JP3922073B2 - 外面展開型エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行者等を衝突時に保護するための外面展開型エアバッグ装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等の衝突時にガス発生器を作動させてエアバッグを膨張させ、乗員や歩行者等を保護するようにしたエアバッグ装置は周知である。ガス発生器として、噴出させるガスの少なくとも一部をガス発生剤の反応により生じたガスとしたものが多く用いられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガス発生器から高温のガスが噴出する外面展開型エアバッグ装置であっても、このガスがエアバッグ内面を直射することが防止され、エアバッグに必要とされる耐熱要求特性を緩和することができる外面展開型エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明の外面展開型エアバッグ装置は、自動車の車体の外面に沿って膨張可能なエアバッグと、上面が開放口となっている、該エアバッグを収容するためのケースと、該エアバッグを膨張させるガス発生器とを備え、該ガス発生器の少なくともガス噴出口が該エアバッグ内部に配置されている外面展開型エアバッグ装置において、該ガス噴出口からの噴出ガスがエアバッグ内面に直射されることを防止するためのガス流れ方向変更部材を設けた外面展開型エアバッグ装置であって、１個の該ケースに２個の該ガス発生器が設置されており、これらのガス発生器はそれぞれ略円柱形であり、これらのガス発生器は略同一直線上に配置されており、これらのガス発生器の一端がそれぞれ前記エアバッグの外部に露出しており、これらのガス発生器からそれぞれガスが上方に噴出することを特徴とするものである。
【０００５】
かかる外面展開型エアバッグ装置にあっては、ガス発生器のガス噴出口から噴出したガスがガス流れ方向変更部材によってその流れ方向を変えられ、エアバッグ内面を直射しないようになる。このため、エアバッグ特にそのガス噴出口近傍に要求される耐熱要求特性が緩和される。
【０００６】
本発明の外面展開型エアバッグ装置は、さらに、前記ガス発生器を前記ケースに固定するための固定部材とを備えており、前記ガス流れ方向変更部材は該固定部材と一体となっていることが好ましい。かかる外面展開型エアバッグ装置であれば、固定部材によってガス発生器をケースに固定すると、それにより併せてガス流れ方向変更部材もケースに固定されることになり、組立が極めて容易になる。
【０００７】
本発明の一態様においては、円柱形のガス発生器の外周面に周方向に間隔をおいて複数のガス噴出口が設けられており、ガス流れ方向変更部材は、該ガス発生器の周方向の下側の略半分に対峙し、周方向の上側の略半分がガスを流し出すように開放している。
【０００８】
かかる外面展開型エアバッグ装置にあっては、円柱形のガス発生器からガスを上方に流出させることができる。
【０００９】
本発明の別の一態様においては、ガス流れ方向変更部材は、該ガス発生器を取り巻いた布等のシート材よりなり、ガス噴出口からの噴出ガスにより上方に捲れて、この捲れた部分からガスを流し出すように構成されている。
【００１０】
かかる外面展開型エアバッグ装置においても、円柱形のガス発生器からガスを上方に流出させることができる。
【００１１】
本発明の外面展開型エアバッグ装置にあっては、１個のエアバッグに、前記２個のガス発生器が略同一の直線方向に沿って設置されており、各ガス発生器にそれぞれガス流れ方向変更部材が配設され、且つ各ガス流れ方向変更部材からのガス流出方向が略平行方向となっている構成としてもよい。
【００１２】
かかる外面展開型エアバッグ装置によれば、この直線方向に長いエアバッグであっても全体として均等に膨張させ易くなる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【００１４】
第１図は実施の形態に係る外面展開型エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の縦断面図、第２図はこの外面展開型エアバッグ装置のガス発生器とその固定部材を示す分解斜視図、第３図は第１図の外面展開型エアバッグ装置の要部破断分解斜視図、第４図は第３図のIV−IV線矢視図（エアバッグ底面図）、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に沿う断面図、第６図はこの外面展開型エアバッグ装置の第１図VI−VI線に沿う断面図、第７図は第６図の状態からエアバッグが膨張した状態を示す断面図である。
【００１５】
この外面展開型エアバッグ装置（以下、単に「エアバッグ装置」と略すことがある。）１０は、エアバッグ１２と該エアバッグ１２を膨張させるためのガス発生器１４と、ガス発生器１４を取付固定するための固定部材１６と、折り畳まれたエアバッグ１２を収容するケース１８と、該ケース１８に装着された蓋部材としてのモジュールカバー２０（第６図）等を備えている。
【００１６】
エアバッグ１２は、アッパーパネル２２とロワーパネル２４とを重ね合わせ、それらの周縁部を縫合糸２６により縫合して袋状としたものである。なお、このエアバッグの各パネル２０，２２の材質は布、合成樹脂フィルムなど各種のものとしうる。合成樹脂フィルムの場合であれば、縫合糸２６の代わりに接着剤や溶着等によってパネル同士を結合するのが好ましい。
【００１７】
このロワーパネル２４の略中央部には、２個のガス発生器挿入用開口３０，３０が相対面するように設けられている。
【００１８】
本発明では、ガス発生器１４は円柱形である。このガス発生器１４は、円筒形の耐圧ケーシング内にガス発生用の薬剤を充填したものであり、一端側（後端側）３２にスクイブが設けられ、他端側（矢端側）の外周面に周方向に一定間隔をおいて複数個のガス噴出口３４が設けられている。なお、このガス発生器１４の該先端側は小径となっている。スクイブにコネクタ（第３図）３６が装着され、ガス発生器制御ユニット（図示略）からスクイブに通電可能とされている。
【００１９】
固定部材１６は、略コ字形断面形状の本体部４０と、該本体部４０を跨ぐ２個のアーチ部４２と、本体部４０から突設された２本のボルト（スタッドボルト）４４とを有する。ガス発生器１４は該固定部材１６に対しアーチ部４２内に差し込まれるようにして挿入され、ガス噴出口３４が該本体部４０の一端側に配置され、次いでアーチ部４２にカシメ４６（第３，６，７図）が施されることによりあるいは元からカシメが施された固定部材１６はかしめ部とボルト４４の突起３点を通る円がガス発生器の外形より小さく設定されておりガス発生器は圧入により固定部材１６に固定される。
【００２０】
この固定部材１６の一端側は、本体部４０が底部４０ａと、該底部４０ａの両側辺部から起立した袖壁部４０ｂ，４０ｂとを有した上向きのＵ字形断面形状となっており、上方が開放している。この底部４０ａ及び袖壁部４０ｂ，４０ｂにより、ガス発生器１４のガス噴出口３４からのガスを上方に向けて噴出させるためのガス流れ方向変更部材が構成されている。
【００２１】
第３図の通り、この固定部材１６に固定されたガス発生器１４は、エアバッグ１２の開口３０から該固定部材１６と共にエアバッグ１２内に差し込まれる。ガス発生器１４の後端のみエアバッグ１２外に配置され、ガス発生器１４のその他の部分はエアバッグ１２内に配置される。このガス発生器１４の後部側にエアバッグ１２の開口３０の周縁部を重ね合わせ、バンド５０を外周側から締め付けることにより、該開口３０の周縁部がガス発生器１４に気密に固定される。
【００２２】
この開口３０の近傍に２個のボルト挿通用開口５２が設けられており、固定部材１６のボルト４４が該開口５２に挿通される。
【００２３】
前記ケース１８の底面には、該開口５２と重なり合う位置にボルト挿通用開口５４が設けられている。該ボルト４４はこの開口５４を通ってケース１８の底部下側に突出する。このボルト４４にナット５６が締め込まれることにより、エアバッグ１２、ガス発生器１４及び固定部材１６がケース１８に固定される。
【００２４】
なお、この実施の形態では、固定部材１６とケース１８の底面との間にガイドクロス６０，６２（第６，７図）の基端側も挟み込まれている。このガイドクロス６０，６２は、エアバッグ１２の折り畳み体の側面から上面に沿っている。ガイドクロス６０，６２の先端側は自由端となっており、エアバッグ１２の折り畳み体の上面に重なっている。このガイドクロス６０，６２は、エアバッグ１２が膨張するときに周囲部材に引掛らないように該エアバッグ１２を第７図の如く案内するためのものである。
【００２５】
モジュールカバー２０は、ケース１８の上面の開放口を覆っている。このモジュールカバー２０は、リベット６４及びプレート状の当て金６６を介してケース１８に取り付けられている。このモジュールカバー２０にはテアライン６８が設けられており、エアバッグ１２が膨張するときに該テアライン６８に沿ってモジュールカバー２０が開裂するように構成されている。
【００２６】
このように構成されたエアバッグ装置においては、自動車の衝突が検知されると、ガス発生器のスクイブに通電され、ガス発生器１４が作動してガス噴出口３４からガスが噴出する。このガスにより、エアバッグ１２が膨張し、モジュールカバー２０が開裂し、エアバッグ１２が第７図の如く展開する。
【００２７】
この実施の形態にあっては、ガス噴出口３４の両側方と下側をガス流れ方向変更部材としての固定部材袖壁部４０ｂ及び底部４０ａが取り巻いており、ガス噴出口３４からの噴出ガスが該ガス噴出口３４直近であって、且つ噴出ガス圧を受けてもガス噴出口３４から全く又は殆ど遠ざからないエアバッグ１２を直射しない。そのため、ガス噴出口３４近傍のエアバッグ１２が熱劣化を受けることがない。また、ガス圧は主としてエアバッグ１２の膨張方向（上方向）にのみ作用するので、エアバッグ１２が素早くスムーズに膨張する。
【００２８】
このエアバッグ装置１０は、第８，９図に示すように歩行者等を保護するための外面展開型エアバッグ装置である。第８図はこのエアバッグ装置１０の自動車への搭載構造を示す概略的な縦断面図、第９図はこのエアバッグ装置１０の斜視図である。自動車のボンネット（エンジンフード）７０の後部にエアバッグ装置１０が設置され、エアバッグ１２がウィンドシールド７２及びその両側のＡピラーに沿って膨張可能とされている。エアバッグ装置１０は、ケース１８に設けられた車両搭載用ブラケット７４が車体側メンバ７６に連結されることにより、車体に固定されている。第９図の符号２０’はモジュールカバー２０の開放状態を示している。
【００２９】
このエアバッグ１２は、ウィンドシールド７２の全幅にわたって延在する長さの大きいものであるが、第１，３図の通り、円柱形のガス発生器１４，１４を略同一直線上に配置し、それらからのガスが上方に略平行に噴出するので、エアバッグ１２が全体としてほぼ均等に膨張する。
【００３０】
また、円柱形のガス発生器１４，１４が略同一直線上に配置されているので、エアバッグ１２をこの直線方向に長い細長形の折り畳み体とすることができる。
【００３１】
第１０図及び第１１図は本発明の別の実施の形態に係る固定部材１６Ａ，１６Ｃの斜視図である。第１０図の固定部材１６Ａは、袖壁部４０ｂ，４０ｂの先端を若干互いに接近方向に曲成させて曲成片４０ｃを設けたものである。この底部４０ａ、袖壁部４０ｂ，４０ｂ及び曲成片４０ｃ，４０ｃによりガス流れ方向変更部材が構成されている。
【００３２】
第１０図のその他の構成は前記固定部材１６と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【００３３】
第１１図の固定部材１６Ｃは、略半円筒形の本体部８２と、この本体部８２の側辺部から張り出したバンド部８４，８６とを有している。本体部８２内にガス発生器１４を差し込み、バンド部８４，８６を重ね合わせ、ボルト８８によって該バンド部８４，８６同士を挟圧することによりガス発生器１４が固定部材１６Ｃに固定される。なお、このボルト８８は、ケース１８の側面部（第１１図では図示略）に固定される。すなわち、ボルト８８は、該ケース側面部を貫通し、先端側からナットが締め込まれ、これによりバンド部８４，８６同士が挟圧される。また、これにより固定部材１６Ｃがケース１８に固定される。バンド部８４，８６は２個ずつ設けられている。
【００３４】
この固定部材１６Ｃの一端側においては、固定部材１６Ｃは、ガス発生器１４の先端部の両側方と下方とを取り巻くように略Ｕ字形断面形状となっており、この部分がガス流れ方向変更部材９０を構成している。
【００３５】
第１２図は本発明のさらに別の実施の形態に係るエアバッグ装置に用いられるガス流れ方向変更部材を有したガス発生器の斜視図、第１３図は第１２図の構成を示す分解図、第１４図は第１２図のガス発生器の作動時の斜視図である。
【００３６】
この実施の形態では、ガス発生器１４に布などのシート、好ましくは耐熱性の布９２が巻着されている。この実施の形態の布９２は略方形であり、その一側辺９２ａがガス発生器１４の一方のサイドに位置し、他方の側辺９２ｂがガス発生器１４の他方のサイドに位置している。この布９２は、ガス発生器１４の少なくとも先端側から中央付近までに巻き付けられている。布９２は、ガス発生器１４を１周半だけ取り巻いている。
【００３７】
布９２がガス発生器２０に巻き付けられた後、バンド状のブラケット９４のＣ字形状部９４ｃが外嵌される。ブラケット９４は、このＣ字形状部９４ｃと、該Ｃ字形状部９４ｃの両端からそれぞれ延出したフランジ９４ａ，９４ｂを備えている。これらのフランジ９４ａ，９４ｂが重ね合わされた後、これらがボルト９６及びナット９８によって挟圧されることにより、ブラケット９４が布９２を締め付けると共に、このブラケット９４がガス発生器１４に固着される。
【００３８】
このブラケット９４は、ボルト９６及びナット９８により前記固定部材１６Ｃと同様にケース１８（第１２〜１４図では図示略）に固定される。布９２はガス噴出口３４の外周をも取り巻いている。ガス発生器１４が作動すると、第１４図の如く、ガス噴出口３４からの噴出ガスにより布９２が捲れ、該ガス噴出口３４の周囲において布９２の巻回が解かれ、布９２が略Ｕ字形状となる。これにより、ガス噴出口３４からのガスは第１４図の上方に向って流出する。なお、ガス発生器１４の先端側の両側方と下方とに布９２が介在することにより、ガス噴出口３４近傍のエアバッグ１２（第１２〜第１４図では図示略）にガスが直射されることがない。
【００３９】
なお、上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
【００４０】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、ガス発生器からのガスがエアバッグを直射することが防止されるので、エアバッグに要求される耐熱特性が緩和される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 実施の形態に係る外面展開型エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の縦断面図である。
【図２】 外面展開型エアバッグ装置のガス発生器とその固定部材を示す分解斜視図である。
【図３】 第１図の外面展開型エアバッグ装置の要部破断分解斜視図である。
【図４】 第３図のIV−IV線矢視図（エアバッグ底面図）である。
【図５】 第４図のＶ−Ｖ線に沿う断面図である。
【図６】 外面展開型エアバッグ装置の第１図VI−VI線に沿う断面図である。
【図７】 第６図の状態からエアバッグが膨張した状態を示す断面図である。
【図８】 外面展開型エアバッグ装置の自動車への搭載構造を示す概略的な縦断面図である。
【図９】 外面展開型エアバッグ装置の斜視図である。
【図１０】 本発明の別の実施の形態に係るガス発生器の固定部材を示す斜視図である。
【図１１】 本発明の別の実施の形態に係るガス発生器の固定部材を示す斜視図である。
【図１２】 本発明のさらに別の実施の形態に係る外面展開型エアバッグ装置に用いられるガス流れ方向変更部材を有したガス発生器の斜視図である。
【図１３】 第１２図の構成を示す分解図である。
【図１４】 第１２図のガス発生器の作動時の斜視図である。
【符号の説明】
１０ 外面展開型エアバッグ装置
１２ エアバッグ
１４ ガス発生器
１６，１６Ａ，１６Ｃ 固定部材
１８ ケース
２０ モジュールカバー
４０ 固定部材の本体部
４０ａ 底部
４０ｂ 袖壁部
９０ ガス流れ方向変更部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行者等を衝突時に保護するための外面展開型エアバッグ装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等の衝突時にガス発生器を作動させてエアバッグを膨張させ、乗員や歩行者等を保護するようにしたエアバッグ装置は周知である。ガス発生器として、噴出させるガスの少なくとも一部をガス発生剤の反応により生じたガスとしたものが多く用いられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガス発生器から高温のガスが噴出する外面展開型エアバッグ装置であっても、このガスがエアバッグ内面を直射することが防止され、エアバッグに必要とされる耐熱要求特性を緩和することができる外面展開型エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明の外面展開型エアバッグ装置は、自動車の車体の外面に沿って膨張可能なエアバッグと、上面が開放口となっている、該エアバッグを収容するためのケースと、該エアバッグを膨張させるガス発生器とを備え、該ガス発生器の少なくともガス噴出口が該エアバッグ内部に配置されている外面展開型エアバッグ装置において、該ガス噴出口からの噴出ガスがエアバッグ内面に直射されることを防止するためのガス流れ方向変更部材を設けた外面展開型エアバッグ装置であって、１個の該ケースに２個の該ガス発生器が設置されており、これらのガス発生器はそれぞれ略円柱形であり、これらのガス発生器は略同一直線上に配置されており、これらのガス発生器の一端がそれぞれ前記エアバッグの外部に露出しており、これらのガス発生器からそれぞれガスが上方に噴出することを特徴とするものである。
【０００５】
かかる外面展開型エアバッグ装置にあっては、ガス発生器のガス噴出口から噴出したガスがガス流れ方向変更部材によってその流れ方向を変えられ、エアバッグ内面を直射しないようになる。このため、エアバッグ特にそのガス噴出口近傍に要求される耐熱要求特性が緩和される。
【０００６】
本発明の外面展開型エアバッグ装置は、さらに、前記ガス発生器を前記ケースに固定するための固定部材とを備えており、前記ガス流れ方向変更部材は該固定部材と一体となっていることが好ましい。かかる外面展開型エアバッグ装置であれば、固定部材によってガス発生器をケースに固定すると、それにより併せてガス流れ方向変更部材もケースに固定されることになり、組立が極めて容易になる。
【０００７】
本発明の一態様においては、円柱形のガス発生器の外周面に周方向に間隔をおいて複数のガス噴出口が設けられており、ガス流れ方向変更部材は、該ガス発生器の周方向の下側の略半分に対峙し、周方向の上側の略半分がガスを流し出すように開放している。
【０００８】
かかる外面展開型エアバッグ装置にあっては、円柱形のガス発生器からガスを上方に流出させることができる。
【０００９】
本発明の別の一態様においては、ガス流れ方向変更部材は、該ガス発生器を取り巻いた布等のシート材よりなり、ガス噴出口からの噴出ガスにより上方に捲れて、この捲れた部分からガスを流し出すように構成されている。
【００１０】
かかる外面展開型エアバッグ装置においても、円柱形のガス発生器からガスを上方に流出させることができる。
【００１１】
本発明の外面展開型エアバッグ装置にあっては、１個のエアバッグに、前記２個のガス発生器が略同一の直線方向に沿って設置されており、各ガス発生器にそれぞれガス流れ方向変更部材が配設され、且つ各ガス流れ方向変更部材からのガス流出方向が略平行方向となっている構成としてもよい。
【００１２】
かかる外面展開型エアバッグ装置によれば、この直線方向に長いエアバッグであっても全体として均等に膨張させ易くなる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【００１４】
第１図は実施の形態に係る外面展開型エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の縦断面図、第２図はこの外面展開型エアバッグ装置のガス発生器とその固定部材を示す分解斜視図、第３図は第１図の外面展開型エアバッグ装置の要部破断分解斜視図、第４図は第３図のIV−IV線矢視図（エアバッグ底面図）、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に沿う断面図、第６図はこの外面展開型エアバッグ装置の第１図VI−VI線に沿う断面図、第７図は第６図の状態からエアバッグが膨張した状態を示す断面図である。
【００１５】
この外面展開型エアバッグ装置（以下、単に「エアバッグ装置」と略すことがある。）１０は、エアバッグ１２と該エアバッグ１２を膨張させるためのガス発生器１４と、ガス発生器１４を取付固定するための固定部材１６と、折り畳まれたエアバッグ１２を収容するケース１８と、該ケース１８に装着された蓋部材としてのモジュールカバー２０（第６図）等を備えている。
【００１６】
エアバッグ１２は、アッパーパネル２２とロワーパネル２４とを重ね合わせ、それらの周縁部を縫合糸２６により縫合して袋状としたものである。なお、このエアバッグの各パネル２０，２２の材質は布、合成樹脂フィルムなど各種のものとしうる。合成樹脂フィルムの場合であれば、縫合糸２６の代わりに接着剤や溶着等によってパネル同士を結合するのが好ましい。
【００１７】
このロワーパネル２４の略中央部には、２個のガス発生器挿入用開口３０，３０が相対面するように設けられている。
【００１８】
本発明では、ガス発生器１４は円柱形である。このガス発生器１４は、円筒形の耐圧ケーシング内にガス発生用の薬剤を充填したものであり、一端側（後端側）３２にスクイブが設けられ、他端側（矢端側）の外周面に周方向に一定間隔をおいて複数個のガス噴出口３４が設けられている。なお、このガス発生器１４の該先端側は小径となっている。スクイブにコネクタ（第３図）３６が装着され、ガス発生器制御ユニット（図示略）からスクイブに通電可能とされている。
【００１９】
固定部材１６は、略コ字形断面形状の本体部４０と、該本体部４０を跨ぐ２個のアーチ部４２と、本体部４０から突設された２本のボルト（スタッドボルト）４４とを有する。ガス発生器１４は該固定部材１６に対しアーチ部４２内に差し込まれるようにして挿入され、ガス噴出口３４が該本体部４０の一端側に配置され、次いでアーチ部４２にカシメ４６（第３，６，７図）が施されることによりあるいは元からカシメが施された固定部材１６はかしめ部とボルト４４の突起３点を通る円がガス発生器の外形より小さく設定されておりガス発生器は圧入により固定部材１６に固定される。
【００２０】
この固定部材１６の一端側は、本体部４０が底部４０ａと、該底部４０ａの両側辺部から起立した袖壁部４０ｂ，４０ｂとを有した上向きのＵ字形断面形状となっており、上方が開放している。この底部４０ａ及び袖壁部４０ｂ，４０ｂにより、ガス発生器１４のガス噴出口３４からのガスを上方に向けて噴出させるためのガス流れ方向変更部材が構成されている。
【００２１】
第３図の通り、この固定部材１６に固定されたガス発生器１４は、エアバッグ１２の開口３０から該固定部材１６と共にエアバッグ１２内に差し込まれる。ガス発生器１４の後端のみエアバッグ１２外に配置され、ガス発生器１４のその他の部分はエアバッグ１２内に配置される。このガス発生器１４の後部側にエアバッグ１２の開口３０の周縁部を重ね合わせ、バンド５０を外周側から締め付けることにより、該開口３０の周縁部がガス発生器１４に気密に固定される。
【００２２】
この開口３０の近傍に２個のボルト挿通用開口５２が設けられており、固定部材１６のボルト４４が該開口５２に挿通される。
【００２３】
前記ケース１８の底面には、該開口５２と重なり合う位置にボルト挿通用開口５４が設けられている。該ボルト４４はこの開口５４を通ってケース１８の底部下側に突出する。このボルト４４にナット５６が締め込まれることにより、エアバッグ１２、ガス発生器１４及び固定部材１６がケース１８に固定される。
【００２４】
なお、この実施の形態では、固定部材１６とケース１８の底面との間にガイドクロス６０，６２（第６，７図）の基端側も挟み込まれている。このガイドクロス６０，６２は、エアバッグ１２の折り畳み体の側面から上面に沿っている。ガイドクロス６０，６２の先端側は自由端となっており、エアバッグ１２の折り畳み体の上面に重なっている。このガイドクロス６０，６２は、エアバッグ１２が膨張するときに周囲部材に引掛らないように該エアバッグ１２を第７図の如く案内するためのものである。
【００２５】
モジュールカバー２０は、ケース１８の上面の開放口を覆っている。このモジュールカバー２０は、リベット６４及びプレート状の当て金６６を介してケース１８に取り付けられている。このモジュールカバー２０にはテアライン６８が設けられており、エアバッグ１２が膨張するときに該テアライン６８に沿ってモジュールカバー２０が開裂するように構成されている。
【００２６】
このように構成されたエアバッグ装置においては、自動車の衝突が検知されると、ガス発生器のスクイブに通電され、ガス発生器１４が作動してガス噴出口３４からガスが噴出する。このガスにより、エアバッグ１２が膨張し、モジュールカバー２０が開裂し、エアバッグ１２が第７図の如く展開する。
【００２７】
この実施の形態にあっては、ガス噴出口３４の両側方と下側をガス流れ方向変更部材としての固定部材袖壁部４０ｂ及び底部４０ａが取り巻いており、ガス噴出口３４からの噴出ガスが該ガス噴出口３４直近であって、且つ噴出ガス圧を受けてもガス噴出口３４から全く又は殆ど遠ざからないエアバッグ１２を直射しない。そのため、ガス噴出口３４近傍のエアバッグ１２が熱劣化を受けることがない。また、ガス圧は主としてエアバッグ１２の膨張方向（上方向）にのみ作用するので、エアバッグ１２が素早くスムーズに膨張する。
【００２８】
このエアバッグ装置１０は、第８，９図に示すように歩行者等を保護するための外面展開型エアバッグ装置である。第８図はこのエアバッグ装置１０の自動車への搭載構造を示す概略的な縦断面図、第９図はこのエアバッグ装置１０の斜視図である。自動車のボンネット（エンジンフード）７０の後部にエアバッグ装置１０が設置され、エアバッグ１２がウィンドシールド７２及びその両側のＡピラーに沿って膨張可能とされている。エアバッグ装置１０は、ケース１８に設けられた車両搭載用ブラケット７４が車体側メンバ７６に連結されることにより、車体に固定されている。第９図の符号２０’はモジュールカバー２０の開放状態を示している。
【００２９】
このエアバッグ１２は、ウィンドシールド７２の全幅にわたって延在する長さの大きいものであるが、第１，３図の通り、円柱形のガス発生器１４，１４を略同一直線上に配置し、それらからのガスが上方に略平行に噴出するので、エアバッグ１２が全体としてほぼ均等に膨張する。
【００３０】
また、円柱形のガス発生器１４，１４が略同一直線上に配置されているので、エアバッグ１２をこの直線方向に長い細長形の折り畳み体とすることができる。
【００３１】
第１０図及び第１１図は本発明の別の実施の形態に係る固定部材１６Ａ，１６Ｃの斜視図である。第１０図の固定部材１６Ａは、袖壁部４０ｂ，４０ｂの先端を若干互いに接近方向に曲成させて曲成片４０ｃを設けたものである。この底部４０ａ、袖壁部４０ｂ，４０ｂ及び曲成片４０ｃ，４０ｃによりガス流れ方向変更部材が構成されている。
【００３２】
第１０図のその他の構成は前記固定部材１６と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【００３３】
第１１図の固定部材１６Ｃは、略半円筒形の本体部８２と、この本体部８２の側辺部から張り出したバンド部８４，８６とを有している。本体部８２内にガス発生器１４を差し込み、バンド部８４，８６を重ね合わせ、ボルト８８によって該バンド部８４，８６同士を挟圧することによりガス発生器１４が固定部材１６Ｃに固定される。なお、このボルト８８は、ケース１８の側面部（第１１図では図示略）に固定される。すなわち、ボルト８８は、該ケース側面部を貫通し、先端側からナットが締め込まれ、これによりバンド部８４，８６同士が挟圧される。また、これにより固定部材１６Ｃがケース１８に固定される。バンド部８４，８６は２個ずつ設けられている。
【００３４】
この固定部材１６Ｃの一端側においては、固定部材１６Ｃは、ガス発生器１４の先端部の両側方と下方とを取り巻くように略Ｕ字形断面形状となっており、この部分がガス流れ方向変更部材９０を構成している。
【００３５】
第１２図は本発明のさらに別の実施の形態に係るエアバッグ装置に用いられるガス流れ方向変更部材を有したガス発生器の斜視図、第１３図は第１２図の構成を示す分解図、第１４図は第１２図のガス発生器の作動時の斜視図である。
【００３６】
この実施の形態では、ガス発生器１４に布などのシート、好ましくは耐熱性の布９２が巻着されている。この実施の形態の布９２は略方形であり、その一側辺９２ａがガス発生器１４の一方のサイドに位置し、他方の側辺９２ｂがガス発生器１４の他方のサイドに位置している。この布９２は、ガス発生器１４の少なくとも先端側から中央付近までに巻き付けられている。布９２は、ガス発生器１４を１周半だけ取り巻いている。
【００３７】
布９２がガス発生器２０に巻き付けられた後、バンド状のブラケット９４のＣ字形状部９４ｃが外嵌される。ブラケット９４は、このＣ字形状部９４ｃと、該Ｃ字形状部９４ｃの両端からそれぞれ延出したフランジ９４ａ，９４ｂを備えている。これらのフランジ９４ａ，９４ｂが重ね合わされた後、これらがボルト９６及びナット９８によって挟圧されることにより、ブラケット９４が布９２を締め付けると共に、このブラケット９４がガス発生器１４に固着される。
【００３８】
このブラケット９４は、ボルト９６及びナット９８により前記固定部材１６Ｃと同様にケース１８（第１２〜１４図では図示略）に固定される。布９２はガス噴出口３４の外周をも取り巻いている。ガス発生器１４が作動すると、第１４図の如く、ガス噴出口３４からの噴出ガスにより布９２が捲れ、該ガス噴出口３４の周囲において布９２の巻回が解かれ、布９２が略Ｕ字形状となる。これにより、ガス噴出口３４からのガスは第１４図の上方に向って流出する。なお、ガス発生器１４の先端側の両側方と下方とに布９２が介在することにより、ガス噴出口３４近傍のエアバッグ１２（第１２〜第１４図では図示略）にガスが直射されることがない。
【００３９】
なお、上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
【００４０】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、ガス発生器からのガスがエアバッグを直射することが防止されるので、エアバッグに要求される耐熱特性が緩和される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 実施の形態に係る外面展開型エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の縦断面図である。
【図２】 外面展開型エアバッグ装置のガス発生器とその固定部材を示す分解斜視図である。
【図３】 第１図の外面展開型エアバッグ装置の要部破断分解斜視図である。
【図４】 第３図のIV−IV線矢視図（エアバッグ底面図）である。
【図５】 第４図のＶ−Ｖ線に沿う断面図である。
【図６】 外面展開型エアバッグ装置の第１図VI−VI線に沿う断面図である。
【図７】 第６図の状態からエアバッグが膨張した状態を示す断面図である。
【図８】 外面展開型エアバッグ装置の自動車への搭載構造を示す概略的な縦断面図である。
【図９】 外面展開型エアバッグ装置の斜視図である。
【図１０】 本発明の別の実施の形態に係るガス発生器の固定部材を示す斜視図である。
【図１１】 本発明の別の実施の形態に係るガス発生器の固定部材を示す斜視図である。
【図１２】 本発明のさらに別の実施の形態に係る外面展開型エアバッグ装置に用いられるガス流れ方向変更部材を有したガス発生器の斜視図である。
【図１３】 第１２図の構成を示す分解図である。
【図１４】 第１２図のガス発生器の作動時の斜視図である。
【符号の説明】
１０ 外面展開型エアバッグ装置
１２ エアバッグ
１４ ガス発生器
１６，１６Ａ，１６Ｃ 固定部材
１８ ケース
２０ モジュールカバー
４０ 固定部材の本体部
４０ａ 底部
４０ｂ 袖壁部
９０ ガス流れ方向変更部材
Claims (5)
- 自動車の車体の外面に沿って膨張可能なエアバッグと、上面が開放口となっている、該エアバッグを収容するためのケースと、該エアバッグを膨張させるガス発生器とを備え、該ガス発生器の少なくともガス噴出口が該エアバッグ内部に配置されている外面展開型エアバッグ装置において、
該ガス噴出口からの噴出ガスがエアバッグ内面に直射されることを防止するためのガス流れ方向変更部材を設けた外面展開型エアバッグ装置であって、
１個の該ケースに２個の該ガス発生器が設置されており、
これらのガス発生器はそれぞれ略円柱形であり、
これらのガス発生器は略同一直線上に配置されており、
これらのガス発生器の一端がそれぞれ前記エアバッグの外部に露出しており、
これらのガス発生器からそれぞれガスが上方に噴出することを特徴とする外面展開型エアバッグ装置。 - 請求項１において、さらに、前記ガス発生器を前記ケースに固定するための固定部材を備えており、
前記ガス流れ方向変更部材は該固定部材と一体となっていることを特徴とする外面展開型エアバッグ装置。 - 請求項１又は２において、略円柱形の前記ガス発生器の外周面に周方向に間隔をおいて複数のガス噴出口が設けられており、
前記ガス流れ方向変更部材は、該ガス発生器の周方向の下側の略半分に対峙し、周方向の上側の略半分がガスを流し出すように開放していることを特徴とする外面展開型エアバッグ装置。 - 請求項１において、略円柱形の前記ガス発生器の外周面に周方向に間隔をおいて複数のガス噴出口が設けられており、
前記ガス流れ方向変更部材は、該ガス発生器を取り巻いた布等のシート材よりなり、ガス噴出口からの噴出ガスにより上方に捲れて、この捲れた部分からガスを流し出すように構成されていることを特徴とする外面展開型エアバッグ装置。 - 請求項３又は４において、１個のエアバッグに、前記２個のガス発生器が略同一の直線方向に沿って設置されており、
各ガス発生器にそれぞれガス流れ方向変更部材が配設され、且つ各ガス流れ方向変更部材からのガス流出方向が略平行方向となっていることを特徴とする外面展開型エアバッグ装置。
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