JP2002255775A - 腋臭菌用抗菌剤 - Google Patents

腋臭菌用抗菌剤

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JP2002255775A
JP2002255775A JP2001053529A JP2001053529A JP2002255775A JP 2002255775 A JP2002255775 A JP 2002255775A JP 2001053529 A JP2001053529 A JP 2001053529A JP 2001053529 A JP2001053529 A JP 2001053529A JP 2002255775 A JP2002255775 A JP 2002255775A
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corynebacterium
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JP2001053529A
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Chika Misumi
千夏 三角
Noboru Yamamoto
昇 山本
Kazutomi Yasuma
一臣 安間
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Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Ogawa and Co Ltd
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Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Ogawa and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)、特に腋臭の原因となる菌に特異的な抗菌剤、腋臭
症用の皮膚外用剤及び防腋臭剤を提供する。 【解決手段】炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エ
ステルを有効成分として含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コリネバクテリウ
ム属菌(Corynebacterium sp.)に対して効力を有する
抗菌剤、特に腋臭発生の原因菌であるいわゆる腋臭菌に
対して優れた殺菌ないし静菌効果を発揮する抗菌剤に関
する。さらに本発明は、上記抗菌剤を含有する腋臭症の
ための皮膚外用剤、並びに腋臭の発生を防止するのに用
いられる防腋臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】発汗に伴う不快臭は、本来は無臭かつ無
菌である汗が皮表の微生物によって分解されることによ
って生じることが知られており、これに皮表や汗中のア
ンモニアが加わるとさらに特有の臭気となる。とりわけ
体臭の中でも鼻をつくような独特な臭いである腋臭は、
腋窩部のアポクリン汗腺から分泌されるアポクリン汗が
皮表に存在するコリネバクテリウム属菌やブドウ球菌に
よって分解されることによって発生する。そこで、体臭
の発生を抑制するために従来より発汗防止剤、制汗収斂
剤、抗生物質または抗菌剤などが使用されている。しか
しながら、発汗防止剤や制汗収斂剤は汗の分泌量の多い
人には余り効果がなく、特にヒドロキシ塩化アルミニウ
ム(アルミニウム塩化水和物)のようなアルミニウム塩
からなる制汗収斂剤はそのタンパク質変性作用のため皮
膚への刺激性が強いという問題がある。また、塩化ベン
ゼトニウムや塩化ベンザルコニウムなどの抗菌剤や抗生
物質は効果は高いものの、体臭の原因となる微生物だけ
でなく皮膚微生物叢を形成する微生物までも殺菌若しく
は静菌してしまうため、健全な皮膚微生物叢形成による
皮膚本来の自浄作用を損なってしまうという危険性を有
している。
【0003】そこで、不快な体臭を防止する方法を開発
するためには、長期間使用しても健全な皮膚微生物叢に
は極力悪影響を与えず、不快臭を発生する原因のもとと
なる菌を選択的に殺菌もしくは静菌する作用を有する抗
菌剤を見出すことが必要となる。
【0004】一方、ショ糖脂肪酸エステルは、耐熱性芽
胞菌に対して静菌作用があることが知られており、この
ため従来より食品や化粧品分野において防腐剤や保存剤
として用いられている非イオン性界面活性剤である。具
体的には、特開平10-70971号公報によると、ショ糖脂肪
酸エステルは Bacillus coagulansB.circulansB.ce
reusB.licheniformisB.stearothermophilusB.sub
tilisB.polymyxaClostridium sporogenesC.perfr
ingensC.bifementansC.butyricumC.boturinum
C.pasteurianumC.thermaceticumC.thermosacharoly
ticumC.thermohydrosulfricum、及びDesulfotomaculu
m nigrificans 等の耐熱性芽胞菌に対して抗菌作用があ
り、これらの微生物による食品の変敗を有意に防止する
ことができることが記載されており、また特開平1-311
014号公報によると、ショ糖脂肪酸エステルは Propioni
bacterium acnesPropionibacterium avidamなどのプ
ロピオニバクテリウム属に属する皮膚常在菌に対して抗
菌作用があり、ニキビの悪化や皮膚炎症の防止に有用で
あることが記載されている。
【0005】このようにショ糖脂肪酸エステルの抗菌性
は従来より公知であるが、これがコリネバクテリウム属
菌(Corynebacterium sp.)に対して優れた殺菌作用を
示すことについては知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、コリネバク
テリウム属菌(Corynebacterium sp.)、特に体臭の中
でも特に不快な臭いである腋臭の発生原因菌であるいわ
ゆる腋臭菌に対して、優れた殺菌効果を発揮するコリネ
バクテリウム属菌用の抗菌剤を提供することを目的とす
る。さらに本発明は、当該コリネバクテリウム属菌の生
育並びに増殖を防止することによって腋臭の発生を有意
に防止できる腋臭症用の皮膚外用剤を提供することを目
的とする。さらにまた本発明は、上記作用に基づいて腋
臭を防止する防腋臭剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するための鋭意検討を重ねていたところ、炭素数8
〜22を有する脂肪酸のショ糖エステルがコリネバクテ
リウム属菌(Corynebacterium sp.)、特に腋臭の原因
菌に対して優れた殺菌作用並びに静菌作用を有すること
を見いだし、さらにかかるショ糖脂肪酸エステルの殺菌
・静菌作用は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、バ
チラス菌(Bacillus subtilis)、大腸菌(Escherichea
coli)、アスペルギルス菌(糸状菌)(Aspergillus n
igar)、黒色真菌(Cladosporium cladosporiodide
s)、ペニシリウム菌(Penicilliumcitrinum)、カンジ
ダ菌(Candida albicans)や表皮ブドウ球菌(Staphylo
coccus epidermidis)等の他の微生物に対しては認めら
れず、コリネバクテリウム属菌に対して特異的であるこ
とを確認した。上記微生物のうち、特に表皮ブドウ球菌
Staphylococcus epidermidis)は皮表で皮膚微生物叢
を形成することによって他の病原性微生物が不必要に増
殖することを防ぐ働きがあることが知られている皮膚常
在菌であることが知られている。従って、上記ショ糖脂
肪酸エステルの選択的な抗菌作用は、健全な皮膚微生物
叢による皮膚保護作用を維持するためにも有用であると
考えられた。本発明はかかる知見に基づいて開発された
ものである。
【0008】すなわち、本発明は下記(1)または
(2)に掲げる抗菌剤である: (1)炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステル
を主成分とするるコリネバクテリウム属菌(Corynebact
erium sp.)に対する抗菌剤。 (2)コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)が腋臭の原因菌である上記(1)記載の抗菌剤。
【0009】さらに本発明は上記抗菌剤を有効成分とし
て含有する下記(3)または(4)に掲げる製剤であ
る: (3)腋臭症用の皮膚外用剤。 (4)防腋臭剤。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌剤は、コリネバクテ
リウム属菌(Corynebacterium sp.)に対して殺菌作用
を有することを特徴とするものであって、ショ糖脂肪酸
エステルを有効成分とする。
【0011】ここでコリネバクテリウム属菌(Coryneba
cterium sp.)としては、当該属の範疇にあるグラム陽
性桿菌であれば特に制限されないが、好ましくは腋臭発
生の原因となる菌(以下、本発明において腋臭菌ともい
う。)であり、このような腋臭菌としては例えば Coryn
ebacterium minutissimumCorynebacterium xerosis
または Corynebacterium tenuis 等が知られている。中
でも好ましくは Corynebacterium minutissimum であ
る。
【0012】本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステル
は、炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステルで
ある。ここで脂肪酸は、炭素数8〜22,好ましくは1
2〜18、より好ましくは16〜18の飽和または不飽
和の脂肪酸を挙げることができる。具体的には、カプリ
ル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、オレ
イン酸、エルカ酸を挙げることができる。好ましくはラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン
酸であり、より好ましくはパルミチン酸及びステアリン
酸である。なお、本発明で使用するショ糖脂肪酸エステ
ルは、上記脂肪酸の1種からなるものであってもまた2
種以上を任意に混合して含有するものであってもよい。
【0013】また、本発明で使用するショ糖脂肪酸エス
テルは、ショ糖のモノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘ
キサ、ヘプタまたはオクタの脂肪酸エステルであること
ができ、これら2種以上の混合物であってもよい。好ま
しくはエステル組成100%あたりモノエステルが50
%以上の割合で含まれていることが望ましく、その割合
は70%以上、特に75%以上であることがより好まし
い。またそのHLBとしては、通常9〜20の範囲を挙
げることができる。好ましくは11〜20、より好まし
くは15〜20である。なお、本発明の抗菌剤はショ糖
脂肪酸エステルからなるものであってもよいし、また一
部にショ糖脂肪酸エステルを含有するものであってもよ
い。後者の場合、抗菌剤中に含まれるショ糖脂肪酸エス
テルの含有量は、当該ショ糖脂肪酸エステルの作用に基
づいてコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium s
p.)を殺菌できる量であればよい。特に制限されない
が、具体的には抗菌剤中に少なくとも0.0001重量
%、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好まし
くは少なくとも0.25重量%の割合でショ糖脂肪酸エ
ステルを含んでいることが望ましい。
【0014】本発明の抗菌剤は、本発明の効果を妨げな
いことを限度として上記ショ糖脂肪酸エステル以外の成
分として他の抗菌成分を含有することもできる。かかる
抗菌成分としては、具体的にはパラオキシ安息香酸ブチ
ルやパラオキシ安息香酸プロピル等のパラベン類、トリ
クロサン、トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニ
ウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩酸クロル
ヘキシジン、ジヒドロファルネソール、イソプロピルメ
チルフェノール、チモールなどを例示することができ
る。
【0015】本発明の抗菌剤は、皮膚に存在するコリネ
バクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)に対して殺
菌作用を有することから、抗菌成分として皮膚外用剤に
配合して用いることができる。特に本発明の抗菌剤は、
腋臭菌に対して優れた殺菌作用を発揮することからで腋
臭症のための皮膚外用剤の抗菌成分として用いることが
できる。
【0016】本発明の抗菌剤の皮膚外用剤への配合割合
としては、有効成分であるショ糖脂肪酸エステルがコリ
ネバクテリウム属菌に対して抗菌効果を発揮する量であ
ればよく、この範囲において特に制限されないが、具体
的にはショ糖脂肪酸エステルの量として皮膚外用剤中に
0.0001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重
量%、より好ましくは0.25〜5重量%の範囲で配合
されることが望ましい。
【0017】本発明は、かくして調製される腋臭症のた
めの皮膚外用剤をも提供するものである。当該皮膚外用
剤は、腋臭を防止する目的で医薬品、医薬部外品及び化
粧料の分野において広く用いることができる。その形態
も特に制限されることなく、クリーム、軟膏、ローショ
ン、スプレー、エアゾール、乳液、フォーム、洗浄料、
並びに上記抗菌剤をシート状基材に含浸させたシート
剤、貼付剤またはパップ剤、ロールオン剤等の使用形態
に合わせて液状、半固形状、気泡状及び固形状に適宜調
製される。
【0018】当該腋臭症用の皮膚外用剤は、ショ糖脂肪
酸エステルを成分とする上記抗菌剤に加えて、各種形態
に応じて、通常皮膚外用剤に使用される担体並びに防腐
剤、保存剤、安定剤、沈殿防止剤、pH調整剤、香料、
界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両
性界面活性剤)、着色剤、清澄剤、粘度調整剤、殺菌抗
菌剤、精油、収斂剤等の各種添加剤を配合することがで
きる。かかる担体並びに添加剤としては、人体に安全な
ものが好ましく、より好ましくは皮膚等に対して刺激性
のないものである。
【0019】担体としては、例えば液状形態の場合は、
水(例えばイオン交換水)、アルコール(例えばエタノ
ール)、並びに水溶性溶剤(例えばプロピレングリコー
ルやグリセリン等)などを、また固体形態の場合は各種
のゲル化剤(例えば、カラギーナンやアルギン酸ナトリ
ウム等の海藻多糖類;グアーガムやタマリンドシードガ
ム等の種子多糖類;アラビアガムやトラガントガムなど
の植物樹液多糖類;キサンタンガムやジェランガム等の
発酵多糖類;ゼラチン等の蛋白質;カルボキシメチルセ
ルロース等のセルロース誘導体等);シリカやタルクな
どの無機材などを挙げることができる。
【0020】防腐剤としては、安息香酸、ソルビン酸、
プロピオン酸、デヒドロ酢酸、サリチル酸、エデト酸及
びそれらの塩;パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ
安息香酸イソブチル等の有機酸エステル類;亜硫酸ナト
リウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等
の無機塩類;ペクチン抽出物などの植物由来成分などを
例示することができる。
【0021】沈殿防止剤としては、二酸化ケイ素、ステ
アリン酸マグネシウム等の微粒子粉体、ポリオキシエチ
レン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ステアレート等の界面活性剤及びキサンタンガム、ポリ
エチレングリコール等のゲル化剤等を例示することがで
きる。
【0022】pH調整剤としては、クエン酸、フマル
酸、DL-リンゴ酸並びにその塩類;炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カリウムなどの炭酸塩類;リン酸、リン酸二水
素ナトリウム等のリン酸塩などを例示することができ
る。
【0023】香料としては、オレンジ油、レモン油、ラ
ベンダー油、ラバンジン油、ベルガモット油、パチュリ
油、シダーウッド油等の天然精油、α−ピネン、β−ピ
ネン、リモネン、p−サイメン、ターピノレン、α−タ
ーピネン、γ−ターピネン、α−フェランドレン、ミル
セン、カンフェン、オシメン等の炭化水素テルペン;ヘ
プタナール、オクタナール、デカナール、ベンズアルデ
ヒド、サリシリックアルデヒド、フェニルアセトアルデ
ヒド、シトロネラール、ハイドロキシシトロネラール、
ハイドロトロピックアルデヒド、リグストラール、シト
ラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−ア
ミルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメン
アルデヒド、リラール、ヘリオトロピン、アニスアルデ
ヒド、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン等のア
ルデヒド類;エチルフォーメート、メチルアセテート、
エチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルイソ
ブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレー
ト、プロピルブチレート、イソブチルアセテート、イソ
ブチルイソブチレート、イソブチルブチレート、イソブ
チルイソバレレート、イソアミルアセテート、イソアミ
ルプロピオネート、アミルプロピオネート、アミルイソ
ブチレート、アミルブチレート、アミルイソバレレー
ト、アリルヘキサノエート、エチルアセトアセテート、
エチルヘプチレート、ヘプチルアセテート、メチルベン
ゾエート、エチルベンゾエート、エチルオクチレート、
スチラリルアセテート、ベンジルアセテート、ノニルア
セテート、ボルニルアセテート、リナリルアセテート、
安息香酸リナリル、エチルシンナメート、ヘキシルサリ
シレート、メンチルアセテート、ターピニルアセテー
ト、アニシルアセテート、フェニルエチルイソブチレー
ト、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチ
ル、エチレンブラシレート、γ−ウンデカラクトン、γ
−ノニルラクトン、シクロペンタデカノライド、クマリ
ン等のエステル・ラクトン類;アニソール、p−クレジ
ルメチルエーテル、ジメチルハイドロキノン、メチルオ
イゲノール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフ
トールエチルエーテル、アネトール、ジフェニルオキサ
イド、ローズオキサイド、ガラクソリド、アンブロック
ス等のエーテル類;イソプロピルアルコール、cis−3
−ヘキセノール、ヘプタノール、2−オクタノール、ジ
メトール、ジヒドロミルセノール、リナロール、ベンジ
ルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロー
ル、ターピネオール、テトラハイドロゲラニオール、l
−メントール、セドロール、サンタロール、チモール、
アニスアルコール、フェニルエチルアルコール等のアル
コール類;ジアセチル、メントン、アセトフェノン、α
−又はβ−ダマスコン、α−又はβ−ダマセノン、α
−、β−又はγ−ヨノン、α−、β−又はγ−メチルヨ
ノン、メチル−β−ナフチルケトン、ベンゾフェノン、
テンタローム、アセチルセドレン、α−又はβ−イソメ
チルヨノン、α−、β−又はγ−イロン、マルトール、
エチルマルトール、cis−ジャスモン、ジヒドロジャス
モン、l−カルボン、ジヒドロカルボン等のケトン類な
どを例示することができる。また、香料の溶剤・保留剤
としては、溶解性、汎用性の点から、ジエチルフタレー
ト、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
エタノール、3−メトキシ−3−プロパノールが好まし
い。
【0024】前述する各種の成分は単に一例を記載した
に過ぎず、本発明はこれらの成分に何ら限定されること
はない。すなわち本発明の皮膚外用剤には、他の添加成
分も含めて、通常外用剤の成分として使用される各種の
成分が使用できる。
【0025】本発明の抗菌剤は、後記実施例に記載する
ように、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌(Staphyloco
ccus epidermidis)に対しては抗菌作用を発揮しない。
このため、健全な皮膚微生物叢を傷つけることなく、不
快臭の原因菌であるコリネバクテリウム属菌を選択的に
殺菌する結果、皮膚本来の自浄機能やバリア機能を損な
わない皮膚に優しい皮膚用抗菌剤として有用である。そ
して本発明の皮膚外用剤は、コリネバクテリウム属菌、
特に腋臭の発生の原因となる腋臭菌に対する殺菌作用に
基づいて、腋臭の発生を防止する効果に優れている。従
って、当該皮膚外用剤は、別の観点から腋臭の発生を抑
制するために使用される防腋臭剤として位置づけること
もできる。
【0026】さらに本発明の抗菌剤は、上記皮膚外用剤
の形態に調製することによってコリネバクテリウム属菌
が存在する皮膚(皮表)に直接塗布する使用態様のほ
か、スプレーやエアゾールなどの形態や洗濯仕上げ剤や
コーティング剤などの形態に調製することによってコリ
ネバクテリウム属菌が付着した(または付着する可能性
のある)下着やシャツ等の衣類に噴霧、浸漬またはコー
ティングする使用態様で用いることができる。
【0027】本発明の抗菌剤を、後者のいわゆる衣類用
の防腋臭剤として使用する場合、当該防腋臭剤に配合す
る抗菌剤の割合としては、ショ糖脂肪酸エステルの量に
換算して0.0001〜20重量%、好ましくは0.01
〜10重量%、より好ましくは0.25〜5重量%の範
囲を挙げることができる。
【0028】また本発明の防腋臭剤には、本発明の効果
を妨げないことを限度として、上記その他の抗菌成分に
加えて、衣類用のスプレー剤やエアゾール剤等に配合さ
れる公知の防腐剤、安定剤、沈殿防止剤、pH調整剤、
香料、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン
性、両性界面活性剤)、清澄剤、粘度調整剤、殺菌抗菌
剤等の各種添加剤を配合することができる。かかる担体
並びに添加剤としては、人体に安全なものが好ましく、
より好ましくは皮膚等に対して刺激性のないものであ
る。
【0029】
【実施例】以下、実験例及び実施例により本発明をより
詳細に説明する。ただし、本発明はかかる実施例等によ
って何ら制限されるものではない。なお、特に言及しな
いかぎり、以下に示す%は重量%を意味するものとす
る。
【0030】実験例1 各種菌に対する殺菌作用(MB
C) 表1に示すショ糖脂肪酸エステル(試料1〜4)を試験
用の抗菌剤として、各種の菌(腋臭菌[Corynebacterium
minutissimum](IFO15361)、表皮ブドウ球菌[Staphyl
ococcus epidermidis](ATCC12228))に対する最小殺
菌濃度(MBC)を求めた。
【0031】
【表1】
【0032】具体的には、倍数希釈法により、表1記載
の各ショ糖脂肪酸エステルを配合した Mueller Hinton
Broth 液体培地(DIFCO製)に、上記各細菌を接種して3
5℃で24時間培養し、次いで得られた菌液をSCD寒
天培地(Soybean-Casein Digest Agar、日本製薬
(株))に接種し再度37℃で24時間培養して、その
菌の生育状況から、菌が生育しない抗菌剤(ショ糖脂肪
酸エステル、試料1〜4)の最低濃度(最小殺菌濃度、
MBC)を求めた。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】この結果から、ショ糖脂肪酸エステルは皮
膚常在菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epide
rmidis)には作用せず、腋臭菌(Corynebacterium minu
tissimum)等のコリネバクテリウム属菌に特異的に作用
して殺菌することがわかる。
【0035】実験例2 各種菌に対する静菌作用(MI
C) 実験例1と同様に上記表1に示すショ糖脂肪酸エステル
(試料1〜4)を試験用の抗菌剤として、各種の菌(腋
臭菌[Corynebacterium minutissimum](IFO15361)、表
皮ブドウ球菌[Staphylococcus epidermidis](ATCC1222
8)、大腸菌[Escherichea coli](IFO3972)、バチラス
菌[Bacillus subtilis](IFO3134)、緑膿菌[Pseudomon
as aeruginosa](IFO13275)<以上、細菌>;カンジダ
菌[Candida albicans](IFO1594)、アスペルギルス菌
(糸状菌)[Aspergillus nigar](IFO9455)、黒色真菌
[Cladosporium cladosporiodides](IFO30313)、ペニ
シリウム菌[Penicillium citrinum](IFO4631)<以
上、真菌>)に対する最小発育阻害濃度を求めた。
【0036】具体的には、倍数希釈法により、細菌につ
いては表1記載の各ショ糖脂肪酸エステルを配合した M
ueller Hinton Broth 液体培地(DIFCO製)に、上記各
細菌を接種して35℃で24時間培養し、菌液の濁度
(630nm)がコントロール培地(菌体を入れずに同様に
培養した培地)の濁度を超えない抗菌剤(ショ糖脂肪酸
エステル、試料1〜4)の最低濃度(最小発育阻害濃
度、MIC)を求めた。また真菌については表1記載の
各ショ糖脂肪酸エステルを配合したSabouraud Liquid B
roth Modified Antibiotic Medium 13 (BBL)培地に、上
記各真菌を接種して37℃で培養し、48時間後に発育
が認められない抗菌剤(ショ糖脂肪酸エステル、試料1
〜4)の最低濃度(最小発育阻害濃度、MIC)を求め
た。結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】この結果から、ショ糖脂肪酸エステルは、
腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)等のコリネバ
クテリウム属菌の発育を特異的に且つ低濃度で阻害する
ことがわかる。以上の実験例1及び2の結果から、ショ
糖脂肪酸エステルは、腋臭菌(Corynebacterium minuti
ssimum)等のコリネバクテリウム属菌に対して少量で優
れた静菌作用を示し、またこれを多量に使用することに
よって該コリネバクテリウム属菌を選択的に殺菌するこ
とができることが判明した。
【0039】実験例3 防臭力試験 ボランティア12名に温度40℃、湿度75%の環境下
で運動をしてもらってかいた汗を採取した。これらの汗
を2等分(検体1、2)して、検体1はそのまま(抗菌
剤無添加)、検体2には本発明の抗菌剤(ショ糖パルミ
チン酸エステル1000ppm)を添加して(抗菌剤添加)、
それぞれを防臭試験用の試験体とした。これらの試験体
を37℃で1晩振盪培養し、培養後、臭いの専門パネラ
ー11名によって各培養液の臭いを嗅いでもらって、本
発明の抗菌剤の防臭効果を評価した。結果を図1に示
す。
【0040】この結果から、本発明の抗菌剤の有効成分
であるショ糖脂肪酸エステルは微生物分解による臭いの
発生を有意に抑制し優れた防臭効果を発揮することがわ
かった。
【0041】 実施例1 クリーム ショ糖パルミチン酸エステル 5.0% (サーフホープSE COSME C-1616、三菱化学フーズ) ステアリン酸 13.2% モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0% プロピレングリコール 24.0% グリセリン 6.0% 水酸化ナトリウム 0.6% 香料A* 0.2% 精製水 49.0% 合 計 100.0%。
【0042】 * 香料Aの処方 (シトラスフレッシュの香り) レモンオイル 30.0% cis−3−ヘキセノール 0.4% ジヒドロミルセノール 5.0% デカナール 0.1% リナロール 10.0% シトラール 2.5% ベンジルアセテート 5.0% ハイドロキシシトロネラール 5.0% l−メントール 1.0% ジヒドロジャスモン酸メチル 20.0% 2−フェニルエチルアルコール 10.0% ガラクソライド 5.0% エチレンブラシレート 5.0% アンブロックス 1.0% 合 計 100.0%。
【0043】 実施例2 ローション スクアレン 2.0% グリセリルモノステアレイト 1.2% ステアリン酸 0.8% セタノール 0.4% ショ糖パルミチン酸エステル 4.0% (サーフホープSE COSME C-1616、三菱化学フーズ) 1,3-ブチレングリコール 3.0% トリエタノールアミン 0.2% 精製水 88.4% 合 計 100.0%。
【0044】 実施例3 エアゾールスプレー ショ糖ステアリン酸エステル 5.0% (サーフホープSE COSME C-1816、三菱化学フーズ) ミリスチン酸イソプロピル 0.2% 香料B* 0.1% エタノール 74.7% イソプロパノール 20.0% 合 計 100.0%。
【0045】 * 香料Bの処方 (ラベンダームスクの香り) リモネン 17.0% ベルガモット油 10.0% オレンジ油 10.0% イソボルニルアセテート 5.0% メチルヨノン 5.0% ラベンダー油 15.0% ゲラニオール 5.0% シトロネロール 5.0% パチュリ油 2.0% シクロペンタデカノライド 15.0% セドロール 3.0% サンタロール 2.0% クマリン 5.0% バニリン 1.0% 合 計 100.0%。
【0046】上記液層成分を混合しエアゾール原液とし
た。このエアゾール原液と噴射剤として用いる液化石油
ガスとを3:7(重量比)の割合で混合して容器に充填
し、エアゾールスプレーを調製した。
【0047】
【発明の効果】本発明の抗菌剤は、表皮ブドウ球菌など
の皮膚常在菌に作用しないでコリネバクテリウム属菌、
特に腋臭菌に特異的に作用して殺菌するため、皮膚に直
接塗布しても皮膚常在菌によって形成された皮膚微生物
叢に悪影響を与えず皮膚本来の自浄作用や保護作用を損
なうことなく、腋臭の発生を防止することができる。ま
た、本発明の抗菌剤は少量で当該コリネバクテリウム属
菌に対して選択的に優れた静菌作用を発揮する。このた
め、本発明の抗菌剤は皮膚に優しい腋臭防止用(腋臭症
用)の皮膚外用剤の抗菌成分として、また防腋臭剤の抗
菌成分として有用である。
【0048】本発明の皮膚外用剤及び防腋臭剤は、上記
抗菌剤を抗菌成分として含有するため、コリネバクテリ
ウム属菌に対する選択的な抗菌(殺菌・静菌)効果に優
れた、皮膚に優しい製剤である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌剤(ショ糖パルミチン酸エステ
ル)の防臭効果を示す図である(実験例3)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 昇 大阪府茨木市豊川1丁目30番3号 小林製 薬株式会社中央研究所内 (72)発明者 安間 一臣 千葉県千葉市中央区今井1−9−9 ライ オンズマンション京葉蘇我407号 Fターム(参考) 4C083 AA122 AB032 AC072 AC092 AC102 AC122 AC242 AC352 AC442 AC542 AD221 AD222 AD532 BB41 CC05 CC17 DD08 4C086 AA01 AA02 EA03 MA04 NA14 ZB35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エ
    ステルを有効成分とするコリネバクテリウム属菌(Cory
    nebacterium sp.)に対する抗菌剤。
  2. 【請求項2】コリネバクテリウム属菌(Corynebacteriu
    m sp.)が腋臭の原因菌である請求項1記載の抗菌剤。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の抗菌剤を含有する
    腋臭症用の皮膚外用剤。
  4. 【請求項4】請求項1又は2に記載の抗菌剤を含有する
    防腋臭剤。
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