泡ポリイミド成型体。
- パイプの形状を有し、内径が10〜1000mmで、外径が15〜2000mmである請求項1に記載の発泡ポリイミド成型体。
- 辺A、B、Cからなるブロックの形状を有し、A、B、Cが各々独立に10〜3000mmである請求項1に記載の発泡ポリイミド成型体。
- 予め発泡されたポリイミド樹脂塊を破砕し、これを耐熱性バインダ−としてのポリアミック酸と混合し、この混合物を所定の型枠に投入後、所定の密度まで加圧して成型して、焼成することを特徴とする発泡ポリイミド成型体の製法。
- 予め発泡されたポリイミド樹脂塊が、芳香族テトラカルボン酸成分として2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を必須成分として得られるポリマ−である請求項7に記載の発泡ポリイミド成型体の製法。
- 耐熱性バインダ−としてのポリアミック酸が、芳香族テトラカルボン酸成分として2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を必須成分として得られるポリアミック酸である請求項7に記載の発泡ポリイミド成型体の製法。
- 耐熱性バインダ−としてのポリアミック酸が、使用時の温度で50センチポイズ以下の溶液粘度である請求項7に記載の発泡ポリイミド成型体の製法。
- 耐熱性バインダ−としてのポリアミック酸が、予め発泡されたポリイミド樹脂塊の破砕物に対して2〜30質量%の割合で混合される請求項7〜10のいずれかに記載の発泡ポリイミド成型体の製法。
- 予め発泡されたポリイミド樹脂塊が、0.0005〜0.1g/cm3の密度を有するものである請求項7〜11のいずれかに記載の発泡ポリイミド成型体の製法。
- 発泡ポリイミド成型体が、シ−ト状、パイプ状、柱状、キュ−ブ状、箱状などの任意の形状である請求項7〜12のいずれかに記載の発泡ポリイミド成型体の製法。
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