JP7032980B2 - 容器詰飲料の充填方法 - Google Patents
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一方、ホップは、その抽出物に抗菌作用があることが知られているが、ホップエキスを単独で、あるいはホップエキスと緑茶エキスとを併用して含有させたとしても、バチルス・コアギュランスよりも増殖力の弱いバルチス・サブチリス(Bacillus subtilis)に対してさえ増殖抑制効果として弱いものであることが報告されている(特許文献5)。
(1)次の成分(A)、(B)及び(C)
(A)非重合体カテキン類:800~1400質量ppm
(B)テアフラビン、及び
(C)α酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上
を、下記式(i);
5.1≦X+11×Y≦8.5 (i)
〔式(i)中、
Xは飲料中の成分(B)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲料中の成分(B)の含有量は0.1~4.7質量ppmである。
Yは飲料中の成分(C)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲料中の成分(C)の含有量は0.01~0.7質量ppmである。〕
に示す関係を満たすように含有させて飲料を調製する工程、
(2)飲料のpHを4.0~7.5に調整する工程、
(3)pH調整後の飲料をF0値が11.0~15.5となる条件で殺菌する工程、
(4)殺菌後の飲料を82℃以上でホットパック充填し密封する工程
(B)テアフラビン、及び
(C)α酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上
を有効成分とし、
飲食品に対して、成分(B)及び(C)を下記式(i);
5.1≦X+11×Y≦8.5 (i)
〔式(i)中、
Xは飲食品中の成分(B)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲食品中の成分(B)の含有量は0.1~4.7質量ppmである。
Yは飲食品中の成分(C)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲食品中の成分(C)の含有量は0.01~0.7質量ppmである。〕
に示す関係を満たすように含有させる、飲食品中のバチルス・コアギュランス増殖抑制剤を提供するものである。
本発明の容器詰飲料の充填方法又は製造方法は、工程(1)、(2)、(3)及び(4)を含むものである。以下、各工程について詳細に説明する。
工程(1)は、成分(A)の非重合体カテキン類と、成分(B)のテアフラビンと、成分(C)のα酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上とを、下記に示す含有量にて、下記の示す式(i)の関係を満たすように含有させて飲料を調製する工程である。なお、本発明においては、成分(A)、(B)及び(C)が最終的に飲料中に共存した状態にあればよく、配合順序は特に限定されない。
成分(B)は、配合成分に由来するものでも、新たに加えられたものでもよく、飲食品の分野において通常使用されているものであれば特に限定されない。例えば、化学合成品でも、成分(B)を豊富に含む植物の抽出物の形態で含有させることも可能であり、、1種又は2種以上含有することができる。植物抽出物は、成分(B)の純度を高めた精製物でも構わない。植物抽出物としては、成分(B)が含まれていれば特に限定されないが、例えば、例えば、紅茶抽出物、烏龍茶抽出物が挙げられる。なお、抽出方法は、植物の種類に応じて前述した公知の方法を採用することが可能であり、また抽出条件は特に限定されず、抽出方法により適宜選択することができる。
成分(C)としては、本発明の効果を享受しやすい点から、少なくともβ酸を含有することが好ましい。また、α酸、イソα酸及びβ酸の総量と、β酸の含有量との比率、即ちβ酸/(α酸+イソα酸+β酸)は、バチルス・コアギュランスの増殖抑制の観点から、0.90以上が好ましく、0.93以上がより好ましく、0.95以上が更に好ましい。なお、α酸、イソα酸及びβ酸の総量は、上記5種のα酸、上記5種のイソα酸及び上記3種のβ酸の合計量に基づいて定義され、β酸の含有量は上記3種のβ酸の合計量に基づいて定義される。
工程(2)は、飲料のpHを特定範囲内に調整する工程である。
飲料のpHは4.0~7.5であるが、バチルス・コアギュランスの増殖抑制、風味の観点から、4.3以上が好ましく、4.8以上がより好ましく、5.2以上が更に好ましく、そして7.3以下が好ましく、7.2以下がより好ましく、7.0以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは4.3~7.3、より好ましくは4.8~7.2、更に好ましくは5.2~7.0である。なお、pHは、20℃に温度調整しpHメータにより測定するものとする。なお、工程(1)で調製された飲料のpHが上記範囲内であって、所望のpHであれば、本工程を行うことなく、次工程である工程(3)を実施しても構わない。
工程(3)は、pH調整後の飲料をF0値が特定範囲内となる条件で殺菌する工程である。ここで、本明細書において「F0値」とは、飲料を加熱殺菌した場合の加熱殺菌効果を評価する値で、基準温度(121.1℃)に規格化した場合の加熱時間(分)に相当する。F0値は、容器内温度に対する致死率(121.1℃で1)に、加熱時間(分)を乗じて算出される。致死率は致死率表(藤巻正生ら、「食品工業」、恒星社厚生閣、1985年、1049頁)から求めることができる。F0値を算出するには、一般的に用いられる面積計算法、公式法等を採用することができる(例えば谷川ら《缶詰製造学》頁220、恒星社厚生閣 参照)。本発明において、F0値を所定の値になるよう設定するには、例えば、予め得た致死率曲線から、適当な加熱温度・加熱時間を決定すればよい。
F0値は11.0~15.5であるが、バチルス・コアギュランスの増殖抑制、風味の観点から、好ましくは11.0~15.0であり、より好ましくは11.0~14.0であり、更に好ましくは11.0~13.5である。
工程(4)は、殺菌後の飲料を容器にホットパック充填し密封する工程である。ここで、本明細書において「ホットパック充填」とは、飲料を加熱して容器に充填する操作をいう。
本発明においては82℃以上でホットパック充填を行うが、風味を損なうことなく飲料を容器に充填する観点から、ホットパック充填温度は、好ましくは82~89℃であり、より好ましくは83~89℃であり、更に好ましくは84~89℃であり、殊更に好ましくは85~89℃である。
また、容器としては、ホットパック充填が可能であれば、その形状及び材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、レトルトパウチ、金属缶、ビン等が挙げられる。
容器の密封は、容器の種類により適宜選択可能であるが、例えば、巻締め、熱シール等が挙げられる。
本発明のバチルス・コアギュランス増殖抑制剤は、成分(B)及び(C)を有効成分とするものであり、飲食品に対して、成分(B)及び(C)を上記式(i)に示す関係を満たすように含有させるものである。
本発明においては、成分(B)と成分(C)とが最終的に飲食品中に共存した状態にあればよく、共存させるタイミングや配合順序は特に限定されない。なお、成分(B)及び(C)の具体的構成、並びに上記式(i)の具体的態様については、上記において説明したとおりである。
飲食品の形態は、経口摂取可能なものであれば特に限定されず、固形状でも、液状でもよい。飲食品としては、例えば、飲料(例えば、茶飲料、コーヒー、ココア、果汁飲料、炭酸飲料、野菜飲料、スポーツ飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料、機能性飲料等)、サプリメント;ゼリー、チューイングガム、キャンディ、チョコレート、冷菓、スナック、ビスケット、パン、ケーキ等の菓子;チーズ等の乳製品;漬物、すり身、魚卵等の加工食品;粉末スープを含むスープ等を挙げることができる。中でも、飲料が好ましく、茶飲料がより好ましく、緑茶飲料が更に好ましい。また、飲料は、非重合体カテキン類を、好ましくは800~1400質量ppm、より好ましくは900~1300質量ppm、更に好ましくは950~1250質量ppm、殊更に好ましくは1000~1200質量ppm含有するものが好適である。
純水で溶解希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L-カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
時間 A液濃度 B液濃度
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
アセトンで溶解希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式Nexera、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(Cadenza CD-C18、4.6mmφ×250mm:Imtakt製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相C液はリン酸を50mmol/L含有する蒸留水溶液、D液はアセトニトリル溶液とし、流速は0.8mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は455nmの条件で行った。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
時間 C液濃度 D液濃度
0分 96% 4%
10分 96% 4%
54分 70% 30%
55分 0% 100%
60分 0% 100%
BCOJビール分析法 6.2.2α酸、β酸-HPLC法-に準じて分析する。
分析用異動相;
・E液:メタノール/水/85質量%リン酸/10質量%水酸化テトラエチルアンモニウム=755mL/2255mL/17g/29.5g(pH3~3.1)
・F液:メタノール
・G液:メタノール/水/10質量%水酸化テトラエチルアンモニウム/42.5質量%リン酸=465mL/135mL/17.7g/適量(pH4.85)
・検出:
0-13分 254nm(イソα酸)
13.1-22分 326nm(α酸)
22.1-30分 346nm(β酸)
・試料量 :10.0μL
・流速 :1.5mL/min
・カラム温度: 50℃
・移動相のタイムプログラム:
0-8min E液
8.01min G液
8.02-23min
グラジェント0-50容量%F液、100-50容量%G液
23.01-28min
50容量%F液、50容量%G液
28.01min E液
pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて、20℃に温度調整をして測定した。
下記の「菌の増殖評価」前の容器詰飲料の風味について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験では、各パネリストが標準品の風味と比較し、下記の評価基準とすることに合意したうえで、各容器詰飲料について実施した。その後専門パネル4名が協議により最終評点を決定した。なお、標準品として、成分(B)及び(C)を含有しない比較例1の容器詰飲料を用いた。
3:標準品の容器詰飲料と比べて、味、香りともに差異がない
2:標準品の容器詰飲料と比べて、味に差異はないが、香りが僅かに劣る
1:標準品の容器詰飲料と比べて、異味が感じられ、味、香りともに大きく劣る
(1)菌体懸濁液の調製
菌としてバチルス・コアギュランス(NBRC12583、缶詰協会1108、DSM2311、DSM2312、DSM2314及びDSM2385)を用いた。
バチルス・コアギュランスは、上記6株の菌体をそれぞれSCD寒天培地で45℃において2日間培養し、培養した菌体を生理食塩水に105CFU/mL程度となるように懸濁し、混合した。
各実施例及び比較例で調製した容器詰飲料に、上記(1)で調製した菌体懸濁液を103CFU/mLとなるように接種し、45℃で14日間保存し、その間数日ごとに菌数を測定した。菌数の測定は、各容器詰飲料から内容物を一定量抜き取り、SCD寒天培地に塗抹して培養後、コロニー数を計測することによって実施した。保存期間中の最低菌数より1オーダー以上の菌数増加が認められた場合を増殖(+)、それ以外の場合を非増殖(-)と判断した。
緑茶抽出物の製造
市販の緑茶抽出物の濃縮物であるポリフェノンG(三井農林社製)200gを、25℃にて攪拌条件下(250r/min)の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。次に、2号ろ紙で濾過した後、濾液に活性炭16gを添加し、再び2号ろ紙で濾過した。次に0.2μmメンブランフィルターで再濾過した。次に、40℃、減圧下にて濾液からエタノールを留去し、イオン交換水で非重合体カテキン類濃度を15質量%に調整して、緑茶抽出物を得た。得られた緑茶抽出物は、非重合体カテキン類の含有量が65質量%であった。また、テアフラビン並びに、α酸、イソα酸及びβ酸は未検出であった。
緑茶抽出液の製造
茶葉1kgに対して30質量倍の熱水を加え、70℃で6分間撹拌抽出し、その後網で濾して、緑茶抽出液を得た。得られた緑茶抽出液は、非重合体カテキン類の含有量が0.108質量%であった。また、テアフラビン並びに、α酸、イソα酸及びβ酸は未検出であった。
表1に示す各成分を配合して飲料を調製し、重炭酸ナトリウムでpH7.0に調整した後、F0値11.0の条件で加熱殺菌し、容量200mLのPETボトルに85℃にてホットパック充填し巻締めして容器詰緑茶飲料を製造した。得られた容器詰緑茶飲料の分析結果及び評価結果を表1に併せて示す。
表2に示す成分を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰緑茶飲料を調製した。得られた容器詰緑茶飲料について、実施例1と同様に分析及び評価を行った。その結果を表2に併せて示す。
表3に示す成分を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰緑茶飲料を調製した。得られた容器詰緑茶飲料について、実施例1と同様に分析及び評価を行った。その結果を表3に併せて示す。
Claims (6)
- 下記の工程(1)、(2)、(3)及び(4)を含む、容器詰飲料の充填方法。
(1)次の成分(A)、(B)及び(C)
(A)非重合体カテキン類:800~1400質量ppm
(B)テアフラビン、及び
(C)α酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上
を、下記式(i);
5.1≦X+11×Y≦8.5 (i)
〔式(i)中、
Xは飲料中の成分(B)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲料中の成分(B)の含有量は0.1~4.7質量ppmである。
Yは飲料中の成分(C)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲料中の成分(C)の含有量は0.01~0.7質量ppmである。〕
に示す関係を満たすように含有させて飲料を調製する工程、
(2)飲料のpHを4.0~7.5に調整する工程、
(3)pH調整後の飲料をF0値が11.0~15.5となる条件で殺菌する工程、
(4)殺菌後の飲料を82℃以上でホットパック充填し密封する工程 - 下記の工程(1)、(2)、(3)及び(4)を含む、容器詰飲料の製造方法。
(1)次の成分(A)、(B)及び(C)
(A)非重合体カテキン類:800~1400質量ppm
(B)テアフラビン、及び
(C)α酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上
を、下記式(i);
5.1≦X+11×Y≦8.5 (i)
〔式(i)中、
Xは飲料中の成分(B)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲料中の成分(B)の含有量は0.1~4.7質量ppmである。
Yは飲料中の成分(C)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲料中の成分(C)の含有量は0.01~0.7質量ppmである。〕
に示す関係を満たすように含有させて飲料を調製する工程、
(2)飲料のpHを4.0~7.5に調整する工程、
(3)pH調整後の飲料をF0値が11.0~15.5となる条件で殺菌する工程、
(4)殺菌後の飲料を82℃以上でホットパック充填し密封する工程 - ホットパック充填温度が82~89℃である、請求項1又は2記載の方法。
- 成分(A)と成分(B)を、両者の質量比[(A)/(B)]が170~14000となるように含有させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 成分(A)と成分(C)を、両者の質量比[(A)/(C)]が1142~140000となるように含有させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
- 次の成分(B)及び(C)
(B)テアフラビン、及び
(C)α酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上
を有効成分とし、
飲食品に対して、成分(B)及び(C)を下記式(i);
5.1≦X+11×Y≦8.5 (i)
〔式(i)中、
Xは飲食品中の成分(B)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲食品中の成分(B)の含有量は0.1~4.7質量ppmである。
Yは飲食品中の成分(C)の含有量(質量ppm)を示す。但し、飲食品中の成分(C)の含有量は0.01~0.7質量ppmである。〕
に示す関係を満たすように含有させる、飲食品中のバチルス・コアギュランス増殖抑制剤。
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