JP5996761B1 - 耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤 - Google Patents

耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤 Download PDF

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【課題】本発明の課題は、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果を有しつつも、ショ糖脂肪酸エステル特有の苦味が少なく、飲食品の風味を損なうことのない発芽抑制剤を提供することである。【解決手段】構成脂肪酸の90モル%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルを有効成分とすることにより上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤、及び耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤を含む飲食品に関する。
飲食品、特に缶・ビン・レトルトパウチ等に充填される飲食品は通常長期保存のために加熱殺菌処理を経て製造される。しかしながら芽胞を形成する細菌類は加熱殺菌処理によっても死滅する事はなく、保管条件によっては発芽、増殖を経て飲食品を変敗に至らしめる事がある。このような耐熱性の高い細菌類による品質劣化を回避するため抗菌性を有する乳化剤、例えばショ糖脂肪酸エステルを300ppm〜1000ppm添加し芽胞形成耐熱性細菌の増殖を抑制する事が一般的に行われている。
ショ糖脂肪酸エステルに芽胞形成耐熱性細菌の増殖を抑制する効果がある事は以前から知られており、また、ショ糖脂肪酸エステルの中でも特に構成脂肪酸がパルミチン酸の物が抗菌性に優れているとされている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1参照。)。
特開昭56−18578号公報 特許第3440545号公報 特許第3851710号公報
NAKAYAMA,A,SONOBE,J.and SHINYA,R.J.Food Hyg.Soc.Japan,23,25(1982)
これまで、ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸比率が70モル%程度あれば十分に殺菌性等の効果が得られると考えられていた。このため一般に、パルミチン酸比率がさらに高いショ糖脂肪酸エステルの市場流通は見られない。前記文献に開示される、いずれのショ糖脂肪酸エステルにおいても、パルミチン酸比率がせいぜい80モル%以下に留まっている。このような背景のもと、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤においても、パルミチン酸比率の高くないショ糖脂肪酸エステルが用いられているが、十分な発芽抑制効果を期待するには相応の添加量が必要となる。しかしながら、高い発芽抑制効果を期待してショ糖脂肪酸エステルの添加量を多くすると、ショ糖脂肪酸エステル特有の苦味が生じ、飲食品の風味を著しく損なうといった問題があることがわかった。
本発明の課題は、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果を有しつつも、ショ糖脂肪酸エステル特有の苦味が少なく、飲食品の風味を損なうことのない発芽抑制剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討を行った結果、構成脂肪酸の90モル%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルを合成して用いたところ、殺菌性が強く、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果が有意に向上する事を見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に関するものである。
[1]構成脂肪酸の90モル%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルを含む、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤。
[2]前記[1]記載の発芽抑制剤を含有する飲食品。
本発明で用いるショ糖脂肪酸エステルは、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果を有するが、その作用が強いため飲食品に対するショ糖脂肪酸エステルの添加量を下げる事が出来る。これにより、ショ糖脂肪酸エステル特有の苦味を低下させ、飲食品の風味を向上させることが可能となった。
ショ糖脂肪酸エステル中のパルミチン酸エステル比率を90モル%以上とすることで耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果が有意に向上するメカニズムは明らかになっていないが、純度が高くなる事により、他成分の拮抗阻害が排除され、ショ糖パルミチン酸エステルの効果が発揮されやすい環境となっている事が推察される。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は構成脂肪酸の90モル%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルを有効成分とする耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤(以下、単に「発芽抑制剤」ともいう)及びこれを含有する飲食品に関するものである。
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖分子骨格における8個の水酸基の何れかを脂肪酸、又は脂肪酸エステルを用いてエステル化した物質である。
ショ糖脂肪酸エステルの製造法については、多くの提案がなされている。その幾つか例示すると先ず一つ目には、溶媒法と呼ばれる方法がある。これは、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のショ糖及び脂肪酸誘導体の両方に対する良溶媒を用いて反応させる方法である。次にミクロエマルジョン法と呼ばれる方法がある。この方法は、ショ糖をプロピレングリコール、水等に溶解した溶液と、脂肪酸メチルエステル等の脂肪酸誘導体とを、脂肪酸石けん等の乳化剤を使用して非常に微細な分散系、すなわちミクロエマルジョンとし、溶媒を除去した後に反応させる方法である。また、溶媒を用いずに、ショ糖と脂肪酸エステルとを直接混合して100〜150℃に加熱することにより反応させる直接法と呼ばれる方法もある。これ以外にもマイクロ波や超音波をショ糖及び脂肪酸エステルを含む混合物又はショ糖及び脂肪酸を含む混合物(以下、単に「混合物」ともいう)に照射することで、効率よく反応を進める方法等も提唱されているが、本発明において重要なファクターは構成脂肪酸の90モル%以上がパルミチン酸であることであり、これを達成できるのであれば合成方法は特に制限されない。ただし、生産性向上の観点や風味を好ましいものとする観点から、マイクロ波や超音波を用いた合成が好ましく、マイクロ波と超音波を併用した合成がより好ましい。
マイクロ波や超音波を用いることで風味が好ましいものとなるメカニズムは、定かではないが、混合物にマイクロ波や超音波を照射することにより反応が効率よく促進され、短時間で反応を行うことができ、このため、風味を損なう熱劣化成分の発生が少なくなるためと推定される。
マイクロ波の周波数は、特に限定されるものではないが、300MHz〜300GHzの範囲内の周波数などを使用することができ、例えば、2.45GHz、5.8GHz、24GHz、915MHzなどが挙げられる。
マイクロ波を照射する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、マイクロ波を伝送可能な導波管をリアクターに接触させて配置し、その導波管及びリアクターを介して混合物にマイクロ波を照射するようにしてもよい。
超音波の周波数は、特に限定されるものではないが、15kHz〜10GHzの範囲内の周波数などを使用することができ、例えば、20kHz、25kHz、40kHzなどが挙げられる。
超音波を照射する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、超音波振動子をリアクターの内部に配置し、その超音波振動子から混合物に超音波を直接照射するようにしてもよく、又は超音波振動子をリアクターに接触させて配置し、そのリアクターを介して混合物に超音波を照射するようにしてもよい。
マイクロ波と超音波とを併用する場合は、同時に照射してもよく、又は別々の時期に照射してもよい。後者の場合には、マイクロ波の照射の効果と、超音波の照射の効果とを同時に得られるようにするため、例えば、短い期間でマイクロ波の照射と超音波の照射とを交互に切り替えるようにしてもよい。
マイクロ波や超音波を用いる場合の合成時の温度は、特に限定されるものではないが、60〜250℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。反応時間は、特に限定されるものではないが、1〜20時間が好ましい。合成を実施するに際して、合成環境は常圧であっても、減圧であってもよい。モノエステル含量を高めるには、溶媒等による精製により行うことができる。使用できる溶媒としては特に限定されるものではないが、例えば酢酸エチル、イソプロパノール、プロピレングリコール、イソブタノール、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
本発明に用いるショ糖は、特に限定されるものではないが、ブドウ糖や果糖等の不純物が少なく、反応に際して比較的安定である等の理由から、グラニュー糖、白双目糖、中双目糖、氷糖、角糖が好ましい。ショ糖は、単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本発明に用いる脂肪酸は、パルミチン酸比率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上が良い。共存する脂肪酸については特に限定されるものではない。炭素数8〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸等が挙げられ、これらのうち1種類、又は2種類以上が共存していても良いが、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果の観点からミリスチン酸、ステアリン酸が好ましい。
本発明に用いる脂肪酸エステルは脂肪酸に低級(炭素数1〜4)アルキル基、又はビニル基がエステル化されたものであり、脂肪酸はパルミチン酸比率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上、が良い。共存する脂肪酸については特に限定されるものではない。炭素数8〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸等が挙げられ、これらのうち1種類、又は2種類以上が共存していても良いが、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果の観点からミリスチン酸、ステアリン酸が好ましい。
ショ糖及び脂肪酸エステルを含む混合物又はショ糖及び脂肪酸を含む混合物は、任意に添加剤を含むことができる。エステル交換反応又はエステル化反応に供する各原料の使用量(使用割合)は、特に限定されるものではなく、従来の反応系に供される量と同様である。
本発明におけるショ糖脂肪酸エステルのモノエステル含量について、特に制限はされないが、一般的に耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果はモノエステル含量が高い方が望ましく、有効性を鑑みる場合80重量%以上である事が好ましく、90重量%以上であれば更に好ましい。80重量%未満の場合、ショ糖脂肪酸エステルとしての添加量を増やす必要があるため、飲食品への風味的な影響があり好ましく無い。
尚、ショ糖脂肪酸エステルのモノエステル含量はHPLCを用いる事で簡便に求めることができる。
ショ糖脂肪酸エステルを効率的に製造するため、添加剤を任意に加えてもよい。
添加剤としては、特に限定されるものではないが、乳化剤、アルカリ触媒、酸触媒等の触媒や、脂肪酸石鹸等が挙げられる。また、触媒は、固体触媒(不均一系触媒)であってもよく、液状の触媒(均一系触媒)であってもよい。
発芽抑制剤中、構成脂肪酸の90モル%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルの含有量は、10重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
発芽抑制剤は、本発明の効果を阻害しない範囲において、任意に添加剤を含むことができる。任意の添加剤としては、公知の食品添加物などが挙げられ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド(酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、サポニン、ポリソルベート、サポニン等の乳化剤、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、タマリンドガム、キサンタンガム、カードラン、ジェランガム(ネイティブタイプ、脱アセチルタイプ共に含む)、スクシノグルカン、ファーセレラン、カラギナン(κタイプ、ιタイプ、λタイプ)、微結晶セルロース、微小繊維状セルロース、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、澱粉、加工澱粉類(アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン)、ゼラチン、寒天、大豆多糖類等の安定剤、カゼインナトリウム、WPC、大豆蛋白質等動植物性蛋白質及びその分解物(酵素分解、酸分解)、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等有機酸及びその塩類、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸及びその塩類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩類、その他、香料、着色料、保存料等が挙げられる。任意の添加剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
発芽抑制剤は飲食品等に好適に使用される。飲食品は特に限定されるものではないが、耐熱性芽胞形成細菌が問題となる飲食品が対象となるため高温下で長期保存される機会が多い飲食品に供されることが好ましく、例えば密封容器飲料が挙げられる。
飲料としては、コーヒー、紅茶、緑茶、烏龍茶、麦茶、ブレンド茶、汁粉、ぜんざい、甘酒、ココア、抹茶、豆乳、スープ類(コーンスープ、コンソメスープ、野菜スープ等)、ミルクセーキ、乳酸菌飲料、乳性飲料、果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、炭酸飲料、栄養ドリンク、ゼリー飲料、流動食等が挙げられ、特に例示された飲料に限定されるものではないが、耐熱性芽胞形成細菌の存在が問題となる弱酸性の飲料であり、且つ高温保存される機会が多いコーヒー、紅茶、緑茶、ココア、抹茶、豆乳、スープ類(コーンスープ、コンソメスープ、野菜スープ等)、ミルクセーキ等が好ましい。更に乳成分が含まれると耐熱性芽胞形成細菌の生育性が向上する傾向にあるため、例示した飲料、或いはそれ以外の飲料であっても乳成分含有の物がより好ましい。
飲食品の包装形態は缶、瓶、ペットボトル容器、紙パック、プラスチック容器、チアパック等一般的に流通している容器であれば容器形態には特に限定されるものではないが、芽胞形成細菌が問題となりやすい高温販売、いわゆるホットベンダー販売される機会が多い包装形態の飲料である缶、及びペットボトル容器が好ましい。
飲食品への発芽抑制剤の添加方法や、添加時期等については、公知の添加方法、添加時期で添加することができる。
発芽抑制剤の飲食品への添加量は特に制限されないが、風味及び耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制効果を鑑みた場合、飲食品中0.0001重量%〜0.5重量%が好ましい。
飲食品には、安全性の観点から、又は飲食品の品質を高める為、発芽抑制剤以外の食品添加物を併用することができる。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ただし、実施例1、4は参考例である。
発芽抑制剤の調製
実施例1 マイクロ波加熱
三口フラスコにショ糖34g及び水50gを入れ、30分間、60℃にて加熱撹拌することで完全に溶解させた。また、パルミチン酸メチル27gを60℃にて加熱し溶融させ、三口フラスコに投入した。その三口フラスコを撹拌機及び温度計(熱電対)を備え付けたマイクロ波リアクター内に設置した。そして、撹拌しながらマイクロ波(2.45GHz)を照射し、温度を90℃±2℃に保持しながら、下記の各調製品となるように、反応時間を適宜調整してエステル交換反応を行った。反応終了後、混合物より水とメチルエチルケトン、酢酸エチルを用いて以下のショ糖パルミチン酸エステルに精製し、発芽抑制剤とした。
実施例1:C16(9080)SE:パルミチン酸比率90モル%、モノエステル含量80重量%
実施例2、3 マイクロ波加熱及び超音波照射
三口フラスコにショ糖34g及び水50gを入れ、30分間、60℃にて加熱撹拌することで完全に溶解させた。また、パルミチン酸メチル27gを60℃にて加熱し溶融させ、三口フラスコに投入した。その三口フラスコを撹拌機及び温度計(熱電対)を備え付けたマイクロ波リアクター内に設置した後、三口フラスコ上部より超音波ホーンを導入した。そして、撹拌しながらマイクロ波(2.45GHz)と超音波(20kHz)を同時に照射し、温度を90℃±2℃に保持しながら、下記の各調製品となるように、反応時間を適宜調整してエステル交換反応を行った。このエステル交換反応時の液状は、水中油滴型のエマルションであった。反応終了後、混合物より水とメチルエチルケトン、酢酸エチルを用いて以下のショ糖パルミチン酸エステルに精製し、実施例2の発芽抑制剤を得た。実施例3は、前記の精製工程の中で、モノエステル含量を90重量%とする以外は同様にして発芽抑制剤を得た。
実施例2:C16(9580)SE:パルミチン酸比率95モル%、モノエステル含量80重量%
実施例3:C16(9590)SE:パルミチン酸比率95モル%、モノエステル含量90重量%
実施例4、5、比較例1、2 通常加熱
三口フラスコにショ糖34g、乳化剤としてのショ糖パルミチン酸エステル2g、及び水50gを入れ、30分間、60℃にて加熱撹拌することで完全に溶解させた。また、パルミチン酸メチル27gを60℃にて加熱し溶融させ、三口フラスコに投入した。その三口フラスコを油浴内に設置し、撹拌しながら温度計(熱電対)で測定した温度を90℃±2℃に保持しながら、下記の各調製品となるように、反応時間を適宜調整してエステル交換反応を行った。反応終了後、混合物より水とメチルエチルケトン、酢酸エチルを用いて以下のショ糖パルミチン酸エステルに精製し、実施例4の発芽抑制剤を得た。実施例5は、前記の精製工程の中で、パルミチン酸比率を95モル%とする以外は同様にして発芽抑制剤を得た。比較例1は、前記の精製工程の中で、パルミチン酸比率を70モル%とする以外は同様にして発芽抑制剤を得た。比較例2は、前記の精製工程の中で、パルミチン酸比率を80モル%とする以外は同様にして発芽抑制剤を得た。
実施例4:C16(9080)SE:パルミチン酸比率90モル%、モノエステル含量80重量%
実施例5:C16(9580)SE:パルミチン酸比率95モル%、モノエステル含量80重量%
比較例1:C16(7080)SE:パルミチン酸比率70モル%、モノエステル含量80重量%
比較例2:C16(8080)SE:パルミチン酸比率80モル%、モノエステル含量80重量%
飲料の調製
各実施例、比較例の発芽抑制剤の静菌性を検討及び評価するために、缶入りミルクコーヒー飲料を作製し、続く静菌試験を行った。
L値20の焙煎コーヒー豆65gを用いて熱水抽出(抽出効率25%)を行い、Bx3.0のコーヒー抽出液550gを得た。ここに、牛乳150g、グラニュー糖50g、並びに60℃の温水に各実施例、比較例の発芽抑制剤をパルミチン酸含量(C16SE量)が表1〜3に記載の量となるように添加量調整し溶解した溶液を加え、重曹にてpH6.9に調整後、更に水を加え全量を1000gとし、コーヒーミックスを得た。重量調整したコーヒーミックスは高圧型均質機を用い65〜75℃の温度で15MPaの圧力で均質化し、缶容器に充填後121℃、30分間レトルト殺菌を行った。殺菌後のコーヒーミックスのpHは6.6であった。
試験例1
<静菌試験(発芽抑制試験)>
調製した飲料に、100℃、30分で活性化したモレラ サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、サーモアネロバクター マスラニ(Thermoanaerobacter mathranii)、及びジオバチルス ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophillus)の各芽胞懸濁液を、終濃度1×10個/mlとなるようにそれぞれ接種し、各芽胞懸濁液が接種された飲料をガラスチューブに各2ml×5本ずつ採り、火炎にて開口端を熔封密封しガラスアンプルとした。各ガラスアンプルをオイルバスに入れ、F=10〜20相当、すなわち、121℃にて10〜20分間の加温処理を行った後、55℃で4週間保存した後、変敗の有無を判定した。判定は菌無接種区とのpHの差異により行った。菌未接種の飲料と比べてpHが0.4以上低下したものを変敗とした。同種飲料の5本のガラスアンプルのうち、1本でも変敗した場合は静菌性を「×」と評価し、変敗しなければ「○」と評価した。この試験の結果を表1〜3に示す。
Figure 0005996761
Figure 0005996761
Figure 0005996761
表1〜3の結果から明らかなように有効成分であるショ糖パルミチン酸エステルの飲料中の含有量が等しいにも関わらず、用いたショ糖脂肪酸エステルのパルミチン酸比率が高いサンプルの方が有意に高い静菌性を示した。
試験例2
<飲料風味試験>
L値20の焙煎コーヒー豆65gを用いて熱水抽出(抽出効率25%)を行い、Bx3.0のコーヒー抽出液550gを得た。ここに、牛乳150g、グラニュー糖50g、並びに60℃の温水に各実施例、比較例の発芽抑制剤をパルミチン酸含量が240ppmとなるよう添加量調整し溶解した溶液を加え、重曹にてpH6.9に調整後、更に水を加え全量を1000gとし、コーヒーミックスを得た。重量調整したコーヒーミックスは高圧型均質機を用い65〜75℃の温度で15MPaの圧力で均質化し、缶容器に充填後121℃、30分間レトルト殺菌を行った。殺菌後のコーヒーミックスのpHは6.6であった。本飲料サンプルを用いて、以下の基準で、苦味及び異味についての官能評価を実施した結果を表4に示す。
苦味の評価基準
○:苦味を感じない
△:僅かに苦味を感じる
×:苦味を感じる
異味の評価基準
◎:異味を感じない
○:異味をほとんど感じない
△:僅かに異味を感じる
×:異味を感じる
Figure 0005996761
表4の結果より、各ショ糖脂肪酸エステルが静菌性を示す量を添加したミルクコーヒー飲料は、パルミチン酸比率が高いショ糖脂肪酸エステルの方が添加量を低く抑えられることより苦味が抑えられ風味が良好であった。また、実施例1、2と実施例4、5との対比より、マイクロ波や超音波を用いて合成することにより、異味が抑えられ風味がより良好となることがわかる。なお、実施例4、5においては、僅かに異味を感じるものの、飲料として問題のない程度のものであった。
本発明は耐熱性芽胞形成細菌に対して、優れた発芽抑制作用(静菌作用)を発揮する、香味に問題を生じさせることの少ない、実用的な発芽抑制剤を提供する。また、本発明は、該静菌剤を用いた静菌方法により、微生物による変敗に対して安定した、しかも、風味の変調のない、優れた味覚の飲食品を提供することができ産業上貢献大である。

Claims (4)

  1. 構成脂肪酸の9モル%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルを含む、耐熱性芽胞形成細菌の発芽抑制剤であって、耐熱性芽胞形成細菌がモレラ サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、サーモアネロバクター マスラニ(Thermoanaerobacter mathranii)、及びジオバチルス ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophillus)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、発芽抑制剤
  2. 請求項1記載の発芽抑制剤を含有する飲食品。
  3. 飲食品が密封容器飲料である請求項記載の飲食品。
  4. 密封容器飲料が、コーヒー、紅茶、緑茶、ココア、抹茶、豆乳、スープ類、又はミルクセーキである、請求項記載の飲食品。
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