JP3851710B2 - 液状食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状食品に関するものであり、詳しくは、茶類飲料、ブラックコーヒ等の非乳化性透明飲料、および、コンソメスープ、煮豆汁、総菜汁、漬け物汁などの濁りのないスープや煮汁、麺つゆ、たれ等の調味料などの濁りや沈殿のない液状食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ミルク成分や沈殿成分を含む弱酸性容器詰飲料、例えば、ミルクコーヒー、ミルクティー、ココア、ポタージュスープ、汁粉などには、耐熱性芽胞菌による変敗を防止するためにショ糖脂肪酸エステル(SE)を添加することが広く行われている(諏訪信行:日本食品工業学会誌,35(10),706−708(1988),田中光幸:缶詰時報,68(1),86−90(1989))。
【0003】
就中、構成脂肪酸におけるパルミチン酸含量が70重量%以上でモノエステル含量が70重量%以上のSE(例えば、特開昭56−18578号公報)及び構成脂肪酸がパルミチン酸70重量%以上及びステアリン酸30重量%以下であり且つモノエステル含量が70〜90重量%のSE(特開昭60−199345号公報)が好ましいことが知られている。
【0004】
そして、従来より市販されている変敗防止用途のSEとしては、構成脂肪酸におけるパルミチン酸含量約80重量%でモノエステル含量が約70重量%のSE(三菱化学フーズ株式会社の商品「リョートーシュガーエステルP−1570」)及び構成脂肪酸におけるパルミチン酸含量が約80重量%でモノエステル含量が約80重量%のSE(三菱化学フーズ株式会社の商品「リョートーシュガーエステルP−1670」)が挙げられる。
【0005】
これに対し、弱酸性の茶類飲料、例えば、ストレート紅茶、日本茶、ウーロン茶などの場合は、上記のミルク成分や沈殿成分を含む弱酸性缶詰飲料に比して低栄養性であること及び茶類飲料に含まれるカキテン類が抗菌性を有することから芽胞菌による変敗が生じ難いため、一般にSEの添加は行われていない。
【0006】
しかしながら、近時、上記の茶類飲料においては、嗜好性を高めるために茶葉の抽出温度を低くする傾向があり、この場合には、茶類飲料中のカテキン濃度が低下し、芽胞菌の生育を十分に防止することが出来ない。しかし、変敗防止のためにより高温で加熱殺菌を行うのは飲料の風香味が低下するので好ましくない。しかも、特に、熱殺菌後にホット充填を行うペットボトルやガラスボトル入りの低酸性飲料製品の場合は、容器や製造ラインからの2次汚染が惹起される問題がある。
【0007】
そして、茶類飲料の中の麦茶やブレンド茶などは、カテキン類を含まないか、または、その含有量が少ないため芽胞菌による変敗が発生し易く、ブラックコーヒーでも或る種の芽胞菌が生成し変敗を引き起こす問題がある。
【0008】
また、食品においても、レトルト殺菌を行う、煮豆、おでん、野菜水煮、総菜、けんちん汁、漬け物、調味料などの場合は、食感、風味などの品質向上のために殺菌条件の緩和が望まれるが、この場合には、耐熱性の芽胞菌が残存して変敗を引き起こすことがある。斯かる問題に対処するため、上記食品の濁りのないスープや煮汁に抗菌性を有するSEの添加が望まれる。
【0009】
しかしながら、SEの添加は、前記のミルク成分や沈殿成分を含む弱酸性容器詰飲料の様に元来濁りや沈殿がある弱酸性飲料の場合には問題ないが、前記の茶類飲料の様な透明飲料および濁りのないスープや煮汁の場合には、HLB16程度の親水性のSEであっても長時間の保存により、濁りや沈殿を生じる欠点があり、SEの添加はほとんど行われていないのが現状である。
【0010】
更に、芽胞菌による変敗防止のため、透明飲料、濁りのないスープや煮汁にモノエステル含量が70〜90重量%のSEを添加した場合、長期間の保存により濁りや沈殿を生ずることがある。また、濁りや沈殿を考慮してSEの添加量を少なくした場合には芽胞菌の増殖抑制が不十分となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、濁りや沈殿を生じることがない液状食品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく種々検討を重ねた結果、SEは、通常、モノ、ジ、トリエステル等の混合物であるが、SE中のモノエステル含量を高めるならば、飲料や食品に添加して長時間を経過しても濁りや沈殿を生じず、透明性が要求される飲料や食品においても使用可能であり、しかも、従来より市販されている変敗防止用途のSEよりも少ない添加量で効果的に芽胞菌による変敗を防止することが出来るとの知見を得た。
【0013】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、清澄で曇りのない透明液状の食品中に、構成脂肪酸が炭素鎖長8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸であり、モノエステル含量が93重量%以上であるショ糖脂肪酸エステルから成る抗菌剤を10〜3000ppm含有して成り、透明性を有することを特徴とする液状食品に存する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の液状食品は特定の抗菌剤を含有することを特徴とする。先ず、本発明で使用する特定の抗菌剤(以下、本発明の抗菌剤と略記する)について説明する。本発明の抗菌剤は、ショ糖脂肪酸エステル(SE)から成る。SEの製法としては、ショ糖と脂肪酸低級アルキルエステルとのエステル交換反応による方法(特公昭35−13102号公報)が知られている。また脂肪酸とショ糖のエステル化反応によっても製造することが出来る。通常、これらの方法で得られるSEは、モノ、ジ、トリエステルの混合物である。
【0015】
上記のSE混合物からモノエステル含量の高いSEを得るには、例えば、特開昭61−148190号公報に記載の方法、すなわち、合成吸着剤カラムにSE混合物溶液を通液し、クロマト展開させて流出するモノエステル分画を回収する方法や、水と有機溶媒による液液抽出方法などを採用することが出来る。
【0016】
また、一般に入手可能なSE製品中には、SEの他に、ショ糖、脂肪酸、脂肪酸塩、水分などを含んでいるが、本発明でいうモノエステル含量とはSE化合物中のモノエステルの割合を意味する。
【0017】
本発明において、上記の脂肪酸は、炭素鎖長8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸であり、その具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸またはこれらの混合物などが挙げられる。これらの中では、風味、溶解性、抗菌性の3条件を十分に満足するミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはこれらの混合物が好ましい。
【0018】
本発明において、SEのモノエステル含量が93重量%以上であることが重要である。すなわち、本発明においては、SE中のジエステル及びトリエステルなどの置換度2以上のエステル体が7重量%未満でなければならない。SEのモノエステル含量が93重量%未満の場合は、飲料や食品に添加して長時間を経過した場合に濁りや沈殿を生じて本発明の目的を達成することが出来ない。SEのモノエステル含量の好ましい範囲は95重量%以上である。
【0019】
本発明の抗菌剤は、前記の脂肪酸の異なるSEの混合物であってもよい。また、本発明の抗菌剤は、飲料や食品に悪影響を与えない範囲であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、酵素処理レシチン、酵素分解レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、乳酸脂肪酸エステル等の乳化剤、カラギーナン、アラビアガム、キサンタンガム等の安定剤などの添加物と併用しても使用してもよい。
【0020】
本発明の抗菌剤が適用される対象飲料は、清澄で曇りのない透明液状の食品である限り、特に制限されず、特に、透明飲料および濁りのないスープや煮汁に対して好適である。
【0021】
透明飲料の具体例としては、茶類飲料、コンソメスープ、ブラックコーヒー等のpH4.5以上の非乳化性透明飲料、pH4.5以上の濁りのないスープ、煮汁、調味料などが挙げられる。茶類飲料としては、茶葉の抽出液及び茶葉以外の植物の抽出液が挙げられる。具体的には、茶葉の抽出液である茶飲料としては、煎茶、ほうじ茶、玉露茶、抹茶、紅茶、ウーロン茶などが挙げられる。他の植物の抽出液(植物茶)としては、麦茶、玄米茶、トウモロコシ茶などの穀物茶、杜仲茶、どくだみ茶、ルイボス茶、マテ茶などの非穀物茶、ブレンド茶などが挙げられる。
【0022】
濁りのないスープや煮汁、調味料の具体例としては、主として、pH4.5以上の煮豆汁、おでん汁、野菜水煮汁、総菜汁、けんちん汁、漬け物汁などのスープや煮汁、麺つゆやたれ等の調味料が挙げられる。
【0023】
本発明の抗菌剤は、前述の通り、清澄で曇りのない透明食品に好適に使用されるが、具体的には、分光光度計により、試料5倍希釈、セル厚1cm、脱塩水(100%)対照の条件下で測定した光透過率が50%以上の飲料などである。因に、ミルクコーヒー等の通常の乳化性不透明飲料では、上記5倍希釈液の光透過率は5%以下である(参考例参照)。
【0024】
本発明の抗菌剤は、透明液状の食品の場合、通常、透明液状の食品中に10〜3000ppm、好ましくは20〜300ppmの含有量で使用される。含有量が10ppm未満の場合は抗菌効果が充分に発揮されず、3000ppmを超える場合は風香味を損なうと同時にコスト的にも好ましくない。しかしながら、SEの抗菌効果は、共存する澱粉、脂肪、タンパク質などにより影響を受ける(池上義昭:東洋食品工業短期大学東洋食品研究所研究報告書,16,101−105(1985),池上義昭:東洋食品工業短期大学東洋食品研究所研究報告書,17,65−75(1987))。従って、添加対象が澱粉、脂肪、タンパク質などのSEの抗菌性を阻害する成分の含量が少ない(例えば、各々0.1重量%以下の)飲料または食品の場合は、本発明の抗菌剤は、通常20〜300ppmの含有量で使用すればよい。
【0025】
上記の飲料および食品を含包する密封容器としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリルスチレン、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂などのプラスチック製容器、缶、ビンの他、プラスチックフィルムやアルミ箔を被覆した紙製容器などが挙げられる。本発明の対象である飲料は加熱滅菌された後にホット充填されるために容器や製造ラインからの汚染が起こり易いことからすれば、密封容器としては、耐熱性、強度に優れ、しかも、透明性が高いペットボトルやガラスボトルが好ましい。
【0026】
本発明の抗菌剤が対象とする微生物は、特に限定されないが、一般的には、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)、クロストリヂウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、クロストリヂウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリヂウム・ビフェメンタンス(Clostridium bifementans)、クロストリヂウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、クロストリヂウム・ボツリヌス(Clostridium boturinum)、クロストリヂウム・パスツリアナム(Clostridium pasteurianum)、クロストリヂウム・サーモアセチカム(Clostridium thermaceticum)、クロストリヂウム・サーモサッカロリチカム(Clostridium thermosaccharolyticum)、クロストリヂウム・サーモハイドロスルフリカム(Clostridium thermohydrosulfricum)、デスルフォトマキュラム・ニグリフィカンス(Desulfotomaculum nigrificans)等の耐熱性芽胞菌であることが多い。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
試験例1
表1及び表2に示すSEを1重量%となる様に70℃で水道水に溶解した。この溶液を室温で放冷後、5℃で1週間保存し、溶解状態を観察した。結果を表1及び表2に示す。表1及び表2中の記号Pはパルミチン酸、Sはステアリン酸、Lはラウリン酸、Mはミリスチン酸を表し、◎は完全に溶解して沈殿がない状態、〇は略透明(半透明)で沈殿がない状態、△はやや濁りがあり沈殿がある状態、×は濁りがあり沈殿がある状態を意味する。なお、表2(試料H〜L)は、比較用の試料である。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
試験例2
試験例1と同様SEを使用し、耐熱性芽胞菌の最少発育阻害濃度を求めた。すなわち、グルコース0.1重量%、ペプトン0.5重量%、酵母エキス0.3重量%、食塩0.2重量%、硫酸マンガン0.05重量%、試験例1と同様のSE所定量から成り、pH7.2の培地を調製した。この培地を20mlずつ試験管に採取してアルミキャップをして殺菌した。これに、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)芽胞を1.0×106 個接種し、55℃で10日間培養し、最少発育阻害濃度を求めた。結果は表3に示す通りであった。表3中の試料I及びKは比較用の試料である。
【0032】
【表3】
<ショ糖脂肪酸エステルのバチルス・ステアロサーモフィラス抑制濃度>
【0033】
試験例3
グルコース1.0重量%、バクトペプトン1.0重量%、酵母エキス1.0重量%、食塩0.05重量%、L−システイン0.06重量%、寒天0.2重量%、試験例1と同様のSE所定量から成り、pH7.2の培地を調製した。この培地を殺菌し、無菌的に20mlずつ試験管に採取してスクリューキャップをした。これに、クロストリディウム・サーモアセティカム(Clostridiumthermaceticum)芽胞を1.0×106 個接種し、55℃で10日間培養し、最少発育阻害濃度を求めた。結果は表4に示す通りであった。表4中の試料Iは比較用の試料である。
【0034】
【表4】
<ショ糖脂肪酸エステルのクロスシリディウム・サーモアセティカム抑制濃度>
【0035】
参考例
市販の各種液状食品の光透過率(T)の測定値は表5に示す通りであった。なお、測定は、分光光度計(島津製作所UV−1200)を使用し、セル厚1cm、波長620nmの条件下、脱塩水を対照(100%)として行なった。
【0036】
【表5】
【0037】
実施例1
焙煎したアイスコーヒー用の珈琲豆50gを95℃の脱塩水700gで抽出した。これに砂糖60gと所定量のSE及びその他の乳化剤などを加え、脱塩水で全量を1000gに調整した。更に、これに重曹を加えてpHを6.5に調整した。このコーヒー液を121℃で10分間殺菌した後、ペットボトルに入れて35℃で1週間保存した。保存後の各コーヒー液の5倍希釈後の吸光度を波長620nmで測定し、希釈倍率で補正して吸光係数(A)を求めた。対照として乳化剤を添加しなかったコーヒー液を使用した。
【0038】
また、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)芽胞3×105 個が接種されたペットボトルに上記のコーヒー液を入れて35℃で保存した。保存開始2週間後に外観を観察した。保存開始2月間後にpH測定を行い、菌無接種の飲料との比較により変敗の有無を判定した。
【0039】
結果は表6及び表7に示す通りであった。表6及び表7中の記号+は変敗発生、−は変敗発生せず、◎は濁り無しで沈殿無し、○は濁り無しで極僅かに沈殿あり、△は僅かに濁り有りで僅かに沈殿有り、×は濁り有りで沈殿有り、××は菌繁殖を確認可の状態を表す。なお、表7は比較例を表す。
【0040】
【表6】
<加糖ブラックコーヒーの保存結果>
【0041】
【表7】
<加糖ブラックコーヒーの保存結果>
【0042】
実施例2
市販の缶入りブレンド茶を無菌的に200gずつガラス瓶に入れた。これに殺菌したSE及び他の乳化剤水溶液を加えた。このブレンド茶をペットボトルに入れて室温で1週間保存した。保存後の各ブレンド茶の2倍希釈後の吸光度を波長620nmで測定し、希釈倍率で補正して吸光係数(A)を求めた。対照として乳化剤を添加しなかったブレンド茶を使用した。
【0043】
また、上記のブレンド茶にバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)芽胞を2×104 個接種し、93℃で10分間殺菌した。これを室温で40日間保存した後、変敗の有無と外観を調べた。変敗は目視と菌無接種区とのpH比較から判定した。
【0044】
結果は表8及び表9に示す通りであった。表8及び表9中の記号+は変敗発生、−は変敗発生せず、◎は濁り無しで沈殿無し、○は極僅かに濁りありで沈殿無し、△は僅かに濁り有りで極僅かに沈殿有り、×は濁り有りで沈殿有り、××は菌繁殖を確認可の状態を表す。なお、表9は比較例を表す。
【0045】
【表8】
<ブレンド茶の保存結果>
【0046】
【表9】
<ブレンド茶の保存結果>
【0047】
実施例3
日本茶葉(煎茶)1000gに50℃に加温した脱塩水50リットルを加え、10分間抽出し、pH6.8の日本茶を得た。これをペットボトルに入れて室温で1週間保存した。保存後の各日本茶の2倍希釈後の吸光度を波長620nmで測定し、希釈倍率で補正して吸光係数(A)を求めた。対照として乳化剤を添加しなかった茶を使用した。
【0048】
また、上記の日本茶を1500gずつに分け取り、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)芽胞を2×102 個接種し、更に、SE及び他の乳化剤水溶液を加え、95℃で15分間殺菌した。これをペットボトルに充填し、室温で保存した。保存開始6日後に外観を観察した。保存開始50日後にpH測定を行い、菌無接種の飲料との比較により変敗の有無を判定した。
【0049】
結果は表10及び表11に示す通りであった。表10及び表11中の記号+は変敗発生、−は変敗発生せず、◎は濁り無しで沈殿無し、○は極僅かに濁りありで沈殿無し、△は僅かに濁り有りで極僅かに沈殿有り、×は濁り有りで沈殿有り、××は菌繁殖を確認可の状態を表す。なお、表11は比較例を表す。
【0050】
【表10】
<日本茶の保存結果>
【0051】
【表11】
<日本茶の保存結果>
【0052】
実施例4
粒状麦茶500gに熱湯15リットルを加え、5分間沸騰させて麦茶飲料を得た。これを250gずつに分け取り、バチルス・コアギュランス芽胞1×105 個を接種し、所定のSE及び他の乳化剤を加えた。これを90℃に加熱し、缶に巻締めした後、120℃で5分間加熱殺菌した。これを45℃で60日間保存した後、開缶して変敗の有無と外観を調べた。変敗は目視と菌無接種区とのpH比較から判定した。
【0053】
結果は表12及び表13に示す通りであった。表12及び表13中の記号+は変敗発生、−は変敗発生せず、◎は濁り無しで沈殿無し、○は極僅かに濁りありで沈殿無し、△は僅かに濁り有りで極僅かに沈殿有り、×は濁り有りで沈殿有り、××は菌繁殖を確認可の状態を表す。なお、表13は比較例を表す。
【0054】
【表12】
<麦茶飲料の保存結果>
【0055】
【表13】
<麦茶飲料の保存結果>
【0056】
実施例5
実施例4において、接種菌をバチルス・ズブチルス芽胞5×103 個に、保存期間を1週間に変更した以外は、実施例4と同様に行った。結果は表14及び表15に示す通りであった。
【0057】
表14及び表15中の記号+は変敗発生、−は変敗発生せず、◎は濁り無しで沈殿無し、○は極僅かに濁りありで沈殿無し、△は僅かに濁り有りで極僅かに沈殿有り、×は濁り有りで沈殿有り、××は菌繁殖を確認可の状態を表す。なお、表15は比較例を表す。
【0058】
【表14】
<麦茶飲料の保存結果>
【0059】
【表15】
<麦茶飲料の保存結果>
【0060】
実施例6
市販のおでんの具材と煮汁を分け取り、煮汁を濾紙で濾過した。この煮汁にバチルス・ステアロサーミフィラス(Bacillus stearothermophilus)芽胞を1×105 /mlとなる様に接種し、更に、所定のSE及び他の乳化剤を加えた。この煮汁を具材と共に透明レトルトパウチ容器に入れ、密封して123℃で5分間加熱殺菌した。次いで、55℃で35日間保存した後、開封して変敗の有無と外観を調べた。変敗は目視と菌無接種区とのpH比較から判定した。
【0061】
結果は表16及び表17に示す通りであった。表16及び表17中の記号+は変敗発生、−は変敗発生せずで濁り無し、◎は濁り無し、○は極僅かに濁りあり、△は僅かに濁り有り、×は濁り有り、××は菌繁殖を確認可の状態を表す。なお、表17は比較例である。
【0062】
【表16】
<おでんの保存結果>
【0063】
【表17】
<おでんの保存結果>
【0064】
【発明の効果】
以上説明した本発明の抗菌剤によれば、加温販売機などで高温に長期間保存しても透明飲料や透明食品に濁りや沈殿を生じることがなく、腐敗変質することもない。また、本発明の抗菌剤によれば、常温で流通する透明食品などの場合でも長期間保存による濁りや沈殿を生じることなく中温菌による腐敗を防止することが出来、更に、長期間保存による濁りや沈殿を生じやすい低温保存においても濁りや沈殿を生じることがない高品質の食品を提供することができる。すなわち、本発明によれば、特に透明飲料および濁りのないスープや煮汁の場合に好適に使用し得るショ糖脂肪酸エステルから成る抗菌剤が提供される。
Claims (5)
- 清澄で曇りのない透明液状の食品中に、構成脂肪酸が炭素鎖長8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸であり、モノエステル含量が93重量%以上であるショ糖脂肪酸エステルから成る抗菌剤を10〜3000ppm含有して成り、透明性を有することを特徴とする液状食品。
- ショ糖脂肪酸エステルのモノエステル含量が95重量%以上である請求項1に記載の液状食品。
- ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸がパルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸から選ばれる1種または2種以上である請求項1又は2に記載の液状食品。
- 液状食品の光透過率が、分光光度計により、5倍希釈で、セル厚1cm、脱塩水(100%)対照の条件下で測定したときに、50%以上である請求項1〜3の何れかに記載の液状食品。
- 清澄で曇りのない透明液状の食品が濁りのないスープ又は煮汁である請求項1〜4の何れかに記載の液状食品。
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JP5996761B1 (ja) * | 2015-11-18 | 2016-09-21 | 太陽化学株式会社 | 耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤 |
JP2017095357A (ja) * | 2015-11-18 | 2017-06-01 | 太陽化学株式会社 | 耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤 |
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JPH1070971A (ja) | 1998-03-17 |
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