JP4028928B2 - セグメント構築体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木工法で地中に作業空間を確保するために用いられるセグメントピースに関し、さらに詳細には、曲線部用と直線部用の数種類のセグメントピースを使用することにより、任意の形状および大きさの作業空間を確保することのできるセグメントピースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一定領域を掘削しその内部で作業をすることにより、地中に各種埋設管や建築物の土台等を構築する土木工法に、セグメント(ライナープレートなどを含む広義のセグメント)構築体が使用されている。すなわち、セグメントピースを複数連接して円形状あるいは小判形状等のリングとし、さらに、リングを複数連接して筒状のセグメント構築体を構築する。このセグメント構築体を地中に埋設して、その内部を掘削することにより、土砂や地下水が作業空間内に進入することを防ぎ、内部に作業空間を安全に確保するものである。従来のセグメントピースとしては、鋼板製、ダクタイル製のものや、あるいはシールドトンネル用のセグメントピースとしては鉄筋コンクリート製も多用されている。さらに、この他一般的な山留め工法としては、切ばり工法、リングビーム工法、逆打ち工法、アースアンカー工法等がある。また、これらの工法に用いられる山留め壁として、親杭横矢板、鋼矢板、柱列壁、連続壁などがある。
【0003】
従来、鉛直方向用のセグメント構築体に用いられるセグメントピースとしては、リング形状が円形となる円形構築体用鋼製セグメントピースとリング形状が小判形となる小判形構築体用鋼製セグメントピースが知られている。これらのセグメントピースの一例について図11〜図14を参照して簡単に説明する。図11〜図13は円形構築体および円形構築体用鋼製セグメントピースを、図14は小判形構築体を示したものである。図11、図12は円形構築体用セグメントピースを複数連接して構成した円形構築体の平面図と説明図であり、図13は円形構築体用セグメントピースの斜視図である。図14は小判形構築体の平面図である。
【0004】
円形構築体用セグメントピースは図13において、セグメントピース100のすべての面は厚さ3〜25mmの鋼板で構成され、各部材は溶接により接続されている。一対の主桁101は、ドーナツ形状を複数に等分した2重円弧形状であり、約1mの間隔をおいて平行位置に対置されている。主桁101,101の両端に長方形の継手板102,102が連接され、概略四角形の枠状を構成している。さらに、主桁101,101と継手板102,102の構成する枠内に、継手板102,102に平行に複数の縦リブ103,103,…が設けられ、それぞれ両主桁101,101に接続されている。縦リブ103,103,…の形状としては、長方形やJ字形の鋼板が用いられる。
【0005】
さらに、主桁101のドーナツ形状の外側の円弧に接して、円筒を等分割した形状の厚さ3〜5mmのスキンプレート104が主桁101,101、継手板102,102、縦リブ103,103…のすべてに接続して構成される。また、主桁101と継手板102にはボルト留めのための接続穴101a、102aが多数開けられており、多数のセグメントピース100の継手板102同士が連接されてリングとなり、さらにリングの主桁101同士が連接されて図12に示すように円筒状のセグメント構築体105が構築される。
【0006】
円形構築体用と小判形構築体用の各セグメントピースの差異は、図11と図14の平面図に示される主桁の形状の違いである。円形用は図11のように<A>1種類で構成され、小判形用は図14のように<A>、<J>、<J´>の3種類で構成される。ここで、小判形用において、<J>と<J´>の区別がある理由としては、セグメント構築体を構築する際に、主桁の繋目同士が縦方向に連続することはその部分が弱くなり、沈設した時、崩壊する危険があるからである。そのため、上下の段で主桁の繋目がずれ、いわゆる千鳥組になるように、セグメント構築体を構築することが好ましく、図14のように左右で繋目の位置がずれたセグメントピースが用いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のセグメントピースは、円形用、小判形用ともに、セグメントピースによって決まった大きさのリングおよびそれによる構築体しか構築できない。一方、掘削し、使用したい広さの範囲は、工事現場によりさまざまなので、リングのリング径が異なるさまざまなセグメント構築体を用意しなければならない。リング径の大きさにより、セグメントピースの形状が異なるので、必要なリング径の大きさにしたがって、それぞれのセグメントピースを用意する必要がある。このことは、施工場所の広さに応じてセグメントピースを製作する必要があるため、セグメントピースの大量生産ができないということで、非効率であり、コスト高となる。
【0008】
また、施工場所によっては、円形、小判形のみでなく、L字形、T字形等の掘削範囲が要求される場合もある。しかし、従来のセグメントピースでは、円形、小判形の2種類のみであるので、必要な施工範囲を含むように大きく円形または小判形に掘削する方法が採られていた。そのため、必要以上に大きく掘削する必要があるため工事期間が長くかかり、また、工事現場としての占有範囲が大きくなってしまうという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、数種類のセグメントピースを用意することで、任意の大きさや形状のセグメント構築体を構成することのできるセグメントピースを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために成された請求項1に係るセグメント構築体は、複数のセグメントピースの両端面を結合させて天地方向が開口された空間を作り、該空間を作業空間とする土木工法で使用されるセグメント構築体であって、前記両端面の延長面が、直交関係にある第一セグメントピースと、前記両端面が、平行関係にある第二セグメントピースとを有し、前記第一セグメントピースが、前記両端面をつなぐ曲面部の外部または内部を前記作業空間とする2種類のセグメントピースを有することを特徴とする。
ここで、両端面の延長面が直交関係にあるとは、リングを形成するピース間の端面が直交関係にあることをいう。
【0011】
曲線部に対応する第一セグメントピースと、直線部に対応する第二セグメントピースを有するので、これらの組合せにより様々な大きさあるいは形状のセグメントリングおよびそれによる構築体を構築することができ、施工場所毎に異なるセグメントピースを作成する必要が無い。したがって、セグメントピースを大量生産することができるので、効率的であり材料費を安くすることができる。
【0012】
【0013】
曲線部に対応する第一セグメントピースにおいて、凸部用と凹部用を用意することにより、L字形、T字形等の複雑な形状のセグメント構築体を構築することができる。このため、不必要に大きい範囲を掘削する必要がなく、最小限の工事範囲を占有するのみで施工が可能である。したがって、施工時間が短縮され、また近隣に対する迷惑も最少に抑えられる。
【0014】
さらに、請求項2に係るセグメント構築体は、請求項1に記載するセグメント構築体であって、前記第二セグメントピースが、前記両端面間の長さの異なる複数種のセグメントピースを有することを特徴とする。
【0015】
直線部に対応する第二セグメントピースに、長さの異なる数種のセグメントピースを用意することにより、どのような形状のセグメント構築体を構成しても、上下方向に主桁の繋目が連続しないように構成できる。曲線部に対応する第一セグメントピースにおいては、曲線部からの長さを左右で変えておくことにより、主桁の繋目は連続しない。このことから、地中に沈設しても周囲からの土圧に対する耐久性の大きいセグメント構築体を構成することができる。
【0016】
さらに、請求項3に係るセグメント構築体は、請求項1又は請求項2に記載するセグメント構築体であって、前記両端面を連接させてできるリング体同士の連接面が同一平面上にあり、前記リング体を形成する前記第一セグメントピース同士の連接面が千鳥配置になることを特徴とする。
【0017】
曲線部に対応する第一セグメントピースにおいて、曲線部からの長さを、隣接するリング体において変えておくことにより、第一セグメントピースが千鳥配列となり、継手板の繋目(第一セグメントピースの連接面)は連続しない。このことから、応力の集中が起きる隅角部に添接効果が及び、その強度を十分なものにしておくことができる。
【0018】
さらに、請求項4に係るセグメント構築体は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するセグメント構築体であって、前記両端面を連接させてできるリング体のうち、前記空間の最下端のものを形成する前記第一セグメントピース及び前記第二セグメントピースに刃口を設けたことを特徴とする。
【0019】
リング体同士を連接させることにより構築されるセグメント構築体の内部には、天地方向に開口された空間が形成される。そして、かかる空間の最下端のリング体を形成する第一セグメントピース及び第二セグメントピースには、地方向の主桁に対して刃口が設けられる。これにより、セグメント構築体を地中に圧入して沈設する場合には、その先端部分に刃口を設けたことになるので、圧入しやすくなる。刃口はボルト等で取り付けても、また溶接により取り付けてもよい。
【0020】
さらに、請求項5に係るセグメント構築体は、請求項4に記載するセグメント構築体であって、フリクションカットを設けたことを特徴とする。
【0021】
セグメント構築体を地中に圧入して沈設する場合には、その先端部分に刃口を設けることにより、圧入しやすくなるが、さらに、刃口の一部をセグメント構築体の外側に突出させたフリクションカットを設けると、セグメント構築体に対する地盤の摩擦力が軽減されるので、より圧入しやすくなる。
【0022】
さらに、請求項8に係るセグメント構築体は、前記作業空間の下端のものを形成する前記第1セグメントピースは、前記曲面部の内部を前記作業空間とするセグメントピースが、2重円弧形状を有する一対の主桁の両端に連接された継手板によって前記両端面が形成され、前記主桁の外曲線に接してスキンプレートが構成され、前記主桁の内曲線に接して板状のグラブガイドが取り付けられ、前記曲面部の外部を前記作業空間とするセグメントピースが、2重円弧形状を有する一対の主桁の両端に連接された継手板によって前記両端面が形成され、前記主桁の内曲線に接してスキンプレートが構成され、前記主桁の外曲線に接して板状のグラブガイドが取り付けられており、前記作業空間の下端のものを形成する前記第2セグメントピースは、長方形の一対の主桁の両端に連接される継手板によって前記両端面が形成され、前記主桁の前記継手板に直角な2本の直線のうち、一方の直線に接して平板のスキンプレートが構成され、他方の直線に接して板状のグラブガイドが取り付けられていることを特徴とする。
【0023】
セグメント構築体を地中に圧入して沈設した場合には、セグメント構築体の内部を掘削することにより、天方向に開口された空間を確保する。このとき、掘削土砂はグラブで排出されるが、グラブはラフテレーンクレーンに吊り下げられてセグメント構築体の内部を上下動するので、グラブが振れて(干渉されて)反跳や回転を起こし、セグメント構築体の内側に衝突するおそれがある。また、掘削機の姿勢が崩れて、セグメント構築体の内側に対して悪影響を及ぼすおそれがある。また、掘削機の姿勢が崩れて、セグメント構築体の内側に対して悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、第一セグメントピース及び第二セグメントピースにグラブガイドを取り付けることにより、上記の干渉を防いで、セグメント構築体の内側がグラブの衝突により変形することを防止する。また、掘削機の姿勢が崩れても、グラブガイドで修正されるからその影響が生じない。
【0024】
特に、掘削作業は、セグメント構築体の内部の空間の下端で行われ、そこでは、グラブの振幅が大きくなる。さらに、掘削機の姿勢も崩れやすくなるので、かかる空間の下端のリング体を形成する第一セグメントピース及び第二セグメントピースにグラブガイドを取り付ける必要がある。尚、空間の下端とは、最下端から2m位の範囲をいう。
【0025】
さらに、請求項6に係るセグメント構築体は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載するセグメント構築体であって、前記第一セグメントピースおよび前記第二セグメントピースの一部あるいは全部が鋼製であることを特徴とする。
【0026】
セグメントピースの全部が鋼製であれば、セグメントピースの作製が容易であり、接続穴の形成も容易にできる。さらに、接続穴を貫通してボルト留めにした際の強度も十分である。また、鉄筋コンクリート製においても、継手の部分を鋼製とすることにより、接続穴の構成やボルト留めが容易になる。
【0027】
さらに、請求項7に係るセグメント構築体は、請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載するセグメント構築体であって、コンクリートと一体化するためのスタッドジベルを内側に溶植したことを特徴とする。
【0028】
複数のセグメントピースで構築されたセグメント構築体は、内側をコンクリートなどで二次巻き(コンクリートの層を作ること)することで、鋼材の耐久性向上と、外観などの向上を図るのが普通である。この二次巻きの際、セグメントピースとコンクリートの一体化より向上させるために、鋼製のセグメントピースの内側に、コンクリートとの接合のためのスタッドジベルが溶接により接合(溶植)される。
【0029】
尚、セグメント構築体を使用した地中構造物の種類としては、都市域では上水道・下水道管、ガス管、電話・電気ケーブルなど用の管渠や、地下街・地下駐車場、地下駅、共同溝、都市河川・地下貯水池、地下変電所、地下タンク、鉄道トンネル、道路トンネルなどがあり、また山岳域では地下発電所や石油の地下備蓄槽などがある。
【0030】
また、セグメント構築体を使用した地中構造物を構築する施工法としては、開削工法、ケーソン工法、シールド工法、沈埋トンネル工法、トンネル工法などがある。そして、かかる地中構造物の規模、設置深度はいろいろであるから、補助工法を含む多くの技術も使われる。例えば、異形断面の地下工事には、掘削完了後の空間へセグメント構築体を設置する工法や、空間を掘削しながらセグメントピースで覆工することによってセグメント構築体を構築していく工法などがある。
【0031】
また、地山のよい(崩れにくいなど、自立性が高い)ところで、セグメント構築体を使用した地中構造物を構築することが最適であるが、固化剤などをセグメント構築体外部の地山に注入し、セグメント構築体の安定を補助することもある。
【0032】
また、セグメントピースで構築されるセグメント構築体は、地中構造物として使用されるだけでなく、山留め工法として使用したり、建築物においても、外部との高度の遮断性を確保する場合や、壁面や天井面等に特殊に使う場合などがある。これらの種々の場合において、セグメント構築体内部の「空間」が作られることになる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明の一実施の形態で使用する鋼製セグメントピースは5種類であり、図1〜図5を参照して説明する。図1は<B1>、図2は<B2>、図3は<S1>、図4は<S2>、図5は<S3>の斜視図である。いずれも、基本的構成は、従来の円形用あるいは小判形用の鋼製セグメントピースと同様であり、各セグメントピースのすべての面は厚さ3〜20mmの鋼板で構成され、各部材は溶接により接続されている。
【0034】
まず、<B1>10について図1を参照して説明する。<B1>10の一対の主桁11は、ドーナツ形状を4等分した2重円弧形状の片側に長方形を連続した形状であり、約1mの間隔をおいて平行位置に対置されている。主桁11,11の両端に長方形の継手板12,12が連接され、さらに、主桁11,11と継手板12,12の構成する枠内に、継手板12,12に平行に複数の長方形の縦リブ13,13,…が設けられている。さらに、主桁11の外曲線に接して、スキンプレート14が主桁11,11、継手板12,12、縦リブ13,13…のすべてに接続して構成される。また、主桁11と継手板12にはセグメントピース同士をボルト留めするための接続穴11a、12aが多数開けられている。
【0035】
次に、<B2>20について図2を参照して説明する。<B2>20の主桁21は<B1>10の主桁11と同形状であり、継手板22、縦リブ23も同様である。異なる点は、スキンプレート24が、主桁21の内曲線に接して構成されている点である。これは、セグメントを構築する際に、凹曲面部分に使用される。
【0036】
次に、<S1>30、<S2>40、<S3>50について、図3〜図5を参照して説明する。<S1>30、<S2>40、<S3>50は、いずれも直線部分のセグメントピースである。主桁31、41、51はいずれも長方形であり、それぞれの長さが4:3:2の割合で構成される。<B1>10の主桁11のうち直線部分が、<S3>50の主桁51に相当する。また、すべて同形状の継手板32、42、52の間には、それぞれ3枚、2枚、1枚の縦リブ33、43、53が接続されている。スキンプレート34、44、54はそれぞれの大きさに応じた平板である。
【0037】
そして、図1の<B1>10のスキンプレート14、図2の<B2>20のスキンプレート24、図3の<B3>30のスキンプレート34、図4の<B4>40のスキンプレート44、図5の<B5>50のスキンプレート54において、各々の内側には、図示しないスタッドジベルが溶接により接合(溶植)される。
【0038】
次に、これらの鋼製セグメントピース10〜50を使用して、L字形セグメント構築体を構築する方法を図6、図7を参照して説明する。図6はL字形セグメント構築体の平面図、図7は斜視図である。
【0039】
セグメント構築体を構築するには、まず、各セグメントピースの継手板同士を連接して、それらに形成されている接続穴を貫通してボルト留めし、L字形のリング体とする。さらに、リング体の主桁同士を連接し、それらに形成されている接続穴を貫通してボルト留めすることにより構築する。一方、地中に沈設する際には、セグメントには、大きな上下方向の力が働くが、必ずしも全体に均一に加えられるとは限らない。そのため、主桁の繋目が上下のセグメントピースで同じ位置に連続することは、その部分の強度が低下し、沈設中に破損し易くなるため適当でない。あるいは、大きな上下方向の力を働かせることの無いように内部を掘削しながら埋設設置する方法が採られることもあるが、その場合にも主桁の繋目が連続することはセグメント構築体の強度が低下するため好ましくない。
【0040】
この理由によって、図7に示すように、構築されたセグメント構築体は奇数番目リング体と偶数番目リング体で、セグメントピースの構成方法が異なる。図6で実線で示された区切りは奇数番目リング体を構成するセグメントピースであり、点線は偶数番目リング体のものである。外周の実線はスキンプレートに相当する。このように、<B1><B2><S1><S2><S3>の5種類を使用することにより、主桁の位置の連続しないL字形のセグメント構築体を構成することができる。すなわち、隣接するリング体の継手板の繋目(セグメントピースの連接面)が連続しない。
【0041】
このL字形セグメント構築体を実際の施工現場で使用する場合の施工ヤードの大きさについて図8を参照して説明する。図8において、点線部を囲むL字形の部分がセグメント構築体であり、それらをさらに大きく囲むL字形の部分が、地上における作業場所や、掘削機械等の機械および施工材料の置き場等を含む施工ヤードである。セグメント構築体をL字形とすることにより、直線的に掘削する掘削機械の操作に支障がなく、交点部分より外側へ余分な施工ヤードを確保する必要が無い。従来は、円形状のセグメント構築体を使用して図9のように掘削していたことと合わせると、非常に小さい施工ヤードですみ、効率的で安全である。また、その他の形状のセグメント構築体を構築することも容易であり、形状案を図10に示す。
【0042】
また、ここでは鋼製セグメントピースについて説明したが、鉄筋コンクリート製セグメントピース、あるいはダクタイル製セグメントピースにおいても同様に実施できる。鉄筋コンクリート製セグメントピースでは、コンクリート中に埋め込まれた継手ボックス等を通して、セグメントピース間およびセグメントリング間をボルトにて接合する。ダクタイル製セグメントピースは、鋼製と全く同様である。
【0043】
また、図15の<B1>10、図16の<B2>20、図17の<S1>30、図18の<S2>40、図19の<S3>50のように、刃口19,29,39,49,59を下側の主桁に設け、さらに、刃口19,29,39,49,59の一部をスキンプレート14,24,34,44,54の外側に突出させたフリクションカットK1,K2,K3,K4,K5を設けたものを使用して、図7のL字形セグメント構築体の最下端のリング体を形成すれば、図7のL字形セグメント構築体の先端部分に刃口19,29,39,49,59があり、スキンプレート14,24,34,44,54に対する地盤の摩擦力がフリクションカットK1,K2,K3,K4,K5で軽減されるので、図7のL字形セグメント構築体を地中に圧入しやすくなる。
【0044】
また、図20の<B1>10、図21の<B2>20、図22の<S1>30、図23の<S2>40、図24の<S3>50のように、板状のグラブガイド17,18,27,28,37,38,47,48,57,58を、スキンプレート14,24,34,44,54とは反対側に取り付けたものを使用して、図7のL字形セグメント構築体の下端のリング体を形成すれば、地中に沈設される図7のL字形セグメント構築体の内部を掘削する際において、グラブが振れて(干渉されて)反跳や回転を起こすことを防げる。また、図7のL字形セグメント構築体の内側に衝突しても、図7のL字形セグメント構築体が変形することがない。
【0045】
以上詳細に説明したように、本実施の形態のセグメントピース10、20、30、40、50によれば、曲線部に対応する<B1>10、<B2>20と、直線部に対応する<S1>30、<S2>40、<S3>50とを有するので、これらを組み合わせることにより、様々な大きさ、形状のセグメント構築体を構築することができる。したがって、5種類のセグメントピースのみで多数の工事現場に対応することができ、大量生産が可能である。
【0046】
また、<B1>10が凸曲面、<B2>20が凹曲面を構成するので、L字形、T字形等の複雑な形状のセグメント構築体を構築することもできる。それにより、必要最小限の施工ヤードを占有するのみですみ、安全である。
【0047】
また、<S1>30、<S2>40、<S3>50を使い分けることにより、縦方向に主桁の繋目が連続しないようにセグメント構築体を構築することが出来る。したがって、構築したセグメント構築体の強度が大きく、地中に沈設して、その内部を掘削し作業空間としても、周囲からの土圧に対抗することができ、安全である。
【0048】
特に、<B1>10、または<B2>20を千鳥配列することによって、第一セグメントピースの継手板の繋目(第一セグメントピースの連接面)が連続しないようにして、応力の集中が起きる隅角部に添接効果を及ばせることにより、セグメントピース構築体の強度を十分なものにしておくことができる。
【0049】
さらに、セグメント構築体により作られる空間であって、かかる空間の最下端のリング体を形成する<B1>10、<B2>20、<S1>30、<S2>40、<S3>50に、地方向の主桁に対して刃口19,29,39,49,59が設けられているので、セグメント構築体を地中に圧入しやすくなる。
【0050】
さらに、刃口19,29,39,49,59の一部をスキンプレート14,24,34,44,54(セグメント構築体)の外側に突出させたフリクションカットK1,K2,K3,K4,K5を設けると、セグメント構築体に対する地盤の摩擦力が軽減されるので、より圧入しやすくなる。
【0051】
さらに、セグメント構築体により作られる空間であって、かかる空間の下端のリング体を形成する<B1>10、<B2>20、<S1>30、<S2>40、<S3>50に、グラブガイド17,18,27,28,37,38,47,48,57,58を設けているので、セグメント構築体の内側がグラブの衝突により変形することがない。
【0052】
また、セグメントピースの全部を鋼製としたので、セグメントピースおよびその接続穴の形成が容易であり、セグメントピース同士をボルト留めした際の強度も大きい。
【0053】
また、鋼製のセグメントピースの内側に、コンクリートとの接合のためのスタッドジベル(図示じない)が溶接により接合(溶植)されることによって、二次巻きされたコンクリートがセグメントピースと一体化することを、より向上させることができる。
【0054】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態で用いた鋼板の厚さ、セグメントピースの大きさ等の数値、縦リブや接続穴の数、位置等は例示であり、変更することも可能である。 また、主桁と縦リブの幅(スキンプレートあるいはスキンプレートの接線方向に対して直交する長さ)が同じである必要はない。さらに、縦リブは長方形でなくともよい。
また、止水用シール材取り付け用の溝があってもよい。スキンプレートが凹凸のあるものでもよい。さらに、2枚の主桁の間に中主桁を付け加えてもよい。
また、セグメントピースによるリング同士の連接を必ずしも千鳥組にしなくてもよい。
円形用は1種類で構成されなくてもよく、小判形用は3種類で構成されなくてもよい。
セグメントピース間、リング間の接合はボルト接合に限定されるものではない。機械的接合がすべて使える。また鋼製の場合、溶接も使える。
【0055】
また、ここでは鋼製セグメントピースについて説明したが、鉄筋コンクリート製セグメントピース、あるいはダクタイル製セグメントピースにおいても同様に実施できる。鉄筋コンクリート製セグメントピースでは、コンクリート中に埋め込まれた継手ボックス等を通して、セグメントピース間およびセグメントリング間をボルトにて接合する。ダクタイル製セグメントピースは、鋼製と全く同様である。
【0056】
【発明の効果】
本発明のセグメント構築体によれば、曲線部の第一セグメントピースと、直線部の第二セグメントピースを有するので、数種類のセグメントピースを用意することで、様々な形状や大きさのセグメント構築体を構築することができる。したがって、セグメントピースを大量生産することができ、効率的で安価に提供できる。
【0057】
また、第一セグメントピースが、曲面部の外部用と内部用の2種類のセグメントピースを有するので、L字形、T字形等の凹部のある複雑な形状のセグメント構築体を構築することも可能である。それにより、必要最小限の占有スペースですみ、施工時間が短く、安全である。
【0058】
さらに、第二セグメントピースが長さの異なる複数種のセグメントピースを有するので、セグメントピースの主桁の繋目が縦方向に連続しないようにセグメント構築体を構築することが可能である。したがって、強度の大きいセグメント構築体を構築することができる。
【0059】
特に、第一セグメントピースを千鳥配列することによって、第一セグメントピースの継手板の繋目(第一セグメントピースの連接面)が連続しないようにして、応力の集中が起きる隅角部に添接効果を及ばせることにより、セグメントピース構築体の強度を十分なものにしておくことができる。
【0060】
さらに、セグメント構築体により作られる空間であって、かかる空間の最下端のリング体を形成する第一セグメントピース及び第二セグメントピースには、地方向の主桁に対して刃口が設けられているので、セグメント構築体を地中に圧入しやすい。
【0061】
さらに、刃口の一部をセグメント構築体の外側に突出させたフリクションカットを設けると、セグメント構築体に対する地盤の摩擦力が軽減されるので、より圧入しやすくなる。
【0062】
さらに、セグメント構築体により作られる空間であって、かかる空間の下端のリング体を形成する第一セグメントピース及び第二セグメントピースには、グラブガイドを設けているので、セグメント構築体の内側がグラブの衝突により変形することがない。また、掘削機からの悪影響が及ぶこともない。
【0063】
さらに、セグメントピースの一部あるいは全部を鋼製としたので、セグメントピースおよびその接続穴の形成が容易であり、セグメントピース同士をボルト留めした際の強度も大きい。
【0064】
さらに、鋼製のセグメントピースの内側に、コンクリートとの接合のためのスタッドジベルが溶接により接合(溶植)されることによって、二次巻きされたコンクリートがセグメントピースと一体化することを、より向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<B1>の斜視図である。
【図2】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<B2>の斜視図である。
【図3】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S1>の斜視図である。
【図4】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S2>の斜視図である。
【図5】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S3>の斜視図である。
【図6】 L字形セグメント構築体の平面図である。
【図7】 L字形セグメント構築体の斜視図である。
【図8】 L字形セグメント構築体を使用した施工ヤードの説明図である。
【図9】 円形セグメント構築体を使用した施工ヤードの説明図である。
【図10】 本発明のセグメントピースを使用して構築したセグメント構築体の形状の例である。
【図11】 円形セグメント構築体の平面図である。
【図12】 円形セグメント構築体の斜視図である。
【図13】 円形セグメント構築体用セグメントピースの斜視図である。
【図14】 小判形セグメント構築体の平面図である。
【図15】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<B1>であって、刃口とフリクションカットを設けたものの斜視図である。
【図16】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<B2>であって、刃口とフリクションカットを設けたものの斜視図である。
【図17】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S1>であって、刃口とフリクションカットを設けたものの斜視図である。
【図18】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S2>であって、刃口とフリクションカットを設けたものの斜視図である。
【図19】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S3>であって、刃口とフリクションカットを設けたものの斜視図である。
【図20】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<B1>であって、グラブガイドを設けたものの斜視図である。
【図21】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<B2>であって、グラブガイドを設けたものの斜視図である。
【図22】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S1>であって、グラブガイドを設けたものの斜視図である。
【図23】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S2>であって、グラブガイドを設けたものの斜視図である。
【図24】 本発明の一実施の形態に係るセグメントピース<S3>であって、グラブガイドを設けたものの斜視図である。
【符号の説明】
10、20、30、40、50 セグメントピース
11、21、31、41、51 主桁
12、22、32、42、52 継手板
13、23、33、43、53 縦リブ
14、24、34、44、54 スキンプレート
17、27、37、47、57 グラブガイド
18、28、38、48、58 グラブガイド
19、29、39、49、59 刃口
K1、K2、K3、K4、K5 フリクションカット
Claims (8)
- 複数のセグメントピースの両端面を結合させて天地方向が開口された空間を作り、該空間を作業空間とする土木工法で使用されるセグメントピースを備えるセグメント構築体において、
前記両端面の延長面が、直交関係にある第一セグメントピースと、
前記両端面が、平行関係にある第二セグメントピースとを有し、
前記第一セグメントピースが、前記両端面をつなぐ曲面部の外部または内部を前記作業空間とする2種類のセグメントピースを有することを特徴とするセグメント構築体。 - 請求項1に記載するセグメント構築体において、
前記第二セグメントピースが、前記両端面間の長さの異なる複数種のセグメントピースを有することを特徴とするセグメント構築体。 - 請求項1又は請求項2に記載するセグメント構築体において、
前記両端面を連接させてできるリング体同士の連接面が同一平面上にあり、前記リング体を形成する前記第一セグメントピース同士の連接面が千鳥配置になることを特徴とするセグメント構築体。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するセグメント構築体において、
前記両端面を連接させてできるリング体のうち、前記空間の最下端のものを形成する前記第一セグメントピース及び前記第二セグメントピースに刃口を設けたことを特徴とするセグメント構築体。 - 請求項4に記載するに記載するセグメント構築体において、
フリクションカットを設けたことを特徴とするセグメント構築体。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載するセグメント構築体において、
前記第一セグメントピースおよび前記第二セグメントピースの一部あるいは全部が鋼製であることを特徴とするセグメント構築体。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載するセグメント構築体において、
コンクリートと一体化するためのスタッドジベルを内側に溶植したことを特徴とするセグメント構築体。 - 請求項1に記載するセグメント構築体において、
前記作業空間の下端のものを形成する前記第1セグメントピースは、
前記曲面部の内部を前記作業空間とするセグメントピースが、2重円弧形状を有する一対の主桁の両端に連接された継手板によって前記両端面が形成され、前記主桁の外曲線に接してスキンプレートが構成され、前記主桁の内曲線に接して板状のグラブガイドが取り付けられ、
前記曲面部の外部を前記作業空間とするセグメントピースが、2重円弧形状を有する一対の主桁の両端に連接された継手板によって前記両端面が形成され、前記主桁の内曲線に接してスキンプレートが構成され、前記主桁の外曲線に接して板状のグラブガイドが取り付けられており、
前記作業空間の下端のものを形成する前記第2セグメントピースは、長方形の一対の主桁の両端に連接される継手板によって前記両端面が形成され、前記主桁の前記継手板に直角な2本の直線のうち、一方の直線に接して平板のスキンプレートが構成され、他方の直線に接して板状のグラブガイドが取り付けられている
ことを特徴とするセグメント構築体。
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